JP2005238851A - 化粧板積層用印刷樹脂フィルム及びそれを積層した化粧板 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】接着樹脂層10、印刷下地となる変性ポリブチレンテレフタレート樹脂等からなる基材樹脂層4、絵柄印刷層5bとベタ印刷層5aからなる印刷層5、その上に選択的にエンボス加工が施される表面保護層6、その上に選択的に施される艶調整層8を、順次積層して化粧板積層用印刷樹脂フィルム1を作製する。この化粧板積層用印刷樹脂フィルムを、木質板、ボード、金属板などの基板2に張り合わせて化粧板9とする。
【選択図】図1
Description
しかしながら、上記(1)の化粧フィルムを積層した化粧板は、化粧フィルムの強度が不十分であるため、Vカット加工などを施す場合、加工時に化粧フィルムが割れたり、コーナー部のインキが剥離し易いという問題があり、Vカット加工などを施す用途には適していない。(2)の化粧フィルムを積層した化粧板は、耐汚染性、耐溶剤性などの表面物性には優れているが、表面フィルムの柔軟性に乏しく、軟化温度が高いためエンボス加工を施す場合、エンボスが入り難い。(3)の化粧フィルムを積層した化粧板は、ポリ塩化ビニルフィルムが用いられているため、耐汚染性、耐溶剤性などの表面物性が劣り、また焼却して廃棄処理する際に、塩化水素ガスのような有毒ガスおよびそれに起因する有害物質が発生して環境を汚染したり、焼却する際に焼却炉を傷めたりするおそれがあるなどの問題を抱えている。
本発明は上記の問題を解決することを目的として、従来のポリ塩化ビニル樹脂フィルムを用いた化粧シートと同等以上の意匠性に優れた絵柄模様を有し、耐汚染性、耐溶剤性などの表面物性に優れた化粧板積層用印刷樹脂フィルムおよびその樹脂フィルムを積層した化粧板を提供することを課題とする。
接着樹脂層、イソフタル酸の共重合比が2〜20モル%である変性ポリブチレンテレフタレート樹脂からなる基材樹脂層、印刷層、表面保護層が順次積層された化粧フィルムであって、
前記表面保護層が2軸延伸ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、変性ポリブチレンテレフタレート樹脂又はポリブチレンテレフタレート樹脂と変性ポリブチレンテレフタレート樹脂からなり、
前記印刷層が前記基材樹脂層の全面に設けられてなることを特徴とする。
請求項2に記載の化粧板積層用印刷樹脂フィルムは、
接着樹脂層、イソフタル酸の共重合比が2〜20モル%である変性ポリブチレンテレフタレート樹脂とポリブチレンテレフタレート樹脂の2層からなり、その層厚比が1:9〜9:1である基材樹脂層、印刷層、表面保護層が順次積層された化粧フィルムであって、
前記表面保護層が2軸延伸ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、変性ポリブチレンテレフタレート樹脂又はポリブチレンテレフタレート樹脂と変性ポリブチレンテレフタレート樹脂からなり、
前記印刷層が前記基材樹脂層の全面に設けられてなることを特徴とする。
請求項3に記載の化粧板積層用印刷樹脂フィルムは、
接着樹脂層、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)とイソフタル酸の共重合比が2〜20モル%である変性ポリブチレンテレフタレート樹脂(変性PBT)のブレンド樹脂からなり、その混合比PBT/変性PBTが95/5〜40/60重量%である基材樹脂層、印刷層、表面保護層が順次積層された化粧フィルムであって、
前記表面保護層が2軸延伸ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、変性ポリブチレンテレフタレート樹脂又はポリブチレンテレフタレート樹脂と変性ポリブチレンテレフタレート樹脂からなり、
前記印刷層が前記基材樹脂層の全面に設けられてなることを特徴とする。
請求項4に記載の化粧板積層用印刷樹脂フィルムは、
イソフタル酸の共重合比が2〜20モル%である変性ポリブチレンテレフタレート樹脂とポリブチレンテレフタレート樹脂の2層からなり、その層厚比が1:9〜9:1である基材樹脂層、印刷層、表面保護層が下から順次積層された化粧フィルムであって、
前記表面保護層が2軸延伸ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、変性ポリブチレンテレフタレート樹脂又はポリブチレンテレフタレート樹脂と変性ポリブチレンテレフタレート樹脂からなり、
前記印刷層が前記基材樹脂層の全面に設けられてなることを特徴とする。
請求項5に記載の化粧板積層用印刷樹脂フィルムは、
ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)とイソフタル酸の共重合比が2〜20モル%である変性ポリブチレンテレフタレート樹脂(変性PBT)のブレンド樹脂からなり、その混合比PBT/変性PBTが95/5〜40/60重量%である基材樹脂層、印刷層、表面保護層が下から順次積層された化粧フィルムであって、
前記表面保護層が2軸延伸ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、変性ポリブチレンテレフタレート樹脂又はポリブチレンテレフタレート樹脂と変性ポリブチレンテレフタレート樹脂からなり、
前記印刷層が前記基材樹脂層の全面に設けられてなることを特徴とする。
請求項6に記載の化粧板積層用印刷樹脂フィルムは、請求項1〜5のいずれかにおいて、
前記印刷層が、絵柄印刷層である上層と、前記基材樹脂層全面を隠蔽し、かつ前記絵柄印刷層の印刷下地色を付与するベタ印刷層である下層とからなることを特徴とする。
請求項7に記載の化粧板積層用印刷樹脂フィルムは、請求項1〜5のいずれかにおいて、
前記印刷層が、絵柄印刷層からなることを特徴とする。
請求項8に記載の化粧板積層用印刷樹脂フィルムは、請求項1〜5のいずれかにおいて、
前記表面保護層がポリエステル樹脂からなることを特徴とする。
請求項9に記載の化粧板積層用印刷樹脂フィルムは、請求項8において、
前記ポリエステル樹脂がポリブチレンテレフタレート樹脂であることを特徴とする。
請求項10に記載の化粧板積層用印刷樹脂フィルムは、請求項8または9において、
前記表面保護層にエンボス加工が施されたことを特徴とする。
請求項11に記載の化粧板積層用印刷樹脂フィルムは、請求項1〜5、8または10のいずれかにおいて、
前記表面保護層の上にさらに艶調整層を設けたことを特徴とする。
請求項12に記載の化粧板積層用印刷樹脂フィルムは、請求項2〜5のいずれかにおいて、
前記ポリブチレンテレフタレート樹脂の固有粘度IV値が1.0〜2.0であることを特徴とする。
請求項13に記載の化粧板積層用印刷樹脂フィルムは、請求項1〜3のいずれかにおいて、
前記接着樹脂層が、イソフタル酸の共重合比が2〜20モル%である変性ポリエチレンテレフタレート樹脂からなることを特徴とする。
本発明の請求項14に記載の化粧板は、
樹脂フィルムを積層する基板の少なくとも片面に、請求項1〜13のいずれかに記載の化粧板積層用印刷樹脂フィルムを積層したことを特徴とする。
請求項15に記載の化粧板は、請求項14において、
前記基板と前記化粧板積層用印刷樹脂フィルムの間に接着剤層を介して積層したことを特徴とする。
請求項16に記載の化粧板は、請求項14または15において、
前記基板が金属板であることを特徴とする。
請求項17に記載の化粧板は、請求項14または15において、
前記基板が木質板であることを特徴とする。
請求項18に記載の化粧板は、請求項14または15において、
前記基板がボードであることを特徴とする。
また、表面保護層に変性ポリブチレンテレフタレートフィルムあるいは、ポリブチレンテレフタレート樹脂と変性ポリブチレンテレフタレート樹脂のブレンド樹脂などのポリエステルフィルムを用い、それに印刷層を形成し、基材樹脂層を省略してもよい。さらに、上記の樹脂フィルムを金属板、合板、ボードなどに積層した化粧板は、樹脂フィルムの上記の優れたフィルム物性に加えて、意匠性にも優れていることを見出した。
1は化粧板積層用印刷樹脂フィルム、2は基板、3は接着剤層、4は基材樹脂層、5は印刷層、5aはベタ印刷層、5bは絵柄印刷層、6は表面保護層、7はエンボス凹部、8は艶調整層、9は化粧板、10は接着樹脂層をそれぞれ表している。
本発明の化粧板積層用印刷樹脂フィルム1は、図1に示すように接着樹脂層10の上面に、基材樹脂層4、ベタ印刷層5a、絵柄印刷層5bよりなる印刷層5が設けられ、該印刷層5の上面に、表面保護層6が積層されており、ベタ印刷層5a、絵柄印刷層5bよりなる印刷層5を設けた基材樹脂層4の印刷層5と表面保護層6は、熱接着によって積層される。
また、本発明の化粧板積層用印刷樹脂フィルム1は、図2に示すように化粧板積層用印刷樹脂フィルム1の表面保護層6として、表面にエンボス加工を施した表面保護層6を用いてもよい。
図4は、図2に示した化粧板積層用印刷樹脂フィルム1を、接着剤層3を介して基板2に積層した化粧板9を示す。図5は、図3に示した化粧板積層用印刷樹脂フィルム1を、接着剤層3を介して基板2に積層した化粧板9を示す。
また、基材樹脂層4は押出機を用いて製膜する際に、着色顔料を混練して着色樹脂層としてもよい。
そして、図1に示す本発明の化粧板積層用印刷樹脂フィルム1は、次のようにして作成することができる。すなわち、基材樹脂層4上面の印刷層5の上面に表面保護層6の下面を重ね合わせ、基材樹脂層4と表面保護層6を重ね合せたまま1対の熱ロール間に通して挟み付けて圧着するとともに熱融着して積層し、一枚の積層フィルムを製造する。加熱しながら加圧することにより、表面保護層6を基材樹脂層4の印刷層面5に融着して一枚の化粧板積層用印刷樹脂フィルム1を作るものである。
(実施例1)
市販の固有粘度IV=1.4のポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT、ポリプラスチックス製)とイソフタル酸11モル%共重合ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT/I11、ポリプラスチックス製)を用いて共押出製膜機により作成した厚さ100μm(構成:PBT=90μm、PBT/I11=10μm)の未延伸2層フィルムの片面に、ニトロセルロース―アルキド系インキ(昭和インク製)を用い、着色ベタ印刷層および絵柄印刷層をグラビア輪転機によりインラインにて印刷した。次いで厚さ25μmの透明二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人製)と、上記の印刷を施したポリブチレンテレフタレートフィルムの絵柄印刷層面とを重ねて、圧着用ロールの加熱温度:200℃、樹脂フィルムの送り速度:20m/min、圧着用ロールのニップ圧:25kgf/cm2の条件で両フィルムを加熱圧着して積層し、化粧板積層用印刷樹脂フィルムを作製した。次に、厚さ0.5mmの電気亜鉛めっき鋼板にポリエステル系接着剤を5g/m2の塗布量で塗布し、前記の化粧板積層用印刷樹脂フィルムを加熱温度:210℃、接着圧力:15kgf/cm2、圧着時間:5秒の条件で加熱圧着し、化粧板を得た。
市販の固有粘度IV=1.0のポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT、ポリプラスチックス製)とイソフタル酸11モル%共重合ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT/I11、ポリプラスチックス製)を用いて共押出製膜機により作成した厚さ100μm(構成:PBT=90μm、PBT/I11=10μm)の未延伸2層フィルムの片面に実施例1と同様にして印刷し、その絵柄印刷層面と市販の固有粘度IV=1.0であるポリブチレンテレフタレート樹脂を用いて押し出し製膜機により作成した厚さ25μmの透明ポリブチレンテレフタレートフィルムとを対向させ、実施例1の加熱圧着による積層条件と同条件にて透明ポリブチレンテレフタレートフィルム面をエンボスロール側として、エンボスロールとシリコンゴムロールからなる圧着用ロールの間に通して圧着することにより、透明ポリブチレンテレフタレートフィルム表面にエンボス凹部を有する化粧板積層用印刷樹脂フィルムを作製した。さらに、この化粧板積層用印刷樹脂フィルムのエンボス加工面に、2液硬化型ウレタン系艶調整用塗料(昭和インク製)を版深30μmのグラビアロールにてコートし、意匠性に優れた化粧フィルムを作製した。次に、厚さ6mmの木材合板にポリウレタン系接着剤を50g/m2の塗布量で塗布し、前記化粧板積層用印刷樹脂フィルムを加熱温度:160℃、接着圧力:15kgf/cm2、圧着時間:15秒の条件で加熱圧着し、化粧板を得た。
市販の固有粘度IV=2.0のポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT、ポリプラスチックス製)とイソフタル酸11モル%共重合ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT/I11、ポリプラスチックス製)を用いて共押出製膜機により作成した厚さ100μm(構成:PBT=90μm、PBT/I11=10μm)の未延伸2層フィルムの片面に実施例1と同様にして印刷し、その絵柄印刷層面と市販の固有粘度IV=2.0であるポリブチレンテレフタレート樹脂を用いて押出製膜機により作成した厚さ25μmの透明ポリブチレンテレフタレートフィルムとを対向させ、実施例1の加熱圧着による積層条件と同条件にて透明ポリブチレンテレフタレートフィルム面をエンボスロール側として、エンボスロールとシリコンゴムロールからなる圧着用ロールの間に通して圧着することにより、透明ポリブチレンテレフタレートフィルム表面にエンボス凹部を有する化粧板積層用印刷樹脂フィルムを作製した。さらに、この化粧板積層用印刷樹脂フィルムのエンボス加工面に、実施例2と同様にして艶調整用塗料を塗布し、意匠性に優れた化粧フィルムを作製した。次に、厚さ8mmの石膏ボードにポリウレタン系接着剤を80g/m2の塗布量で塗布し、前記化粧板積層用印刷樹脂フィルムを加熱温度:180℃、接着圧力:15kgf/cm2、圧着時間:20秒の条件で加熱圧着し、化粧板を得た。
実施例4〜8では、実施例2、3と同様に、市販の固有粘度IV=1.4であるポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT、ポリプラスチックス製)とイソフタル酸共重合ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT/I、ポリプラスチックス製)を用いて共押出製膜機により作成した厚さ100μmの未延伸2層フィルムの片面に実施例1と同様にして印刷し、その絵柄印刷層面と市販の固有粘度IV=1.4であるポリブチレンテレフタレート樹脂を用いて押出製膜機により作成した厚さ25μmの透明ポリブチレンテレフタレートフィルムとを対向させ、実施例1の加熱圧着による積層条件と同条件にて透明ポリブチレンテレフタレートフィルム面をエンボスロール側として、エンボスロールとシリコンゴムロールからなる圧着用ロールの間に通して圧着することにより、透明ポリブチレンテレフタレートフィルム表面にエンボス凹部を有する化粧板積層用印刷樹脂フィルムを作製した。さらに、この化粧板積層用印刷樹脂フィルムのエンボス加工面に、実施例2と同様にして艶調整用塗料を塗布し、意匠性に優れた化粧フィルムを作製した。次に、実施例1と同じ条件で、電気亜鉛めっき鋼板に前記の化粧板積層用印刷樹脂フィルムを加熱圧着し、化粧板を得た。
実施例9〜11では、市販のイソフタル酸共重合ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT/I、ポリプラスチックス製)を用いて押出製膜機により作成した厚さ100μmの未延伸フィルムの片面に実施例1と同様にして印刷し、その絵柄印刷層面と市販の固有粘度IV=1.4であるポリブチレンテレフタレート樹脂を用いて押出製膜機により作成した厚さ25μmの透明ポリブチレンテレフタレートフィルムとを対向させ、実施例1の加熱圧着による積層条件と同条件にて透明ポリブチレンテレフタレートフィルム面をエンボスロール側として、エンボスロールとシリコンゴムロールからなる圧着用ロールの間に通して圧着することにより、透明ポリブチレンテレフタレートフィルム表面にエンボス凹部を有する化粧板積層用印刷樹脂フィルムを作製した。さらに、この化粧板積層用印刷樹脂フィルムのエンボス加工面に、実施例2と同様にして艶調整用塗料を塗布し、意匠性に優れた化粧フィルムを作製した。
なお、実施例9は、未延伸フィルムのPBT/Iのイソフタル酸共重合比が2モル%であり、実施例10は、未延伸フィルムのPBT/Iのイソフタル酸共重合比が11モル%であり、実施例11は、未延伸フィルムのPBT/Iのイソフタル酸共重合比が20モル%である。
実施例12〜16では、市販のポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT、ポリプラスチックス製)にイソフタル酸共重合ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT/I、ポリプラスチックス製)をブレンドした樹脂を用いて押出製膜機により作成した厚さ100μmの未延伸フィルムの片面に実施例1と同様にして印刷し、その絵柄印刷層面と市販の固有粘度IV=1.4であるポリブチレンテレフタレート樹脂を用いて押出製膜機により作成した厚さ25μmの透明ポリブチレンテレフタレートフィルムとを対向させ、実施例1の加熱圧着による積層条件と同条件にて透明ポリブチレンテレフタレートフィルム面をエンボスロール側として、エンボスロールとシリコンゴムロールからなる圧着用ロールの間に通して圧着することにより、透明ポリブチレンテレフタレートフィルム表面にエンボス凹部を有する化粧板積層用印刷樹脂フィルムを作製した。さらに、この化粧板積層用印刷樹脂フィルムのエンボス加工面に、実施例2と同様にして艶調整用塗料を塗布し、意匠性に優れた化粧フィルムを作製した。次に、実施例1と同じ条件で、電気亜鉛めっき鋼板に前記の化粧板積層用印刷樹脂フィルムを加熱圧着し、化粧板を得た。
なお、実施例12は、未延伸フィルムにおけるブレンドしたPBT/Iのイソフタル酸共重合比が11モル%で、その添加量が5重量%である。実施例13は、未延伸フィルムにおけるブレンドしたPBT/Iのイソフタル酸共重合比が11モル%で、その添加量が30重量%である。実施例14は、未延伸フィルムにおけるブレンドしたPBT/Iのイソフタル酸共重合比が2モル%で、その添加量が30重量%である。実施例15は、未延伸フィルムにおけるブレンドしたPBT/Iのイソフタル酸共重合比が20モル%で、その添加量が30重量%である。実施例16は、未延伸フィルムにおけるブレンドしたPBT/Iのイソフタル酸共重合比が11モル%で、その添加量が60重量%である。
実施例17〜21では、市販のポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT、ポリプラスチックス製)にイソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET/I、帝人製)をブレンドした樹脂を用いて押出製膜機により作成した厚さ100μmの未延伸フィルムの片面に実施例1と同様にして印刷し、その絵柄印刷層面と市販の固有粘度IV=1.4であるポリブチレンテレフタレート樹脂を用いて押出製膜機により作成した厚さ25μmの透明ポリブチレンテレフタレートフィルムとを対向させ、実施例1の加熱圧着による積層条件と同条件にて透明ポリブチレンテレフタレートフィルム面をエンボスロール側として、エンボスロールとシリコンゴムロールからなる圧着用ロールの間に通して圧着することにより、透明ポリブチレンテレフタレートフィルム表面にエンボス凹部を有する化粧板積層用印刷樹脂フィルムを作製した。
さらに、この化粧板積層用印刷樹脂フィルムのエンボス加工面に、実施例2と同様にして艶調整用塗料を塗布し、意匠性に優れた化粧フィルムを作製した。次に、実施例1と同じ条件で、電気亜鉛めっき鋼板に前記の化粧板積層用印刷樹脂フィルムを加熱圧着し、化粧板を得た。なお、実施例17は、未延伸フィルムにおけるブレンドしたPET/Iのイソフタル酸共重合比が11モル%で、その添加量が5重量%である。実施例18は、未延伸フィルムにおけるブレンドしたPET/Iのイソフタル酸共重合比が11モル%で、その添加量が30重量%である。実施例19は、未延伸フィルムにおけるブレンドしたPET/Iのイソフタル酸共重合比が2モル%で、その添加量が30重量%である。実施例20は、未延伸フィルムにおけるブレンドしたPET/Iのイソフタル酸共重合比が20モル%で、その添加量が30重量%である。実施例21は、未延伸フィルムにおけるブレンドしたPET/Iのイソフタル酸共重合比が11モル%で、その添加量が60重量%である。
実施例22〜27では、市販のポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT、ポリプラスチックス製)にポリエチレンテレフタレート樹脂(PET、帝人製)もしくはポリカーボネート樹脂(PC、帝人製)をブレンドした樹脂を用いて押出製膜機により作成した厚さ100μmの未延伸フィルムの片面に実施例1と同様にして印刷し、その絵柄印刷層面と市販の固有粘度IV=1.4であるポリブチレンテレフタレート樹脂を用いて押出製膜機により作成した厚さ25μmの透明ポリブチレンテレフタレートフィルムとを対向させ、実施例1の加熱圧着による積層条件と同条件にて透明ポリブチレンテレフタレートフィルム面をエンボスロール側として、エンボスロールとシリコンゴムロールからなる圧着用ロールの間に通して圧着することにより、透明ポリブチレンテレフタレートフィルム表面にエンボス凹部を有する化粧板積層用印刷樹脂フィルムを作製した。さらに、この化粧板積層用印刷樹脂フィルムのエンボス加工面に、実施例2と同様にして艶調整用塗料を塗布し、意匠性に優れた化粧フィルムを作製した。次に、実施例1と同じ条件で、電気亜鉛めっき鋼板に前記の化粧板積層用印刷樹脂フィルムを加熱圧着し、化粧板を得た。なお、実施例22は、未延伸フィルムにおけるPBTにブレンドした樹脂がPETで、その添加量が2重量%である。実施例23は、未延伸フィルムにおけるPBTにブレンドした樹脂がPETで、その添加量が20重量%である。実施例24は、未延伸フィルムにおけるPBTにブレンドした樹脂がPETで、その添加量が50重量%である。実施例25は、未延伸フィルムにおけるPBTにブレンドした樹脂がPCで、その添加量が5重量%である。実施例26は、未延伸フィルムにおけるPBTにブレンドした樹脂がPCで、その添加量が30重量%である。実施例27は、未延伸フィルムにおけるPBTにブレンドした樹脂がPCで、その添加量が70重量%である。
実施例28〜33では、市販のイソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET/I、帝人製)、固有粘度IV=1.4のポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT、ポリプラスチックス製)およびイソフタル酸11モル%共重合ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT/I11、ポリプラスチックス製)を用いて3層共押出製膜機により作成した厚さ120μm(構成:PET/I=20μm、PBT=90μm、PBT/I11=10μm)の未延伸3層フィルムの片面に、ニトロセルロース―アルキド系インキ(昭和インク製)を用い、着色ベタ印刷層および絵柄印刷層をグラビア輪転機によりインラインにて印刷した。次いで厚さ25μmの透明二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人製)と、上記の印刷を施したポリブチレンテレフタレートフィルムの絵柄印刷層面とを重ねて、圧着用ロールの加熱温度:200℃、樹脂フィルムの送り速度:20m/min、圧着用ロールのニップ圧:25kgf/cm2の条件で両フィルムを加熱圧着して積層し、化粧板積層用印刷樹脂フィルムを作製した。次に、実施例1と同じ条件で、電気亜鉛めっき鋼板に前記の化粧板積層用印刷樹脂フィルムを加熱圧着し、化粧板を得た。なお、実施例28は、未延伸フィルムにおけるPET/Iのイソフタル酸共重合比が2モル%である。実施例29は、未延伸フィルムにおけるPET/Iのイソフタル酸共重合比が11モル%である。実施例30は、未延伸フィルムにおけるPET/Iのイソフタル酸共重合比が20モル%である。実施例31は、未延伸フィルムにおけるPET/Iのイソフタル酸共重合比が11モル%であり、さらにアイオノマー樹脂を1重量%添加した場合である。実施例32は、未延伸フィルムにおけるPET/Iのイソフタル酸共重合比が11モル%で、さらにアイオノマー樹脂を10重量%添加した場合である。実施例33は、未延伸フィルムにおけるPET/Iのイソフタル酸共重合比が11モル%で、さらにアイオノマー樹脂を50重量%添加した場合である。
実施例34〜35では、イソフタル酸11モル%共重合ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT/I11、ポリプラスチックス製)、もしくはPBTにPBT/I11をブレンドした樹脂を用いて押出製膜機により作成した厚さ100μmの未延伸フィルムをエンボスロールとシリコンゴムロールからなる圧着用ロールの間に通して、フィルム表面にエンボス凹部を有するフィルムを作製した。この未延伸フィルムの片面に、ニトロセルロース―アルキド系インキ(昭和インク製)を用い、絵柄印刷層および着色ベタ印刷層をグラビア輪転機によりインラインにて裏印刷し、化粧板積層用印刷樹脂フィルムを作製した。さらに、この化粧板積層用印刷樹脂フィルムのエンボス加工面に、2液硬化型ウレタン系艶調整用塗料(昭和インク製)を版深30μmのグラビアロールにてコートし、意匠性に優れた化粧フィルムを作製した。次に、実施例1と同じ条件で、電気亜鉛めっき鋼板に前記の化粧板積層用印刷樹脂フィルムを加熱圧着し、化粧板を得た。なお、実施例34は、未延伸フィルムがPBT/I11である。実施例35は、未延伸フィルムが、PBTにPBT/I11を30重量%ブレンドした樹脂である。これらの樹脂フィルムの樹脂構成を表1〜表3に示す。
実施例1〜35で作成した化粧板を、下記の特性について評価した。
(耐汚染性)
実施例1〜35で作成した化粧板の最表層の樹脂フィルム面に、黒色の油性マジックインキ(登録商標、以下同じ)で描画し24時間放置した後、エタノールを含浸させた布で清拭し、樹脂フィルム面に残存するマジックインキの程度を肉眼観察し、下記の基準で評価した。
◎:マジックインキは全く認められない。
○:実用上問題ない程度の極くわずかなマジックインキの残存が認められる。
△:実用上問題となる程度のわずかなマジックインキの残存が認められる。
×:かなりの程度にマジックインキの残存が認められる。
実施例1〜35で作成した化粧板の最表層の樹脂フィルム面に、メチルエチルケトンを含浸させたスポンジを載せ、24時間放置した後、フィルム表面の変色および膨れの発生の程度を肉眼観察し、下記の基準で評価した。
◎:変色および膨れの発生は全く認められない。
○:実用上問題ない程度の極くわずかな変色または膨れの発生が認められる。
△:実用上問題となる程度のわずかな変色または膨れの発生が認められる。
×:かなりの程度に変色および膨れが認められる。
本発明の化粧板を高温多湿の状態で長時間経時させた場合(例えばユニットバスの内装材として用いた場合など)を想定し、長時間水と接した場合の樹脂フィルムの耐水劣化性をデュポン衝撃試験法で評価した。実施例1〜35で作成した化粧板積層用印刷樹脂フィルムを、厚さ0.5mmの電気亜鉛めっき鋼板に積層し試験片とした。この試験片を60mm×60mmの大きさに切り出し、38±2℃の温度に保持された脱塩水中に1カ月間浸漬した後室温で乾燥し、デュポン衝撃試験機を用い、JIS K 5400に準拠した条件(衝撃部の大きさ1/2inchφ、重さ1kg、落下高さ50cm)で衝撃を負荷した。衝撃を負荷した後の樹脂フィルムの状態を肉眼観察し、下記の5段階で評価した。
◎:樹脂フィルムに割れが認められない。
○:樹脂フィルムの一部に細かい割れが認められる。
△:樹脂フィルムの加工部全体に細かい割れが認められる。
×:樹脂フィルムの加工部全体に大きな割れが認められる。
××:樹脂フィルム全体に割れが著しい。
上記の評点において、◎および○は使用上の問題はない。なお、この試験は10枚の試験片について実施した。これらの樹脂フィルムの特性評価を表4に示す。
また、従来のポリ塩化ビニル樹脂フィルムと同様の製造方法で化粧フィルムが得られるために、新規設備の増設や設備の改造などの設備投資を必要とせず、従来のポリ塩化ビニル樹脂フィルムと同様の、印刷柄とエンボス柄が同調した意匠性に優れた絵柄模様を表現することができる。
さらに、基材樹脂層や表面保護層を構成する樹脂中に可塑剤を含有していないために、可塑剤のブリードによる表面汚染などの問題が生じることなく、耐汚染性、耐溶剤性、耐水性などの表面物性に優れている。
またさらに、焼却廃棄する際に、塩化水素ガスのような有毒ガスの発生がないため、環境を汚染する心配もなく環境保全性においても優れている。
2:基板
3:接着剤層
4:基材樹脂層
5:印刷層
5a:ベタ印刷層
5b:絵柄印刷層
6:表面保護層
7:エンボス凹部
8:艶調整層
9:化粧板
10:接着樹脂層
Claims (18)
- 接着樹脂層、イソフタル酸の共重合比が2〜20モル%である変性ポリブチレンテレフタレート樹脂からなる基材樹脂層、印刷層、表面保護層が順次積層された化粧フィルムであって、
前記表面保護層が2軸延伸ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、変性ポリブチレンテレフタレート樹脂又はポリブチレンテレフタレート樹脂と変性ポリブチレンテレフタレート樹脂からなり、
前記印刷層が前記基材樹脂層の全面に設けられてなる化粧板積層用印刷樹脂フィルム。 - 接着樹脂層、イソフタル酸の共重合比が2〜20モル%である変性ポリブチレンテレフタレート樹脂とポリブチレンテレフタレート樹脂の2層からなり、その層厚比が1:9〜9:1である基材樹脂層、印刷層、表面保護層が順次積層された化粧フィルムであって、
前記表面保護層が2軸延伸ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、変性ポリブチレンテレフタレート樹脂又はポリブチレンテレフタレート樹脂と変性ポリブチレンテレフタレート樹脂からなり、
前記印刷層が前記基材樹脂層の全面に設けられてなる化粧板積層用印刷樹脂フィルム。 - 接着樹脂層、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)とイソフタル酸の共重合比が2〜20モル%である変性ポリブチレンテレフタレート樹脂(変性PBT)のブレンド樹脂からなり、その混合比PBT/変性PBTが95/5〜40/60重量%である基材樹脂層、印刷層、表面保護層が順次積層された化粧フィルムであって、
前記表面保護層が2軸延伸ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、変性ポリブチレンテレフタレート樹脂又はポリブチレンテレフタレート樹脂と変性ポリブチレンテレフタレート樹脂からなり、
前記印刷層が前記基材樹脂層の全面に設けられてなる化粧板積層用印刷樹脂フィルム。 - イソフタル酸の共重合比が2〜20モル%である変性ポリブチレンテレフタレート樹脂とポリブチレンテレフタレート樹脂の2層からなり、その層厚比が1:9〜9:1である基材樹脂層、印刷層、表面保護層が下から順次積層された化粧フィルムであって、
前記表面保護層が2軸延伸ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、変性ポリブチレンテレフタレート樹脂又はポリブチレンテレフタレート樹脂と変性ポリブチレンテレフタレート樹脂からなり、
前記印刷層が前記基材樹脂層の全面に設けられてなる化粧板積層用印刷樹脂フィルム。 - ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)とイソフタル酸の共重合比が2〜20モル%である変性ポリブチレンテレフタレート樹脂(変性PBT)のブレンド樹脂からなり、その混合比PBT/変性PBTが95/5〜40/60重量%である基材樹脂層、印刷層、表面保護層が下から順次積層された化粧フィルムであって、
前記表面保護層が2軸延伸ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、変性ポリブチレンテレフタレート樹脂又はポリブチレンテレフタレート樹脂と変性ポリブチレンテレフタレート樹脂からなり、
前記印刷層が前記基材樹脂層の全面に設けられてなる化粧板積層用印刷樹脂フィルム。 - 前記印刷層が、絵柄印刷層である上層と、前記基材樹脂層全面を隠蔽し、かつ前記絵柄印刷層の印刷下地色を付与するベタ印刷層である下層とからなる、請求項1〜5のいずれかに記載の化粧板積層用印刷樹脂フィルム。
- 前記印刷層が、絵柄印刷層からなる、請求項1〜5のいずれかに記載の化粧板積層用印刷樹脂フィルム。
- 前記表面保護層がポリエステル樹脂からなる、請求項1〜5のいずれかに記載の化粧板積層用印刷樹脂フィルム。
- 前記ポリエステル樹脂がポリブチレンテレフタレート樹脂である、請求項8に記載の化粧板積層用印刷樹脂フィルム。
- 前記表面保護層にエンボス加工が施された、請求項8または9に記載の化粧板積層用印刷樹脂フィルム。
- 前記表面保護層の上にさらに艶調整層を設けた、請求項1〜5、8または10のいずれかに記載の化粧板積層用印刷樹脂フィルム。
- 前記ポリブチレンテレフタレート樹脂は、固有粘度IV値が1.0〜2.0であることを特徴とする、請求項2〜5のいずれかに記載の化粧板積層用印刷樹脂フィルム。
- 前記接着樹脂層が、イソフタル酸の共重合比が2〜20モル%である変性ポリエチレンテレフタレート樹脂からなる、請求項1〜3のいずれかに記載の化粧板積層用印刷樹脂フィルム。
- 樹脂フィルムを積層する基板の少なくとも片面に、請求項1〜13のいずれかに記載の化粧板積層用印刷樹脂フィルムを積層した化粧板。
- 前記基板と前記化粧板積層用印刷樹脂フィルムの間に接着剤層を介して積層した、請求項14に記載の化粧板。
- 前記基板が金属板である、請求項14または15に記載の化粧板。
- 前記基板が木質板である、請求項14または15に記載の化粧板。
- 前記基板がボードである、請求項14または15に記載の化粧板。
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