JP2004321536A - 毒性ガス簡易シェルター - Google Patents
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Abstract
【課題】これまで化学兵器や生物兵器などの毒性ガスから人体を守るための設備としては、その目的のために特別に制作された建築物や地下室があるが、製作に多大の時間と費用が必要であり、また運搬・移動は困難である。そこで不用時はコンパクトに折り畳んで収納しておき、緊急時簡便にセットできる毒ガス用簡易シェルターが要望されている。
【解決手段】難透気樹脂製袋状シートに、毒性ガス除去装置により無臭、無害化された空気の導入口、気体排気口、密閉できる人の出入口を設けたシェルターが、前記課題を解決した。
【選択図】図1
【解決手段】難透気樹脂製袋状シートに、毒性ガス除去装置により無臭、無害化された空気の導入口、気体排気口、密閉できる人の出入口を設けたシェルターが、前記課題を解決した。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は人体を毒性ガスや病原体から守るための簡易シェルターに関する。
【0002】
【従来の技術】
化学兵器、生物兵器などの毒性ガスや病原体から人体を守るための空間として、建築物や地下室が用いられている。しかしながら、これら建築物や地下室は、製作するのに多大の時間と経費がかかり、また、移動させることが困難である。
たとえば、特許文献1には吸着剤やフィルターを用いた火災時の緊急避難用耐熱シェルター構造が記載されているが、これは持ち運びのできないもので、且つ毒性ガスや病原体に対するものではない。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−34848号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、不用時は折り畳んで小型化し、移動が可能な状態で収納することができ、用時袋内に毒性ガス成分を除去した空気を導入することにより袋を膨らませ、迅速に毒性ガス(病原体含有ガスを含む。)に対処することができる簡易シェルターを提供することにある。さらに、制作費が少なくて済み、運搬、移動も容易に行うことができる毒性ガス簡易シェルターを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、空気中の毒性ガスや病原菌を活性炭や殺菌フィルターで除去した後、樹脂製袋状シートに導入し、導入した空気により膨らんで、例えば円筒状、楕円体状、蒲鉾状、立方体状、直方体状、または三角柱状などの空間を作ることによって、経費もあまりかけずに容易に製作でき、かつ移動可能な、簡易毒ガスシェルターを提供できることを見出し、本発明を完成した。
【0006】
すなわち、本発明は、
(1)空気中の毒性ガス成分を除去剤で除去した空気の導入口、袋内部の空気を外部に排出する排気口、及び密閉可能に取り付けられた人の出入り口を備えた樹脂製袋状シートからなる毒性ガス簡易シェルター、
(2)空気を充満した状態の袋内部空間の縦断面積が0.5m2以上で、かつ長さが1m以上である(1)記載の毒性ガス簡易シェルター、
(3)除去剤が活性炭である(1)記載の毒性ガス簡易シェルター、
(4)活性炭が薬品無担持活性炭である(3)記載の毒性ガス簡易シェルター、
(5)活性炭が薬品担持活性炭である(3)記載の毒性ガス簡易シェルター、
(6)活性炭がハニカム状活性炭である(3)記載の毒性ガス簡易シェルター、
(7)除去剤が殺菌作用を有するものである(1)記載の毒性ガス簡易シェルターおよび
(8)自家発電機、太陽電池及び燃料電池の少なくとも1種を電源として使用する空気導入用の送風機を備えた(1)記載の毒性ガス簡易シェルター、
である。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明で用いられるシートは、樹脂製袋状シートであって、可撓性、難透気性のものが好ましい。シートの材質は、例えばポリエチレン製、ポリエステル製、塩化ビニル製、フッ化ビニル製など一般的に可撓性、難透気性のシートとして使用されているものである。シートの厚みは例えば0.1〜数mm程度が適当である。シートは繊維補強されているものがより好ましい。
これらシートは、大きな袋状で、空気を供給することによって膨らみ、例えば球状、楕円体状、蒲鉾状、立方体状、直方体状、四面体状、多角柱状など、一人以上の人を収容するに十分な大きさの空間を確保しうるものが望ましい。
これら形状物の断面および長さは、内部に収容する人数によって異なるが、例えば断面積が0.5m2以上、長さ1m以上、好ましくは断面積が1m2以上、長さ2m以上のものである。
なお、これら形状物は、球状、楕円体状、蒲鉾状、立方体状、直方体状、四面体状、多角柱状などの形状に保つため、簡単な骨組を必要とすることもあるが、空気が形状物の内部を流れており、常に陽圧になっているので中間には何らの保持具または支持具がなくてもよい。骨組みの材質としては、木材、FRPやアルミ合金など、軽量で耐久性のあるものが好ましい。
【0008】
袋の上流側には、袋内に空気を導入する送風機と、空気中の毒性ガスを除去するための除去剤層等が装備されている。送風機と除去剤層は、ユニットとして一体化した構造のものであることが望ましい。また一体化したユニットとすることによって、本発明の特長の一つである簡易シェルターの移動や設営が容易となる。なお、袋状シート内の空気の流速は、通常0.005〜0.15m/秒程度である。
【0009】
排気口は、袋状シートのどの部分に設けても良いが、気体導入口からなるべく離れた位置に設置するのが良い。排出口は、外部からの気体の流入を防ぐための逆流防止弁や、フィルターなどを備えていても良い。
人の出入り口は袋のどの部分に設けてもよいが、例えば袋を膨らませた際、袋の側面に相当する辺りに少なくとも一カ所設けるのが良く、また人の出入りのないときは気密性の扉やファスナーなど、密閉できる手段により取り付けるのが良い。
使用時の袋状シート内部は、毒性ガスが人の出入口や排気口などから内部に流入してこないように常に陽圧が保たれるよう吸気量及び排気量を調節することが望ましい。
【0010】
毒ガス除去剤は通常ガス吸着剤として用いられているものでよく、その代表的なものは活性炭である。
本発明で用いられる活性炭は、特に限定されず、例えば、木炭、コークス、ヤシガラ、天然繊維、ポリアクリロニトリル、レーヨン、フェノール樹脂などの合成樹脂、ピッチなどを原料として用い、慣用の方法で得られた活性炭が使用できる。また、活性炭の形態は、例えば、顆粒状、ペレット状、マカロニ状、球状、繊維状、ハニカム状などのいずれであってもよい。
【0011】
活性炭のうち、ハニカム状活性炭は、圧力損失が小さく、毒性ガスとの接触表面積が大きいので特に好ましい。
活性炭は種々の結合剤、例えば粘土鉱物などを含有していてもよく、その場合活性炭含量が約30重量%以上のものであれば使用できる。
前記活性炭のBET比表面積は、通常、200〜4000m2/g、好ましくは400〜3500m2/g、特に好ましくは500〜3000m2/gである。ハニカム状活性炭のBET比表面積は、通常、100〜2500m2/g、好ましくは200〜2000m2/g程度である。このような比表面積を有する活性炭を用いると、毒性ガスの除去能力を高めることができる。
【0012】
また、活性炭がハニカム状である場合、活性炭ハニカムのセル数は、100〜1000個/inch2、好ましくは150〜1000個/inch2程度である。このようなセル数を有するハニカム状活性炭を用いると、毒性ガスの除去能力を低下させることなく通気抵抗を小さくすることができる。ハニカム状活性炭は1個のハニカム状活性炭で形成されていてもよく、複数個のハニカムで形成されていてもよい。複数個のハニカム状活性炭は必要に応じて厚み方向とともに、縦および/又は横方向に配置してもよい。ハニカム状活性炭層の厚みは、毒性ガスの除去効率が低下しない範囲で選択でき、例えば、5mm以上、好ましくは7.5mm以上(例えば7.5〜2000mm程度)、さらに好ましくは10mm以上(例えば10〜1000mm程度)である。
【0013】
このような、薬品無担持活性炭でも、数種類の毒性ガス、例えば、神経ガス(例えばタブン、サリン、ソマン、VXなど)、マスタードガス(例えば、HD、HN−2、HN−3、ルイサイトなど)、クロルピクリン、催涙ガス(例えばクロロアセトフェノンなど)、火山性ガス(硫化水素、亜硫酸ガスなど)などを効率よく除去でき、シェルター内の空気は無毒、無臭で清浄な空間を容易に提供できるのも、本発明の特徴の一つでもある。
また、例えば、特殊な毒性ガスに対しては、次表の通り、ハロゲン、ハロゲン化合物、アルカリ、酸、重金属化合物、白金族元素化合物を活性炭に担持して用いる。
【0014】
【表1】
本発明において用いられるアルカリとしては、アルカリ金属の水酸化物、アルカリ土類金属の水酸化物、アルカリ金属の炭酸塩などが挙げられる。
また、酸としてはリン酸、硫酸などの無機酸、シュウ酸、クエン酸、リンゴ酸などの有機酸が挙げられる。
【0015】
本発明において用いられるハロゲンとしては、ヨウ素、臭素など、ハロゲン化物としては、アルカリ金属のヨウ化物、アルカリ土類金属のヨウ化物、臭化物などが挙げられる。
本発明において用いられる白金族元素としては、白金、イリジウム、オスミウム、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、金が挙げられ、重金属としては、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Agが挙げられる。
これら薬品の活性炭への担持方法は、アルカリ、ハロゲン化合物、酸などの水に可溶な薬品は、水溶液で、活性炭に散布するか、浸漬するなどの方法で担持させ、必要に応じて、乾燥、焼成する。これら薬品の活性炭への担持量は0.1〜25wt%、好ましくは、0.2〜20wt%である。
【0016】
担持薬品として、ハロゲンを用いる場合は、ハロゲン化物の水溶液に溶解させ、担持するか、固体、液体又は気体状のハロゲンをそのままの形で担持させる。ハロゲンの活性炭への担持量は、0.5〜15wt%好ましくは1〜10wt%である。
担持薬品として、重金属化合物を用いる場合は、水溶性の重金属塩(硝酸塩、硫酸塩、アンモニウム塩など)を、水に溶解し、活性炭に散布、又は浸漬した後、乾燥し、必要に応じて焼成する。重金属の活性炭の担持量は0.5〜15wt%、好ましくは1〜10wt%である。担持薬品として、白金族元素化合物を用いる場合は、白金族元素化合物を塩酸、ヨウ水素酸、臭化水素酸、フッ酸、硝酸、などの水溶液に溶解し、活性炭に散布、浸漬した後、乾燥し、必要に応じて焼成する。白金族元素の活性炭への担持量は、0.05〜10wt%、好ましくは0.1〜7.5wt%である。毒性がスの種類によって、薬品無担持活性炭と1種類以上の薬品担持活性炭とを組み合わせることができる。
【0017】
活性炭および薬品担持活性炭に対する毒性ガスの含有空気の線流速は、1〜400cm/秒、好ましくは、5〜300cm/秒、より好ましくは10〜200cm/秒であり、空間速度は20〜500,000/時、好ましくは、50〜250,000/時、より好ましくは100〜150,000/時である。
特に、ハニカム状活性炭は、ガスの接触効率が非常に良好で、かつ圧力損失が非常に小さいので、ハニカム状活性炭に対する毒性ガス含有空気の線流速および空間速度は顆粒状、ペレット状、マカロニ状、球状、繊維状活性炭に比べて大きくすることができ、ユニットをコンパクトにでき、本簡易シェルターに最適である。
本発明に用いられる殺菌作用のある除去剤としては、通常の殺菌フィルターが使用できる。これらの殺菌フィルターとしては、例えばヨウ素担持活性炭フィルター、酵素担持活性炭フィルター、酵素担持ヘパフィルターなどが用いられる。これら薬品担持用活性炭フィルターとしては、ハニカム状活性炭フィルター、繊維状活性炭フィルターが特に好ましい。
【0018】
【実施例】
実施例1
直径1.3m長さ20mの円筒状塩ビ製袋状シートの両端に直径1.3m長さ150mm、厚み10mmのFRP製のゲートを取り付けた。二つのゲートの両面のうち、片面は全面開放型、片方は全面閉鎖型である。また、この二つのゲートのうち、一つは、人が出入できる扉(50cm×50cm)と空気が排出できる逆流防止弁付ギャラリーが取り付けられている。他の一つのゲートは空気導入口が取り付けられている。
この空気導入口の上流側には、送風機とハニカム状活性炭ユニットが配置され、前記ゲートの空気導入口と連結される。毒性ガスを除去した空気を送風機により円筒状塩ビシートに導入する。送風機は3〜10m3/分の送風能力があり、ハニカム状活性炭ユニットは150mm×150mm×30mmのハニカム状活性炭A(BET比表面積850m2/gセル数300個/inch2)を平面状に4個並べて、これらを6層にしたものが積層されている。
送風機を稼働させると、空気が約5m3/分で塩ビ製袋状シートに導入され、約5分で完全に膨らみ、円周4m、長さ20mの円筒袋状シート(約20名収容可能)が完成した。
この状態で、送風機の吸引側の空気を作戦用毒性ガスとして使用されているクロロアセトフェノン0.2ppm含有の空気に切り替え、このテストを3週間継続したところ、塩ビシートのトンネル内は無臭、無毒の清浄な空間が保たれた。
【0019】
実施例2
実施例1において、ハニカム状活性炭Aの代わりに、このハニカム状活性炭Aにヨウ化カリを1.5重量%添着したものを用い、さらに、クロロアセトフェノン含有空気の代わりに亜硫酸ガス0.5ppmおよび硫化水素0.1ppm含有空気(三宅島における火山性有害ガスの代表値)を用いて実施例1と同様のテストを行った。このテストを3週間継続しても、塩ビシートの袋内は、無臭無害の清浄な空間が確保されていた。
【0020】
【発明の効果】
本発明の毒性ガス用簡易シェルターは、不用時袋状シート部分は折り畳んで小型化して収納しておくことができ、用持袋内に毒性ガス除去空気を導入することにより袋を膨らませ、迅速に毒性ガスに対するシェルターとすることができる。この簡易シェルターは、制作費が少なくて済み、運搬、移動も容易に行うことができる。特に、戦場、テロ現場、有毒ガスを扱う化学工場事故現場、火山噴火現場などに搬送し、有害なガスから人体を守るために使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】、簡易シェルターの縦断面図である。
【符号の説明】
1 毒性ガス含有空気吸入口
2 送風機
3 毒性ガス除去装置
4 無臭無毒化空気導入管
5 FRPゲート
6 シェルター本体
7 樹脂製シート
8 空気排出口
9 人の出入口
【発明の属する技術分野】
本発明は人体を毒性ガスや病原体から守るための簡易シェルターに関する。
【0002】
【従来の技術】
化学兵器、生物兵器などの毒性ガスや病原体から人体を守るための空間として、建築物や地下室が用いられている。しかしながら、これら建築物や地下室は、製作するのに多大の時間と経費がかかり、また、移動させることが困難である。
たとえば、特許文献1には吸着剤やフィルターを用いた火災時の緊急避難用耐熱シェルター構造が記載されているが、これは持ち運びのできないもので、且つ毒性ガスや病原体に対するものではない。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−34848号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、不用時は折り畳んで小型化し、移動が可能な状態で収納することができ、用時袋内に毒性ガス成分を除去した空気を導入することにより袋を膨らませ、迅速に毒性ガス(病原体含有ガスを含む。)に対処することができる簡易シェルターを提供することにある。さらに、制作費が少なくて済み、運搬、移動も容易に行うことができる毒性ガス簡易シェルターを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、空気中の毒性ガスや病原菌を活性炭や殺菌フィルターで除去した後、樹脂製袋状シートに導入し、導入した空気により膨らんで、例えば円筒状、楕円体状、蒲鉾状、立方体状、直方体状、または三角柱状などの空間を作ることによって、経費もあまりかけずに容易に製作でき、かつ移動可能な、簡易毒ガスシェルターを提供できることを見出し、本発明を完成した。
【0006】
すなわち、本発明は、
(1)空気中の毒性ガス成分を除去剤で除去した空気の導入口、袋内部の空気を外部に排出する排気口、及び密閉可能に取り付けられた人の出入り口を備えた樹脂製袋状シートからなる毒性ガス簡易シェルター、
(2)空気を充満した状態の袋内部空間の縦断面積が0.5m2以上で、かつ長さが1m以上である(1)記載の毒性ガス簡易シェルター、
(3)除去剤が活性炭である(1)記載の毒性ガス簡易シェルター、
(4)活性炭が薬品無担持活性炭である(3)記載の毒性ガス簡易シェルター、
(5)活性炭が薬品担持活性炭である(3)記載の毒性ガス簡易シェルター、
(6)活性炭がハニカム状活性炭である(3)記載の毒性ガス簡易シェルター、
(7)除去剤が殺菌作用を有するものである(1)記載の毒性ガス簡易シェルターおよび
(8)自家発電機、太陽電池及び燃料電池の少なくとも1種を電源として使用する空気導入用の送風機を備えた(1)記載の毒性ガス簡易シェルター、
である。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明で用いられるシートは、樹脂製袋状シートであって、可撓性、難透気性のものが好ましい。シートの材質は、例えばポリエチレン製、ポリエステル製、塩化ビニル製、フッ化ビニル製など一般的に可撓性、難透気性のシートとして使用されているものである。シートの厚みは例えば0.1〜数mm程度が適当である。シートは繊維補強されているものがより好ましい。
これらシートは、大きな袋状で、空気を供給することによって膨らみ、例えば球状、楕円体状、蒲鉾状、立方体状、直方体状、四面体状、多角柱状など、一人以上の人を収容するに十分な大きさの空間を確保しうるものが望ましい。
これら形状物の断面および長さは、内部に収容する人数によって異なるが、例えば断面積が0.5m2以上、長さ1m以上、好ましくは断面積が1m2以上、長さ2m以上のものである。
なお、これら形状物は、球状、楕円体状、蒲鉾状、立方体状、直方体状、四面体状、多角柱状などの形状に保つため、簡単な骨組を必要とすることもあるが、空気が形状物の内部を流れており、常に陽圧になっているので中間には何らの保持具または支持具がなくてもよい。骨組みの材質としては、木材、FRPやアルミ合金など、軽量で耐久性のあるものが好ましい。
【0008】
袋の上流側には、袋内に空気を導入する送風機と、空気中の毒性ガスを除去するための除去剤層等が装備されている。送風機と除去剤層は、ユニットとして一体化した構造のものであることが望ましい。また一体化したユニットとすることによって、本発明の特長の一つである簡易シェルターの移動や設営が容易となる。なお、袋状シート内の空気の流速は、通常0.005〜0.15m/秒程度である。
【0009】
排気口は、袋状シートのどの部分に設けても良いが、気体導入口からなるべく離れた位置に設置するのが良い。排出口は、外部からの気体の流入を防ぐための逆流防止弁や、フィルターなどを備えていても良い。
人の出入り口は袋のどの部分に設けてもよいが、例えば袋を膨らませた際、袋の側面に相当する辺りに少なくとも一カ所設けるのが良く、また人の出入りのないときは気密性の扉やファスナーなど、密閉できる手段により取り付けるのが良い。
使用時の袋状シート内部は、毒性ガスが人の出入口や排気口などから内部に流入してこないように常に陽圧が保たれるよう吸気量及び排気量を調節することが望ましい。
【0010】
毒ガス除去剤は通常ガス吸着剤として用いられているものでよく、その代表的なものは活性炭である。
本発明で用いられる活性炭は、特に限定されず、例えば、木炭、コークス、ヤシガラ、天然繊維、ポリアクリロニトリル、レーヨン、フェノール樹脂などの合成樹脂、ピッチなどを原料として用い、慣用の方法で得られた活性炭が使用できる。また、活性炭の形態は、例えば、顆粒状、ペレット状、マカロニ状、球状、繊維状、ハニカム状などのいずれであってもよい。
【0011】
活性炭のうち、ハニカム状活性炭は、圧力損失が小さく、毒性ガスとの接触表面積が大きいので特に好ましい。
活性炭は種々の結合剤、例えば粘土鉱物などを含有していてもよく、その場合活性炭含量が約30重量%以上のものであれば使用できる。
前記活性炭のBET比表面積は、通常、200〜4000m2/g、好ましくは400〜3500m2/g、特に好ましくは500〜3000m2/gである。ハニカム状活性炭のBET比表面積は、通常、100〜2500m2/g、好ましくは200〜2000m2/g程度である。このような比表面積を有する活性炭を用いると、毒性ガスの除去能力を高めることができる。
【0012】
また、活性炭がハニカム状である場合、活性炭ハニカムのセル数は、100〜1000個/inch2、好ましくは150〜1000個/inch2程度である。このようなセル数を有するハニカム状活性炭を用いると、毒性ガスの除去能力を低下させることなく通気抵抗を小さくすることができる。ハニカム状活性炭は1個のハニカム状活性炭で形成されていてもよく、複数個のハニカムで形成されていてもよい。複数個のハニカム状活性炭は必要に応じて厚み方向とともに、縦および/又は横方向に配置してもよい。ハニカム状活性炭層の厚みは、毒性ガスの除去効率が低下しない範囲で選択でき、例えば、5mm以上、好ましくは7.5mm以上(例えば7.5〜2000mm程度)、さらに好ましくは10mm以上(例えば10〜1000mm程度)である。
【0013】
このような、薬品無担持活性炭でも、数種類の毒性ガス、例えば、神経ガス(例えばタブン、サリン、ソマン、VXなど)、マスタードガス(例えば、HD、HN−2、HN−3、ルイサイトなど)、クロルピクリン、催涙ガス(例えばクロロアセトフェノンなど)、火山性ガス(硫化水素、亜硫酸ガスなど)などを効率よく除去でき、シェルター内の空気は無毒、無臭で清浄な空間を容易に提供できるのも、本発明の特徴の一つでもある。
また、例えば、特殊な毒性ガスに対しては、次表の通り、ハロゲン、ハロゲン化合物、アルカリ、酸、重金属化合物、白金族元素化合物を活性炭に担持して用いる。
【0014】
【表1】
本発明において用いられるアルカリとしては、アルカリ金属の水酸化物、アルカリ土類金属の水酸化物、アルカリ金属の炭酸塩などが挙げられる。
また、酸としてはリン酸、硫酸などの無機酸、シュウ酸、クエン酸、リンゴ酸などの有機酸が挙げられる。
【0015】
本発明において用いられるハロゲンとしては、ヨウ素、臭素など、ハロゲン化物としては、アルカリ金属のヨウ化物、アルカリ土類金属のヨウ化物、臭化物などが挙げられる。
本発明において用いられる白金族元素としては、白金、イリジウム、オスミウム、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、金が挙げられ、重金属としては、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Agが挙げられる。
これら薬品の活性炭への担持方法は、アルカリ、ハロゲン化合物、酸などの水に可溶な薬品は、水溶液で、活性炭に散布するか、浸漬するなどの方法で担持させ、必要に応じて、乾燥、焼成する。これら薬品の活性炭への担持量は0.1〜25wt%、好ましくは、0.2〜20wt%である。
【0016】
担持薬品として、ハロゲンを用いる場合は、ハロゲン化物の水溶液に溶解させ、担持するか、固体、液体又は気体状のハロゲンをそのままの形で担持させる。ハロゲンの活性炭への担持量は、0.5〜15wt%好ましくは1〜10wt%である。
担持薬品として、重金属化合物を用いる場合は、水溶性の重金属塩(硝酸塩、硫酸塩、アンモニウム塩など)を、水に溶解し、活性炭に散布、又は浸漬した後、乾燥し、必要に応じて焼成する。重金属の活性炭の担持量は0.5〜15wt%、好ましくは1〜10wt%である。担持薬品として、白金族元素化合物を用いる場合は、白金族元素化合物を塩酸、ヨウ水素酸、臭化水素酸、フッ酸、硝酸、などの水溶液に溶解し、活性炭に散布、浸漬した後、乾燥し、必要に応じて焼成する。白金族元素の活性炭への担持量は、0.05〜10wt%、好ましくは0.1〜7.5wt%である。毒性がスの種類によって、薬品無担持活性炭と1種類以上の薬品担持活性炭とを組み合わせることができる。
【0017】
活性炭および薬品担持活性炭に対する毒性ガスの含有空気の線流速は、1〜400cm/秒、好ましくは、5〜300cm/秒、より好ましくは10〜200cm/秒であり、空間速度は20〜500,000/時、好ましくは、50〜250,000/時、より好ましくは100〜150,000/時である。
特に、ハニカム状活性炭は、ガスの接触効率が非常に良好で、かつ圧力損失が非常に小さいので、ハニカム状活性炭に対する毒性ガス含有空気の線流速および空間速度は顆粒状、ペレット状、マカロニ状、球状、繊維状活性炭に比べて大きくすることができ、ユニットをコンパクトにでき、本簡易シェルターに最適である。
本発明に用いられる殺菌作用のある除去剤としては、通常の殺菌フィルターが使用できる。これらの殺菌フィルターとしては、例えばヨウ素担持活性炭フィルター、酵素担持活性炭フィルター、酵素担持ヘパフィルターなどが用いられる。これら薬品担持用活性炭フィルターとしては、ハニカム状活性炭フィルター、繊維状活性炭フィルターが特に好ましい。
【0018】
【実施例】
実施例1
直径1.3m長さ20mの円筒状塩ビ製袋状シートの両端に直径1.3m長さ150mm、厚み10mmのFRP製のゲートを取り付けた。二つのゲートの両面のうち、片面は全面開放型、片方は全面閉鎖型である。また、この二つのゲートのうち、一つは、人が出入できる扉(50cm×50cm)と空気が排出できる逆流防止弁付ギャラリーが取り付けられている。他の一つのゲートは空気導入口が取り付けられている。
この空気導入口の上流側には、送風機とハニカム状活性炭ユニットが配置され、前記ゲートの空気導入口と連結される。毒性ガスを除去した空気を送風機により円筒状塩ビシートに導入する。送風機は3〜10m3/分の送風能力があり、ハニカム状活性炭ユニットは150mm×150mm×30mmのハニカム状活性炭A(BET比表面積850m2/gセル数300個/inch2)を平面状に4個並べて、これらを6層にしたものが積層されている。
送風機を稼働させると、空気が約5m3/分で塩ビ製袋状シートに導入され、約5分で完全に膨らみ、円周4m、長さ20mの円筒袋状シート(約20名収容可能)が完成した。
この状態で、送風機の吸引側の空気を作戦用毒性ガスとして使用されているクロロアセトフェノン0.2ppm含有の空気に切り替え、このテストを3週間継続したところ、塩ビシートのトンネル内は無臭、無毒の清浄な空間が保たれた。
【0019】
実施例2
実施例1において、ハニカム状活性炭Aの代わりに、このハニカム状活性炭Aにヨウ化カリを1.5重量%添着したものを用い、さらに、クロロアセトフェノン含有空気の代わりに亜硫酸ガス0.5ppmおよび硫化水素0.1ppm含有空気(三宅島における火山性有害ガスの代表値)を用いて実施例1と同様のテストを行った。このテストを3週間継続しても、塩ビシートの袋内は、無臭無害の清浄な空間が確保されていた。
【0020】
【発明の効果】
本発明の毒性ガス用簡易シェルターは、不用時袋状シート部分は折り畳んで小型化して収納しておくことができ、用持袋内に毒性ガス除去空気を導入することにより袋を膨らませ、迅速に毒性ガスに対するシェルターとすることができる。この簡易シェルターは、制作費が少なくて済み、運搬、移動も容易に行うことができる。特に、戦場、テロ現場、有毒ガスを扱う化学工場事故現場、火山噴火現場などに搬送し、有害なガスから人体を守るために使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】、簡易シェルターの縦断面図である。
【符号の説明】
1 毒性ガス含有空気吸入口
2 送風機
3 毒性ガス除去装置
4 無臭無毒化空気導入管
5 FRPゲート
6 シェルター本体
7 樹脂製シート
8 空気排出口
9 人の出入口
Claims (8)
- 空気中の毒性ガス成分を除去剤で除去した空気の導入口、袋内部の空気を外部に排出する排気口及び密閉可能に取り付けられた人の出入り口を備えた樹脂製袋状シートからなる毒性ガス簡易シェルター。
- 空気を充満した状態の袋内部空間の縦断面積が0.5m2以上で、かつ長さが1m以上である請求項1記載の毒性ガス簡易シェルター。
- 除去剤が活性炭である請求項1記載の毒性ガス簡易シェルター。
- 活性炭が薬品無担持活性炭である請求項3記載の毒性ガス簡易シェルター。
- 活性炭が薬品担持活性炭である請求項3記載の毒性ガス簡易シェルター。
- 活性炭がハニカム状活性炭である請求項3記載の毒性ガス簡易シェルター。
- 除去剤が殺菌作用を有するものである請求項1記載の毒性ガス簡易シェルター。
- 自家発電機、太陽電池及び燃料電池の少なくとも1種を電源として使用する空気導入用の送風機を備えた毒性ガス簡易シェルター。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003121346A JP2004321536A (ja) | 2003-04-25 | 2003-04-25 | 毒性ガス簡易シェルター |
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JP2003121346A JP2004321536A (ja) | 2003-04-25 | 2003-04-25 | 毒性ガス簡易シェルター |
Publications (1)
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ID=33499949
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Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2004321536A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005246374A (ja) * | 2004-02-06 | 2005-09-15 | Jcn:Kk | 吸着剤および脱臭装置 |
JP5327401B1 (ja) * | 2013-02-28 | 2013-10-30 | 山口 忠政 | シェルター換気システム、シェルター換気システムで使用する壁ユニット、シェルター換気システムを使用したシェルター、シェルター換気システムの構築方法 |
JP2015509824A (ja) * | 2012-03-14 | 2015-04-02 | 日本碍子株式会社 | 膜分離用前処理装置、膜分離システム及び膜分離方法 |
-
2003
- 2003-04-25 JP JP2003121346A patent/JP2004321536A/ja active Pending
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