JP2018202640A - 液体吐出装置および液体吐出装置の制御方法 - Google Patents

液体吐出装置および液体吐出装置の制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】圧電素子への駆動信号の印加に伴う発熱によるキャビティ内の液体の温度上昇を抑制しつつ、キャビティ内に充填された液体の増粘を抑制できる液体吐出装置および液体吐出装置の制御方法を提供する。
【解決手段】液体吐出ヘッドと、駆動信号を圧電素子PZへ印加する駆動信号印加部と、を備え、駆動信号印加部は、圧電素子に対して、液体が吐出しない程度に圧電素子を変位させる信号波形を含む第1の駆動信号を、圧電素子を変位させる第2の駆動信号が印加されない期間を分断するように印加する液体吐出装置および液体吐出装置の制御方法。
【選択図】図4

Description

本発明は、液体を吐出する液体吐出ヘッドを備える液体吐出装置、およびこの液体吐出装置の制御方法に関する。
液体吐出装置(例えばインクジェット式のプリンター)には、圧電素子を用いて液体を吐出する液体吐出ヘッドを備えるものがある。この液体吐出ヘッドは、ノズルと連通する液体流路に設けられたキャビティ(圧力室)の一部を構成する板状の部材に積層状態で圧電素子が形成された圧電素子形成基板を備えている。そして、この圧電素子形成基板に形成された圧電素子に対して駆動信号を印加することで圧電素子が変位し、この圧電素子の変位に伴う圧電素子形成基板の湾曲によってキャビティの容積が変化することによって、ノズルから液体が吐出する。
このような液体吐出装置において、液体吐出ヘッドの小型化のために、液体吐出ヘッドに入力される駆動信号を同じく液体吐出ヘッドに入力される制御信号に基づいて出力する駆動IC(集積回路素子)が、圧力室形成基板(圧電素子形成基板)に対峙して積層された封止板(配線基板)に実装された構成のものがある(例えば特許文献1)。
また、液体吐出ヘッドの過熱を防止するために、液体を吐出させる駆動信号が圧電素子に印加されない期間(駆動信号の液滴不吐出区間)を、液体を吐出させる駆動信号が圧電素子に印加される期間(液滴吐出区間)よりも長くすることで、駆動信号の印加に伴う熱(ジュール熱)の発生を抑制する構成のものがある(例えば特許文献2)。
また、液体吐出ヘッドにおいてノズルと連通するキャビティ内に充填された液体の状態を判定するために、圧電素子への駆動信号の印加後に発生する圧電素子形成基板(振動板)の残留振動(残留振動信号)を用いて、その一例となる液体(インク)の吐出状態を判定(検査)する構成のものがある(例えば特許文献3)。
特開2016−172345号公報 特開2014−28450号公報 特開2017−24273号公報
しかしながら、例えば特許文献1の構成を有する液体吐出装置では、圧電素子への駆動信号の印加に伴って駆動ICなどの回路素子や配線に流れる電流に起因して、液体吐出ヘッドにおける液体流路の近くにおいて熱(ジュール熱)が発生する。このため、液体吐出ヘッドにおいて液体の温度が上昇しやすく、この温度上昇に起因する液体の増粘により、液体がノズルから安定して吐出しなくなる虞がある。
そこで、このような液体の温度上昇を抑制するために、例えば特許文献2に記載のように液体を吐出させない期間を長くすることが対策として挙げられる。しかしながら、液体を吐出させない期間を長くすると、圧電素子形成基板が湾曲しない(振動しない)ことに起因するキャビティ内の液体の増粘が発生し、液体の吐出精度(例えば液体の吐出量)が低下する虞がある。
また、キャビティ内の液体の増粘が発生した場合、例えば特許文献3に記載のように、圧電素子形成基板の残留振動を用いた液体の状態の判定において、判定の精度が低下する虞がある。
なお、このような課題は、液体が充填されるとともに圧電素子の変位によって容積が変化するキャビティを有する液体吐出ヘッドと、駆動信号を圧電素子へ印加する駆動信号印加部と、を備える液体吐出装置において、概ね共通したものとなっている。
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、圧電素子への駆動信号の印加に伴う発熱によるキャビティ内の液体の温度上昇を抑制しつつ、キャビティ内に充填された液体の増粘を抑制できる液体吐出装置および液体吐出装置の制御方法を提供することにある。
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
上記課題を解決する液体吐出装置は、印加される駆動信号により変位する圧電素子と、液体が充填されるとともに前記圧電素子の変位によって容積が変化するキャビティと、前記キャビティに連通し前記キャビティの容積が変化することによって前記液体を吐出可能なノズルと、を有する液体吐出ヘッドと、前記駆動信号を前記圧電素子へ印加する駆動信号印加部と、を備え、前記駆動信号印加部は、前記圧電素子に対して、前記液体が吐出しない程度に前記圧電素子を変位させる信号波形を含む第1の駆動信号を、前記圧電素子を変位させる第2の駆動信号が印加されない期間を分断するように印加する。
この構成によれば、圧電素子への駆動信号の印加に伴う発熱によるキャビティ内の液体の温度上昇を抑制しつつ、キャビティ内に充填された液体の増粘を抑制できる。
上記液体吐出装置においては、前記圧電素子の変位に伴って発生する当該圧電素子の残留振動を用いて、前記キャビティに充填された前記液体の状態を判定する判定部を備え、前記駆動信号印加部は、前記液体の状態を判定する前記残留振動を発生させるように前記圧電素子を変位させる信号波形を含む第3の駆動信号を、前記圧電素子に対して前記第1の駆動信号を印加した後に印加することが好ましい。
この構成によれば、液体の増粘が、残留振動を用いた液体の状態(例えば吐出不良)の判定精度に与える影響を低減できる。
上記液体吐出装置において、前記駆動信号印加部は、前記第1の駆動信号を、前記第3の駆動信号よりも前に前記圧電素子に対して複数回印加することが好ましい。
この構成によれば、液体の増粘が、残留振動を用いた液体の状態の判定精度に与える影響を安定して低減できる。
上記液体吐出装置において、前記駆動信号印加部は、前記圧電素子に、前記第1の駆動信号を印加した後に、前記第2の駆動信号が印加されない期間を挟んで前記第3の駆動信号を印加することが好ましい。
この構成によれば、判定対象キャビティについて液体の状態の判定を精度よく行うことができる。
上記液体吐出装置において、前記液体吐出ヘッドは、第1の圧電素子と、第2の圧電素子と、を含む複数の前記圧電素子と、前記第1の圧電素子に対応する第1のキャビティと、前記第2の圧電素子に対応する第2のキャビティと、を含む複数の前記キャビティと、前記第1のキャビティに対応する第1のノズルと、前記第2のキャビティに対応する第2のノズルと、を含む複数の前記ノズルと、を有し、前記第1のノズルと前記第2のノズルとは隣接して設けられ、前記駆動信号印加部は、前記第2の圧電素子に第2の駆動信号が印加されない期間において前記第1の圧電素子に前記第3の駆動信号を印加し、前記第1の圧電素子に第2の駆動信号が印加されない期間において前記第2の圧電素子に前記第3の駆動信号を印加することが好ましい。
この構成によれば、複数の判定対象キャビティについての液体の状態の判定をノズルの並び順に連続して行うことができる。
上記液体吐出装置において、前記液体吐出ヘッドは、前記圧電素子が形成された圧電素子形成基板を有し、前記駆動信号印加部は、基板両面のうちの一方の面が前記圧電素子形成基板と対峙する配線基板と、前記配線基板の基板両面のうちの他方の面に対峙する集積回路素子と、を有することが好ましい。
この構成によれば、駆動信号印加部が圧電素子(キャビティ)の近傍に存在する構成の液体吐出装置において、液体吐出ヘッド内の発熱によるキャビティ内の液体の温度上昇を抑制しつつ、液体の増粘を抑制できる。
上記課題を解決する液体吐出装置の制御方法は、印加される駆動信号により変位する圧電素子と、液体が充填されるとともに前記圧電素子の変位によって容積が変化するキャビティと、前記キャビティに連通し前記キャビティの容積が変化することによって前記液体を吐出可能なノズルと、を有する液体吐出ヘッドと、前記駆動信号を前記圧電素子へ印加する駆動信号印加部と、を備える液体吐出装置の制御方法であって、前記圧電素子に対して、前記液体が吐出しない程度に前記圧電素子を変位させる信号波形を含む第1の駆動信号を、前記圧電素子を変位させる第2の駆動信号が印加されない期間を分断するように、前記駆動信号印加部の前記圧電素子への前記駆動信号の印加を制御する。
この方法によれば、液体吐出ヘッド内の発熱によるインクの温度上昇を抑制しつつ、ノズル内の液体の増粘を抑制できる。
上記制御方法において、前記キャビティに充填された前記液体の状態を判定するための残留振動を発生させるように前記圧電素子を変位させる信号波形を含む第3の駆動信号を、前記圧電素子に対して前記第1の駆動信号の印加後に印加するように前記駆動信号印加部の前記圧電素子への前記駆動信号の印加を制御することが好ましい。
この方法によれば、液体の増粘が、残留振動を用いた液体の状態(例えば吐出不良)の判定精度に与える影響を低減できる。
液体吐出装置の一実施形態の構成を模式的に示す斜視図。 液体吐出装置に取り付けられたヘッドユニットを示す平面図。 ヘッドユニットが備えるヘッドモジュールの構成を示す図であって、図2における3−3線矢視断面図。 圧電素子を駆動する各電圧信号を生成する回路構成を示す回路ブロック図。 第1実施例における駆動信号を含む各電圧信号の信号波形を示す波形図。 駆動信号の信号波形を選択する制御信号のデータ構成を示すテーブル。 ヘッドモジュールのノズルからの液体の吐出状態を示す模式図。 第2実施例における駆動信号を含む各電圧信号の信号波形を示す波形図。 駆動信号の信号波形を選択する制御信号のデータ構成を示すテーブル。 ヘッドモジュールのノズルからの液体の吐出状態を示す模式図。 変形例におけるヘッドモジュールのノズルからの液体の吐出状態を示す模式図。
以下、液体吐出装置の一実施形態について、図を参照して説明する。
図1に示すように、液体吐出装置11は、媒体の一例である用紙Pに、ヘッドユニット20から液体の一例であるインクを吐出して印刷(記録)を行うインクジェット式のプリンターである。本実施形態では、用紙Pに印刷を行う際にヘッドユニット20と対向する位置において用紙Pが一方向に搬送される。この用紙Pが搬送される方向を搬送方向Yとし、この搬送方向Yと交差(好ましくは、直交)する用紙Pの幅方向に沿う一方向を走査方向Xとする。すなわち、本実施形態の走査方向X及び搬送方向Yは、互いに交差(好ましくは、直交)する方向であって、下方となる重力方向Zといずれも交差(好ましくは、直交)する方向である。
液体吐出装置11は、略矩形箱状をなすフレーム12内の下部に、走査方向Xを長手方向として媒体支持台13が延設されると共に、フレーム12の下部には紙送りモーター14が備えられている。そして、この紙送りモーター14の駆動を通じて搬送機構(図示略)によって、用紙Pが媒体支持台13上を通過するように搬送方向Yに搬送される。
また、フレーム12内における媒体支持台13の上方には、該媒体支持台13の長手方向である走査方向Xに沿って軸線を有するガイド軸15及び走査方向Xに沿って平坦面が所定幅で細長く延在するガイド板16が架設されている。このガイド軸15およびガイド板16に沿って、媒体支持台13上を搬送される用紙Pの幅方向、すなわち搬送方向Yと交差する走査方向Xに移動可能なキャリッジ21が備えられている。
詳しくは、ガイド軸15は、円柱又は円筒状の軸であり、キャリッジ21の搬送方向Y側とは逆側においてキャリッジ21を走査方向Xに貫通するように形成された支持孔に挿通されている。ガイド板16は、キャリッジ21の搬送方向Y側において突出するように形成された突出部21aを下方から支持するように配設されている。従って、キャリッジ21は、このガイド軸15とガイド板16とに支持されながら案内され、用紙Pの印刷面上を走査方向Xに沿って往復移動可能である。
フレーム12においてガイド軸15の両端の近傍にあたる位置には、駆動プーリー17aと従動プーリー17bとがそれぞれ回転自在に支持されている。駆動プーリー17aにはキャリッジモーター18の出力軸が連結されると共に、駆動プーリー17aと従動プーリー17bとの間には一部がキャリッジ21に連結された無端状のタイミングベルト17が巻き掛けられている。従って、キャリッジモーター18を駆動することによって、タイミングベルト17を介してキャリッジ21がガイド軸15及びガイド板16に案内されながら走査方向Xに沿って往復移動する。
この往復移動するキャリッジ21において、用紙Pに対してインクを吐出して印刷を行うヘッドユニット20がその重力方向Z側に取り付けられている。また、キャリッジ21には、ヘッドユニット20へ供給するインクを収容したインクカートリッジ22が装着される。本実施形態では、4種類のインク(例えば、シアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの4色のインク)がそれぞれ収容された4つのインクカートリッジ22がキャリッジ21に装着される。
液体吐出装置11には、ヘッドユニット20からインクを吐出させるための電気信号をヘッドユニット20へ供給する信号供給部としてのメイン基板50を収納した収納部19がフレーム12に備えられる。収納部19に収容されたメイン基板50とヘッドユニット20との間は、電気信号が伝送されるフレキシブル基板であるFPC51によって電気的に接続されている。
図2に示すように、ヘッドユニット20には、インクを吐出する複数のノズルNが搬送方向Yに列状に並んで設けられたヘッドモジュール23が、4つのインクカートリッジ22のそれぞれに対応して、走査方向Xに沿って4つ配列されている。ちなみに、本実施形態では、一列14個のノズルN1〜N14が2列設けられた状態とされ、それぞれの列をノズル列Na,Nbと称する場合がある。また、本実施形態では、インクを吐出する4つのヘッドモジュール23はそれぞれ同じ構成を有し、4つのヘッドモジュール23のそれぞれに対応した電気信号がFPC51を介してそれぞれのヘッドモジュール23に伝送される。
次に、図3を参照して、ヘッドモジュール23の構造を説明する。
図3に示すように、ヘッドモジュール23には、インクの流路を形成する流路ユニット30と、ノズルNからインクを吐出させる液体吐出ヘッド40とが、互いに積層された状態でモジュールケース25に取り付けられている。なお、ここでは、流路ユニット30と液体吐出ヘッド40の積層方向は鉛直方向(重力方向Z)に沿う上下方向とされている。
流路ユニット30は、下側(重力方向Z側)から順に、複数のノズルNが形成されたノズル板31と、流路基板32と、圧力室基板33と、振動基板41とを備え、これらが積層状態で互いに固定された構造体である。このような構造体である流路ユニット30には、ノズルNに連通するノズル連通室35と、ノズル連通室35に連通する圧力室36と、圧力室36に連通する液体供給路37と、液体供給路37に連通する共通液室38とが形成されている。このうち、ノズル連通室35、圧力室36及び液体供給路37は各ノズルNに対応して形成され、共通液室38は1つのヘッドモジュール23において複数のノズルNに対して同じ種類のインクが供給されるように全てのノズルNに渡って連続(連通)するように形成されている。
モジュールケース25は略箱体状部材であり、その内部には流路ユニット30における共通液室38にインクカートリッジ22からインクを導入する液体流路の一例である液体導入路39が形成されている。この液体導入路39は、共通液室38と共に、流路ユニット30に複数並設された圧力室36に共通なインクが貯留される空間である。本実施形態では、2列に並設された圧力室36の列に対応して、液体導入路39が2つ形成されている。
液体吐出ヘッド40は、この流路ユニット30の上側に積層されている。すなわち、液体吐出ヘッド40は、下側(重力方向Z側)から順に、圧電素子PZが形成された振動基板41と、配線基板60と、所定の出力電圧を出力する集積回路素子の一例である駆動IC65とを備えている。換言すれば、液体吐出ヘッド40には、両方の基板面のうちの、一方の基板面となる第1の面60aが駆動IC65と対峙し、他方の基板面となる第2の面60bが振動基板41と対峙する配線基板60が備えられている。
振動基板41は、弾性的に振動可能な板状の部材であり、流路ユニット30の圧力室36を構成すると共に、圧力室36とは反対側の基板面に各ノズルNに対応する複数の圧電素子PZが形成されている。詳しくは、圧電素子PZは、電圧が印加されることによって駆動(伸縮)する圧電体42と、この圧電体42を挟むように、上下方向におけるその両側に、それぞれ第1の電極43と第2の電極44とを有している。第1の電極43は、各圧力室36(各ノズルN)に対応して圧電体42に形成された個別の電極であり、第2の電極44は、振動基板41の板面上に形成された電極であって、複数の圧力室36(複数のノズルN)に対応して形成された複数の圧電素子PZに共通する電極である。そして、第1の電極43と第2の電極44との間に電圧が印加されることによって圧電体42が伸縮変位し、振動基板41を振動(湾曲変位)させることによって圧力室36内のインクを加圧してノズルNからインクを吐出させる。
したがって、圧力室36は、インクが充填されるとともに圧電素子PZの変位によって容積が変化するキャビティに相当し、この圧力室36に連通するノズルは、この圧力室36の容積が変化することによって液体を吐出可能である。なお、ここでは、圧電素子PZが形成された振動基板41を圧電素子形成基板45と呼称する。
配線基板60には、第1の面60aにおいて、駆動IC65と電気的に接続され、駆動IC65から出力される出力電圧が伝送される複数の第1の出力端子91と第2の出力端子92とが形成されている。すなわち、駆動IC65は、複数の圧電素子PZに対して選択的に出力電圧を供給するための電気回路などが集積して搭載された集積回路素子であり、その回路形成面である能動面にバンプ69aとバンプ69bとが形成されている。そして、集積回路素子の一例である駆動IC65は、バンプ69aによって第1の出力端子91と電気的に接続されるとともにバンプ69bによって第2の出力端子92と電気的に接続されることによって、配線基板60の第1の面60aに取り付けられている。
また、配線基板60には、第1の出力端子91および第2の出力端子92とそれぞれ電気的に接続された複数の貫通配線63が形成され、さらにその第2の面60bにおいて、複数の貫通配線63とそれぞれ電気的に接続された接続配線63aおよび接続配線63bが形成されている。すなわち、配線基板60の第1の面60a側に形成された第1の出力端子91および第2の出力端子92は、配線基板60に設けられた貫通配線63を介して、配線基板60の第2の面60b側に設けられた接続配線63aおよび接続配線63bと電気的に接続される。
さらに、配線基板60には、第2の面60bにおいて、圧電素子形成基板45とそれぞれ電気的に接続された第1の導通端子61および第2の導通端子62が形成されている。本実施形態では、第1の導通端子61は、内部樹脂64aとこの内部樹脂64aを覆うように形成された接続配線63aとによって構成された樹脂バンプであり、第2の導通端子62は、内部樹脂64bとこの内部樹脂64bを覆うように形成された接続配線63bとによって構成された樹脂バンプである。したがって、駆動IC65から出力された出力電圧は、配線基板60の第2の面60b側に設けられた第1の導通端子61に伝送されるとともに、配線基板60の第2の面60b側に設けられた第2の導通端子62に伝送される。そして、第1の導通端子61に伝送された出力電圧が圧電素子形成基板45の第1の電極43に供給され、第2の導通端子62に伝送された出力電圧が圧電素子形成基板45の第2の電極44に供給されることにより、各ノズルNからインクが吐出される。
本実施形態の液体吐出ヘッド40においては、FPC51を介してメイン基板50から伝送された電気信号は配線基板60に入力され、入力された電気信号に基づいて駆動IC65から所定の出力電圧(駆動電圧)が出力される。
図4を参照して、FPC51を介してメイン基板50から伝送される電気信号と、駆動IC65から出力される出力電圧について説明する。なお、本実施形態では、ヘッドユニット20に配列された4つのヘッドモジュール23において、FPC51を介して伝送される電気信号の生成や圧電素子PZに出力される出力電圧の生成は、同様の回路構成で行われる。したがって、ここでは、代表して1つのヘッドモジュール23について説明する。
図4に示すように、メイン基板50には、メイン制御部52と、2つの電圧信号生成回路53,54と、定電圧生成回路55とが設けられている。また、液体吐出ヘッド40が有する駆動IC65は、圧電素子PZの第1の電極43に駆動電圧VTおよび第2の電極44に定電圧VBSを出力電圧としてそれぞれ出力するための電気回路が構成されている。
メイン制御部52は、印刷対象となる印刷データがホストコンピューター等から供給されたときに、電圧信号生成回路53,54や駆動IC65の電気回路を制御するための各種の制御信号等を出力する。具体的には、メイン制御部52は、一方の電圧信号生成回路53にデジタルのデータdAを繰り返して供給し、他方の電圧信号生成回路54にデジタルのデータdBを繰り返して供給する。ここで、データdAは、液体吐出ヘッド40に伝送される電気信号である第1の電圧信号の信号波形を規定し、データdBは、液体吐出ヘッド40に伝送される電気信号である第2の電圧信号の信号波形を規定する。
一方の電圧信号生成回路53は、繰り返し供給されるデータdAをアナログ電圧に変換した後に、例えばD級増幅により増幅したアナログの第1の電圧信号を駆動信号COM−Aとして液体吐出ヘッド40に出力する。同様に、他方の電圧信号生成回路54は、繰り返し供給されるデータdBをアナログ電圧に変換した後に、例えばD級増幅により増幅したアナログの第2の電圧信号を駆動信号COM−Bとして液体吐出ヘッド40に供給する。なお、2つの電圧信号生成回路53,54については、入力するデータおよび出力する電圧信号の信号波形が異なるのみであり、その回路構成は同一であって、一定の電圧VHが電源として用いられる。
また、メイン制御部52は、キャリッジモーター18や紙送りモーター14の駆動を制御して、キャリッジ21の移動および用紙Pの搬送を制御する制御信号Scを出力するとともに、この制御信号Scに同期して、液体吐出ヘッド40に各種の制御信号Ctrを電気信号として液体吐出ヘッド40に供給する。この制御信号Ctrは2値のデジタル電圧信号であり、本実施形態では、印刷周期TPを規定するラッチ信号LAT、印刷周期TPを前半と後半の2つの期間に区切るチェンジ信号CH、ノズルNから吐出させるインクの量を規定する画像データSI、画像データSIと駆動信号COM−A,COM−Bとの関係を規定する波形選択データSP等を含む。すなわち、波形選択データSPは、印刷周期TPにおける前後半の各期間において駆動信号COM−Aあるいは駆動信号COM−Bを圧電素子PZに印加するか、しないかを規定するデータである。
また、メイン基板50からは、駆動信号COM−A,COM−Bおよび制御信号Ctrの他に、定電圧生成回路55が生成した定電圧VBS(図5参照)がFPC51を介して供給される。さらに、駆動IC65における電気回路(ロジック回路)などの駆動用の電圧VDDと、接地(グランド)の電位(0V)となる電圧GNDとが、FPC51を介して供給される。
図5に示すように、本実施形態における駆動信号COM−Aは、印刷周期TPのうち、前半(前半期間)に配置された台形波形Adp1と、後半(後半期間)に配置された台形波形Adp2とを連続させた信号波形である。台形波形Adp1と台形波形Adp2とは、電圧Vcを中心に電圧値が上側(増加側)と下側(減少側)の上下両側に変化するほぼ同一の波形である。これらの波形は、いずれも、それが圧電素子PZの第1の電極43に供給された場合、その圧電素子PZに対応するノズルNから中程度の量のインクが吐出するように圧電素子PZを変位させる波形(信号波形)である。
また、本実施形態における駆動信号COM−Bは、印刷周期TPのうち、前半に配置された台形波形Bdp1と、後半に配置された台形波形Bdp2とを連続させた信号波形である。台形波形Bdp1は電圧Vcに対して電圧値が下側に変化する波形であり、台形波形Bdp2は台形波形Bdp1とは異なり電圧Vcを中心に電圧値が上下両側に変化する波形である。このうち、台形波形Bdp1は、ノズルNの付近におけるインクを微振動させてインクの粘度の増大を防止するための波形(信号波形)である。すなわち、台形波形Bdp1は、それが圧電素子PZの第1の電極43に印加された場合、その圧電素子PZに対応するノズルNからインク(インク滴)が吐出しない程度に圧電素子PZを変位させて圧力室36内のインクを微振動させる信号波形である。
また、台形波形Bdp2は、それが圧電素子PZの第1の電極43に印加された場合、その圧電素子PZに対応するノズルNから、台形波形Adp1または台形波形Adp2が第1の電極43に印加された場合に吐出する中程度の量よりも少ない小程度の量のインクが吐出するように圧電素子を変位させる波形(信号波形)である。
なお、印刷周期TPとは、印刷動作において1ドットの形成に要する期間であり、ラッチ信号LATのパルス入力によって印刷周期TPの開始(前半の開始)が規定され、続くチェンジ信号CHのパルス入力によって、後半の開始が規定される。また、印刷周期TPは、ラッチ信号LATの間にチェンジ信号CHが複数入力されることによって、3つ以上の複数の期間に区分されてもよい。もとより、この場合、駆動信号COM−A,COM−Bは、区分された数に応じた信号波形とされることが好ましい。
図4に戻り、液体吐出ヘッド40に備えられた駆動IC65は、選択制御部66と、圧電素子PZに一対一に対応した選択部67とを、複数の圧電素子PZに対して選択的に電圧を供給するための電気回路として有している。選択部67は、選択制御部66から出力される選択信号Sa,Sbに応じて、メイン基板50からFPC51を介して伝送される駆動信号COM−Aと駆動信号COM−Bとを選択的に1つの圧電素子PZの第1の電極43へ出力することによって、当該圧電素子PZに対して駆動信号を印加する。
また、駆動IC65は、一定の電圧を1つの圧電素子PZの第2の電極44に出力する。すなわち、本実施形態では、メイン基板50からFPC51を介して伝送される定電圧VBSが、配線基板60を介して駆動IC65に入力される。その後、入力された定電圧VBSは、駆動IC65から再び配線基板60に設けられた第2の導通端子62を介して、液体吐出ヘッド40の複数の圧電素子PZの第2の電極44に対して出力される。したがって、本実施形態では、駆動IC65が有する選択制御部66および選択部67と、配線基板60とが、駆動信号を圧電素子PZに印加する駆動信号印加部として機能する。
このように駆動IC65から各圧電素子PZに駆動電圧VTが選択的に出力されることによって、各圧電素子PZは、出力された駆動電圧VTがその第1の電極43に印加され、出力された定電圧VBSがその第2の電極44に印加される。その結果、圧電素子PZには、駆動電圧VTと定電圧VBSとの差分電圧(電位差)に応じた伸縮が生じ、この伸縮に伴って各ノズルNからインクが吐出される。そして、吐出されるインク量に応じて、用紙Pに異なるサイズのドットが形成される。
また、本実施形態では、圧電素子PZの変位に伴って発生する当該圧電素子PZの残留振動を用いて、圧力室36に充填されたインクの状態を判定する。このため、駆動IC65は、各圧電素子PZに対応して設けられインクの状態判定の対象となる圧力室36に対応する圧電素子PZを選択する素子選択部68と、増幅部69とを有している。また、メイン基板50は、圧力室36に充填されたインクの状態を判定する判定部59を有している。
各素子選択部68は、オンオフが選択制御部66により制御されるスイッチであり、その入力端が圧電素子PZの一端(第1の電極43)に接続され、その出力端が増幅部69の入力端に接続されている。そして、各素子選択部68のうち、インクの状態の判定対象の素子選択部68のみが、特定の期間においてオンに制御される。また、増幅部69は、入力信号つまり残留振動を示す電圧信号を所定の増幅率で電圧増幅したのちデジタル変換したデータを判定部59に出力する。
判定部59は、増幅部69から出力されたデジタル変換後のデータを例えばFFT(高速フーリエ変換)などによって解析し、解析したデータを用いて、インクの状態、とりわけインクの吐出状態を判定する。例えば、判定部59は、正常、ノズル詰まり、気泡発生などの典型的な状態を示すデータを予め記憶しておくとともに、記憶したデータと解析したデータとを比較して、一致または近い状態のものを圧力室36のインクの状態と判定して、メイン制御部52に通知する。
さて、本実施形態の液体吐出装置11では、駆動信号印加部は、インクが吐出しない程度に圧電素子PZを変位させる第1の駆動信号を、圧電素子PZを変位させる第2の駆動信号が印加されない期間を分断するように、圧電素子PZに対して印加する。この実施例について、以下図を参照して説明する。
(第1実施例)
本実施例では、選択制御部66および選択部67は、複数の印刷周期TP分の期間においてドットが印刷されない場合、第2の駆動信号が印加されない期間が連続しないように、つまり第2の駆動信号が印加されない期間を分断するように、台形波形Bdp1の信号波形を有する第1の駆動信号を圧電素子PZに印加する。
図6に示すように、本実施例では、メイン制御部52から選択制御部66に供給される制御信号Ctrにおいて、印刷周期TPの開始を規定するラッチ信号LATと、当該印刷周期TPにわたって印刷すべきドット、つまりノズルNから吐出させるインクの量を規定する画像データSIと波形選択データSPとが供給される。
詳しくは、図6の上側に示すように、画像データSIと波形選択データSPとが、これらのデータとは別に供給されるラッチ信号LATの前に供給されるとともに、画像データSIが先に、波形選択データSPが後に供給される。この画像データSIは2ビットのデータで構成され、その上位ビットSIHが先に、下位ビットSILが後に供給される。そして、このような順序で供給された画像データSIは、選択制御部66において一旦シフトレジスタ等で保持されるとともに、2ビットの画像データSIが、ノズルNに一対一に対応するラッチ回路にラッチ信号LATによって転送されてラッチされる。
また、本実施例では、波形選択データSPとして、データ構成の異なる第1波形選択データSP1と第2波形選択データSP2とが供給され、選択制御部66において一旦シフトレジスタ等で保持される。そして、これらの第1波形選択データSP1と第2波形選択データSP2についても、シフトレジスタからラッチ回路にラッチ信号LATによって転送されて保持される。
選択制御部66は、ノズルNの2ビットの画像データSIに応じて、第1波形選択データSP1あるいは第2波形選択データSP2によって規定され、印刷周期TPにおける前半と後半のそれぞれで規定された選択信号Sa,Sbを、当該ノズルNに対応する選択部67に出力する。
例えば、図6の中央に示す第1波形選択データSP1を含むテーブルにおいて、大ドットを印刷する場合、画像データSIは、SIHが「1」でSILが「1」のデータとなる。この画像データSIに対応する第1波形選択データSP1は、選択信号Saについて前半が「H」で後半が「H」のデータとなり、選択信号Sbについて前半が「L」で後半が「L」のデータとなる。本実施形態では、選択部67は、選択信号Saが「H」の時は駆動信号COM−Aを選択し、選択信号Saが「L」の時は駆動信号COM−Aを選択しないように構成されている。同様に、選択部67は、選択信号Sbが「H」の時は駆動信号COM−Bを選択し、選択信号Sbが「L」の時は駆動信号COM−Bを選択しないように構成されている。
したがって、大ドットを印刷する場合は、印刷周期TPの前半および後半の双方とも駆動信号COM−Aが選択され、圧電素子PZに対して台形波形Adp1と台形波形Adp2とを有する第2の駆動信号が印加される(図5参照)。この結果、ノズルNから中程度の量のインクが2回吐出し、中程度の量の2倍のインク量によって大ドットが形成される。
また、中ドットを印刷する場合、画像データSIは、SIHが「1」でSILが「0」のデータとなる。この画像データSIに対応する第1波形選択データSP1は、選択信号Saについて前半が「H」で後半が「L」のデータとなり、選択信号Sbについて前半が「L」で後半が「H」のデータとなる。したがって、中ドットを印刷する場合、印刷周期TPの前半は駆動信号COM−Aが選択され、印刷周期TPの後半は駆動信号COM−Bが選択され、圧電素子PZに対して台形波形Adp1と台形波形Bdp2とを有する第2の駆動信号が印加される(図5参照)。この結果、ノズルNから中程度の量のインクと小程度の量のインクが吐出して中ドットが形成される。
また、小ドットを印刷する場合、画像データSIは、SIHが「0」でSILが「1」のデータとなる。この画像データSIに対応する第1波形選択データSP1は、選択信号Saについて前半が「L」で後半が「L」のデータとなり、選択信号Sbについて前半が「L」で後半が「H」のデータとなる。したがって、小ドットを印刷する場合、印刷周期TPの前半は駆動信号COM−A,COM−Bのいずれも選択されず、印刷周期TPの後半は駆動信号COM−Bが選択され、圧電素子PZに対して台形波形Bdp2のみを有する第2の駆動信号が印加される(図5参照)。この結果、ノズルNから小程度の量のインクが吐出して小ドットが形成される。
本実施形態では、図6の中央のテーブルに示すように、供給される波形選択データSPが第1波形選択データSP1であれば、ドットを印刷しない場合、画像データSIは、SIHが「0」でSILが「0」のデータとなる。この画像データSIに対応する第1波形選択データSP1は、選択信号Saについて前半が「L」で後半が「L」のデータとなり、選択信号Sbについて前半が「H」で後半が「L」のデータとなる。したがって、第1波形選択データSP1において、ドットを印刷しない場合、印刷周期TPの前半は駆動信号COM−Bが選択され、印刷周期TPの後半は駆動信号COM−A,COM−Bのいずれも選択されない状態となる。この結果、圧電素子PZに対して台形波形Bdp1(図5参照)が印加され、台形波形Bdp1が印加される圧電素子PZに対応する圧力室36に連通するノズルNからインクが吐出しない程度に、圧力室36に充填されたインクを微振動させる。したがって、選択部67は、台形波形Bdp1のみの駆動信号を、ノズルNからインクが吐出しない程度に圧電素子PZを変位させる信号波形を含む第1の駆動信号として、ノズルNに対応する圧電素子PZに印加する。
一方、図6の下側のテーブルに示すように、供給される波形選択データSPが第2波形選択データSP2であれば、ドットを印刷しない場合、画像データSIは、SIHが「0」でSILが「0」のデータとなる。この画像データSIに対応する第2波形選択データSP2は、選択信号Saについて前半が「L」で後半が「L」のデータとなり、選択信号Sbについて前半が「L」で後半が「L」のデータとなる。したがって、波形選択データSPが第2波形選択データSP2であれば、ドットを印刷しない場合、印刷周期TPの前半および後半は駆動信号COM−A,COM−Bのいずれも選択されない。この結果、圧電素子PZは、いずれの台形波形も印加されず、例えば電圧Vcの一定の電圧状態となる。換言すれば、選択部67は、圧電素子PZに対して、圧電素子PZを変位させる信号波形を含まない駆動信号(例えば定電圧信号)を、ノズルNに対応する圧電素子PZに印加する状態となる。
本実施例では、選択制御部66および選択部67は、第2の駆動信号が印加されない期間、つまり各ノズルNからインクが吐出しない非吐出期間Taにおいて、第1の駆動信号を、第2の駆動信号が印加されない期間を分断するように、各ノズルNに対応する圧電素子PZに印加する。すなわち、各ノズルNにおいて、第2の駆動信号が印加されないインクの非吐出期間Taが印刷周期TPの複数倍と長い場合、メイン制御部52は選択制御部66に対して、第1波形選択データSP1と第2波形選択データSP2とを切り替えて供給し、圧電素子PZへの駆動信号の印加を制御する。なお、この制御はノズル列Naとノズル列Nbの双方において同様に行われ、以下の説明では、一方のノズル列Na(ノズルN1〜ノズルN14)を例に説明する。
図7に示すように、本実施例では、ノズル列NaのノズルN1からノズルN14までの各ノズルNにおいて、連続して複数回(ここでは20回)の印刷周期TP分、各ノズルNからインクが吐出しない非吐出期間Taが存在するものとする。この非吐出期間Taは、例えば、メイン制御部52によって、ホストコンピューターから供給される印刷データから抽出される。
メイン制御部52は、図7において一重丸で示すように、この非吐出期間Ta内の最初の印刷周期TPから7回目の印刷周期TPまでの期間T2において、波形選択データSPとして第2波形選択データSP2を選択制御部66に供給する。この結果、選択部67において、印刷周期TPの前半および後半とも駆動信号COM−A,COM−Bのいずれも選択されず、各ノズルNの圧電素子PZには、いずれの台形波形も含まない駆動信号、すなわち、圧電素子PZを変位させる信号波形を含まない駆動信号(例えば定電圧信号)が印加される。
次に、メイン制御部52は、図7において二重丸で示すように、非吐出期間Taの開始から8回目の印刷周期TPの期間T1において、波形選択データSPとして第1波形選択データSP1を選択制御部66に供給する。この結果、選択部67において、印刷周期TPの前半は駆動信号COM−Bが選択され、印刷周期TPの後半は駆動信号COM−A,COM−Bのいずれも選択されない状態となる。したがって、各ノズルNの圧電素子PZに対して、当該圧電素子PZを微振動(詳しくは、ノズルNからインクが吐出しない程度に圧力室36内のインクを微振動)させる台形波形Bdp1を含む第1の駆動信号が印加される。
以降、メイン制御部52は、図7において一重丸で示すように、非吐出期間Ta内において開始から9回目の印刷周期TPから15回目の印刷周期TPまでの期間T2において、波形選択データSPとして第2波形選択データSP2を選択制御部66に供給する。この結果、ドットを印刷しない場合、各ノズルNの圧電素子PZには、いずれの台形波形も含まない駆動信号が再び印加される。そして、図7において二重丸で示すように、非吐出期間Ta内において開始から16回目の印刷周期TPの期間T1において、波形選択データSPとして第1波形選択データSP1を選択制御部66に供給する。この結果、非吐出期間Taにおいて、各ノズルNの圧電素子PZに対して、台形波形Bdp1を含む第1の駆動信号が印加される。
本実施例では、メイン制御部52は、非吐出期間Taにおいて、このように8回の印刷周期TPごとに1回の印刷周期TPに対して、第2波形選択データSP2に替えて第1波形選択データSP1を供給する。この結果、選択制御部66および選択部67は、非吐出期間Ta内において、インクが吐出しない程度に圧電素子PZを変位させる信号波形を含む第1の駆動信号を印加する期間T1によって、圧電素子PZを変位させる信号波形を含む第2の駆動信号が印加されない期間T2を分断するように、圧電素子PZへ第1の駆動信号の印加を制御する。これにより、非吐出期間Taにおいて圧電素子PZの微振動の回数が抑制される。
第1実施例の作用について説明する。
第1実施例では、ノズルNからインクが吐出されない非吐出期間Taにおいて、圧電素子PZの微振動の回数が抑制される。したがって、圧電素子PZを振動(微振動)させる際の駆動信号の印加に伴って駆動ICなどの回路素子や配線に流れる電流に起因して発生する発熱量が、非吐出期間Taにおいて、従来圧電素子PZを印刷周期TPごとに連続して微振動させていた場合に比べて、少なくなるように抑制される。
なお、本実施例においては、非吐出期間Taにおいて、8回の印刷周期TPごとに限らず、例えば4回の印刷周期TPごとなど、複数回の印刷周期TPごとに1回の印刷周期TPにおいて圧電素子PZを微振動させるようにしてもよい。さらには、非吐出期間Taにおいて、複数回の印刷周期TPごとに、連続する2回以上の複数回の印刷周期TPにおいて圧電素子PZを微振動させるようにしてもよい。
上記第1実施例によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)圧電素子PZへの駆動信号(第1の駆動信号)の印加に伴う発熱による圧力室36内のインクの温度上昇を抑制しつつ、圧力室36内に充填されたインクの増粘を抑制できる。
(2)駆動IC65が有する選択制御部66および選択部67が圧電素子PZ(圧力室36)の近傍に存在する構成の液体吐出装置11において、液体吐出ヘッド40内の発熱による圧力室36内のインクの温度上昇を抑制しつつ、インクの増粘を抑制できる。
(第2実施例)
本実施例では、圧電素子PZに対して、圧力室36内のインクの状態を判定する残留振動を発生させるように圧電素子PZを変位させる信号波形を含む第3の駆動信号が印加される。そして、選択制御部66および選択部67は、この第3の駆動信号が印加される前の非吐出期間Taにおいて、第1の駆動信号を、第2の駆動信号が印加されない期間が連続しないように、すなわち第2の駆動信号が印加されない期間を分断するように圧電素子PZに印加する。
図8に示すように、本実施例では、インクの状態を判定する際に選択部67に供給される駆動信号COM−Aは、上記の実施形態における駆動信号COM−A(図5参照)とは異なる台形波形の信号波形とされている。すなわち、印刷周期TPのうち、前半に配置された台形波形Adp1は、インクの状態を判定する残留振動を発生させるように圧電素子PZを変位させる信号波形であり、後半に配置された台形波形Adp2は、ノズルNからインクが吐出しない程度に圧電素子PZを変位させる信号波形である。
図9に示すように、本実施例では、メイン制御部52から選択制御部66に供給される制御信号Ctrにおいて、印刷周期TPの開始を規定するラッチ信号LATと、当該印刷周期TPにわたって印刷すべきドット、つまりノズルNから吐出させるインクの量を規定する画像データSIと波形選択データSPとが供給される。
詳しくは、図9の上側に示すように、画像データSIと波形選択データSPとが、これらのデータとは別に供給されるラッチ信号LATの前に供給されるとともに、画像データSIが先に、波形選択データSPが後に供給される。この画像データSIは2ビットのデータで構成され、その上位ビットSIHが先に、下位ビットSILが後に供給される。そして、このような順序で供給された画像データSIは、選択制御部66において一旦シフトレジスタ等で保持されるとともに、波形選択データSPとともに、ノズルNに一対一に対応するラッチ回路にラッチ信号LATによって転送されてラッチされる。
選択制御部66は、ノズルNの2ビットの画像データSIに応じて、波形選択データSPによって規定され、印刷周期TPにおける前半と後半のそれぞれで規定された選択信号Sa,Sbを、当該ノズルNに対応する選択部67に出力する。
例えば、図9の下側に示す波形選択データSPを含むテーブルにおいて、圧電素子PZを微振動させる場合、画像データSIは、SIHが「0」でSILが「0」のデータとなる。この画像データSIに対応する波形選択データSPは、選択信号Saについて前半が「L」で後半が「H」のデータとなり、選択信号Sbについて前半が「L」で後半が「L」のデータとなる。なお、第1実施例と同様、選択部67は、選択信号Saが「H」の時は駆動信号COM−Aを選択し、選択信号Saが「L」の時は駆動信号COM−Aを選択しないように構成されている。また、選択部67は、選択信号Sbが「H」の時は駆動信号COM−Bを選択し、選択信号Sbが「L」の時は駆動信号COM−Bを選択しないように構成されている。
したがって、ノズルNについて圧電素子PZ(圧力室36)を微振動させる場合は、印刷周期TPの前半は駆動信号COM−A,COM−Bの双方とも選択されず、後半に駆動信号COM−Aが選択され、圧電素子PZに対して台形波形Adp2を有する第1の駆動信号が印加される。この結果、ノズルNからインクが吐出しない程度に圧電素子PZが振動(微振動)する。
また、ノズルNについて圧力室36内のインクの状態を判定する場合、画像データSIは、SIHが「0」でSILが「1」のデータとなる。この画像データSIに対応する波形選択データSPは、選択信号Saについて前半が「H」で後半が「L」のデータとなり、選択信号Sbについて前半が「L」で後半が「L」のデータとなる。したがって、印刷周期TPの前半は駆動信号COM−Aが選択され、印刷周期TPの後半は駆動信号COM−A,COM−Bの双方とも選択されず、圧電素子PZに対して台形波形Adp1を有する駆動信号、つまり第3の駆動信号が印加される。この結果、圧電素子PZは、インクの状態を判定する残留振動が生じるように変位する。
また、ノズルNについて圧電素子PZを変位させない非振動とする場合、画像データSIは、SIHが「1」でSILが「1」のデータとなる。この画像データSIに対応する波形選択データSPは、選択信号Saについて前半が「L」で後半が「L」のデータとなり、選択信号Sbについて前半が「L」で後半が「L」のデータとなる。したがって、印刷周期TPの前後半において駆動信号COM−A,COM−Bのいずれも選択されず、圧電素子PZを変位させる駆動信号が印加されない例えば電圧Vcの一定の電圧状態となる。
なお、本実施例では、図8に示すように、印刷周期TPの前半であって、圧電素子PZに対して第3の駆動信号、すなわち台形波形Adp1の信号波形が印加された後の期間が、圧電素子PZに生ずる残留振動を検出する検出期間とされている。この検出期間において、インクの状態の判定対象のノズルNに対応する素子選択部68がオンするように制御され、増幅部69は、図8において破線の波形で示すように、入力信号つまり残留振動に伴って圧電素子PZに発生する電圧信号を所定の増幅率で電圧増幅したのちデジタル変換したデータを判定部59に出力する(図4参照)。
図10に示すように、本実施例では、選択制御部66および選択部67は、第3の駆動信号を印加する前であって、第2の駆動信号が印加されない期間、つまりノズルNからインクが吐出しない非吐出期間Taにおいて、第2の駆動信号が印加されない期間を分断するように第1の駆動信号の印加を制御する。なお、この制御はノズル列Naとノズル列Nbの双方において同様に行われ、以下の説明では、一方のノズル列Na(ノズルN1〜ノズルN14)を例に説明する。
本実施例では、判定部59は、1つの印刷周期TPごとに1つのノズルNについてインクの状態を判定する。詳しくは、ノズルN1からノズルN14までの14個のノズルに対応する14回の印刷周期TP分を状態判定期間TKとし、この状態判定期間TKの前に5回の印刷周期TP分を加えた計19回の印刷周期TP分を全判定期間として、インクの状態を判定する。そして、図10において一重丸で示すように、判定対象となるノズルNに対して、全判定期間の最初の印刷周期TPから、図10において黒丸で示すように第3の駆動信号が印加される印刷周期TPの1つ前の印刷周期TPまでが非吐出期間Taとされている。
すなわち、この非吐出期間Taにおいて、選択制御部66および選択部67は、供給される画像データSIと波形選択データSPに基づいて、図10において二重丸で示すように、台形波形Adp2を有する第1の駆動信号を、台形波形Adp1を有する第3の駆動信号よりも前に、圧電素子PZに対して印加する。換言すれば、選択制御部66および選択部67は、圧電素子PZに、第1の駆動信号を印加した後に第3の駆動信号を印加するように制御する。
このとき、本実施例では、選択制御部66および選択部67は、非吐出期間Taにおいて、圧電素子PZに、第1の駆動信号を連続する3回の印刷周期TP分となる期間T1印加する。さらに、選択制御部66および選択部67は、圧電素子PZに、第1の駆動信号を印加した後に、第2の駆動信号が印加されない期間T2を挟んで第3の駆動信号を印加する。ここでは、挟まれる第2の駆動信号が印加されない期間T2は1回の印刷周期TP分とされている。この結果、例えば図10においてノズルN14について例示すように、非吐出期間Taにおいて、第2の駆動信号が印加されない期間T2は、第1の駆動信号が印加される期間T1によって分断され、連続しない状態とされている。
さらに、本実施例では、図10に示すように、インクの状態の判定が、ノズルN1からノズルN14まで、そのノズルの並び順に連続して行われる。このとき、今回判定対象となるノズルN2(第1のノズル)の圧電素子PZ(第1の圧電素子)に第3の駆動信号が印加される印刷周期TP2において、このノズルN2に隣接して設けられた次回判定対象となるノズルN3(第2のノズル)の圧電素子PZ(第2の圧電素子)には第2の駆動信号が印加されない。また、各ノズルNに対して第3の駆動信号が印加された後は、第2の駆動信号が印加されない印刷周期TPが連続する非吐出期間Taとされている。したがって、例えば、今回判定対象のノズルN3(第2のノズル)の圧電素子PZ(第2の圧電素子)に第3の駆動信号が印加される印刷周期TP3において、このノズルN3に隣接して設けられた前回判定対象とされたノズルN2(第1のノズル)の圧電素子PZ(第1の圧電素子)には第2の駆動信号が印加されない。
換言すれば、液体吐出ヘッド40は、第1の圧電素子と、第2の圧電素子と、を含む複数の圧電素子PZと、第1の圧電素子に対応する第1の圧力室と、第2の圧電素子に対応する第2の圧力室と、を含む複数の圧力室36と、第1の圧力室に対応する第1のノズルと、第2の圧力室に対応する第2のノズルと、を含む複数のノズルNと、を有する。そして、第1のノズルと第2のノズルとは隣接して設けられ、駆動信号印加部は、第2の圧電素子に第2の駆動信号が印加されない期間において第1の圧電素子に第3の駆動信号を印加し、第1の圧電素子に第2の駆動信号が印加されない期間において第2の圧電素子に第3の駆動信号を印加する。
第2実施例の作用について説明する。
第2実施例では、各ノズルNについて、圧力室36内のインクの状態を判定する前のインクが吐出されない非吐出期間Taにおいて、圧電素子PZを微振動させる駆動信号が印加される印刷周期TPの期間が制御される。したがって、非吐出期間Taにおいて、従来、圧電素子PZを印刷周期TPごとに連続して微振動させていた場合に比べて、インクの状態の判定対象となる圧力室36におけるインクの増粘が抑制されるとともに、圧電素子PZの振動(微振動)に伴う発熱量が少なくなるように抑制される。
上記第2実施例によれば、上記第1実施例での効果(1),(2)に加えて、以下のような効果を得ることができる。
(3)インクの状態を判定する残留振動を発生させる第3の駆動信号を、圧電素子PZに対して第1の駆動信号を印加した後に印加するので、インクの増粘が、残留振動を用いたインクの状態(例えば吐出不良)の判定精度に与える影響を低減できる。
(4)第1の駆動信号を、第3の駆動信号よりも前に圧電素子PZに対して複数回印加するので、インクの増粘が、残留振動を用いたインクの状態の判定精度に与える影響を安定して低減できる。
(5)第1の駆動信号が印加された後に、第2の駆動信号が印加されない期間を挟んで第3の駆動信号が印加されるので、インクの状態の判定前の圧力室36において、圧電素子PZの振動がインクの状態に与える影響が抑制される。したがって、判定対象の圧力室36についてインクの状態の判定を精度よく行うことができる。
(6)隣接する第1のノズルと第2のノズルとの間において、第1のノズルの第1の圧電素子の振動が、第2のノズルと連通する判定対象の圧力室36のインクの状態に影響を与えることを抑制するので、複数の判定対象の圧力室36について、インクの状態の判定をノズルNの並び順に連続して行うことができる。
なお、上記第1実施例、上記第2実施例および上記実施形態の液体吐出装置11は、以下に示す変形例のように変更してもよい。また、各変形例は、任意に組み合わせることができる。
・上記第2実施例において、各ノズルNについて、インクの状態を判定する状態判定期間TKの直前の印刷周期TPまで、印刷データによるドットの形成(印刷)が行われてもよい。また、状態判定期間TKの直後から所定数の印刷周期TP分、各ノズルから所定量のインクを吐出させ、インクの状態が判定された後の各ノズルNについてインクの吐出精度を回復させた後に、印刷データ(画像データSI)に応じた大きさのドットが安定して形成(印刷)されるようにしてもよい。
すなわち、図11に示すように、各ノズルNから印刷データ(画像データSI)に応じてインクが吐出され用紙Pに画像等が印刷される印刷期間に続いて、インクの状態(吐出状態)の判定が行われる状態判定期間TKとしてもよい。この変形例では、印刷期間においては、例えば図5に示す駆動信号と、図6の中央に示すテーブルに規定された画像データSIと第1波形選択データSP1とが供給されるか、もしくは図6の下側に示すテーブルに規定された画像データSIと第2波形選択データSP2とが供給される。一方、状態判定期間TKにおいては、図8に示す駆動信号COM−Aと、図9に示す画像データSIと波形選択データSPとが、それぞれメイン制御部52から選択制御部66に供給され、ノズルN1からノズルN14まで順にインクの状態(吐出状態)の判定が行われる。
その後、図11において網掛けした一重丸で示すように、状態判定期間TK後の複数回(ここでは10回)の印刷周期TP分の期間が、各ノズルNから所定量のインクを吐出させ、ノズルNからのインクの吐出を安定させる回復期間TRとされている。なお、この回復期間TRにおいて電圧信号生成回路53,54から出力される駆動信号は、図8に示す駆動信号ではなく図5に示す駆動信号であってもよい。また、ここでは図示を省略するが、回復に適した信号波形を有する別の駆動信号であってもよい。
さらに、本変形例において、状態判定期間TKにおける印刷周期TPが、印刷期間における印刷周期TPよりも短くなっていてもよい。あるいは、回復期間TRにおける印刷周期TPが、印刷期間における印刷周期TPよりも短くなっていてもよい。もとより、その双方であってもよい。
この場合は、状態判定期間TK(あるいは回復期間TR)において、制御信号Ctrの1つとしてメイン制御部52から選択制御部66へ供給されるラッチ信号LATの出力間隔が、印刷期間における間隔よりも短い時間とされている。例えば、ラッチ信号LATは、印刷期間において16KHZの周波数で規定される時間間隔で出力され、状態判定期間TKにおいて24KHZの周波数で規定される時間間隔で出力される。この結果、状態判定期間TK(あるいは回復期間TR)のラッチ信号LATの出力間隔が、印刷期間におけるラッチ信号LATの出力間隔よりも短くなることによって印刷周期TPが短くなり、インクの状態の判定やインクの吐出回復の処理を速く行うことが可能となる。
なお、出力されるラッチ信号LAT間の時間が短くされた場合は、駆動信号の信号波形も、この短くされたラッチ信号LAT間の時間に応じた信号波形とされることが好ましい。また、回復期間TRにおいてノズルNから吐出されるインクは、媒体支持台13の一部または媒体支持台13外に設けられた図示しない吐出領域(不図示)に吐出されることが好ましい。
・上記第2実施例において、選択制御部66および選択部67は、必ずしも第2の圧電素子に第2の駆動信号が印加されない期間において第1の圧電素子に第3の駆動信号を印加し、第1の圧電素子に第2の駆動信号が印加されない期間において第2の圧電素子に第3の駆動信号を印加しなくてもよい。例えば、隣接する第1のノズルと第2のノズルとの間において、それぞれの圧力室36内のインクの振動が相互干渉しないか干渉度合が低い場合、第1の圧電素子と第2の圧電素子の双方に対して同じ印刷周期TPにおいて第3の駆動信号を印加してもよい。もとより、第1のノズルと第2のノズルが互いに隣接しない場合は、当該ノズルに対応する第1の圧電素子と第2の圧電素子の双方に対して同じ印刷周期TPにおいて第3の駆動信号を印加してもよい。
・上記第2実施例において、選択制御部66および選択部67は、必ずしも、圧電素子PZに微振動を発生させる第1の駆動信号を印加した後に、圧電素子PZを変位させる第2の駆動信号が印加されない期間を挟んで第3の駆動信号を印加する必要はない。例えば、圧力室36内のインクが微振動しても、インクの状態に大きな変化がない場合は、微振動直後の印刷周期TPにおいて残留振動を発生させる第3の駆動信号を、圧電素子PZに印加するようにしてもよい。
なお、この変形例の場合は、第3の駆動信号の信号波形は、圧電素子PZに対してノズルNからインクが吐出しない程度の残留振動を発生させるように圧電素子PZを変位させる波形(電圧波形)であることが好ましい。第3の駆動信号をこのような信号波形を有する駆動信号とすることによって、第3の駆動信号は第1の駆動信号と同様に機能し、非吐出期間Taにおいて、第2の駆動信号が印加されない期間T2を、第1の駆動信号とともに分断する。
・上記第2実施例において、選択制御部66および選択部67は、必ずしも、第1の駆動信号を、第3の駆動信号よりも前に圧電素子PZに対して複数回印加しなくてもよい。例えば1回印加するようにしてもよい。
・上記第2実施例において、選択制御部66および選択部67は、インクの状態を判定する残留振動を発生させるように圧電素子PZを変位させる信号波形を含む第3の駆動信号として、上記実施形態における第2の駆動信号としてもよい。例えば、第3の駆動信号として、図5に示すように、ドットを形成(印刷)する台形波形Adp1、台形波形Adp2および台形波形Bdp2のうちの1つの信号波形を含む駆動信号であってもよい。
・上記第2実施例においては、各ノズルNに対して第3の駆動信号が印加された後の、第2の駆動信号が印加されない印刷周期TPが連続する非吐出期間Taにおいても、第1の駆動信号が、第2の駆動信号が印加されない期間を分断するように印加されてもよい。
・上記実施形態の液体吐出装置11において、上記第1実施例と上記第2実施例との双方が行われる構成であってもよい。なお、この構成の場合は、状態判定期間TKにおける印刷周期TPが、印刷期間における印刷周期TPよりも短くなっていることが好ましい。
・上記実施形態の液体吐出装置11において、駆動信号印加部として機能する選択制御部66と選択部67は、必ずしも、配線基板60の他方の第1の面60aに対峙するように取り付けられた駆動ICに備えられなくてもよい。例えば、選択制御部66と選択部67は、配線基板60に形成された複数の電子部品で構成された電気回路であってもよい。また、駆動信号印加部として機能する選択制御部66と選択部67を有する駆動IC65は、液体吐出ヘッド40側ではなくメイン基板50側に備えられてもよい。
・上記実施形態の液体吐出装置11において、液体吐出ヘッド40に備えられる配線基板60と圧電素子形成基板45とは、必ずしも第1の導通端子61および第2の導通端子62の樹脂バンプを介して電気的に接続される構成でなくてもよい。例えば、配線基板60の第1の出力端子91と圧電素子PZの第1の電極43とが、ワイヤーボンディングによって電気的に接続される構成であってもよい。
・上記実施形態の液体吐出装置11において、インクはインクカートリッジ22からではなく、例えばフレーム12の外側に備えられたインクタンク(図示略)から供給されてもよい。
・上記実施形態の液体吐出装置11は、例えば、長尺の媒体の一例である用紙Pに印刷(記録)を行うラージフォーマットのプリンターであってもよい。この場合、液体吐出装置11は、用紙Pがロール状に巻かれた状態から巻き解かれて媒体支持台13上に搬送されるようにしてもよい。
・上記実施形態の液体吐出装置11は、ヘッドユニット20がキャリッジ21に備えられず、用紙Pの幅全体と対応した長尺状の固定されたヘッドユニット20を備える、所謂ラインプリンターであってもよい。この場合、ヘッドユニット20には複数のヘッドモジュール23が設けられ、各ヘッドモジュール23に設けられた複数のノズルNは、走査方向Xにおいて用紙Pの幅全体に亘るように配列される。
・上記実施形態の液体吐出装置11において、印刷に用いられる液体は、インク以外の流体(液体や、機能材料の粒子が液体に分散又は混合されてなる液状体、ゲルのような流状体、流体として流して吐出できる固体を含むもの)であってもよい。例えば、液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ及び面発光ディスプレイの製造などに用いられる電極材や色材(画素材料)などの材料を分散又は溶解のかたちで含む液状体を吐出して印刷(記録)を行う構成にしてもよい。
・上記実施形態の液体吐出装置11において、媒体は用紙Pに限らず、プラスチックフィルムや薄い板材などでもよいし、捺染装置などに用いられる布帛であってもよい。
11…液体吐出装置、40…液体吐出ヘッド、41…振動基板、42…圧電体、43…第1の電極、44…第2の電極、45…圧電素子形成基板、50…メイン基板、51…FPC、52…メイン制御部、53…電圧信号生成回路、54…電圧信号生成回路、55…定電圧生成回路、59…判定部、60…配線基板(駆動信号印加部の一例)、61…第1の導通端子、62…第2の導通端子、65…駆動IC、66…選択制御部(駆動信号印加部の一例)、67…選択部(駆動信号印加部の一例)、68…素子選択部、69…増幅部、PZ…圧電素子、Sc,Ctr…制御信号、COM−A,COM−B…駆動信号、VT…駆動電圧、VBS…定電圧、VH…電圧、VDD…電圧、GND…電圧、LAT…ラッチ信号、CH…チェンジ信号、SI…画像データ、SP…波形選択データ、Sa,Sb…選択信号、N…ノズル、N1〜N14…ノズル、T1,T2…期間。

Claims (8)

  1. 印加される駆動信号により変位する圧電素子と、液体が充填されるとともに前記圧電素子の変位によって容積が変化するキャビティと、前記キャビティに連通し前記キャビティの容積が変化することによって前記液体を吐出可能なノズルと、を有する液体吐出ヘッドと、
    前記駆動信号を前記圧電素子へ印加する駆動信号印加部と、
    を備え、
    前記駆動信号印加部は、
    前記圧電素子に対して、前記液体が吐出しない程度に前記圧電素子を変位させる信号波形を含む第1の駆動信号を、前記圧電素子を変位させる第2の駆動信号が印加されない期間を分断するように印加することを特徴とする液体吐出装置。
  2. 前記圧電素子の変位に伴って発生する当該圧電素子の残留振動を用いて、前記キャビティに充填された前記液体の状態を判定する判定部を備え、
    前記駆動信号印加部は、前記液体の状態を判定する前記残留振動を発生させるように前記圧電素子を変位させる信号波形を含む第3の駆動信号を、前記圧電素子に対して前記第1の駆動信号を印加した後に印加することを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
  3. 前記駆動信号印加部は、前記第1の駆動信号を、前記第3の駆動信号よりも前に前記圧電素子に対して複数回印加することを特徴とする請求項2に記載の液体吐出装置。
  4. 前記駆動信号印加部は、
    前記圧電素子に、前記第1の駆動信号を印加した後に、前記第2の駆動信号が印加されない期間を挟んで前記第3の駆動信号を印加することを特徴とする請求項2または3に記載の液体吐出装置。
  5. 前記液体吐出ヘッドは、
    第1の圧電素子と、第2の圧電素子と、を含む複数の前記圧電素子と、
    前記第1の圧電素子に対応する第1のキャビティと、前記第2の圧電素子に対応する第2のキャビティと、を含む複数の前記キャビティと、
    前記第1のキャビティに対応する第1のノズルと、前記第2のキャビティに対応する第2のノズルと、を含む複数の前記ノズルと、を有し、
    前記第1のノズルと前記第2のノズルとは隣接して設けられ、
    前記駆動信号印加部は、
    前記第2の圧電素子に前記第2の駆動信号が印加されない期間において前記第1の圧電素子に前記第3の駆動信号を印加し、
    前記第1の圧電素子に前記第2の駆動信号が印加されない期間において前記第2の圧電素子に前記第3の駆動信号を印加する
    ことを特徴とする請求項2ないし4のいずれか一項に記載の液体吐出装置。
  6. 前記液体吐出ヘッドは、前記圧電素子が形成された圧電素子形成基板を有し、
    前記駆動信号印加部は、基板両面のうちの一方の面が前記圧電素子形成基板と対峙する配線基板と、前記配線基板の基板両面のうちの他方の面に対峙する集積回路素子と、を有することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
  7. 印加される駆動信号により変位する圧電素子と、液体が充填されるとともに前記圧電素子の変位によって容積が変化するキャビティと、前記キャビティに連通し前記キャビティの容積が変化することによって前記液体を吐出可能なノズルと、を有する液体吐出ヘッドと、
    前記駆動信号を前記圧電素子へ印加する駆動信号印加部と、
    を備える液体吐出装置の制御方法であって、
    前記圧電素子に対して、前記液体が吐出しない程度に前記圧電素子を変位させる信号波形を含む第1の駆動信号を、前記圧電素子を変位させる第2の駆動信号が印加されない期間を分断するように、前記駆動信号印加部の前記圧電素子への前記駆動信号の印加を制御する制御方法。
  8. 前記キャビティに充填された前記液体の状態を判定するための残留振動を発生させるように前記圧電素子を変位させる信号波形を含む第3の駆動信号を、前記圧電素子に対して前記第1の駆動信号の印加後に印加するように前記駆動信号印加部の前記圧電素子への前記駆動信号の印加を制御する請求項7に記載の制御方法。
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