JP2005239438A - 廃水または排ガス中のアンモニアおよび/またはアンモニウムイオンの回収方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 アンモニアおよび/またはアンモニウムイオンを吸収しているリン酸マグネシウムアンモニウム6水塩(MgNH4PO4・6H2O)を主体とするリン酸マグネシウム塩のうち、リン酸マグネシウムアンモニウム6水塩(MgNH4PO4・6H2O)の重量が70%以下となるまで加熱してアンモニアおよび/またはアンモニウムイオンが抜けた非晶質のリン酸マグネシウム化合物とするとともに、加熱により放出したアンモニアおよび/またはアンモニウムイオンを回収する。
【選択図】 図1
Description
また、排ガスあるいは空気中のアンモニアを除去する技術としては次亜塩素酸や酸性溶液を利用する化学的方法とともに、ゼオライトや活性炭を利用する物理化学的な方法が公知である。
また、排ガス中のアンモニアを除去するために、次亜塩素酸を用いると薬品代が高く、酸性溶液を用いると後処理が問題となる。また、物理化学的吸着法は高濃度のアンモニア排ガス処理としては、単位吸着量が少なく高濃度のアンモニア含有排ガスには適用できないという問題点があった。
また、55〜350℃の範囲で加熱を行うものを請求項2に係る発明とする。更に、非晶質のリン酸マグネシウム化合物を水に浸す、もしくは水蒸気中にさらしてリン酸水素マグネシウム3水塩(MgHPO4・3H2O)を含むリン酸マグネシウム塩を生成させた後、さらに、これをアンモニアおよび/またはアンモニウムイオンを含む廃水または排ガスと接触させて、リン酸マグネシウムアンモニウム6水塩(MgNH4PO4・6H2O)を主体とするリン酸マグネシウム塩を生成させることにより、これを再びアンモニアおよび/またはアンモニウムイオンの回収に用いるものを請求項3に係る発明とし、pH3〜pH10の水に浸す、もしくは水蒸気中にさらすものを請求項4に係る発明とする。また、非晶質のリン酸マグネシウム化合物をアンモニアおよび/またはアンモニウムイオン含有廃水、もしくは含有ガスと接触させることにより、直接リン酸マグネシウムアンモニウム6水塩(MgNH4PO4・6H2O)を主体とするリン酸マグネシウム塩を生成させる、および/または、一旦リン酸水素マグネシウム3水塩(MgHPO4・3H2O) を含むリン酸マグネシウム塩をアンモニアおよび/またはアンモニウムイオン含有廃水、もしくは含有ガス中で生成させると同時に、これにアンモニアおよび/またはアンモニウムイオンを吸収させ、リン酸マグネシウムアンモニウム6水塩(MgNH4PO4・6H2O)を主体とするリン酸マグネシウム塩を生成させることにより得たリン酸マグネシウムアンモニウム6水塩(MgNH4PO4・6H2O)を主体とするリン酸マグネシウム塩を再びアンモニアおよび/またはアンモニウムイオンの回収に用いるものを請求項5に係る発明とする。
また、加熱により放出したアンモニアおよび/またはアンモニウムイオンは不純物が少ないので効率よく回収することができ、さらに、生成させたリン酸水素マグネシウム3水塩(MgHPO4・3H2O)を含むリン酸マグネシウム塩をアンモニアおよび/またはアンモニウムイオンを含む廃水、または排ガスに接触させることにより、廃水または排ガス中のアンモニアおよび/またはアンモニウムイオンを吸収し、リン酸マグネシウムアンモニウム6水塩(MgNH4PO4・6H2O)を主体とするリン酸マグネシウム塩を生成させることができる。なお、このリン酸マグネシウムアンモニウム6水塩(MgNH4PO4・6H2O)を主体とするリン酸マグネシウム塩は、前記と同一条件下(55〜350℃)で加熱した後、水に浸す、もしくは水蒸気中にさらすことにより、リン酸水素マグネシウム3水塩(MgHPO4・3H2O)を含むリン酸マグネシウム塩へと再生することができる。すなわち繰り返し利用が可能となり、このように再生品を使用することで優れた実用性および経済性を発揮することができる。
更には、非晶質のリン酸マグネシウム化合物を水に浸す、もしくは水蒸気中にさらす工程を省いて、アンモニアおよび/またはアンモニウムイオン含有廃水、もしくは含有ガスと接触させた場合には、廃水もしくは排ガス中でも、直接リン酸マグネシウムアンモニウム6水塩(MgNH4PO4・6H2O)を主体とするリン酸マグネシウム塩を生成、および/または、一旦リン酸水素マグネシウム3水塩(MgHPO4・3H2O) を含むリン酸マグネシウム塩が生成され、これが同時に、アンモニアおよび/またはアンモニウムイオンを吸収し、リン酸マグネシウムアンモニウム6水塩(MgNH4PO4・6H2O)を主体とするリン酸マグネシウム塩を生成するため、これを再びアンモニアおよび/またはアンモニウムイオンの回収に用いる場合は、水に浸す、もしくは水蒸気中にさらす工程を省くことができて、より簡単な工程でかつ効率的に処理ができる。
ここで重量が70%以下となるまで加熱するのは、リン酸マグネシウムアンモニウム6水塩(MgNH4PO4・6H2O)中のアンモニアおよび/アンモニウムイオンを放出させた後、水に浸すもしくは水蒸気中にさらすことによりアンモニアおよび/またはアンモニウムイオンを吸収可能なリン酸マグネシウム3水塩(MgHPO4・3H2O)を含むリン酸マグネシウム塩を生成できる状態とする為である。この状態で、水に浸す、もしくは水蒸気中にさらして生成させたリン酸マグネシウム3水塩(MgHPO4・3H2O)を含むリン酸マグネシウム塩では、若干内部に未放出のアンモニアおよび/またはアンモニウムイオンが残存しているが、これをアンモニアおよび/またはアンモニウムイオンの吸収剤として利用した場合、重量比で2.5wt%程度のアンモニア吸収量であるゼオライトに対しては、充分にアンモニア吸収性がある。より好ましくは、重量が49〜59%(49%は理論値である)の範囲となるように加熱するとアンモニアおよび/またはアンモニウムイオンがほぼ完全に抜けた非晶質のリン酸マグネシウム化合物が得られ、この状態で、水に浸すもしくは水蒸気中にさらせば、ほぼ完全にリン酸マグネシウム3水塩(MgHPO4・3H2O)を主体とするリン酸マグネシウム塩が生成するため、効率よくアンモニアおよび/またはアンモニウムイオンを吸収させ、リン酸マグネシウムアンモニウム6水塩(MgNH4PO4・6H2O)を主体とするリン酸マグネシウム塩を再び得ることが可能となる。なお、この状態で再生させたリン酸水素マグネシウム3水塩(MgHPO4・3H2O)を含むリン酸マグネシウム塩は、ゼオライトが重量比で2.5wt%程度の吸収量に対して平均7wt%以上(リン酸マグネシウム3水塩が全て、リン酸マグネシウムアンモニウム6水塩へと移行した場合、約9.7%が理論値である)のアンモニア吸収性能を持つ。
具体的な温度条件としては、例えば55〜350℃の範囲で約5分(350℃の場合)〜最長10日間(55℃の場合)ほど加熱を行うことが好ましい。実験の結果によれば、55℃未満では加熱が不充分となり、アンモニアと結晶水は放出せず、350℃よりも高くすると、アンモニアが完全に放出した後さらに結晶水の放出が進み、非晶質リン酸マグネシウム化合物が結晶性のピロリン酸マグネシウム(Mg2P2O7)となってしまい、リン酸水素マグネシウム3水塩(MgHPO4・3H2O)を含むリン酸マグネシウム塩への再生が不可能になってしまう。また、200℃以上の高温で加熱する場合には、後述する実施例1、2でも示すように短時間(1時間程度)でアンモニアと結晶水をほぼ完全に放出させることが可能であるが、長時間(5時間)の加熱をした場合では、同一の条件(24時間、水中に浸漬または、水蒸気中にさらす)で生成させたリン酸水素マグネシウム3水塩(MgHPO4・3H2O)を含むリン酸マグネシウム塩のアンモニアおよび/またはアンモニウムイオンの吸収性はゼオライトに比べて高いものの、短時間(1時間)の加熱物から生成させたものより若干性能が劣化する傾向が見られたので、高温で長時間保持する事により、アンモニアと結晶水を放出した後、焼結が進んでしまい、リン酸水素マグネシウム3水塩(MgHPO4・3H2O)を含むリン酸マグネシウム塩への再生が困難になると思われ、好ましくない。実用上は、装置構造、加熱方法により温度上昇速度、すなわちアンモニアおよび結晶水の放出速度が変化するので、200℃以上で短時間にアンモニアおよび結晶水を放出する場合には、必要以上に加熱しないように、アンモニアおよび結晶水の放出が終了する時点を実験であらかじめ確かめた上で、加熱時間を定めるのが良い。なお、150℃以下の温度では長時間保持しても、同一の条件で再生したリン酸水素マグネシウム3水塩(MgHPO4・3H2O)のアンモニア吸収性性能が劣化することはないが、加熱しすぎることは、エネルギーの観点からも無駄が多いのであらかじめ実験で確認することが望ましい。
また、非晶質リン酸マグネシウム化合物から、リン酸水素マグネシウム3水塩(MgHPO4・3H2O)を含むリン酸マグネシウム塩への生成(再生)方法は、15分から24時間程度、水へ浸漬または水蒸気と接触させることで充分である。なお、その際、pHは3〜10の間で行うことが望ましい。pHが3より低い場合には、非晶質リン酸マグネシウムの溶解が著しく、リン酸水素マグネシウム3水塩(MgHPO4・3H2O)を含むリン酸マグネシウム塩の生成が困難となり、またpHが10より高い場合には、リン酸水素マグネシウム3水塩(MgHPO4・3H2O)を含むリン酸マグネシウム塩ではなく、アンモニアおよび/またはアンモニウムイオンの吸収性がない、リン酸三マグネシウム八水塩(Mg3(PO4)2・8H2O)を生成してしまうからである。
アンモニア吸収条件は、pH9、アンモニア濃度1000mg/Lの廃水1L中にリン酸水素マグネシウム3水塩(MgHPO4・3H2O)を含むリン酸マグネシウム塩を10g添加し、3時間攪拌した。その後、処理水のアンモニア濃度を測定し、添加したリン酸水素マグネシウム3水塩(MgHPO4・3H2O)を含むリン酸マグネシウム塩量10gからアンモニア吸収量を求めた。
表1から、加熱後重量が70%以下となるまで加熱した後、リン酸水素マグネシウム3水塩(MgHPO4・3H2O)を含むリン酸マグネシウム塩を生成させると、重量比で2.5wt%程度のアンモニア吸収量であるゼオライト以上のアンモニア吸収性が得られ、さらに59%以下まで重量減少させることにより、7wt%以上もの効率で、アンモニアの吸収および回収が可能となることが明らかである。また、200℃、350℃で長時間加熱したものは、若干性能が劣化し、350℃を超える400℃で加熱すると急激に性能が劣化することが明らかとなった。
また、24時間水に浸漬する、もしくは水蒸気中にさらす、リン酸水素マグネシウム3水塩(MgHPO4・3H2O)の生成(再生)操作を省いた場合でも、性能は若干落ちるものの、ゼオライト以上のアンモニア吸収性が得られることが判明した。
以上から、排ガス中からも高性能でアンモニアを回収できることが示唆された。
Claims (5)
- アンモニアおよび/またはアンモニウムイオンを吸収しているリン酸マグネシウムアンモニウム6水塩(MgNH4PO4・6H2O)を主体とするリン酸マグネシウム塩のうち、リン酸マグネシウムアンモニウム6水塩(MgNH4PO4・6H2O)の重量が70%以下となるまで加熱して非晶質のリン酸マグネシウム化合物を生成させるとともに、加熱により放出したアンモニアおよび/またはアンモニウムイオンを回収することを特徴とする廃水または排ガス中のアンモニアおよび/またはアンモニウムイオンの回収方法。
- 55〜350℃の範囲で加熱を行うことを特徴とする請求項1に記載の廃水または排ガス中のアンモニアおよび/またはアンモニウムイオンの回収方法。
- 非晶質のリン酸マグネシウム化合物を水に浸す、もしくは水蒸気中にさらしてリン酸水素マグネシウム3水塩(MgHPO4・3H2O)を含むリン酸マグネシウム塩を生成させた後、さらに、これをアンモニアおよび/またはアンモニウムイオンを含む廃水または排ガスと接触させて、リン酸マグネシウムアンモニウム6水塩(MgNH4PO4・6H2O)を主体とするリン酸マグネシウム塩を生成させることにより、これを再びアンモニアおよび/またはアンモニウムイオンの回収に用いることを特徴とする請求項1または2に記載の廃水または排ガス中のアンモニアおよび/またはアンモニウムイオンの回収方法。
- pH3〜pH10の水に浸す、もしくは水蒸気中にさらすことを特徴とする請求項3に記載の廃水または排ガス中のアンモニアおよび/またはアンモニウムイオンの回収方法。
- 非晶質のリン酸マグネシウム化合物をアンモニアおよび/またはアンモニウムイオン含有廃水、もしくは含有ガスと接触させることにより、直接リン酸マグネシウムアンモニウム6水塩(MgNH4PO4・6H2O)を主体とするリン酸マグネシウム塩を生成させる、および/または、一旦リン酸水素マグネシウム3水塩(MgHPO4・3H2O) を含むリン酸マグネシウム塩をアンモニアおよび/またはアンモニウムイオン含有廃水、もしくは含有ガス中で生成させると同時に、これにアンモニアおよび/またはアンモニウムイオンを吸収させ、リン酸マグネシウムアンモニウム6水塩(MgNH4PO4・6H2O)を主体とするリン酸マグネシウム塩を生成させることにより得た、リン酸マグネシウムアンモニウム6水塩(MgNH4PO4・6H2O)を主体とするリン酸マグネシウム塩を再びアンモニアおよび/またはアンモニウムイオンの回収に用いることを特徴とする請求項1または2に記載の廃水または排ガス中のアンモニアおよび/またはアンモニウムイオンの回収方法。
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2004
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