以下、本発明に係る実施形態を、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る造形装置10の一例を示す。図1(a)は、造形装置10の要部の構成の一例を示す。本例において、造形装置10は、造形すべき立体物(造形物)50の断面形状を示すデータであるスライスデータを用いて立体物50を造形する造形装置である。この場合、立体物50とは、例えば、三次元構造物のことである。
尚、以下に説明をする点を除き、造形装置10は、公知の造形装置と同一又は同様の構成を有してよい。また、造形装置10は、例えば、公知のインクジェットプリンタの構成の一部を変更した装置であってよい。例えば、造形装置10は、紫外線硬化型インク(UVインク)を用いる二次元画像印刷用のインクジェットプリンタの一部を変更した装置であってよい。また、造形装置10は、図示した構成以外にも、例えば、立体物50の造形や着色等に必要な各種構成を更に備えてよい。
また、本例において、造形装置10は、例えば、造形部52及びサポート部54を有する立体物50を造形する。この場合、造形部52は、造形の完成後に残される立体物50の本体部分である。また、サポート部54は、造形中に造形部52を支えるために造形部52の周囲に形成されるサポート層の部分である。この場合、サポート層とは、例えば、造形中の造形部52の外周を囲むことで造形部52を支持する積層構造物であり、造形完了後に、例えば水により溶解除去される。
本例において、造形装置10は、ヘッド部12、造形台14、データ記憶部16、主走査駆動部18、副走査駆動部20、積材料方向駆動部22、操作部24、及び制御部26を備える。ヘッド部12は、立体物50の材料(造形材料)となる液滴(インク滴)を吐出する部分であり、所定の条件に応じて硬化するインクのインク滴を吐出し、硬化させることにより、立体物50を構成する各部を形成する。
また、本例において、ヘッド部12は、複数のインクジェットヘッドを有する。また、造形材料であるインクとして、例えば、紫外線の照射により硬化する紫外線硬化型インクを用いる。この場合、インクとは、例えば、インクジェットヘッドから吐出する液体のことである。また、インクジェットヘッドとは、例えば、インクジェット方式で液滴を吐出する吐出ヘッドのことである。ヘッド部12のより具体的な構成については、後に更に詳しく説明をする。
造形台14は、造形中の立体物50を支持する台状部材であり、ヘッド部12におけるインクジェットヘッドと対向する位置に配設され、造形中の立体物50を上面に載置する。本例において、造形台14は、少なくとも上面が積材料方向(図中のZ方向)へ移動可能な構成を有しており、積材料方向駆動部22に駆動されることにより、立体物50の造形の進行に合わせて、上面を移動させる。また、これにより、本例の造形装置10においては、ヘッド部12におけるインクジェットヘッドと造形台14との間の距離であるヘッド台間距離を適宜変化させる。
尚、本例において、積材料方向とは、ヘッド部12におけるインクジェットヘッドにより吐出されるインクが重ねて積まれる方向である。この場合、インクジェットヘッドにより吐出されるインクが重ねて積まれる方向とは、例えば、異なるスライスデータに基づいて吐出されるインクが重ねて積まれる方向のことであってよい。また、より具体的に、本例において、積材料方向は、以下において説明をする主走査方向(Y方向)及び副走査方向(X方向)と直交する方向である。また、積材料方向は、ヘッド部12におけるインクジェットヘッドによるインクの吐出方向と平行な方向であってよい。
また、ヘッド台間距離とは、より具体的に、例えば、インクジェットヘッドにおいてノズルが形成されているノズル面と、造形台14の上面との間の距離であってよい。また、立体物50の上面とは、例えば、ヘッド部12により次のインクの層が形成される面(被造形面)のことである。
データ記憶部16は、スライスデータを記憶する記憶部である。また、本例において、スライスデータは、積材料方向と直交する平面による立体物50の断面形状を示す。この場合、積材料方向と直交する平面による立体物50の断面形状とは、例えば、造形時と同じように立体物50を造形台14上に設置した状態で積材料方向と直交する平面による立体物50の断面形状のことである。また、データ記憶部16は、積材料方向における互いに異なる位置での断面形状をそれぞれ示す複数のスライスデータを記憶する。この場合、それぞれのスライスデータは、例えば、積材料方向における各位置での断面形状を示すことで立体物50の三次元情報を示す。
尚、複数のスライスデータのそれぞれは、例えば、積材料方向における間隔が一定になる位置での各断面の形状を示す。また、スライスデータとしては、例えば、公知の造形装置で用いるスライスデータと同一又は同様のデータを用いることができる。また、それぞれのスライスデータは、例えば、立体物の各断面の位置について、ボクセルを形成すべき位置を指定する。この場合、ボクセルとは、インクジェットヘッドから吐出されるインク滴により形成される立体画素のことである。また、本例においては、スライスデータを用いて行う動作の少なくとも一部を従来の構成と異ならせて、立体物50の造形を行う。本例において行う造形の動作については、後に更に詳しく説明をする。
主走査駆動部18は、ヘッド部12に主走査動作(Y走査)を行わせる駆動部である。この場合、ヘッド部12に主走査動作を行わせるとは、例えば、ヘッド部12が有するインクジェットヘッドに主走査動作を行わせることである。また、主走査動作とは、例えば、予め設定された主走査方向(図中のY方向)へ移動しつつインク滴を吐出する動作である。
また、本例において、主走査駆動部18は、例えば、ヘッド部12を保持するキャリッジをガイドレールに沿って移動させることにより、ヘッド部12に主走査動作を行わせる。この場合、キャリッジとは、例えば、ヘッド部12におけるインクジェットヘッド等を造形台14と対向させて保持する保持部である。また、造形台14と対向させてインクジェットヘッドを保持するとは、例えば、インク滴の吐出方向が造形台14へ向かう方向になるように、インクジェットヘッドを保持することである。また、ガイドレールとは、例えば、キャリッジの移動をガイドするレール状部材であり、主走査動作時において、制御部26の指示に応じて、キャリッジを移動させる。
尚、本例において、主走査方向は、第1の方向の一例である。また、主走査駆動部18は、第1方向走査駆動部の一例である。主走査動作は、第1方向走査の一例である。また、主走査動作におけるヘッド部12の移動は、立体物50を支持する造形台14に対する相対的な移動であってよい。そのため、造形装置10の構成の変形例においては、例えば、ヘッド部12の位置を固定して、例えば造形台14の側を移動させてもよい。
副走査駆動部20は、ヘッド部12に副走査動作(X走査)を行わせる駆動部である。この場合、ヘッド部12に副走査動作を行わせるとは、例えば、ヘッド部12が有するインクジェットヘッドに副走査動作を行わせることである。副走査動作とは、例えば、主走査方向と直交する副走査方向(図中のX方向)へ造形台14に対して相対的に移動する動作である。副走査動作は、予め設定された送り量だけ副走査方向へ造形台14に対して相対的に移動する動作であってよい。また、本例において、副走査駆動部20は、主走査動作の合間に、ヘッド部12におけるインクジェットヘッドに、副走査動作を行わせる。
また、より具体的に、副走査駆動部20は、例えば、副走査方向におけるヘッド部12の位置を固定して、造形台14を移動させることにより、インクジェットヘッドに副走査動作を行わせる。また、副走査駆動部20は、副走査方向における造形台14の位置を固定して、ヘッド部12を移動させることにより、インクジェットヘッドに副走査動作を行わせてもよい。
尚、本例において、副走査方向は、第2の方向の一例である。また、副走査駆動部20は、第2方向走査駆動部の一例である。副走査動作は、第2方向走査の一例である。
積材料方向駆動部22は、積材料方向(Z方向)へヘッド部12又は造形台14の少なくとも一方を移動させる駆動部である。この場合、積材料方向へヘッド部12を移動させるとは、例えば、ヘッド部12における少なくともインクジェットヘッドを積材料方向へ移動させることである。また、積材料方向へ造形台14を移動させるとは、例えば、造形台14における少なくとも上面の位置を移動させることである。また、積材料方向駆動部22は、積材料方向へヘッド部12又は造形台14の少なくとも一方を移動させることにより、Z方向への走査(Z走査)をインクジェットヘッドに行わせ、ヘッド台間距離を変化させる。
より具体的に、図示した構成において、積材料方向駆動部22は、例えば、積材料方向におけるヘッド部12の位置を固定して、造形台14を移動させる。また、積材料方向駆動部22は、積材料方向における造形台14の位置を固定して、ヘッド部12を移動させてもよい。
操作部24は、造形装置10への操作を受け付けるための構成である。操作部24は、例えば、造形装置10の動作モードの切換え等の様々な指示をユーザから受け付ける。また、操作部24は、例えば造形装置10の本体部の外部に配設されたPC等であってもよい。
制御部26は、例えば造形装置10のCPUであり、造形装置10の各部を制御することにより、立体物50の造形の動作を制御する。制御部26は、例えば造形すべき立体物50の形状情報や、カラー画像情報等に基づき、造形装置10の各部を制御することが好ましい。
以上の構成により、本例の造形装置10は、主走査動作により、造形中の立体物50の上面(被造形面)へ、造形材料等を吐出する。また、主走査動作の合間に副走査動作を行うことで、ヘッド部12におけるインクジェットヘッドにより造形材料等を吐出する領域を順次変更する。また、この場合、途中に積材料方向への走査を行いつつ主走査動作及び副走査動作を繰り返して行うことにより、それぞれのスライスデータに対応する造形の動作を行う。また、複数のスライスデータのそれぞれに対してこのような動作を行うことにより、複数のスライスデータを用いて立体物50の造形を行う。そのため、本例によれば、立体物50を適切に造形できる。それぞれのスライスデータを用いて行う造形の動作については、後に更に詳しく説明をする。
続いて、ヘッド部12のより具体的な構成について、説明をする。図1(b)は、ヘッド部12のより詳細な構成の一例を示す。本例において、ヘッド部12は、複数の着色用ヘッド102y、102m、102c、102k(以下、着色用ヘッド102y〜kと記載する)、クリアインク用ヘッド104、白インク用ヘッド106、造形材用ヘッド108、サポート材用ヘッド110、複数の紫外線光源112、及び平坦化ローラユニット114を有する。
着色用ヘッド102y〜k、クリアインク用ヘッド104、白インク用ヘッド106、造形材用ヘッド108、及びサポート材用ヘッド110は、インクジェット方式でインク滴を吐出するインクジェットヘッドである。また、本例において、これらのインクジェットヘッドは、紫外線硬化型インクのインク滴を吐出するインクジェットヘッドであり、副走査方向(X方向)における位置を揃えて、主走査方向(Y方向)へ並んで配設される。
また、これらのインクジェットヘッドとしては、例えば、公知のインクジェットヘッドを好適に用いることができる。また、これらのインクジェットヘッドは、造形台14と対向する面に、複数のノズルが副走査方向へ並ぶノズル列202を有する。これにより、各インクジェットヘッドのノズルは、造形台14へ向かう方向へインク滴を吐出する。また、複数のノズルが並ぶノズル列方向は、主走査方向と直交する方向になる。また、インクジェットヘッドの構成の変形例においては、主走査方向とノズル列方向とが直交以外の角度で交差する構成を用いること等も考えられる。また、これらのインクジェットヘッドの並び方については、図示した構成に限らず、様々に変更してもよい。例えば、一部のインクジェットヘッドについて、他のインクジェットヘッドと副走査方向における位置をずらして配設してもよい。また、本例において、ヘッド部12の各インクジェットヘッドで用いるインクは、造形材料の一例である。
着色用ヘッド102y〜kは、互いに異なる色の着色用のインクのインク滴をそれぞれ吐出するインクジェットヘッドである。この場合、着色用のインクとは、例えば、立体物の表面等を着色するためのインクである。また、本例において、着色用ヘッド102y〜kは、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の各色の紫外線硬化型インクのインク滴を吐出する。また、ヘッド部12に変形例において、ヘッド部12は、着色用ヘッド102y〜kに加え、例えば、各色の淡色や、R(赤)G(緑)B(青)やオレンジ等の色用のインクジェットヘッド等を更に有してもよい。
クリアインク用ヘッド104は、クリアインクのインク滴を吐出するインクジェットヘッドである。この場合、クリアインクとは、透明色(T)であるクリア色のインクである。白インク用ヘッド106は、白色(W)のインクのインク滴を吐出するインクジェットヘッドである。
造形材用ヘッド108は、立体物50の内部等の造形に用いるインクのインク滴を吐出するインクジェットヘッドであり、例えば、立体物50において着色がされない領域の造形に用いるインクのインク滴を吐出する。この場合、立体物50の内部とは、例えば、立体物50における造形部52の内部であってよい。また、本例において、造形材用ヘッド108は、所定の色の造形用インク(モデル材MO)のインク滴を吐出する。造形用インクは、例えば造形専用のインクであってよい。また、本例において、造形用インクは、CMYKインクの各色とは異なる色のインクである。造形用インクとしては、例えば、白色のインク又はクリアインク等を用いることも考えられる。
サポート材用ヘッド110は、立体物50におけるサポート部54を構成するサポート層の材料を含むインク滴を吐出するインクジェットヘッドである。本例において、サポート層の材料としては、立体物50の造形後に水で溶解可能な水溶性の材料を用いることが好ましい。また、この場合、造形後に除去されるものであるため、立体物50における造形部52を構成する材料よりも紫外線による硬化度が弱く、分解しやすいい材料を用いることが好ましい。また、サポート層の材料としては、例えば、サポート層用の公知の材料を好適に用いることができる。
複数の紫外線光源112は、インクを硬化させる硬化手段の一例であり、紫外線硬化型インクを硬化させる紫外線を発生する。紫外線光源112としては、例えば、UVLED(紫外LED)等を好適に用いることができる。また、紫外線光源112として、メタルハライドランプや水銀ランプ等を用いることも考えられる。
また、本例において、複数の紫外線光源112のそれぞれは、ヘッド部12における複数のインクジェットヘッドの並びに対し、主走査方向の一端側及び他端側のそれぞれと、複数のインクジェットヘッドの並びの途中の位置とにそれぞれ配設される。また、これにより、ヘッド部12におけるそれぞれのインクジェットヘッドは、主走査方向において複数の紫外線光源112に挟まれる。この場合、例えば、主走査動作時に各インクジェットヘッドの後方側になる紫外線光源112により、各インクジェットヘッドから吐出したインクを硬化させる。このように構成すれば、例えば、造形材料として用いるインクを適切に硬化させることができる。
尚、複数の紫外線光源112については、着色用ヘッド群である着色用ヘッド102y〜kと、造形材用ヘッド108との間に少なくとも1つを配置し、造形装置10の動作モード(例えば、着色あり/なし)に対応して駆動することが好ましい。また、本例のように、紫外線硬化型(又は光硬化型)のサポート材を使用する場合には、複数の紫外線光源112(例えば、図中に符号UVLED2及びUVLED3を付した紫外線光源112)の間にサポート材用ヘッド110を配設することが好ましい。
より具体的に、例えば、着色用ヘッド102y〜kを用いた着色を行わず、造形のみを行う場合、造形材用ヘッド108と、図中に符号UVLED2、UVLED3を付して示した紫外線光源112を用いて、立体物50の造形を行うことが考えられる。また、必要に応じて白インク用ヘッド106により、立体物50の表面を白色にしてもよい。この場合、白インクは、その後にYMCKの各色等のプロセスカラーで減法混色による着色を行う場合に背景として機能する。また、オーバーハング形状の造形を行う場合には、同時に、サポート材用ヘッド110によりサポート材を吐出する。
また、例えば造形と同時に着色する場合、ヘッド部12における全てのインクジェットヘッドと、3つのUVLEDとを用いて、着色しながら造形を行うことが考えられる。また、その他の動作モードとして、例えば、UVLED2、UVLED3、及び白インク用ヘッド106の組み合わせで白色の立体物を造形する第3のモード、UVLED1、UVLED2、及びクリアインク用ヘッド104で造形を行う第4のモード、UVLED1、UVLED2、及びクリアインク用ヘッド104で造形を行い、着色用ヘッド102y〜kと組み合わせて任意の色の造形を行う第5のモード等も考えられる。
平坦化ローラユニット114は、立体物50の造形中にヘッド部12におけるインクジェットヘッドにより吐出されるインクを平坦化するための構成である。本例において、平坦化ローラユニット114は、ヘッド部12における複数のインクジェットヘッドの並びと、図中において右側の端部に配設される紫外線光源112との間に配設される。これにより、平坦化ローラユニット114は、インクジェットヘッドの並びに対し、副走査方向の位置を揃えて、主走査方向へ並べて配設される。
また、本例において、平坦化ローラユニット114は、主走査動作においてインクジェットヘッドにより吐出されるインクを平坦化する平坦化手段の一例であり、例えば主走査動作時において、その回の主走査動作で吐出されたインクの表面と接触することでインクを平坦化する。また、これにより、平坦化ローラユニット114は、インクの高さを予め設定された高さに揃える。また、本例において、平坦化ローラユニット114は、少なくとも一部の主走査動作においてヘッド部12のインクジェットヘッドと共に移動することにより、その回の主走査動作において吐出されたインクの高さを均一に平坦化する。
尚、より具体的に、図示した場合において、平坦化ローラユニット114は、例えば、平坦化ローラ、ブレード、及びインク回収部を有する。平坦化ローラは、平坦化ローラユニット114においてインクの平坦化を実行する部分であり、例えば、硬化前のインクの一部を除去することにより、インクを平坦化する。また、平坦化ローラは、下端がヘッド部12の構成要素の中で最も下側に来るように配設されており、平坦化の動作中において、図中の時計方向に回転する。また、ブレードは、平坦化ローラが掻き取ったインクを平坦化ローラから引き剥がすブレード部材である。インク回収部は、ブレードが平坦化ローラから引き剥がしたインクを回収する回収部である。
また、本例において、平坦化ローラユニット114は、例えば図1(b)に図示したように、インクジェットヘッドの並びに対し、主走査方向における一方側に配設されている。また、このような構成に対応して、本例において、主走査駆動部18は、少なくとも、インクジェットの並びよりも平坦化ローラユニット114が後方側になる向き(主走査方向における一方の向き)での主走査動作をヘッド部12に行わせる。また、平坦化ローラユニット114は、この向きでの主走査動作中に、インクを平坦化する。
また、主走査駆動部18は、双方向の主走査動作をヘッド部12に行わせてもよい。この場合、主走査駆動部18は、インクジェットの並びよりも平坦化ローラユニット114が後方側になる一方の向きでの主走査動作に加え、インクジェットの並びよりも平坦化ローラユニット114が前方側になる他方の向き(主走査方向における他方の向き)での主走査動作をヘッド部12に行わせる。また、この場合、他方の向きでの主走査動作時において、積材料方向駆動部22は、平坦化ローラユニット114がインクの層と接触しないように、一方の向きでの主走査動作時よりもヘッド台間距離を大きく設定する。また、これにより、平坦化ローラユニット114は、一方及び他方の向きの主走査動作のうち、一方の向きの主走査動作時にのみ、インクを平坦化する。また、平坦化ローラユニット114により行う平坦化の動作については、それぞれのスライスデータに対して行う造形の動作に関連して、後に更に詳しく説明をする。
続いて、本例において行う造形の動作については、更に詳しく説明をする。先ず、説明の便宜上、従来の構成で行っていた造形の動作について、説明をする。図2及び図3は、従来の構成で行っていた造形の動作について説明をする図である。図2は、従来の構成で行っていた造形の動作の一例を示す。
従来の構成においても、立体物の造形は、例えば複数のスライスデータを用いて行っていた。また、この場合、それぞれのスライスデータに対応するインクの層を形成し、インクの層を積層することにより、立体物の造形を行う。すなわち、従来の構成で行う立体物の造形の動作については、一のスライスデータに基づいて一のインクの層を形成するような、層単位で行う造形の動作を考えることができる。
図2(a)は、層単位で行う造形の動作の一例を示す図であり、図の横方向は左から右への時間軸、縦方向は積材料方向(Z方向)である。図は双方向の主走査動作をヘッド部12に行わせ、かつ、一方の向きでの主走査動作時にのみ平坦化を行う場合について、n番目及びn+1番目のインクの層を形成する動作の例を示す。この場合、n番目(nは、1以上の整数)及びn+1番目のインクの層とは、造形台上に重ねて形成されるインクの層のうち、下からn番目及びn+1番目のインクの層である。また、この場合、それぞれのインクの層は、一のスライスデータを用いて形成される。
また、より具体的に、図示した場合においては、立体物の各位置に対し、一のスライスデータに基づき、往路(Y往路)の主走査動作を2回、復路(Y復路)の主走査動作を2回行い、合計で4回の主走査動作を行う。また、この場合、往復の主走査動作のうち、往路の主走査動作時には平坦化を行わず、復路の主走査動作時にのみ平坦化を行う。
そのため、往路の主走査動作時には、平坦化ローラユニットの平坦化ローラがインクの層と接触しないように、例えば造形台を下げて、ヘッド台間距離を広げる。この場合、ヘッド台間距離について、図中に平坦化の逃げの距離として示されているように、平坦化を行う復路の主走査動作時よりも100μm程度大きくなるように広げることが考えられる。
また、復路の主走査動作時には、ヘッド台間距離について、平坦化ローラユニットの平坦化ローラがインクの層と接触する距離に設定する。また、これにより、復路の主走査動作時において、インクの層を平坦化する。
また、この場合、図からわかるように、一のスライスデータに対応して行う複数回(2回)の往路の主走査動作時について、ヘッド台間距離を同じに設定する。また、一のスライスデータに対応して行う複数回(2回)の復路の主走査動作時について、ヘッド台間距離を同じに設定する。このように構成すれば、例えば、同じスライスデータに基づく主走査動作において平坦化を行う場合において、平坦化を行う高さを一致させることができる。また、これにより、層単位での造形を適切に行うことができる。
また、この場合、一のスライスデータに対応する複数回の主走査動作を行った後には、一のインクの層の厚さ分だけヘッド台間距離を広げる。例えば、図示した場合においては、一のインクの層を形成する毎に、1層のインクの層の厚さである32μmだけ造形台を下げ、ヘッド台間距離を広げる。
尚、図2(a)に示した場合、n番目のインクの層の形成(第n層造形)後、n+1番目のインクの層の形成(第n+1層造形)の開始前のタイミングにおいて、ヘッド台間距離は、平坦化の逃げの距離を含めて変化させている。しかし、この場合も、例えば平坦化を行う復路の主走査動作を比べれば明らかなように、第n層造形時と、第n+1層造形時とでは、1層のインクの層の厚さ分だけヘッド台間距離を変化させているといえる。
また、以上のようにして各スライスデータに対応するインクの層を形成することにより、複数のインクの層を重ねて形成することができる。また、これにより、従来の構成においても、立体物を造形することができる。しかし、このようにして造形を行う場合、インクの層を重ねるという構成に起因する問題が生じる場合がある。
図2(b)は、従来の構成で層単位で造形を行った場合に生じる問題点を説明する図である。上記においても説明をしたように、従来の構成で層単位で造形を行う場合、一のインクの層を形成する毎に、ヘッド台間距離を一のインクの層の厚さ分だけ変化させることになる。
しかし、立体物の造形時には、造形する立体物の形状に応じて、大きさの異なるインクの層を重ねる場合もある。そして、このような場合、形成されている領域が異なるインクの層が重なる部分において、インクの層の厚さ分の段差が生じることになる。
より具体的には、例えば、図2(b)に示すように、卵型の立体物等を造形する場合、このような段差の影響により、主走査方向(Y方向)、副走査方向(X方向)、積材料方向(Z方向)のそれぞれに同心円の等高線状の模様が目立つ場合がある。その結果、造形される立体物の品質が低下する。また、このような段差の影響は、表面が着色された立体物を造形する場合に特に顕著になる。
図3は、従来の構成で層単位で造形を行った立体物の構成の一例を示す断面図であり、着色用のインク(カラーインク)で表面を着色した立体物の構成の一例を示す。この場合、図中に示すように、例えば、立体物における造形部について、造形用インクであるモデル材で内部を形成し、その周囲に着色を行う。また、着色を適切に行うため、より具体的に、モデル材で形成された領域の周囲に、白色のインクの領域、カラーインクの領域、及びクリアインクの領域を外側に向かってこの順番で形成する。また、この場合、カラーインクの領域については、着色用の有色のインクに加え、クリアインクを更に用いて形成することが好ましい。
このように構成すれば、例えば、反射層として機能する白色のインクの領域の外側にカラーインクの領域を形成することで、様々な色を適切に表現することができる。また、着色用の有色のインクに加えてクリアインクを用いてカラーインクの領域を形成することにより、単位体積あたりのインクの量を一定に調整することができる。また、その外側にクリアインクの領域を形成することにより、例えば、造形部の表面を適切に保護できる。
しかし、この場合、図2(b)に関連しても説明をしたように、立体物における造形部の表面において、インクの層の厚さ分の段差が生じることになる。より具体的に、例えば、図2(a)を用いて説明をした場合のように、1層のインクの層の厚さを32μmとする場合、図3に示すように、高さが32μになる段差が生じることになる。また、その結果、造形部の表面(例えば、図中に符号A、Bを付して示した領域等の段差ピッチが視認できるほどに大きい箇所)において、等高線状の模様が目立つことになる。
そして、このような段差が生じると、立体物の視認結果に影響が生じ、立体物の品質が低下するおそれがある。特に、立体物の表面(造形部の表面)を着色する場合、このような等高線状の模様が生じると、例えば無着色の立体物と比べ、視認結果への影響が大きくなる。また、その結果、造形される立体物の品質の低下が顕著になる。
これに対し、本例においては、従来のように層単位での造形を行うのではなく、いわば、主走査動作単位(パス単位)での造形を行うことにより、このような問題の発生を適切に抑えている。そこで、以下、本例において行う造形の動作について、説明をする。
図4は、図1等を用いて説明をした本例の造形装置10を用いて行う造形の動作について説明をする図である。図4(a)は、本例において行う造形の動作の一例を示す図であり、一方の向きでの主走査動作(単方向のY走査)のみを行う場合の動作について、各スライスデータに基づいて行う主走査動作及び平坦化の動作等の一例を示す。
図示した場合において、第nスライス造形とは、下からn番目のスライスデータに基づいて行う造形の動作のことである。第(n+1)スライス造形とは、下からn+1番目のスライスデータに基づいて行う造形の動作のことである。また、造形装置10は、一のスライスデータに基づき、立体物の被造形面の各位置に対し、4回の主走査動作(4回のパス)を行う。また、一のスライスデータに対応して行う4回の主走査動作により、立体物の被造形面に、32μmの厚さ分のインクを積み上げる。また、この場合、より具体的には、厚さ40μm分のインクを吐出して、平坦化により一部のインクを除去することにより、平坦化後の厚さを32μmに調整する。この場合、厚さ40μm分のインクを吐出するとは、例えば、途中に平坦化を行わずに4回の主走査動作を行った場合に厚さが40μmになる量のインクを吐出することである。また、図中においては、図示の便宜上、第nスライス造形において最初に行う主走査動作を1パス目(1パス吐出)として、その後に行う主走査動作を順番に2〜8パス目(2パス吐出〜8パス吐出)として図示をしている。
また、この場合、より具体的には、主走査方向においてヘッド部12(図1参照)を往復させつつ、復路方向への移動時(Y復路)にのみインク滴を吐出して、主走査動作を行う。また、往路方向への移動時(Y往路)には、インク滴を吐出せずに、ヘッド部12の移動のみを行う。また、往路方向への移動時には、ヘッド部12と立体物との無用な接触を避けるために、図中に平坦化の逃げと示したように、ヘッド台間距離を一時的に広げる。この場合、直前に行った主走査動作時と比べ、例えば100μm程度以上ヘッド台間距離を広げることが好ましい。
また、造形の動作の進行に応じてヘッド台間距離を徐々に広げる積材料方向(Z方向)への送り動作については、従来の構成のように層単位で行うのではなく、一のスライスデータに対応して行う複数の主走査動作のそれぞれを行う毎(パス毎)に行う。例えば、図示した場合のように、積材料方向への送り動作の送り量を一定(等間隔)にする場合には、各回の主走査動作を行う毎に、(32/4)=8μmだけヘッド台間距離を大きくする。このヘッド台間距離の変化量は、一のスライスデータに対応して行う複数回の主走査動作により積み上げるインクの厚さを、主走査動作の回数で除した距離である。また、この場合、複数回の主走査動作により積み上げるインクの厚さとは、平坦化を行った後の厚さである。
このように、本例において、積材料方向駆動部22(図1参照)は、例えば、一のスライスデータに基づいて同じ位置に対して行う複数回の主走査動作のそれぞれが行われる毎に、一定の所定の距離だけヘッド台間距離が大きくなるように、ヘッド台間距離を変化させる。また、この場合、一定の所定の距離とは、例えば、実質的に同一な距離であってもよい。距離が実質的に等しいとは、例えば、設計上の距離が等しいことであってよい。また、距離が実質的に等しいとは、例えば、微調整や動作の最適化等の目的で距離をわずかに異ならせた場合も含んでよい。この場合、距離が実質的に等しいとは、例えば、差が10%以内になること等と考えてもよい。
また、この構成において、一のスライスデータに対応して形成するインクの厚さである32μmは、造形に用いる複数のスライスデータにおけるスライスデータ間の間隔に相当する距離である。この場合、スライスデータ間の間隔とは、例えば、積材料方向において隣接する2個のスライスデータが示す断面形状の積材料方向における間隔(隣接断面間隔)である。
また、図4(a)に示した場合においては、復路方向へのヘッド部12の移動時において、主走査動作と同時に、平坦化ローラユニット114(図1参照)による平坦化の動作を行う。そのため、この場合、各回の主走査動作において、その回の主走査動作において吐出されたインクを平坦化する。
このように構成すれば、例えば、各回の主走査動作で吐出するインクの高さを高い精度で適切に揃えることができる。また、これにより、高い品質での造形をより適切に行うことができる。また、この場合、従来のように層単位での造形を行う場合とは異なる方法で積材料方向への送り動作を行うことにより、造形される立体物の表面の状態を従来と異ならせることができる。本例において造形される立体物の状態については、後に更に詳しく説明をする。
また、本例の造形装置10において行う動作について、より一般化して考えた場合、必ずしも全ての回の主走査動作で平坦化を行わなくてもよい。この場合、平坦化ローラユニット114は、例えば、一のスライスデータに基づいて同じ位置に対して行う複数回の主走査動作における少なくとも一部の主走査動作において、その主走査動作で吐出されたインクを平坦化する。この場合、その主走査動作で吐出されたインクを平坦化するとは、例えば、その回の主走査動作で吐出されたインクを含めて、前回の平坦化後に吐出されたインクを平坦化することであってよい。また、このような動作については、例えば、主走査駆動部18(図1参照)により、一のスライスデータに基づき、同じ位置に対し、予め設定されたN回(Nは、2以上の整数)の主走査動作を行わせ、かつ、平坦化ローラユニット114により、N回のうちのM回(Mは、2以上、N以下の整数)の主走査動作において、その主走査動作で吐出されたインクを平坦化する動作と考えることができる。
また、一部の回の主走査動作においてのみ平坦化を行う場合、積材料方向への送り動作での送り量については、平坦化を行う主走査動作の回数に応じて設定することが好ましい。例えば、上記のように、一のスライスデータに対応するN回の主走査動作のうちのM回の主走査動作においてのみ平坦化を行う場合、積材料方向駆動部22は、例えば、M回の主走査動作のそれぞれが行われる毎に、ヘッド台間距離が予め設定された距離だけ大きくなるように、ヘッド台間距離を変化させる。また、この場合、より具体的に、一のスライスデータに基づくM回の主走査動作のそれぞれが行われる毎に、積材料方向駆動部22は、例えば、隣接断面間隔をMで除した距離だけ、ヘッド台間距離を変化させる。
尚、一部の回の主走査動作においてのみ平坦化を行う場合、平坦化を行う主走査動作の回数Mは、一のスライスデータに基づいて同じ位置に対し行う主走査動作の回数Nよりも小さな数になる。より具体的に、例えば、主走査方向への往復の主走査動作を行う場合、往復のうちの一方においてのみ平坦化を行うこと等が考えられる。この場合、Mについて、例えばNの1/2の数にすること等が考えられる。また、例えば図4(a)に示した場合のように単方向の主走査動作を行う場合や、追加の平坦化ローラユニット114を図1のUVLED1と着色用ヘッド112yとの間に逆回転するように配置して往復の両方において平坦化を行う場合等には、Mは、Nと等しい数であってもよい。
また、隣接断面間隔は、例えば、全ての隣接するスライスデータ間で同じ一定の間隔であってよい。この場合、隣接断面間隔をMで除した距離とは、例えば、この一定の間隔をMで除した距離である。また、隣接断面間隔について、スライスデータ毎に異ならせること等も考えられる。この場合、隣接断面間隔をMで除した距離とは、例えば、造形中の部分に対応するスライスデータと、その次に使用されるスライスデータとの間の隣接断面間隔をMで除した距離であってよい。また、隣接断面間隔をMで除した距離だけヘッド台間距離を変化させるとは、例えば、隣接断面間隔をMで除した距離と実質的に等しい距離だけヘッド台間距離を変化させることであってよい。
図4(b)は、造形の動作の変形例を示す図であり、一部の回の主走査動作においてのみ平坦化を行う場合について、各スライスデータに基づいて行う主走査動作及び平坦化の動作等の一例を示す。尚、以下に説明をする点を除き、図4(b)に示した動作は、図4(a)に示した動作と同一又は同様である。
図4(b)に示した動作においては、主走査方向における往復の主走査動作(双方向のY走査)を行い、かつ、復路方向への主走査動作時にのみ、平坦化を行う。また、この場合、より具体的に、一のスライスデータに基づき、立体物の被造形面の各位置に対し、4回の主走査動作(4回のパス)を行い、かつ、各位置に対する2回目及び4回目の主走査動作と同時に、平坦化を行う。図4(b)に示した場合において、各位置に対する2回目及び4回目の主走査動作とは、第nスライスデータ造形時の2パス目及び4パス目や、第n+1スライスデータ造形時の6パス目及び8パス目のことである。
また、この場合も、図4(a)に示した場合と同様に、一のスライスデータに基づき、4回の主走査動作で厚さ40μm分のインクを吐出して、平坦化により一部のインクを除去することにより、平坦化後の厚さを32μmに調整する。また、この場合、往復のうちの復路方向への主走査動作にのみ平坦化を行うため、2回の主走査動作を行う毎に、16μm分だけヘッド台間距離を大きくして、平坦化を行う。そのため、図4(b)に示した場合においては、1パス目と2パス目、5パス目と6パス目に対応するインク高さが32μmで一定となり、3パス目と4パス目、7パス目と8パス目に対応するインク高さが16μmで一定となる動作と考えることもできる。
このように構成した場合も、例えば、平坦化を行う各回の主走査動作で吐出するインクの高さを高い精度で適切に揃えることができる。また、これにより、高い品質での造形をより適切に行うことができる。また、この場合も、従来のように層単位での造形を行う場合とは異なる方法で積材料方向への送り動作を行うことにより、造形される立体物の表面の状態を従来と異ならせることができる。
ここで、図4(a)、(b)においては、造形中の立体物におけるいずれかの位置に着目して、その位置に対して行う主走査動作及び平坦化の動作等の様子を簡略化して示している。この場合、立体物におけるいずれかの位置に着目して動作を示すとは、例えば、主走査方向及び副走査方向の位置をいずれかの位置に固定して、主走査動作や平坦化の動作等の動作を示すことである。また、その位置に対して行う主走査動作とは、インクジェットヘッドにおけるノズル列がその位置の上を通過する主走査動作のことである。
また、図中にX走査として示したように、主走査動作の合間には、副走査動作を適宜行う。また、立体物の各位置に対する造形の仕方によっては、例えば、図中に示した主走査動作の合間に、他の領域に対する主走査動作を更に行ってもよい。
また、造形装置10において行う造形の動作については、図4(a)、(b)に示した場合に限らず、更なる変形例を考えることもできる。例えば、一のスライスデータに対応して行う主走査動作の回数は、4回の限らず、他の回数であってもよい。
また、造形装置10の構成の更なる変形例においては、例えば、平坦化を行わない主走査動作を行った後にも、平坦化を行った主走査動作の後と同じ距離だけヘッド台間距離を広げてもよい。この場合、例えば、各回の主走査動作を行う毎に、隣接断面間隔をNで除した距離だけヘッド台間距離を変化させることが考えられる。また、この場合、平坦化を行わない主走査動作を行う場合にも、平坦化の逃げの動作等は行わないことが考えられる。
また、造形装置10において行う造形の動作について、より一般化して考えた場合、一のスライスデータに対応して行う複数回の主走査動作のうち、少なくとも連続する2つの主走査動作(パス)の間に積材料方向への送り動作(Z走査)を行う構成と考えることもできる。この場合、それぞれのスライスデータに基づき、主走査駆動部18は、例えば、造形中の立体物の同じ位置に対し、複数回の主走査動作をインクジェットヘッドに行わせる。また、積材料方向駆動部22は、一のスライスデータに基づいて同じ位置に対して行う複数回の主走査動作における少なくともいずれかの2回の主走査動作の間に、2回のうちの先の回の主走査動作の実行時におけるヘッド台間距離よりも後の回の主走査動作の実行時におけるヘッド台間距離が予め設定された距離だけ大きくなるように、ヘッド台間距離を変化させる。
また、この場合、上記の2回の主走査動作は、例えば、平坦化を行う主走査動作である。また、積材料方向駆動部22は、例えば、一のスライスデータに基づいて同じ位置に対して行う複数回の主走査動作のうち、少なくとも2回以上の主走査動作について、それぞれの主走査動作が行われた後に、ヘッド台間距離が予め設定された距離だけ大きくなるように、ヘッド台間距離を変化させることが好ましい。また、例えば一方の向きの主走査動作時にのみ平坦化を行う場合、この2回の主走査動作は、例えば、この一方の向きの主走査動作であってよい。
続いて、本例において造形される立体物50の状態について、更に詳しく説明をする。図5及び図6は、本例において造形される立体物50の状態の一例を示す。図5は、造形中の立体物50の断面の様子の一例を示す。尚、図示した場合において、立体物50の断面とは、立体物50における造形部52の断面である。また、立体物50における造形部52の下には、サポート材による土台の形成をしている。
図5(a)は、主走査方向(Y方向)と垂直な平面による立体物50の断面の様子の一例を示す断面図である。上記においても説明をしたように、本例においては、複数のスライスデータを用いて、立体物の造形を行う。また、一のスライスデータに基づき、同じ位置に対し、複数回の主走査動作を行う。この場合、各回の主走査動作では、そのスライスデータにより指定されるボクセルのうち、一部のボクセルを形成する。スライスデータにより指定されるボクセルとは、そのスライスデータによって形成すべき位置が指定されているボクセルのことである。また、この場合、一のスライスデータに対応する複数回の主走査動作のそれぞれにおいて、互いに異なる位置にボクセルを形成する。
また、例えば図4(a)を用いて説明をしたように各回の主走査動作を行った場合、図4(a)において1パス吐出〜8パス吐出として示した各回の主走査動作で形成されるボクセルは、図5(a)において1Pass〜8Pass等と示したボクセルのように並ぶ。また、以降に更に行う主走査動作で形成されるボクセルは、9Pass〜16Pass等と示したボクセルのように並ぶ。
また、図5(a)においては、ヘッド部12(図1参照)の各インクジェットヘッドにおけるノズル列のノズルピッチを1/150インチとし、副走査方向における造形の解像度を1/600インチとしている。また、平坦化ローラユニット114(図1参照)による平坦化時のインクの掻き取り量を20%としている。そして、同じスライスデータに基づいて形成するボクセルについて、同じハッチングを付して示している。
また、本例においては、例えば図4(a)を用いて説明をしたように、主走査動作において平坦化を行う毎にヘッド台間距離を変化させる。そして、この場合、一のスライスデータに対応する造形の動作の途中においてもヘッド台間距離を変化させることにより、従来のように層単位での造形を行う場合と異なり、一のスライスデータに基づいて造形する部分の中に、従来の構成において生じる段差等よりも高低差が小さな細かい凹凸が形成されることになる。また、この場合、より具体的に、従来の構成におけるインクの層の段差のようにインクの層を単位に連続する単純な段差ではなく、例えば図5(a)に示すように、主走査動作毎(パス毎)の平坦化の位置に応じて、同じスライスデータに基づいて形成されるボクセル間で高さが互いに異なるような、より細かい凹凸が不連続に形成されることになる。そして、このような細かい凹凸は、従来の構成における段差と比べてはるかに目立たず、立体物50の視認結果等への影響が小さくなる。
そのため、本例によれば、例えば、インクの層を単位に積材料方向への走査を行う従来の構成とは異なる発想で造形を行うことにより、従来のインクの層の厚さに対応する周期的な等高線状の模様等の発生を適切に防ぐことができる。また、これにより、例えば、従来のような大きな段差が形成されることを適切に防ぎ、立体物50の表面をより滑らかに適切に形成することができる。また、この場合、立体物50の表面を着色する場合等においても、視認結果への影響をより適切に抑えることができる。そのため、本例によれば、例えば、着色された立体物50を造形する場合にも、立体物50を高い精度でより適切に造形することができる。また、これにより、高い品質での造形をより適切に行うことができる。
ここで、図示した場合においては、一のスライスデータに対応する各回の主走査動作(パス)に対応するボクセルの並び方は、例えば、9〜12パス目に着目した場合、副走査方向へ、9パス目、11パス目、12パス目、10パス目となる順番の配置になっている。しかし、このような並び方に限らず、その他の並べ方にしてもよい。例えば、これらの主走査動作で形成されるボクセルについて、9パス目、12パス目、10パス目、11パス目となる順番の配置等にすること等も考えられる。この場合、例えば凹凸の空間周波数が2倍になるため、表面のざらつきは目立ちやすくなるが、等高線については、より目立たなくなると考えられる。
また、本例においては、一にスライスデータに対応する複数回の主走査動作において、例えば従来のマルチパス方式と同一又は同様の方法で選択されたボクセルの位置へインク滴を吐出する。この場合、ボクセルの位置とは、主走査方向及び副走査方向における位置である。また、これにより、例えば、複数回の主走査動作により、一のスライスデータにより位置が指定される全てのボクセルを形成する。また、この場合、例えば、各回の主走査動作で形成すべきボクセルの具体的な設定については、様々な方法で設定することが考えられる。
より具体的には、例えば、複数回の主走査動作により、ライン順次方式でボクセルを形成すること等が考えられる。この場合、ライン順次方式でボクセルを形成するとは、例えば、各回の主走査動作において、インクジェットヘッドの各ノズルにより、造形の解像度に応じた間隔で主走査方向へ並ぶ複数のボクセルを形成することである。また、造形の解像度に応じた間隔で主走査方向へ並ぶ複数のボクセルを形成するとは、例えば、各ノズルにより、図中に1ボクセルラインと示したような主走査方向へ延伸する直線(ライン)を描くようにボクセルを形成することである。また、ライン順次方式でボクセルを形成する場合、例えば、各回の主走査動作を行う毎に、副走査方向におけるインク滴の吐出位置を順次変更する。
図5(b)は、積材料方向(Z方向)と垂直な平面による立体物の断面の様子の一例を示す断面図であり、ライン順次方式でボクセルを形成した場合について、図5(a)に示したAA断面の様子の一例を示す。図中に示すように、この場合、各断面の様子は、各回の主走査動作で形成された直線が並ぶような状態になる。
また、この場合、立体物50の最上面においては、高さが異なる直線が副走査方向へ並ぶような状態になる。より具体的に、図示した場合においては、一のスライスデータに基づいて行う4回の主走査動作に対応して、副走査方向において4パス分の範囲に各パスに対応する細かい凹凸が形成され、かつ4パス分の周期で高さの変化が繰り返されることになる。このように構成すれば、例えば、従来のインクの層の厚さに対応する周期的な等高線状の模様等の発生を適切に防ぐことができる。
尚、図5(a)、(b)に図示した様子や、上記の説明から明らかなように、本例の方法で造形を行った場合、各スライスデータに対応して一のインクの層を形成する方法ではないため、各スライスデータに対応するインクの層単位での段差は生じない。また、その結果、造形後の立体物50において、使用するスライスデータが異なる境界部等に明確な模様等が発生することもない。そのため、このような点でも、本例の方法で造形を行った立体物50について、各スライスデータに対応するインクの層単位で造形を行う従来の方法で造形を行った立体物と明確に異なるといえる。
また、各回の主走査動作で形成すべきボクセルの設定については、ライン順次方式以外の方法を用いてもよい。より具体的には、例えば、2次元マスク順次パス方式等を用いること等も考えられる。この場合、2次元マスク順次パス方式とは、例えば、2次元のマトリクス状のマスクにより各回の主走査動作で形成すべきボクセルを指定する方法である。
図6は、2次元マスク順次パス方式について説明をする図である。図6(a)は、2次元マスク順次パス方式で用いるマスクの一例を示す図であり、一のスライスデータに対して4回の主走査動作を行う場合(4パスの場合)のマスクの一例を示す。図6(b)は、造形の途中における立体物50の被造形面の様子の一例を示す。
2次元マスク順次パス方式で造形を行う場合、各回の主走査動作において、各ノズルにより、直線ではなく、ボクセル単位で、各位置へのインク滴を吐出する。そのため、被造形面の様子は、図6(b)に示すように、ボクセル単位での凹凸状になる。
このように構成した場合も、例えば、立体物50の表面に細かい凹凸を適切に形成できる。また、この場合、立体物50の最上面の様子も、図6(b)に示した場合と同様になる。そのため、この場合も、例えば、従来のインクの層の厚さに対応する周期的な等高線状の模様等の発生を適切に防ぐことができる。また、この場合、凹凸を構成する単位がより小さくなるため、例えばライン順次方式と比べても、より等高線を目立たなくすることができる。
また、この場合も、各スライスデータに対応して一のインクの層を形成する方法ではないため、造形後の立体物50において、使用するスライスデータが異なる境界部等に明確な模様等が発生することもない。そのため、この場合も、造形される立体物50について、各スライスデータに対応するインクの層単位で造形を行う従来の方法で造形を行った立体物と明確に異なるといえる。
以上のように、本例によれば、例えば、等高線状の縞の発生により立体物の品質が低下すること等を適切に防ぐことができる。また、これにより、高い品質の立体物を適切に造形することができる。
続いて、本例の構成について、補足説明等を行う。本例においては、平坦化を行う主走査動作を行う毎に積材料方向への走査を行うことによる付加的な効果として、より安定な造形を行うこと等も可能になる。より具体的に、この場合、平坦化を行う毎にヘッド台間距離を広げることにより、その後の主走査動作時において、平坦化ローラユニット114の平坦化ローラと造形中の立体物50との無用な接触を避けることもできる。また、これにより、例えば、硬化したインクと平坦化ローラとが接触して硬化済みのインクを不必要に削り取ること等を適切に防ぐことができる。
また、上記においては、主に、積材料方向(Z方向)において生じる段差に起因する等高線状の模様等を防ぐ効果について、説明をした。しかし、本例のように細かい凹凸を形成した場合、例えば、主走査方向又は副走査方向の段差により立体物50の側面に生じる等高線状の模様等についても、適切に抑えることができる。また、側面の模様をより適切に抑えるためには、主走査方向や副走査方向についても、積材料方向と同様の細かい凹凸を形成することがより好ましい。
また、図1に関連して上記にいても説明をしたように、本例においては、ヘッド部12における複数の紫外線光源112について、造形装置10の動作モードに対応して駆動することが考えられる。そのため、例えば図4(a)、(b)等を用いて説明をした各動作においては、動作に応じてそれぞれの紫外線光源112を制御することが好ましい。
より具体的に、図4(a)に示した場合においては、例えば、ヘッド部12における複数の紫外線光源112(UVLED1〜3、図1参照)を常時点灯させることが考えられる。また、この場合、常時点灯させればよいため、紫外線光源112として、UVLEDではなく、メタルハライドランプ等も好適に用いることができる。
また、図4(b)に示した場合においては、例えば、UVLED1〜3について、往路の主走査動作時には点等させず、復路の主走査動作時にのみ点等させることが考えられる。このように構成すれば、例えば、往路において吐出したインクと、復路において吐出したインクとについて、同時に適切に硬化させることができる。
また、上記においては、主に、ヘッド台間距離を一定に保った状態で各回の主走査動作を行う構成について、説明をした。この場合、積材料方向駆動部22は、例えば、主走査動作の合間にヘッド台間距離を変化させる。しかし、造形装置10の構成の変形例においては、例えば、ヘッド台間距離を変化させながら主走査動作を行うことも考えられる。
図7は、ヘッド台間距離の変化のさせ方について説明をする図である。図7(a)は、ヘッド台間距離を一定に保った状態で主走査動作を行う場合について、ヘッド台間距離の変化のさせ方の一例を示す。また、より具体的に、図7(a)は、例えば、図4(a)に示したように造形の動作を行う場合について、ヘッド台間距離の変化のさせ方の例を示す。
図中において、横方向は、主走査動作中に移動するヘッド部12(図1参照)の主走査方向における位置(ヘッド位置)を示す。また、縦方向は、積材料方向(Z方向)における造形台14(図1参照)の位置(造形台位置)を示す。また、この構成において、積材料方向駆動部22(図1参照)は、造形台14を移動させることにより、ヘッド台間距離を変化させる。そのため、図中に示した造形台位置の変化は、ヘッド台間距離の変化に相当する。
また、この場合、図4(a)等に関連して説明をしたように、主走査方向における往復の主走査動作を行う。また、各回の主走査動作中にはヘッド台間距離を一定にして、主走査動作を行う。そして、主走査動作を行う毎に、主走査動作の合間に、ヘッド台間距離が予め設定された距離だけ大きくなるように、ヘッド台間距離を変化させる。そのため、この場合、図7(a)に示すように、往路及び復路の主走査動作中の造形台位置は一定になり、主走査動作の合間に造形台位置が下がることになる。
これに対し、ヘッド台間距離を変化させながら主走査動作を行う場合、上記とは異なる方法でヘッド台間距離を変化させることになる。図7(b)は、ヘッド台間距離を変化させながら主走査動作を行う場合について、ヘッド台間距離の変化のさせ方の一例を示す。また、より具体的に、図7(b)は、例えば、図4(a)に示したように造形の動作を行う場合に対し、ヘッド台間距離の変化のさせ方の特徴を異ならせた場合の例を示す。そのため、ヘッド台間距離の変化のさせ方に関連する特徴以外の点については、図4(a)に示した場合と同一又は同様に造形の動作を行ってよい。
図7(b)に示した動作において、主走査動作が行われている間、積材料方向駆動部22は、造形台14を一定の速度で下げる。これにより、積材料方向駆動部22は、主走査動作が行われている間にヘッド台間距離を変化させる。また、この場合、より具体的に、積材料方向駆動部22は、ヘッド台間距離が徐々に大きくなるように、ヘッド台間距離を連続的に変化させる。このように構成すれば、例えば、ヘッド台間距離をより安定かつ適切に変化させることができる。
このように構成した場合も、例えば、インクの層毎の単位で造形を行う従来の構成とは異なる構成で立体物を適切に造形できる。また、一のスライスデータに対応する造形の動作の途中においてヘッド台間距離を変化させることで、立体物の表面に生じる等高線状の模様等の影響等を適切に抑えることができる。
また、この場合、例えば図7(b)に示すように、連続して行われる2回の主走査動作の合間において、積材料方向駆動部22は、造形台14を移動させず、ヘッド台間距離を一定に保つことが好ましい。このように構成すれば、例えば、主走査動作の合間にヘッド台間距離を変化させるための時間を確保することが不要になる。また、これにより、例えば、造形の動作をより効率的に行うことができる。
また、この場合、ヘッド部12における平坦化ローラユニット114(図1参照)による平坦化の動作について、ヘッド台間距離を変化させつつ行うことになる。また、平坦化の動作に関し、例えば往復の主走査動作の両方において平坦化を行う構成を考えた場合、往路及び復路のそれぞれにおいて、ヘッド部12が反対の方向へ移動する間に、平坦化を行うことになる。そして、この場合、平坦化後の状態について、往路の主走査動作で平坦化を行った部分と、復路の主走査動作で平坦化を行った部分とが、反対の向きで傾斜した状態になる。また、その結果、例えば平坦化によりある程度の積層縞が発生したとしても、縞の傾斜の仕方がより多様化し、例えばよりランダムな印象を与えることになると考えられる。そのため、このように構成すれば、例えば、積層縞をより目立ちにくくできる。
また、この場合、ヘッド台間距離を徐々に広げながら平坦化を行う構成であるため、平坦化ローラと造形中の立体物50との無用な干渉(接触)を避けることもできる。また、これにより、例えば、硬化したインクと平坦化ローラとが接触して硬化済みのインクを不必要に削り取ること等を適切に防ぐことができる。
また、平坦化の動作に関し、例えば、往復の主走査動作のうち一方でのみ平坦化を行う構成等を考えた場合も、硬化したインクと平坦化ローラとの干渉を適切に避けることができる。より具体的に、例えば、往復の主走査動作のうちの復路の主走査動作でのみ平坦化を行う場合、往路の主走査動作にて硬化させた部分は、復路での主走査動作時において、平坦化ローラよりも下がった位置に移動している。そのため、このように構成すれば、例えば、既に硬化している部分が平坦化ローラと干渉すること等を適切に避けることができる。
ここで、造形装置10(図1参照)においては、様々な大きさの立体物を造形することが考えられる。そして、この場合、主走査動作時に主走査駆動部18(図1参照)がヘッド部12を移動させる距離である走査幅について、造形しようとする立体物の幅に合わせて設定することも考えられる。この場合、主走査動作時にヘッド部12を移動させるとは、例えば、ヘッド部12におけるインクジェットヘッド等を移動させることである。このように構成すれば、例えば、主走査動作を効率的に行うことができる。
しかし、このような場合、例えば主走査動作中に常に一定の速度で造形台14を移動させ、主走査動作が行われている全ての期間において造形台14を移動させると、1回の主走査動作中に造形台14を移動させる距離が立体物の幅によって変化することになる。一方で、1回の主走査動作に対して造形台14を移動させる距離は、平坦化ローラユニット114により平坦化を行う厚さと関連している。そのため、1回の主走査動作中に造形台14を移動させる距離が立体物の幅によって変化すると、適切に平坦化を行えないおそれがある。
これに対し、例えば、1回の主走査動作中に造形台14を移動させる距離について、平坦化を行う厚さに合わせて上限の距離を設定し、造形台14の移動距離が上限に達した場合には造形台14の移動を停止すること等も考えられる。このように構成すれば、例えば、立体物の幅に合わせて走査幅を設定する場合にも、適切に平坦化を行うことができる。しかし、この場合、造形台14の移動中と造形台14の停止中とで造形の環境に差が生じるおそれがある。また、その結果、造形の品質が低下することも考えられる。
そのため、立体物の幅に合わせて走査幅を設定する場合には、造形台14の移動速度、すなわち、ヘッド台間距離を変化させる速度についても、走査幅に応じて設定することが好ましい。この場合、積材料方向駆動部22は、例えば、ヘッド台間距離を変化させる速度について、主走査動作が行われている間にヘッド台間距離が変化し続けるように、走査幅に応じて設定することが好ましい。
このように構成すれば、例えば、主走査動作中において、ヘッド台間距離をより安定かつ均一に変化させることができる。また、これにより、例えば、立体物の幅に合わせて走査幅を設定する場合において、ヘッド台間距離をより適切に変化させることができる。
また、上記において説明をしたような、ヘッド台間距離を変化させながら主走査動作を行う構成について、より一般化して考えた場合、主走査動作が行われている間にヘッド台間距離が大きくなるように、造形台14及びヘッド部12のうちの少なくとも一方を積材料方向駆動部22により移動させる構成と考えることができる。このように構成すれば、例えば、主走査動作で造形材料を吐出するのと同時にヘッド台間距離を大きくすることができる。また、これにより、例えば、造形の動作の進行に合わせて、効率的かつ適切にヘッド台間距離を調整することができる。
また、インクの層毎の単位で造形を行う従来の構成とは異なる点に着目し、一のスライスデータに対応する造形の動作の途中においてヘッド台間距離を変化させる構成について一般化した場合、例えば、主走査動作を行う毎にヘッド台間距離を変化させる場合と、ヘッド台間距離を変化させながら主走査動作を行う場合とを両方を含むように考えることもできる。この場合、例えば、複数回の主走査動作をヘッド部12に行わせ、一のスライスデータに基づいて同じ位置に対して複数回の主走査動作を行う間の少なくともいずれかのタイミングにおいて、積材料方向駆動部22により、ヘッド台間距離が大きくなるように、造形台14及びヘッド部12のうちの少なくとも一方を移動させる動作と考えることができる。このように構成すれば、例えば、一のスライスデータに基づいて複数回の主走査動作を同じ位置に対して行う間において、ヘッド台間距離を適切に変化させることができる。