JP2005243353A - 燃料電池システム - Google Patents

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賢治 長谷川
Masaru Odagiri
優 小田桐
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賢 東陰地
Masafumi Shimotashiro
雅文 下田代
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Abstract

【課題】 装着された燃料タンクの種類を判別し、最も的確な運転制御を行うようにする。
【解決手段】 燃料電池システム1,1aは、発電に用いる燃料原液を貯留する燃料タンク100,100aと、燃料タンクと連通し発電に用いる液体燃料を内部に貯留する容器形状の中間タンク5と、中間タンク5に貯留された前記液体燃料にアノード側を浸漬して配置され前記液体燃料の供給を受けて発電する燃料電池セル3とを備える燃料電池ユニット2,2aとを有する。前記燃料タンク100,100aにはその内部に貯留される燃料原液の濃度や収容量に応じて異なる構成を持つ性状情報格納部102が設けられており、性状情報読取部29によって燃料タンク100,100aと燃料電池ユニット2,2aの連結時に燃料タンク中の燃料原液の性状が読取られる。制御演算部6はこの情報に基づいて燃料電池システムの中間タンクに関する駆動制御を行う。
【選択図】図1

Description

本発明は、燃料電池に関し、特にメタノールなどの有機燃料をアノードに直接供給して発電する燃料電池本体に用いられる燃料タンク及び燃料電池本体を用いて発電を行うための燃料供給系等の補機とを備える燃料電池システムに関する。
携帯電話、携帯型情報端末、ノート型パーソナルコンピュータ、携帯型オーディオ、携帯型ビジュアル機器など携帯用電子機器の普及が進んでいる。従来、このような携帯用電子機器は、一次電池又は二次電池によって駆動している。特に、二次電池としては、ニッカド電池又はリチウムイオン電池が用いられ、小型で高エネルギー密度を持つ電池が開発されている。しかし、二次電池は一定量の電力使用後に充電機器を用いて一定時間の充電をおこなう必要があるため、短い充電時間で長時間連続駆動が可能な電池が要望されている。
この要望に応えるため、充電を必要としない燃料電池が提案されている。燃料電池は、燃料の持つ化学エネルギーを電気化学的にエネルギーに変換する発電機である。このような燃料電池の例としては、パーフルオロカーボンスルフォン酸系の電解質を用いてアノード極で水素ガスを還元し、カソード極で酸素を還元して発電を行うという固体高分子形燃料電池(PEFC)が知られている。このようなPEFCは、出力密度が高い電池であるという特徴を有しており、その開発が進められている。
しかしながら、このようなPEFCに用いられる水素ガスは容積エネルギー密度が低く、燃料タンクの体積を大きくする必要があることや、燃料ガス、酸化ガスを燃料電池本体(発電部)に供給する装置、電池性能を安定にするため加湿する装置などの補機が必要であり、燃料電池システムが大型になるため、携帯電子機器用の電源としては適さない。
一方、メタノールから直接プロトンを取り出すことにより発電を行う直接型メタノール燃料電池(DMFC)は、PEFCと比較してその出力が小さくなるという欠点があるものの、燃料の体積エネルギー密度を上げることができることと、燃料電池本体の補機を減らすことができるため小型化が可能となる。このため、携帯機器用電源として注目されており、幾つかの提案がなされている。
このDMFCにおける燃料電池本体内でおこなわれるアノード側の反応及び、カソード側の反応は以下の通りである。
アノード側:CHOH+HO→6H+6e+CO
カソード側:6H+6e+3/2O→3H
上記化学式に示すように、燃料電池を用いて発電することにより、アノード側では二酸化炭素が生成し、カソード側では水が生成する。
メタノールを燃料として用いる燃料電池の構成としては、公開特許公報昭58−165274(特許文献1)などに例示される。この燃料電池は、メタノールを用いる燃料電解液型燃料電池において、燃料容器の中にアノードを配置し、燃料タンクと水タンクからは燃料容器に燃料と水を補給して濃度を調整し、燃料電池を運転する構成である。特許文献1に記載の燃料電池は、燃料に酸を含む場合の燃料電池の構成であるが、近年では電解質膜の性能が向上し、燃料中に酸性物質がない燃料で発電できる燃料電池の開発が進められている。
特開昭58−165274号公報
しかし、従来の構成では、燃料がタンクに蓄積された燃料がなくなった場合、アノードが配置されている燃料容器のメタノール濃度が発電によって徐々に薄まり、負荷に対して出力できなくなる。負荷が要求する電力が供給できない場合、電圧が急激に下がり電解質膜が壊れてしまうことがある。また、長期間使用せずに保管しておいた場合、アノードが配置されている燃料容器(中間タンク)の燃料の液面が大幅に少なくなったり、液が蒸発してなくなることが想定される。この状態で燃料電池を起動させると電解質膜が破壊する。このため、燃料容器に燃料タンクより濃度の低い燃料を充填する必要がある。
しかし、燃料と水を燃料タンクと水タンクそれぞれから別々に供給すると、水が大量に必要となり、水タンクの交換も必要となる。また、燃料にタンクに濃度の低い燃料を入れて燃料容器へ供給することも考えられるが、装置が濃度を判別できないため、制御ができないという問題があった。
また、燃料タンクに所定の量の燃料があるとき、その燃料の容量がどれくらいで、後どれくらいの時間発電ができるのかが分らないという問題があった。
したがって、本発明が解決しようとする技術的課題は、装着された燃料タンクが通常燃料なのか、それとも燃料容器の補給用燃料なのか等の判別を可能とし、これによって最も的確な運転制御を行うようにすること、また、通常燃料の場合、発電可能な残量の目安を算出することができる燃料電池システムを提供することである。
本発明は、上記技術的課題を解決するために、以下の構成の燃料電池システムを提供する。
本発明の第1態様によれば、発電に用いる燃料原液を貯留する燃料タンクと、
燃料タンクと連通し前記燃料タンクに貯留された燃料原液の供給を受け、発電に用いる液体燃料を内部に貯留する容器形状の中間タンクと、前記中間タンクに貯留された前記液体燃料にアノード側を浸漬して配置され前記液体燃料の供給を受けて発電する燃料電池セルとを備える燃料電池ユニットと、
前記燃料タンクと前記燃料電池ユニットとを着脱自在に保持する保持部材と、
を有する燃料電池システムであって、
前記燃料タンクに設けられ前記燃料タンクの内部に貯留される燃料原液の性状についての情報を格納する性状情報格納部と、
前記燃料タンクの連結時に前記性状情報格納部に格納された前記燃料タンク中の燃料原液の性状に関する情報を取得する性状情報読取部と、
前記性状情報読取部によって取得された前記燃料原液の性状の情報に基づいて、燃料電池システムの前記中間タンク内の液体燃料に関連する駆動制御を行う制御演算部とを備える燃料電池システムを提供する。
上記構成において、燃料電池システムは、燃料タンクに貯蔵されている燃料原液を燃料電池ユニット内の中間タンクに液体燃料として貯蔵して、燃料電池セルによって発電するものである。燃料タンクに貯蔵されている燃料原液と中間タンクに貯蔵される液体燃料は、まったく同じものであってもよいし、例えば、濃度や組成などに違いを持ったものであってもよい。燃料タンクは、貯留している燃料を使いきると、燃料電池ユニットから取り外して、新たに交換又は燃料の補充を行う。
燃料タンクには、貯留されている燃料原液の性状を示すための性状情報格納部が設けられている。燃料タンクが燃料電池ユニットに固定されたとき、燃料電池ユニットの性状情報読取部は、性状情報格納部に格納された燃料原液の性状に関する情報を読み取る。読取り可能な燃料原液の性状の情報としては、例えば、濃度、収容量、組成(燃料原液中に酸が含まれているか否かなど)などが例示でき、これらが燃料タンクの種類を決定する場合は、燃料タンクの種類自体を読取るようにしてもよい。燃料原液の性状に関する情報は、制御演算部に送信されて燃料電子システムの中間タンク内の液体燃料に関連する駆動制御に用いられる。制御演算部は、燃料電池ユニットの一部として設けられていてもよいし、燃料電池ユニットとは別に設けられていてもよい。燃料電池ユニットとは別に設けられる場合は、例えば、燃料電池ユニットが搭載される電子機器の制御装置と共用して用いることもできる。燃料電子システムの中間タンクに関連する駆動制御の具体例としては、中間タンク内の濃度、液面レベルなどの制御や中間タンクへの燃料原液の補充の制御などにおいて、適用可能な燃料原液の種類を特定したり、液体燃料の物質収支の制御などが例示できる。
本発明の第2態様によれば、前記性状情報読取部は、操作片を押圧されることによりオンオフの切替が行われるスイッチ素子を備えたユニットで構成され、
前記性状情報格納部は、前記スイッチ素子の操作片に対応する位置であって、前記燃料タンク中の燃料原液の性状に応じて異なる位置に複数の押圧部を備えた板状体で構成されることを特徴とする、第1態様の燃料電池システムを提供する。
本発明の第3態様によれば、前記スイッチ素子は、突出片を押圧されることによりオンオフの切替が行われる複数のスイッチ素子を備え、
前記性状情報格納部は、前記スイッチ素子の操作片に対応する位置であって、前記燃料タンク中の燃料原液の性状に応じて異なる位置に複数の凹部を備えた板状体で構成されることを特徴とする、第1態様の燃料電池システムを提供する。
本発明の第4態様によれば、前記性状情報読取部は、電源電圧の一方端に接続された第1端子と、電源電圧の他方端に接続された第2端子とを備え、
前記性状情報格納部は、前記性状情報読取部の前記第1端子に対応する位置に設けられた第3端子と前記性状情報読取部の前記第2端子に対応する位置に設けられ前記第3端子と抵抗を介して接続された第4端子とを備え、前記燃料タンク中の燃料原液の性状に応じて前記抵抗の値が異なる第1態様の燃料電池システムを提供する。
本発明の第5態様によれば、前記第1端子及び第3端子は複数設けられることを特徴とする、第4態様の燃料電池システムを提供する。
本発明の第6態様によれば、前記性状情報格納部に格納された燃料原液の性状の情報は、前記燃料原液の濃度と前記燃料タンクの初期状態における燃料原液の収容量に関する情報である第1から第5態様のいずれかの燃料電池システムを提供する。
本発明の第7態様によれば、前記制御演算部は、前記性状情報読取部によって取得された燃料原液の収容量及び燃料原液の濃度の情報に基づいて、前記燃料タンクを用いて発電可能な電力量を算出する第6態様の燃料電池システムを提供する。
本発明の第8態様によれば、さらに、燃料電池セルによって発電された電力量の累計情報を検出する発電電力検出手段を有し、
前記制御演算部は、前記発電電力検出手段によって検出された燃料電池セルの電力量の累計情報に基づいて、当該燃料タンクの残りの燃料原液で発電可能な残りの電力量を算出する第7態様の燃料電池システムを提供する。
本発明の第9態様によれば、前記燃料タンクが、その内部を燃料原液を貯蔵する燃料部と前記燃料電池セルのカソードで生成された水を含む排出物を取り込んで蓄積する加圧部とに区画する移動可能に配設された仕切り板を備え、前記加圧部に蓄積された前記排出物によって、前記仕切り板が前記燃料部側へ移動して、前記燃料部を加圧することによって前記燃料給送口から液体燃料を吐出するように構成され、
前記仕切り板の位置を検出する位置検出手段をさらに有し、
前記制御演算部は、前記位置検出手段によって検出された前記仕切り板の位置に関する情報から算出される前記燃料タンクに収容されている燃料原液の量及びに基づいて、前記性状情報読取部によって取得された前記燃料原液の濃度の情報に基づいて前記燃料タンクの残りの燃料原液で発電可能な電力量を算出することを特徴とする、第6態様の燃料電池システムを提供する。
上記構成において、燃料タンクは仕切り板によって加圧部と燃料部とが完全に分離され、燃料と排出物とが混ざらないように構成されているため、燃料の濃度変化を起こすことがない。また、カソードからの水と空気を含む排出物が仕切り板を加圧することで、燃料タンク内に別個の加圧機構が不要となり、燃料タンク内の構成を簡素化することができる。加圧部に蓄積された排出物によって、仕切り板を常時加圧部から燃料部側へ加圧することで、燃料供給のためのポンプを搭載することなく安定して液体燃料を燃料電池本体へ供給することができる。
また、一度加圧部内に排出物を導き、アノードの反応で消費される量の水を加圧部から給送するため、アノード側の燃料の濃度を低下させることもなく、また、余分な水分を外部放出せずに完全なクローズドシステムとすることができる。
本発明の第10態様によれば、前記位置検出手段は、前記仕切り板の位置を前記燃料タンクと非接触で検出可能な装置により構成されている第9態様の燃料電池システムを提供する。
本発明の第11態様によれば、前記位置検出手段は、前記仕切り板に設けられた磁石と、
前記燃料電池セルに設けられ、前記磁石から発せられ前記燃料タンクの外壁を透過した磁界を検出して前記磁石の位置を検出する検出器とで構成されている第10態様の燃料電池システムを提供する。
上記構成において、燃料タンクは仕切り板が移動して燃料部側に付勢されることにより液体燃料が吐出されるように構成されているため、仕切り板の位置を検出することにより、液体燃料の残量を検出することが可能となる。
また、燃料タンクが交換式であるような場合、燃料タンクに仕切り板の位置を検出し燃料の残量を算出できる装置を搭載することは、タンクの大型化を招くため、仕切り板の位置検出及び残量の算出は燃料タンクの外部に設けられた装置によって行うことが好ましい。このため、例えば、仕切り板に設けられた磁石の磁界をうけて磁石の位置を検出可能な検出器などを用い、仕切り板の位置を非接触で検出可能に構成することが好ましい。
本発明の第12態様によれば、前記燃料電池セルから出力された電力量に基づいて単位時間あたりに出力された電力量をする消費電力量算出手段と、
前記制御演算部によって算出された発電できる電力量と前記消費電力量算出手段によって算出された単位時間あたりの消費電力量と前記燃料タンクの残りの燃料原液で発電可能な電力量の情報に基づいて、前記燃料タンクが発電可能な残り時間の情報を算出することを特徴とする、第8から第10態様のいずれか1つの燃料電池システムを提供する。
本発明の第1態様によれば、燃料タンクに貯留されている燃料原液の性状に基づいて燃料タンクの種別などを判別することができる。例えば、装着された燃料タンクが通常燃料なのか、それとも燃料容器の補給用燃料タンクなのか等について判別することができる。当該燃料原液の性状に関する情報は、制御演算部に送られ、これに基づいての濃度、液面レベルなどの制御や中間タンクへの燃料原液の補充の制御などの燃料電池システムの中間タンクに関連する駆動制御を行うため、燃料電池システムの駆動制御をより精度よく行うことができる。
本発明の第2及び第3態様によれば、オンオフの切替スイッチを用いた簡単な部材で構成することができるため、簡単なシステム構成とすることができる
本発明の第4態様によれば、電気抵抗の値を燃料原液の性状に応じて変化させることにより、当該抵抗値に応じた電圧値を測定することにより、測定結果を多段階的に出力することができる。したがって、構成を大型化することなく燃料原液についてより多くの情報を測定することができ、より細かな駆動制御を実現することができる。
本発明の第7態様によれば、燃料原液の性状として収容量及び濃度を検出することにより、燃料タンク内の燃料のモル数を算出することができる。したがって当該情報に基づいて、燃料タンク内の燃料を用いて発電させた場合の出力可能な電力量を算出することができ、燃料タンクの残量表示などに用いることができる。
本発明の第9態様に係る発明によれば、仕切り板が加圧部に蓄積された排出物によって常時加圧部から燃料部側へ加圧することで、燃料供給のための装置を搭載することなく安定して燃料を燃料電池へ供給することができる。また、カソードからの水と空気を含む排出物を加圧部内に導き、これを用いて仕切り板の加圧をすることで、燃料タンク内に特別の加圧機構が不要となり、燃料タンク内の構成を簡素化することができる。さらに、一度加圧部内に排出物を導き、アノードの反応で消費される量の水を、加圧部から給送することにより、アノード側の燃料の濃度を低下させることもなく、また、余分な水分を外部放出せずに完全なクローズドシステムとすることができる。
以下、本発明の各実施形態に係る燃料電池システムについて、図面を参照しながら説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る燃料電池システムの概略構成図である。図1に示すように、燃料電池システム1は、燃料の持つ化学エネルギーを電気化学的に電気エネルギーに変換して発電を行なう発電部である燃料電池ユニット2と、この発電に必要な燃料等を燃料電池ユニット2に供給される燃料原液を貯蔵する燃料タンク100とを備える。燃料タンク100は、燃料電池ユニット2の特定位置に着脱自在に固定され、コネクタ103,18とに固定されることよって、燃料電池ユニット2への燃料原液の供給が可能となる。
燃料電池ユニット2は、液体燃料と空気(酸素)の供給を受けて発電する燃料電池セル3と当該燃料電池セル2のアノード側に供給される液体燃料を蓄積する中間タンク5を備える。また、燃料電池ユニット2には、その他の構成として、中間タンク5に液体燃料を供給するための補機と、カソード12に空気を供給するための補機と、カソード12で生成された排出物を回収するための補機とが設けられている。これらの補機についての詳細は後述する。燃料電池セル3は、有機系の液体燃料の一例であるメタノール水溶液を燃料として、このメタノールから直接的にプロトンを取り出すことにより発電を行なう直接型メタノール燃料電池(DMFC)である。
図1に示すように、燃料電池セル3は、アノード(燃料極)10、カソード(空気極)12、及び膜電極組立体11を備えている。アノード10は、供給されるメタノール水溶液に対して酸化反応を行ない、プロトンと電子を取り出す反応(アノード反応)を行なう。当該電子は、アノード10とカソード12とを電気的に接続する外部回路60を通してカソード12へ移動し、当該プロトンは、膜電極組立体11を通してカソード12へ移動する。また、カソード12は、外部から供給される酸素と、アノード10より膜電極組立体11を通して移動してきたプロトンを、上記外部回路60を通して流れてきた電子で還元して、水を生成する反応(カソード反応)を行なう。このようにアノード10にて酸化反応を、カソード12にて還元反応を夫々行なうことで発電する。
具体的には、膜電極組立体11は、例えば、電解質膜としてDupont社製のナフィオン(商品名)を用い、電解質膜の一方の表面に、アノード10のアノード触媒として、炭素系粉末担体に白金とルテニウム、あるいは白金とルテニウムの合金を分散させて担持したものを形成する。膜電極組立体11の両端には、例えばカーボンペーパーからなる電極兼拡散層(図示なし)を上記アノード触媒及び上記カソード触媒の夫々に密着させた後、アノード側セパレータ及びカソード側セパレータを介してハウジングに固定することにより組み上げられる。
アノード10は、その内部に上記アノード反応に必要なメタノール水溶液を供給させるための燃料供給口24及び、当該アノード反応により生成された二酸化炭素や当該反応に用いられなかった残りのメタノール水溶液を上記内部より排出するための排出口25を備えている。
また、カソード12は、上記カソード反応の実施のために用いられる酸素を供給するために、例えば、空気を用い、当該空気をその内部に供給するための空気供給口22と、当該カソード反応にて生成される生成物の一例である水(液相又は気相のいずれの状態、あるいは夫々の状態が混在した状態のいずれの場合をも含む)及び、反応に用いられなかった空気を排出するための排出口23とを備えている。なお、この生成物は水を主成分として含むものであるが、その他に、ギ酸、ギ酸メチル、及びメタノール(後述するクロスオーバーによる)等も含まれる場合がある。
中間タンク5は、燃料電池セル3に供給され、発電に用いる濃度のメタノール水溶液を収容する。中間タンク5は、燃料電池セル3と一体的に配設されており、燃料電池セル3のアノード10が収納しているメタノール水溶液に浸漬するように燃料電池セル3をその内部の空間に収納する。このように中間タンク5内にアノード10が配置されていることにより、常時メタノール水溶液に浸漬されている状態の燃料供給口24から矢印58に示すようにアノード10の内部にメタノール水溶液が供給され、矢印59に示すように排出口25から排出される。
また、中間タンク5には、アノード10にて進行するアノード反応により生成した二酸化炭素等のガスが、矢印59に示すようにアノード10の排出口25を通して流入されることとなるが、このようにして流入されるガスを中間タンク5の外部に排気するための排気口28及び排気口28に連通する排気管に設けられた排気弁15が備えられている。なお、この排気弁15は、中間タンク5に液体燃料を初期注入する際のガス抜きとしても機能する。
中間タンク5内には、当該中間タンク5内に蓄積されている液体燃料の水面レベルを検出するための検出器13及びメタノール水溶液の濃度を検出するための濃度検出器14が設けられている。これらの液面検出器13及び濃度検出器14から検出信号は、燃料電池システム1が搭載される電子機器に設けられる制御演算装置6に伝送され、後述するように燃料電池システム1の運転制御に利用される。
なお、中間タンク5が燃料電池セル3と一体的に形成され、アノード10が中間タンクに浸漬しているような構成に代えて、両者が別個独立して形成されていてもよい。このような場合にあっては、必要に応じて、中間タンク5からアノード10へ液体燃料を送りこむための供給装置を設けることが必要となる。
次に、燃料電池システム1の上記補機系の構成について説明する。図1に示すように、燃料供給のための補機としては、燃料タンク100と中間タンク5とを接続する燃料供給管71と、燃料供給管71の途中に設けられた燃料バルブ16、燃料タンク100に蓄積されている燃料原液の供給のための推力を与える燃料供給ポンプ7とを備える。
燃料供給管71は、燃料タンクに貯蔵されている燃料原液を中間タンク5に給送するための配管である。燃料供給管71の端には、燃料タンクを脱着可能に保持するためのユニット側コネクタ18が設けられており、燃料タンク100に設けられているタンク側コネクタ103と脱着可能に連結する。
燃料供給管71の途中に設けられている燃料バルブ16は、電磁弁で構成されており、燃料電池システムの外部に設けられた制御演算装置6の制御を受けてその開度の調整がなされる。また、燃料ポンプ7は、制御演算部6により駆動制御がなされる。後述するように、燃料電池システムが搭載されている電子機器の一部を構成する部材である。
制御演算装置6により燃料バルブ16が開放されかつ燃料ポンプ7が駆動すると、燃料タンク100中の燃料原液が、矢印51に示すように燃料供給管71を通って中間タンクの原液供給口27から中間タンク5に給送される。発電停止の際には、燃料バルブ16が締められることにより燃料の供給も停止される。
上記空気供給の補機としては、カソード12の空気供給口22にその一端が接続された空気供給管73と、空気供給管73の途中に配置され、空気供給管73を通して、空気をカソード12内に供給する空気ポンプ8とを備える。この空気ポンプ8としては、小型でかつ消費電力が小さいものを用いることが好ましく、例えば、モータ式ポンプ(逆止弁付、吐出量:0〜2L/分、吐出圧力:30kPa)を用いており、使用時は、例えば、1L/分で空気を供給する。空気ポンプ8も制御演算装置6によって駆動制御され、例えば、燃料電池セル3にて発電が行なわれる際には空気ポンプ8が駆動されてカソード12内に必要な酸素が供給され、当該発電が停止されるときには空気ポンプ8の駆動が停止されることとなる。
水を回収するための補機としては、カソードにて生成された水を貯蔵する水回収タンク30と、カソード12の排出口23と水回収タンク30とを接続し、カソード12にて生成された水及び空気を含む排出物を水回収タンク30に供給して回収させる排出物給送管74と、水回収タンク30と中間タンク5の水供給口26とを接続し水回収タンク30に蓄積されている水を中間タンク5に供給する水給送管72と、水給送管72を通る水の量を調整する水バルブ17及び、水給送管を通して水を給送するための水回収ポンプ9とが設けられている。
排出物給送管74における排出物の流通の推力は、空気ポンプ8の駆動によるカソード12内の加圧であり、カソード12内で生成された排出物が排出口23を通して排出物給送管74内に送り出されることにより行なわれる。矢印56に示すように、排出物給送管74を通って水回収タンク30に供給された水は水回収タンク30に蓄積される一方、空気は、気液分離膜を備えた圧力バルブ31によって水と分離されて外部に排出される。水給送管72に設けられている水バルブ17は電磁弁で構成されており、制御演算装置6により駆動制御されている。また、水回収ポンプ9も制御演算装置6により駆動制御されている。制御演算部6は必要がある場合にこれらを駆動させ、矢印53に示すように水回収タンク30内の水を中間タンク5に供給する。
次に燃料タンクについて説明する。燃料タンク100は、燃料電池ユニット2と脱着可能に構成された交換式のものであり、発電に必要な燃料を供給して貯蔵する燃料原液がなくなると、新しい燃料タンクと交換して、連続した発電をできるようにする。燃料タンク100は、燃料原液を貯蔵する容器本体と燃料供給管71と脱着可能に接続するためのコネクタ103、燃料濃度および収容量の情報を制御演算部に伝達するための性状情報格納部102を備える。
燃料タンク100には燃料原液が貯留されている。燃料原液としては、メタノールやエタノール、ジメチルエーテル及びこれらの水溶液などが使用可能であるが、本実施形態ではメタノールを用いている。
燃料タンクは、以下に説明するように、蓄積される燃料原液の濃度及び収容量について種々の種類のものがあり、性状情報格納部102は、この燃料原液の性状に関する情報を制御演算部6に伝達するためのものである。
燃料タンクは、貯蔵される燃料原液を、燃料電池セル3が発電に用いる液体燃料よりも高濃度のものとすることにより、1つの燃料タンクで長時間にわたる連続的な発電を可能とするとともに燃料タンクの小型化を図ることができる。高濃度の液体燃料を用いると燃料電池セル3においてクロスオーバーなどの問題が発生するため、水回収タンクからの水で希釈する必要があり、当該水回収タンクに水がない場合、あるいは、中間タンクに液体燃料がないような初期起動時又は長期間保管後の起動時には、この高濃度の燃料原液を希釈して発電に用いる液体燃料の濃度とすることが困難であるため、薄い濃度の燃料タンクを用いる場合がある。
このような事情より、本実施形態にかかる燃料電池システムにおいては、燃料タンクに貯留される燃料原液の濃度を5、60、80、100重量%のものを必要に応じて用いることとしている。また、燃料タンクの燃料収容量も、50、100、150、200mlとし、使用者が使用状況などに応じて適宜選択できるようにしている。
次に制御演算装置6について説明する。図1に示すように、燃料電池システム1が搭載されている電子機器には、夫々の装置や構成機器の動作を制御する制御演算装置6が備えられている。制御演算装置6は、これらの制御を適切に行うため、燃料電池システムの各種状態を測定するための各種検出器から信号を受けることができるように構成されている。各種検出器としては、中間タンク5に蓄積されている液体燃料であるメタノール水溶液の液面レベルを検出する液面検出器13、中間タンク5に蓄積されている液体燃料であるメタノール水溶液の濃度を検出する濃度検出器14、燃料タンク100に蓄積されている燃料原液の性状を検出する性状情報読取装置29、燃料電池システム1によって発電されている電力量を検出する電力量検出器61が該当する。
制御演算装置6は、燃料電池システム1について、空気ポンプ8による空気の供給動作、燃料ポンプ7による燃料供給動作、水回収ポンプ9による水回収動作、水バルブ17、燃料バルブ16、排気弁15の開度調整動作等の夫々の動作制御を互いに関連付けながら、後述する物質収支が成立するように統括的に制御する。
燃料タンクの使用開始時に貯留されている燃料原液とその収容量の情報は、燃料タンク100の性状情報格納部102の情報を、性状情報読取装置29が読取ることによって行う。
性状情報読取装置29は、図3に示すように、4つのスイッチ素子s1〜s4を有するスイッチユニットである。性状情報読取装置29は、燃料タンク100の性状情報格納部102と対向するような位置に設けられており、本体41の対向面に上記スイッチ素子のスイッチ部が突出して設けられた構成である。各スイッチ素子は、本体41の取り付け部42に設けられたバネ43で突出片44を付勢することによって通常時はOFFの状態となっているが、突出片44が取り付け部44に押しこまれることによりONの状態となる切替スイッチである。
燃料タンク100の性状情報格納部102は、図2に示すように、金属板150から構成され、取り付け時に性状情報読取装置29の対向面の突出片と対向する位置に、内蔵される燃料原液の性状に応じて位置を異ならせて設けられた凹部h1〜h4を備えている。凹部h1〜h4はそれぞれスイッチ素子s1〜s4に対応しており、凹部が設けられている部分に対応する位置のスイッチ素子は、燃料タンクの取り付け時にスイッチ素子の突出片が凹部に嵌りOFFの状態を維持する一方、凹部が設けられていない位置に対応するスイッチ素子は、突出片44が性状情報格納部102の表面と当接して取り付け部42に押しこまれるため、ONの状態に切り替わることとなる(図4参照)。
本実施形態においては、上述のように、燃料原液の濃度として5、60、80、100重量%のものがあり、収容量として、50、100、150、200mlのものがあるため、これらの燃料タンクの燃料原液の性状をスイッチ素子s1〜s4のスイッチのON、OFFの組み合わせによって判別可能としている。
具体的には、スイッチ素子s1とS2は燃料原液の濃度を検出するために用いられ、スイッチ素子s3とs4は燃料原液の収容量を検出するために用いられる。各スイッチ素子のオンオフの組み合わせは、一例として次の表1に示すように設定される。図4の例では、s1、s4がONであり、s2、s3がOFFであるので、新品時の燃料タンクに貯留されている燃料原液は、濃度80wt%、収容量100mlということとなる。この燃料原液の性状に関する情報は制御演算部6が燃料電池システムを制御するときに利用される。
Figure 2005243353
制御演算装置6が行う制御動作の例について説明する。制御演算装置6は、燃料電池システム1の発電を行なう場合には、制御演算装置6は、空気ポンプ8を駆動して矢印55に示すようにカソード12に空気を供給する。燃料電池セル3のアノード10は、中間タンク5に貯蔵されている液体燃料に浸漬されているため、アノード10の燃料供給口24から取り込まれ、排出口25から排出される。
制御演算部6は、中間タンクに設けられている濃度検出器14によって、所定の濃度よりも薄くなった場合及び濃くなった場合は、燃料ポンプ7及び燃料バルブ16又は水回収ポンプ9及び水バルブを操作して所定の濃度となるように制御する。具体的には、中間タンク中のメタノール水溶液の濃度が所定の値より低くなった場合、燃料ポンプ7を駆動させるとともに燃料バルブ16を開き、燃料タンクに蓄積されている燃料原液を中間タンク5に給送する。一方、中間タンク中のメタノール水溶液の濃度が所定の値より高くなった場合、水回収ポンプ9を駆動させるとともに水バルブ17を開き、水回収タンク30に蓄積されている水を中間タンク5に給送する。上記のように制御演算装置6は、燃料タンク100に貯留されている燃料原液の濃度の情報を検知可能であるため、燃料原液の供給時においては、燃料原液の濃度に応じて燃料バルブ16及び燃料ポンプ7の動作を制御することが好ましい。中間タンク中の濃度検出器14により、中間タンク5中の液体燃料の濃度が所定の範囲に収まると、この動作を終了させる。
また、制御演算部6は、中間タンクに設けられている液面検出器13によって、中間タンク中の液面レベルが所定のレベルより低下した場合は、燃料ポンプ7及び燃料バルブ16又は水回収ポンプ9及び水バルブ17を操作して所定の液面レベルとなるように制御する。この液面レベルの制御には、中間タンク中の燃料濃度制御と共に行われることが好ましく、この場合の制御においては、燃料タンク中の燃料原液の濃度の情報により、制御を変化させることが好ましい。
たとえば、燃料電池システム1を長期間使用せずに保管しておいた場合、アノード10が配置されている中間タンク5の液体燃料の液面が大幅に少なくなったり、蒸発してなくなることが想定される。この状態で燃料電池を起動させると、電解質膜が壊れてしまうため、中間タンク5に液体燃料を充填する必要がある。このとき、水回収タンク30に希釈用の水が蓄積されていればこれを用いて濃度の調整をすることができるが長期間の保管により水回収タンクの水が蒸発してなくなっている場合もあるため、長期間の放置における液面レベルの調整においては、5wt%の燃料原液でしか制御できないようにし、他の濃度の燃料タンクを用いている場合には、警告表示を行うようにすることもできる。また、連続使用において、液面レベルがわずかに低下したような場合は、どの濃度の燃料原液によっても調整可能とすることが好ましい。
また、制御演算部は、燃料タンクに貯留されている燃料原液の濃度及び初期収容量の情報から、当該燃料タンクを用いて出力可能な電力量を算出し、当該燃料タンクの残り発電時間及び発電量の演算を行う。
具体的には、制御演算部6は、燃料電池セル3の発電のための反応式に基づいて、燃料原液の濃度と収容量から燃料タンク中に蓄積されているメタノールのモル数を算出し、当該モル数のメタノールから発電可能な電力量を推定して算出する。
また、制御演算部6は、電力量検出器61によって燃料電池セル3によって実際に出力した電力量の値と時間との情報を対応付けて常時モニターして記憶する。なお、この情報は、燃料タンク100を燃料電池ユニット2から取り外したときにリセットされる。したがって、制御演算部6は、1つの燃料タンクを用いたとき、当該燃料タンクに貯蔵されている燃料原液によって、電量電池セルが出力した電力量の累積値及び、単位時間あたりに出力された電力量または、単位時間あたりに出力されると想定される電力量の値を算出することができる。
また、制御演算部は、これらの情報から燃料タンク100が出力可能な残りの電力量と、当該燃料タンクで発電可能な残り時間の推定値を算出することができる。具体的には、出力可能な残りの電力量は、燃料タンク100内の燃料原液から発電可能な電力量から電量電池セルが出力した電力量の累積値を差し引くことで算出される。また、残り時間の推定値は、算出された出力可能な残りの電力量を単位時間あたりの電力量で割ることにより算出される。なお、単位時間あたりの電力量は、電量電池セルが出力した電力量の累積値の駆動時間に対する商や、瞬間の電力出力値に基づいて単位時間に出力される予想値により求められる。
以上説明したように、第1実施形態にかかる燃料電池システムは、燃料タンクに設けられた性状情報格納部と、燃料タンク取りつけ時に性状情報格納部に格納された燃料原液の性状に関する情報を読み取る性状情報読取部によって、燃料タンク内の燃料の性状に応じた駆動制御を行うことができる。このことにより、燃料タンクの残量表示の精度を向上させたり、好適な燃料物質収支で駆動させることができる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係る燃料電池システムについて説明する。図5は、本発明の第2実施形態に係る燃料電池システムの概略構成図である。本実施形態に係る燃料電池システム1aは、第1実施形態に係る燃料電池システム1と共通する構成部分が多いので、相違点を中心に説明する。
燃料電池システム1aは、燃料の持つ化学エネルギーを電気化学的に電気エネルギーに変換して発電を行なう発電部である燃料電池ユニット2aと、この発電に必要な燃料等を燃料電池ユニット2aに供給される燃料原液を貯蔵する燃料タンク100aとを備える。燃料タンク100aは、燃料電池ユニット2の特定位置に着脱自在に固定され、コネクタ103,18,104,19,105,20とによって、燃料電池ユニット2aへの燃料原液及び水の供給及びカソードからの水の貯蔵が可能となる。
燃料電池ユニット2は、直接型メタノール燃料電池(DMFC)である燃料電池セル3と中間タンク5及び燃料電池システムの駆動制御を司る制御演算部6を備える。また、燃料電池ユニット2には、その他の構成として、中間タンク5に液体燃料を供給するための補機と、カソード12に空気を供給するための補機と、カソード12で生成された排出物を回収するための補機とが設けられている。制御演算部6及び補機の説明については、後述する。
燃料タンク100aについて説明する。図6は図5の燃料電池システム1aに用いられる燃料タンクの構成を示す模式図である。燃料タンク100aは、図6に示すように、容器本体101、燃料部130、加圧部120、放熱管106、仕切り板107、燃料電池ユニットの各種配管と脱着可能に接続するためのコネクタ103、104、105燃料濃度および収容量の情報を制御演算部に伝達するための性状情報格納部102aを備える。
容器本体101は加圧部へかかる圧力で破損しない強度があり、水や液体燃料の漏れがない材料であれば特には限定されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリカーボネート、テフロン(登録商標)などの高分子樹脂類やガラスや、アルミニウム、ステンレスといった金属類が使用できる。但し、仕切り板107に付された磁石108からの磁界を容器外部にまで到達させるために、非磁性体であることが必要である。これらの条件より、特に、高分子樹脂類はその軽量性や強度の点から好適である。
容器本体には、加圧部に蓄積される排出物取込口、加圧部に蓄積された水を給送する水給送口、燃料部に貯留された燃料を給送する燃料給送口、加圧部内の高圧ガスを排出するためのガス排出口などが設けられている。排出物取込口はコネクタ104に、水給送口はコネクタ105に、燃料給送口はコネクタ103にそれぞれ設けられる。また、ガス排出口は、加圧部に設けられた開口であり、ガス排出口に接続された配管に圧力調整弁109が設けられる。圧力調整弁109は、加圧部内の圧力が過大になりすぎた場合にこれを調整するための部材であり、予め設定された所定値を超えて加圧部ないが高圧になった場合は、自動的に開放して加圧部内の圧力を低下させる。
燃料タンクは、以下に説明するように、蓄積される燃料原液の濃度及び収容量について種々の種類のものがあり、性状情報格納部102aは、この燃料原液の性状に関する情報を制御演算部6に伝達するためのものである。
燃料タンクは、容器本体101の内部が、仕切り板107によって区画され、上側に加圧部120、下側に燃料部130が形成される。仕切り板107は、図6において上下方向に平行移動可能に設けられており、仕切り板107の位置が変わることによって、加圧部120及び燃料部130の体積が変動する。
燃料部130には燃料原液が貯留されている。燃料原液としては、メタノールやエタノール、ジメチルエーテル及びこれらの水溶液などが使用可能であるが、本実施形態ではメタノールを用いている。
加圧部120は使用初期には、水が貯蔵されている。加圧部120の燃料タンク内の占有率は少ないほうが好ましく、具体的には20%以下が好ましい。占有率が20%を超えると、燃料タンク内の初期燃料占有率が減少するため、燃料の貯蔵量が減少する。
仕切り板107は燃料部130と加圧部120を分割するためのものであり、水や液体燃料の透過性が低いものが使用される。材料としては例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリカーボネート、テフロン(登録商標)などの高分子樹脂類やガラスや、アルミニウム、ステンレスといった金属類が使用できる。仕切り板の板厚は薄いほうが燃料タンクの初期燃料占有率が向上するため好ましいが、薄すぎると燃料部130内の燃料を吐出するだけの圧力に対して、加圧時の強度が不足するおそれがある。そのため、当該燃料タンクが用いられる燃料電池システムの設計などによって、仕切り板の使用材料や形状などの構成を異ならせる。仕切り板107は、仕切り板107と容器本体101との間の密閉性の向上のため、仕切り板本体12aの周縁に、ゴム性のパッキン12bを備える。
仕切り板107は、容器本体101内を上限位置から下限位置まで平行に移動する。仕切り板107が上限位置にあるときは、燃料部130に燃料が最大量蓄積されている状態であり、その位置は、水を吐出する水給送口の下側直近であり、放熱管106の下端よりも下側である。また、仕切り板107が下限位置に位置したときは、燃料タンクの取り替え時期を示す状態であり、その位置は容器の最下端又は最下端近傍である。
排出物取込口が設けられているコネクタ104は、燃料電池セル3のカソードと排出物供給管74によって脱着可能に連結され、カソード12から排出される水及び空気を含む排出物を矢印56に示すように加圧部120に取り込む。カソード12からの排出物の温度は、概ね60〜80℃であり、水、水蒸気、空気などを含んでいる。排出物取込口には、放熱管106が連結されており、カソードからの排出物が当該放熱管106を通る間に凝固して、水と空気が分離される。なお、加圧部120に水が蓄積している場合は、当該水は、放熱管106の冷媒として機能し、より短時間で水と空気を分離する。
圧力調整弁109はガス排出口109に連結する配管に設けられ、加圧部120の圧力がある一定以上に達した場合圧力を自動的に調整減圧するものである。圧力調整弁109はポリエチレンやポリプロピレンといった高分子樹脂類や、アルミニウムやステンレスといった金属類が使用できる。ガス排出口109には、気液分離膜(図示なし)が配設されており、圧力調整弁から水等が漏出することを防止する。気液分離膜の材料としては、例えば、フッ素系FEP樹脂等が挙げられ、その厚さは通常10〜1000ミクロン程度である。
水給送口が設けられているコネクタ105は、燃料電池ユニット2aの中間タンク5に接続する配管72にコネクタ20を介して脱着可能に接続しており、矢印53に示すように加圧部120に蓄積された水を中間タンク5に供給する。水給送口を通って燃料電池セル3に供給される水の量を制御するために、後述のように、加圧部120とアノード10とを接続する配管72に水バルブ17が設けられている。
燃料給送口が設けられているコネクタ103は、図6に示すように、燃料タンク100aの底部近傍に配置され、コネクタ18を介して燃料供給管71の一端と脱着可能に接続する。なお、図5では、コネクタ103は燃料タンク100aの底部以外の場所に記載しているが、これは説明の便宜のためであって位置を特定するものではない。これにより燃料部130に収容されている燃料原液を矢印51に示すように燃料供給管71を通して中間タンク5に給送することができる。このときの燃料原液の給送のための推力は、後述するように、加圧部120内の圧力が高くなることによって発生する仕切り板107の燃料部130方向への付勢力である。
燃料タンクは、以下に説明するように、蓄積される燃料原液の濃度及び収容量について種々の種類のものがあり、性状情報格納部102aは、この燃料原液の性状に関する情報を制御演算部6に伝達するためのものである。
燃料タンクは、貯蔵される燃料原液を、燃料電池セル3が発電に用いる液体燃料よりも高濃度のものとすることにより、1つの燃料タンクで長時間にわたる連続的な発電を可能とするとともに燃料タンクの小型化を図ることができる。高濃度の液体燃料を用いると燃料電池セル3においてクロスオーバーなどの問題が発生するため、水回収タンクからの水で希釈する必要があり、当該水回収タンクに水がない場合、あるいは、中間タンクに液体燃料がないような初期起動時又は長期間保管後の起動時には、この高濃度の燃料原液を希釈して発電に用いる液体燃料の濃度とすることが困難であるため、薄い濃度の燃料タンクを用いる場合がある。
このような事情より、本実施形態にかかる燃料電池システムにおいては、燃料タンクに貯留される燃料原液の濃度を5、60、80、100重量%のものを必要に応じて用いることとしている。また、使用開始時における燃料タンクの燃料収容量も、50、100、150、200mlとし、使用者が適宜選択できるようにしている。
次に、燃料電池システム1の補機系について説明する。図1に示すように、燃料供給のための補機としては、燃料タンク100と中間タンク5とを接続する燃料供給管71と、燃料供給管71の途中に設けられた燃料バルブ16とを備える。燃料タンク100に蓄積されている燃料原液の供給のための推力を与える燃料供給ポンプは後述するように、本実施形態においては設けられていない。
燃料供給管71の途中に設けられている燃料バルブ16は、電磁弁で構成されており、制御演算部6の制御を受けてその開度の調整がなされる。本実施形態にかかる燃料電池システムでは、燃料供給のための補機に燃料ポンプが設けられておらず、燃料原液供給のための推力は燃料タンクの燃料部130内の圧力であり、燃料供給管71内の燃料原液の給送量は燃料バルブ16の開度調整によってのみ行われる。
制御演算部6により燃料バルブ16が開放されると、燃料タンク100aの燃料部130中の燃料原液が、矢印51に示すように燃料供給管71を通って中間タンクの原液供給口27から中間タンク5に給送される。この燃料原液の給送のための推力は、上述のように、燃料タンクの加圧部に蓄積されている排出物によって仕切り板107が燃料部130側へ付勢される場合の付勢力である。発電停止の際には、燃料バルブ16が締められることにより燃料の供給も停止される。
上記空気供給の補機としては、カソード12の空気供給口22にその一端が接続された空気供給管73と、空気供給管73の途中に配置され、空気供給管73を通して、空気をカソード12内に供給する空気ポンプ8とを備える。空気ポンプ8も制御演算部6によって駆動制御され、例えば、燃料電池セル3にて発電が行なわれる際には空気ポンプ8が駆動されてカソード12内に必要な酸素が供給され、当該発電が停止されるときには空気ポンプ8の駆動が停止される。
水を回収するための補機としては、カソード12の排出口23と燃料タンクの加圧部120とを接続し、カソード12にて生成された水及び空気を含む排出物を加圧部120に供給して回収させる排出物給送管74と、加圧部120と中間タンク5の水供給口26とを接続し加圧部120に蓄積されている水を中間タンク5に供給する水給送管72と、水給送管72を通る水の量を調整する水バルブ17とが設けられている。
排出物給送管74における排出物の流通の推力は、空気ポンプ8の駆動によるカソード12内の加圧であり、カソード12内で生成された排出物が排出口23を通して排出物給送管74内に送り出されることにより行なわれる。矢印56に示すように、排出物給送管74を通って燃料タンク100aの加圧部120に給送され、水が加圧部120内に蓄積される一方、空気は、気液分離膜を備えたガス排出口から水と分離されて外部に排出される。水給送管72に設けられている水バルブ17は電磁弁で構成されており、制御演算装置6により駆動制御されている。制御演算部6は必要がある場合にこれらを駆動させ、矢印53に示すように燃料タンクの加圧部120内の水を中間タンク5に供給する。水を回収するための補機には水ポンプが設けられておらず、水を中間タンクに供給のための推力は燃料タンクの加圧部120内の圧力であり、水給送管72を通る水の給送量は水バルブ17の開度調整によってのみ行われる。
次に制御演算部6について説明する。図5に示すように、燃料電池システムの燃料電池ユニットには、夫々の装置や構成機器の動作を制御する制御演算部6が備えられている。制御演算部6は、これらの制御を適切に行うため、燃料電池システムの各種状態を測定するための各種検出器から信号を受けることができるように構成されている。各種検出器としては、中間タンク5に蓄積されている液体燃料であるメタノール水溶液の液面レベルを検出する液面検出器13、中間タンク5に蓄積されている液体燃料であるメタノール水溶液の濃度を検出する濃度検出器14、燃料タンク100に蓄積されている燃料原液の性状を検出する性状情報読取装置29a、燃料電池システム1によって発電されている電力量を検出する電力量検出器61、燃料タンクの仕切り板107に設けられている磁石108の位置を検出し仕切り板107の位置を測定するホール素子21が該当する。
ホール素子21は、燃料タンク取りつけ時において燃料タンクの磁石108と対向する位置に設けられており、当該磁石108から発せられる磁界を非接触で検出して、磁石の位置を検出し、制御演算部6にその情報を送信する。制御演算部6は、仕切り板107がどの位置にあるかによって、燃料タンク10内の燃料残量を演算する。
制御演算装置6は、燃料電池システム1について、空気ポンプ8による空気の供給動作、燃料ポンプ7による燃料供給動作、水回収ポンプ9による水回収動作、水バルブ17、燃料バルブ16、排気弁15の開度調整動作等の夫々の動作制御に加えて、仕切り板107の位置から燃料タンクに蓄積されている燃料原液の残量を算出し、これらを互いに関連付けながら、後述する物質収支が成立するように統括的に制御する。
燃料タンクの使用開始時に貯留されている燃料原液とその収容量の情報は、燃料タンク100の性状情報格納部102aの情報を、性状情報読取装置29aが読取ることによって行う。
性状情報読取装置29aは、燃料タンク100aの性状情報格納部102aと対向するような位置に設けられており、図8に示すように、4つの読取側端子を備えるユニットである。4つの読取側端子は、電源電圧V0の一方端に接続された第1端子t1〜t3と、電源電圧V0の他方端に接続された第2端子t4とを備える。図10の回路図に示すように、第1の端子t1〜t3は、それぞれ電源電圧の一方の端子に同じ抵抗値を有する抵抗R0と直列に接続された直列回路をそれぞれ並列に接続した構成である。これらの直列回路には、それぞれ電圧計V1〜V3が設けられており、直列回路の電圧値を測定する。読取り側端子の先端部はバネで支えられて伸縮可能になっている。このため、性状情報格納部102aとの接触時に先端が変形して適度な力で接触可能である。
燃料タンク100aの性状情報格納部102aは、図7に示すように、非導電体の板状体150と燃料タンク100a取り付け時に性状情報読取装置29aの対向面の読取側端子と対向する位置に設けられた格納側端子141〜144を備えている。格納側端子141〜143は、板状体150の内部で抵抗R1からR3と直列に連結され、格納側端子141〜144はそれぞれ互いに電気的に接続される。抵抗R1からR3は、燃料タンクの燃料部に使用開始時に貯留される燃料の性状に応じて適宜固有の値を持つように構成されている。
燃料タンクの取りつけ時は、図9に示すように、燃料タンク100aの性状情報格納部102aの格納側端子141〜144と燃料電池ユニットの性状情報読取部29aの読み取り側端子t1〜t4がそれぞれ対応して接続する。このときの回路図を図10に示す。それぞれの読取り側端子t1〜t4において、性状情報格納部側は、t1とt4の端子を抵抗R1で、t2とt4の端子を抵抗R2で、t3とt4の端子を抵抗R3で接続している。性状情報読取部の読取り側端子は、例えば所定の電圧V0と抵抗R0を介して端子t1、t2、t3にそれぞれ接続されており、端子4はグランドに設置されているため、読取り側端子t1、t2、t3の電圧を電圧計V1、V2、V3によって測定することにより、伝達部側の抵抗R1、R2、R3の値を求めることができる。
本実施形態においては、上述のように、燃料原液の濃度として5、60、80、100重量%のものがあり、収容量として、50、100、150、200mlのものがあるため、これらの燃料タンクの燃料原液の性状を抵抗R1〜R3の値によって判別可能としている。
具体的には、抵抗R1は、燃料タンクの種類を示す情報を検出するために用いられ、抵抗R2は燃料原液の濃度を検出するために用いられ、抵抗R3は燃料原液の収容量を検出するために用いられる。各抵抗の値及び検出結果は、一例として次の表2に示すように設定される。この燃料原液の性状に関する情報は制御演算部6が燃料電池システムを制御するときに利用される。
Figure 2005243353
制御演算部6が行う制御動作の例について説明する。制御演算装置6は、燃料電池システム1の発電を行なう場合には、制御演算装置6は、空気ポンプ8を駆動して矢印55に示すようにカソード12に空気を供給する。燃料電池セル3のアノード10は、中間タンク5に貯蔵されている液体燃料に浸漬されているため、アノード10の燃料供給口24から取り込まれ、排出口25から排出される。
制御演算部6は、中間タンクに設けられている濃度検出器14によって、所定の濃度よりも薄くなった場合及び濃くなった場合は、燃料ポンプ7及び燃料バルブ16又は水回収ポンプ9及び水バルブを操作して所定の濃度となるように制御する。具体的には、中間タンク中のメタノール水溶液の濃度が所定の値より低くなった場合、燃料バルブ16を開き、燃料タンクに蓄積されている燃料原液を中間タンク5に給送する。一方、中間タンク中のメタノール水溶液の濃度が所定の値より高くなった場合、水バルブ17を開き、水回収タンク30に蓄積されている水を中間タンク5に給送する。上記のように制御演算部6は、燃料タンク100に貯留されている燃料原液の濃度の情報を検知可能であるため、燃料原液の供給時においては、燃料原液の濃度に応じて燃料バルブ16の動作を制御することが好ましい。中間タンク中の濃度検出器14により、中間タンク5中の液体燃料の濃度が所定の範囲に収まると、この動作を終了させる。
また、制御演算部6は、中間タンクに設けられている液面検出器13によって、中間タンク中の液面レベルが所定のレベルより低下した場合は、燃料バルブ16又は水バルブ17を操作して所定の液面レベルとなるように制御する。この液面レベルの制御には、中間タンク中の燃料濃度制御と共に行われることが好ましく、この場合の制御においては、燃料タンク中の燃料原液の濃度の情報により、制御を変化させることが好ましい。
たとえば、燃料電池システム1aを長期間使用せずに保管しておいた場合、アノード10が配置されている中間タンク5の液体燃料の液面が大幅に少なくなったり、蒸発してなくなることが想定される。この状態で燃料電池を起動させると、電解質膜が壊れてしまうため、中間タンク5に液体燃料を充填する必要がある。このとき、加圧部120に希釈用の水が蓄積されていればこれを用いて濃度の調整をすることができるが使用初期においては、加圧部に水が貯留されていないため、長期間の放置における液面レベルの調整においては、5wt%の燃料原液でしか制御できないようにし、他の濃度の燃料タンクを用いている場合には、警告表示を行うようにすることもできる。また、連続使用において、液面レベルがわずかに低下したような場合は、どの濃度の燃料原液によっても調整可能とすることが好ましい。
中間タンク補給用燃料である5wt%の燃料原液を蓄積した燃料タンクにおいては、中間タンク5に燃料を送る場合、外部回路60の接続を切り離した状態で空気ポンプを作動させ、空気の圧力で仕切り板を付勢し燃料を中間タンクへ供給する。この場合、電極に電荷は貯まるが、負荷を取っていないため、中間タンクへ燃料を補給する間の空気ポンプ作動は問題ない。また、空気ポンプを作動させないで燃料を中間タンクへ供給する方法として、予め中間タンク補給用の燃料タンクの加圧部に高圧ガスを注入しておき、燃料電池ユニットとの取りつけ時に当該高圧ガスによって燃料原液が中間タンクに送られるようにしておくこともできる。
また、制御演算部は、燃料タンクに貯留されている燃料原液の濃度及び初期収容量の情報から、当該燃料タンクを用いて出力可能な電力量を算出し、当該燃料タンクの残り発電時間及び発電量の演算を行う。
具体的には、制御演算部6は、燃料電池セル3の発電のための反応式に基づいて、燃料原液の濃度と収容量から燃料タンク中に蓄積されているメタノールのモル数を算出し、当該モル数のメタノールから発電可能な電力量を推定して算出する。
また、制御演算部6は、電力量検出器61によって燃料電池セル3によって実際に出力した電力量の値と時間との情報を対応付けて常時モニターして記憶する。また、ホール素子21によって検出された仕切り板107の位置によって燃料部1302蓄積されている燃料原液の量を計測する。なお、これらの情報は、燃料タンク100を燃料電池ユニット2から取り外したときにリセットされる。したがって、制御演算部6は、1つの燃料タンクを用いたとき、当該燃料タンクに貯蔵されている燃料原液によって、電量電池セルが出力した電力量の累積値及び、単位時間あたりに出力された電力量または、単位時間あたりに出力されると想定される電力量の値、燃料タンク内の燃料原液残量を算出することができる。
また、制御演算部は、これらの情報から燃料タンク100が出力可能な残りの電力量と、当該燃料タンクで発電可能な残り時間の推定値を算出することができる。具体的には、出力可能な残りの電力量は、燃料タンク100内の燃料原液の残量から計算されるモル数に基づいて算出される。また、残り時間の推定値は、算出された出力可能な残りの電力量を単位時間あたりの電力量で割ることにより算出される。なお、単位時間あたりの電力量は、電量電池セルが出力した電力量の累積値の駆動時間に対する商や、瞬間の電力出力値に基づいて単位時間に出力される予想値により求められる。
以上説明したように、第2実施形態の燃料電池システム1aは、上記第1実施形態と同様に、燃料タンクに設けられた性状情報格納部と、燃料タンク取りつけ時に性状情報格納部に格納された燃料原液の性状に関する情報を読み取る性状情報読取部によって、燃料タンク内の燃料の性状に応じた駆動制御を行うことができる。
また、第2実施形態にかかる燃料電池システムは、カソードから精製した水を外部に排出することなく燃料タンクに蓄積し、燃料及び燃料希釈用の水の給送に利用するため、これらを給送するためのポンプを必要としない。したがって、補機によって消費される電力が少なくて済み、燃料電池システムの出力効率を向上させることができる。また、燃料電池の残量を簡単に算出することができ、燃料タンクの交換時期などを電子機器の利用者に通知することができる。
したがって、燃料電池システムの補機を少なくできるため、小型で、水分の外部放出がないため、携帯電子機器などに好適に用いることができる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その他種々の態様で実施可能である。例えば、性状情報格納部及び性状情報読取部のスイッチは4つに限られる物ではなく、制御演算部(又は制御演算装置)に伝達したい所望の燃料原液の性状に応じて適宜設計すればよい。
また、性状情報読取部が燃料原液の性状を直接読取るのではなく、例えば、燃料原液の性状に基づいて燃料タンクの種類を特定させるような場合は、燃料タンクの種類を性状情報読取部が読取るようにし、制御演算部に予め格納されている当該種類の燃料タンク(通常発電時、中間タンク補充用燃料タンクなど)及び燃料原液に関する情報(濃度、収容量など)に基づいて駆動制御を行うようにしてもよい。
なお、実施の形態において、性状情報格納部と性状情報読取部の構成が、穴形状の有無とプッシュスイッチの組み合わせ、抵抗と電圧測定による組み合わせの例に付いて示したが、これに限定されるものではない。他の例としては、性状情報格納部に高反射材料または反射しにくい材料の配置をすることと、性状情報読取部に光電センサーを配置することの組み合わせで構成され、光電センサーで発光した光が受光できるかどうかを判別する方法や、性状情報格納部に永久磁石の有無と性状情報読取部にホール素子やMR素子などの磁気センサーを配置することの組み合わせで構成され、磁界の有無を判別する方法や、性状情報格納部に接触式または非接触式のICチップ配置することと、性状情報読取部にICチップ読取装置を配置することによって判別する方法等を例示することができる。
また、燃料タンクの仕切り板に付された仕切り板の位置を検出する位置検出手段は、磁石とホール素子の組み合わせではなく、その他非接触によりその位置検出ができるものであればよい。
本発明の第1実施形態に係る燃料電池システムの概略構成図である。 図1の燃料電池システムに用いられる燃料タンクの性状情報格納部の構成を示す図であり、(a)は平面図、(b)は側面図である。 図1の燃料電池システムに用いられる燃料電池ユニットの性状情報読取部の構成を示す図であり、(a)は平面図、(b)は側面図である。 図2の性状情報格納部及び図3の性状情報読取部連結時の状態を示す側面図である。 本発明の第2実施形態に係る燃料電池システムの概略構成図である。 図8の燃料電池システムに用いられる燃料電池本体の概略構成を示す図である。 図5の燃料電池システムに用いられる燃料タンクの性状情報格納部の構成を示す図であり、(a)は平面図、(b)は側面図である。 図5の燃料電池システムに用いられる燃料電池ユニットの性状情報読取部の構成を示す図であり、(a)は平面図、(b)は側面図である。 図7の性状情報格納部及び図8の性状情報読取部連結時の状態を示す側面図である。 図9の回路図である。
符号の説明
1,1a 燃料電池システム
2,2a 燃料電池ユニット
3 燃料電池セル
5 中間タンク
6 制御演算部、制御演算装置
7 燃料ポンプ
8 空気ポンプ
9 水回収ポンプ
16 燃料バルブ
17 水バルブ
21 ホール素子
29,29a 性状情報読取部
71 燃料供給管
72 水給送管
73 空気供給管
74 排出物供給管
100,100a 燃料タンク
102,102a 性状情報格納部
106 放熱管
107 仕切り板
108 磁石
120 加圧部
130 燃料部
11,31 容器本体
12,32 仕切り板
108 磁石

Claims (12)

  1. 発電に用いる燃料原液を貯留する燃料タンク(100,100a)と、
    燃料タンクと連通し前記燃料タンクに貯留された燃料原液の供給を受け、発電に用いる液体燃料を内部に貯留する容器形状の中間タンク(5)と、前記中間タンクに貯留された前記液体燃料にアノード側を浸漬して配置され前記液体燃料の供給を受けて発電する燃料電池セル(3)とを備える燃料電池ユニット(2,2a)と、
    前記燃料タンクと前記燃料電池ユニットとを着脱自在に保持する保持部材(18,19,20,103,104,105)と、
    を有する燃料電池システムであって、
    前記燃料タンク(100,100a)に設けられ前記燃料タンクの内部に貯留される燃料原液の性状についての情報を格納する性状情報格納部(102,102a)と、
    前記燃料タンクの連結時に前記性状情報格納部に格納された前記燃料タンク中の燃料原液の性状に関する情報を取得する性状情報読取部(29,29a)と、
    前記性状情報読取部によって取得された前記燃料原液の性状の情報に基づいて、燃料電池システムの前記中間タンクに関連する駆動制御を行う制御演算部(6)とを備えることを特徴とする、燃料電池システム。
  2. 前記性状情報読取部(29)は、操作片(44)を押圧されることによりオンオフの切り変えが行われるスイッチ素子(s1〜s4)を備えたユニットで構成され、
    前記性状情報格納部(102)は、前記スイッチ素子の操作片に対応する位置であって、前記燃料タンク中の燃料原液の性状に応じて異なる位置に複数の押圧部(h1〜h4)を備えた板状体で構成されることを特徴とする、請求項1に記載の燃料電池システム。
  3. 前記スイッチ素子(s1〜s4)は、突出片(44)を押下されることによりオンオフの切替が行われる複数のスイッチ素子であって、
    前記性状情報格納部(102)は、前記スイッチ素子の突出片(44)に対応する位置であって、前記燃料タンク(100)中の燃料原液の性状に応じて異なる位置に複数の凹部(h1〜h4)を備えた板状体で構成されることを特徴とする、請求項1に記載の燃料電池システム。
  4. 前記性状情報読取部(29a)は、電源電圧の一方端に接続された第1端子(t1〜t3)と、電源電圧の他方端に接続された第2端子(t4)とを備え、
    前記性状情報格納部(102a)は、前記性状情報読取部の前記第1端子に対応する位置に設けられた第3端子(141〜143)と前記性状情報読取部の前記第2端子に対応する位置に設けられ前記第3端子と抵抗(R1〜R3)を介して接続された第4端子(144)とを備え、前記燃料タンク中の燃料原液の性状に応じて前記抵抗(R1〜R3)の値が異なることを特徴とする、請求項1に記載の燃料電池システム。
  5. 前記第1端子(t1〜t3)及び第3端子(141〜143)は複数設けられることを特徴とする、請求項4に記載の燃料電池システム。
  6. 前記性状情報格納部(102,102a)に格納された燃料原液の性状の情報は、前記燃料原液の濃度と前記燃料タンクの初期状態における燃料原液の収容量に関する情報であることを特徴とする、請求項1から5のいずれか1つ記載の燃料電池システム。
  7. 前記制御演算部(6)は、前記性状情報読取部(29,29a)によって取得された燃料原液の収容量及び燃料原液の濃度の情報に基づいて、前記燃料タンクを用いて発電可能な電力量を算出することを特徴とする、請求項6に記載の燃料電池システム。
  8. さらに、燃料電池セル(3)によって発電された電力量の累計情報を検出する発電電力検出手段(61)を有し、
    前記制御演算部(6)は、前記発電電力検出手段によって検出された燃料電池セルの電力量の累計情報に基づいて、当該燃料タンクの残りの燃料原液で発電可能な残りの電力量を算出することを特徴とする、請求項7に記載の燃料電池システム。
  9. 前記燃料タンク(100a)が、その内部を燃料原液を貯蔵する燃料部(130)と前記燃電池セルのカソードで生成された水を含む排出物を取り込んで蓄積する加圧部(120)とに区画する移動可能に配設された仕切り板(107)を備え、前記加圧部に蓄積された前記排出物によって、前記仕切り板が前記燃料部側へ移動して、前記燃料部を加圧することによって燃料原液を吐出するように構成され、
    前記仕切り板(107)の位置を検出する位置検出手段(21,108)をさらに有し、
    前記制御演算部(6)は、前記位置検出手段(21、108)によって検出された前記仕切り板の位置に関する情報から算出される前記燃料タンクに収容されている燃料原液の量及びに基づいて、前記性状情報読取部によって取得された前記燃料原液の濃度の情報に基づいて前記燃料タンクの残りの燃料原液で発電可能な電力量を算出することを特徴とする、請求項6に記載の燃料電池システム。
  10. 前記位置検出手段(21,108)は、前記仕切り板の位置を前記燃料タンクと非接触で検出可能な装置により構成されていることを特徴とする、請求項9に記載の燃料電池システム。
  11. 前記位置検出手段(21)は、前記仕切り板に設けられた磁石(108)と、
    前記燃料電池ユニット(2a)に設けられ、前記磁石から発せられ前記燃料タンクの外壁を透過した磁界を検出して前記磁石の位置を検出する検出器(21)とで構成されている請求項10に記載の燃料電池システム。
  12. 前記燃料電池セル(3)から出力された電力量に基づいて単位時間あたりに出力された電力量をする消費電力量算出手段(6)と、
    前記制御演算部によって算出された発電できる電力量と前記消費電力量算出手段(6)によって算出された単位時間あたりの消費電力量と前記燃料タンクの残りの燃料原液で発電可能な電力量の情報に基づいて、前記燃料タンクが発電可能な残り時間の情報を算出することを特徴とする、請求項8から10のいずれか1つの燃料電池システム。
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