JP2005246248A - インクジェット塗布方法及び装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 マルチノズルインクジェット塗布装置において、多くのノズルから吐出した液滴の着地位置がばらつくのを防止し、高精度なエッジ部と、均一な膜厚を形成すること。
【解決手段】 まず、塗布画像をエッジ画像と内部画像に分ける。次に、各エッジ画像について、各々一本のノズルによって微小液滴で連続的に細く塗布・記録する。最後に、内部画像を通常の方法で記録する。
【効果】 エッジ画像は、濡れ広がりが抑えられ位置的に高精度に塗布できる。内部画像は、レベリング効果で膜厚均一になるとともに、エッジ部では先に塗布されたエッジ画像に倣うため、高い位置精度が維持される。
【選択図】 図1

Description

本発明は、インクジェット塗布装置に係り、特にオンデマンド方式で、複数のノズルモジュールからの高速塗布に好適なインクジェット塗布方法及び装置に関する。
高速印刷するインクジェット塗布装置として、複数ノズルを配置した塗布ヘッドを有するマルチノズルインクジェット塗布装置においては、多数のノズルを備えることにより、被塗布媒体(基板)に高速かつ高密度に塗布することができる。
インクジェット塗布装置は、連続方式とオンデマンド方式に分けられる。オンデマンド方式の塗布ヘッドは、例えば特許文献1に開示されているように、圧電素子や発熱素子でインク室に圧力を加え、多数のノズルから選択的にインク液滴を吐出すようにした塗布ヘッドを備えている。このタイプの塗布ヘッドを持つオンデマンド方式では、連続方式に比べて構造が簡易なため、数百〜数千ノズルを高密度に配置することができる。
このマルチノズルインクジェット塗布装置での課題は、多くのノズルから吐出される液滴の重量や基板上での着地位置が、ノズルによってばらつき、高精度に均一な塗布薄膜を形成できず、また、塗布輪郭(エッジ)の精度が不十分となることである。
これに対して、特許文献2に開示されているように、各ノズルの圧電素子や発熱素子に印加する駆動電圧波形を個別に微調整することで対策する技術がある。
また、レベリング技術と称する技術が、業界で一般に行われている。これは、基板上で液滴が均一に濡れ広がるようにする技術であり、液滴の重量や着地位置ばらつきは平均化されて誤差が著しく小さくなる。濡れ広がりは、静的には基板とインクとの接触角θによって決まり、それを小さくすることによって広く濡れ広がる。また、動的には粘度等により決まり、粘度が低いほうが広がり易い。インク粘度は温度や蒸発速度に依存するため、それらをうまく調整すれば濡れ広がりを制御できる。しかしこの方法によって、塗布領域の内部は均一になるが、周辺部はうまく濡れなくなり、塗布輪郭(エッジ)の精度が落ちる。例えば、角部エッジにおいては、濡れ広がりによって丸くなってしまう。
この濡れ広がる方向の制御方法も、例えば、ポリイミド等で土手を形成し、その表面を溌インク処理することが提案されており、その方向への濡れ広がりは止められる。また、何らかの方法で基板の接触角θを部分的に変えてやれば、インクの濡れ広がる方向を制御できることも考えられる。
特開2002−273890号公報(全体)
特開平9−11457号公報(全体)
上記特許文献2の技術においては、液滴の重量と着地位置を両方ともに揃えることは困難であり、高精度に均一な塗布薄膜の形成及び塗布エッジの精度において課題が残る。
また、上記した濡れ広がる方向の制御方法は、一般に複雑であり、簡易なインクジェット塗布装置の特長をスポイルし、商業的に問題がある。
本発明の目的は、マルチノズルインクジェット塗布装置において、塗布領域内部の高精度に均一な塗布薄膜の形成と、塗布周辺エッジ部の精度とを両立させ、簡易なシステムで高性能な塗布を実現できるインクジェット塗布方法及び装置を提供することにある。
本発明の望ましい実施態様においては、所望の塗布領域を示す塗布画像情報から、エッジ画像情報を抽出し、抽出したエッジ画像を塗布基板に塗布するとともに、このエッジ画像塗布の後に、エッジ画像に囲まれた内部画像を塗布基板に塗布する。
本発明のさらに望ましい実施態様においては、複数ノズルを直線的に配置したノズルモジュールから構成されるインクジェット塗布ヘッドを備え、塗布基板を移動させインクを塗布ヘッドから吐出すインクジェット塗布において、塗布領域を示す塗布画像情報から、複数の角度のエッジ画像情報を抽出し、エッジ画像の方向が塗布基板の移動方向に合うように塗布基板を回転させ、塗布ヘッドを回転及び平行移動させることによって回転されたエッジ画像の各走査線に各ノズル位置を合わせ、エッジ画像を塗布基板に塗布する。次いで、望ましくはエッジ画像の乾燥後に、前記エッジ画像に囲まれた内部画像を塗布する。
本発明の望ましい実施態様によれば、はじめに、エッジ画像を塗布するので、微小液滴で細く塗布する等の自由度があり、乾燥を速めたり、基板上での濡れ広がりを小さく抑えたり、正確な位置のエッジ画像を記録できる。その上で、内部画像を通常の液滴で濡れ広がるように記録するので、内部画像の膜厚はレベリング効果により高精度に制御される。しかも、エッジ画像近傍では、すでに塗布されているエッジ画像に濡れ広がる方向が倣うため、正確な位置のエッジ画像を保つことができる。
本発明の望ましい実施態様によれば、エッジ画像は、塗布ヘッドがその方向に移動して塗布するため、各々一本のノズルによって連続的に記録される。このため、ノズル間のばらつきによるジッタ等は発生しない。また、連続に記録されるため、途中で記録状態が変わり重量や着地位置のばらつきも発生しない。
これにより、塗布領域内部の高精度な薄膜形成と周辺部の形状に関する塗布精度とを両立でき、簡易なシステムで高性能な薄膜を生成できるインクジェット塗布装置を提供することができる。
第1の実施例:
本発明によるインクジェット塗布装置の第1の実施例を図1〜図7により説明する。
図1は、本発明の第1の実施例によるインクジェット塗布装置の全体構成図である。ユーザにより作成された所望の塗布画像情報101が、画像処理装置102に入力される。この塗布画像情報101は、通常画素の分解能が定義された白黒2値のビットマップ画像情報である。画像処理装置102は、画像情報101に後述する処理を施し、ハード制御情報及び吐出毎のデジタル塗布信号DATを作成し、バッファメモリ103に一時格納する。ハード制御情報とは、直動ステージ104、回転ステージ105、回転塗布ヘッド106、並びにアクチュエータ107等のハード機器に対する制御情報である。塗布が開始されると、まずバッファメモリ103のハード制御情報が、随時直動ステージ104、回転ステージ105、回転塗布ヘッド106、並びにアクチュエータ107に送られ、それらを制御する。その後、塗布信号処理手段108は、直動ステージ104を動かしながら、塗布信号DATをラッチクロックLCKとデータクロックDCKとともに、圧電素子ドライバ109に送る。圧電素子ドライバ109は、それらの信号に基づきインクジェット塗布ヘッドのノズルモジュール110を制御して、インクを吐出する。
本実施例を適用するオンデマンド方式インクジェット塗布装置のノズルは、圧電素子を用いた公知のインクジェットノズルであるが、これを図2を参照して説明する。
図2は、本実施例におけるノズル200の構造を示す断面図である。201はオリフィス(ノズル孔)、202は加圧室、203は振動板、204は圧電素子、205は信号入力端子、206は圧電素子固定基板である。207は、共通インク供給路208と加圧室202とを連結し、加圧室202へのインク流量を制御するリストリクタである。209は、振動板203と圧電素子204とを連結する弾性材料(例えばシリコン接着剤など)である。210はリストリクタ207を形成するリストリクタプレート、211は加圧室202を形成する加圧室プレート、212はオリフィス(ノズル孔)201を形成するオリフィスプレート、213は振動板を補強する支持板である。振動板203、リストリクタプレート210、加圧室プレート211、支持板213は、例えばステンレス材から作られ、オリフィスプレート212はニッケル材から作られている。また、圧電素子固定基板206は、セラミックス、ポリイミドなどの絶縁物から作られている。
このノズル構造において、インクは、上から下に向かって共通インク供給路208、リストリクタ207、加圧室202、オリフィス201の順に流れる。圧電素子204は、信号入力端子205に電圧が印加されているときに伸縮し、この電圧がなくなれば変形しないように取り付けられている。信号入力端子205には、後述するアナログ駆動信号がつながれており、吐出タイミングに従って電圧が印加され、加圧室202内のインクの一部がオリフィス201(ノズル孔)から吐出される。
次に前記インクジェットノズル200を128個一列に並べて作ったノズルモジュールについて、図3を参照して説明する。
図3は、ノズルモジュールからの選択的インク液滴の噴射をイメージするために、図3(A)にノズルモジュールのノズル配置を示し、図3(B)には、圧電素子を用いたノズルドライバの回路構成を示している。本実施例におけるノズルモジュール110には、128個のノズル孔201が一直線上に配置されている。内部には、図2で説明した構造のノズル200が、128個のノズル孔201に対応して一直線上に格納されている。ノズル孔201のピッチは、150ノズル/インチになっている。このノズルモジュール110に対し、次に述べる圧電素子ドライバ109が接続されている。
図3(B)は圧電素子ドライバ109の回路構成概略図である。図2のノズル200は、信号入力端子205を介在して圧電素子ドライバ109に接続される。図では、圧電素子204をコンデンサの記号に近似して示している。ノズル200の数を、ここではN個とする。圧電素子204の共通電極301は、駆動電圧波形生成手段302からのアナログ駆動信号Vdを受け、個別電極303はスイッチ304を経て、電気的に接地されている。
一方、塗布信号処理手段305からシフトレジスタ306へ、デジタル塗布信号DATとデータクロックDCLが出力され、また、ラッチクロックLCKがラッチ307に出力される。デジタル塗布信号DATは、Nビットのシリアルデータである。ここでは、論理「1」のとき「吐出」、論理「0」のとき「非吐出」と定義する。Nビットは、N個それぞれのノズル孔201に対応する吐出信号であり、デジタル塗布信号DATのbit毎の転送順序をDAT1、DAT2、…、DATNとする。したがって、図示するように右端のノズルから左に向かってそれぞれDAT1、DAT2、…、DATNが割り当てられる。
デジタル塗布信号DATの転送が終了すると、ラッチクロックLCKが発生する。これはラッチ307のラッチ信号だけでなく、前記駆動電圧波形生成手段302の同期信号にもなっている。駆動電圧波形生成手段302は、予め決められた駆動波形を出力する。
ラッチ307にラッチされた各ノズル200毎の塗布信号DAT1、DAT2、…、DATNは、前記各スイッチ304のオン/オフを制御する。スイッチ304がオンのときに圧電素子204にアナログ駆動信号Vdが印加されるが、スイッチ304がオフのときには印加されず、オフになった時点の電圧がオンになるまで保持される。以上で、1回の吐出サイクルが完結する。
図4は、圧電素子ドライバ109の動作タイミングチャートである。まず、ラッチクロックLCKが発生する。ラッチクロックLCKは、タイマ等で定期的に発生する場合もあるし、また塗布位置を検出するセンサ(エンコーダ等)の信号を基に生成する場合もある。駆動電圧波形生成手段302は、LCKに同期して駆動波形Vdを生成する。ここでは、図示するような、逆台形波形とする。駆動波形生成回路302は公知であり詳細な説明は省略する。
デジタル塗布信号DATi(DAT1、DAT2、…、DATN)は、各ノズルのスイッチ304のオン/オフにつながる。従って、圧電素子204に印加される電圧は、図のように、スイッチ304をオンにした場合(DATi=「1」)は、駆動電圧Vdの波形がそのまま印加される。一方、スイッチ304をオフにした場合(DATi=「0」)は、その時点での電圧が保持される。従って、駆動電圧Vdが印加されても圧電素子204に変化は起きず、吐出しない。スイッチ304のオンの状態が続いても、スイッチ304に並列にダイオード(図4参照)が接続されているので、放電による電圧降下は起きない。一方、次の吐出に関するデジタル塗布信号DATが、データクロックDCKに同期して入力される。DATiに関して、DAT信号の「1」又は「0」と、次のタイミングでの吐出の有無の関係を矢印で示している。
図5は、本実施例におけるインクジェット塗布装置の構造を示す平面図である。図中、上下(y)方向に移動する直動ステージ104、その上に取り付けられた回転ステージ105、更にその上に、塗布する基板501が空気などで吸引固定されている。この基板501の上面から上方に0.5〜1.5mm離れた平面上に複数のノズルモジュール110から構成されるインクジェット塗布ヘッド106が存在する。ヘッド106は回転できる構造となっている。図では、ノズルモジュール110のノズル孔201を示しているが、実際は下を向いているので見えない。各ノズルモジュール110は、それぞれアクチュエータ107によって、ヘッド106の横方向にスライドできるようになっている。具体的には、ACサーボリニアモータを使い、数μmの位置精度を出すことができる。
一般の塗布装置には、このほかに、基板501の位置を検出する光学顕微鏡測定装置や、ノズルモジュール110のインク供給保全系がついているが、複雑化を避けるために省略している。
次に、図1の塗布領域を示す塗布画像情報101から、複数の角度のエッジ画像を抽出する画像処理装置(手段)102について、図6を参照して説明する。
図6は、塗布画像情報から複数の角度のエッジ画像を抽出する画像処理手順の説明図である。塗布領域は、ディスプレイ基板のようなものでは殆どが、矩形領域であるが、配線パターン等まで考えると図6(A)のような形状が考えられる。この塗布形状を表わす情報を塗布画像情報101と呼び、前記したように白黒2値のビットマップ画像情報である。この分解能は、ここでは0.1mmとする。つまり、図中小さな方形領域で表わされる画素のサイズは、縦横0.1mmである。
さて、このような塗布領域のうちで、その周辺の輪郭部の塗布領域をエッジ画像と呼び、このエッジ画像に囲まれた残りの塗布領域部分を内部画像と呼ぶこととする。複雑な形状の塗布画像の場合には、エッジ画像は曲線になるが、通常の塗布パターンではいろいろな直線の組合せで表わすことができる。そこで、紙面縦方向を角度0度とした場合に、(1)0度、(2)45度、(3)90度、及び(4)135度の4つの角度の直線エッジ画像で表わすものとし、図6(A)の塗布画像情報から、これらのエッジ画像情報を抽出する。この例の場合、図6(A)に示す塗布画像からは、次の3つの角度のエッジ画像が抽出される。すなわち、図6(C)の0度方向、図6(E)の90度方向、並びに図6(F)の135度方向の直線のエッジ画像である。しかし、図6(D)の45度方向の直線のエッジ画像は、本例では抽出されていない。このことは、図6(A)の塗布画像の場合、図6(C)、(E)、(F)のエッジ画像と、図6(B)の内部画像の組合せから成り立っていることを示している。つまり、図6(B)の内部画像は、図6(a)の塗布画像から、図6(C)、(E)、(F)のエッジ画像を差し引いた残りの画像を示している。
なお、エッジ画像を抽出する方法は、テンプレートマッチング法が良く知られている。参考までに、図6(C)〜(F)の左側に本実施例における簡単なテンプレートを示しているが、これに類する変形例も知られている。テンプレートを増やすことによって、これら以外の角度を有するエッジ画像を抽出することもできるが、本発明の効果を発揮するには、高精度に塗布したい数種類の角度のエッジ画像に限定することが望ましい。
このようにして、所望の塗布画像を、複数の角度の異なるエッジ画像と、1つの内部画像とに振分けた後、まず、各エッジ画像を塗布し、その後に、内部画像を塗布する。
そこで、エッジ画像の塗布手順から説明する。まず、前記エッジ画像の方向が前記塗布基板501の移動方向に合うように、塗布基板501を回転させる基板回転手段について図5〜図7を用いて説明する。図5において、塗布基板501は、ロボット等により回転ステージ105上に置かれ、この塗布基板501の位置を検出する測定装置(図示せず)で基板のマーカ等を読み取る。これにより、y方向直動ステージ104の送り方向と、塗布基板501のエッジ画像の角度方向が、回転ステージ105の回転により精度良く合せられる。図6(C)の0度エッジ画像を記録する場合はこのまま、図6(D)の45度のエッジ画像、図6(E)の90度、図6(F)の135度の各エッジ画像を記録する場合、各々の角度に応じて回転ステージ105を回転させる。
図7は、塗布作業のため回転された塗布基板のエッジ画像3枚と内部画像1枚の説明図である。各エッジ画像の記録作業のために、各々の角度に応じて回転ステージ105を回転させた結果、図6(C)、(E)及び(F)のエッジ画像は、それぞれ図7(A)、(B)及び(C)に示す状態に回転される。図6(D)の45度のエッジ画像は、この例の場合には抽出されていないので、その方向のエッジの塗布作業は必要ない。
次に、インクジェット塗布ヘッド106を回転させ、さらに、複数のノズルモジュール110をそれぞれ平行移動させることによって、回転された塗布基板501のエッジ画像の各走査線に各ノズル位置を合わせる必要がある。このノズル位置合わせを行うヘッド移動手段について、図5及び図7(A)〜(C)を使って説明する。図7(A)の0度のエッジ画像を塗布する場合、塗布ヘッド106における多数のノズル孔201のx方向のピッチは、0.1mm丁度か、又はその整数分の1でなければ、図7(A)に示す走査線701上に塗布することはできない。これは、前記したように、塗布画像101の分解能が0.1mmであることから明らかである。整数分の1のときは、間引いて塗布すれば良いことも自明である。通常、ノズルモジュール110におけるノズル孔201のピッチはこの条件を満たすとは限らないので、この実施例においては、塗布ヘッド106全体を回転させる。具体的には、ノズル孔201のピッチ0.5mmのノズルモジュール110が4列並んでいるので、これら4列を等間隔にずらすことによって、0.125mmのピッチを得ることができる。これに、塗布ヘッド106全体の回転を加えれば、0.1mmのx方向ピッチを得ることができる。そこで、塗布ヘッド106を回転させるとともに、4列のノズルモジュール110のそれぞれをアクチュエータ107を使って横方向にスライドさせ、所望のx方向のノズル孔ピッチを得ている。0.1mmのx方向走査線ピッチを実現するために塗布ヘッド106を回転させるべき角度θは、
cosθ=0.1/0.125 (θ=36.9度)………………………(1)
とすればよい。次いで、4列のノズルモジュール110を、アクチュエータ107を使ってスライドさせるスライド量も簡単に計算できる。ノズルモジュール110の間隔をDm(mm)とすると、図中下端のノズルモジュール110を基準とした、各列のノズルモジュール110のスライド量S12、S13、S14(mm)は、
S12=0.125+Dmtanθ……………………………………………………(2)
S13=2×S12………………………………………………………………………(3)
S14=3×S12………………………………………………………………………(4)
となる。目標とする走査線ピッチが0.125mmより広い場合は、使用するノズルモジュール110の列を4列から3列に減らしたり、又は吐出するノズル孔201を間引いて使ったりすれば良い。
次に、前記エッジ画像を前記塗布基板に走査方向に、特に設定されたピッチで塗布するエッジ画像塗布手段について、図7を使って説明する。塗布方法は、従来同様に、塗布基板501を載置した直動ステージ104が、y方向に移動して行き、塗布基板501が、塗布ヘッド106の直下を通過するタイミングで、ノズル孔201からインク液滴を吐出するようになっている。
ここで、本実施例で示す圧電素子ドライバ109では、図3に示すように、駆動電圧Vdが全ノズルに共通して印加されるため、各ノズル孔201から液滴が吐出するタイミングは同時となる。そこで、図5に示すように、塗布ヘッド106を傾けると、インク液滴のy方向の着地位置は、吐出するノズル毎にずれることになる。そこで、本実施例では、走査方向(図5のy方向)に対して、分解能を2倍にして塗布するようにしている。このため、図4に示す駆動電圧Vdの電圧振幅を下げることにより、吐出する液滴重量も下げている。これにより、結果的に塗布されるエッジ画像のy方向分解能は、図7(A)〜(C)に示すように、2倍となり、一方、その線幅は、従来の吐出条件で塗布する場合より細くなる。液体の蒸発量は、その表面積に比例するため、この実施例のように、小液滴化すれば、エッジ画像は極めて速く乾燥し、濡れ広がりを抑えることができる。また、エッジ画像は単独ノズルで記録されるため、吐出速度や重量によるゆらぎやジッタのない高精度な着地位置精度の塗布画像を得ることができる。
図7(B)に示す90度エッジ画像の場合は、回転ステージ105で塗布基板501を右へ90度回転させた後、塗布ヘッド106上のノズルモジュール110を、走査線702に合うようにスライドさせ、2倍の分解能で塗布する。走査線ピッチは、図7(A)に示した0度エッジ画像の場合と同じである。
図7(C)の135度エッジ画像の場合は、回転ステージ105で塗布基板501を右へ135度回転させた後、塗布ヘッド106を走査線703のx方向ピッチに合うように回転させる。走査線703のx方向ピッチは0.1/√2なので、回転角度θ2は、
cosθ2=0.1/(√2×0.125) (θ2=55.6度)………(5)
となる。さらに、各列のノズルモジュール110のスライド量S12、S13、S14(mm)は、(2)〜(4)式から求まり、各列を走査線703のピッチに合うようにスライドさせる。そして、2倍の分解能で塗布すると図7(C)のように塗布される。
最後に、望ましくはエッジ画像乾燥後に、塗布画像101から前記エッジ画像を除去した残りの内部画像を塗布基板に塗布する内部画像塗布手段について説明する。
図7(D)は、内部画像塗布作業を説明する平面図である。回転ステージ105で塗布基板501を元の図7(A)の0度状態に戻し、塗布ヘッド106の回転やその上のノズルモジュール110のスライド量についても、同様に図7(A)の0度の状態に戻す。分解能も吐出重量も従来通りで塗布する。この図7(D)には、図6(B)に示した内部画像を塗布した様子を示している。この場合、インク液滴は、塗布基板501上で濡れ広がり、エッジ画像と連結する。インクの表面積は重量に対し小さいため蒸発も少なく、従来技術のレベリング効果が発揮され、ノズルがもつ重量や着地位置ばらつきが軽減され、高精度な膜厚の薄膜が形成される。エッジ部においては、既に塗布され乾燥しているエッジ画像があるので濡れ広がりが制限され、エッジ画像に倣うように濡れ広がる。この結果、エッジ部における高精度な塗布画像は維持される。
第2の実施例:
本発明によるインクジェット塗布装置の第2の実施例を図8により説明する。
図8は、本発明の第2の実施例によるインクジェット塗布装置の概略構造を示す平面図である。第1の実施例で用いた塗布ヘッド106は、回転機能をもっていた。しかし、産業用塗布装置としては、基板上方に機械的可動部をもってくると、埃等の落下の可能性があり、問題がある場合も少なくない。そこで、この実施例では、塗布ヘッド802を回転させずに済むようにした。
第1の実施例における直動ステージ104に代えて、x−yステージ801を用いている。塗布画像101から、複数の角度のエッジ画像を抽出する画像処理手段と、エッジ画像の方向を塗布基板501の移動方向に合うように、塗布基板501を回転させる基板回転手段については第1の実施例と同様である。
次に、塗布基板501を回転させ、複数のノズルモジュール110を平行移動させることによって、回転されたエッジ画像の各走査線701に各ノズル位置を合わせるヘッド移動手段について説明する。
まず、図7(A)に示す0度エッジ画像を塗布する場合を説明する。最初に、回転ステージ105を右方向にθだけ回転させる。この角度θは、(1)式によって示したものと同じである。これにより、走査線701は、図示するように角度θ傾く。4列のノズルモジュール110を、それぞれ平行移動させることによって、傾いた走査線701上に、各ノズル孔が乗るようにする。具体的には、まず、図中下端のノズルモジュール110のx方向移動及び/又はx−yステージ801のy方向移動を使って、基準となる走査線がノズル孔に乗るようにする。その後、それ以外の各列のノズルモジュールを下端のノズルモジュール110に対し、スライド量S12、S13、S14(mm)でスライドさせれば、全てのノズル孔201は走査線701上に乗る。スライド量S12、S13、S14(mm)は、(2)〜(4)式に示したものと同じである。
次に、0度エッジ画像を、塗布基板501上に走査方向に、特に、設定されたピッチで塗布する。本実施例では、必要な走査線701のピッチに沿うノズル孔間隔を得るため、塗布ヘッド802を回転させること無く、走査方向の傾きで得ている。このため、x−yステージ801を使い、塗布基板501を傾斜した走査方向に移動させる。塗布基板501を、図8の右上から左下に向って移動させながら、インクの吐出制御を行う。インク吐出方法は、第1の実施例と同様である。
次に、図7(B)に示す90度エッジ画像を塗布する場合について説明する。この場合、塗布基板501を、右方向にθだけ回転した図8の状態から、左方向に90度回転させる必要がある。そこで、回転ステージ105を制御して、塗布基板501を左方向に90度自転するように回転させる。走査線702のピッチは、図7(A)0度エッジ画像の場合と同じとなり、以後の操作は同じとなる。
さらに、図7(C)に示す135度エッジ画像を塗布する場合を説明する。この場合、走査線703のピッチは、図7(A)の0度の場合より小さくなるので、塗布基板501を、まず右方向にθ2だけ回転し、その後左方向に135度回転させる。回転角度θ2は(5)式によって示される。以後の操作は、内部画像の塗布を含めて同じとなる。
本実施例によると、塗布ヘッド802を回転させる必要がないため、塗布基板501上に埃等を落とす可能性が少ない。但し、傾きθが大きい場合、塗布時に、x−yステージはかなりx方向に移動する必要があり、大きなステージが必要である。
本発明の第1の実施例によるインクジェット塗布装置の全体構成図。 本実施例に用いる塗布ヘッドのノズルモジュールの構造を示す断面図。 本実施例におけるノズル配置と圧電素子応用ノズルドライバ回路構成図。 本実施例における圧電素子ドライバの動作タイミングチャート。 本実施例におけるインクジェット塗布装置の概略構造を示す平面図。 塗布画像情報から複数の角度のエッジ画像を抽出する画像処理説明図。 回転された塗布基板への各エッジ画像塗布処理と内部画像塗布の説明図。 第2の実施例によるインクジェット塗布装置の概略構造を示す平面図。
符号の説明
101…塗布画像(情報)、102…画像処理装置、103…バッファメモリ、104…直動ステージ、105…回転ステージ、106…インクジェット回転塗布ヘッド、107…アクチュエータ、108…塗布信号処理手段、109…圧電素子ドライバ、110…ノズルモジュール、LCK…ラッチクロック、DAT…デジタル塗布信号、DATi…各ノズルのデジタル塗布信号、DCK…データクロック、Vd…駆動電圧、201…オリフィス(ノズル孔)、204…圧電素子、302…駆動電圧波形生成手段、303…信号入力端子、304…アナログスイッチ、305…塗布信号処理手段、306…シフトレジスタ、307…ラッチ、501…塗布基板、701…0度エッジ画像及び内部画像塗布時の走査線、702…90度エッジ画像を塗布時の走査線、703…135度エッジ画像を塗布時の走査線、801…x−yステージ、802…塗布ヘッド(非回転)。

Claims (10)

  1. インクジェット塗布ヘッドに複数ノズルを直線的に配置したノズルモジュールを持たせ、この塗布ヘッドと塗布基板とを相対的に移動させ、インクを前記塗布ヘッドから吐出して前記塗布基板に塗布するインクジェット塗布方法であって、所望の塗布領域を示す塗布画像情報から、エッジ画像情報を抽出するステップと、抽出したエッジ画像を前記塗布基板に塗布するエッジ画像塗布ステップと、このエッジ画像塗布ステップの後に、前記エッジ画像に囲まれた内部画像を前記塗布基板に塗布する内部画像塗布ステップを備えたことを特徴とするインクジェット塗布方法。
  2. インクジェット塗布ヘッドに複数ノズルを直線的に配置したノズルモジュールを持たせ、この塗布ヘッドと塗布基板とを相対的に移動させ、インクを前記塗布ヘッドから吐出して前記塗布基板に塗布するインクジェット塗布方法であって、所望の塗布領域を示す塗布画像情報から、角度の異なる複数のエッジ画像情報を抽出するステップと、抽出したエッジ画像の方向が前記塗布基板と前記塗布ヘッドとの相対移動方向に合うように前記塗布基板及び/又は前記塗布ヘッドを回転させるステップと、前記塗布基板及び/又は前記塗布ヘッドを相対移動させながら、前記エッジ画像を前記塗布基板に塗布するエッジ画像塗布ステップと、このエッジ画像塗布ステップの後に、前記エッジ画像に囲まれた内部画像を前記塗布基板に塗布する内部画像塗布ステップを備えたことを特徴とするインクジェット塗布方法。
  3. インクジェット塗布ヘッドに複数ノズルを直線的に配置したノズルモジュールを持たせ、この塗布ヘッドと塗布基板とを相対的に移動させ、インクを前記塗布ヘッドから吐出して前記塗布基板に塗布するインクジェット塗布方法であって、所望の塗布領域を示す塗布画像情報から、角度の異なる複数のエッジ画像情報を抽出するステップと、抽出したエッジ画像の方向が前記塗布基板と前記塗布ヘッドとの相対移動方向に合うように前記塗布基板を回転させる基板回転ステップと、前記塗布ヘッドを回転及び/又は平行移動させることによって前記エッジ画像の各走査線に各ノズル位置を合わせるヘッド移動ステップと、前記エッジ画像を前記塗布基板に走査方向に設定されたピッチで塗布するエッジ画像塗布ステップと、このエッジ画像塗布の後に、前記エッジ画像に囲まれた内部画像を前記塗布基板に塗布する内部画像塗布ステップを備えたことを特徴とするインクジェット塗布方法。
  4. 複数ノズルを直線的に配置したノズルモジュールを持つインクジェット塗布ヘッドと、この塗布ヘッドと塗布基板とを相対的に移動させる手段を備え、インクを前記塗布ヘッドから吐出して前記塗布基板に塗布するインクジェット塗布装置において、所望の塗布領域を示す塗布画像情報から、エッジ画像情報を抽出する手段と、抽出された前記エッジ画像を前記塗布基板に塗布するエッジ画像塗布手段と、このエッジ画像塗布後に、前記エッジ画像に囲まれた内部画像を前記塗布基板に塗布する内部画像塗布手段を備えたことを特徴とするインクジェット塗布装置。
  5. 複数ノズルを直線的に配置したノズルモジュールを持つインクジェット塗布ヘッドと、この塗布ヘッドと塗布基板とを相対的に移動させる手段を備え、インクを前記塗布ヘッドから吐出して前記塗布基板に塗布するインクジェット塗布装置において、所望の塗布領域を示す塗布画像情報から、角度の異なる複数のエッジ画像情報を抽出する手段と、抽出されたエッジ画像の方向が前記塗布基板と前記塗布ヘッドとの相対移動方向に合うように前記塗布基板及び/又は前記塗布ヘッドを回転させる手段と、前記塗布基板及び/又は前記塗布ヘッドを相対移動させながら、前記エッジ画像を前記塗布基板に塗布するエッジ画像塗布手段と、このエッジ画像塗布後に、前記エッジ画像に囲まれた内部画像を前記塗布基板に塗布する内部画像塗布手段を備えたことを特徴とするインクジェット塗布装置。
  6. 複数ノズルを一列直線的に配置した1つまたは複数のノズルモジュールから構成されるインクジェット塗布ヘッドを備え、塗布基板を移動させインクを前記塗布ヘッドから吐出して前記塗布基板の塗布領域に塗布するインクジェット塗布装置において、所望の塗布領域を示す塗布画像情報から、複数の角度のエッジ画像情報を抽出する画像処理手段と、抽出されたエッジ画像の方向が前記塗布基板と前記塗布ヘッドとの相対移動方向に合うように前記塗布基板及び/又は前記塗布ヘッドを回転させる手段と、前記塗布ヘッド及び/又は前記塗布基板を回転及び/又は平行移動させることによって前記エッジ画像の走査線にノズル位置を合わせる手段と、前記エッジ画像を前記塗布基板に走査方向に設定されたピッチで塗布するエッジ画像塗布手段と、このエッジ画像塗布後に、前記エッジ画像に囲まれた内部画像を前記塗布基板に塗布する内部画像塗布手段を備えたことを特徴とするインクジェット塗布装置。
  7. 請求項4〜6のいずれかにおいて、前記エッジ画像塗布手段におけるインク吐出液滴量を、前記内部画像塗布手段におけるインク吐出液滴量よりも少なくしたことを特徴とするインクジェット塗布装置。
  8. 請求項4〜7のいずれかにおいて、前記エッジ画像塗布手段におけるインク吐出ピッチを、前記内部画像塗布手段におけるインク吐出ピッチよりも小さくしたことを特徴とするインクジェット塗布装置。
  9. 請求項4〜8のいずれかにおいて、前記エッジ画像の方向が前記塗布基板の移動方向に合うように前記塗布基板を回転させる基板回転手段と、前記塗布ヘッドを回転させるとともに複数のノズルモジュールを平行移動させることによって、回転されたエッジ画像の走査線にノズル位置を合わせる手段を備えたことを特徴とするインクジェット塗布装置。
  10. 請求項4〜8のいずれかにおいて、前記エッジ画像の方向が前記塗布基板の移動方向に合うように塗布基板を回転させる基板回転手段と、複数のノズルモジュールを平行移動させるノズル平行移動手段と、これら基板回転手段及びノズル平行移動手段とによって回転されたエッジ画像の複数の走査線に複数のノズル位置を合わせる手段を備えたことを特徴とするインクジェット塗布装置。
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