以下、本発明に係る実施形態を、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る造形システム10の一例を示す。図1(a)は、造形システム10の構成の一例を示す。本例において、造形システム10は、立体的な造形物を造形する造形システムであり、造形装置12及びホストPC14を備える。
造形装置12は、造形物の造形を実行する装置(3Dプリンタ)であり、ホストPC14から受け取る入力データに基づき、造形物50の造形を行う。この場合、造形物50とは、例えば、立体的な三次元構造物のことである。また、入力データは、例えば、造形装置12において造形しようとする造形物50を示すデータである。また、本例において、入力データは、ホストPC14において行われるレイアウト作業により作成されるデータであり、造形時における造形物50の配置や向き等が指定された状態で、造形物50を示す。配置や向き等が指定された状態で造形物50を示すとは、例えば、造形システム10のユーザにより指定された配置や向きを反映した状態で造形物50を示すことである。
また、より具体的に、本例において、造形装置12は、フルカラーでの着色がされた造形物を造形可能なフルカラー造形装置であり、ホストPC14から受け取る入力データに基づき、少なくとも表面が着色された造形物50を造形する。造形物50の表面が着色されるとは、例えば、造形物50において外部から色彩を視認できる領域の少なくとも一部が着色されることである。また、少なくとも表面が着色された造形物50については、例えば、表面の少なくとも一部が着色された造形物50等と考えることもできる。
また、造形装置12は、造形物の材料の層である材料層を予め設定された積層方向へ積層することにより、積層造形法で造形物50の造形を行う。積層造形法については、例えば、複数の層を重ねて造形物50を造形する方法等と考えることもできる。また、この場合、造形装置12は、入力データに基づいて複数のスライスデータを生成し、それぞれのスライスデータに従って、造形物50を構成するそれぞれの層を形成する。また、複数のスライスデータとしては、積層方向における互いに異なる位置における造形物50の断面をそれぞれ示すデータを生成する。この場合、それぞれのスライスデータについて、例えば、各位置における造形物の断面を示す画像のデータ(断面画像データ)等と考えることもできる。
また、本例において、複数のスライスデータは、吐出位置指定データの一例である。この場合、吐出位置指定データとは、例えば、造形装置12におけるヘッド部により造形物50の材料を吐出する位置を示すデータのことである。また、ヘッド部とは、造形装置12において造形物50の材料を吐出する構成のことである。また、この場合、入力データについて、例えば、吐出位置指定データとは異なる形式で造形物50を示すデータと考えることができる。
ホストPC14は、造形装置12の外部に設けられたコンピュータであり、例えばユーザの操作に応じて、造形条件の設定等を行う。この場合、造形条件とは、例えば、造形装置12において造形物50を造形する場合に指定する条件のことである。また、より具体的に、本例において、ホストPC14では、造形条件を設定する動作として、レイアウト作業等を行う。レイアウト作業とは、例えば、造形時における造形物50の配置や向きを指定する作業である。ホストPC14は、造形しようとする造形物50を示すデータである造形物データを外部から受け取り、造形物データが示す造形物50の配置や向き等をユーザの指示に応じて調整することで、入力データを生成する。この場合、造形物データについては、例えば、レイアウト前の状態で造形物50を示すデータ等と考えることができる。また、入力データについては、例えば、レイアウト後の状態で造形物50を示すデータ等と考えることができる。この場合、レイアウト後の状態で造形物50を示すとは、例えば、指定された向き及び配置で造形物50を示すことである。また、造形物データについては、例えば、ホストPC14の外部から受け取る代わりに、ユーザの操作等に応じてホストPC14において生成してもよい。また、造形装置12においては、例えば、複数の造形物50を同時に造形すること等も考えられる。この場合、ホストPC14におけるレイアウト作業では、同時に造形を行う複数の造形物50について、向きや配置等を指定する。
また、ユーザがレイアウト作業を完了した後、ホストPC14は、生成した入力データについて、例えばネットワークを介して、造形装置12へ送信する。この場合、入力データについて、例えば、造形装置12に送られる造形のジョブのデータ等と考えることもできる。また、上記においても説明をしたように、本例において、造形装置12は、入力データに従って直接的に造形の動作を行うのではなく、入力データに基づいて複数のスライスデータを生成して、複数のスライスデータに基づき、造形の動作を行う。そして、この場合、入力データとしては、例えば、造形装置12の機種等に依存しないデータ(例えば、汎用の3Dデータ等)を好適に用いることができる。
続いて、造形装置12の具体的な構成について、説明をする。図1(b)は、造形装置12の要部の構成の一例を示す。本例において、造形装置12は、立体的な造形物50を造形する造形装置であり、ヘッド部102、造形台104、走査駆動部106、データ生成部108、及び制御部110を有する。
尚、以下に説明をする点を除き、造形装置12は、公知の造形装置と同一又は同様の構成を有してよい。より具体的に、以下に説明をする点を除き、造形装置12は、インクジェットヘッドを用いて造形物50の材料となる液滴を吐出することで造形を行う公知の造形装置と同一又は同様の構成を有してよい。また、造形装置12は、図示した構成以外にも、例えば、造形物50の造形等に必要な各種構成を更に備えてよい。
ヘッド部102は、造形物50の材料(造形の材料)を吐出する部分である。また、本例において、造形物50の材料としては、インクを用いる。この場合、インクとは、例えば、機能性の液体のことである。また、本例において、インクについては、例えば、インクジェットヘッドから吐出する液体等と考えることもできる。また、より具体的に、ヘッド部102は、造形物50の材料として、複数のインクジェットヘッドから、所定の条件に応じて硬化するインクを吐出する。そして、着弾後のインクを硬化させることにより、造形物50を構成する各層を重ねて形成して、積層造形法で造形物を造形する。この場合、それぞれのインクの層について、造形物50を構成する材料層の一例と考えることができる。また、本例では、インクとして、紫外線の照射により液体状態から硬化する紫外線硬化型インク(UVインク)を用いる。また、ヘッド部102は、造形物50の材料に加え、サポート層52の材料を更に吐出する。これにより、ヘッド部102は、造形物50の周囲に、必要に応じて、サポート層52を形成する。サポート層52とは、例えば、造形中の造形物50の外周を囲むことで造形物50を支持する積層構造物のことである。サポート層52は、造形物50の造形時において、必要に応じて形成され、造形の完了後に除去される。
造形台104は、造形中の造形物50を支持する台状部材であり、ヘッド部102におけるインクジェットヘッドと対向する位置に配設され、造形中の造形物50を上面に載置する。また、本例において、造形台104は、少なくとも上面が積層方向(図中のZ方向)へ移動可能な構成を有しており、走査駆動部106に駆動されることにより、造形物50の造形の進行に合わせて、少なくとも上面を移動させる。また、本例において、積層方向は、造形装置12において予め設定される主走査方向(図中のY方向)及び副走査方向(図中のX方向)と直交する方向になっている。
走査駆動部106は、造形中の造形物50に対して相対的に移動する走査動作をヘッド部102に行わせる駆動部である。この場合、造形中の造形物50に対して相対的に移動するとは、例えば、造形台104に対して相対的に移動することである。また、ヘッド部102に走査動作を行わせるとは、例えば、ヘッド部102が有するインクジェットヘッドに走査動作を行わせることである。また、本例において、走査駆動部106は、主走査動作(Y走査)、副走査動作(X走査)、及び積層方向走査(Z走査)をヘッド部102に行わせる。
この場合、主走査動作とは、例えば、造形中の造形物50に対して相対的に主走査方向へ移動しつつインクを吐出する動作のことである。また、副走査動作とは、例えば、主走査方向と直交する副走査方向へ造形中の造形物50に対して相対的に移動する動作のことである。副走査動作については、例えば、予め設定された送り量だけ副走査方向へ造形台104に対して相対的に移動する動作等と考えることもできる。また、積層方向走査とは、例えば、造形中の造形物50に対して相対的に積層方向へヘッド部102を移動させる動作のことである。また、走査駆動部106は、造形の動作の進行に合わせてヘッド部102に積層方向走査を行わせることにより、積層方向において、造形中の造形物50に対するインクジェットヘッドの相対位置を調整する。
データ生成部108は、入力データに基づいて複数のスライスデータを生成する処理部である。この場合、データ生成部108は、例えば、入力データが示す造形物50に対するスライス処理等を行って、複数のスライスデータを生成する。また、この場合、それぞれのスライスデータとして、例えば、各位置での造形物50の断面を示すラスタ画像のデータを生成する。また、本例において、ヘッド部102は、複数のスライスデータに基づき、造形に使用する各色のインクを吐出する。また、これにより、ヘッド部102は、それぞれのスライスデータに基づき、そのスライスデータに対応する断面を構成するインクの層を形成する。そのため、スライスデータについては、例えば、造形に使用する各色のインクを吐出する位置を指定するデータ等と考えることもできる。また、本例において、スライスデータは、造形物50の周囲に形成されるサポート層52の断面を更に示す。この場合、スライスデータに対応する断面を構成するインクの層について、例えば、造形物50及びサポート層52を構成するインクの層と考えることができる。
ここで、上記においても説明をしたように、本例においては、必要に応じてサポート層52を形成しつつ、造形物50の造形を行う。この場合、サポート層52を形成する位置等については、例えば、ホストPC14において行うレイアウト作業において設定をすること等が考えられる。また、この場合、例えば、造形物50の向きや配置等に応じて自動的に、サポート層52を形成する位置等を設定することが考えられる。また、サポート層52を形成する位置等については、例えばスライスデータの生成時に設定すること等も考えられる。この場合も、造形物50の向きや配置等に応じて自動的に設定を行うことが考えられる。
また、スライスデータを生成する動作において、データ生成部108は、例えば、少なくとも、造形の解像度に合わせてラスタ画像のデータを生成するRIP(Raster Image Processor)処理を行う。また、スライスデータを生成する処理については、入力データを所定の形式の出力データに変換する処理等と考えることもできる。また、この場合、所定の形式の出力データとしては、例えば、造形装置12の機種に依存する形式で造形物50の各断面を示す形式のデータを用いることが考えられる。また、データ生成部108においては、例えば、スライスデータを生成するための公知の処理と同一又は同様にして、スライスデータの生成を行うことが考えられる。
制御部110は、例えば造形装置12のCPUであり、造形装置12の各部を制御することにより、造形物50の造形の動作等を制御する。この場合、造形の動作とは、例えば、ヘッド部102からインクを吐出することで造形物50を構成するインクの層を形成する動作のことである。また、本例において、制御部110は、データ生成部108において生成するスライスデータに基づき、造形装置12の各部を制御する。この場合、制御部110は、例えば、ヘッド部102におけるインクジェットヘッドの動作を制御することにより、造形物の造形に用いるインクをインクジェットヘッドに吐出させる。このように構成すれば、例えば、積層造形法での造形の動作を適切に実行することができる。
また、本例において、造形装置12は、スライスデータを生成する処理と並行して造形の動作を行うことが可能に構成されている。この場合、造形物50を造形する期間の少なくとも一部において、データ生成部108が複数のスライスデータを生成する動作を行っている間に、制御部110は、造形物50の少なくとも一部を構成する複数のインクの層をヘッド部102に形成させる。また、スライスデータを生成する処理と並行して造形の動作を行う動作については、例えば、データ生成部108において全てのスライスデータの生成が完了する前に造形の動作を開始する動作等と考えることもできる。また、本例において、制御部110は、入力データに基づき、造形の動作を開始するタイミングを決定して、そのタイミングで、造形の動作を開始させる。スライスデータを生成する処理と並行して造形の動作を行う特徴については、後に更に詳しく説明をする。
ここで、本例におけるヘッド部102の構成について、更に詳しく説明をする。図1(c)は、ヘッド部102の構成の一例を示す。本例において、ヘッド部102は、複数のインクジェットヘッド202、複数の紫外線光源204、及び平坦化ローラ206を有する。また、複数のインクジェットヘッド202として、少なくとも、サポート層52の材料(S)用、白色のインク(W)用、着色用、及びクリアインク(T)用のインクジェットヘッドを有する。この場合、サポート層52の材料とは、サポート層52の材料として用いるインク(サポート材)のことである。また、白色のインクとは、例えば、造形物50において光反射領域として用いる領域形成用のインクである。着色用のインクとは、着色に用いる複数の色の各色用のインクのことである。また、より具体的に、着色用のインクとしては、例えば、イエロー色(Y色)、マゼンタ色(M色)、シアン色(C色)、及びブラック色(K色)の各色のインクを用いることが考えられる。また、クリアインクとは、例えば、無色の透明色(T)であるクリア色のインクのことである。これらの複数のインクジェットヘッドは、例えば、副走査方向における位置を揃えて、主走査方向へ並べて配設される。
また、複数の紫外線光源204は、インクを硬化させるための光源(UV光源)であり、それぞれのインクジェットヘッド202により吐出されたインクに紫外線を照射することにより、インクを硬化させる。複数の紫外線光源204のそれぞれは、例えば、間にインクジェットヘッド202の並びを挟むように、ヘッド部102における主走査方向の一端側及び他端側のそれぞれに配設される。紫外線光源204としては、例えば、UVLED(紫外LED)等を好適に用いることができる。また、紫外線光源204として、メタルハライドランプや水銀ランプ等を用いることも考えられる。また、平坦化ローラ206は、造形物50の造形中に形成されるインクの層を平坦化するための平坦化手段の一例である。平坦化ローラ206は、例えば主走査動作時において、インクの層の表面と接触して、硬化前のインクと接触する。そして、硬化前のインクの一部を除去することにより、インクの層を平坦化する。この場合、平坦化ローラ206の動作については、例えば、硬化前のインクの一部をかき取る動作等と考えることもできる。以上のような構成のヘッド部102を用いることにより、造形物50を構成するインクの層を適切に形成できる。また、複数のインクの層を重ねて形成することにより、造形物50を適切に造形できる。
また、ヘッド部102の具体的な構成については、上記において説明をした構成に限らず、様々に変形することもできる。例えば、ヘッド部102は、着色用のインクジェットヘッドとして、上記以外の色用のインクジェットヘッドを更に有してもよい。また、ヘッド部102における複数のインクジェットヘッドの並べ方についても、様々に変形可能である。例えば、一部のインクジェットヘッドについて、他のインクジェットヘッドと副走査方向における位置をずらしてもよい。また、データ生成部108について、制御部110と別の構成として設けるのではなく、制御部110にデータ生成部108を兼ねさせること等も考えられる。この場合、制御部110において複数のスライスデータを生成する処理について、制御部110がデータ生成部108として動作していると考えることができる。
続いて、本例の造形装置12により造形する造形物50の構成について、更に詳しく説明をする。図2は、本例の造形装置12により造形する造形物50の一例を示す図であり、積層方向(Z方向)と直交する造形物50の断面であるX−Y断面の構成の一例を、サポート層52とともに示す。また、この場合、Y方向やZ方向と垂直な造形物50のZ−X断面やZ−Y断面の構成も、同様の構成になる。
上記においても説明をしたように、本例において、造形装置12は、少なくとも表面が着色された造形物50を造形する。また、より具体的に、この場合、造形装置12は、例えば図中に示すように、内部領域152、着色領域154、及び保護領域156を有する造形物50を造形する。また、必要に応じて、造形物50の周囲等にサポート層52を形成する。
内部領域152は、造形物50の内部を構成する領域である。また、内部領域152については、例えば、造形物50の形状を構成する領域と考えることもできる。本例において、内部領域152は、白色のインクで形成されることにより、光反射領域を兼ねた領域になっている。この場合、光反射領域とは、例えば、着色領域154等を介して造形物50の外側から入射する光を反射するための光反射性の領域のことである。
着色領域154は、着色用のインクにより形成されることで着色がされる領域である。本例において、造形装置12は、ヘッド部102の各インクジェットヘッドから各色の着色用のインクとクリアインクとを吐出することにより、内部領域152の周囲に着色領域154を形成する。また、この場合、例えば、各位置への各色の着色用のインクの吐出量を調整することにより、様々な色を表現する。また、色の違いによって生じる着色用のインクの量の変化を一定の量に補填するために、クリアインクを用いる。このように構成すれば、例えば、着色領域154の各位置を所望の色で適切に着色できる。
保護領域156は、造形物50の外面を保護するための透明な領域である。本例において、造形装置12は、クリアインクを用いて、着色領域154の周囲に保護領域156を形成する。また、これにより、ヘッド部102は、透明な材料を用いて、着色領域154の外側を覆うように、保護領域156を形成する。以上のように各領域を形成することにより、表面が着色された造形物50を適切に形成できる。
尚、造形物50の構成の変形例においては、造形物50の具体的な構成について、上記と異ならせることも考えられる。この場合、例えば、光反射領域を兼ねた内部領域152を形成するのではなく、内部領域152とは別に、内部領域152と着色領域154との間に光反射領域を形成してもよい。また、この場合、内部領域152については、サポート材以外の任意のインクを用いて形成することができる。また、造形物50において、一部の領域を省略すること等も考えられる。また、造形物50において、上記以外の領域を更に形成すること等も考えられる。
続いて、本例において造形の動作を行うタイミングについて、更に詳しく説明をする。図3は、造形の動作を行うタイミングの様々な例を示す。上記においても説明をしたように、本例において、造形装置12は、複数のスライスデータを生成して、それぞれのスライスデータに従って、インクの層を形成する。また、この場合、少なくとも、それぞれのインクの層の形成を開始する前に、その層に対応するスライスデータを生成しておく必要がある。
そして、それぞれのインクの層の形成より前にそれぞれのスライスデータを生成することを考えた場合、最も単純には、例えば図3(a)に示すように造形の動作を行うことが考えられる。図3(a)は、スライスデータの生成が完了した後に造形の動作を開始する場合の動作の例を示す。また、図3(a)に示す動作については、例えば、スライスデータを生成するためのRIP処理の後に造形を行う動作(RIP後造形の動作)等と考えることもできる。
また、より具体的に、この場合、図中にTssと示すタイミングは、スライスデータの生成を開始するタイミングである。また、Tseと示すタイミングは、スライスデータの生成が完了するタイミングである。Tmsと示すタイミングは、造形の動作を開始するタイミングである。また、本例において、造形の動作を開始するタイミングTmsは、インクの層の形成を開始するタイミングである層形成開始タイミングの一例である。また、Tmeと示すタイミングは、造形の動作が完了するタイミングである。そして、図3(a)に示す動作においては、スライスデータの生成を開始するタイミングTse以降のタイミングTmsで造形の動作を開始する。このように構成した場合、全てのスライスデータが生成された状態でそれぞれのインクの層を形成することになる。そのため、それぞれのインクの層を形成するタイミングでは、確実に、対応するスライスデータが生成されていることになる。
しかし、スライスデータの生成には、多くの時間がかかる場合がある。そのため、図3(a)に示すようにスライスデータの生成や造形の動作を行う場合、造形の動作を開始するタイミングTmsが遅くなり、造形の動作が完了するタイミングTmeまでの時間が長時間化する場合がある。また、その結果、造形物50の造形を効率的に行うことが難しくなる場合がある。
これに対し、造形物50の造形をより効率的に行うためには、上記においても説明をしたように、例えば、スライスデータを生成する処理と並行して造形の動作を行うことが考えられる。図3(b)は、スライスデータを生成する処理と並行して造形の動作を行う場合の動作の例を示す。また、図3(b)に示す動作については、例えば、スライスデータを生成するためのRIP処理と造形とを同時に行う動作(RIP&造形の動作)等と考えることもできる。
この場合、例えば図中に示すように、スライスデータの生成を開始するタイミングTssと造形の動作を開始するタイミングTmsとを同時にする。スライスデータの生成を開始するタイミングTssと造形の動作を開始するタイミングTmsとを同時にするとは、例えば、最初のスライスデータが生成されたタイミングで造形の動作を開始することである。また、スライスデータの生成を開始するタイミングTssと造形の動作を開始するタイミングTmsとを同時にするとは、例えば、それぞれの動作を開始するために必要な処理等を考慮して、実質的に同時にすることであってよい。このように構成した場合、造形の動作が完了するタイミングTmeまでの時間について、例えば図3(a)に示す場合と比べて短縮することができる。また、これにより、例えば、造形物50の造形をより効率的に行うことができる。
しかし、上記においても説明をしたように、スライスデータの生成には、多くの時間がかかる場合がある。また、造形しようとする造形物50の形状や色によっては、実質的な造形時間よりもスライスデータの生成に要する時間の方が長くなる場合もある。この場合、実質的な造形時間とは、例えば、造形の動作を開始するタイミングTmsから造形の動作が完了するタイミングTmeまでの時間のうち、後に詳しく説明をするような造形の動作を一時的に停止する期間を除いた時間のことである。
図3(c)は、実質的な造形時間よりもスライスデータの生成に要する時間の方が長くなる場合の動作の例を示す。この場合、例えば、それぞれのスライスデータの生成に時間がかかることにより、造形の動作の途中において、次に形成するインクの層に対応するスライスデータの生成が間に合わなくなることが考えられる。そして、この場合、例えば、造形の動作を一時的に停止して、スライスデータの生成を待つことが必要になる。また、図3(c)においては、造形の動作を停止するタイミングについて、簡略化して示している。実際の造形時には、例えば、一定の層数のインクの層を形成する毎にスライスデータの生成が間に合わなくなり、造形の動作を一時的に停止することが考えられる。
そして、このような場合、造形の動作が完了するタイミングTmeは、全てのスライスデータが完了するタイミングTseの後に、少なくとも1つのインクの層を形成したタイミングになる。そのため、造形の動作を開始するタイミングTmsから造形の動作が完了するタイミングTmeまでの時間は、実質的な造形時間よりも長い時間になる。また、この場合、造形の動作を一時的に停止することにより、造形物50の品質に影響が生じる場合がある。より具体的に、造形の動作を一時的に停止した場合、次のインクの層の形成を開始する前に、このような停止を行わない場合と比べて、余計な待ち時間が発生することになる。そして、この場合、余計な待ち時間の影響により、待ち時間の前後等に形成するインクの層の状態に影響が生じ、意図しない目立つ縞が発生する場合がある。そのため、造形物50に求められる品質によっては、このように造形の動作が一時的に停止することが好ましくない場合がある。
これに対し、本例においては、スライスデータの生成を開始するタイミングTssと造形の動作を開始するタイミングTmsとを同時にするのではなく、スライスデータの生成を開始してからある程度の時間が経ってから造形の動作を開始することで、少なくとも一部の期間においてスライスデータの生成と造形の動作とを並行に行いつつ、スライスデータの生成が間に合わなくなることで造形の動作の一時停止が生じることを防止する。図3(d)は、造形の動作を開始するタイミングTmsを遅らす場合の動作の例を示す。この場合、スライスデータの生成を開始するタイミングTssよりも造形の動作を開始するタイミングTmsを遅らせることにより、スライスデータの生成がある程度進んだ時点で、造形の動作を開始する。そして、造形の動作を開始するタイミングTms以降において、スライスデータを生成する処理と並行して造形の動作を行う。
ここで、造形の動作が一時停止することで生じる造形品質への影響については、例えば、停止する時間が長くなることでより大きくなると考えられる。そのため、造形の動作を開始するタイミングTmsについては、例えば、造形の動作が一時的に停止する時間が予め設定された上限時間になるように設定することが考えられる。また、上限時間については、例えば、求められる造形の品質等において問題となる意図しない目立つ縞等が発生しない範囲内に設定することが考えられる。また、この場合、造形装置12における制御部110(図1参照)は、造形物50を構成するそれぞれのインクの層の形成を開始する前にそのインクに層に対応するスライスデータの生成が完了しているように、造形の動作を開始するタイミングTmsを設定することが好ましい。このように構成すれば、例えば、スライスデータの生成が間に合わないことで余計な待ち時間が発生することを適切に防ぐことができる。
また、図3(d)に示す動作について、造形物50を構成する複数のインクの層に関し、積層方向において連続して重なる2つのインクの層を形成する間に空く時間である層間時間に着目すると、例えば、造形の動作を開始するタイミングTmsについて、造形物50を構成する複数のインクの層の形成中に層間時間が予め設定された上限時間を超えないように設定する動作等と考えることできる。また、この場合、層間時間について、より具体的には、例えば、積層方向において連続して重なる2つのインクの層のうち、下側のインクの層の形成後、上側のインクの層の形成を開始するまでに空く時間等と考えることができる。このように構成すれば、例えば、層間時間を所定の上限時間以下にすることで、意図しない目立つ縞が発生すること等を防いで、高品質の造形物50を適切に造形することができる。また、この場合、層間時間の上限時間については、例えば、上記のような余計な待ち時間が発生しない場合にも生じる層間時間に合わせて設定することが好ましい。より具体的に、この場合、例えば、連続する2つのインクの層を形成する合間に行う積層方向走査等に要する時間に所定の余裕分を加えた時間を層間時間の上限時間に設定すること等が考えられる。
また、上記においても説明をしたように、本例において、造形装置12は、それぞれのインクの層を形成する動作において、ヘッド部102(図1参照)に主走査動作を行わせる。そのため、造形の動作が一時的に停止する時間の上限時間については、連続する2回の主走査動作の間に空く時間と関連付けて考えることもできる。この場合、造形装置12の制御部110は、例えば、造形物50の造形時に行う主走査動作に関し、連続する2回の主走査動作について、先の主走査動作が完了してから後の主走査動作を開始するまでの時間が予め設定された上限時間を超えないように、造形の動作を開始するタイミングTmsを設定する。このように構成すれば、例えば、層間時間が上限時間を超えることを適切に防ぐことができる。
ここで、上記のように、スライスデータの生成を開始するタイミングTssよりも造形の動作を開始するタイミングTmsを遅らせた場合、データ生成部108においてある程度の数のスライスデータを生成した後に、最初のインクの層の形成を開始することになる。そして、この場合、造形の動作を開始するタイミングTmsについて、単純に考えるのであれば、予め設定された一定の数のスライスデータを生成した時点に設定すればよいようにも思われる。
しかし、造形装置12においては、様々な形状や色の造形物を造形することが考えられる。そして、例えば入力データに基づいてスライスデータを生成する場合において、スライスデータの生成に要する時間は、通常、造形物50の形状や色等によって、大きく差が生じることになる。より具体的に、例えば、単純な形状及び色の造形物50を造形する場合と、複雑な形状及び色の造形物50を造形する場合とでは、スライスデータの生成に要する時間が10倍以上も異なる場合もある。そして、このような場合において、単純に一定の数のスライスデータを生成してから最初のインクの層の形成を開始するのであれば、スライスデータの生成に時間がかかる場合にも造形の動作が一時的に停止しないように、多くの余裕を持った数のスライスデータを予め生成することが必要になる。そして、この場合、造形物50の形状等によっては、必要以上の多くの数のスライスデータを形成してから造形の動作を開始することになり、造形の動作を開始するタイミングTmsが過度に遅くなること等も考えられる。また、その結果、造形の動作が完了するタイミングTmeも大きく遅れることになる。
また、造形物50の造形時に形成するインクの層数は、通常、積層方向における造形物50の高さ等に応じて相違する。そのため、造形の動作を開始するタイミングTmsから造形の動作が完了するタイミングTmeまでの時間は、通常、造形物50毎に様々に異なることになる。そして、この場合、造形の動作を開始するまでの形成しておくべきスライスデータの数についても、造形物50の形状等によって様々に異なることになる。
そのため、造形に要する時間をより適切に短縮するためには、造形の動作を開始するタイミングTmsについて、造形物50の形状や色等を考慮して、個別に設定を行うことが好ましい。そして、この場合、例えば、ホストPC14(図1参照)から受け取る入力データに基づいて造形の動作を開始するタイミングTmsを設定することが考えられる。また、この場合、造形装置12の制御部110は、入力データに基づき、造形物50を構成する複数のインクの層の形成中に層間時間が上限時間を超えないように、造形の動作を開始するタイミングTmsを設定する。また、より具体的に、この場合、データ生成部108は、例えば、積層方向における下側のインクの層に対応するスライスデータから順番に、それぞれのスライスデータを生成する。また、制御部110は、例えば、入力データに基づき、造形の動作を開始するタイミングTmsよりも前に生成しておくスライスデータの数である準備データ数を決定する。そして、準備データ数分のスライスデータの生成が完了した後に造形物50を構成する複数のインクの層の形成を開始するように、造形の動作を開始するタイミングTmsを設定する。このように構成すれば、例えば、造形の動作を開始するタイミングTmsについて、造形物50の特徴に応じて個別かつ適切に設定することができる。
以上のように、本例によれば、例えば、図3(d)に示すように造形の動作を行うことで、スライスデータの生成が間に合わないことで余計な待ち時間が発生すること等を適切に防ぐことができる。また、これにより、例えば、意図しない目立つ縞が発生すること等を防いで、高い品質の造形物50を適切に造形することができる。また、この場合、例えば図3(b)、(c)に示すように単純にRIP&造形の動作の動作を行うと問題が生じる造形物50を造形する場合にも、スライスデータを生成する処理と並行して造形の動作を適切に行うことができる。また、これにより、例えば図3(a)に示すような動作で造形を行う場合等と比べ、造形を開始するまでの待ち時間を短縮して、造形に要する時間を適切に短縮することができる。
続いて、本例において行う造形の動作の特徴等について、更に詳しく説明をする。上記においても説明をしたように、本例において、図3(d)に示すように造形の動作を行う場合、造形の動作を開始するタイミングTmsの前に、スライスデータの生成を開始する。また、この場合、スライスデータの生成に用いる入力データについては、例えば、造形装置12に送られる造形のジョブのデータ等と考えることができる。そのため、図3(d)に示す造形の動作については、例えば、造形装置12においてインクの層の形成を行っていない期間にジョブのキューにあるデータを予めスライスしておく動作等と考えることもできる。この場合、造形装置12においてインクの層の形成を行っていない期間とは、例えば、造形装置12がアイドル状態になっている期間である。また、この場合、造形の動作を開始するタイミングTmsの前の期間において、全てのスライスデータを生成するのではなく、少なくとも、造形の動作の一時的な停止を防げるだけの数のスライスデータを生成すればよい。また、この場合、必要な数のスライスデータが溜まるまでの間は、造形の動作を開始せず、スライスデータが十分に溜まってから、造形の動作を開始する。また、制御部110は、データ生成部108においてスライスデータの生成を開始した後に、造形の動作を開始するタイミングTmsを設定してもよい。この場合、例えば、データ生成部108において予め設定された数のスライスデータの生成を行うのに要した時間に基づき、造形の動作を開始するタイミングTmsを設定すること等が考えられる。また、この場合、入力データに基づいてスライスデータを生成し、その結果である処理に要した時間等に基づいて造形の動作を開始するタイミングTmsを設定する動作について、入力データに基づいてタイミングTmsを設定する動作の一例と考えることができる。
また、図3(d)に示すように造形の動作を行う場合、造形の動作を開始するタイミングTmsについて、ある程度の余裕が生じるように設定することが考えられる。そして、この場合、造形に要する時間については、図3(c)に示すように造形の動作を行う場合よりも長くなる場合もある。一方で、造形に求められる品質によっては、例えば、意図しない目立つ縞等を防ぐことよりも、造形に要する時間をより短縮することが求められる場合もある。そして、このような場合には、入力データに基づいて造形の動作を開始するタイミングTmsを設定するよりも、できるだけ早いタイミングでインクの層の形成を開始することが好ましい。そのため、造形装置12において、制御部110は、ユーザの指示に基づき、造形の動作を開始するタイミングTmsの調整を行うか否かを決定してもよい。そして、例えば、造形の動作を開始するタイミングTmsの調整を行うと決定した場合、制御部110は、例えば、意図しない目立つ縞等を防ぐように、造形の動作を開始するタイミングTmsを設定する。また、この場合、制御部110は、例えば、複数のインクの層の形成中に層間時間が上記のような上限時間を超えないように、造形の動作を開始するタイミングTmsを設定する。また、造形の動作を開始するタイミングTmsの調整を行わないと決定した場合、制御部110は、例えば、できるだけ早くインクの層の形成を開始するように、造形の動作を開始するタイミングTmsを設定する。この場合、制御部110は、例えば、造形の動作を開始するタイミングTmsとして、データ生成部108がスライスデータの生成を開始するタイミングTssに合わせたタイミングを設定する。スライスデータの生成を開始するタイミングTssに合わせたタイミングとは、例えば、データ生成部108が複数のスライスデータの生成を開始した後、最初のインクの層の形成が可能になるタイミングである。また、より具体的に、このタイミングは、例えば、データ生成部108が最初のスライスデータを生成した直後のタイミング等である。このように構成すれば、例えば、造形に求められる品質等に応じて、より適切に造形物50の造形を行うことができる。
続いて、造形の動作が一時的に停止した場合に生じる問題点について、更に詳しく説明をする。積層造形法において造形の材料(インク)を積層することで造形物50を造形する場合、例えば造形物50の表面において傾斜している部分等に、インクの層の厚さの影響により、定期的な縞状の模様(積層縞)が形成される場合がある。しかし、通常、このような積層縞は一定の間隔で規則的に形成されるため、造形物50の見た目に大きな違和感等は生じ難い。これに対し、スライスデータを生成する処理と並行して造形の動作を行う場合において、スライスデータの生成が間に合わなくなることで造形の動作を一時的に停止すると、上記においても説明をしたように、その影響により、例えばインクの層の状態にわずかな変化が生じる場合がある。また、その結果、その位置付近の縞の見え方に影響が生じ、意図しない目立つ縞が形成される場合がある。そして、このような目立つ縞が形成されると、通常、造形物50の品質が低下することになる。
また、この点に関し、本願の発明者は、造形の動作を停止することの影響について、様々な実験により、確認を行った。図4は、本願の発明者が行った実験について説明をする図であり、造形の動作を一時的に停止する時間を変化させつつ造形を行った実験の結果である造形物の一部を写真により示す。写真において造形物に書かれている数字は、造形中に造形の動作を一時的に停止させた時間(造形停止時間)である。また、図中に示すように、この実験では、造形停止時間を、3分、2分、1分、0.5分、0.25分と変更しつつ造形を行い、積層縞の目立ち具合の変化を観察した。
写真からわかるように、造形停止時間が長くなると、積層縞が非常に目立つ状態になる。これに対し、本例においては、上記においても説明をしたように、造形の動作を開始するタイミングTmsの調整を行うことにより、造形の動作の開始後に造形の動作が長時間停止することを適切に防ぎ、連続的に造形の動作を実行することができる。そのため、本例によれば、意図しない目立つ縞が形成されること等を適切に防ぐことができる。また、これにより、例えば、高い品質の造形物50を適切に造形できる。
ここで、紫外線硬化型インクを用いて造形物50を造形する場合、それぞれのインクの層の形成時にインクを十分に硬化させておけば、造形の動作を一時停止したとしても、造形物50の品質への影響は生じないようにも思われる。しかし、積層造形法で造形を行う場合、積層するそれぞれのインクの層について、層間に十分な接着性が生じている状態で形成することが必要になる。また、この点に関し、紫外線硬化型インクは、通常、ある程度硬化が進んだ時点で、粘着性の状態になり、高い接着性を有する状態になる。一方で、完全に硬化した状態において、紫外線硬化型インクは、通常、粘着性がない状態になる。そのため、紫外線硬化型インクを用いて造形物50を造形する場合において、それぞれのインクの層の形成時にインクを完全に硬化させると、層間の接着性が不十分になる場合があり。そのため、それぞれのインクの層の形成時において、少なくとも層が形成された直後の時点では、インクを完全には硬化させずに、粘着性を有する状態にしておくことが好ましい。また、より具体的に、この場合、ヘッド部102における紫外線光源204での紫外線の照射の仕方について、連続して重なる2つのインクの層を形成する動作において、下側のインクの層の形成時に、少なくともインクの層の上面が接着性を有する状態になるように紫外線を照射することが好ましい。このように構成すれば、例えば、下側のインクの層の上面について、少なくとも上側のインクの層の形成を開始するまで間、接着性を保たせることができる。また、この状態については、例えば、少なくとも層間時間が経過した時点まで接着性を保つ状態等と考えることもできる。しかし、この場合、インクが完全には硬化していないため、造形停止時間が長くなると、層間時間が長くなることで、例えばインクの層を構成するインクのドットの平坦化が進み、インクの層の状態に変化が生じると考えられる。また、その結果、上記において説明をしたように、造形停止時間が長くなると、積層縞が非常に目立つ状態になる。
尚、積層造形法で造形を行う場合、それぞれのインクの層について、形成した直後の時点で完全に硬化していなくても、その上に重なるインクの層の形成時等に更に紫外線が照射されることで、通常、造形が完了するまでの間に、完全に硬化すると考えられる。また、この場合、必要に応じて、例えば造形の動作の最後等に、インクの硬化を完了させるための紫外線を照射してもよい。
また、積層造形法で造形を行う場合、1つのインクの層を形成する動作の中で、複数回の主走査動作を行う場合もある。そして、この場合、このような複数回の主走査動作の間に空く時間についても、造形物50の品質に大きな影響を与えるようにも思われる。しかし、上記において説明をした積層縞は、それぞれのインクの層の厚さに対応して形成される縞である。また、積層造形法で造形を行う場合、通常、上記において説明をした構成のように、平坦化ローラ206(図1参照)のような平坦化手段を用いて、インクの層を平坦化する。そして、この場合、平坦化の動作に伴い、インクの層の厚さは、予め設定された所定の厚さに調整されることになる。そのため、この場合、1つのインクの層を形成する動作の中での複数回の主走査動作の間に空く時間が変化したとしても、最終的なインクの層の厚さへの影響は、実質的に生じないと考えられる。また、この点からも、意図しない目立つ縞が形成されること等を適切に防ぐためには、上記においても説明をしたように、層間時間の長時間化の防止が重要であることがわかる。