JP2023045656A - インクジェットヘッド及びインクジェット記録装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】インク滴の吐出速度を維持しつつインク滴の体積を減少させることができるインクジェットヘッド及びインクジェット記録装置を提供する。【解決手段】実施形態によれば、インクジェットヘッドは、アクチュエータと、ドライバと、を備える。アクチュエータは、インクを充填する圧力室を拡張又は収縮する。ドライバは、前記アクチュエータに、前記圧力室を拡張させる拡張パルスと休止期間と前記圧力室を収縮させる収縮パルスとから構成される吐出パルスを印加し、前記拡張パルスの中心と前記収縮パルスの中心との幅を維持しながら前記拡張パルスの幅を変更する。【選択図】 図9
Description
本発明の実施形態は、インクジェットヘッド及びインクジェット記録装置に関する。
インクジェットヘッドには、圧力室を収縮及び拡張させるアクチュエータに吐出パルスを印加して、圧力室から用紙などの媒体にインク滴を吐出するものがある。吐出パルスは、圧力室を拡張させる拡張パルスなどから構成される。
インクジェットヘッドは、インク滴の体積を減少させるために拡張パルスの幅を縮小する。
従来、インクジェットヘッドは、拡張パルスの幅が縮小するとインク滴の吐出速度が低下するという課題がある。
上記の課題を解決するため、インク滴の吐出速度を維持しつつインク滴の体積を減少させることができるインクジェットヘッド及びインクジェット記録装置を提供する。
実施形態によれば、インクジェットヘッドは、アクチュエータと、ドライバと、を備える。アクチュエータは、インクを充填する圧力室を拡張又は収縮する。ドライバは、前記アクチュエータに、前記圧力室を拡張させる拡張パルスと休止期間と前記圧力室を収縮させる収縮パルスとから構成される吐出パルスを印加し、前記拡張パルスの中心と前記収縮パルスの中心との幅を維持しながら前記拡張パルスの幅を変更する。
以下、実施形態に係るインクジェット記録装置について、図面を用いて説明する。
実施形態に係るインクジェット記録装置は、インクジェットヘッドを用いて用紙などの媒体に画像を形成する。インクジェット記録装置は、インクジェットヘッドが備える圧力室内のインク滴を媒体に吐出し、媒体に画像を印字する。インクジェット記録装置は、例えばオフィス用インクジェット記録装置、バーコードインクジェット記録装置、POS用インクジェット記録装置、産業用インクジェット記録装置、3Dインクジェット記録装置等である。なお、インクジェット記録装置が画像を形成する媒体は、特定の構成に限定されるものではない。実施形態に係るプリンタが備えるインクジェットヘッドは液体吐出ヘッドの一例であり、インクは液体の一例である。
実施形態に係るインクジェット記録装置は、インクジェットヘッドを用いて用紙などの媒体に画像を形成する。インクジェット記録装置は、インクジェットヘッドが備える圧力室内のインク滴を媒体に吐出し、媒体に画像を印字する。インクジェット記録装置は、例えばオフィス用インクジェット記録装置、バーコードインクジェット記録装置、POS用インクジェット記録装置、産業用インクジェット記録装置、3Dインクジェット記録装置等である。なお、インクジェット記録装置が画像を形成する媒体は、特定の構成に限定されるものではない。実施形態に係るプリンタが備えるインクジェットヘッドは液体吐出ヘッドの一例であり、インクは液体の一例である。
図1は、実施形態に係るインクジェット記録装置1の構成の一例を示す模式図である。インクジェット記録装置1は、インクなどの記録材を用いて画像形成媒体Sなどに画像を形成する。インクジェット記録装置1は、一例として、複数の液体吐出部2と、液体吐出部2を移動可能に支持するヘッド支持機構3と、画像形成媒体Sを移動可能に支持する媒体支持機構4(支持部)と、を備える。画像形成媒体Sは、例えば、紙、布又は樹脂などを素材とするシートである。
図1に示すように、複数の液体吐出部2が、所定の方向に並列して配置された状態でヘッド支持機構3に支持される。ヘッド支持機構3は、ローラ3aに掛けられた無端ベルト3bに取り付けられている。インクジェット記録装置1は、ローラ3aを回転させることで、ヘッド支持機構3を、画像形成媒体Sの搬送方向に対して直交する主走査方向Aに移動させることが可能である。液体吐出部2は、インクジェットヘッド10及び循環装置20を一体に備える。液体吐出部2は、液体として例えばインクIをインクジェットヘッド10から吐出させる吐出動作を行う。インクジェット記録装置1は、一例として、ヘッド支持機構3を主走査方向Aに往復移動させながらインク吐出動作を行うことで、対向して配置される画像形成媒体Sに所望の画像を形成するスキャン方式である。あるいは、インクジェット記録装置1は、ヘッド支持機構3を移動させずにインク吐出動作を行うシングルパス方式であってもよい。この場合、ローラ3a及び無端ベルト3bを設けなくともよい。またこの場合、ヘッド支持機構3は、例えばインクジェット記録装置1の筐体などに固定される。
複数の液体吐出部2は、例えば、CMYK(cyan, magenta, yellow, and key(black))に対応する4色のインク、すなわちシアンインク、マゼンタインク、イエローインク及びブラックインクを、それぞれ吐出する。
以下、インクジェットヘッド10について図2乃至図4に基づいて説明する。なお、インクジェットヘッド10として、シェアモードシェアウォール方式の循環タイプのサイドシューター型インクジェットヘッドを各図に例示する。なお、インクジェットヘッド10は、その他の種類のインクジェットヘッドであってもよい。
図2は、インクジェットヘッド10の構成の一例を示す斜視図である。図3は、インクジェットヘッド10の構成の一例を示す分解斜視図である。図4は、図2のF-F線断面図である。
インクジェットヘッド10は、インクジェット記録装置1に搭載され、チューブのような部品を介してインクタンクに接続されている。このようなインクジェットヘッド10は、ヘッド本体11と、ユニット部12と、一対の回路基板13とを備えている。インクジェットヘッド10は、波形生成装置の一例である。
ヘッド本体11は、インクを吐出するための装置である。ヘッド本体11は、ユニット部12に取り付けられている。ユニット部12は、ヘッド本体11と前記インクタンクとの間の経路の一部を形成するマニホールド及びインクジェット記録装置1の内部に取り付けるための部材を含んでいる。一対の回路基板13は、ヘッド本体11にそれぞれ取り付けられている。
ヘッド本体11は、図3及び図4に示すようにベースプレート15と、ノズルプレート16と、枠部材17と、一対の駆動素子18とを備えている。ヘッド本体11の内部には、図4に示すように、インクが供給されるインク室19が形成されている。
ベースプレート15は、図3に示すように、例えばアルミナのようなセラミックスによって矩形の板状に形成されている。ベースプレート15は、平坦な実装面21を有している。ベースプレート15は、実装面21に、複数の供給孔22と、複数の排出孔23とが開口している。
供給孔22は、ベースプレート15の中央部において、ベースプレート15の長手方向に並んで設けられている。供給孔22は、ユニット部12の前記マニホールドのインク供給部12aに連通している。供給孔22は、インク供給部12aを介して循環装置20内のインクタンクに接続されている。前記インクタンクのインクは、インク供給部及び供給孔22を通じてインク室19に供給される。
排出孔23は、供給孔22を挟むように二列に並んで設けられている。排出孔23は、ユニット部12の前記マニホールドのインク排出部12bに連通している。排出孔23は、インク排出部12bを介して循環装置20内のインクタンクに接続されている。インク室19のインクは、インク排出部12b及び排出孔23を通じて前記インクタンクに回収される。このように、インクは、前記インクタンクとインク室19との間で循環する。
ノズルプレート16は、例えば表面に撥液性機能を付与したポリイミド製の矩形状のフィルムによって形成されている。ノズルプレート16は、ベースプレート15の実装面21に対向している。ノズルプレート16に、複数のノズル25が設けられている。複数のノズル25は、ノズルプレート16の長手方向に沿って二列に並んでいる。
枠部材17は、例えばニッケル合金によって矩形の枠状に形成されている。枠部材17は、ベースプレート15の実装面21とノズルプレート16との間に介在している。枠部材17は、実装面21とノズルプレート16とにそれぞれ接着されている。すなわち、ノズルプレート16は、枠部材17を介してベースプレート15に取り付けられている。インク室19は、図4に示すように、ベースプレート15と、ノズルプレート16と、枠部材17とに囲まれて形成されている。
駆動素子18は、例えばチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)によって形成された板状の二つの圧電体によって形成されている。前記二つの圧電体は、分極方向がその厚さ方向に互いに逆向きになるように貼り合わされている。
一対の駆動素子18は、図3に示すように、ベースプレート15の実装面21に接着されている。一対の駆動素子18は、図4に示すように、二列に並ぶノズル25に対応して、インク室19の中に平行に配置されている。駆動素子18は、断面台形状に形成されている。駆動素子18の頂部は、ノズルプレート16に接着されている。
駆動素子18に、複数の溝27が設けられている。溝27は、駆動素子18の長手方向と交差する方向にそれぞれ延びており、駆動素子18の長手方向に並んでいる。複数の溝27は、ノズルプレート16の複数のノズル25に対向している。本実施形態の駆動素子18は、図4に示すように、溝27に、インクを充填する複数の圧力室50を配置している。
複数の溝27のそれぞれに、電極28が設けられている。電極28は、例えばニッケル薄膜をフォトレジストエッチング加工することによって形成されている。電極28は、溝27の内面を覆っている。
図3に示すように、ベースプレート15の実装面21から駆動素子18に亘って、複数の配線パターン35が設けられている。これらの配線パターン35は、例えばニッケル薄膜をフォトレジストエッチング加工することによって形成されている。
配線パターン35は、実装面21の一つの側端部21aおよび他方の側端部21bからそれぞれ延びている。なお、側端部21a及び側端部21bは、実装面21の縁のみならずその周辺の領域を含む。このため、配線パターン35は、実装面21の縁よりも内側に設けられてもよい。
以下、一つの側端部21aから延びる配線パターン35について代表して説明する。なお、他方の側端部21bの配線パターン35の基本的な構成は、一つの側端部21aの配線パターン35と同様である。
配線パターン35は、図3及び図4に示すように、第1の部分35aと、第2の部分35bとを有している。配線パターン35の第1の部分35aは、実装面21の側端部21aから駆動素子18に向かって直線状に延びている部分である。第1の部分35aは、互いに平行に延びている。配線パターン35の第2の部分35bは、第1の部分35aの端部と、電極28とに跨る部分である。第2の部分35bは、電極28にそれぞれ電気的に接続されている。
一つの駆動素子18において、複数の電極28のうち幾つかの電極28は、第1の電極群31を構成する。複数の電極28のうち他の幾つかの電極28は、第2の電極群32を構成する。
第1の電極群31と第2の電極群32とは、駆動素子18の長手方向の中央部を境に分かれている。第2の電極群32は、第1の電極群31と隣り合っている。第1の電極群31及び第2の電極群32は、例えば159個の電極28をそれぞれ含んでいる。
図2に示すように、一対の回路基板13のそれぞれは、基板本体44と、一対のフィルムキャリアーパッケージ(FCP)45とをそれぞれ有している。なお、FCPは、テープキャリアーパッケージ(TCP)とも称される。
基板本体44は、矩形状に形成された剛性を有するプリント配線板である。基板本体44に、種々の電子部品やコネクターが実装される。また、基板本体44に、一対のFCP45がそれぞれ取り付けられている。
一対のFCP45は、複数の配線が形成されるとともに柔軟性を有する樹脂製のフィルム46と、前記複数の配線に接続されたヘッド駆動回路47とをそれぞれ有している。フィルム46は、テープオートメーテッドボンディング(TAB)である。ヘッド駆動回路47は、電極28に電圧を印加するためのIC(integrated circuit)である。ヘッド駆動回路47は、樹脂によってフィルム46に固定されている。
一方のFCP45の端部は、異方性導電性フィルム(ACF)48によって、配線パターン35の第1の部分35aに、熱圧着接続されている。これにより、FCP45の前記複数の配線は、配線パターン35に電気的に接続される。
FCP45が配線パターン35に接続されることで、ヘッド駆動回路47が、FCP45の前記配線を介して電極28に電気的に接続される。ヘッド駆動回路47は、フィルム46の前記配線を介して電極28に電圧を印加する。
ヘッド駆動回路47が電極28に電圧を印加すると、駆動素子18がシェアモード変形することにより、当該電極28が設けられた圧力室50の容積が増減させられる。これにより、圧力室50の中のインクの圧力が変化し、当該インクがノズル25から吐出される。このように、圧力室50を隔てる駆動素子18は、圧力室50の内部に圧力振動を与えるためのアクチュエータとなる。
図1に示す循環装置20は、金属製などの連結部品によりインクジェットヘッド10の上部に一体に連結されている。循環装置20は、前記インクタンク及びインクジェットヘッド10を通り液体が循環可能に構成された所定の循環路を備える。循環装置20は、液体を循環させるためのポンプを備える。当該液体は、ポンプの働きにより循環装置20からインク供給部を通じてインクジェットヘッド10内に供給され、所定の流路を通った後、インク排出部を通じてインクジェットヘッド10内から循環装置20へと送られる。
また、循環装置20は、循環路の外部に設けられる補給タンクとしてのカートリッジから循環路に液体を補給する。
インクジェット記録装置1の要部回路構成について説明する。図5は、実施形態に係るインクジェット記録装置1の要部回路構成の一例を示すブロック図である。
インクジェット記録装置1は、プロセッサ101、ROM102、RAM103、通信インターフェース104、表示部105、操作部106、ヘッドインターフェース107、バス108及びインクジェットヘッド10を含む。
プロセッサ101は、インクジェット記録装置1の動作に必要な処理及び制御を行うコンピューターの中枢部分に相当する。プロセッサ101は、ROM102に記憶されたシステムソフトウェア、アプリケーションソフトウェア又はファームウェアなどのプログラムに基づいて、インクジェット記録装置1の各種の機能を実現するべく各部を制御する。プロセッサ101は、例えば、CPU(central processing unit)、MPU(micro processing unit)、SoC(system on a chip)、DSP(digital signal processor)又はGPU(graphics processing unit)などである。あるいは、プロセッサ101は、これらの組み合わせである。
ROM102は、プロセッサ101を中枢とするコンピューターの主記憶部分に相当する、専らデータの読み出しに用いられる不揮発性メモリである。ROM102は、上記のプログラムを記憶する。また、ROM102は、プロセッサ101が各種の処理を行う上で使用するデータ又は各種の設定値などを記憶する。
RAM103は、プロセッサ101を中枢とするコンピューターの主記憶部分に相当する、データの読み書きに用いられるメモリである。RAM103は、プロセッサ101が各種の処理を行う上で一時的に使用するデータを記憶しておく、いわゆるワークエリアなどとして利用される。
通信インターフェース104は、インクジェット記録装置1がネットワーク又は通信ケーブルなどを介してホストコンピューターなどと通信するためのインターフェースである。
表示部105は、インクジェット記録装置1の操作者に各種情報を通知するための画面を表示する。表示部105は、例えば、液晶ディスプレイ又は有機EL(electro-luminescence)ディスプレイなどのディスプレイである。
操作部106は、インクジェット記録装置1の操作者による操作を受け付ける。操作部106は、例えば、キーボード、キーパッド、タッチパッド又はマウスなどである。また、操作部106としては、表示部105の表示パネルに重ねて配置されたタッチパッドを用いることもできる。すなわち、タッチパネルが備える表示パネルを表示部105として、タッチパネルが備えるタッチパッドを操作部106として用いることができる。
ヘッドインターフェース107は、プロセッサ101がインクジェットヘッド10と通信するために設けられる。ヘッドインターフェース107は、プロセッサ101の制御のもと、階調データなどをインクジェットヘッド10へ送信する。
バス108は、コントロールバス、アドレスバス及びデータバスなどを含み、インクジェット記録装置1の各部で授受される信号を伝送する。
インクジェットヘッド10は、ヘッドドライバ100を備える。
ヘッドドライバ100は、インクジェットヘッド10を動作させるための駆動回路である。ヘッドドライバ100は、ヘッド駆動回路47などから構成される。ヘッドドライバ100は、例えばラインドライバである。ヘッドドライバ100は、波形データWDを記憶する。
ヘッドドライバ100は、波形データWDに基づいて単一の駆動信号を繰り返し生成する。そして、ヘッドドライバ100は、階調データに基づき、画像形成媒体S上の画素それぞれに対して液滴を吐出する回数を制御する。単一の吐出パルスの印加ごとに、ノズル25からは1発のインク(主液滴)が吐出される。したがって、インクジェット記録装置1は、例えば、何発のインクをそれぞれの画素に吐出するかによって濃淡を表現する。
すなわち、1つの画素に対して多くのセットのインクを吐出するほど、当該画素における対応する色の濃さが濃くなる。
すなわち、1つの画素に対して多くのセットのインクを吐出するほど、当該画素における対応する色の濃さが濃くなる。
ヘッドドライバ100は、波形生成装置の一例である。また、ヘッドドライバ100は、駆動信号を生成することで、生成部として動作する。
一例として、ヘッドドライバ100は、波形データWDが記憶された状態でヘッドドライバ100の管理者などへと譲渡される。なお、ヘッドドライバ100は、波形データWDがヘッドドライバ100に記憶されない状態で当該管理者などに譲渡されてもよい。また、ヘッドドライバ100は、別の波形データが記憶された状態で当該管理者などに譲渡されてもよい。そして、波形データWDが別途に当該管理者などへと譲渡され、当該管理者又はサービスマンなどによる操作の下にヘッドドライバ100へと書き込まれてもよい。このときの波形データWDの譲渡は、例えば、磁気ディスク、光磁気ディスク、光ディスク又は半導体メモリなどのようなリムーバブルな記憶媒体に記録して、あるいはネットワークなどを介したダウンロードにより実現できる。
駆動信号が印加されることで、圧電体である駆動素子18は、シェアモード変形する。この変形により、圧力室50の容積が変化する。
駆動信号の電位がゼロのときの圧力室50は、通常状態であるとする。なお、通常状態の駆動信号の電位はゼロに限らず、所定の電位であればよい。駆動信号の電位が正のとき、圧力室50は収縮して圧力室50の容積は通常状態に比べて減少する。また、駆動信号の電位が負のとき、圧力室50は拡張して圧力室50の容積は通常状態に比べて増加する。以上のような圧力室50の容積変化に伴い、圧力室50内のインクの圧力が変化する。インクジェットヘッド10は、特定の波形を有する吐出パルスが印加されることによって、インクを吐出させる。
次に、圧力室50の状態例について説明する。
圧力室50は、通常状態、PULL状態又はPUSH状態に変化する。
圧力室50は、通常状態、PULL状態又はPUSH状態に変化する。
まず、通常状態について説明する。図6は、通常状態について説明するための図である。
ここでは、圧力室50の1つである圧力室50bを例に説明する。圧力室50bは、圧力室50aと圧力室50cとの間に形成されている。また、圧力室50bは、駆動素子18a及び駆動素子18bによって形成される。また、圧力室50a乃至50cには、電極28a乃至28cが形成されている。
通常状態は、圧力室50bがデフォルトの状態である。図6が示すように、ヘッドドライバ100は、圧力室50b内に形成されている電極28bと、圧力室50bに隣接する両隣の圧力室50a及び50c内に形成されている電極28a及び28cとの電位をいずれも電圧+Vとする。この状態では、圧力室50aと圧力室50bとで挟まれた駆動素子18a及び圧力室50bと圧力室50cとで挟まれた駆動素子18bは、いずれも何ら歪みを生じない。
なお、ヘッドドライバ100は、電極28a乃至28cを電位GNDとしてもよい。
なお、ヘッドドライバ100は、電極28a乃至28cを電位GNDとしてもよい。
次に、PULL状態について説明する。図7は、PULL状態について説明するための図である。
PULL状態は、圧力室50bが拡張した状態である。図7が示すように、ヘッドドライバ100は、圧力室50bの電極28bを電位GNDとし、圧力室50a及び50cの電極28a及び28cに電圧+Vを印加する。この状態では、各駆動素子18a及び18bに対して、駆動素子18の分極方向と直交する方向に電圧Vの電界が作用する。この作用により、各駆動素子18a及び18bは、圧力室50bの容積を拡張するようにそれぞれ外側に変形する。
次に、PUSH状態について説明する。図8は、PUSH状態について説明するための図である。
PUSH状態は、圧力室50bが収縮した状態である。図8が示すように、ヘッドドライバ100は、圧力室50bの電極28bに電圧+Vを印加し、圧力室50a及び50cの電極28a及び28cをGND電位とする。この状態では、各駆動素子18a及び18bに対して、PULL状態の駆動電圧と逆方向に電圧Vの電界が作用する。この作用により、各駆動素子18a及び18bは、圧力室50bの容積を収縮するようにそれぞれ内側に変形する。
圧力室50bの容積が拡張または収縮された場合、圧力室50b内に圧力振動が発生する。この圧力振動により、圧力室50b内の圧力が高まり、圧力室50bに連通するノズル25からインク滴が吐出される。
このように、各圧力室50a、50b及び50cを隔てる駆動素子18a及び18bは、駆動素子18a及び18bを壁面とする圧力室50bの内部に圧力振動を与えるためのアクチュエータとなる。即ち、圧力室50は、駆動素子18の動作によって拡張又は収縮される。
また、各圧力室50は、それぞれ隣接する圧力室50と駆動素子18(隔壁)を共有する。このため、ヘッドドライバ100は、各圧力室50を個別に駆動することができない。ヘッドドライバ100は、各圧力室50をn(nは2以上の整数)個おきに(n+1)個のグループに分割して駆動する。本実施形態では、ヘッドドライバ100が、各圧力室50を2つおきに3つの組に分けて分割駆動する、いわゆる3分割駆動の場合を例示する。なお、3分割駆動はあくまでも一例であり、4分割駆動または5分割駆動などであってもよい。
次に、ヘッドドライバ100が駆動素子18に印加する吐出パルスについて説明する。
ヘッドドライバ100は、ノズル25から所定の量のインク滴を吐出させる吐出パルスを駆動素子18に印加する。
ヘッドドライバ100は、ノズル25から所定の量のインク滴を吐出させる吐出パルスを駆動素子18に印加する。
図9は、ヘッドドライバ100が駆動素子18に印加する吐出パルスの波形を示す。図9では、横軸は、経過時間を示す。また、縦軸は、駆動電圧を示す。基準となる電圧(たとえば、0V)より高い駆動電圧は、圧力室50の体積を収縮させる。また、基準となる電圧より低い駆動電圧は、圧力室50の体積を拡張させる。
図9が示すように、吐出パルスは、拡張パルスと、休止期間と、収縮パルスと、から構成される。
まず、ヘッドドライバ100は、駆動素子18に、拡張パルスを印加する。拡張パルスの幅は、未調整の状態では、T1(デフォルトの値)である。たとえば、T1は、インク滴の体積を最大化する拡張パルスの幅である。拡張パルスは、所定の駆動電圧を所定時間(たとえば、T1)印加するパルスである。
拡張パルスは、駆動素子18が形成する圧力室50の体積を拡張させる。即ち、ヘッドドライバは、圧力室50を通常状態からPULL状態に移行させる。圧力室50がPULL状態となることで、圧力室50の圧力が低下する。圧力室50の圧力が低下すると、圧力室50に共通インク室からインクが供給される。
ヘッドドライバ100は、拡張パルスを印加した後、所定の幅を有する休止期間を設ける。即ち、ヘッドドライバ100は、圧力室50をPULL状態で所定時間経過後にPULLから通常状態に移行させる。
ヘッドドライバ100は、休止期間が経過すると、駆動素子18に、収縮パルスを印加する。収縮パルスは、所定の幅を有する。収縮パルスは、所定の駆動電圧を所定時間印加するパルスである。収縮パルスは、駆動素子18が形成する圧力室50の体積を収縮させる。
即ち、ヘッドドライバ100は、圧力室50を通常状態からPUSH状態に移行させる。ヘッドドライバ100は、通常状態からPUSH状態に移行させた後、所定時間が経過すると、圧力室50をPUSH状態から通常状態に移行させる。
ヘッドドライバ100は、上記の通り吐出パルスを駆動素子18に印加することで圧力室50からインクを吐出させる。
また、拡張パルスの中心と収縮パルスの中心との幅は、2ALである。AL(Acoustic Length)は、圧力室50における圧力の固有振動周期の半分の時間である。つまり、2ALは、圧力室50における圧力の固有振動周期の時間である。
次に、ヘッドドライバ100が拡張パルスの幅を調整する動作例について説明する。
たとえは、ヘッドドライバ100は、プロセッサ101などから、ドットの階調を示す階調データを取得する。ヘッドドライバ100は、階調データに基づいて、吐出されるインク滴の体積(吐出体積)が所定の体積となるように拡張パルスの幅を調整する。
たとえは、ヘッドドライバ100は、プロセッサ101などから、ドットの階調を示す階調データを取得する。ヘッドドライバ100は、階調データに基づいて、吐出されるインク滴の体積(吐出体積)が所定の体積となるように拡張パルスの幅を調整する。
ヘッドドライバ100は、階調データなどに基づいて、拡張パルスの幅を調整する調整量を設定する。ここでは、調整量は、T1から減算して調整後の幅を算出するための値である。
図9が示すように、ヘッドドライバ100は、拡張パルスの始点及び終点からそれぞれ内側に向かって同一の幅を削って、拡張パルスの幅を調整する。ここでは、ヘッドドライバ100は、拡張パルスの始点及び終点からそれぞれ内側に向かってTcを削る。Tcは、調整量の半分である。調整後の拡張パルスの幅は、T1-2Tcとなる。
即ち、ヘッドドライバ100は、拡張パルスの中心と収縮パルスの中心との幅を2ALに維持しながら、拡張パルスの幅を2Tc縮小する。
次に、調整量と吐出体積及び吐出速度との関係について説明する。
図10は、調整量と吐出体積及び吐出速度との関係を示すグラフである。図10では、横軸は、調整量(ns)を示す。縦軸は、吐出体積(pl)及び吐出速度(m/s)を示す。また、図10は、3分割が順に駆動した場合の吐出体積及び吐出速度を示す。また、図10は、マルチドロップ駆動において6ドロップ目のインク滴の吐出体積及び吐出速度を示す。
図10は、調整量と吐出体積及び吐出速度との関係を示すグラフである。図10では、横軸は、調整量(ns)を示す。縦軸は、吐出体積(pl)及び吐出速度(m/s)を示す。また、図10は、3分割が順に駆動した場合の吐出体積及び吐出速度を示す。また、図10は、マルチドロップ駆動において6ドロップ目のインク滴の吐出体積及び吐出速度を示す。
図10が示すように、調整量が増加すると(拡張パルスの幅が小さくなると)、吐出体積は、低下する。また、調整量が増加すると、吐出速度も緩やかに低下する。
次に、ヘッドドライバ100が拡張パルスの幅を調整する従来の動作例について説明する。
図11は、ヘッドドライバ100が拡張パルスの幅を調整する従来の動作例について説明するための図である。
図11は、ヘッドドライバ100が拡張パルスの幅を調整する従来の動作例について説明するための図である。
図11は、ヘッドドライバ100が駆動素子18に印加する吐出パルスの波形を示す。図11では、横軸は、経過時間を示す。また、縦軸は、駆動電圧を示す。基準となる電圧(たとえば、0V)より高い駆動電圧は、圧力室50の体積を収縮させる。また、基準となる電圧より低い駆動電圧は、圧力室50の体積を拡張させる。
図11が示すように、吐出パルスは、拡張パルスと、休止期間と、収縮パルスと、から構成される。
ヘッドドライバ100は、階調データなどに基づいて、拡張パルスの幅を調整する調整量を設定する。調整量を設定すると、ヘッドドライバ100は、調整量に基づいて、拡張パルスの幅を調整する。
図11が示すように、ヘッドドライバ100は、拡張パルスの始点から内側に向かって幅を削って、拡張パルスの幅を調整する、ここでは、ヘッドドライバ100は、拡張パルスの始点からTaを削る。Taは、調整量である。調整後の拡張パルスの幅は、T1-Taとなる。
この場合、拡張パルスの中心と収縮パルスの中心との距離は、2ALから変化する。
この場合、拡張パルスの中心と収縮パルスの中心との距離は、2ALから変化する。
次に、従来例における調整量と吐出体積及び吐出速度との関係について説明する。
図12は、従来例における調整量と吐出体積及び吐出速度との関係を示すグラフである。図12では、図10と同様に、横軸は、調整量(ns)を示す。縦軸は、吐出体積(pl)及び吐出速度(m/s)を示す。また、図12は、3分割が順に駆動した場合の吐出体積及び吐出速度を示す。また、図12は、マルチドロップ駆動において6ドロップ目のインク滴の吐出体積及び吐出速度を示す。
図12は、従来例における調整量と吐出体積及び吐出速度との関係を示すグラフである。図12では、図10と同様に、横軸は、調整量(ns)を示す。縦軸は、吐出体積(pl)及び吐出速度(m/s)を示す。また、図12は、3分割が順に駆動した場合の吐出体積及び吐出速度を示す。また、図12は、マルチドロップ駆動において6ドロップ目のインク滴の吐出体積及び吐出速度を示す。
図12が示すように、調整量が増加すると(拡張パルスの幅が小さくなると)、吐出体積は、低下する。また、調整量が増加すると、吐出速度も低下する。
図10と図12とを比較すると、調整量が600nsである場合、吐出体積は、いずれもおよそ19plである。
また、調整量が600nsである場合、図10(実施形態)では、吐出速度は、およそ10.5m/sである。他方、図12(従来例)では、吐出速度は、およそ8.5m/sである。
従って、実施形態では、吐出パルスの幅を同じ量減らした場合、吐出体積は、およそ同じであるが、吐出速度は、従来例と比較して低下しにくい。
よって、実施形態に係るインクジェットヘッド10は、吐出パルスの幅を縮小した場合、吐出速度を維持しつつ、吐出体積を減少させることができる。
また、調整量が600nsである場合、図10(実施形態)では、吐出速度は、およそ10.5m/sである。他方、図12(従来例)では、吐出速度は、およそ8.5m/sである。
従って、実施形態では、吐出パルスの幅を同じ量減らした場合、吐出体積は、およそ同じであるが、吐出速度は、従来例と比較して低下しにくい。
よって、実施形態に係るインクジェットヘッド10は、吐出パルスの幅を縮小した場合、吐出速度を維持しつつ、吐出体積を減少させることができる。
なお、インクジェットヘッド10は、非循環型であってもよい。
また、ヘッドドライバ100は、吐出パルスを印加する前に、補助パルスを印加するものであってもよい。また、ヘッドドライバ100は、吐出パルスを印加した後に、さらに残留振動を抑制するキャンセルパルスを印加するものであってもよい。
また、ヘッドドライバ100は、吐出パルスを印加する前に、補助パルスを印加するものであってもよい。また、ヘッドドライバ100は、吐出パルスを印加した後に、さらに残留振動を抑制するキャンセルパルスを印加するものであってもよい。
また、ヘッドドライバ100は、吐出パルスの拡張パルスの幅を増加してもよい。この場合、ヘッドドライバ100は、拡張パルスの中心と収縮パルスの中心との幅を2ALに維持しながら、拡張パルスの幅を増加する。即ち、ヘッドドライバ100は、拡張パルスの始点及び終点からそれぞれ外側に向かって所定の幅を追加する。
また、拡張パルスは、段階的に電圧が上がる又は下がる形状であってもよい。また、収縮パルスは、段階的に電圧が上がる又は下がる形状であってもよい。
以上のように構成されたインクジェットヘッドは、吐出体積を減少させるため、吐出パルスにおける拡張パルスの幅を調整する。また、インクジェットヘッドは、吐出パルスにおいて拡張パルスの中心と収縮パルスの中心との幅を2ALに維持しながら、拡張パルスの幅を調整する。その結果、インクジェットヘッドは、拡張パルスの中心と収縮パルスの中心との幅を吐出に最適な状態に維持しながら、拡張パルスの幅を調整する。従って、インクジェットヘッドは、吐出速度を維持しつつ、インク滴の体積を減少させることができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1…インクジェット記録装置、2…液体吐出部、3…ヘッド支持機構、3a…ローラ、3b…無端ベルト、4…媒体支持機構、10…インクジェットヘッド、11…ヘッド本体、12…ユニット部、12a…インク供給部、12b…インク排出部、13…回路基板、15…ベースプレート、16…ノズルプレート、17…枠部材、18…駆動素子、18a…駆動素子、18b…駆動素子、19…インク室、20…循環装置、21…実装面、21a…側端部、21b…側端部、22…供給孔、23…排出孔、25…ノズル、27…溝、28…電極、28a…電極、28b…電極、28c…電極、31…第1の電極群、32…第2の電極群、35…配線パターン、35a…第1の部分、35b…第2の部分、44…基板本体、45…フィルムキャリアーパッケージ(FCP)、46…フィルム、47…ヘッド駆動回路、48…異方性導電性フィルム(ACF)、50…圧力室、50a…圧力室、50b…圧力室、50c…圧力室、100…ヘッドドライバ、101…プロセッサ、102…ROM、103…RAM、104…通信インターフェース、105…表示部、106…操作部、107…ヘッドインターフェース、108…バス。
Claims (5)
- インクを充填する圧力室を拡張又は収縮するアクチュエータと、
前記アクチュエータに、前記圧力室を拡張させる拡張パルスと休止期間と前記圧力室を収縮させる収縮パルスとから構成される吐出パルスを印加し、
前記拡張パルスの中心と前記収縮パルスの中心との幅を維持しながら前記拡張パルスの幅を変更する、
ドライバと、
を備えるインクジェットヘッド。 - 前記拡張パルスの中心と前記収縮パルスの中心との幅は、前記圧力室の固有振動周期である、
請求項1に記載のインクジェットヘッド。 - 前記ドライバは、前記拡張パルスの幅を所定の値から縮小する、
請求項1又は2に記載のインクジェットヘッド。 - 前記ドライバは、
ドットの階調の関する階調データを取得し、
前記階調データに基づいて、前記拡張パルスの幅を縮小するための調整量を設定し、
前記調整量に基づいて前記拡張パルスの始点及び終点から同一の幅を削って、前記拡張パルスの幅を縮小する、
請求項3に記載のインクジェットヘッド。 - 媒体にインク滴を吐出するインクジェット記録装置であって、
媒体を支持する支持部と、
請求項1乃至4の何れか1項に記載のインクジェットヘッドと、
を備えるインクジェット記録装置。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2021154202A JP2023045656A (ja) | 2021-09-22 | 2021-09-22 | インクジェットヘッド及びインクジェット記録装置 |
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