JP2015231688A - 3次元造形物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】3次元造形物の直線部の歪みを抑制することができる3次元造形物の製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】3次元造形物の製造方法はインクジェットプリンタにおいて実行される。インクジェットプリンタはインクを作業面に吐出する吐出部と吐出部を主走査方向に往復移動させるキャリッジ駆動部5と作業面を鉛直方向と平行な軸心回りに回転させる軸心回転部を備えインクを露光する。3次元造形物の製造方法は第1の直線部形成工程と回転工程と第2の直線部形成工程を含む。第1の直線部形成工程では主走査方向に移動する吐出部がインクを吐出して3次元造形物の第1の直線部を形成する。回転工程では軸心回転部が作業面を軸心回りに回転させる。第2の直線部形成工程では主走査方向に移動する吐出部がインクを吐出して3次元造形物の第1の直線部に交差する第2の直線部を形成する。
【選択図】図3
【解決手段】3次元造形物の製造方法はインクジェットプリンタにおいて実行される。インクジェットプリンタはインクを作業面に吐出する吐出部と吐出部を主走査方向に往復移動させるキャリッジ駆動部5と作業面を鉛直方向と平行な軸心回りに回転させる軸心回転部を備えインクを露光する。3次元造形物の製造方法は第1の直線部形成工程と回転工程と第2の直線部形成工程を含む。第1の直線部形成工程では主走査方向に移動する吐出部がインクを吐出して3次元造形物の第1の直線部を形成する。回転工程では軸心回転部が作業面を軸心回りに回転させる。第2の直線部形成工程では主走査方向に移動する吐出部がインクを吐出して3次元造形物の第1の直線部に交差する第2の直線部を形成する。
【選択図】図3
Description
本発明は、3次元造形物の製造方法に関する。
吐出したインクなどの造形材を積層していくことによって3次元造形物を形作る3次元プリンタ及び3次元造形物の製造方法が知られている。例えば、下記の特許文献1及び2に記載の3次元プリンタは、3次元造形物の3次元データを複数の層に分割し、その最下層から順に吐出部から造形材を吐出し硬化して積層していくことによって、その3次元データに合わせた3次元造形物を形作る。これらの3次元プリンタは、造形材としてのインクを吐出するインクジェット式のヘッドを備えている。特許文献1及び2の3次元プリンタは、造形材として紫外線硬化インクを使用しており、吐出されて着弾した紫外線硬化インクに対して硬化部から紫外線を照射することで、この紫外線硬化インクを硬化させる。
ところで、前述した特許文献1及び2の3次元プリンタでは、インクを吐出させ、吐出させたインクの滴同士を重ねることなどによって、3次元造形物を造形するので、3次元造形物の所定長さ以上の直線をなす直線部が歪んで湾曲してしまうことがあった。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、3次元造形物の直線部の歪みを抑制することができる3次元造形物の製造方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る3次元造形物の製造方法は、露光することで硬化度が変化するインクを作業面に吐出する吐出部と、前記吐出部を主走査方向に往復移動させる往復移動部と、前記作業面又は前記吐出部を鉛直方向と平行な軸心回りに回転させる軸心回転部と、を備え、前記作業面に吐出されたインクを露光する3次元プリンタにおいて実行される3次元造形物の製造方法であって、前記往復移動部が前記吐出部を前記主走査方向に移動させながら、前記吐出部がインクを吐出して、前記3次元造形物の前記主走査方向と平行な第1の直線部を形成する第1の直線部形成工程と、前記第1の直線部形成工程後に、前記軸心回転部が前記作業面又は前記吐出部を前記軸心回りに回転させる回転工程と、前記回転工程後に、前記往復移動部が前記吐出部を前記主走査方向に移動させながら、前記吐出部がインクを吐出して、前記3次元造形物の前記第1の直線部に交差するとともに前記主走査方向と平行な第2の直線部を形成する第2の直線部形成工程と、を含むことを特徴とする。
この発明では、吐出部を主走査方向に移動させながら吐出部がインクを吐出して主走査方向と平行な第1の直線部及び第2の直線部を形成する。このために、吐出部から吐出されたインクの滴が平面視において主走査方向に直線状に移動することとなる。さらに、吐出部からインクを吐出するので、吐出部から吐出されたインクの滴の直ぐ後方に次に吐出されたインクの滴が位置することとなって、前方の滴が空気を押しのけて気圧が低下した所を後方の滴が進むこととなる。したがって、吐出部から吐出されたインクの滴が主走査方向に沿って直線状に並ぶこととなり、作業面などに着弾した複数のインクの滴も主走査方向に沿って直線状に並ぶこととなる。よって、3次元造形物の直線部の歪みを抑制し、湾曲することを抑制することができる。また、この発明では、作業面又は吐出部を鉛直方向と平行な軸心回りに回転させて、吐出部からインクを吐出できるので、より多種多様な形状の3次元造形物の直線部を歪ませることなく、造形することができる。
本発明に係る3次元造形物の製造方法は、3次元造形物の直線部の歪みを抑制することができる、という効果を奏する。
以下に、本発明に係る3次元造形物の製造方法の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能、且つ、容易なもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。
〔実施形態〕
図1は、実施形態に係るインクジェットプリンタの概略の構成を示す概略構成図である。図2は、図1に示されたインクジェットプリンタにより造形される3次元造形物の一例を示す斜視図である。図3は、実施形態に係るインクジェットプリンタにおいて実行される3次元造形物の製造方法のフローチャートの一例である。図4は、図2に示された3次元造形物の一部の層を造形する前の状態を説明する平面図である。図5は、図4に示された3次元造形物の一部の層の第1の直線部を造形した状態を説明する平面図である。図6は、図5に示された3次元造形物の一部の層を軸心回りに90度回転した状態を説明する平面図である。図7は、図6に示された3次元造形物の一部の層の第2の直線部を造形した状態を説明する平面図である。
図1は、実施形態に係るインクジェットプリンタの概略の構成を示す概略構成図である。図2は、図1に示されたインクジェットプリンタにより造形される3次元造形物の一例を示す斜視図である。図3は、実施形態に係るインクジェットプリンタにおいて実行される3次元造形物の製造方法のフローチャートの一例である。図4は、図2に示された3次元造形物の一部の層を造形する前の状態を説明する平面図である。図5は、図4に示された3次元造形物の一部の層の第1の直線部を造形した状態を説明する平面図である。図6は、図5に示された3次元造形物の一部の層を軸心回りに90度回転した状態を説明する平面図である。図7は、図6に示された3次元造形物の一部の層の第2の直線部を造形した状態を説明する平面図である。
実施形態に係る3次元造形物の製造方法は、図1に示された3次元プリンタとしてのインクジェットプリンタ1において実行される。インクジェットプリンタ1は、いわゆるインクジェット法を用いて、3次元の立体造形物である3次元造形物W(一例を図2に示す)を製造する立体造形装置である。このインクジェットプリンタ1は、典型的には、3次元造形物Wの3次元データに基づいて当該3次元造形物Wを上下方向に複数の層LY(図2に示す)に分割し、その3次元造形物Wの層LY毎の形状データに基づいて造形材(インクを硬化させたもの)を下側の層LYから順に積層していくことで、その3次元データに合わせた3次元造形物Wを形成するものである。
図2に一例を示す3次元造形物Wは、互いに平行な5本の第1の直線部W1と、第1の直線部W1に直交(交差)する5本の第2の直線部W2とを備えて、全体として平面視が格子状に形成されている。第1の直線部W1と第2の直線部W2とは、直線状に延在している。5本の第1の直線部W1は、等間隔に配置され、5本の第2の直線部W2は、等間隔に配置されている。また、第1の直線部W1と第2の直線部W2の長さは、所定長さ以上であり、互いに等しく形成されている。なお、本発明でいう所定長さとは、直線部W1,W2の長手方向に交差する方向に吐出部41を移動させながら吐出部41からインクを吐出して形成した直線部W1,W2が、3次元造形物Wの外観上の美観を歪みが損ねる程度の長さをいう。しかしながら、本発明では、3次元造形物Wの形状はこれに限らない。なお、直線部W1,W2の長さをLとし、長線方向の所定長さをlとすると、L<l/2(ただし、lは、1mm以上とする)。
インクジェットプリンタ1は、図1に示すように、上面が作業面2aをなす載置台2と、主走査方向に設けたYバー3と、キャリッジ4と、キャリッジ駆動部5(往復移動部に相当)と、載置台駆動部6と、制御部7と、入力装置8などを備える。
載置台2の作業面2aは、水平方向(図1に示すX軸とY軸との双方と平行な方向)に平坦に形成され、その上に造形材としてのインクが下側の層LYから順に積層される平面である。載置台2は、例えば、略矩形状に形成されるがこれに限らない。
Yバー3は、載置台2の鉛直方向上側に所定の間隔をあけて設けられる。Yバー3は、水平方向(Y軸)と平行な主走査方向に沿って直線状に設けられる。Yバー3は、キャリッジ4の主走査方向に沿った往復移動をガイドする。
キャリッジ4は、Yバー3に保持され、当該Yバー3に沿って主走査方向に往復移動可能である。キャリッジ4は、主走査方向に移動制御される。キャリッジ4は、鉛直方向に対して載置台2と対向する面に、図示しないホルダ等を介して吐出部41と紫外線照射器42が設けられる。
吐出部41は、露光することで硬化度が変化する造形材としてのインクを作業面2aに吐出するものである。実施形態の吐出部41は、少なくとも、露光することで硬化度が変化するインクとして、3次元造形物Wを形成するインクを吐出する。吐出部41は、キャリッジ4に設けられかつ図示しないインクタンクに貯留されているインクを作業面2aに吐出可能な吐出ノズル(図示せず)を複数備えている。複数の吐出ノズルは、Yバー3の長手方向、即ち主走査方向に沿って並べられている。
吐出部41は、キャリッジ4の主走査方向に沿った移動に伴って主走査方向に沿って往復移動可能である。吐出部41の吐出ノズルは、各種インク流路、レギュレータ、ポンプ等を介してインクタンクと接続されている。吐出部41の吐出ノズルは、インクタンクの数、言い換えれば、同時に印刷可能なインクの種類の数等に応じて単数、あるいは複数が設けられる。吐出部41の吐出ノズルは、インクタンク内のインクを作業面2aに向けてインクジェット方式で吐出することができるインクジェットヘッドである。ここで、露光することで硬化度が変化するインクとしては、例えば、紫外線を照射することで硬化するUV(紫外線)硬化インクを用いることができ、例えば、製造する3次元造形物Wの色彩に応じて、白色インク、着色インク、透明インク等を適宜用いることができる。吐出部41は、制御部7と電気的に接続され、制御部7によってその駆動が制御される。
紫外線照射器42は、作業面2aに吐出されたインクに対して露光可能なものである。紫外線照射器42は、例えば、紫外線を照射可能なLEDモジュール等により構成される。紫外線照射器42は、キャリッジ4に設けられ、キャリッジ4の主走査方向に沿った移動に伴って主走査方向に沿って往復移動可能である。紫外線照射器42は、制御部7と電気的に接続され、制御部7によってその駆動が制御される。
キャリッジ駆動部5は、Yバー3に対してキャリッジ4即ち吐出部41を主走査方向に相対的に往復移動させる駆動装置である。キャリッジ駆動部5は、例えば、キャリッジ4に連結された搬送ベルト等の伝達機構、搬送ベルトを駆動する電動機等の駆動源を含んで構成され、駆動源が発生させた動力を、伝達機構を介してキャリッジ4を主走査方向に沿って移動させる動力に変換し、当該キャリッジ4を主走査方向に沿って往復移動させる。キャリッジ駆動部5は、制御部7と電気的に接続され、制御部7によってその駆動が制御される。
載置台駆動部6は、図1に示すように、鉛直方向移動部61と、副走査方向移動部62と、軸心回転部63とを備える。鉛直方向移動部61は、載置台2をZ軸と平行な鉛直方向に沿って上下移動することで、載置台2に形成された作業面2aを吐出部41に対して相対的に鉛直方向に沿って上下移動させるものである。これにより、載置台駆動部6は、吐出部41、紫外線照射器42等に対して、作業面2aを鉛直方向に沿って接近離間させることができる。つまり、載置台駆動部6は、吐出部41、紫外線照射器42に対して作業面2aを鉛直方向に沿って相対移動可能とする。
副走査方向移動部62は、載置台2を主走査方向に対して直交するX軸と平行な副走査方向に移動させることで、載置台2に形成された作業面2aを吐出部41に対して相対的に副走査方向に沿って往復移動させるものである。これにより、載置台駆動部6は、吐出部41、紫外線照射器42等に対して、作業面2aを副走査方向に沿って往復移動させることができる。つまり、副走査方向移動部62は、吐出部41と、紫外線照射器42と、作業面2aとを副走査方向に相対的に往復移動可能とする。実施形態では、副走査方向移動部62は、載置台2を副走査方向に移動させるが、本発明では、これに限定されることなく、Yバー3毎、吐出部41及び紫外線照射器42を副走査方向に移動させてもよい。
軸心回転部63は、作業面2a又は吐出部41を鉛直方向と平行な軸心回りに回転させるものである。本実施形態の軸心回転部63は、載置台2を鉛直方向と平行な軸心(Z軸)回りに回転することで、載置台2に形成された作業面2aを吐出部41に対して相対的に軸心回りに回転させるものである。これにより、載置台駆動部6は、吐出部41、紫外線照射器42等に対して、作業面2aを軸心回りに回転させることができる。つまり、軸心回転部63は、吐出部41と、紫外線照射器42と、作業面2aとを鉛直方向と平行な軸心回りに回転自在とする。また、本発明では、軸心回転部63は、吐出部41をキャリッジ4及びYバー3毎、鉛直方向と平行な軸心回りに回転させてもよい。
制御部7は、吐出部41、紫外線照射器42、キャリッジ駆動部5、載置台駆動部6等を含むインクジェットプリンタ1の各部を制御する。制御部7は、3次元造形物Wの直線部W1,W2の未造形の層LYの長手方向を主走査方向と平行に位置付けて、吐出部41を主走査方向に移動させながら吐出部41から作業面2aにインクを所定間隔毎に連続して吐出して、3次元造形物Wの直線部W1,W2の未造形の層LYを造形するものである。制御部7は、演算装置、メモリ等のハードウェア及びこれらの所定の機能を実現させるプログラムから構成される。制御部7は、吐出部41を制御し、インク(造形インク)の吐出量、吐出タイミング、吐出期間等を制御する。制御部7は、紫外線照射器42を制御し、照射する紫外線の強度、露光タイミング、露光期間等を制御する。制御部7は、キャリッジ駆動部5を制御し、キャリッジ4の主走査方向に沿った相対移動を制御する。制御部7は、載置台駆動部6を制御し、載置台2の鉛直方向、副走査方向に沿った相対移動及び軸心回りの相対移動、を制御する。
入力装置8は、制御部7に接続され、3次元造形物Wの形状に関する3次元データを入力するものである。入力装置8は、例えば、制御部7に有線/無線で接続されるPC、種々の端末等によって構成される。
次に、図3のフローチャートを参照して、上記で説明したインクジェットプリンタ1を用いた3次元造形物の製造方法の一例を説明する。図3に示された3次元造形物の製造方法は、インクジェットプリンタ1の制御部7によって実行される。なお、図3の説明に際しては、適宜、図4〜図7も参照する。図4〜図7において、各層LYの未造形の部分を点線で示し、造形済みの部分を実線で示す。
実施形態の3次元造形物の製造方法は、形状データ生成工程(ステップST1)と、吐出パターン生成工程(ステップST2)と、第1の直線部形成工程(ステップST3)と、回転工程(ステップST4)と、第2の直線部形成工程(ステップST5)と、移動工程(ステップST7)とを含み、第1の直線部形成工程(ステップST3)と、回転工程(ステップST4)と、第2の直線部形成工程(ステップST5)と、移動工程(ステップST7)とを繰り返し実行し、吐出部41からインクを層LY毎に吐出することで、3次元造形物Wを製造するものである。上記形状データ生成工程(ステップST1)、吐出パターン生成工程(ステップST2)、第1の直線部形成工程(ステップST3)、回転工程(ステップST4)、第2の直線部形成工程(ステップST5)、移動工程(ステップST7)は、インクジェットプリンタ1の制御部7によって当該インクジェットプリンタ1の各部の駆動が制御されることで行われる。
本実施形態の3次元造形物の製造方法では、まず、制御部7は、形状データ生成工程として、3次元造形物Wの層LY毎の形状データを生成する(ステップST1)。この場合、制御部7は、入力装置8から入力される3次元造形物Wの形状に関する3次元データに基づいて、鉛直方向に沿った所定の厚みの層LY毎の3次元造形物Wの形状データを演算、生成する。
次に、制御部7は、吐出パターン生成工程として、3次元造形物Wの各層LY毎の吐出パターンを生成し、当該生成した吐出パターンを実現可能な吐出制御量、露光制御量、キャリッジ駆動部5、載置台駆動部6の制御量などを生成する。制御部7は、軸心回転部63に作業面2aを軸心回りに回転させて、3次元造形物Wの直線部W1,W2を主走査方向と順に平行にし、吐出部41を主走査方向に移動させながら吐出部41からインクを所定間隔毎に連続して吐出して、未造形の直線部W1,W2を造形するキャリッジ4、キャリッジ駆動部5、載置台駆動部6の制御量などを生成する。
具体的には、制御部7は、軸心回転部63に作業面2aを軸心回りに回転させて、未造形の第1の直線部W1を主走査方向と平行に位置付けて、吐出部41を主走査方向に移動させながら吐出部41からインクを所定間隔毎に連続して吐出して第1の直線部W1を造形した後に、作業面2aを鉛直方向と平行な軸心回りに回転させて、未造形の第2の直線部W2を主走査方向と平行に位置付けて、吐出部41を主走査方向に移動させながら吐出部41からインクを所定間隔毎に連続して吐出して第2の直線部W2を造形するキャリッジ4、キャリッジ駆動部5、載置台駆動部6の制御量などを生成する。なお、インクを所定間隔毎に連続的して吐出するとは、吐出部41からインクの滴のうちの前方に位置する滴が空気を押しのけて気圧が低下した所に後方の滴が侵入して、後方の滴が前方の滴に吸引されるように、インクを吐出することをいう。即ち、吐出部41から吐出されたインクの滴のうち後方の滴が前方の滴の発生した気流であるスリップストリームに入ることをいう。
次に、第1の直線部形成工程として、吐出パターン生成工程(ステップST2)の後に、図5に例示するように、生成した吐出パターンとおりに、キャリッジ駆動部5が吐出部41を主走査方向に移動させながら、吐出部41がインクを吐出して、3次元造形物Wの主走査方向と平行な第1の直線部W1を形成する(ステップST3)。
具体的には、制御部7は、3次元造形物Wの各層LYを造形する際には、軸心回転部63を制御して、例えば、図4に示すように、3次元造形物Wのこれから造形する未造形の層LYの第1の直線部W1と第2の直線部W2とのうちの第1の直線部W1の長手方向を主走査方向と平行に位置付ける。さらに、制御部7は、副走査方向移動部62に複数の第1の直線部W1のうちいずれか一つを吐出部41の下方に位置付け、鉛直方向移動部61を制御して、作業面2aの鉛直方向の位置を適切な位置にし、キャリッジ駆動部5を制御して、吐出部41の吐出ノズルを主走査方向の第1の直線部W1を造形するのに適切な位置にする。
そして、制御部7は、キャリッジ駆動部5を制御して、吐出部41の吐出ノズルを主走査方向に移動させながら、吐出パターン生成工程で生成された適切なタイミングで吐出部41の吐出ノズルからインクを所定間隔毎に連続して吐出するとともに紫外線照射器42に露光させる。吐出されたインクは、作業面2aに着弾して硬化される。
制御部7は、必要に応じて、キャリッジ駆動部5を制御して主走査方向に吐出部41を1回以上往復移動させるとともに副走査方向移動部62を制御して作業面2aを副走査方向に相対的に移動させ、吐出部41からインクを吐出させて、第1の直線部W1の層LYを造形する。制御部7は、一つの第1の直線部W1の層LYの造形が完了すると、副走査方向移動部62を制御して作業面2aを副走査方向に相対的に移動させて、次の未造形の第1の直線部W1を吐出部41の下方に位置付ける。そして、制御部7は、先ほどと同様に、次の第1の直線部W1の層LYを造形し、図5に示すように、すべての第1の直線部W1の層LYを順に造形する。
次に、回転工程として、第1の直線部形成工程後に、図6に例示するように、軸心回転部63が作業面2aを軸心回りに回転させる(ステップST4)。具体的には、制御部7は、すべての第1の直線部W1の層LYを造形した後に、軸心回転部63に載置台2を軸心回りに回転させて、図6に示すように、3次元造形物Wのこれから造形する未造形の層LYの第2の直線部W2の長手方向を主走査方向と平行に位置付ける。さらに、制御部7は、副走査方向移動部62に複数の第2の直線部W2のうちいずれか一つを吐出部41の下方に位置付け、キャリッジ駆動部5を制御して、吐出部41の吐出ノズルを主走査方向の第2の直線部W2を造形するのに適切な位置にする。
次に、第2の直線部形成工程として、回転工程後に、キャリッジ駆動部5が吐出部41を主走査方向に移動させながら、吐出部41がインクを吐出して、3次元造形物Wの第1の直線部W1に交差するとともに主走査方向と平行な第2の直線部W2を形成する(ステップST5)。具体的には、制御部7は、第1の直線部W1と同様に、主走査方向に吐出部41を移動させながら、吐出パターン生成工程で生成された適切なタイミングで吐出部41の吐出ノズルからインクを所定間隔毎に連続して吐出するとともに紫外線照射器42に露光させるなどして、複数の第2の直線部W2の層LYを順に造形する。こうして、制御部7は、キャリッジ駆動部5を制御して吐出部41を主走査方向に移動させ、副走査方向移動部62を制御して吐出部41と作業面2aとを副走査方向に相対的に移動させて、直線部W1,W2の各層LYを造形する。
次に、3次元造形物Wの形成が終了したか否かを判定する(ステップST6)。この場合、制御部7は、入力装置8から入力される3次元造形物Wの形状に関する3次元データや、形状データ生成工程(ステップST1)で生成した3次元造形物Wの層LY毎の形状データ等に基づいて、3次元造形物Wの形成が終了したか否かを判定する。
3次元造形物Wの形成が終了していないと判定した場合(ステップST6:No)、移動工程として、第2の直線部形成工程(ステップST5)の後に鉛直方向移動部61を制御して、作業面2aをキャリッジ4から離間する側に1層LY分下降させて(ステップST7)、第1の直線部形成工程(ステップST3)に戻って、第1の直線部形成工程以降のステップを繰り返し実行する。そして、制御部7は、次の層LYに対する第1の直線部形成工程(ステップST3)、回転工程(ステップST4)、第2の直線部形成工程(ステップST5)、移動工程(ステップST7)を繰り返し、最も下側の層LYから順に3次元造形物Wを造形する。
制御部7は、3次元造形物Wの形成が終了したと判定した場合(ステップST6:Yes)、実施形態の3次元造形物の製造方法を終了する。
以上の実施形態に係るインクジェットプリンタ1、及び、3次元造形物の製造方法は、軸心回転部63に作業面2aを軸心回りに回転させて、未造形の所定長さ以上の直線部W1,W2を主走査方向と平行に位置付けて、吐出部41を主走査方向に移動させながら吐出部41がインクを吐出して主走査方向と平行な第1の直線部W1及び第2の直線部W2を形成する。吐出部41は、主走査方向に移動にインクを所定間隔毎に連続して吐出する。このために、インクジェットプリンタ1、及び、3次元造形物の製造方法は、吐出部41から吐出されたインクの滴が平面視において主走査方向に直線状に移動することとなる。
さらに、インクジェットプリンタ1、及び、3次元造形物の製造方法は、吐出部41からインクを所定間隔毎に連続して吐出するので、吐出部41から吐出されたインクの滴の直ぐ後方に次に吐出されたインクの滴が位置することとなって、前方の滴が空気を押しのけて気圧が低下した所を後方の滴が進むこととなる。したがって、吐出部41から所定間隔毎に連続して吐出されたインクの滴が主走査方向に沿って略直線状に並ぶこととなり、作業面2aなどに着弾した複数のインクの滴も主走査方向に沿って直線状に並ぶこととなる。よって、インクジェットプリンタ1、及び、3次元造形物の製造方法は、3次元の3次元造形物Wの直線部W1,W2の歪みを抑制し、直線部W1,W2が湾曲することを抑制することができる。また、インクジェットプリンタ1、及び、3次元造形物の製造方法は、作業面2aを鉛直方向と平行な軸心回りに回転させて、吐出部41からインクを吐出できるので、より多種多様な形状の3次元の3次元造形物Wを造形することができる。
また、インクジェットプリンタ1、及び、3次元造形物の製造方法は、作業面2aを鉛直方向と平行な軸心回りに回転させて、互いに交差する第1の直線部W1と第2の直線部W2を順に造形するので、互いに交差する直線部W1,W2を有する3次元造形物Wであっても、直線部W1,W2の歪みを抑制しながら造形することができる。
さらに、インクジェットプリンタ1、及び、3次元造形物の製造方法は、吐出部41と作業面2aとを主走査方向に加えて副走査方向に相対的に移動させて、吐出部41からインクを吐出できるので、より多種多様な形状の3次元の3次元造形物Wを造形することができる。
次に、本発明の発明者は、本発明の効果について確認した結果を以下の表1に示す。
表1において、本発明品1〜4は、キャリッジ駆動部5に吐出部41を主走査方向に移動させながらインクを吐出した際の作業面2aに着弾したインクの滴の主走査方向の直線状の並び具合を感応評価で示している。比較例1〜4は、副走査方向移動部62に作業面2aを副走査方向に移動させながらインクを吐出した際の作業面2aに着弾したインクの滴の副走査方向の直線状の並び具合を感応評価で示している。なお、表1において、二重丸は、着弾したすべてのインクの滴が直線状に並んだことを示し、丸は、着弾したインクの滴のうちほとんどが直線状に並ぶが、いくつかが直線からずれたことを示し、バツは、着弾したインクの滴のほとんどが直線に並んでいなかったことを示している。
また、本発明品1及び比較例1は、着弾したインクの滴の間隔が2mmとなるように吐出部41の吐出ノズルからインクを吐出した。本発明品2及び比較例2は、着弾したインクの滴の間隔が4mmとなるように吐出部41の吐出ノズルからインクを吐出した。本発明品3及び比較例3は、着弾したインクの滴の間隔が8mmとなるように吐出部41の吐出ノズルからインクを吐出した。本発明品4及び比較例4は、着弾したインクの滴の間隔が16mmとなるように吐出部41の吐出ノズルからインクを吐出した。
表1によれば、比較例1〜4の全てが着弾したインクの滴のほとんどが直線に並んでいなかったのに対し、本発明品1〜3が着弾したインクの滴の全てが直線に並び、本発明品4が着弾したインクの滴のほとんどが直線に並んだ。このように、表1によれば、主走査方向に吐出部41を移動させながら吐出部41の吐出ノズルからインクを所定間隔毎に連続して吐出することで、3次元造形物Wの直線部W1,W2の歪みを抑制できることが明らかとなった。
前述した実施形態では、互いに直交する第1の直線部W1と第2の直線部W2を備えた3次元造形物Wを造形する例を示している。しかしながら、本発明では、これに限らず種々の形状の3次元造形物Wを造形してもよく、もちろん、90度以外の角度で交差する直線部を備えた3次元造形物Wを造形してもよく、もちろん、3以上の直線部を備えた3次元造形物Wを造形してもよい。
また、本発明のインクジェットプリンタ1は、吐出部41が露光することで硬化度が変化するインクとして、3次元造形物Wの輪郭に沿ったサポート体を形成する、硬化後に易水溶性や易アルコール溶性あるいは加熱溶解性を有するサポートインクを吐出してもよい。ここで、露光することで硬化度が変化するサポートインクとしては、例えば、紫外線を照射することで硬化するUV(紫外線)硬化インクを用いることができ、例えば、硬化後の造形インクから剥離しやすいインクを用いることが好ましい。また、サポート体は、3次元造形物Wのオーバーハング部分や孤立部分を造形するために用いられ、これらのオーバーハング部分や孤立部分の輪郭に沿って形成される。サポート体は、その内側に吐出部41の吐出ノズルから造形インクが吐出されて、オーバーハング部分や孤立部分の輪郭を形成する。サポート体は、3次元造形物Wの完成後に当該3次元造形物Wから剥離、除去される。
前述したように、本発明の実施形態を説明したが、本発明は、これらに限定されない。本発明では、実施形態をその他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、組み合わせの変更等を行うことができる。
1 インクジェットプリンタ(3次元プリンタ)
2a 作業面
41 吐出部
5 キャリッジ駆動部(往復移動部)
6 載置台駆動部
61 鉛直方向移動部
62 副走査方向移動部
63 軸心回転部
7 制御部
W 3次元造形物
W1 第1の直線部(直線部)
W2 第2の直線部(直線部)
2a 作業面
41 吐出部
5 キャリッジ駆動部(往復移動部)
6 載置台駆動部
61 鉛直方向移動部
62 副走査方向移動部
63 軸心回転部
7 制御部
W 3次元造形物
W1 第1の直線部(直線部)
W2 第2の直線部(直線部)
Claims (1)
- 露光することで硬化度が変化するインクを作業面に吐出する吐出部と、
前記吐出部を主走査方向に往復移動させる往復移動部と、
前記作業面又は前記吐出部を鉛直方向と平行な軸心回りに回転させる軸心回転部と、を備え、前記作業面に吐出されたインクを露光する3次元プリンタにおいて実行される3次元造形物の製造方法であって、
前記往復移動部が前記吐出部を前記主走査方向に移動させながら、前記吐出部がインクを吐出して、前記3次元造形物の前記主走査方向と平行な第1の直線部を形成する第1の直線部形成工程と、
前記第1の直線部形成工程後に、前記軸心回転部が前記作業面又は前記吐出部を前記軸心回りに回転させる回転工程と、
前記回転工程後に、前記往復移動部が前記吐出部を前記主走査方向に移動させながら、前記吐出部がインクを吐出して、前記3次元造形物の前記第1の直線部に交差するとともに前記主走査方向と平行な第2の直線部を形成する第2の直線部形成工程と、を含むことを特徴とする3次元造形物の製造方法。
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- 2014-06-09 JP JP2014119017A patent/JP2015231688A/ja active Pending
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