JP2005243383A - スルホン酸基含有高分子電解質膜及びそれを用いた物品 - Google Patents

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Abstract

【課題】高いイオン伝導性を示すと共に、湿潤時においても優れた力学特性、寸法安定性を示す高分子電解質膜及び該高分子電解質膜を用いた燃料電池などを提供する。
【解決手段】20℃、相対湿度65%の雰囲気下での引っ張り強度が45MPa以上であるとともに、25℃の水中で測定した引っ張り強度が30MPa以上であることを特徴とするスルホン酸基含有高分子電解質膜であり、好ましくは、さらに80℃、95%RHの雰囲気下で測定したプロトン伝導率が0.01S/cm以上であることを特徴とするスルホン酸基含有高分子電解質膜及び該高分子電解質膜を用いた燃料電池などの物品。
【選択図】なし

Description

本発明は、高分子電解質膜に関し、詳しくはスルホン酸基含有高分子電解質膜及びそれを用いたに複合体、該複合体を用いた燃料電池などの物品に関するものである。
液体電解質のかわりに高分子固体電解質をイオン伝導体として用いる電気化学的装置の例として、水電解槽や燃料電池を上げることができる。これらに用いられる高分子膜は、カチオン交換膜としてプロトン伝導率とともに化学的、熱的、電気化学的および力学的に十分安定なものでなくてはならない。このため、長期にわたり使用できるものとしては、主に米デュポン社製の「ナフィオン(登録商標)」を代表例とするパーフルオロカーボンスルホン酸膜が使用されてきた。しかしながら、ナフィオン膜を100℃を越える条件で運転しようとすると、膜の含水率が急激に落ちるほか、膜の軟化も顕著となる。また、メタノールを燃料とする燃料電池においては、ナフィオン膜中のメタノール透過速度が大きいために性能低下が顕著であり、十分な性能を発揮できないことが指摘されている。また、現在主に検討されている水素を燃料として80℃付近で運転する燃料電池においても、膜のコストが高すぎることが燃料電池技術の確立の障害として指摘されている。
このような欠点を克服するため、非フッ素系芳香族環含有ポリマーにスルホン酸基を導入した高分子電解質膜が種々検討されている。ポリマー骨格としては、耐熱性や化学的安定性を考慮すると、芳香族ポリアリーレンエーテルケトン類や芳香族ポリアリーレンエーテルスルホン類などの、芳香族ポリアリーレンエーテル化合物を有望な構造としてとらえることができ、ポリアリールエーテルスルホンをスルホン化したもの(例えば、非特許文献1参照。)、ポリエーテルエーテルケトンをスルホン化したもの(例えば、特許文献1参照。)、スルホン化ポリスチレン等が報告されている。しかしながら、これらのポリマーのスルホン化反応により芳香環上に導入されたスルホン酸基は一般に熱により脱離しやすい傾向にあり、これを改善する方法として電子吸引性芳香環上にスルホン酸基を導入したモノマーを用いて重合することで、熱的に安定性の高いスルホン化ポリアリールエーテルスルホン系化合物が報告されている(例えば、特許文献2参照。)。この場合、モノマーの反応性が低いために、ポリマーを得るのに長時間の重合を必要とする問題が生じている(例えば、非特許文献2参照)。これらの非フッ素系高分子電解質はスルホン酸基の酸性度が低いこともあり、フッ素系高分子電解質膜と同レベルのプロトン伝導性を発現するためには、フッ素系高分子電解質の場合よりも多くのスルホン酸基を高分子鎖中に導入することが必要となる。しかし、スルホン酸基量を多くすると湿潤時の膜の膨潤が大きくなる傾向となり、特に高温側発電時の障害となる場合が多く、より寸法安定性に優れ、かつ優れた力学特性を示す高分子電解質膜が求められている。
特開平6−93114号公報(第15−17頁) 米国特許出願公開第2002/0091225号明細書(第1−2頁) ジャーナル・オブ・メンブラン・サイエンス ( Journal of Membrane Science)、(オランダ)1993年、83巻、P.211−220 エーシーエス・ポリマー・プレプリント(ACS Polymer Preprints)、(米国)、2000年、41(2)巻、P.1388−1389
本発明の目的は、良好な加工性を示す単一化合物系非フッ素芳香族高分子電解質を用いて、高いイオン伝導性を示すと共に、特に湿潤時において寸法安定性に優れ、かつ優れた力学特性を示す高分子電解質膜、更には該高分子電解質膜を用いた複合体、該複合体を用いた燃料電池などの物品を提供することにある。
本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、芳香環上にスルホン酸を導入した高分子電解質において、そのポリマー構造を工夫することにより、上記目的が達成されることを見いだすに至った。
すなわち、本発明は下記(1)〜(6)により達成される。
(1)実質的に単一化合物から構成される高分子電解質膜であって、20℃、相対湿度65%の雰囲気下での引っ張り強度が45MP以上であるとともに、25℃の水中で測定した引っ張り強度が30MPa以上であることを特徴とするスルホン酸基含有高分子電解質膜。
(2)80℃、95%RHの雰囲気下で測定したプロトン伝導率が0.01S/cm以上であることを特徴とする第1の発明に記載のスルホン酸基含有高分子電解質膜。
(3)一般式(1)とともに一般式(2)で示される構造単位を有することを特徴とする第1に発明または第2の発明のいずれかに記載のスルホン酸基含有高分子電解質膜。
Figure 2005243383
ただし、Arは2価の芳香族基、Yはスルホン基またはケトン基、XはHまたは1価のカチオン種を示す。
Figure 2005243383
ただし、Ar’は2価の芳香族基を示す。
(4)第1の発明から第3の発明のいずれかに記載の高分子電解質膜と電極とを含有することを特徴とする複合体。
(5)第4の発明に記載の複合体を含有することを特徴とする燃料電池。
(6)メタノールを燃料として使用することを特徴とする第6の発明に記載の燃料電池。
本発明の高分子電解質膜は、単一化合物系非フッ素芳香族高分子電解質でありながら、イオン伝導性だけでなく、力学特性、特に湿潤時の力学特性、寸法安定性に優れた、燃料電池などの高分子電解質として際立った性能を示すものである。また、本発明におけるスルホン酸基含有高分子化合物は、メタノール透過性が低いという特徴もあるため、ダイレクトメタノール型燃料電池用の高分子電解質膜としても有用である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、スルホン酸基を含有する高分子電解質膜において、優れた力学特性、特に湿潤時の力学特性に優れたものを提供する。スルホン酸基を含有する高分子電解質膜は、含有するスルホン酸基のために親水性の高い構造となっており、水分を吸収することにより、弾性率、強度等の力学特性が低下する傾向を示す。本発明者らは、吸湿時の引張強度が小さいと、膜が水分を吸収、放出する際の膨潤、収縮における耐性が低下し、水分吸収時の引っ張り強度が大きい物ほど特に燃料電池で使用されるような湿潤状態での膜の耐久安定性に優れるとの結論を得るに至った。すなわち、実質的に単一化合物から構成される高分子電解質であって、20℃、相対湿度65%の雰囲気下での引っ張り強度が45MPa以上であるとともに、25℃の水中で測定した引っ張り強度が30MPa以上であることを特徴とするスルホン酸基含有高分子電解質膜により、本発明の目的を達成することができる。湿潤時の膜の力学特性を向上させる目的としては、高分子電解質とともに何らかの補強成分を使用する試みもなされているが、本発明の高分子電解質膜は、補強成分を必要としないことが特徴である。ここで、「実質的に単一化合物から構成される」とは、このような目的の補強成分を持たないことを言う。高分子電解質そのものの特性で寸法安定性を発現できるので、複雑な成形プロセスも必要としない。相対湿度65%の雰囲気下での引っ張り強度が45MPa以上である高分子電解質は通常の取扱いにおいて良好に使用できるものであるが、水中での引っ張り強度が30MPa以下であると、燃料電池として発電を行った場合、膜のクリープによる問題が発生したり、起動停止に伴う膨潤収縮サイクルにおいて膜が損傷を受けやすくなってしまう。水中での引っ張り強度は35MPa以上であればより好ましく、40MPa以上であればさらに好ましい。
スルホン酸基含有高分子電解質膜は、一般にそのプロトン伝導率はポリマー中のスルホン酸基濃度が増すに従い大きな値を示す様になる。しかし、スルホン酸基含有率が増加すると、電解質の親水性が増すために湿潤時の寸法安定性は悪くなる傾向になってしまう。このため、高い伝導率を有すると共に、湿潤時の寸法安定性が良いことが好ましく、上記の力学特性を示すとともに、80℃、95%RHの雰囲気下で測定したプロトン伝導率が1.0×10-3S/cm以上であることが好ましい。イオン伝導率が1.0×10-3S/cm以上である場合には、そのイオン伝導膜を用いた燃料電池において良好な出力が得られる傾向にあり、1.0×10-3S/cm未満である場合には燃料電池の出力低下が起こる傾向にある。0.01S/cm以上であるものがより好ましいものと言える。プロトン伝導率が0.1S/cm以上であればさらに好ましい。
本発明の高分子電解質膜に使用できる材料としては、芳香族系のスルホン酸基含有ポリマーであることが好ましい。このようなポリマー骨格の例として、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンスルフィドスルホン、ポリパラフェニレン、ポリアリーレン系ポリマー、ポリフェニルキノキサリン、ポリアリールケトン、ポリエーテルケトン、ポリベンズオキサゾール、ポリベンズチアゾール、ポリイミド等の構成成分の少なくとも1種を含むポリマーが挙げられる。なお、ここでいうポリスルホン、ポエーテルスルホン、ポリエーテルケトン等は、その分子鎖にスルホン結合、エーテル結合、ケトン結合を有しているポリマーの総称であり、ポリエーテルケトンケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトンケトン、ポリエーテルケトンエーテルケトンケトン、ポリエーテルケトンスルホンなどを含むとともに、特定のポリマー構造を限定するものではない。
上記芳香族系ポリマーのうち、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンスルフィドスルホン、ポリエーテルケトン等のポリマーが加工性と安定性の面から好ましいものと言えるが、下記一般式(1)とともに下記一般式(2)で示される構造単位を有する芳香族系ポリマーであることが特に好ましい。
Figure 2005243383
ただし、Arは2価の芳香族基、Yはスルホン基またはケトン基、XはHまたは1価のカチオン種を示す。
Figure 2005243383
ただし、Ar’は2価の芳香族基を示す。
上記一般式(1)および一般式(2)で示される構造単位を有する芳香族ポリマーは、上記一般式(1)および一般式(2)で示される以外の構造単位が含まれていてもかまわないが、上記一般式(1)または一般式(2)で示される以外の構造単位はポリマー中の50質量%以上であることが好ましく、70質量%であることが特に好ましい。
本発明のスルホン酸基含有高分子電解質膜を構成する化合物において、スルホン酸基含有量は0.3〜3.5meq/gの範囲にあることが好ましい。0.3meq/gよりも少ない場合には、イオン伝導膜として使用したときに十分なイオン伝導性を示さない傾向があり、3.5meq/gよりも大きい場合にはイオン伝導膜を高温高湿条件においた場合に膜膨潤が大きくなりすぎて使用に適さなくなる傾向がある。なお、スルホン酸基含有量はポリマー組成より計算することができる。より好ましくは1.0〜3.0meq/gである。
上記のスルホン酸基含有高分子電解質膜を構成する化合物は、下記一般式(3)とともに一般式(4)で示される構造単位を有するものが特に好ましい。ビフェニレン構造を有していることにより高温高湿条件での寸法安定性に優れるとともに、フィルムの強靱性もより高いものとなる。
Figure 2005243383
ただし、XはHまたは1価のカチオン種を示す。
上記のスルホン酸基含有高分子電解質膜を構成する化合物は、下記一般式(5)および一般式(6)で表される化合物をモノマーとして含む芳香族求核置換反応により重合することができる。一般式(5)で表される化合物の具体例としては、3,3’−ジスルホ−4,4’−ジクロロジフェニルスルホン、3,3’−ジスルホ−4,4’−ジフルオロジフェニルスルホン、3,3’−ジスルホ−4,4’−ジクロロジフェニルケトン、3,3’−ジスルホ−4,4’−ジフルオロジフェニルスルホン、およびそれらのスルホン酸基が1価カチオン種との塩になったもの等が挙げられる。1価カチオン種としては、ナトリウム、カリウムや他の金属種や各種アミン類等でも良く、これらに制限される訳ではない。一般式(6)で表される化合物としては、2,6−ジクロロベンゾニトリル、2,6−ジフルオロベンゾニトリル、2,4−ジクロロベンゾニトリル、2,4−ジフルオロベンゾニトリル、等を挙げることができる。
Figure 2005243383
ただし、Yはスルホン基またはケトン基、Xは1価のカチオン種、Zは塩素またはフッ素を示す。本発明において、上記2,6−ジクロロベンゾニトリルおよび2,4−ジクロロベンゾニトリルは、異性体の関係にあり、いずれを用いたとしても良好なイオン伝導性、耐熱性、加工性および寸法安定性を達成することができる。その理由としては両モノマーとも反応性に優れるとともに、小さな繰り返し単位を構成することで分子全体の構造をより硬いものとしていると考えられている。
上述の芳香族求核置換反応において、上記一般式(5)、(6)で表される化合物とともに各種活性化ジフルオロ芳香族化合物やジクロロ芳香族化合物をモノマーとして併用することもできる。これらの化合物例としては、4,4’−ジクロロジフェニルスルホン、4,4’−ジフルオロジフェニルスルホン、4,4’−ジフルオロベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、デカフルオロビフェニル等が挙げられるがこれらに制限されることなく、芳香族求核置換反応に活性のある他の芳香族ジハロゲン化合物、芳香族ジニトロ化合物、芳香族ジシアノ化合物なども使用することができる。
また、上述の一般式(1)で表される構造単位中のArおよび上述の一般式(2)で表される構造単位中のAr’は、一般には芳香族求核置換重合において上述の一般式(5)、(6)で表される化合物とともに使用される芳香族ジオール成分モノマーより導入される構造である。このような芳香族ジオールモノマーの例としては、4,4’−ビフェノール、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ハイドロキノン、レゾルシン、1,6−ナフタレンジオール、2,7−ナフタレンジオール、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン等があげられるが、この他にも芳香族求核置換反応によるポリアリーレンエーテル系化合物の重合に用いることができる各種芳香族ジオールを使用することもできる。これら芳香族ジオールは、単独で使用することができるが、複数の芳香族ジオールを併用することも可能である。また、例えば光反応性や熱反応性をもつモノマー成分を一部共重合しておき、製膜後に光照射処理や熱処理により、架橋構造を導入できるようにしておくことも可能である。
上記のスルホン酸基含有高分子電解質膜を構成する化合物を芳香族求核置換反応により重合する場合、上記一般式(5)および一般式(6)で表せる化合物を含む活性化ジフルオロ芳香族化合物及び/またはジクロロ芳香族化合物と芳香族ジオール類を塩基性化合物の存在下で反応させることで重合体を得ることができる。重合は、0〜350℃の温度範囲で行うことができるが、50〜250℃の温度であることが好ましい。0℃より低い場合には、十分に反応が進まない傾向にあり、350℃より高い場合には、ポリマーの分解も起こり始める傾向がある。反応は、無溶媒下で行うこともできるが、溶媒中で行うことが好ましい。使用できる溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジフェニルスルホン、スルホランなどを挙げることができるが、これらに限定されることはなく、芳香族求核置換反応において安定な溶媒として使用できるものであればよい。これらの有機溶媒は、単独でも2種以上の混合物として使用されても良い。塩基性化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等があげられるが、芳香族ジオール類を活性なフェノキシド構造にしうるものであれば、これらに限定されず使用することができる。芳香族求核置換反応においては、副生物として水が生成する場合がある。この際は、重合溶媒とは関係なく、トルエンなどを反応系に共存させて共沸物として水を系外に除去することもできる。水を系外に除去する方法としては、モレキュラーシーブなどの吸水材を使用することもできる。芳香族求核置換反応を溶媒中で行う場合、得られるポリマー濃度として5〜50質量%となるようにモノマーを仕込むことが好ましい。5質量%よりも少ない場合は、重合度が上がりにくい傾向がある。一方、50質量%よりも多い場合には、反応系の粘性が高くなりすぎ、反応物の後処理が困難になる傾向がある。重合反応終了後は、反応溶液より蒸発によって溶媒を除去し、必要に応じて残留物を洗浄することによって、所望のポリマーが得られる。また、反応溶液を、ポリマーの溶解度が低い溶媒中に加えることによって、ポリマーを固体として沈殿させ、沈殿物の濾取によりポリマーを得ることもできる。
また、本発明のスルホン酸基含有高分子電解質膜を構成する化合物は、後で述べる方法により測定したポリマー対数粘度が0.1以上であることが好ましい。対数粘度が0.1よりも小さいと、イオン伝導膜として成形したときに、膜が脆くなりやすくなる。還元比粘度は、0.3以上であることがさらに好ましい。一方、還元比粘度が5を超えると、ポリマーの溶解が困難になるなど、加工性での問題が出てくるので好ましくない。なお、対数粘度を測定する溶媒としては、一般にN−メチルピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミドなどの極性有機溶媒を使用することができるが、これらに溶解性が低い場合には濃硫酸を用いて測定することもできる。
本発明のスルホン酸基含有高分子電解質膜を構成する化合物は、実質的に体一化合物として使用されるが、力学特性に影響を及ぼさない程度であれば他の樹脂化合物が一部混合されていても構わない。これらのポリマーとしては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル類、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン6,10、ナイロン12などのポリアミド類、ポリメチルメタクリレート、ポリメタクリル酸エステル類、ポリメチルアクリレート、ポリアクリル酸エステル類などのアクリレート系樹脂、ポリアクリル酸系樹脂、ポリメタクリル酸系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンやジエン系ポリマーを含む各種ポリオレフィン、ポリウレタン系樹脂、酢酸セルロース、エチルセルロースなどのセルロース系樹脂、ポリアリレート、アラミド、ポリカーボネート、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリベンズイミダゾール、ポリベンズオキサゾール、ポリベンズチアゾールなどの芳香族系ポリマー、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ノボラック樹脂、ベンゾオキサジン樹脂などの熱硬化性樹脂等、特に制限はない。ポリベンズイミダゾールやポリビニルピリジンなどの塩基性ポリマーとの樹脂組成物は、ポリマー寸法性の向上のために好ましい組み合わせと言える、これらの塩基性ポリマー中に、さらにスルホン酸基を導入しておくと、組成物の加工性がより好ましいものとなる。これら樹脂組成物として使用する場合には、本発明の高分子電解質に使用できる化合物は、樹脂組成物全体の80質量%以上100質量%未満含まれていることが好ましい。より好ましくは90質量%以上100質量%未満である。本発明の高分子電解質に使用できる化合物の含有量が樹脂組成物全体の80質量%未満の場合には、この樹脂組成物を含むイオン伝導膜のスルホン酸基濃度が低くなり良好なイオン伝導性が得られない傾向にあり、また、スルホン酸基を含有するユニットが非連続相となり伝導するイオンの移動度が低下する傾向にある。なお、本発明の電解質膜は、必要に応じて、例えば酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、粘着付与剤、可塑剤、架橋剤、粘度調整剤、静電気防止剤、抗菌剤、消泡剤、分散剤、重合禁止剤、などの各種添加剤を含んでいても良い。
本発明のスルホン酸基含有高分子電解質膜を構成する化合物およびその組成物は、押し出し、紡糸、圧延またはキャストなど任意の方法で繊維やフィルムなどの成形体とすることができる。中でも適当な溶媒に溶解した溶液から成形することが好ましい。この溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン、ヘキサメチルホスホンアミドなどの非プロトン性極性溶媒や、メタノール、エタノール等のアルコール類から適切なものを選ぶことができるがこれらに限定されるものではない。これらの溶媒は、可能な範囲で複数を混合して使用してもよい。溶液中の化合物濃度は0.1〜50質量%の範囲であることが好ましい。溶液中の化合物濃度が0.1質量%未満であると良好な成形物を得るのが困難となる傾向にあり、50質量%を超えると加工性が悪化する傾向にある。溶液から成形体を得る方法は従来から公知の方法を用いて行うことができる。たとえば、加熱、減圧乾燥、化合物を溶解する溶媒とは相溶するが化合物自体は溶解しない溶媒への浸漬等によって、溶媒を除去し成形体を得ることができる。溶媒が、有機溶媒の場合には、加熱又は減圧乾燥によって溶媒を留去させることが好ましい。この際、必要に応じて他の化合物と混合された形で繊維状、フィルム状、ペレット状、プレート状、ロッド状、パイプ状、ボール状、ブロック状などの様々な形状に成形することもできる。溶解挙動が類似する化合物と組み合わせた場合には、良好な成形ができる点で好ましい。このようにして得られた成形体中のスルホン酸基はカチオン種と塩を形成したものを含んでいても良いが、必要に応じて酸処理することによりフリーのスルホン酸基に変換することもできる。
本発明のスルホン酸基含有高分子電解質膜を構成する化合物およびその樹脂組成物からイオン伝導膜を作製することができる。イオン伝導膜を成形する手法として最も好ましいのは、溶液からのキャストであり、キャストした溶液から上記のように溶媒を除去してイオン伝導膜を得ることができる。当該溶液としてはN−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の有機溶媒を用いた溶液や、場合によってはアルコール系溶媒等も挙げることができる。溶媒の除去は、乾燥によることがイオン伝導膜の均一性からは好ましい。また、化合物や溶媒の分解や変質を避けるため、減圧下でできるだけ低い温度で乾燥することもできる。また、溶液の粘度が高い場合には、基板や溶液を加熱して高温でキャストすると溶液の粘度が低下して容易にキャストすることができる。キャストする際の溶液の厚みは特に制限されないが、10〜1500μmであることが好ましい。より好ましくは50〜500μmである。溶液の厚みが10μmよりも薄いとイオン伝導膜としての形態を保てなくなる傾向にあり、1500μmよりも厚いと不均一な高分子電解質膜ができやすくなる傾向にある。溶液のキャスト厚を制御する方法は公知の方法を用いることができる。例えば、アプリケーター、ドクターブレードなどを用いて一定の厚みで塗布し、ガラスシャーレなどを用いてキャスト面積を一定にして溶液の量や濃度で厚みを制御することができる。キャストした溶液は、溶媒の除去速度を調整することでより均一な膜を得ることができる。例えば、加熱する場合には最初の段階では低温にして蒸発速度を下げたりすることができる。また、水などの非溶媒に浸漬する場合には、溶液を空気中や不活性ガス中に適当な時間放置しておくなどして化合物の凝固速度を調整することができる。本発明のイオン伝導膜は目的に応じて任意の膜厚にすることができるが、イオン伝導性の面からはできるだけ薄いことが好ましい。具体的には5〜250μmであることが好ましく、5〜50μmであることがさらに好ましく、5〜20μmであることが最も好ましい。イオン伝導膜の厚みが5μmより薄いとイオン伝導膜の取扱いが困難となり燃料電池を作製した場合に短絡等が起こる傾向にあり、250μmよりも厚いとイオン伝導膜の電気抵抗値が高くなり燃料電池の発電性能が低下する傾向にある。得られた膜は、必要に応じて熱処理や光照射等の後処理を施して膜構造を固定することもできる。イオン伝導膜として使用する場合、膜中のスルホン酸基は金属塩になっているものを含んでいても良いが、適当な酸処理によりフリーのスルホン酸に変換することもできる。この場合、硫酸、塩酸、等の水溶液中に加熱下あるいは加熱せずに膜を浸漬処理することで行うことも効果的である。
本発明のイオン伝導膜は、メタノールを燃料とするダイレクトメタノール型燃料電池にも有用であることが特徴である。平均厚さ50μmの膜を作製し、5Mメタノール水溶液を用いて25℃で測定したメタノール透過速度が7mmol/m2・sec以下の値を示すイオン伝導膜が好ましい(測定法については後述する)。メタノール透過速度は4mmol/m2・sec以下であればさらに好ましく、1mmol/m2・sec以下であればより好ましい。このようなメタノール透過性を示すときに特に優れた発電特性を示すためである。メタノール透過性評価は平均厚み50μmの試料を作成して評価しているが、実際に燃料電池用イオン伝導膜として使用する際には、特に膜厚を限定しているわけではない。平均厚み50μmの膜とは、実質上は平均厚み48μmから平均厚み52μmの範囲に入っているものを示すものとする。
また、上述した本発明のイオン伝導膜またはフィルム等に電極を設置することによって、本発明のイオン伝導膜またはフィルム等と電極との接合体を得ることができる。この接合体の作製方法としては、従来から公知の方法を用いて行うことができ、例えば、電極表面に接着剤を塗布しイオン伝導膜と電極とを接着する方法またはイオン伝導膜と電極とを加熱加圧する方法等がある。この中でも本発明のスルホン酸基含有高分子化合物およびその樹脂組成物を主成分とした接着剤を電極表面に塗布して接着する方法が好ましい。イオン伝導膜と電極との接着性が向上し、また、イオン伝導膜のイオン伝導性を損なうことが少なくなると考えられるためである。
上述したイオン伝導膜またはフィルム等と電極との接合体を用いて、燃料電池を作製することもできる。本発明のイオン伝導膜またはフィルム等は、耐熱性、加工性、イオン伝導性および寸法安定性に優れているため、高温での運転にも耐えることができ、作製が容易で、良好な出力を有する燃料電池を提供することができる。また、メタノールを直接燃料とする燃料電池として使用することも好ましい。
以下本発明を実施例を用いて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されることはない。なお、各種測定は次のように行った。
・溶液粘度:ポリマー粉末を0.5g/dlの濃度でN−メチルピロリドンに溶解し、30℃の恒温槽中でウベローデ型粘度計を用いて粘度測定を行い、対数粘度ln[ta/tb]/c)で評価した(taは試料溶液の落下秒数、tbは溶媒のみの落下秒数、cはポリマー濃度)。
・イオン伝導性測定:自作測定用プローブ(テフロン(R)製)上で短冊状膜試料の表面に白金線(直径:0.2mm)を押しあて、80℃95%RHの恒温・恒湿オーブン(株式会社ナガノ科学機械製作所、LH−20−01)中に試料を保持し、白金線間のインピーダンスをSOLARTRON社1250FREQUENCY RESPONSE ANALYSERにより測定した。極間距離を変化させて測定し、極間距離とC−Cプロットから見積もられる抵抗測定値をプロットした勾配から以下の式により膜と白金線間の接触抵抗をキャンセルした導電率を算出した。
・導電率[S/cm]=1/膜幅[cm]×膜厚[cm]×抵抗極間勾配[Ω/cm]
・メタノール透過速度:イオン交換膜の液体燃料透過速度はメタノールの透過速度として、以下の方法で測定した。25℃に調整した5M(モル/リットル)のメタノール水溶液に24時間浸漬した平均厚み50μmのイオン交換膜(平均厚みが48μmから52μmの範囲に入っているものを平均厚み50μmの膜とする)をH型セルに挟み込み、セルの片側に100mlの5Mメタノール水溶液を、他方のセルに100mlの超純水(18MΩ・cm)を注入し、25℃で両側のセルを撹拌しながら、イオン交換膜を通って超純水中に拡散してくるメタノール量をガスクロマトグラフを用いて測定することで算出した(イオン交換膜の面積は、2.0cm2)。
・引張試験:20℃相対湿度65%での引張試験は東洋ボールドウィン製テンシロンUTMIIを、25℃水中での引張試験は東洋ボールドウィン製テンシロンUTMIIIを用いて、大きさを揃えて切り出したフィルム片を用いて測定した。
・発電評価:Pt/Ru触媒担持カーボン(田中貴金属工業株式会社TEC61E54)に少量の超純水およびイソプロピルアルコールを加えて湿らせた後、デュポン社製20%ナフィオン溶液(品番:SE−20192)を、Pt/Ru触媒担持カーボンとナフィオンの質量比が2.5:1になるように加えた。次いで撹拌してアノード用触媒ペーストを調製した。この触媒ペーストを、ガス拡散層となる東レ製カーボンペーパーTGPH−060に白金の付着量が2mg/cm2になるようにスクリーン印刷により塗布乾燥して、アノード用電極触媒層付きカーボンペーパーを作製した。また、Pt触媒担持カーボン(田中貴金属工業株式会社TEC10V40E)に少量の超純水およびイソプロピルアルコールを加えて湿らせた後、デュポン社製20%ナフィオン溶液(品番:SE−20192)を、Pt触媒担持カーボンとナフィオンの質量比が2.5:1となるように加え、撹拌してカソード用触媒ペーストを調製した。この触媒ペーストを、撥水加工を施した東レ製カーボンペーパーTGPH−060に白金の付着量が1mg/cm2となるように塗布・乾燥して、カソード用電極触媒層付きカーボンペーパーを作製した。上記2種類の電極触媒層付きカーボンペーパーの間に、膜試料を、電極触媒層が膜試料に接するように挟み、ホットプレス法により130℃、8MPaにて3分間加圧、加熱することにより、膜−電極接合体とした。この接合体をElectrochem社製評価用燃料電池セルFC25−02SPに組み込み、燃料電池発電試験機(株式会社東陽テクニカ製)を用いて発電試験を行った。発電は、セル温度40℃で、アノードおよびカソードにそれぞれ40℃に調整した2mol/lのメタノール水溶液(1.5ml/min)および高純度酸素ガス(80ml/min)を供給しながら行った。
スルホン酸基含有量:窒素雰囲気下で一晩乾燥した試料の質量をはかり、水酸化ナトリウム水溶液と撹拌処理した後、塩酸水溶液による逆滴定でイオン交換容量(IEC)を求めた。
実施例1
3,3’−ジスルホ−4,4’−ジクロロジフェニルスルホン2ナトリウム塩(略号:S−DCDPS3.330g(0.00678mol)、2,6−ジクロロベンゾニトリル(略号:DCBN)2.9983g(0.01743mol)、4,4’−ビフェノール4.5080g(0.02421mol)、炭酸カリウム3.8484g(0.02784mol)、モレキュラーシーブ2.61gを100ml四つ口フラスコに計り取り、窒素を流した。35mlのNMPを入れて、150℃で一時間撹拌した後、反応温度を195−200℃に上昇させて系の粘性が十分上がるのを目安に反応を続けた(約5時間)。放冷の後、沈降しているモレキュラーシーブを除いて水中にストランド状に沈殿させた。得られたポリマーは、沸騰水中で1時間洗浄した後、乾燥した。ポリマーの対数粘度は1.08を示した。
ポリマー1gをNMP5mlに溶解し、ホットプレート上ガラス板に約200μm厚にキャストし、フィルム状になるまでNMPを留去した後、水中に一晩以上浸漬した。得られたフィルムは、希硫酸(濃硫酸6ml、水300ml)中で1時間沸騰水処理して塩をはずした後、純水でさらに1時間煮沸することで酸成分を除去した。本フィルムのイオン伝導性を測定したところ、0.22S/cmの値を示した。滴定で求めたIECは1.44を示した。本フィルムの引張試験結果を表1に示す。本フィルムは、熱水への浸漬、取りだしを繰り返しても形態に変化が見られない良好な寸法安定性を示した。
実施例2〜5
S−DCDPSとDCBNの混合比を変える以外は実施例1と同様にして、組成の異なるポリマーを合成し、評価を行った。引張試験結果を表1に示す。いずれのフィルムも熱水への浸漬、取りだしを繰り返しても形態に変化が見られない良好な寸法安定性を示した。
Figure 2005243383
比較例1〜4
S−DCDPSとDCBNの混合比を変える以外は実施例1と同様にして、組成の異なるポリマーを合成し、評価を行った。引張試験結果を表2に示す。いずれのフィルムも熱水への浸漬、取りだしを繰り返すと形態に崩れが認められた。
Figure 2005243383
比較例2及び3
実施例2において、DCBNのかわりに4,4’−ジクロロジフェニルスルホン(DCDPS)を用いて組成の異なるポリマーを合成し、評価を行った。引張試験結果を表3に示す。いずれのフィルムも熱水への浸漬、取りだしを繰り返すと変形や皺の発生などが認められた。
Figure 2005243383
実施例6
実施例1において、モノマーとして4,4’−ジフルオロベンゾフェノン0.1410g(0.00064mol)とビス(2,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン0.1657g(0.00064mol)を追加して、同様に重合を行った。得られたリマーの対数粘度は1.25を示した。ポリマー1gをNMP5mlに溶解し、ホットプレート上ガラス板に約200μm厚にキャストし、フィルム状になるまでNMPを留去した後、水中に一晩以上浸漬し、さらに紫外線ランプ照射1時間処理した。得られたフィルムは、希硫酸(濃硫酸6ml、水300ml)中で1時間沸騰水処理して塩をはずした後、純水でさらに1時間煮沸することで酸成分を除去した。本フィルムのイオン伝導性を測定したところ、0.07S/cmの値を示した。滴定で求めたIECは1.39を示した。本フィルムの引張試験結果を表4に示す。本フィルムは、熱水への浸漬、取りだしを繰り返しても形態に変化が見られない良好な寸法安定性を示した。
Figure 2005243383
実施例7
実施例1で得られたフィルムのメタノール透過速度は、3.33mmol/m2・secを示した。このフィルムを用いて発電評価を実施したところ、100mAの電流密度において0.31Vと、良好な発電特性が得られた。
本発明のスルホン酸基含有芳香族高分子化合物を用いた高分子電解質は、イオン伝導性に優れるとともに、特に湿潤時の力学特性に優れる。このため、イオン伝導膜として、水素やメタノールを原料として使用する燃料電池や水電解槽に使うことが可能であり、各種電池用電解質、表示素子、センサー、バインダー類、添加剤などとしても利用が期待できる。

Claims (6)

  1. 実質的に単一化合物から構成される高分子電解質膜であって、20℃、相対湿度65%の雰囲気下での引っ張り強度が45MPa以上であるとともに、25℃の水中で測定した引っ張り強度が30MPa以上であることを特徴とするスルホン酸基含有高分子電解質膜。
  2. 80℃、95%RHの雰囲気下で測定したプロトン伝導率が0.01S/cm以上であることを特徴とする請求項1に記載のスルホン酸基含有高分子電解質膜。
  3. 一般式(1)とともに一般式(2)で示される構造単位を有することを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載のスルホン酸基含有高分子電解質膜。
    Figure 2005243383
    ただし、Arは2価の芳香族基、Yはスルホン基またはケトン基、XはHまたは1価のカチオン種を示す。
    Figure 2005243383
    ただし、Ar’は2価の芳香族基を示す。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載の高分子電解質膜と電極とを含有することを特徴とする複合体。
  5. 請求項4に記載の複合体を含有することを特徴とする燃料電池。
  6. メタノールを燃料として使用することを特徴とする請求項5に記載の燃料電池。
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