JP6380153B2 - 駆動信号の生成方法および液体噴射装置 - Google Patents

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Description

本発明は駆動信号の生成方法および液体噴射装置に関し、特に吐出特性を調整する場合に適用して有用なものである。
従来から、圧電素子等の圧力発生手段によって圧力発生室内の液体に圧力を付与することで、ノズル開口から液滴を吐出する液体噴射装置が知られており、その代表例として、所定の印刷データ等に基づきノズル開口からインク滴を吐出するインクジェット式記録装置が挙げられる。かかるインクジェット式記録装置の駆動では印刷データに基づき決定される駆動電圧を圧電素子に印加して駆動することによりノズル開口からインク滴を吐出させて所定の印刷を行うようになっている。この種の駆動信号の中には、例えば小ドット用や大ドット用等、複数種類の単位パルスを組み合わせて生成したものがある。
図6(a)は、例えば小ドット用の単位パルスPU1を示す波形図、図6(b)は、例えば大ドット用の単位パルスPU2を示す波形図である。両図に示すように、単位パルスPU1,PU2は、接地電位GNDに対する所定の電位であって、振幅の基準となる基準電位Vm1,Vm2と、バイアス電位VBS1,VBS2とで規定される。
駆動信号COM1は、図6(c)に示すように、単位パルスPU1,PU2を合成して生成される。この際、単位パルスPU1,PU2の合成により生成される駆動信号COM1は、単位パルスPU2の基準電位Vm2と単位パルスPU1の基準電位Vm1とを合わせ込むことにより行われる。図6に示す場合は、単位パルスPU1の基準電位Vm1を単位パルスPU2の基準電位Vm2に一致させてある。
なお、液体噴射ヘッドの特性のバラツキに起因する液滴吐出特性のバラツキを、バイアス電圧を調整することにより除去して液滴の均一な吐出特性を得ることができる液体噴射装置を開示する公知文献として特許文献1が存在する(特許文献1参照)。
特開2008−229902号公報
上述の如き単位パルスPU1,PU2の合成による駆動信号COM1の生成は、単位パルスPU1,PU2の基準電位Vm1、Vm2を合わせ込むことにより行っているので、単位パルスPU1(図6(a)参照),PU2(図6(b)参照)の基準電位Vm1と基準電位Vm2の値に偏差αを発生している場合、すなわち、駆動信号COM1における基準電位Vm1とバイアス電位VBS1との差(Vm1−VBS1)が単位パルスPU1における差(Vm1−VBS1)、または駆動信号COM1における基準電位Vm2とバイアス電位VBS2との差(Vm2−VBS2)が単位パルスPU2における差(Vm2−VBS2)と異なる場合が発生する。この場合には、合成後の駆動信号COM1のひずみの原因となる。
図6(c)に示す場合は単位パルスPU1の基準電位Vm1を単位パルスPU2の基準電位Vm2に合わせ込んでいるので、駆動信号COM1の単位パルスPU1が成分となる部分の電位が、バイアス電位VBS1に対して偏差αの分だけ上昇してしまう。かかる偏差αは、同じように単位パルスを設計しても、実際には波形合成を行う回路の特性や、圧電素子の特性のバラツキが原因となって発生してしまう。なお、図6に示す場合は、単位パルスPU1の基準電位Vm1を単位パルスPU2の基準電位Vm2に一致させてあり、この結果、差(Vm1−VBS1)が単位パルスPU1と駆動信号COM1とで異なっている場合である。
なお、このような問題はインクを吐出するインクジェット式記録装置に搭載されるアクチュエーターだけではなく、インク以外の液体を噴射する液体噴射装置に搭載されるアクチュエーターや、液体噴射ヘッド以外に搭載されるアクチュエーターにおいても同様に存在する。
本発明は、上記従来技術に鑑み、複数種類の単位パルスを組み合わせて駆動信号を生成する場合において、回路や圧電素子等の特性のバラツキに起因する駆動信号の歪みを除去し得る駆動信号の生成方法および液体噴射装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成する本発明の構成は、圧電素子の駆動により圧力発生室に充填された液体に圧力を作用させて前記圧力発生室に連通するノズル開口から液滴を吐出させる液体噴射ヘッドの駆動信号の生成方法であって、接地電位に対する所定の電位であって、振幅の基準となる基準電位と、バイアス電位とで規定される複数種類の単位パルスを組み合わせて前記圧電素子を駆動する前記駆動信号を生成する一方、時間軸の前後において隣接する前記単位パルス同士の、前記基準電位を一致させるとともに前記単位パルス同士の前記基準電位の差である偏差に応じて各単位パルスのバイアス電位を変化させて各単位パルスの基準電位とバイアス電位との差が、前記駆動信号で対応する部分における基準電位とバイアス電位との差に一致するように前記各バイアス電位を調整し、その後前記単位パルス同士を合成して前記駆動信号を生成することを特徴とする駆動信号の生成方法にある。
本態様によれば、駆動信号において、各単位パルスにおける基準電位とバイアス電位との差を、各単位パルスにおける関係と一致させることができるので、合成後の駆動信号の歪みを除去することができる。
ここで、前記偏差を表すデータは、印刷データとともに記憶しておき、駆動信号を生成する際にそのバイアス電位を変化させるのが望ましい。また、前記偏差は、前記圧電素子の一方の電極に印加する駆動電圧のバイアス電圧を調整することにより形成することもできる。
本発明の他の態様は、駆動信号に基づき圧電素子を駆動することにより圧力発生室に充填された液体に圧力を作用させて前記圧力発生室に連通するノズル開口から液滴を吐出させる液体噴射ヘッドと、前記駆動信号を生成する駆動制御部とを有する液体噴射装置であって、前記駆動制御部は、接地電位に対する所定の電位であって、振幅の基準となる基準電位と、バイアス電位とで規定される複数種類の単位パルスを組み合わせて前記圧電素子を駆動する前記駆動信号を生成する一方、時間軸の前後において隣接する前記単位パルス同士の、前記基準電位を一致させるとともに前記単位パルス同士の前記基準電位の差である偏差に応じて各単位パルスのバイアス電位を変化させて各単位パルスの基準電位とバイアス電位との差が、前記駆動信号で対応する部分における前記基準電位と前記バイアス電位との差に一致するように前記各バイアス電位を調整し、その後前記単位パルス同士を合成して前記駆動信号を生成するように構成したことを特徴とする液体噴射装置にある。
本態様によれば、駆動信号において、各単位パルスにおける基準電位とバイアス電位との差を、各単位パルスにおける関係と一致させることができるので、合成後の駆動信号の歪みを除去することができる。
ここで、前記駆動制御部は、印刷データとともに前記偏差を表すデータを記憶する記憶手段を有するのが望ましい。また、前記駆動制御部で前記基準電位を一致させて生成した駆動信号に対するバイアス電位の偏差を前記バイアス電位に重畳して前記圧電素子の一方の電極に印加するバイアス電圧とすることもできる。
インクジェット式記録ヘッドの概略構成を示す分解斜視図である。 インクジェット式記録ヘッドの平面図及び断面図である。 インクジェット式記録装置を示す概略図である。 本形態の単位パルスとこれを組み合わせた駆動信号を示す波形図である。 インクジェット式記録装置の制御系を示すブロック図である。 従来の単位パルスとこれを組み合わせた駆動信号を示す波形図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。
<インクジェット式記録ヘッドの構造>
先ず、液体噴射ヘッドの一例であるインクジェット式記録ヘッドの構造を説明する。当該インクジェット式記録ヘッドには、所定量のインク滴を吐出させるための駆動電圧とともにバイアス電圧が印加される。
図1は当該インクジェット式記録ヘッドの概略構成を示す分解斜視図であり、図2は、図1の平面図及びそのA−A′線断面図である。これらに図示するように、流路形成基板10は、本形態の場合、面方位(110)のシリコン単結晶基板からなり、その一方の面には予め熱酸化によって二酸化シリコンからなる弾性膜50が形成されている。
流路形成基板10には、他方面側から異方性エッチングすることにより、複数の隔壁11によって区画された圧力発生室12がその幅方向(短手方向)に並設されている。また、流路形成基板10の圧力発生室12の長手方向一端部側には、インク供給路14と連通路15とが隔壁11によって区画されている。また、連通路15の一端には、各圧力発生室12の共通のインク室(液体室)となるマニホールド100の一部を構成する連通部13が形成されている。すなわち、流路形成基板10には、圧力発生室12、連通部13、インク供給路14及び連通路15からなる液体流路が設けられている。
インク供給路14は、圧力発生室12の長手方向一端部側に連通し且つ圧力発生室12より小さい断面積を有する。例えば、本形態では、インク供給路14は、マニホールド100と各圧力発生室12との間の圧力発生室12側の流路を幅方向に絞ることで、圧力発生室12の幅より小さい幅で形成されている。なお、このように、本形態では、流路の幅を片側から絞ることでインク供給路14を形成したが、流路の幅を両側から絞ることでインク供給路を形成してもよい。また、流路の幅を絞るのではなく、厚さ方向から絞ることでインク供給路を形成してもよい。さらに、各連通路15は、インク供給路14の圧力発生室12とは反対側に連通し、インク供給路14の幅方向(短手方向)より大きい断面積を有する。本形態では、連通路15を圧力発生室12と同じ断面積で形成した。すなわち、流路形成基板10には、圧力発生室12と、圧力発生室12の短手方向の断面積より小さい断面積を有するインク供給路14と、このインク供給路14に連通すると共にインク供給路14の短手方向の断面積よりも大きい断面積を有する連通路15とが複数の隔壁11により区画されて設けられている。
一方、流路形成基板10の開口面側には、各圧力発生室12のインク供給路14とは反対側の端部近傍に連通するノズル開口21が穿設されたノズルプレート20が、接着剤や熱溶着フィルム等によって固着されている。ここで、ノズルプレート20は、例えばガラスセラミックス、シリコン単結晶基板又はステンレス鋼等で形成してある。
また、流路形成基板10の開口面と反対側には、上述したように弾性膜50が形成されており、この弾性膜50上には、絶縁体膜55が形成されている。さらに、この絶縁体膜55上には、下電極60、圧電体層70及び上電極80が形成してあり、これら下電極60、圧電体層70及び上電極80で圧電素子300を構成している。
ここで、一般的には、圧電素子300の何れか一方の電極を個別電極とし、他方の電極を共通電極として構成する。また、個別電極及び圧電体層70は各圧力発生室12毎にパターニングして構成する。本形態では、下電極60を圧電素子300の共通電極とし、上電極80を圧電素子300の個別電極としている。そこで、本形態においては共通電極である下電極60に所定のバイアス電圧(後に詳説する)を印加するとともに、個別電極である上電極80に選択的に駆動電圧(後に詳説する)を印加する。勿論、駆動回路や配線の都合で上電極及び下電極を逆にしても支障はない。
また、ここでは、圧電素子300と当該圧電素子300の駆動により変位が生じる振動板とを合わせて圧電アクチュエーターと称する。なお、上述した例では、弾性膜50、絶縁体膜55及び下電極60が振動板として作用するが、勿論これに限定されるものではなく、例えば、弾性膜50及び絶縁体膜55を設けずに、下電極60のみが振動板として作用するようにしてもよい。また、圧電素子300自体が実質的に振動板を兼ねるようにしてもよい。
ここで、圧電素子300の個別電極である各上電極80には、インク供給路14側の端部近傍から引き出され、絶縁体膜55上にまで延設される、例えば、金(Au)等からなるリード電極90が接続されている。
このような圧電素子300が形成された流路形成基板10上、すなわち、下電極60、絶縁体膜55及びリード電極90上には、マニホールド100の少なくとも一部を構成するマニホールド部31を有する保護基板30が接着剤35を介して接合されている。このマニホールド部31は、本実施形態では、保護基板30を厚さ方向に貫通して圧力発生室12の幅方向に亘って形成されており、上述のように流路形成基板10の連通部13と連通されて各圧力発生室12の共通のインク室となるマニホールド100を構成している。
また、保護基板30の圧電素子300に対向する領域には、圧電素子300の運動を阻害しない程度の空間を有する圧電素子保持部32が設けられている。圧電素子保持部32は、圧電素子300の運動を阻害しない程度の空間を有していればよく、当該空間は密封されていても、密封されていなくてもよい。
このような保護基板30としては、流路形成基板10の熱膨張率と略同一の材料、例えば、ガラス、セラミック材料等を用いることが好ましく、本形態では、流路形成基板10と同一材料のシリコン単結晶基板を用いて形成した。
保護基板30には、保護基板30を厚さ方向に貫通する貫通孔33が設けられている。そして、各圧電素子300から引き出されたリード電極90の端部近傍は、貫通孔33内に露出するように設けられている。また、保護基板30上には、並設された圧電素子300を駆動するための駆動回路120が配設されている。この駆動回路120は、当該インクジェット式記録ヘッドIを駆動する駆動電圧とともにバイアス電圧を生成するもので、例えば回路基板や半導体集積回路(IC)等で形成することができる。そして、駆動回路120とリード電極90とは、ボンディングワイヤー等の導電性ワイヤーからなる接続配線121を介して電気的に接続されている。なお、駆動回路120の具体的な構成等は後に詳述する。さらに、保護基板30上には、封止膜41及び固定板42からなるコンプライアンス基板40が接合され、前記封止膜41によってマニホールド部31の一方面が封止されている。また、固定板42は、金属等の硬質の材料で形成される。固定板42のマニホールド100に対向する領域は、厚さ方向に完全に除去された開口部43となっているため、マニホールド100の一方面は可撓性を有する封止膜41のみで封止されている。
このようなインクジェット式記録ヘッドIでは、図示しない外部インク供給手段と接続したインク導入口からインクを取り込み、マニホールド100からノズル開口21に至るまで内部をインクで満たした後、駆動回路120からの記録信号に従い、圧力発生室12に対応するそれぞれの下電極60と上電極80との間に電圧を印加し、弾性膜50、下電極60及び圧電体層70をたわみ変形させることにより、各圧力発生室12内の圧力が高まりノズル開口21からインク滴が吐出する。
かかるインクジェット式記録ヘッドIは、インクカートリッジ等と連通するインクを具備する記録ヘッドユニットの一部を構成して、本発明の実施の形態に係るインクジェット式記録装置IIに搭載される。
<インクジェット式記録装置>
図3は、本形態に係るインクジェット式記録装置IIの一例を示す概略図である。同図に示すように、インクジェット式記録ヘッドIを有する記録ヘッドユニット1A及び1Bは、インク供給手段を構成するカートリッジ2A及び2Bが着脱可能に設けられ、この記録ヘッドユニット1A及び1Bを搭載したキャリッジ3は、装置本体4に取り付けられたキャリッジ軸5に軸方向移動自在に設けられている。この記録ヘッドユニット1A及び1Bは、例えば、それぞれブラックインク組成物及びカラーインク組成物を噴射するものとしている。そして、駆動モーター6の駆動力が図示しない複数の歯車およびタイミングベルト7を介してキャリッジ3に伝達されることで、記録ヘッドユニット1A及び1Bを搭載したキャリッジ3はキャリッジ軸5に沿って移動される。一方、装置本体4には搬送手段としての搬送ローラー8が設けられており、紙等の記録媒体である記録シートSが搬送ローラー8により搬送されるようになっている。なお、記録シートSを搬送する搬送手段は、搬送ローラーに限定されずベルトやドラム等であってもよい。
<インクジェット式記録装置の制御系>
図4は前記インクジェット式記録装置IIにおける制御系で生成される駆動信号を示す波形図である。図4(a)に示す単位パルスPU1は、図6(a)に示す単位パルスPU1と同一であり、図4(b)に示す単位パルスPU2は、図6(b)に示す単位パルスPU2と同一である。
図4(c)に示す、駆動信号COMも、図6(c)に示す駆動信号COM1と同様に、基準電位Vm1と基準電位Vm2とを一致させて生成するが、バイアス電位VBS1,VBS2は、単位パルスPU1と単位パルスPU2との境界で変化させてある。具体的には、本例の場合、単位パルスPU2の先端のバイアス電位VBSは単位パルスPU1の後端のバイアス電位VBSに対して偏差α分だけ低下させてある。このことにより、偏差α(=Vm2−Vm1)を生起している基準電位Vm1,Vm2を一致させて単位パルスPU1、PU2を組み合わせた駆動信号COMを生成しても、その特性が変化することはない。
かかる駆動信号COMは図5に示すようなインクジェット式記録装置IIにおける制御系IIIにより生成する。同図に示すように、当該制御系IIIは駆動制御部101、駆動回路120を有しており、駆動回路120の出力電圧で制御対象であるインクジェット式記録ヘッドIを駆動して所定の印字等を行わせる。
ここで、本形態では、図1ないし図2に示すインクジェット式記録ヘッドIの上電極80、圧電体層70及び下電極60からなる多数の圧電素子300を、例えばノズル開口21毎の集合体の列で形成する複数組(本形態では4組)のノズル列A,B,C,D毎に所定の駆動電圧及びバイアス電圧を印加するようになっている。
駆動制御部101は、演算処理装置102、駆動データ生成部103を有する。ここで、演算処理装置102は、外部のホストコンピューター等に接続されて必要な情報の授受を仲介する外部インターフェース、印刷データ等、各種のデータを一時的に記憶するRAM、制御プログラム等を記憶するROM及び各種の演算処理を行うCPU等を有している。演算処理装置102のRAMには、基準電位Vm1,Vm2、バイアス電位VBS1,VBS2および基準電位Vm1,Vm2の偏差αに関するデータを含む単位パルスPU1、PU2に関するデータが記憶されている。駆動データ生成部103は、演算処理装置102から送出されるデータに基づき、適宜単位パルスPU1,PU2を組み合わせて駆動信号COMを生成する。すなわち、図4(c)に示すように単位パルスPU1,PU2の基準電位Vm1,Vm2を一致させるとともに、バイアス電位VBS1に対して偏差αに基づきバイアス電位VBS2を調整して駆動信号COMとする。
駆動回路120は駆動電圧生成部122及びバイアス電圧生成部123を有している。駆動電圧生成部122は駆動信号COMのデータに基づき圧電素子300の上電極80に印加する駆動電圧を生成する。バイアス電圧生成部123はバイアス電位VBSのデータに基づき圧電素子300の下電極60に印加するバイアス電圧を生成する。このバイアス電圧は単位パルスPU1と単位パルスPU2との境界で偏差αだけ変化する。かくして、単位パルスPU1,PU2の基準電位Vm1,Vm2が一致するように単位パルスPU1,PU2を組み合わせても、圧電素子300には基準電位Vm1とバイアス電位VBS1との差(Vm1−VBS1)および基準電位Vm2とバイアス電位VBS2との差(Vm2−VBS2)が単位パルスPU1,PU2における差(Vm1−VBS1)および差(Vm2−VBS2)と一致する。この結果、単位パルスPU1,PU2を組み合わせて生成する合成後の駆動信号COMの歪みを除去することができる。
<他の実施の形態>
上記実施の形態では、偏差αのデータを演算処理装置102のRAMに記憶させているが、これに限定するものではない。駆動回路120において偏差αに相当する電圧を付与してバイアス電圧を生成するようにしても良い。
また、上記実施の形態では2種類の単位パルスを組み合わせる場合に関して説明したが、単位パルスの種類は、これに限定する必要はない。例えば、大ドット、中ドット、小ドットの3種類の単位パルスを用意して、これらを組み合わせるようにしても良い。また、このときの組み合わせ態様も自由である。
さらに、上記実施の形態では、液体噴射ヘッドの一例としてインクジェット式記録ヘッドIを挙げて本発明を説明したが、本発明は広く液体噴射ヘッド全般を対象としたものであり、インク以外の液体を噴射する液体噴射ヘッドにも勿論適用することができる。その他の液体噴射ヘッドとしては、例えば、プリンター等の画像記録装置に用いられる各種の記録ヘッド、液晶ディスプレイ等のカラーフィルターの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレイ、FED(電界放出ディスプレイ)等の電極形成に用いられる電極材料噴射ヘッド、バイオchip製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等が挙げられる。
I インクジェット式記録ヘッド、 II インクジェット式記録装置、 III 制御系、 COM 駆動信号、 VBS バイアス電位、 Vm1,Vm2 基準電位、 60 下電極、 80 上電極、 101 駆動制御部、 102 演算処理装置、 103 駆動データ生成部、 120 駆動回路、 122 駆動電圧生成部、 123 バイアス電圧生成部、 300 圧電素子

Claims (6)

  1. 圧電素子の駆動により圧力発生室に充填された液体に圧力を作用させて前記圧力発生室に連通するノズル開口から液滴を吐出させる液体噴射ヘッドの駆動信号の生成方法であって、
    接地電位に対する所定の電位であって、振幅の基準となる基準電位と、バイアス電位とで規定される複数種類の単位パルスを組み合わせて前記圧電素子を駆動する前記駆動信号を生成する一方、
    時間軸の前後において隣接する前記単位パルス同士の、前記基準電位を一致させるとともに前記単位パルス同士の前記基準電位の差である偏差に応じて各単位パルスのバイアス電位を変化させて各単位パルスの基準電位とバイアス電位との差が、前記駆動信号で対応する部分における基準電位とバイアス電位との差に一致するように前記各バイアス電位を調整し、その後前記単位パルス同士を合成して前記駆動信号を生成することを特徴とする駆動信号の生成方法。
  2. 請求項1に記載する駆動信号の生成方法において、
    前記偏差を表すデータは、印刷データとともに記憶しておき、駆動信号を生成する際にそのバイアス電位を変化させるようにしたことを特徴とする駆動信号の生成方法。
  3. 請求項1に記載する駆動信号の生成方法において、
    前記偏差は、前記圧電素子の一方の電極に印加する駆動電圧のバイアス電圧を調整することにより形成することを特徴とする駆動信号の生成方法。
  4. 駆動信号に基づき圧電素子を駆動することにより圧力発生室に充填された液体に圧力を作用させて前記圧力発生室に連通するノズル開口から液滴を吐出させる液体噴射ヘッドと、前記駆動信号を生成する駆動制御部とを有する液体噴射装置であって、
    前記駆動制御部は、接地電位に対する所定の電位であって、振幅の基準となる基準電位と、バイアス電位とで規定される複数種類の単位パルスを組み合わせて前記圧電素子を駆動する前記駆動信号を生成する一方、
    時間軸の前後において隣接する前記単位パルス同士の、前記基準電位を一致させるとともに前記単位パルス同士の前記基準電位の差である偏差に応じて各単位パルスのバイアス電位を変化させて各単位パルスの基準電位とバイアス電位との差が、前記駆動信号で対応する部分における前記基準電位と前記バイアス電位との差に一致するように前記各バイアス電位を調整し、その後前記単位パルス同士を合成して前記駆動信号を生成するように構成したことを特徴とする液体噴射装置。
  5. 請求項4に記載する液体噴射装置において、
    前記駆動制御部は、印刷データとともに前記偏差を表すデータを記憶する記憶手段を有することを特徴とする液体噴射装置。
  6. 請求項4に記載する液体噴射装置において、
    前記駆動制御部で前記基準電位を一致させて生成した駆動信号に対するバイアス電位の偏差を前記バイアス電位に重畳して前記圧電素子の一方の電極に印加するバイアス電圧としたことを特徴とする液体噴射装置。
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