JP2005243468A5 - - Google Patents
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Description
この発明は、接触部とはんだ付けされる端子部とを持つコネクタ、スイッチなどの電子部品であって、めっき表面にはんだの這い上がりを防止するはんだ這い上がり防止面を設けた電子部品の製造方法に関するものである。
従来、表面処理を施すことで機能を発揮するコネクタ、スイッチなどの電子部品用材料の中で、接触部とはんだ付けされる端子部とを持つ様に表面処理を施す際、例えば、図9、図10、図11、図12(ここで使用した図は、図1〜図12のいずれについても電子部品用材料の曲げ加工のない切断面の状態で示す。)に示すように、銅合金や鉄合金などの素材1に選択的にまたは全面に下地ニッケルめっき2を施し、その上に接触部用表面めっきとして選択的に金めっき3を施し、端子部用表面めっきとして選択的に金めっき又ははんだめっき4を施し、その間に下地めっき部を残し、この部分をはんだ這い上がり防止面5として使用することが一般的である。なを、電子部品材料は成形前にめっき加工するものもあれば、成形後にめっき加工するものもある。下地めっきとしては、ニッケルめっきのほかに、無電解ニッケルめっきなどが施される例もあるし、素材が鉄系合金材、ニッケル系合金材、ステンレス材などの場合には下地めっきを省略する場合もある。接触部用表面めっきには金めっきのほかに、パラジウム、パラジウム合金、銀、錫、はんだ(錫鉛合金)、錫銅合金めっきなどが施される例もある。端子部用表面めっきには、上記のほかに、パラジウム、パラジウム合金、銀、錫、錫銅合金めっきなどが施される例もある。
素材表面に選択的にめっきする方法は、冶具を用いてめっき不必要部をめっき液から遮蔽する方法、接着性のあるテープでマスキングする方法、必要な部分だけめっき液に浸漬してめっきする方法などが使われる。しかし、冶具を用いる方法では、素材表面と冶具間の密着が完全でないことにより、めっき液がその間に浸透し、めっき不必要部にめっきの滲みが生じ、部分的にめっきされてしまう。接着性テープを用いる方法では、テープ材質が一般的にプラスチックフィルムのため、マスキングの際の張力によりテープが伸び縮みし、めっき不必要部の幅や位置に誤差を生じる。又プラスチックフィルムは強度的にも弱いために、1mm幅程度のプラスチックフィルムを素材に安定して貼り付けてマスキングすることが難しい。必要部分だけめっき液に浸漬する方法は、めっき液の表面張力により素材の液面部分にめっき液が吸い上がり、2mm以上のめっき滲みが発生してしまう。従って、これらのめっき方法では、めっきを施す位置の精度に1〜2mm程度の誤差が常に生じており、はんだ這い上がり防止面として必要な下地ニッケルめっきの残存部分としては最低でも1〜2mm程度の幅が必要になる。しかし、最近では電子部品の軽薄短小化が進み、例えばコネクタでは全長で1mm程度の微小なものも出現するようになり、はんだ這い上がり防止面の幅は1mm以下、場合によっては0.1mm以下が要求されるようになってきた。つまり、こうした状況から、従来の方法では、これらの要求を満足するはんだ這い上がり防止面を形成することが不可能になってきている。
このような課題を解決するために、例えば、ニッケルめっき後のめっき面に感光性樹脂を塗布し、パターン形成方法によりめっき不必要部をマスキングすることが考えられる。しかし、この方法は、プリント基板を作製するような複雑な工程を余儀なくされ、コストが重要視される電子部品の表面処理には向いていない。
この解決策の一方策として、素材に下地ニッケルめっき後、表面金めっきを施し、めっき後に、はんだ這い上がり防止が必要な部分の表面を酸化処理することにより、はんだ這い上がりを防ぐことが行われている。しかし、この方法では接触部用金属としてめっきされる金は酸化されないので、酸化物層形成が困難である。さらに、下地のニッケルめっき面の酸化を進めるために与えるエネルギーが大きくなり、はんだ這い上がり防止面周辺部の接触部用めっき部への熱的影響が大きくなる問題を生ずる。(例えば、特許文献1参照)
さらに、別の解決策として、素材に下地ニッケルめっき(めっき厚は、0.5〜2.5μm)後、表面金めっき(めっき厚は、0.03〜0.5μm)を施し、その後にはんだ這い上がり防止が必要な部分の表面を機械的な研削あるいは研磨技術、放電加工あるいは電子ビーム加工技術、レーザー加工技術を適用して選択的に取り除き、下地ニッケルめっき表面を露出させることも行われている。しかし、この方法では、薄い表面金めっき皮膜を正確に除去するのが難しく、除去後の金属表面は、研削による表面荒れが生じたり、素材金属が露出してしまう可能性がある。また、除去後の金属が周辺部へ飛散や堆積し、接触部表面の金めっき皮膜を汚染する可能性があるなどの問題が発生する。(例えば、特許文献2参照)
接触部とはんだ付けされる端子部とを持つコネクタ、スイッチなどの電子部品において、接触部として形成される表面めっき層上を這い上がる端子部のはんだの這い上がりを防止する面を1mm以下程度の間隔で、0.1mm程度の精度で作製することが課題である。しかし、従来の方法では、段落0002〜0006に説明したように、課題を解決できない。つまり、段落0002〜0004に説明したような、選択的に表面めっきを施さない部分を形成して、これをはんだ這い上がり防止面とする方法では、防止面の幅を1mm以下、精度を0.1mm程度にする課題を満たすことができない。段落0005で説明した、表面めっきを酸化する方法では、接触表面金属として多く用いられる金を酸化することが困難である。段落0006で説明した、表面めっき後その一部表面を除去して、この面をはんだ這い上がり防止面とする方法では、取り除く部分の幅や厚みの制御が難しく、はんだ這い上がり防止面の素材露出、表面荒れ等が発生しやすく、除去金属がはんだ這い上がり防止面近傍の接触部表面を汚染する問題などが発生する。
この発明は、かかる問題点を解決するためになされたもので、電子部品のめっき表面に微小な幅をもったはんだ這い上がり防止面を形成することができる電子部品の製造方法を提供することを目的とする。
この発明は、かかる問題点を解決するためになされたもので、電子部品のめっき表面に微小な幅をもったはんだ這い上がり防止面を形成することができる電子部品の製造方法を提供することを目的とする。
この発明にかかる電子部品の製造方法においては、素材上に表面めっきを施すとともにそのめっき表面にレーザー光を照射して熱処理を行なうことにより素材とめっき皮膜による微小な改質層を形成し、これら微小な改質層をめっき表面の所定領域内にレーザー光の走査方向に連続して複数個形成することにより、これら改質層の集合体をはんだ這い上がり防止面としたものである。
この発明にかかる電子部品の製造方法においては、素材上に下地めっきと表面めっきを施すとともにそのめっき表面にレーザー光を照射して熱処理を行うことにより下地めっき皮膜と表面めっき皮膜による微小な改質層を形成し、これら微小な改質層をめっき表面の所定領域内にレーザー光の走査方向に連続して複数個形成することこより、これら改質層の集合体をはんだ這い上がり防止面としたものである。
この発明にかかる電子部品の製造方法においては、下地めっきをニッケルめっきとし、表面めっきを金めっきとしたものである。
この発明によれば、電子部品の素材上に表面めっきを施すとともにそのめっき表面にレーザー光を照射し熱処理することにより、素材とめっき皮膜による微小な改質層を形成し、この微小な改質層をめっき表面の所定の領域内にレーザー光の走査方向に連続して複数個形成することにより、これら微小な改質層の集合体をはんだ道い上がり防止面としているので、はんだ這い上がり防止面はその幅を自由に選択して作製することができ、特に微小な電子部品におけるはんだ這い上がり防止面を加工するための方法として有効であり、例えばフープ材のような帯状の長尺素材に連接して形成されるコネクタ等の電子部品の場合めっき表面に部分的かつ連続的にはんだ這い上がり防止面を加工することができ、量産性向上に優れた効果を発揮する。
コネクタ、スイッチなどの電子部品を構成する素材の表面に、接触部とはんだ付けされ
る端子部とを形成するには、まず、図1、図3、図5に示すように、電子部品を構成する素材1の表面の一部または全面に下地ニッケルめっき2を施し、その下地ニッケルめっき2の一部または全面に表面金めっき3を施す。一般的には、下地ニッケルめっき2の皮膜厚さは0.5〜2.5μm程度であり、表面金めっき3の皮膜厚さは0.03〜0.5μm程度である。所定厚さのめっきを施した素材の表面に、その後、図2、図4、図6に示すようにレーザー光を照射することにより、その熱エネルギーで表面金めっき皮膜と下地ニッケルめっき皮膜を相互に熱拡散させて、めっき表面にニッケルの割合が多いニッケル・金の合金層からなる改質層が作られる。このとき、照射されるレーザー光は、レーザービームをレンズで0.01mm程度の径に絞り、かつレーザービームをパルス化したのち、ガルバノメーターによりレーザービームを素材の幅方向へ必要な領域にわたって走査するとともに、レーザービームを素材の長手方向へ必要な領域にわたって走査し、所望の領域内に所定の数の微小な改質層を連続的に並べて複数個形成する。つまり、素材のめっき表面には、0.01mm径を有する微小な改質層が形成され、この微小な改質層を所定の領域内、つまり、はんだ這い上がり防止面を形成したい領域内に所定の数だけ並べて形成することで、その改質層の集合体からはんだ這い上がり防止面5を形成している。なお、はんだ這い上がり防止面5は、電子部品の形状や、スペック等、個々の電子部品により要求される態様により、その範囲を自由に選択かつ製作することが可能である。このようにめっき表面を改質することによって、この改質層部分は、はんだに対する濡れ性が低くなるため、所定の領域内に多数の改質層が集合することではんだ這い上がり防止面5を形成することができ、このはんだ這い上がり防止面5を挟んで金めっき面の一方を接触部3′とし、残りの一方をはんだ付けされる端子部4′としている。特に、はんだ這い上がり防止面5は、複数個の微小な改質層の集合体から構成されているので、はんだ這い上がり防止面に対応するめっき表面は、その全体にむらなくほぼ均一に改質がされた状態にあり、はんだ這い上がり防止面5としてはんだの這い上がり防止効果を十分に発揮することができる。また、素材あるいはニッケルなどの下地めっき皮膜と金などの表面めっき皮膜に熱エネルギーを照射して相互に熱拡散させ、両金属を固溶体化、金属間化合物化することにより、改質層を形成することもできる。
レーザーマーキング装置を使用してめっき表面にレーザー光を照射する際、めっき面の一面だけに照射することもできるし、めっき面の全ての面(4面)に照射することもできる。もちろん、レーザー光の照射により形成されたはんだ這い上がり防止面5は、一面上に1本だけではなく多数本作製することも可能である。実験の結果、レーザー光を使用する場合には、赤外部のものよりも可視光部〜紫外部の波長のものが金属表面に吸収されやすく、表面改質に向いていることが判った。例えば、パルス化した0.01mm径程度のレーザービームを、ガルバノメーターでミラーを制御してレーザービームを材料の幅方向に振らせることで、1mm〜0.01mmの幅の狭い部分的な熱処理がガルバノメーターの調整だけで可能になる。もちろん、この方法では、ビーム径、QSW周波数、パルス間隔を調節することで、めっき表面の面方向と深さ方向を自由に選ぶことができるため、ここで述べた以外にも仕様の違う色々な要求に適応可能である。
発明の実施の形態については、下地ニッケルめっき、表面金めっきを施したものについて説明したが、下地ニッケルめっきを省略する場合もある。この場合には、図7に示すように素材上に直接金めっきを施した後、図8に示すように、レーザーマーキング装置からレーザー光6を、表面金めっき面の一部に局部的に照射するで、1mm〜0.01mmの微小な幅で表面金めっき皮膜と素材とを熱拡散により改質し、改質層を形成する。もちろん、素材上への下地めっきはニッケルに限らず、無電解ニッケルあるいはその他のめっきも使用できる。表面の接触部めっきも金に限らず、パラジウム、パラジウム合金、銀、錫などのめっきも使用できる。
以上述べたように、発明の実施の形態に従って表面処理したはんだ這い上がり防止面5は、電子部品の接触部3′、端子部4′の各部分と同一平面を維持し、素材表面に凹凸がなく、金とニッケルの熱拡散によって形成された改質層の合金面であり、金に比較してニッケルが多いために、外観は目視で判別可能なニッケル色であり、しかもこの部分がはんだ這い上がり防止面として作用し、図9、図10、図11、図12に示した従来の技術にない機能を持ち、かつレーザー光などの熱エネルギーを照射することで、従来品と比較して、はんだ這い上がり防止面が極端に狭く形成することができ、同時にその位置精度が際立ってよいものである。
次にこの発明の製造方法による実験の一例を示す。板厚0.1mm、材料幅29.5mmのリン青銅からなる素材1に、下地ニッケルめっき2を全面に1.5μmの厚さでめっきし、表面に金めっき3を3.0mmの幅で選択的に0.2μmの厚さでめっきして、図3に示すサンプルを作製した。めっき加工後に、発振波長532nm、平均出力8wのLD励起QスイッチNd:YAGレーザーのビーム径0.05mmとして、QSW周波数10KHzでガルバノメーターでスキャニングし、0.25mm幅でマーキングしながら、材料表面に6m/minの走査速度で金めっき幅先端から1mmの位置に沿って照射した。すなわち、図13に示すように、0.25mm幅の幅方向にレーザー光を走査して0.05mmのビーム径による5個の改質層を連続して形成するとともに、金めっき面の長手方向にレーザー光を走査して1mmあたり0.05mm径のビーム径による20列の改質層を連続して形成し、合計100回のレーザービームを照射して、100個の微小領域を熱処理し、それぞれの部分で改質層を形成している。この結果、照射部の試料表面の金色は、0.25mm幅で走査方向に沿ってニッケル外観を呈し、この幅は一定しており、下地ニッケル表面2上に、幅0.85mmの金めっき外観を持った接触部3′と、幅0.25mmのニッケルめっき外観を持った改質部と、幅1.90mmの金めっき外観を持った端子部4′を得た。この実験で、図4中、はんだ這い上がり防止面5の表面は、ほぼ平滑でレーザービームの照射により表面性状を劣化させることもなかった。つぎに、これをEPMA(電子線マイクロアナライザー)を使用して元素分析したところ、レーザービーム照射部はニッケル外観を呈しているが、この部分からは金元素が非照射部より若干は弱いが、きちんと検出され、レーザービームの照射により表面めっき皮膜が除去されたわけではなく、下地ニッケルめっき皮膜と表面金めっき皮膜が、相互に熱拡散してニッケル割合の多いニッケル―金合金層が形成されたことを示し、図4の状態が元素分析により確認された。こうして作製された図4の端子部4′をはんだ付けしたところ、レーザービーム照射により改質された幅0.25mmの部分は、はんだ這い上がり防止面として作用し、接触部3′へのはんだの這い上がりを防ぐ効果が確認された。したがって、電子部品であって微小なコンタクト、スイッチ等は、フープ材のような長尺の帯状素材に個々の電子部品が連接して作られているのが一般的であり、このような電子部品をめっき加工する場合に、予め素材表面にその長手方向に沿って連続してめっき処理を施すとともに、めっき表面に上記方法で連続的に改質層を形成し、その後、各々の部品ごとに素材を幅方向に沿って切り離すことにより、めっき表面の所定位置に所定幅のはんだ這い上がり防止面を設けた電子部品を得ることができる。
1 銅合金、鉄合金などの素材
2 下地ニッケルめっき皮膜
3 表面金めっき皮膜
3′熱処理後の接触部用金表面
4 表面金またははんだめっき皮膜
4′熱処理後のはんだ付け端子用金表面
5 はんだ這い上がり防止面
6 レーザーなどの熱エネルギー照射部
2 下地ニッケルめっき皮膜
3 表面金めっき皮膜
3′熱処理後の接触部用金表面
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5 はんだ這い上がり防止面
6 レーザーなどの熱エネルギー照射部
Claims (3)
- 接触部とはんだ付けされる端子部とを持つコネクタ、スイッチなどの電子部品であって、素材上に表面めっきを施すとともにそのめっき表面にレーザー光を照射して熱処理を行うことにより素材とめっき皮膜による微小な改質層を形成し、これら微小な改質層をめっき表面の所定領域内にレーザー光の走査方向に連続して複数個形成することにより、これら改質層の集合体をはんだ這い上がり防止面としたことを特徴とする電子部品の製造方法。
- 接触部とはんだ付けされる端子部とを持つコネクタ、スイッチなどの電子部品であって、素材上に下地めっきと表面めっきを施すとともにそのめっき表面にレーザー光を照射して熱処理を行うことにより下地めっき皮膜と表面めっき皮膜による微小な改質層を形成し、これら微小な改質層をめっき表面の所定領域内にレーザー光の走査方向に連続して複数個形成することにより、これら改質層の集合体をはんだ這い上がり防止面としたことを特徴とする電子部品の製造方法。
- 下地めっきをニッケルめっきとし、表面めっきを金めっきとしたことを特徴とする請求項2記載の電子部品の製造方法。
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