JP2005238647A - 二色成形方法および二色成形品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 可動ブロックによって1次空間4を仕切形成する仕切工程と、1次空間に1次熱可塑性材J1を射出する1次射出工程と、可動ブロックをキャビティ3内から退避させることで形成される2次空間5に、2次熱可塑性材J2を射出する2次射出工程とを有する。2次空間が、1次熱可塑性材と2次熱可塑性材との見切り線の両端部より内側で、かつ、その両端部の見切り線より1次熱可塑性材側に突出した凸部空間5Aをもつ。2次射出工程では、凸部空間に2次熱可塑性材が充填されるときの樹脂圧力により、凸部空間に隣接する1次熱可塑性材をキャビティ面に押し付けて、キャビティ面と1次熱可塑性材との隙間を塞ぐ。
【選択図】 図9
Description
しかし、このような方法では、2次樹脂が1次樹脂側にバリのようにはみ出る現象が起きやすく、外観不良となる。
しかし、成形品が大きい場合、たとえば、見切り線が1m以上ある大型成形品においては、1次熱可塑性材が非晶性であっても、その収縮により成形側面部にバリが発生する虞は大きくなる。
2種の熱可塑性材とは、色が異なる樹脂、樹脂種、性質の異なる2種の熱可塑性樹脂や熱可塑性エラストマーを意味し、樹脂組成物も包含する意味である。
このような凸部空間を持たない金型で、通常の二色成形を行うと、とくに、結晶性樹脂を用いる場合は、バリの発生を防ぐことが困難である。
しかし、本発明では、前述した凸部空間を持つ2次空間に2次熱可塑性材を射出すると、まず、2次熱可塑性材が入りやすい凸部空間に2次熱可塑性材が真っ先に入り込み、その凸部空間が2次熱可塑性材で充満される。すると、その凸部空間に隣接する、見切り線両端部側の1次熱可塑性材を金型面に押し付ける力が発生するので、1次熱可塑性材の収縮により生じた隙間が塞がれる。その結果、成形品側面に現れやすいバリの発生を防止できる。
本発明の凸部空間の大きさ、形状は、その空間に充満した2次熱可塑性材による圧力で、見切り線近傍の1次熱可塑性材を金型キャビティ面に押し付け、1次熱可塑性材の収縮による隙間を防げれば、特に制限はない。また、凸部空間は2個以上あってもよく、さらに、見切り線および成形品の厚み方向に垂直にアンダーカットを持たせれば、接合強度も著しく向上させることができる。
一方、成形品側面のバリ発生を防止するためには、1次熱可塑性材の見切り線近傍のスキン層がしっかり形成され、内部が完全に冷却していない状態、つまり、1次熱可塑性材に収縮が余り発生していない時点で、2次熱可塑性材を射出する必要があり、意匠面の見切り線の乱れをも防ぐ必要がある場合は、非常に狭い成形条件にならざるを得なかった。
しかし、本発明の成形方法においては、2次熱可塑性材の射出条件、とくに、1次熱可塑性材の射出開始時から2次熱可塑性材を射出開始するまでの時間(以下、射出遅延時間と称する)を余り厳密に制御する必要がない。
基本的には、見切り部両端にある突き出し部を、2次熱可塑性材の樹脂圧力で金型キャビティ面に押し付けることができる限り、どのような形状、大きさ、位置取りでもよいが、たとえば、次の要領で、最適な成形条件や見切り部の形状を求めることができる。
1次熱可塑性材を射出するキャビティの形状、大きさ、1次熱可塑性材の材料特性(収縮率等)が判れば、1次熱可塑性材の必要な成形条件および金型キャビティ面と突き出し部との隙間が概略判る。
更に、2次熱可塑性材を射出するキャビティの形状、大きさ、2次熱可塑性材の材料特性(流動特性等)などが判ると、2次熱可塑性材を充填するために必要な、最小射出圧力(P)が判る。金型を変えられない場合は、2次熱可塑性材の射出圧力をP以上で何点か振って試作した成形品をみれば、見切り部両端にある突き出し部を、金型キャビティ面に押し付けることが可能な2次熱可塑性材の圧力を把握できる。
2次熱可塑性材の射出後、前記突き出し部に到達するまでの時間における1次熱可塑性材のTD方向の収縮率をS、成形品の幅をB、成形品の幅方向における金型と成形品両端の隙間との和を2δとすると、
2δ=B×S/100
の関係が成り立つ。従って、S,Bが既知であれば、δも判る。
2次熱可塑性材の射出時の射出圧力により、前記突き出し部には曲げモーメントMが発生し、突き出し部に撓みが生じる。ここで、突き出し部における任意の点での撓みをy、突き出し部の断面二次モーメントをI、弾性率をEとし、突き出し部の長さ方向にx軸をとると(突き出し部先端側、つまり、2次熱可塑性材との境界側でx=0)、これらの関係は次のように表される。
本発明の請求項2に示す成形方法においては、1次成形品の厚さ方向の片面において、両端の突き出し部の先端が直線で結ばれた形状となっているため、上記の撓みを抑制する効果が発現し、突き出し部先端での撓み量y’maxは、次のように表される。
突き出し部が、2つとも同一の断面形状である矩形の場合、突き出し部の長さをLとし、2次熱可塑性材の射出時の射出圧力により、突き出し部の長さ方向の全長に対して均等に加わる力をw、両端の突き出し部に囲まれた箇所によって突き出し部の撓みを抑制する力Qが突き出し部先端で作用すると、突き出し部の先端部(x=0)、即ち、2次熱可塑性材との接する箇所における撓み量y’maxは、次のようになる。
突き出し部の形状が複雑な場合、突き出し部の撓み量ymax(あるいは、y’max)を求める式が非常に複雑になるため、コンピュータを用いた数値解析が必要となる。
<第1実施形態>
図1は第1実施形態の一体成型金型、図2は図1のII−II線断面、図3は図2の斜視図をそれぞれ示している。これらの図に示すように、本実施形態の一体成型金型は、上下に分割されかつその分割面にキャビティ3を有する金型1,2と、金型1内に進退可能に設けられキャビティ3の内部を空間4,5に仕切る可動ブロック10とを備えている。ここで、空間4は1次熱可塑性材を射出する1次空間、空間5は2次熱可塑性材を射出する2次空間を指す。
(1)キャビティ3の内部を可動ブロック10によって仕切る。つまり、可動ブロック10の第1,第2ブロック11,12を共にキャビティ3内に進出させ、キャビティ3内部を1次空間4のみに仕切る(図4参照)。
(2)可動ブロック10によって仕切られた1次空間4に1次樹脂J1を射出する(図4参照)。1次空間4に射出充填された1次樹脂J1が冷却すると、図5に示すように、1次樹脂J1が収縮して、キャビティ3の側面との間に僅かな隙間6が生じる。
(3)1次樹脂J1が十分に冷却した後、可動ブロック10を退避させると、図6に示すように、1次樹脂J1と2次樹脂J2との見切り線MLの両端部より内側で、かつ、その両端部の見切り線より1次空間4側で厚み方向の反意匠面側に凸部空間5Aを持つ2次空間5が生成される。
ところが、本発明の成形方法においては、2次樹脂充填工程の初期段階で、図8および図9に示すように、凸部空間5Aを満たし、その結果、見切り線両端側の1次樹脂J1Lを金型面(キャビティ3の側面)に押し付ける力が働くため、隙間6が塞がれる。そのため、2次樹脂J2が、流入しやすい凸部空間5Aおよび2次空間5を全て満たし、最も流入し難い隙間6に流入し始めるときには既に、隙間6が塞がれているため、成形品側面部のバリの発生が防止できる。
図10は第2実施形態の一体成形金型の斜視図(図3に相当する図)、図11はそのキャビティの平面図をそれぞれ示している。
本実施形態の一体成形金型は、第1実施形態の一体成形金型に対し、第1ブロック11と第2ブロック12とが一体的に形成され、かつ、第2ブロック12もキャビティ3の厚み分進出できる可動ブロック10を用いている点が異なる。
従って、可動ブロック10がキャビティ3内に進出して、キャビティ3内を仕切ると、この可動ブロック10によって仕切られた1次空間4は、1次樹脂と2次樹脂との接合部両端側の見切り線より1次樹脂側に凹状にかつ全厚みにわたって窪んだ凹部空間4Aを持つ形状に構成される。一方、可動ブロック10が退避したときに生じる2次空間5は、前記見切り線より1次樹脂側に凸状にかつ全厚みにわたって突出した凸部空間5Aを持つように構成される。そして、これら1次空間4の凹部空間4Aと2次空間5の凸部空間5Aとが互いに嵌合する関係に形成されている。
これを図9を用いて説明する。まず、1次空間4に1次樹脂J1を射出する。1次空間4に射出された1次樹脂J1が冷却して収縮すると、キャビティ3面と1次樹脂J1との間に僅かな隙間6が生じる。次に、2次空間5に2次樹脂J2を射出すると、まず、2次樹脂J2が入りやすい見切り線中央の凸部空間5Aに真っ先に入り込み、その凸部空間5Aに2次樹脂J2が充満される。すると、その凸部空間5Aに隣接する、見切り線両端側の1次樹脂J1Lを金型面に押し付ける力が発生するので、1次樹脂J1の収縮により生じた隙間6が塞がれる。その結果、成形品側面に現れやすいバリの発生を防止できる。
次の条件で、2種の樹脂を一体成形した結果を表1に示す。
・1次樹脂:ブロックPP(出光石油化学(株)J−950HP)
・2次樹脂:ブロックPP(出光石油化学(株)J−950HP、顔料を1重量%配合)
・1次樹脂、2次樹脂の弾性率:ともに(引張り)弾性率1200MPa
[成形条件]
・成形金型:実施例1〜3は図1〜図3の金型
実施例4は図10〜11の金型
比較例1〜3は図12の金型
・1次樹脂および2次樹脂の射出条件は、表1の通り
・金型温度は全て40℃、樹脂温度200℃で射出
・射出成形機:450t成形機
射出圧100%
1次側1500kgf/cm2、2次側1520kgf/cm2
・ 成形品:二色成形品の厚さ:2.5mm
突き出し部の幅:5および15mm
長さ:15mm
厚さ:1.5mm
比較例1〜3は、凸部空間全体が意匠面側見切り線より1次樹脂側にあることが、実施例と異なり、その結果、2次樹脂の射出遅延を短くしても、成形品側面部の見切り線の乱れが発生する。また、比較例1においては、意匠面の見切り線にも少し乱れがあった。見切り線近傍の1次樹脂の冷却が不十分で、2次樹脂の射出圧により変形したためと推定される。
3 キャビティ
4 1次空間
5 2次空間
5A 凸部空間
10 可動ブロック
11 第1ブロック
12 第2ブロック
J1 1次樹脂(1次熱可塑性材)
J2 2次樹脂(2次熱可塑性材)
Claims (4)
- 2種の熱可塑性材を、見切り線を境として一体成形する二色成形方法において、
キャビティ内を可動ブロックで仕切ることで、1次熱可塑性材が射出される1次空間を形成するキャビティ仕切工程と、
前記1次空間に1次熱可塑性材を射出する1次射出工程と、
前記可動ブロックをキャビティ内から退避させることで形成される2次空間に、2次熱可塑性材を射出する2次射出工程とを有し、
前記2次空間が、1次熱可塑性材と2次熱可塑性材との見切り線の両端部より内側で、かつ、その両端部の見切り線より1次熱可塑性材側に突出した凸部空間をもち、
前記2次射出工程において、前記凸部空間に2次熱可塑性材が充填されるときの樹脂圧力により、前記凸部空間に隣接する1次熱可塑性材をキャビティ面に押し付けて、キャビティ面と1次熱可塑性材との間の隙間を塞ぐことを特徴とする二色成形方法。 - 請求項1に記載の二色成形方法において、前記凸部空間は、前記見切り線の両端部より1次熱可塑性材側に突出している2次熱可塑性材が、最終的に得られる二色成形品の片面のみに有るように形成されていることを特徴とする二色成形方法。
- 請求項1または請求項2に記載の二色成形方法において、前記可動ブロックを、1次熱可塑性材の片面と平坦な面になるように、前記キャビティ内から退避させることを特徴とする二色成形方法。
- 請求項1〜請求項3のいずれかに記載の二色成形方法で成形された、二色成形品。
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JP2004051820A JP2005238647A (ja) | 2004-02-26 | 2004-02-26 | 二色成形方法および二色成形品 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2017013259A (ja) * | 2015-06-29 | 2017-01-19 | 本田技研工業株式会社 | 射出成形方法、射出成形装置、及び成形品 |
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2004
- 2004-02-26 JP JP2004051820A patent/JP2005238647A/ja not_active Withdrawn
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