JP2015080761A - リンの除去回収材およびその吸着除去方法。 - Google Patents

リンの除去回収材およびその吸着除去方法。 Download PDF

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Abstract

【課題】 畜産排液などの廃棄物から簡便にリンを除去、回収することができ、資源の有効活用や環境保全の観点からも有用な技術を提供する。
【解決手段】 竹または竹炭にカルシウム化合物が担持されているリンの除去回収材による。リンを含有する廃棄物に当該除去回収材を接触させることにより、廃棄物からリンを除去、回収することができる。
【選択図】 図4

Description

本発明は、畜産排液などからリンを除去回収する技術に関する。
現在、リン資源は世界的に枯渇が危惧されている。このような状況下で、リン鉱石の販売価格がこの20年間に6倍以上にも高騰している。また、リン鉱石は日本ではほとんど産出しない資源であり、100%海外輸入に依存しているのが現状である。一方、閉鎖性水域において、リンや窒素等の栄養塩類濃度の増加に起因する河川汚染や閉鎖性海域での赤潮発生による漁業被害等が問題となっている。また、家畜排液から発生する悪臭による空気汚染や、排水中の汚濁物質による土壌汚染、水汚染が無視できない状況にある。下水処理場では、処理後のリンの濃度は比較的に低く、そのまま排出してしまうことが多い。
そこで、各種の廃棄物や排出物等からリンを回収したり除去するための技術が案出されている。例えば、特開2004-321992号公報(特許文献1)および特開2006-281001号公報(特許文献2)には、カルシウムイオンを、pH調整剤とともに、リン酸イオンを含む原水に添加することで、原水中のリンをヒドロキシアパタイトとして晶析させて沈殿・分離除去する技術が記載されている。
また、リンを含む着色された汚水に対して、汚水が水酸化カルシウムと接触するための塩基処理槽を設け、塩基処理槽内のpHを可及的に高いアルカリ性に維持することで汚水処理を行う技術もある。
さらに、当該技術においては、汚水中に含まれる色素成分の除去を目的として、塩基処理槽内に、水酸化カルシウムに加えて、木炭、骨炭、珪藻土、カオリンのいずれかまたは複数を混合させることによって、色素成分を水酸化カルシウムに付着させることとは別個に、これら木炭、骨炭、珪藻土、カオリンにも色素成分を付着させることにより、色素成分の除去効率を高めている(特許文献3、4)。また、天然繊維のヤシを化学処理により改質して得た繊維体であるヤシ繊維の孔隙に、カルシウム化合物を担持させて成る水質浄化剤を用いて、リンを除去回収する技術もある(特許文献5)。
しかしながら、以上のリンの除去、回収に際しては、リン酸イオンに沈殿反応を起こさせるため、pHをアルカリ性に調整・維持する反応制御操作や、塩基処理槽等の特別の装置が必要である等の難点がある。また、このような難点を回避するために、簡素なリンの除去回収方法として、天然素材を化学処理により繊維体に改質したリン除去回収材によるリンの除去・回収技術も提案されているが、リン除去回収材の調製が煩雑であり製造コストもかかる上、リンの除去率も芳しくない。
例えば、上述した特許文献5のように、リン除去回収材の原料としてヤシ繊維を用いる場合には、ヤシの繊維体(ヤシ繊維)を得るために、硫酸処理し、高温乾燥処理し、その上で、繊維の形状を損なわない程度に炭化処理を行うという煩雑な一連の化学処理が要求される。また、当該ヤシ繊維の孔隙に担持させるカルシウム化合物には、平均粒径10nm〜10μmと言う極微細な粒度と、0.1μm〜100μmと言う極薄い付着厚さが要求される。さらに、このようにして得られたヤシ繊維から成るリン除去回収材は、溶液のpHが比較的低い領域(弱アルカリ性)でもリンの回収を可能としたものではあるが、それでもpH7.7という領域において未だ50%程度(特許文献5の表1参照)しかリンを回収できていない。
特開2004−321992号公報 特開2006−281001号公報 特開2004−276021号公報 登実3133004号公報 特開2001−47076号公報
本発明の目的は、畜産排液などの廃棄物から簡便にリンを除去、回収することができ、資源の有効活用や環境保全の観点からも有用な新しい技術を提供することにある。
本発明者は、竹または竹炭に少量のカルシウム化合物を担持させたものを用いることにより上記の目的が達成されることを見出し、本発明を導き出した。
かくして、本発明に従えば、竹または竹炭にカルシウム化合物を担持させてなることを特徴とするリンの除去回収材が提供される。
本発明に従えば、さらに、上記リンの除去回収材を、リンを含有する水溶液と接触させ、当該水溶液に含まれるリンを吸着除去する工程を含むことを特徴とするリンの吸着除去方法が提供される。
(a)水酸化カルシウムを担持させた竹炭のSEM写真、および(b)リン酸イオン含有水溶液に浸漬後(反応後)の竹炭のSEM写真を示す。 本発明に係るリンの除去回収材における反応前後の竹炭中のリンの含有量についての分析データを示す。 本発明に係るリンの除去回収材を用いて、リン酸イオンを含有するpH5.3、6.4、8.4の各排水(リン濃度60〜80ppm)に対して得られたリンの除去率の結果との関係を示す(実施例1)。 (a)pHが6.4のリン酸イオン含有水溶液に、1,2及び3重量%の各濃度の水酸化カルシウム水溶液(乳状)から調製した本発明に係る竹炭から成るリンの除去回収材を24時間浸漬して得られたリンの除去率を示す(実施例1)。(b)リン酸イオン含有水溶液に浸漬前のリンの除去回収材のSEM写真を示す。(c)リン酸イオン含有水溶液に浸漬後のリンの除去回収材のSEM写真を示す。 (a)pHが6.4のリン酸イオン含有水溶液に、1,3及び5重量%の各濃度の水酸化カルシウム水溶液(乳状)から調製した本発明に係る竹粉末から成るリンの除去回収材を空間速度(SV)=10h-1で接触させて得られたリンの除去率を示す(実施例3)。(b)pHが6.4のリン酸イオン含有水溶液に、1,3及び5重量%の各濃度の水酸化カルシウム水溶液(乳状)から調製した本発明に係る竹炭粉末から成るリンの除去回収材を空間速度(SV)=10h-1で接触させて得られたリンの除去率を示す(実施例4)。
本発明に従えば、リンを含有する水溶液(例えば、畜産排液)と、カルシウム化合物が担持した竹または竹炭を接触させることでリンを回収することができる。動物のし尿(屎尿)には、リン成分が含まれている。従って、本発明の対象とする特に好適なリンを含有する水溶液として、畜産排液(家畜糞尿)、トイレからのし尿や浄化槽汚泥を絞った後の液状成分である廃液などが挙げられる。
本発明で用いられる竹とは、伐採後に加熱や化学処理を行っていない生の状態の竹をいう。また、本発明で用いられる竹炭とは、加熱や乾燥等によって竹を炭化したものをいう。
本発明のリンの除去回収材を構成するのに用いられる竹または竹炭は、ヤシや木炭などの他の植物性多孔質炭化物に比べて、格別の追加的な処理を施すことなく、微細孔が多数存在して、その細孔や表面積が大きく、さらに、資源の有効活用および環境保全の観点からも、特に優れた材料である。竹または竹炭は、一般に、10〜30nm程度の細孔径を有し、10〜500m2/g程度の表面積を有するものが多い。
本発明のリンの除去回収材を構成するのに用いられるカルシウム化合物は、カルシウムを含む無機化合物であれば、溶解時に陰イオンが有害物質になるような無機化合物(例えば、CaF2)を除いて、特に限定されないが、入手のし易さや取り扱いの容易さから、水酸化カルシウムまたは炭酸カルシウムを用いることが好ましい。
竹または竹炭を用いる本発明のリンの除去回収材の利点の一つは、これらのカルシウム化合物として、特に、純度の高いものや粒径が極めて微細なもの(例えば、ナノオーダーやマイクロオーダー)でなくても、市販されているものをそのままの状態で使用することができることにある。
竹または竹炭にカルシウム化合物が担持されているリンの除去回収材を調製するには、除去回収材の原料となる竹または竹炭をカルシウム化合物の水溶液に浸漬することにより、竹または竹炭の表面および細孔内にカルシウム化合物を浸透、付着させる。 一般に、カルシウム化合物の水溶液の濃度が高い程、竹または竹炭に担持されるカルシウム化合物の量は多くなるが、カルシウム化合物の水溶液の濃度が高すぎても、担持されるカルシウム化合物の量には限界がある。
カルシウム化合物水溶液の濃度、および竹または竹炭に担持されるカルシウム化合物の量は、限定的なものではなく、リン除去の実施条件に応じて適宜選択されるが、例えば、1〜10重量%のカルシウム溶液に竹または竹炭を浸漬することによって、当該溶液に含有されるカルシウム化合物が竹または竹炭に担持されたものを用いることができる。
このようにして得られる本発明のリンの除去回収材は、pHが7を超えるアルカリ領域においては勿論のこと、中性領域から弱酸性の領域(一般にpH7〜5)においても効果的にリンを吸着して除去回収することができる点において、従来の天然素材を利用したリン除去回収材よりも格段に優れている(後述の実施例参照)。
本発明のリンの除去回収における主な反応としては、10Ca2++6PO4 3-+2OH-→Ca10(OH)2(PO4)6によるものである。本発明に係るリンの除去回収材に用いられる竹または竹炭は、従来のリン除去回収材(例えば、ヤシ繊維などを用いたもの)よりも微細度の高い細孔から形成され、その微細な細孔に、カルシウム化合物が、大量かつ強固に付着しているものと推察される。
そして、その大量かつ強固に付着したカルシウム化合物の存在によって、従来のように溶液のpHを7より大きいアルカリ性領域に調整・維持する必要がなく、効率良くリンが吸着されるものと推察される。すなわち、カルシウム化合物は水を加えると、カルシウム陽イオンが生成するとともに、カルシウム化合物(Ca(OH)2やCaCO3)がアルカリ性であるので、水酸化物イオン(OH-)が生成する。これらが廃液中の陰イオンHPO4 2-、PO4 3-と反応して、HAP(Ca10(OH)2(PO4)6)等を生成して、廃液中からリンが除去回収される。
上記の竹または竹炭から成るリンの除去回収材を調製する際には、原料となる竹または竹炭として竹廃材を使用することもできる。近年、里山では放置竹林の異常繁殖による農地や森林の被害が多く発生している。また、竹林整備の際に発生した間伐竹廃材の処理が課題となっている。本発明のリンの除去回収材に竹廃材を利用することは、竹林被害を減少させて環境を保全し資源の有効活用を図る点からも有用な技術を提供することになる。
本発明のリンの除去回収材は、特に、竹炭として製造され、または販売されているものを用いて、直接、調製することもできる。その場合にも、竹炭をカルシウム化合物の水溶液に浸漬させて、竹炭の表面および細孔内にカルシウム化合物を付着させることによって使用に供することができる。
本発明のリンの除去回収材は、竹炭を使用する場合には、生の竹よりも多孔度が高められることから、より多量のカルシウム陽イオン(Ca2+)が竹炭に付着することによって、上述したように、廃液中のリン酸イオン(例えば、HPO4 2-、PO4 3-)から主としてHAPが効率よく生成されることとなり、リンに対する高い吸着性が得られ、効率良くリン吸着(脱リン、リン回収)を実施することができる。しかし、本発明のリンの除去回収材は、生の竹をそのまま使用してもよく、この場合には、炭化等の製造工程が不要であることから、製造コストを抑えてリン吸着を実施することができる。
竹または竹炭にカルシウム化合物を担持させてなる本発明のリンの除去回収材において、竹または竹炭は粉末状または塊状体である。竹または竹炭が、粉末状として入手される場合には、そのままの体積や粒径(例えば、2〜4mmの粒径)で使用してもよいが、適当な大きさ(例えば、長さまたは径が0.5cm〜1m程度)に固めて、板状物、棒状物または球状物として、本発明に従う除去回収のための使用に供することもできる。
また、竹ブロックや竹炭ブロック等の塊状体として入手される場合には、粉末状の場合と同様に固めて使用することの他に、そのままの状態で、本発明に従う除去回収のための使用に供することもできる。ただし、好適には、竹または竹炭の粒径が小さい方がリンの回収率がよい。
以上のようにして得られた本発明のリンの除去回収材は、リンを含有する水溶液に接触させて、その水溶液に含まれるリンを吸着除去するのに供される。例えば、リンの除去回収材を適当な保持具(例えば、洗濯ネットや茶袋)に入れて、リンを含有する水溶液(畜産排液等)に投入するだけで、廃棄物に含有されているリンを除去回収することができる。別の手法として、リンの除去回収材(特に粉状物の場合)から成る充填層中に、リン含有水溶液を適当な空間速度で流通させることもできる。
このようにして、リンの除去回収材の細孔内および表面に吸着されたリン酸イオンが、当該除去回収材に予め担持されているカルシウム化合物と結合し、リン酸カルシウム化合物の結晶が形成され、リン含有水溶液(畜産排液等)からリンが除去される。この際、従来のリンの回収のように、天然素材のヤシを複数の化学処理によって改質してヤシ繊維を作成するという煩雑な作業や、pHをアルカリ性に調整・維持する反応制御操作や、塩基処理槽等の特別の装置は一切不要であり、天然素材である竹をそのまま、または炭化して利用することができる。
また、このような本発明のリンの吸着除去に伴って副次的に得られるリン酸カルシウム化合物の結晶としては、例えば、リン酸カルシウムCa3(PO4)2や、ハイドロキシアパタイト(HAP)とも称される水酸基を有するリン酸カルシウム(例えば、Ca10(OH)2(PO4)6(HAP))がある。
本発明のリンの除去回収材は、リン回収後に燃焼させることにより、竹または竹炭から燃焼エネルギーを獲得することができるとともに、燃焼後残渣となるCa3(PO4)2やHAPを複雑な分離工程も必要とせずに容易に回収することができる。
以下、本発明を実施例に沿って説明するが、本発明はこれらの実施例によって制限されるものではない。
(実施例1)
竹廃材からのリンの除去回収材の調製およびその検証
(1)調製
容器(内容積45L)に水酸化カルシウム(和光純薬(株)製)の3重量%水溶液を入れ、これに里山整備する際にできた竹廃材を炭化した竹炭を24時間浸漬した。竹廃材を容器から取り出し、室温で乾燥し、竹廃材から得られた竹炭から成るリンの除去回収材を調製した。
上記のようにして得られた竹炭から成るリンの除去回収材をほぼ5cm〜40cmの大きさに切断し、5000mLのリン酸イオンを含有する水溶液に24時間浸漬して、実験室規模での効果を検証した。
(2)SEM写真
図1に水酸化カルシウムを担持させた竹炭のSEM写真(a)、およびリン酸イオン含有水溶液に浸漬後(反応後)の竹炭のSEM写真(b)を示す。上記の水酸化カルシウムを担持させた竹炭は、水酸化カルシウム由来の結晶と考えられる白色部分が認められるとともに、多孔質性を呈していることが図1の(a)から理解される。これをリン酸イオン含有水溶液に浸漬した後は、図1の(b)に示すように、SEM観察すると、竹炭の表面にリン酸カルシウム化合物の結晶が付着していることが理解される。
(3)竹炭中のリンの含有量変化
また、本発明に係るリンの除去回収材における反応前後(リンの吸着前後)の竹炭中のリンの含有量についての分析データを図2(a)および(b)に示す。なお、本分析には、パーソナルイオンアナライザ(PIA1000、島津製作所製)を用いた。同図(a)から、本発明に係るリンの除去回収材は、竹炭中の電気伝導率の変化から、反応前後において竹炭中のリンの含有量が増加していることが確認された。
また、当該反応前後の本発明に係るリンの除去回収材に含まれるリンの変化量を同図(b)に示す。同図(b)から、反応前後でリンの濃度が、28.5[mg/1g-BC]から33.0[mg/1g-BC]に増加していた。このように、本発明の竹炭から成るリンの除去回収材は、溶液中のリン濃度を低減できることが確認された。
(4)溶液のpHに対する依存性
上記得られた本発明に係るリンの除去回収材を用いて、リン酸イオンを含有するpH5.3、6.4、8.4の各排水(リン濃度60〜80ppm)に対して、リンの除去回収を実施した。当該pHとリンの除去率の結果について、図3(a)及び(b)に示す。同図の結果から、本発明に係るリンの除去回収材は、リンの除去率が、特にpH8.4において90%を越えるという優れた除去性能を示した。
また、上述した特許文献5に記載のように、従来のリン除去回収材としてヤシ繊維を利用する場合では、リンの除去率は、pH7.7において50%程度にとどまっていたが、本発明に係るリンの除去回収材は、図3(b)の結果からpH7.7においてもリンの除去率が80%を越えている。さらに、pH7〜5の中性領域から弱酸性領域においてもリンを効果的に除去していることが認められる。このように、本発明のリン除去回収材は、従来のヤシ繊維などの天然素材を利用したリン除去回収材よりも格段に優れたリンの吸着性能が示された。
(5)水酸化カルシウム水溶液(乳状)の濃度に対する依存性
1,2及び3重量%の各濃度の水酸化カルシウム水溶液(乳状)に対して、上記手順に従い、竹炭から成るリンの除去回収材を調製した。各濃度の水溶液を用いて調整された竹炭から成るリンの除去回収材について、pHが6.4のリン酸イオン含有水溶液に24時間浸漬して得られたリンの除去率を図4(a)に示す。同図から、当該リンの除去回収材は、その水酸化カルシウム水溶液(乳状)の濃度が高くなるに従い、リンの除去率が高まっており、特に、水酸化カルシウム水溶液(乳状)の濃度が3重量%を越えた場合には、飛躍的にリンの除去率が高まっていることが確認された。
(実施例2)
炭酸カルシウム水溶液を用いたリンの除去回収材の調製およびその検証
上記の実施例1と同様の手順にて、上記の実施例1で用いた水酸化カルシウム水溶液(乳状)の代わりに、3重量%の炭酸カルシウムCaCO3水溶液を竹炭に浸漬し、竹炭から成るリンの除去回収材を得た。リン酸イオン含有水溶液に浸漬前のリンの除去回収材のSEM写真を図4(b)に示す。同図(b)により、竹炭に炭酸カルシウムCaCO3の結晶が付着していることが確認された。
また、リン酸イオン含有水溶液に浸漬後のリンの除去回収材のSEM写真を図4(c)に示す。同図(c)により、竹炭にHAPの結晶が付着していることが確認された。このように、本発明に係る竹炭から成るリンの除去回収材は、リン酸イオン含有水溶液に浸漬後にはHAPの結晶が認められたことから、竹炭に炭酸カルシウムCaCO3を担持させた場合においても、溶液中のリン酸イオンを除去回収できることが確認された。
(実施例3)
竹粉末からのリンの除去回収材の調製およびその検証
上記の実施例1と同様の手順にて、150mlの竹粉末(粒径2〜4mm、重量24g)を茶袋に詰めて、重量百分率濃度がそれぞれ1重量%、3重量%及び5重量%の水酸化カルシウム水溶液(乳状)90mLを加えた(竹粉末の空隙率は60%として、可及的にCa(OH)2が導入されるようにした)。竹粉末上に担持されたCa(OH)2の重量は、それぞれ、0.65g、2.31gと3.78gとなった。80ppm(pH6.3〜6.4)のリン溶液を用いて、空間速度(SV)=10h-1(単位時間当たり竹粉末体積の約10倍の流量)で脱リン実験を行った(実験後のpHは7.0〜7.5)。その結果を図5(a)に示す。図5(a)の結果から、炭化しない竹粉末を用いた場合でも、脱リン効果が得られることが確認された。
(実施例4)
竹炭粉末からのリンの除去回収材の調製およびその検証
上記の実施例1と同様の手順にて、市販の竹炭(立花バンブー株式会社製、商品名:夢竹炭)を使って、竹炭粉末(粒径2〜4mm、重量24g)を作成し、この竹炭粉末150mlを茶袋に詰めて、重量百分率濃度がそれぞれ1重量%、3重量%及び5重量%の水酸化カルシウム水溶液(乳状)90mLを加えた(竹炭粉末の空隙率は60%として、可及的にCa(OH)2が導入されるようにした)。竹炭粉末上に担持されたCa(OH)2の重量は、それぞれ、0.74g、2.59gと4.45gとなった。80ppm(pH6.3〜6.4)のリン溶液を用いて、空間速度(SV)=10h-1(単位時間当たり竹粉末体積の約10倍の流量)で脱リン実験を行った(実験後のpHは7.0〜7.5)。その結果を図5(b)に示す。

Claims (5)

  1. 竹または竹炭にカルシウム化合物を担持させてなることを特徴とするリンの除去回収材。
  2. 竹または竹炭が、粉末状または塊状体であることを特徴とする請求項1に記載のリンの除去回収材。
  3. カルシウム化合物が水酸化カルシウムまたは炭酸カルシウムであることを特徴とする請求項1または2に記載のリンの除去回収材。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のリンの除去回収材を、リンを含有する水溶液中に接触させ、当該水溶液に含まれるリンを吸着除去する工程を含むことを特徴とするリンの吸着除去方法。
  5. リンを含有する水溶液が、中性から弱酸性のpHを有するものであることを特徴とする請求項4に記載のリンの吸着除去方法。
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