JP2005246339A - ナノ粒子製造方法及びナノ粒子製造装置 - Google Patents

ナノ粒子製造方法及びナノ粒子製造装置 Download PDF

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村田正義
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Abstract

【課題】粒子直径が100nm級以下の金属及び酸化物等ナノ粒子の製造分野において、量産化対応が可能なナノ粒子製造技術、即ち回収率が30%級以上で、かつ分散性の高いナノ粒子の製造装置及び方法を提供すること。
【解決手段】ナノ粒子の原料を蒸発させて該蒸発物質を堆積させた後、ナノ粒子を採集するナノ粒子製造方法および装置において、原料蒸発装置を堆積装置で囲繞するとともに、該堆積装置の温度を一様に、かつ常温になるように制御することにより、熱泳動力現象を利用したナノ粒子の回収率向上を図ること。また、アンテナ電極の設置により、水素及び酸素等の反応性ガスをプラズマ化して活性種を発生させ、該蒸発物質のナノ粒子形成過程における不純物の結合手を終端させることにより、ナノ粒子の分散性を向上させることを特徴とする。
【選択図】図5

Description

本発明は、金属及び酸化物等の固体原料を電気抵抗加熱方式、熱プラズマ方式、電子ビーム方式、イオンプレーテイング法及びレーザアブレーション方式等により加熱蒸発させて金属ナノ粒子及び酸化物ナノ粒子等を製造する方法および装置に関する。
粒径が100nmより小さい粒子と定義されているナノ粒子に係わる新技術は、21世紀をリードするキーテクノロジーと言われ注目されている。特に、医療・医薬品・バイオテクノロジー、エネルギー・環境、エレクトロニクスおよび材料等の分野では、量子サイズ効果による高機能性や新物性の出現等が期待されており、基礎・応用の両面より精力的に研究が実施されている。しかしながら、ナノ粒子を量産化する方法および装置は依然として、完成しておらず、実験室的な方法および装置に頼っている状況にある。ナノ粒子の各方面に亘る社会的ニーズに対応するには、高純度で粒径均一性の高いナノ粒子を量産化可能な製造技術を確立することが必要である。
従来、ナノ粒子を製造できる技術としては、真空蒸着法、熱プラズマ法およびレーザアブレーション法等がある。
真空蒸着法の代表例には、例えば特許文献1がある。熱プラズマ法の代表例には、例えば特許文献2が、レーザアブレーション法の代表例には、例えば特許文献3がある。
先ず、従来の真空蒸着法を代表して、特許文献1記載の真空蒸着法の装置および方法を、図15を参照して説明する。図15は特許文献1記載の真空蒸着法による超微粒子の製造装置の構成図である。符番102は真空槽の断面を示し、符番103はるつぼ、符番104はるつぼ103内に置かれた原材料、105はるつぼ103を加熱するヒータ、106は蒸発した原材料を回収する回収手段、107は回収手段を冷却する冷却装置である。101は真空ポンプ(図示していない)で、真空槽内102の真空引きに使われる。符番108は不活性ガスを噴出するノズルで、るつぼ103の外周に配置されている。符番109は排気孔で、真空槽102の天井に設置の回収手段106の周囲に配置される。
るつぼ103に原材料104を置き、ヒータ105を稼動させて原材料104を加熱していくと、固体から液体状になり、さらに加熱を続けると、気体化される。そうすると、気体化された原材料104−aはるつぼ103を離れ、真空槽102内に拡散する。上方に移動した原材料104−aは回収手段106にぶつかり、回収手段106に併設された冷却装置107で冷却された回収手段106上に凝結111する。他方、拡散により横方向や斜め上方へ移動する原材料104−aはノズル108より噴出した不活性ガスの流れ110にぶつかって跳ね返されて、上方に向かうことが期待される。
以上説明したように、特許文献1記載の真空蒸着法の装置および方法によれば、原材料104が無機物質の場合でも、有機物質の場合でも、上記不活性ガスの上流方向への流れによる原材料104−aの跳ね返り効果により高い回収率で回収されると考えられている。しかし、次の理由で困難と考えられる。すなわち、真空槽102内部は圧力が低いので、ノズル108より噴出した不活性ガスは該ノズル内径の10ないし20倍の距離で、内部圧力とほぼ等しくなり、該ガス噴出流の境界は不連続でなくなる。したがって、上記のように、原材料104−aがノズル108より噴出した不活性ガスの流れ110にぶつかって跳ね返される現象は発生しないと考えられる。
次に、従来の熱プラズマ法を代表して、特許文献2記載の熱プラズマ法の装置および方法を、図16を参照して説明する。図16は特許文献2記載の熱プラズマ法の装置の構成図である。図16において、製膜チャンバー201の上側にプラズマトーチ202でなる低圧高温プラズマ203を生成させる手段が設置してあると共に、製膜チャンバー201内には、前記プラズマトーチ202と対向させて、基板204のホルダとして、基板加熱ホルダ205が設置してある。前記プラズマトーチ202は、窒化ケイ素製の内管206と透明石英製の外管207の2重構造として構成され、内管206の上端部にバルブ208を介して不活性ガスの導入系209が接続されていると共に、内管206の下端が製膜チャンバー201内に開口させてある。また、外管207の外側には高周波コイル210が設置してあり、高周波コイル210には高周波電源211が接続してある。外管207の上下部外側には導入ポート207a,207bが設けられて、矢印212のように冷却水を流して外管207を冷却できるようになっている。
前記製膜チャンバー201は主バルブ213を介して排気系(図示していない)が接続されているもので、製膜チャンバー201内および前記内管206の内側を真空排気できるようになっている。このような製膜チャンバー201の内側には、シャッター214が前記プラズマトーチ202の下端開口部と基板加熱ホルダー205の間に開閉可能に設置してある。
そして、更に、前記プラズマトーチ202の下端開口部の下方にリング状のガス噴出ノズル215が設置してある。このガス噴出ノズル215にはバルブ218を介して活性ガスの導入系219が接続してある。前記不活性ガスの導入系209には、別の導入系220が合流させてあり、この導入系220より、不活性ガス中に、蒸着すべき粉末原料221を混入できるようになっている。
上記の装置において、YBaCuO超電導薄膜のプラズマフラッシユ蒸着が以下に説明する手順で実施されている。
主排気系を介して製膜チャンバー201内およびプラズマトーチ202の内管206内を真空(1E−4Torr、即ち1.33E−2Pa)に排気した後、不活性ガスの導入系209を通してアルゴンガスを10リットル/分の流量でプラズマトーチ202へ導入すると共に、ガス噴出ノズル215を通して活性ガスの導入系219より酸素ガスを0.5〜10リットル/分の流量で製膜チャンバー201へ導入して、製膜チャンバー201内の圧力を20Torr(2,666Pa)に調整する。
冷却水を矢印212のように流した状態で、高周波電源211をONにして高周波コイル210に高周波13.56MHz、10KWを印加すると、内管206の内部に低圧高温プラズマ203が生成する。
基板加熱ホルダー205に基板204をセットし、基板温度を750℃に保持した状態で、前記導入系220を通して0.5リットル/分の流量のアルゴンガスで、YBaCuO超電導粉(粒径、約1ミクロン)を微量ずつプラズマトーチ202に供給し、プラズマフレームが安定した状態で、シャッター214を開けて、基板204の表面にYBaCuO超電導薄膜を形成させる。製膜時間20分で、0.5〜1ミクロンの厚さのYBaCuO超電導薄膜がえられる。
以上説明したように、特許文献2記載の熱プラズマ法の装置および方法によれば、粒径約1ミクロンの原料粉体とアルゴンガス等のキャリアガスを混合して、プラズマトーチ202の高温プラズマ化で蒸発させると、超電導薄膜がえられるとのことである。しかしながら、ナノ粒子製造への応用例は見当たらない。また、ナノ粒子の大量生産を目的にした上記熱プラズマ法によるナノ粒子製造装置及び方法は見当たらない。
次に、従来のレーザアブレーション法を代表して、特許文献3記載のレーザアブレーション法の装置および方法を、図17を参照して説明する。図17は特許文献3記載のレーザアブレーション法の装置の構成図である。図17において、気密容器310は密閉された耐圧容器からなり、その内部が外部空間から遮断されている。この気密容器310には、真空ポンプ312が圧力調整器314(図示していない)を介し接続されており、真空ポンプ312が駆動することにより、気密容器310の内部を減圧状態とすることができる。また、通常、圧力検出器(図示せず)を設け、気密容器310内部の圧力を検出しておき、圧力調整器314を制御して気密容器310内部を所定の圧力に保持する。このため、気密容器310の内部は真空ポンプ312および圧力調整器314により所定の減圧状態にできる。
更に、気密容器310にはバルブ316、流量調整器318を介し、ガス源320が接続されている。したがって、気密容器310内部にガス源320からの所望のガスを所定流量ずつ導入することができる。気密容器310内部を所定のガス雰囲気状態に維持することもできる。
レーザ発振器330は所定のレーザ光332を射出するものであり、例えばパルスレーザを発振するエキシマレーザなどが用いられる。そして、レーザ光332は集光レンズ334(光学系)を通過した後、気密容器310に設けられた透過窓336を介し、気密容器310に導かれる。
一方、気密容器310内には、回転テーブル340が設けられており、この回転テーブル340に被照射物342が保持される。すなわち、回転テーブル340には、2次モータ344が固定されており、この2次モータ344の主軸に被照射物ホルダ346が固定されている。そして、この被照射物ホルダ346に被照射物342が固定される。したがって、集光レンズ334によって、レーザ光332を被照射物342に照射する場合、集光レンズ334における焦点距離の調整によって、被照射物342に照射されるレーザ光の照射パワー密度(エネルギー密度)を調整することができる。これによって、被照射物342から放射される放出物の量およびその組成、例えば多価イオンを含む放出物のイオン量や多価イオンの割合を制御できる。
なお、本発明においては、レーザ光を被照射物342に照射することにより、この雰囲気にプラズマを発生させるが、このプラズマ密度もレーザ光照射パワー密度の調整によって行うことができる。
また、被照射物342のレーザ照射による集中損傷を防ぐために、モータ344を駆動し、被照射物ホルダ346を回転させる。すなわち、被照射物ホルダ346を回転させることにより、被照射物342が回転し、集光レンズ334によって集光されたレーザ光は被照射物342各部に順次照射され、集中損傷を防ぐことができる。
また、回転テーブル340をその回転軸を中心に回転することにより、集光レンズ334からのレーザ光と被照射物342の角度を変更することができる。したがって、被照射物342から放出される放出物の飛散方向を制御することができる。
そして、気密容器310内の被照射物342に対向する位置には、基板ホルダ350が配置されており、この基板ホルダ350に膜が蒸着形成される基板352が装着される。
ここで、この実施例においては、基板352の前面側に蒸着手段としての選択透過手段である遮蔽板360が設けられている。この遮蔽板360には開口362(図示していない)が設けられており、被照射物342から放出された放出物をこの開口362を通過するもののみに限定することができる。つまり、放出物の流通される通路を空間的に限定し、所定の方向に放出された放出物を選択することができる。
したがって、基板352の表面に蒸着される物質は、被照射物342から開口362の方向に放出されたものだけに限定されることとなる。被照射物342から放出される放出物の成分は空間的に所定の分布があり、遮蔽板360の開口362の位置によって、所望の成分の放出物を選択することができ、これを基板352上に堆積することができる。
なお、被照射物ホルダ346および基板ホルダ350には温度制御装置370、372がそれぞれ付設されており、被照射物342および基板352の温度を所望のものに制御することができる。
具体例としては、次の条件により、タングステン膜が得られている。すなわち、被照射物342はタングステン(W),基板352はガラス、レーザ発振器330はKrFエキシマレーザ(波長249nm、パルス幅16nsec、パルスエネルギー250mJ)、レーザの繰り返し数は25Hz、被照射物342に対する照射パルス総数は30000パルス、被照射物342に対するレーザ照射面積は6E−3平方cm、モータ344の回転速度は20rpm、レーザ光332の被照射物342に対する入射角度は45°、被照射物342と基板352の温度は室温、気密容器310内の気圧は1E−5Torr以下、被照射物342と基板352との間隔は30mm、遮蔽板360を基板352に密着設置である。
以上説明したように、上記レーザアブレーション法では、レーザ光332を被照射物342上に集光して照射すれば、レーザ誘起プラズマが発生すると共に、被照射物342から被照射物の中性粒子、クラスタ、液滴粒子、微粒子、多価イオンを含むイオンおよび電子等からなる放出物が放出される。そして、放出された放出物は基板352上に堆積するのである。しかしながら、上記レーザアブレーション法のナノ粒子製造への応用例は見当たらない。また、ナノ粒子の大量生産を目的にした上記レーザアブレーション法によるナノ粒子製造装置及び方法は見当たらない。
特開2002−336686(第1図) 特公平7−47819(第1図、第2図) 特許番号 第2588971号(第1図)
医療・医薬品・バイオテクノロジー、エネルギー・環境、エレクトロニクスおよび材料等の各分野において、ナノ粒子製造方法及び製造装置に関する量産化技術に対するニーズは、年々強くなり、産業界のみならず、材料・化学・電気・応用物理等の学会においても精力的研究が実施されている。しかしながら、従来技術では、以下に述べるような課題が依然として存在していることから、上記ニーズへの対応が困難視されている。
従来技術、即ち前記真空蒸着法、熱プラズマ法及びレーザアブレーション法等の方法及び装置においては、蒸発源で生成されるナノ粒子を該蒸発源から回収手段近傍まで不活性ガスを用いて搬送し、該ガス中に浮遊のナノ粒子を濃度の勾配に基ずく拡散現象により該回収手段に堆積させている。しかしながら、従来の技術では、第1に、ナノ粒子製造の回収率即ち、投入されたナノ粒子原料からナノ粒子として回収できる割合(歩留まり)が10%以下と著しく低いという課題がある。また、第2に、製造されるナノ粒子の分散性が悪いこと、すなわちナノ粒子が数珠状に連なった形態で製造されやすいという課題がある。総合的に言い換えれば、回収率向上の困難性に関する本質的原因が依然として不明確、即ち量産化技術のキーポイントが不明確であることが問題である。
以上説明したように、従来の方法及び装置では、ナノ粒子製造における回収率の大幅な向上という第1の課題と分散性の向上という第2の課題がある。そこで、本発明は、上記第1及び第2の課題を解決するためになされたもので、回収率の高い、かつ高純度で分散性の良いナノ粒子製造装置を提供することを目的とする。
本発明者は、最近、上記第1の課題を解決するアイデイアを創出するに際し、次の事項がキーポイントであることを発見できた。
(1)前記真空蒸着法、熱プラズマ法及びレーザアブレーション法等の従来の方法及び装置における回収率の低いのは、蒸発源で生成されたナノ粒子の大部分が真空容器内に導入された不活性ガスの流れに乗って浮遊し、その流れに乗って下流側へ搬送されることに起因している。すなわち、従来技術によるナノ粒子製造での課題の原因は、搬送ガス中のナノ粒子の振舞い(運動学的性質)を無視した装置構成が採用されていることにある。
(2)具体的には、搬送ガス中のナノ粒子の振舞い(運動学的性質)の特徴は次の通りであるが、従来技術ではその特徴が活用されていない。即ち、粒径がガス分子の平均自由行程Lより小さい粒子には、気体の濃度差に起因する拡散力が圧力の高い側から低い側へ向かって働くとともに、粒子の断面積と温度勾配の積に比例する熱泳動力が高温度側から低温度側に向かって働くという現象がある。上記真空蒸着法、熱プラズマ法及びレーザアブレーション法等の従来の方法及び装置において用いられるAr、N2、O2、H2、CH4及びSiH4等の圧力及び温度の条件が、それぞれ、133Pa(1Torr)以下及び常温以上であれば、気体分子の平均自由行程Lは数ミクロン以上である。発明者のこれまでのアモルファスSi系及び微結晶Si系薄膜太陽電池製造用プラズマCVD装置の開発研究における経験上の知見によれば、上記ガス種で上記圧力及び温度条件であれば、温度勾配が1cm当たり10℃程度以上になると、気体の濃度差に起因する拡散力よりも熱泳動力が強くなり、該熱泳動力はナノ粒子の挙動を支配するようになる。なお、粒径が平均自由行程Lよりも非常に大きい場合は、粒子の断面積とガス速度の2乗との積に比例する流体力が働くことは公知である。
(3)したがって、上記第1の課題解決には、熱泳動力を活用することがアイデイアのキーポイントである。
さらに、本発明者は、最近、上記第2の課題を解決するアイデイアを創出するに際し、次の事項がキーポイントであることを発見できた。
(4)ナノ粒子原料が蒸発装置で蒸発し、その蒸発物質が堆積装置に堆積する際に、例えば金属ナノ粒子の鉄のナノ粒子をカーボン製の蒸発装置で蒸発し、堆積させる場合を考えると、次に説明するような問題となる現象が発生する。即ち、製造されたナノ粒子を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察すると、図11図示のように数珠状のナノ粒子が数多く見られる。これは次に述べるように、不純物の混入が原因と考えられる。図12において、図中符番32aで示す鉄の原子が隣接する鉄の原子と共有結合して形成されるサッカーボール状の構造をもつ鉄のナノ粒子に、真空容器内部の不純物例えば蒸発装置構成部材のカーボンヒータの炭素原子(原子価4)が図中符番34で示すように混入すると、混入した炭素の結合手4本中3本(原子価4のうち3価)は隣接する鉄と共有結合してサッカーボール状構造の鉄のナノ粒子形成に寄与する。しかし、残りの結合手1本(1価)は別のサッカーボール状構造の鉄のナノ粒子との結合に寄与する。その様子を概念的に図12に示す。その結果、図11に示すように、数珠状のナノ粒子33a、33bを形成することになると考えられる。
(5)上記(4)において、不純物のCを完全に除去できれば良いが、カーボンヒータを用いる限り、Cの完全除去は不可能に近い。
(6)上記真空容器内部の不純物混入によるサッカーボール状の構造の変化を抑制する手段として、上記不純物の炭素の4本の結合手の残り1本を原子価が1である活性種を供給することにより終端させることが考えられる。即ち、図13図示のように、結合手が4本の炭素原子34に例えば水素原子35を結合させると、炭素の4本の結合手の3本は鉄の原子と共有結合し、残り1本の結合手は水素原子35と共有結合する。その結果、不純物の炭素を含む鉄の原子32aで構成されるサッカーボール状のナノ粒子は他のサッカーボール状のナノ粒子と結合しないようになる。したがって、上記数珠状ナノ粒子の形成を抑制することは可能である。なお、このような分子構造の欠陥の修正手段は、アモルファスSi系及び微結晶Si系薄膜太陽電池製造用プラズマCVD装置の開発研究における経験上の知見によれば、容易に実現できることが明らかである。
(7)上記(6)の分子構造の欠陥の修正手段としては、原料を蒸発させる過程において、例えば水素ガスを導入し、それをプラズマ化してラデイカル種Hを発生させて、上記蒸発物質中の不純物の未結合手とラデイカル種Hとを化学反応させることにより実現可能である。
上記目的を達成する為に、本願の請求項1記載の発明は、排気系を備えた真空容器と、該真空容器にキャリアガスを供給するガス供給系と、ナノ粒子の原料を供給する原料供給系と、該原料を蒸発させる高熱面を有する蒸発装置と、該蒸発装置で蒸発した蒸発物質を堆積させる堆積面を有する堆積装置を具備し、前記蒸発装置で前記原料を蒸発させ、該蒸発物質を前記堆積装置に堆積させた後、該堆積物からナノ粒子を採集するナノ粒子製造方法において、前記蒸発装置を構成の高熱面の中央と前記堆積装置を構成の堆積面上の全ての点との距離を略一定とし、かつ該堆積面の温度が略一様で、かつ常温となるように該堆積面の構成部材の温度を冷却媒体で制御するようにしたことを特徴とする。
同様に上記目的を達成する為に、本願の請求項2記載の発明は、排気系を備えた真空容器と、該真空容器にキャリアガスを供給するガス供給系と、ナノ粒子の原料を供給する原料供給系と、該原料を蒸発させる高熱面を有する蒸発装置と、該蒸発装置で蒸発した蒸発物質を堆積させる堆積面を有する堆積装置を具備し、前記蒸発装置で前記原料を蒸発させ、該蒸発物質を前記堆積装置に堆積させた後、該堆積物からナノ粒子を採集するナノ粒子製造装置において、前記堆積装置を構成の堆積面が前記蒸発装置を構成の高熱面を囲繞するように配置されるという構造を有することを特徴とする。
同様に上記目的を達成する為に、本願の請求項3記載の発明は、請求項2において、前記堆積装置を構成の堆積面の形状が半球形であることを特徴とする。
同様に上記目的を達成する為に、本願の請求項4記載の発明は、請求項2において、前記堆積装置の堆積面が管材で構成されることを特徴とする。
同様に上記目的を達成する為に、本願の請求項5記載の発明は、請求項2ないし4において、前記真空容器を円板または矩形板の台座に半球形容器部材を固着した構造とし、該円板または矩形の台座の中心点位置に前記蒸発装置を構成の高熱面を配置するということを特徴とする。
同様に上記目的を達成する為に、本願の請求項6記載の発明は、請求項2ないし5において、前記キャリアガスを供給するガス供給系に加えて、前記真空容器に反応性ガスのH2,O2及びCH4等を供給する反応性ガス供給系を設置するとともに、該反応性ガスをプラズマ化するアンテナ形の電極を前記蒸発装置を構成の高熱面の近傍に設置することを特徴とする。
同様に上記目的を達成する為に、本願の請求項7記載の発明は、請求項2ないし6において、前記堆積装置を構成の堆積面と前記蒸発装置を構成の高熱面との間の平均的温度勾配が1cmあたり10℃以上であることを特徴とする。
請求項1のナノ粒子製造方法によれば、排気系を備えた真空容器と、該真空容器にキャリアガスを供給するガス供給系と、ナノ粒子の原料を供給する原料供給系と、該原料を蒸発させる高熱面を有する蒸発装置と、該蒸発装置で蒸発した蒸発物質を堆積させる堆積面を有する堆積装置を具備し、前記蒸発装置で前記原料を蒸発させ、該蒸発物質を前記堆積装置に堆積させた後、該堆積物からナノ粒子を採集するナノ粒子製造方法において、前記蒸発装置を構成の高熱面の中央と前記堆積装置を構成の堆積面上の全ての点との距離を略一定とし、かつ該堆積面の温度が略一様で、かつ常温となるように該堆積面の構成部材の温度を冷却媒体で制御するようにしたので、前記蒸発装置から放出される熱の流れの実質的な終点の位置を該堆積装置構成部材の堆積面の表面とすることが実現可能となる。その結果、熱泳動力現象を活用して、ナノ粒子及びナノ粒子形成物質を効果的に該堆積面に堆積することが可能となった。
即ち、蒸発装置でフラッシュ蒸発されて生成される蒸発物質は、空間的温度勾配の大きさに比例して働く熱泳動力により、熱流線に沿って、効率よく該堆積装置構成部材の堆積面に引きつけられ堆積し、採集される。真空容器内の圧力及び温度の条件が、それぞれ、133PA以下及び常温以上であれば、圧力勾配に依存して作用する拡散現象の力よりも熱泳動力が著しく強く作用する。このことは、蒸発装置がフラッシュ蒸発法で原料を蒸発させる場合、該原料はそのほぼ全てが粒径100nm級以下の蒸発物質になるので、粒径100nm級以下の粒子が容易に効率よく製造でき、ほぼ全て回収されるということを意味している。
したがって、従来困難視されていたナノ粒子の回収率向上が、簡単にかつ効果的に実現できる。即ち回収率の高いナノ粒子の量産化が実現できる。この効果は、医療・バイオテクノロジー、エネルギー・環境、エレクトロニクス及び材料等の各分野において、著しく大きい。
請求項2のナノ粒子製造方法によれば、排気系を備えた真空容器と、該真空容器にキャリアガスを供給するガス供給系と、ナノ粒子の原料を供給する原料供給系と、該原料を蒸発させる高熱面を有する蒸発装置と、該蒸発装置で蒸発した蒸発物質を堆積させる堆積面を有する堆積装置を具備し、前記蒸発装置で前記原料を蒸発させ、該蒸発物質を前記堆積装置に堆積させた後、該堆積物からナノ粒子を採集するナノ粒子製造装置において、前記堆積装置を構成の堆積面が前記蒸発装置を構成の高熱面を囲繞するように配置されるという構造を有するので、前記蒸発装置から放出される熱の流れの実質的な終点の位置を該堆積装置構成部材の堆積面の表面とすることが実現可能となる。その結果、熱泳動力現象を活用して、ナノ粒子及びナノ粒子形成物質を効果的に該堆積面に堆積することが可能となった。
即ち、該蒸発装置から前記真空容器空間に放出される熱エネルギーの流れは、実質的に該蒸発装置の高熱面を始点とし該堆積装置の堆積面を終点とする形態になる。その結果、蒸発装置でフラッシュ蒸発されて生成される粒径100nm級以下の蒸発物質は、空間的温度勾配の大きさに比例して働く熱泳動力により、熱流線に沿って、効率よく該堆積装置構成部材の堆積面に引きつけられ堆積し、採集される。真空容器内の圧力及び温度の条件が、それぞれ、133PA以下及び常温以上であれば、圧力勾配に依存して作用する拡散現象の力よりも熱泳動力が著しく強く作用する。このことは、粒径100nm級以下の粒子が容易に効率よく製造でき、かつほぼ全て回収されるということを意味している。
したがって、従来困難視されていたナノ粒子の回収率向上が、簡単にかつ効果的に実現できる。即ち回収率の高いナノ粒子の量産化が実現できる。この効果は、医療・バイオテクノロジー、エネルギー・環境、エレクトロニクス及び材料等の各分野において、著しく大きい。
請求項3のナノ粒子製造装置によれば、前記堆積装置を構成の堆積面の形状が半球形であるという構造を有しているので、請求項2記載のナノ粒子製造装置を応用するに際し、回収率の高いナノ粒子の量産化を実現する確実な手段としてその価値が高い。
請求項4のナノ粒子製造装置によれば、前記堆積装置の堆積面が管材で構成されるという構造を有するようにしたので、請求項2記載のナノ粒子製造装置を応用するに際し、回収率の高いナノ粒子の量産化を実現する確実な手段としてその価値が高い。
請求項5のナノ粒子製造装置によれば、前記真空容器を円板または矩形板の台座に半球形容器部材を固着した構造とし、該円板または矩形の台座の中心点位置に前記蒸発装置を構成の高熱面を配置するという構造を有するようにしたので、請求項2ないし4記載のナノ粒子製造装置を応用するに際し、回収率の高いナノ粒子の量産化を実現する確実な手段としてその価値が高い。
請求項6のナノ粒子製造装置によれば、前記キャリアガスを供給するガス供給系に加えて、前記真空容器に反応性ガスのH2,O2及びCH4等を供給する反応性ガス供給系を設置するとともに、該反応性ガスをプラズマ化するアンテナ形の電極を前記蒸発装置を構成の高熱面の近傍に設置するという構成を有するので、回収率の向上のみならず分散性の向上が実現できるようになり、請求項2ないし5記載のナノ粒子製造装置を応用するに際し、回収率の高い、かつ分散性の良いナノ粒子の量産化を実現する確実な手段としてその価値が高い。
請求項7のナノ粒子製造装置によれば、前記堆積装置を構成の堆積面と前記蒸発装置を構成の高熱面との間の平均的温度勾配が1cmあたり10℃以上であるという構成を有するので、熱泳動力現象のナノ粒子回収率向上への応用が可能となり、請求項2ないし6記載のナノ粒子製造装置を応用するに際し、回収率の高い、かつ分散性の良いナノ粒子の量産化を実現する確実な手段としてその価値が高い。
以下、本発明の実施例に係わるナノ粒子製造装置及びナノ粒子製造方法について、図面を参照して説明する。なお、以下の説明では、ナノ粒子製造装置及びナノ粒子製造方法の一例として、材料が金属である鉄のナノ粒子を製作する装置および方法が記載されているが、本願の発明対象が下記の例の装置及び方法に限定されるものではない。
(実施例1)
図1及び図2を参照して、実施例1のナノ粒子製造装置について説明する。そして、製造されるナノ粒子の特徴の概念を示す説明に、図9ないし図14を用いる。図1は実施例1に係わるナノ粒子製造装置の構成図、図2は図1に示した装置の内部における熱の流線を示す説明図である。図9及び図11は、透過型電子顕微鏡(TEM)で観察された粒径40〜50nm程度の鉄のナノ粒子の概念図で、それぞれ分散性の良い例及び数珠状に繋がっている典型例を示す説明図である。図10はサッカーボール状の構造をもつナノ粒子の概念を示す説明図である。図12は数珠状に繋がったナノ粒子の構造の概念を示す説明図である。
先ず、装置の構成を説明する。図1において、符番1aは真空容器本体、符番1bは真空容器上蓋で、第1のフランジ17及び第2のフランジ18で接合されている。なお、第1及び第2のフランジ17、18の接合部には、図示しない真空シール機能のあるオーリングが設置されており、これにより真空容器本体1a及び真空容器上蓋1bの内部の真空が保たれている。真空容器1a、1bの内部には後述の蒸発装置2が設置される。また、真空容器上蓋1bの大気側には、後述の冷却管15が密着されている。
符番2は蒸発装置で、後述の粉末原料をフラッシュ法で蒸発させる機能がある。なお、ここで言うフラッシュ法とは粉末原料を蒸発装置2に少量ずつ噴きつけて、瞬間的に蒸発させる方法である。符番11は粉末原料供給装置で、所望のナノ粒子の材料である粉末原料を供給するもので、後述の不活性ガス供給管12a、12b、12c、12d、真空フランジ14及び第4のバルブ13と組み合わせて用いられる。なお、粉末原料を供給量は1分間当たり数gの微量であり、上記蒸発装置2及び後述のヒータ3との組み合わせにて、フラッシュ蒸発を発生させられるように調整される。符番3はヒータで上記蒸発装置2を1000℃ないし2000℃程度の範囲で任意の温度に加熱する。その温度は、予め、蒸発装置2の温度と後述の電源5の出力の関係について予備試験にてデータを取得しておき、そのデータを基に、電源5の出力を調整することにより設定される。観測窓を設置しておき、輻射温度計で測定しても良い。なお、例えば、蒸発装置2の材料を炭素(黒鉛)とし、蒸発装置を発熱抵抗体にして、電力供給線にタングステン、タンタル、あるいはモリブテンを用いても良い。符番4は真空用電流端子でヒータ3を加熱するための電力を伝送する。符番5は電源でヒータ3に、真空用電流端子4を介して、加熱用電力を供給する。符番6は断熱支持材で、蒸発装置2を真空容器本体1aと距離をおいて、支持する。なお、その材料はアルミナ等のセラミックス絶縁物である。
符番15は冷却管で、真空容器上蓋1bの大気側に密着されている。冷却管15の温度は、後述の冷媒流入管16aを介して流入して冷媒流出管16bを介して流出する冷媒により制御される。なお、該冷媒の温度及び流量は図示しない冷媒供給装置により制御される。また、真空容器上蓋1b内壁の温度は、予め、熱電対温度計を用いて測定しておいた該温度と冷媒の流量及び温度との関係を示すデータを基に設定される。上記冷却管15の温度は、冷媒の温度を制御することにより常温近傍の範囲において、任意に設定される。真空容器上蓋1b内壁の温度は、冷媒流入管16aより流入の冷媒に水を用いた場合、蒸発装置2の温度が1000℃ないし1700℃において、40℃ないし100℃程度である。符番16aは冷媒流入口で、図示しない冷媒供給装置から冷媒を上記冷却管15に導入する。符番16bは冷媒流出口で、該冷媒を図示しない冷媒供給装置へ還流する。符番20は吊り金具で、真空容器上蓋1bを吊り上げる際に使用する。
図2において、符番21は熱の流れを示す熱の流線である。なお、図1図示の装置構成においては、図2に示すように、熱発生源の蒸発装置2の高熱面を出発し、真空容器上蓋1b内壁を介して冷却管15内部の冷媒に到達する。
該真空容器上蓋1bの寸法は、該真空容器上蓋1bと蒸発装置2の間の温度勾配を決める際のパラメータの一つであり、重要であるが、蒸発装置2の高熱面中心と真空容器上蓋1b内壁との距離を、10cmないし50cmの範囲、例えば、25cmとする。該距離が25cmであれば、後述のように蒸発装置2の発熱表面及び真空容器上蓋1b内壁の温度がそれぞれ、1600℃及び60℃である場合、蒸発装置2の高熱面中心と真空容器上蓋1b内壁との間の平均的温度勾配は1cm当たり62℃となる。平均的温度勾配を1cm当たり60℃に設定する理由は次の通りである。
プラズマCVD装置を利用する分野では、真空容器内部の気相中パーテイクル除去及び高品質Si系膜を製造における手法に熱泳動力の現象を用いることは非常識なことではない。その手法は、アモルファスSi系及び微結晶Si系薄膜太陽電池製造用プラズマCVD装置の開発研究の実験において用いられる。本発明者もそのような経験が豊富にある。その経験的知見によると、発熱体と基板の間の平均的温度、即ち発熱体と基板の温度差を発熱体と基板の距離で除した値がほぼ1cmあたり10℃以上であれば、熱泳動力を利用するプラズマCVD装置内の微粒子除去手法が効果を十分に発揮する。好ましくは、1cmあたり50℃程度以上が良い。即ち、微粒子除去の効果を発揮させるには、微粒子除去の対象部材まわりの温度勾配を、1cm当たり10℃ないし50℃程度以上にすることが重要である。したがって、真空容器上蓋1bの寸法選定では、平均的温度勾配が1cm当たり62℃程度になるように設定する。
ここで、蒸発装置2から放出される熱エネルギーの流線を考えてみると、図1の装置構成によれば、蒸発装置2の熱エネルギーの大部分は真空容器上蓋1b外部部の冷却管15内部の冷媒が実質的に全て吸収するようになっている。すなわち、図2に示すように、熱の流線21は蒸発装置2の高熱面を始点に放射状に、真空容器上蓋1b内面を終点としている。また、上記蒸発装置2の高熱面及び真空容器上蓋1b内壁の温度は、それぞれ、1600℃及び60℃であるので、蒸発装置2の発熱表面中心と真空容器上蓋1b内壁との間の平均的温度勾配は1cm当たり62℃となる。平均的温度勾配が1cm当たり10ないし50℃程度以上であれば、熱泳動力の現象を効果的に活用できる。顕著な効果を期待するには、50℃程度以上が良い。
符番7a、7b、7cは第1、第2及び第3の真空ポンプで、それぞれ、真空容器内部のガスを排気する。なお、第1の真空ポンプ7aは、真空容器1a、1bの大気を排出すために用いられ、第2及び第3の真空ポンプ7b、7cは後述の不活性ガスを排出するために用いられる。また、図示しない真空計が設置されており、該真空計により、第1、第2及び第3の真空ポンプ7a、7b、7cは稼動させられる。符番8a、8b、8cは第1、第2及び第3のバルブで、それぞれ、第1、第2及び第3の真空ポンプ7a、7b、7cと真空容器本体1aの間の流路の開閉を行う。即ち、第1、第2及び第3のバルブ8a、8b、8cと第1、第2及び第3の真空ポンプ7a、7b、7cと第1、第2及び第3の排気管9a、9b、9cを組み合わせて使用することにより、真空容器内部の排気が行われる。
符番12a、12b、12c、12dは不活性ガス導入管で、後述の第4のバルブ13、図示しない不活性ガスボンベ及び粉末原料供給装置11と組み合わせて使用される。符番13は第4のバルブで、図示しない不活性ガスボンベから供給される不活性ガスと粉末原料供給装置11から供給される粉末原料との混合ガスを真空容器1a,1bの内部へ導入する際の開閉を行う。符番19は不活性ガス導入管12dより導入される不活性ガスの流線で、不活性ガスの主流を示す。なお、圧力が大気圧以下に減圧されると、不活性ガスの流れは真空容器1a,1bの内部全体に拡散して流れる。
次に、上記図1図示の構成を持つナノ粒子製造装置を用いて、粒径10〜100nm級の鉄のナノ粒子を製造する方法を説明する。図1において、予め、第2、第3及び第4のバルブ8b、8c、13を閉、第1のバルブ8aを開とし、第1の真空ポンプ7aを稼動させ、真空容器1a,1b内の大気及び不純物ガスを排気する。図示しない真空計で圧力を測定し、該圧力が1.0E−6Torr(1.33E−4Pa)程度に到達したら、冷却管15内の冷媒の温度を10ないし30℃に設定する。この場合、図示しない冷媒供給装置から、冷媒流入口16aを介して冷却管15へ冷媒としての水を1分間当たり10ないし40リットル、例えば1分間当たり15リットルを流す。冷却管15の内部を流れた水は冷媒流出口16bを介して、図示しない冷媒供給装置へ還流させる。この例では真空容器1b内壁の温度は約60℃以下に設定される。そして、電源5及びヒータ3を用いて、蒸発装置2の温度を鉄の融点1,535℃より高い1600℃に設定する。なお、温度設定には、上述したように予備試験で取得しているデータを基に電源5の出力を、例えば1.5KWに設定する。
上記冷却管15の冷媒による冷却を開始した後、該真空容器1a、1b内の圧力が1.0E−6Torr(1.33E−4Pa)程度に維持されていることを確認し、上記第1のバルブ8aを閉とする。そして、第2及び第3の真空ポンプ7b、7cを稼動させ、第2及び第3のバルフ8b、8cを開とする。
鉄の粉末原料の蒸発装置2への噴射は次のようにする。例えば直径数ミクロンの鉄粉末を粉末原料供給装置11から、不活性ガス供給管12a、12b、12c,12d及び第4のバルブ13と組み合わせて用いて、不活性ガス例えばアルゴンガスと混合して蒸発装置2に噴きつける。アルゴンガスの流量は、10〜100sccm程度、例えば30sccm、鉄の粉末原料の供給量は、1分間に数グラム程度、例えば1gとする。ここで、鉄の粉末原料の供給量を1分間に1gとした理由は、多量に供給すると、粒径100nm級以上の粒子が形成されるので、それを避けるためである。好ましくは、1桁下げて1分間に0.1g程度にすることが望ましい。真空容器内圧力は、0.05〜5Torr(6.65〜665Pa)程度で、例えば0.8Torr(107Pa)とする。
不活性ガス供給管12dより鉄粉末とアルゴンガスとの混合ガスが蒸発装置2に噴き付けられると、鉄粉末は1600℃の蒸発装置2に接し、あるいは近傍にて一瞬にして蒸発し、アルゴンガスと一緒に吹き飛ばされる。ここで蒸発された鉄粉末は、フラッシュ蒸発と呼ばれるように、大きさが100nm級以下のナノ粒子が支配的に発生する。したがって、数100nm以上のサイズの粒子は余り、存在しない。蒸発装置2で蒸発生成された100nm級以下の鉄粒子及び原子状鉄等のフラッシュ蒸発物質はキャリアガスのアルゴンガス分子との衝突があるので、アルゴンガスと混合した状態で、蒸発装置2の蒸発地点からガス分子気流19に乗って、第2及び第3の真空ポンプ7b、7cの方へ移動する。
ここで、蒸発装置2から放出される熱エネルギーの流線を考えてみる。真空容器1a、1b内空間で見ると、図2に示すように、熱の流線21は蒸発装置2の高熱面を始点に放射状に拡がり、真空容器上蓋1b内壁を終点としている。また、上記蒸発装置2の高熱面及び真空容器上蓋1b内壁の温度は、それぞれ、1600℃及び60℃程度であるので、蒸発装置2の蒸発面中心と真空容器上蓋1b内壁との間の平均的温度勾配は1cm当たり62℃程度となる。平均的温度勾配が1cm当たり10℃程度以上であれば、熱泳動力の現象を顕著に効果的に活用できる。1cm当たり50℃程度以上であれば、著しく顕著な効果がある。
上記熱の流線21の形態が真空容器上蓋1b内壁の表面を終点としていることは、熱泳動力により、蒸発装置2で蒸発生成された鉄粒子及び原子状鉄等の蒸発物質がすべて、真空容器上蓋1b内壁の表面に引きつけられるということを意味している。すなわち、蒸発生成された鉄粒子及び原子状鉄等の蒸発物質は、温度勾配に比例した熱泳動力により、熱の流線21に沿って移動して真空容器上蓋1b内壁に堆積する。なお、原子状鉄は化学的に活性なので、お互いに結合して結晶あるいは微結晶となるが、真空容器上蓋1b内壁の表面は温度が低いので膜には成長できず球状の粒子及び数珠状の粒子となる。また、アルゴンガスは不活性であるので、気体の状態で排出される。したがって、上記真空容器1aの圧力及び真空容器上蓋1b内壁の温度条件の下であれば、粒径10〜100nm級のシリコン粒子はその大部分が、温度勾配の高い道筋、即ち蒸発装置2の高熱面から真空容器上蓋1b内壁表面に向いた熱の流線21に沿って移動し、熱流線の終点の真空容器上蓋1b内壁に到達し、付着する。ナノ粒子の製造時間は、特に制限はないが、例えば数時間、2時間程度とする。
なお、上述の装置および方法では、粉末原料の供給量を少なくしてフラッシュ蒸発させることにより100nm級以下のナノ粒子を支配的に発生させ、かつそのナノ粒子を熱泳動力を活用して真空容器上蓋1b内壁に堆積させるようにしているので、従来困難視されていたナノ粒子の均一性の高い回収が可能であり、かつ回収効率の向上も実現できる。回収率としては、従来の5倍程度が可能である。上記例では従来の3倍程度が期待できる。
ナノ粒子の製造プロセスを一端終了させるには、上記状態において、第4のバルブ13を閉にする。そして、粉末原料供給装置11からの粉末供給を零にするとともに、電源5の出力を零にする。また、第2及び第3のバルブ8a、8bを閉にする。その後、図示しない大気戻し用リークバルブを開にして、真空容器1a、1b内の圧力を大気にする。そして、第1及び第2のフランジ17、18の接合部を分離する。その後、吊り金具20を用いて、図示しないクレーン設備で吊り上げる。真空容器上蓋1b内壁に付着したナノ粒子を刷毛で拭いてサンプル瓶に収納する。収納されるナノ粒子の形状及び大きさは、分解能が2〜3オングストローム級の透過型電子顕微鏡(TEM)で観察される。この場合、例えば図9及び図10に示すような分散性の良い鉄のナノ粒子及び分散性の悪い、例えば図11及び図12に示すような数珠状のナノ粒子が製造される。
即ち、図9において、符番31a、31bは2〜3オングストローム級の透過型電子顕微鏡(TEM)で観察された30〜50nm程度の鉄のナノ粒子を示しており、分散性の良い場合である。この場合は、図10に示すように、鉄の原子32a、32b隣接する鉄の原子と共有結合し、サッカーボール状のナノ粒子を形成しているものと考えられる。他方、図11はナノ粒子が個々にバラバラにならないで、隣り合うナノ粒子33a、33bが数珠状に連なっている様子を示している。この場合は、図12に示すように、サッカーボール状のナノ粒子を形成する鉄の原子32aの他に、例えば炭素原子34が混入し、炭素原子の4本の結合手(原子価4)のうち3本は鉄の原子と共有結合し、残り1本の結合手は別のサッカーボール状ナノ粒子に混入の炭素原子と供給結合しているもと考えられる。
なお、上記製造装置の操作条件中、特に圧力、不活性ガス流量、及び粉末粒子供給量および蒸発装置2の温度が重要なパラメータであるので、上記回収率をより一層高く、かつ高品質で粒径均一性の高い100nm級以下のシリコン粒子を製造するには、それぞれの最適値を予め、把握することが重要である。
以上説明したように、上記装置および方法によれば、フラッシュ蒸発で生成された100nm級以下のナノ粒子は、支配的に作用する熱泳動力により蒸発装置2の発熱表面を始点にして真空容器上蓋1b内壁の表面を終点とする熱の流線21に沿って移動する。その結果、100nm級以下の粒子は真空容器上蓋1b内壁に到達し、堆積する。このことは、高い回収率でナノ粒子を製造可能であることを示している。回収率としては、従来の5倍程度が可能である。上記例では従来の3倍程度が期待できる。
また、上記実施例1では、蒸発源として、電気抵抗加熱方式の装置を用いているが、これに限らず電子ビーム方式、熱プラズマ方式、レーザアブレーション方式を用いることもできる。
(実施例2)
図3及び図4を参照して、実施例2のナノ粒子製造装置及びナノ粒子製造方法について説明する。そして、製造されるナノ粒子の特徴の概念を示す説明に、図9ないし図12を用いる。図3は実施例2に係わるナノ粒子製造装置の構成図、図4は図3に示した装置の内部における熱の流線を示す説明図である。図9及び図11は、透過型電子顕微鏡(TEM)で観察された粒径40〜50nm程度の鉄のナノ粒子の概念図で、それぞれ分散性の良い例及び数珠状に繋がっている典型例を示す説明図である。図10はサッカーボール状の構造をもつナノ粒子の概念を示す説明図である。図12は数珠状に繋がったナノ粒子の構造の概念を示す説明図である。
先ず、装置の構成を説明する。図3図示のナノ粒子製造装置は、実施例1の説明における図1図示の冷却管15の設置場所を変更した構成を有する。図1図示のナノ粒子製造装置において、真空容器上蓋1bの大気側に設置されている冷却管15を真空容器上蓋1bの真空側の壁に設置した構造を有している。即ち、図3図示の装置の構成は、同図中冷却管15a以外は、図1図示の装置構成と同じである。したがって、ここでは、冷却管15aを主体に説明し、図1と重複する部材の説明は省略する。なお、図3において、図1及び図2と同部材は同符番を付している。
符番15aは冷却管で、真空容器上蓋1bの真空側の壁即ち内壁に密着されている。冷却管15aの温度は、冷媒流入管16aを介して流入して冷媒流出管16bを介して流出する冷媒により制御される。なお、該冷媒の温度及び流量は図示しない冷媒供給装置により制御される。また、冷却管15aの温度は、予め、熱電対温度計を用いて測定しておいた該温度と冷媒の流量及び温度との関係を示すデータを基に設定される。上記冷却管15aの温度は、冷媒流入管16aより流入の冷媒に水を用いた場合、蒸発装置2の温度が1000℃ないし1700℃において、60℃程度以下ある。符番22a、22bは、第1及び第2の冷却管導入フランジで、それぞれ、冷媒流入口16a及び冷媒流出口16bと冷却管15aを連結する。なお、真空漏れがない真空装置用の仕様を有する。
次に、上記図3図示の構成を持つナノ粒子製造装置を用いて、粒径10〜100nm級の鉄のナノ粒子を製造する方法を説明する。図3において、予め、第2、第3及び第4のバルブ8b、8c、13を閉、第1のバルブ8aを開とし、第1の真空ポンプ7aを稼動させ、真空容器1a,1b内の大気及び不純物ガスを排気する。図示しない真空計で圧力を測定し、該圧力が1.0E−6Torr(1.33E−4Pa)程度に到達したら、冷却管15aの温度を20ないし30℃に設定する。この場合、図示しない冷媒供給装置から、冷媒流入口16a及び第1の冷却管導入フランジ22aを介して冷却管15aへ冷媒としての水を1分間当たり10ないし40リットル、例えば1分間当たり15リットルを流す。冷却管15aの内部を流れた水は第2の冷却管導入フランジ22b及び冷媒流出口16bを介して、図示しない冷媒供給装置へ還流させる。この例では冷却管15aの温度は約60℃以下に設定される。そして、電源5及びヒータ3を用いて、蒸発装置2の温度を鉄の融点1,535℃より高い1600℃に設定する。なお、温度設定には、上述したように予備試験で取得しているデータを基に電源5の出力を、例えば1.5KWに設定する。
上記冷却管15aの冷媒による冷却を開始した後、該真空容器1a、1b内の圧力が1.0E−6Torr(1.33E−4Pa)程度に維持されていることを確認し、上記第1のバルブ8aを閉とする。そして、第2及び第3の真空ポンプ7b、7cを稼動させ、第2及び第3のバルフ8b、8cを開とする。
鉄の粉末原料の蒸発装置2への噴射は次のようにする。例えば直径数ミクロンの鉄粉末を粉末原料供給装置11から、不活性ガス供給管12a、12b、12c,12d及び第4のバルブ13と組み合わせて用いて、不活性ガス例えばアルゴンガスと混合して蒸発装置2に噴きつける。アルゴンガスの流量は、10〜100sccm程度、例えば30sccm、鉄の粉末原料の供給量は、1分間に数グラム程度、例えば1gとする。ここで、鉄の粉末原料の供給量を1分間に1gとした理由は、多量に供給すると、粒径100nm級以上の粒子が形成されるので、それを避けるためである。好ましくは、1桁下げて1分間に0.1g程度にすることが望ましい。真空容器内圧力は、0.05〜5Torr(6.65〜665Pa)程度で、例えば0.8Torr(107Pa)とする。
不活性ガス供給管12dより鉄粉末とアルゴンガスとの混合ガスが蒸発装置2に噴き付けられると、鉄粉末は1600℃の蒸発装置2に接し、あるいは近傍にて一瞬にして蒸発し、アルゴンガスと一緒に吹き飛ばされる。ここで蒸発された鉄粉末は、フラッシュ蒸発と呼ばれるように、大きさが100nm級以下のナノ粒子が支配的に発生する。したがって、数100nm以上のサイズの粒子は余り、存在しない。蒸発装置2で蒸発生成された100nm級以下の鉄粒子及び原子状鉄等のフラッシュ蒸発物質はキャリアガスのアルゴンガス分子との衝突があるので、アルゴンガスと混合した状態で、蒸発装置2の蒸発地点からガス分子気流19に乗って、第2及び第3の真空ポンプ7b、7cの方へ移動する。
ここで、蒸発装置2から放出される熱エネルギーの流線を考えてみる。真空容器1a、1b内空間で見ると、図4に示すように、熱の流線21は蒸発装置2の高熱面を始点に放射状に拡がり、冷却管15aを終点としている。また、上記蒸発装置2の高熱面及び冷却管15aの温度は、それぞれ、1600℃及び60℃程度であるので、蒸発装置2の高熱面中心と冷却管15aとの間の平均的温度勾配は1cm当たり62℃となる。平均的温度勾配が1cm当たり10℃以上であれば、熱泳動力の現象を効果的に活用できる。1cm当たり50℃程度以上であれば、著しく顕著な効果がある。
上記熱の流線21の形態が冷却管15aの表面を終点としていることは、熱泳動力により、蒸発装置2で蒸発生成された鉄粒子及び原子状鉄等の蒸発物質がすべて、冷却管15aの表面に引きつけられるということを意味している。すなわち、蒸発生成された鉄粒子及び原子状鉄等の蒸発物質は、温度勾配に比例した熱泳動力により、熱の流線21に沿って移動して冷却管15a表面に堆積する。なお、原子状鉄は化学的に活性なので、お互いに結合して結晶あるいは微結晶となるが、真空容器上蓋1b内壁の表面は温度が低いので膜には成長できず球状の粒子及び数珠状の粒子となる。また、アルゴンガスは不活性であるので、気体の状態で排出される。したがって、上記真空容器1a、1bの圧力及び冷却管15aの温度条件の下であれば、粒径10〜100nm級の鉄粒子はその大部分が、温度勾配の高い道筋、即ち蒸発装置2の発熱表面から冷却管15a表面に向いた熱の流線21に沿って移動し、熱流線の終点の冷却管15a表面に到達し、付着する。ナノ粒子の製造時間は、特に制限はないが、例えば数時間、2時間程度とする。
なお、上述の装置および方法では、粉末原料の供給量を少なくしてフラッシュ蒸発させることにより100nm級以下のナノ粒子を支配的に発生させ、かつそのナノ粒子を熱泳動力の活用により冷却管15a表面に堆積させるようにしているので、従来困難視されていたナノ粒子の均一性の高い回収が可能であり、かつ回収効率の向上も実現できる。回収率としては、従来の5倍程度が可能である。上記例では従来の3倍程度が期待できる。
ナノ粒子の製造プロセスを一端終了させるには、上記状態において、第4のバルブ13を閉にする。そして、粉末原料供給装置11からの粉末供給を零にするとともに、電源5の出力を零にする。また、第2及び第3のバルブ8a、8bを閉にする。その後、図示しない大気戻し用リークバルブを開にして、真空容器1a、1b内の圧力を大気にする。そして、第1及び第2のフランジ17、18の接合部を分離する。その後、吊り金具20を用いて、図示しないクレーン設備で吊り上げる。冷却管15a表面に付着したナノ粒子を刷毛で拭いてサンプル瓶に収納する。収納されるナノ粒子の形状及び大きさは、分解能が2〜3オングストローム級の透過型電子顕微鏡(TEM)で観察される。この場合、例えば図9及び図10に示すような分散性の良い鉄のナノ粒子及び分散性の悪い、例えば図11及び図12に示すような数珠状のナノ粒子が製造される。
即ち、図9において、符番31a、31bは2〜3オングストローム級の透過型電子顕微鏡(TEM)で観察された30〜50nm程度の鉄のナノ粒子を示しており、分散性の良い場合である。この場合は、図10に示すように、鉄の原子32a、32b隣接する鉄の原子と共有結合し、サッカーボール状のナノ粒子を形成しているものと考えられる。他方、図11はナノ粒子が個々にバラバラにならないで、隣り合うナノ粒子33a、33bが数珠状に連なっている様子を示している。この場合は、図12に示すように、サッカーボール状のナノ粒子を形成する鉄の原子32aの他に、例えば炭素原子34が混入し、炭素原子の4本の結合手(原子価4)のうち3本は鉄の原子と共有結合し、残り1本の結合手は別のサッカーボール状ナノ粒子に混入の炭素原子と供給結合しているもと考えられる。
なお、上記製造装置の操作条件中、特に圧力、不活性ガス流量、及び粉末粒子供給量および蒸発装置2の温度が重要なパラメータであるので、上記回収率をより一層高く、かつ高品質で粒径均一性の高い100nm級以下のシリコン粒子を製造するには、それぞれの最適値を予め、把握することが重要である。
以上説明したように、上記装置および方法によれば、フラッシュ蒸発で生成された100nm級以下のナノ粒子は、支配的に作用する熱泳動力により蒸発装置2の高熱面を始点にして冷却管15aの表面を終点とする熱の流線21に沿って移動する。その結果、100nm級以下の粒子は冷却管15aに到達し、堆積する。このことは、高い回収率でナノ粒子を製造可能であることを示している。回収率としては、従来の5倍程度が可能である。上記例では従来の3倍程度が期待できる。
また、上記実施例1では、蒸発源として、電気抵抗加熱方式の装置を用いているが、これに限らず電子ビーム方式、熱プラズマ方式、レーザアブレーション方式を用いることもできる。
(実施例3)
図5ないし図8を参照して、実施例3のナノ粒子製造装置及びナノ粒子製造方法について説明する。そして、製造されるナノ粒子の特徴の概念を示す説明に、図9ないし図14を用いる。図5は実施例3に係わるナノ粒子製造装置の構成図、図6は図5に示した装置の内部における熱の流線を示す説明図、図7は図5図示の装置の構成部材として用いられるプラズマ発生装置の第1の例の構成図及び図8は図5図示の装置の構成部材として用いられるプラズマ発生装置の第2の例の構成図である。図9及び図11は、透過型電子顕微鏡(TEM)で観察された粒径40〜50nm程度の鉄のナノ粒子の概念図で、それぞれ分散性の良い例及び数珠状に繋がっている典型例を示す説明図である。図10はサッカーボール状の構造をもつナノ粒子の概念を示す説明図である。図12は数珠状に繋がったナノ粒子の構造の概念を示す説明図である。図13及び図14は、それぞれ、アンテナ電極を用いた反応性ガスのプラズマ化によるナノ粒子の分散性の向上の概念を示す第1及び第2の説明図である。
先ず、装置の構成を図5ないし図8を参照して説明する。図5図示のナノ粒子製造装置の構成は、前述の実施例1の図1図示の構成を有するナノ粒子製造装置に、プラズマ発生装置を付加し、かつ、H2,O2およびCH4等の反応性ガスを供給する装置を付加したものである。即ち、図5図示の装置の構成は、図1図示の構成に、アンテナ電極26a、電流導入端子29a、29b、整合器28及び高周波電源27を付加し、かつ反応性ガス供給管12e付加している。なお、図5及び図6中の符番は、図1ないし図4と同部材は同符番を付している。
ここでは、説明の簡明化のため、第1及び第2のアンテナ電極26a、26b、電流導入端子29a、29b、29c、インピーダンス整合器28及び高周波電源27、並びに反応性ガス供給管12eを主体に説明し、図1中の部材と同じ部材の説明は省略する。
図5において、符番12eは反応性ガス供給管で、図示しない反応性ガスボンベより、H2,O2あるいはCH4等の反応性ガスを流量1〜50sccm程度供給する。なお、反応性ガス供給管12eは、前述の不活性ガス導入管12a、12b、12c、12dと組み合わせて用いられる。
図5及び図6において、符番26aは第1のアンテナ電極で、後述の高周波電源27より供給される高周波電力によって、真空容器1a,1b内部のガスをプラズマ化する。その構成の詳細を図7に示す。符番27は高周波電源で、周波数10MHz程度ないし300MHz程度の電力を発生し、負荷に供給する。ここでは、周波数13.56MHzで、電力出力は最大1000W程度の電源を用いる。なお、周波数を10MHz程度ないし300MHz程度にする理由は、周波数が高いことから、アンテナ電極でのプラズマ生成が容易であること及び電力伝送に簡便な同軸ケーブル30a、30b,30cが用いられ、かつ電力損失が小さいことによる。符番28はインピーダンス整合器で、高周波電源28の出力の上記アンテナ電極26aへの伝送における損失を最小限にするようにインピーダンスを整合させる。符番29a,29bは電流導入端子で、真空漏れを防ぎ、かつ高周波電力を伝送する。
図8は、上記図5中にある第1の電極に代えて用いられる第2のアンテナ電極を示す。図中の符番26bは第2のアンテナ電極で、上記第1のアンテナ電極26aと同様に、後述の高周波電源27より供給される高周波電力によって、真空容器1a,1b内部のガスをプラズマ化する。符番27は高周波電源で、周波数10MHz程度ないし300MHz程度の電力を発生し、負荷に供給する。ここでは、周波数13.56MHzで、電力出力は最大1000W程度の電源を用いる。なお、周波数を10MHz程度ないし300MHz程度にする理由は、周波数が高いことから、アンテナ電極でのプラズマ生成が容易であること及び電力伝送に簡便な同軸ケーブル30a、30dが用いられ、かつ電力損失が小さいことによる。符番28はインピーダンス整合器で、高周波電源28の出力の上記アンテナ電極26bへの伝送における損失を最小限にするようにインピーダンスを整合させる。符番29cは電流導入端子で、真空漏れを防ぎ、かつ高周波電力を伝送する。
次に、上記図5ないし図7図示の構成を持つナノ粒子製造装置を用いて、粒径10〜100nm級の鉄のナノ粒子を製造する方法を説明する。図5において、予め、第2、第3及び第4のバルブ8b、8c、13を閉、第1のバルブ8aを開とし、第1の真空ポンプ7aを稼動させ、真空容器1a,1b内の大気及び不純物ガスを排気する。図示しない真空計で圧力を測定し、該圧力が1.0E−6Torr(1.33E−4Pa)程度に到達したら、冷却管15の温度を制御することにより、真空容器1bの内壁の温度を40ないし100℃に、例えば60℃設定する。この場合、図示しない冷媒供給装置から、冷媒流入口16aを介して冷却管15へ冷媒としての水を1分間当たり10ないし40リットル、例えば1分間当たり15リットルを流す。冷却管15の内部を流れた水は冷媒流出口16bを介して、図示しない冷媒供給装置へ還流させる。この例では冷却管15内の冷媒の温度は約20ないし30℃以下に設定される。そして、電源5及びヒータ3を用いて、蒸発装置2の温度を鉄の融点1,535℃より高い1600℃に設定する。なお、温度設定には、上述したように予備試験で取得しているデータを基に電源5の出力を、例えば1.5KWに設定する。
上記冷却管15内部を流れる冷媒による冷却を開始した後、該真空容器1a、1b内の圧力が1.0E−6Torr(1.33E−4Pa)程度に維持されていることを確認し、上記第1のバルブ8aを閉とする。そして、第2及び第3の真空ポンプ7b、7cを稼動させ、第2及び第3のバルフ8b、8cを開とする。
不活性ガス供給管12a、12b、12c,12d、反応性ガス供給管12e及び第4のバルブ13と組み合わせて用いて、不活性ガス例えばアルゴンガス及び反応性ガス例えばH2と混合ガスのみを、真空容器1a、1b中に導入する。アルゴンガスの流量は、10〜100sccm程度、例えば30sccm、H2ガスの流量は1〜50sccm程度、例えば6sccmである。真空容器内圧力は、0.05〜5Torr(6.65〜665Pa)程度で、例えば0.8Torr(107Pa)とする。そして、アンテナ電極26a、電流導入端子29a、29b、整合器28及び高周波電源27を用いて、上記アルゴンガスと水素の混合ガスをプラズマ化させる。高周波電源27よりアンテナ電極26aに、周波数13.56MHzの電力、例えば500Wを供給する。そうすると、アルゴンガスと水素の混合ガスはプラズマ化されて、Arイオン、水素イオン及び化学的に活性なH及びH2ラデイカル等が発生する。
鉄の粉末原料の蒸発装置2への噴射は次のようにする。粉末原料供給装置11から、不活性ガス供給管12a、12b、反応性ガス供給管12eと組み合わせてアルゴンガスと水素の混合ガスに、例えば直径数ミクロンの鉄粉末を混入させる。該鉄の粉末原料の供給量は、1分間に数グラム程度、例えば1gとする。ここで、鉄の粉末原料の供給量を1分間に1gとした理由は、多量に供給すると、粒径100nm級以上の粒子が形成されるので、それを避けるためである。好ましくは、1桁下げて1分間に0.1g程度にすることが望ましい。
不活性ガス供給管12dより鉄粉末とアルゴンガスと水素の混合ガスが蒸発装置2に噴き付けられると、鉄粉末は1600℃の蒸発装置2に接し、あるいは近傍にて一瞬にして蒸発し、アルゴンガス及び水素と一緒に吹き飛ばされる。ここで蒸発された鉄粉末は、フラッシュ蒸発と呼ばれるように、大きさが100nm級以下のナノ粒子が支配的に発生する。したがって、数100nm以上のサイズの粒子は余り、存在しない。蒸発装置2で蒸発生成された100nm級以下の鉄粒子及び原子状鉄等のフラッシュ蒸発物質はプラズマ化されたアルゴンガスと水素の混合ガスとの衝突があるので、プラズマ化されたアルゴンガスと水素の混合ガスと混合した状態で、蒸発装置2の蒸発地点から気流19に乗って、第2及び第3の真空ポンプ7b、7cの方へ移動する。
この場合、上記鉄のフラッシュ蒸発物質は、上記プラズマ化されたアルゴンガスと水素の混合ガス中のArイオン、水素イオン及び化学的に活性なH及びH2ラデイカル等と化学反応しながら、かつ衝突しながら搬送される。なお、後述するように実施例1の場合と異なり、フラッシュ蒸発物質の分散性は著しく向上する。
蒸発装置2から放出される熱エネルギーの流線は次ぎに示すようになる。真空容器1a、1b内空間で見ると、図6に示すように、熱の流線21は蒸発装置2の高熱面を始点に放射状に拡がり、真空容器上蓋1b内壁を終点としている。また、上記蒸発装置2の高熱面及び真空容器上蓋1b内壁の温度は、それぞれ、1600℃及び60℃であるので、蒸発装置2の蒸発面中心と真空容器上蓋1b内壁との間の平均的温度勾配は1cm当たり62℃となる。平均的温度勾配が1cm当たり10℃程度以上であれば、熱泳動力の現象を顕著に効果的に活用できる。1cm当たり50℃程度以上であれば、著しく顕著な熱泳動力効果がある。
上記熱の流線21の形態が真空容器上蓋1b内壁の表面を終点としていることは、熱泳動力により、蒸発装置2で蒸発生成された鉄粒子及び原子状鉄等の蒸発物質がすべて、真空容器上蓋1b内壁の表面に引きつけられるということを意味している。すなわち、蒸発生成された鉄粒子及び原子状鉄等の蒸発物質は、温度勾配に比例した熱泳動力により、熱の流線21に沿って移動して真空容器上蓋1b内壁に堆積する。原子状鉄は化学的に活性なので、Arイオン、水素イオン及び化学的に活性なH及びH2ラデイカル等を含むプラズマ化されているアルゴンガスと水素の混合ガス中を搬送されて途中で、お互いに結合して結晶あるいは微結晶となる。また、原子状鉄は不純物例えば、プラズマ中に飛散している蒸発装置の部材の炭素(C)等との不純物との結合およびH及びH2ラデイカル等とも結合する。しかしながら、真空容器上蓋1b内壁の表面は温度が低いので膜には成長できず球状の粒子及び数珠状の粒子となる。アルゴンガスは不活性であるので、気体の状態で排出される。したがって、上記真空容器1aの圧力及び真空容器上蓋1b内壁の温度条件の下であれば、粒径10〜100nm級のシリコン粒子及び未結合鉄原子等はその大部分が、温度勾配の高い道筋、即ち蒸発装置2の高熱面から真空容器上蓋1b内壁表面に向いた熱の流線21に沿って移動し、熱流線の終点の真空容器上蓋1b内壁に到達し、堆積する。ナノ粒子の製造時間は、特に制限はないが、例えば数時間、2時間程度とする。
なお、上述の装置および方法では、粉末原料の供給量を少なくしてフラッシュ蒸発させることにより100nm級以下のナノ粒子を支配的に発生させ、かつそのナノ粒子を熱泳動力を活用して真空容器上蓋1b内壁に堆積させるようにしているので、従来困難視されていたナノ粒子の分散性の高い回収が可能であり、かつ回収効率の向上も実現できる。回収率としては、従来の5倍程度が可能である。上記例では従来の3倍程度が期待できる。
ナノ粒子の製造プロセスを一端終了させるには、上記状態において、第4のバルブ13を閉にする。そして、粉末原料供給装置11からの粉末供給を零にするとともに、電源5の出力を零にする。不活性ガスおよび反応性ガスの供給をとめる。また、第2及び第3のバルブ8a、8bを閉にする。その後、図示しない大気戻し用リークバルブを開にして、真空容器1a、1b内の圧力を大気にする。そして、第1及び第2のフランジ17、18の接合部を分離する。その後、吊り金具20を用いて、図示しないクレーン設備で吊り上げる。真空容器上蓋1b内壁に付着したナノ粒子を刷毛で拭いてサンプル瓶に収納する。収納されるナノ粒子の形状及び大きさは、分解能が2〜3オングストローム級の透過型電子顕微鏡(TEM)で観察される。この場合、例えば図9に示すような分散性の良い鉄のナノ粒子が効率よく製造される。
なお、上記製造装置の操作条件中、特に圧力、不活性ガス流量、及び粉末粒子供給量および蒸発装置2の温度が重要なパラメータであるので、上記回収率をより一層高く、かつ高品質で粒径均一性の高い100nm級以下のシリコン粒子を製造するには、それぞれの最適値を予め、把握することが重要である。
次に、上述の装置及び方法で製造された鉄のナノ粒子と実施例1の装置及び方法で製造された鉄のナノ粒子の分散性の相違点を比較しながら説明する。実施例1及び実施例3の装置及び方法で製造された鉄のナノ粒子の特徴を図9及び図11に示す。図9および図11は、分解能が2〜3オングストローム級の透過型電子顕微鏡(TEM)で観察された粒径40〜50nm程度の鉄のナノ粒子の概念を示す説明図であるが、それぞれ分散性が良い場合と数珠状になっている場合の典型的な例を示している。実施例3の場合は、実施例1の場合に比べて、図11図示の数珠状の形態を持つナノ粒子が少なく、図9図示の分散性の良いナノ粒子の形態のものが、圧倒的に多く製造できる。
上記実施例3の場合が、実施例1の場合に比べて分散性が良い理由としては、次のことが考えられる。分散性が良い場合は、実施例1の場合においても、実施例3の場合においても、図10に示すように、鉄の原子32a、32bが原子価3として、互いに隣の鉄原子と共有結合をして、結果的にサッカーボール状の球形のナノ粒子を形成する。他方、図11図示の数珠状ナノ粒子は、図12に示すように、3価の鉄原子以外に、例えば不純物としての4価の炭素(C)が混入し、図12図示のように互いに共有結合する。すなわち、図12において、3価の鉄の原子32a、32bを主体に形成されているサッカーボール状ナノ粒子に不純物34として4価の炭素原子が混入し、結合手が1本足りない4価の炭素原子34は、別のサッカーボール状ナノ粒子に混入の不純物34の結合手と供給結合を形成する。このように、不純物の介在により、分散性が損なわれると考えることができる。
上記実施例3の場合は、アンテナ電極によりプラズマ化されたアルゴンガスと水素の混合ガス中を、フラッシュ蒸発で生成された鉄粒子及び原子状鉄等の蒸発物質が熱泳動力により移動していくので、該プラズマ中に含まれる化学的に活性なH及びH2ラデイカル等と化学反応を起こして、上記サッカーボール状の鉄のナノ粒子に含まれる不純物例えば炭素の1本の未結合手にHが結合する。その構造の例を図13及び図14に示す。図13は、不純物としての炭素原子1個を含むサッカーボール状の鉄のナノ粒子の場合の例で、図中炭素原子34の4本の結合手の中の3本は鉄の原子と結合し、残り1本は水素原子35と結合することを示している。図14は不純物34が2個有る場合の例である。この場合は、図中炭素原子34の4本の結合手の中の3本は鉄の原子と結合し、残り1本は水素原子35と結合するのが2箇所あることを示している。以上説明したように、実施例3の場合は、実施例1の場合に比べて、アンテナ電極を用いた不活性ガス及び反応性ガスのプラズマ化により、製造されるナノ粒子の分散性の向上が可能である。
したがって、上記実施例3の装置および方法によれば、熱泳動力を活用してフラッシュ蒸発による100nm級以下のナノ粒子製造の回収率を従来の5倍程度に向上可能とするとともに、アンテナ電極を用いた反応性ガスのプラズマ化を図ることにより、分散性の良いナノ粒子の製造を可能にすることができる。上記例では、回収率としては従来の3倍程度、分散性としては従来の5倍程度の改善が期待できる。
なお、上記実施例3では、蒸発源として、電気抵抗加熱方式の装置を用いているが、これに限らず電子ビーム方式、熱プラズマ方式、レーザアブレーション方式を用いることもできる。
実施例1に係わるナノ粒子製造装置の構成図。 図1に示した装置の内部における熱の流線を示す説明図。 実施例2に係わるナノ粒子製造装置の構成図。 図3に示した装置の内部における熱の流線を示す説明図。 実施例3に係わるナノ粒子製造装置の構成図。 図5に示した装置の内部における熱の流線を示す説明図。 図5図示の装置の構成部材として用いられるプラズマ発生装置の第1の例の構成図。 図5図示の装置の構成部材として用いられるプラズマ発生装置の第2の例の構成図。 透過型電子顕微鏡(TEM)で観察された分散性の良い粒径40〜50nm程度の鉄のナノ粒子の概念図。 サッカーボール状の構造をもつナノ粒子の概念を示す説明図。 透過型電子顕微鏡(TEM)で観察された数珠状に繋がった粒径40〜50nm程度の鉄のナノ粒子の概念図を示す説明図。 数珠状に繋がったナノ粒子の構造の概念を示す説明図。 アンテナ電極を用いた反応性ガスのプラズマ化によるナノ粒子の分散性の向上の概念を示す第1の説明図。 アンテナ電極を用いた反応性ガスのプラズマ化によるナノ粒子の分散性の向上の概念を示す第2の説明図。 従来の真空蒸着装置の全体を示す説明図。 従来の熱プラズマ装置の全体を示す説明図。 従来のレーザアブレーション装置の全体を示す説明図。
符号の説明
1a...真空容器本体、
1b...真空容器上蓋、
2...該蒸発装置、
3...ヒータ、
4...真空用電流端子、
5...電源、
7a、7b、7c...第1、第2及び第3の真空ポンプ、
8a、8b,8c...第1、第2及び第3のバルブ、
9a、9b,9c...第1、第2及び第3の排気管、
12a、12b、12c、12d...不活性ガス導入管、
12e...反応ガス供給管、
13...第4のバルブ、
14...真空フランジ、
15...冷却管、
16a...冷媒流入管、
16b...冷媒流出管、
17...第1のフランジ、
18...第2のフランジ、
19...ガスの流れ、
20...吊り金具、
21...熱の流線、
26a,26b...第1及び第2のアンテナ電極、
27...高周波電源、
28...インピーダンス整合器、
29a、29b...電流導入端子。

Claims (7)

  1. 排気系を備えた真空容器と、該真空容器にキャリアガスを供給するガス供給系と、ナノ粒子の原料を供給する原料供給系と、該原料を蒸発させる高熱面を有する蒸発装置と、該蒸発装置で蒸発した蒸発物質を堆積させる堆積面を有する堆積装置を具備し、前記蒸発装置で前記原料を蒸発させ、該蒸発物質を前記堆積装置に堆積させた後、該堆積物からナノ粒子を採集するナノ粒子製造方法において、前記蒸発装置を構成の高熱面の中央と前記堆積装置を構成の堆積面上の全ての点との距離を略一定とし、かつ該堆積面の温度が略一様で、かつ常温となるように該堆積面の構成部材を冷却媒体で制御するようにしたことを特徴とするナノ粒子製造方法。
  2. 排気系を備えた真空容器と、該真空容器にキャリアガスを供給するガス供給系と、ナノ粒子の原料を供給する原料供給系と、該原料を蒸発させる高熱面を有する蒸発装置と、該蒸発装置で蒸発した蒸発物質を堆積させる堆積面を有する堆積装置を具備し、前記蒸発装置で前記原料を蒸発させ、該蒸発物質を前記堆積装置に堆積させた後、該堆積物からナノ粒子を採集するナノ粒子製造装置において、前記堆積装置を構成の堆積面が前記蒸発装置を構成の高熱面を囲繞するように配置されるという構造を有することを特徴とするナノ粒子製造装置。
  3. 前記堆積装置を構成の堆積面の形状が半球形であることを特徴とする請求項2記載のナノ粒子製造装置。
  4. 前記堆積装置の堆積面が管材で構成されることを特徴とする請求項2記載のナノ粒子製造装置。
  5. 前記真空容器を円板または矩形板の台座に半球形容器部材を固着した構造とし、該円板または矩形の台座の中心点位置に前記蒸発装置を構成の高熱面を配置するということを特徴とする請求項2ないし4記載のナノ粒子製造装置。
  6. 前記キャリアガスを供給するガス供給系に加えて、前記真空容器に反応性ガスのH2,O2及びCH4等を供給する反応性ガス供給系を設置するとともに、該反応性ガスをプラズマ化するアンテナ形の電極を前記蒸発装置を構成の高熱面の近傍に設置することを特徴とする請求項2ないし5記載のナノ粒子製造装置。
  7. 前記堆積装置を構成の堆積面と前記蒸発装置を構成の高熱面との間の平均的温度勾配が1cmあたり10℃以上であることを特徴とする請求項2ないし6記載のナノ粒子製造装置。
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