図1は記録媒体装着装置に装着される記録媒体を示す外観斜視図、図2は本発明の実施の形態である記録媒体装着装置の内部構造を示す分解斜視図、図3は下部シャーシとカム部材とを示す平面図、図4は主として図3のA1−A1線における断面図である。
初めに記録媒体装着装置に装着される記録媒体について説明する。
図2に以下に示す記録媒体装着装置に装着されるのは、例えば図1に示すような着脱自在な記録媒体1である。前記記録媒体1は薄い立方体形状のカートリッジ2を有しており、例えば図1に実線で示す1.8インチ型(小型)と、それよりもY方向に長く一点鎖線で示す2.5インチ型(大型)が規格化されているリムーバブルハードディスクなどである。なお、前記1.8インチ型のリムーバブルハードディスクは、例えば40Gバイトの、2.5インチ型のリムーバブルハードディスクは例えば80Gバイトの記憶容量を有している。
前記カートリッジ2は、例えば合成樹脂材料で形成されている。前記カートリッジ2のY1側の前面2Aには開口部2aが形成されており、この開口部2aには接続用の差込コネクタ(外部接続部)3が設けられている。カートリッジ2のX1およびX2方向の側面2B,2BのY1側の前方の位置には、図示Y方向に延びる案内溝2b,2bが形成されている。そして、この案内溝2b,2bの上方(Z1側)には同じくY方向に延びる段差部2c,2cが形成されており、前記段差部2c,2cには被係止部として機能する凹部2d,2dが形成されている。
図1に示すように、カートリッジ2の内部には、磁気ディスク4と、この磁気ディスク4を回転駆動するスピンドルモータなどの回転駆動手段5が設けられている。
前記カートリッジ2内には、磁気ヘッド装置6が内蔵されている。磁気ヘッド装置6は、磁気ディスク4の磁気記録面に対向する磁気ヘッドチップ6aと、この磁気ヘッドチップ6aに所定のロード圧を与えるロードビーム6bと、前記ロードビーム6bを軸6dを中心に回動させるアクセスアクチュエータ6cとを有している。
前記磁気ヘッドチップ6aは、磁気ディスク4の記録面に対向するスライダと、このスライダに取り付けられた磁気抵抗効果素子による読取り部と、薄膜インダクティブヘッドによる書き込み部が設けられている。記録媒体1へのデジタル信号の記録動作、あるいは記録媒体1からのデジタル信号の再生動作では、高速で回転する磁気ディスク4の表面のエアーベアリングにより磁気ヘッドチップ6aがわずかに浮上姿勢となる。そしてアクセスアクチュエータ6cによりロードビーム6bが揺動動作させられて、磁気ディスク4の記録面のセクタが検索され、前記読取り部と書き込み部がトラッキングして読取り動作や書き込み動作が行われる。
またカートリッジ2の内部には、回路基板が実装されており、この回路基板に、前記回転駆動手段5を駆動制御する制御回路、磁気ヘッド装置6の動作を制御する制御回路、書き込み信号をフォーマット化し読取り信号をデフォーマット化するなどのデジタル信号処理回路、およびインターフェース部などが実装されている。
この実施の形態に示す前記差込コネクタ3は、例えば基板の表裏両面にY方向に延びる導電部3aがX方向に所定の間隔で複数配列されたスロットインタイプのものである。ただし、前記差込コネクタ3は複数の接続ピンが設けられたタイプのものであってもよい。
次に、本発明の記録媒体装着装置について説明する。
図5はないし図9は記録媒体装着装置における各種の動作を示している。図5は記録媒体が挿入される前の初期状態を示す記録媒体装着装置の平面図、図6は図5の初期状態における記録媒体装着装置の部分側面図、図7は記録媒体が挿入され引込み部材によって係止された状態を示す図6同様の部分側面図、図8は装置側の内部コネクタと記録媒体側の差込コネクタとが接続される直前の状態を示す図5同様の平面図、図9は装置側の内部コネクタに記録媒体側の差込コネクタが接続された状態を示す図5同様の平面図である。
本発明の記録媒体装着装置10は、例えばコンピュータ、あるいは室内又は車載用のAV機器などの機器本体(図示せず)に搭載されており、前記記録媒体装着装置10を介して記録媒体1と機器本体との間でデジタルデータの再生や記録が行われる。
図2に示すように、前記記録媒体装着装置10は下方(Z2側)に下部シャーシ11が設けられ、その上方(Z1側)にベースシャーシ20が設けられており、両シャーシ11,20とは平行な状態で対向配置されている。
前記下部シャーシ11の底板11Aには軸11aが設けられたおり、この軸11aには大きな円盤状のカム部材12が回転自在に支持されている。図3および図4に示すように、前記カム部材12の表面(Z1側の面)には第1の摺動溝12aが形成されており、裏面(Z2側の面)には第2の摺動溝12bと摺動リブ12cが形成されている。またカム部材12の外周側面には歯12dが周設されている。
図3に示すように、前記第1の摺動溝12aは、外周側と内周側とを結ぶ二種類の円弧状の溝を連結させることによって形成されている。すなわち、カム部材12表面の外周側には径寸法の大きな曲率からなる大円弧溝12a1がほぼ1/2周分にわたって形成され、内周側には前記大円弧溝12a1よりも小さな曲率からなる小円弧溝12a2がほぼ1/2周分にわたって形成されている。そして、前記大円弧溝12a1から小円弧溝12a2に切り換わる部分が連結部12a4である。
また前記第1の摺動溝12aの外周側(前記大円弧溝12a1の外周側)の溝幅は、内周側の溝幅および小円弧溝12a2の溝幅に比較して拡張された幅広部12a3で形成されている。なお、前記第1の摺動溝12aの最内周部(小円弧溝12a2の最内周)12a5は前記軸11aに近接する位置に形成されている。
前記第2の摺動溝12bはカム部材12の裏面(Z2側の面)に前記軸を中心とする所定の径寸法でほぼ1/4周にわたって形成されている。ただし、第2の摺動溝12bの一方の端部である外周端部12b1は、前記所定の径寸法よりも僅かに大きな径寸法で形成されており、他方の端部である内周端部12b2は前記所定の径寸法よりも僅か小さな径寸法で形成されている。そして、第2の摺動溝12bの外周端部12b1と内周端部12b2との間に前記第1の摺動溝12aの外周側を形成する幅広部12a3が設けられている。
前記摺動リブ12cは、前記第2の摺動溝12bの内側にリング状に形成されており、図4に示すようにその断面は図示Z2方向に突出する凸形状である。すなわち、カム部材12は、下部シャーシ11の底板11A上を前記摺動リブ12cが摺動しながら前記軸11aを中心に回転するようになっており、前記摺動リブ12cは摺動時の摩擦抵抗を軽減している。
前記下部シャーシ11の底板11A上で且つ前記カム部材12の近傍には、円柱形状からなる伝達歯車14が回転自在に設けられており、前記伝達歯車14の下部側に形成された歯14aが前記カム部材12の歯12dに噛みあっている。前記伝達歯車14の上端には、径寸法の大きな歯車14bが一体に形成されており、図1に示すようにベースシャーシ20上に固定された駆動モータのウォーム歯車M1に噛み合っている。よって、前記駆動モータMが発生する動力が前記伝達歯車14を介して伝達されることにより、前記カム部材12は時計回り方向および反時計周り方向に回転させられる。
図1および図3に示すように、前記下部シャーシ11の底板11A上で且つ前記カム部材12の外周部の近傍には揺動軸11bが設けられており、この揺動軸11bには揺動部材15が揺動自在に支持されている。前記揺動部材15の一端は前記底板11Aとカム部材12との間の隙間に挿入されている。前記揺動部材15の一端には図示Z1方向に突出する制御ピン15aが設けられており、前記制御ピン15aは前記カム部材12の裏面側に設けられた第2の摺動溝12bに挿入されている。また前記揺動部材15の他端は、図示Z1方向に折り曲げられることによって形成された押圧部15bが設けられている。
図1、図3および図4に示すように、前記下部シャーシ11の図示Y1側の前方の位置には基板16が設けられており、この基板16の上面には第1のスイッチ部材17aが設けられ、前記基板16の下面には第2のスイッチ部材17bと第3のスイッチ部材17cが設けられている。前記第1のスイッチ部材17aは、図示Z1方向に突出するとともにZ方向に進退自在に設けられたアクチュエータ17a1が設けられている。前記第1のスイッチ部材17aは、前記アクチュエータ17a1が押圧操作されるたびにスイッチの状態が切り換わるものである。一方、前記第2のスイッチ部材17bと第3のスイッチ部材17cとは前記基板16のY1側の縁部にX方向に並べて配置されている。前記第2,第3のスイッチ部材17b,17cは、前記基板16の縁部から図示Y1方向に突出するアクチュエータ17b1,17c1を有しており、前記アクチュエータ17b1,17c1は図示X1およびX2方向に操作させるたびにスイッチの状態が切り換わるものである。そして、このアクチュエータ17b1,17c1の前方の位置に前記揺動部材15の押圧部15bが対向するように配置されている。
前記カム部材12が図3にて時計回り方向に最大量回転し、前記制御ピン15aが第2の摺動溝12bの外周端部12b1に達すると、前記揺動部材15が揺動軸11bを中心に反時計回り方向に揺動される。このとき、前記押圧部15bが前記第2のスイッチ部材17bの前記アクチュエータ17b1を図示X1方向に押圧するため、前記第2のスイッチ部材17bのスイッチ状態が切り換えられる。
また前記カム部材12が反時計回り方向に最大量回転し、前記制御ピン15aが第2の摺動溝12bの内周端部12b2に達すると、前記揺動部材15が時計回り方向に揺動される。このとき、前記押圧部15bが前記第3の3スイッチ部材17cのアクチュエータ17c1を図示X2向に押圧するため、前記第3スイッチ部材17cのスイッチ状態が切り換えられる。そして、前記制御ピン15aが前記外周端部12b1と内周端部12b2以外の第2の摺動溝12b内に位置するときには、前記揺動部材15の押圧部15bは、第2のスイッチ部材17bと第3のスイッチ部材17cとのいずれにも接することにない中立位置に設定されている。
よって、制御部は、カム部材12が時計回り方向に最大量回転した初期状態(図5参照)あるか、または反時計回り方向に最大量回転した装着完了状態あるか(図9参照)、あるいはこれら以外のローディングの状態(図8参照)にあるかを検知することが可能となっている。
なお、前記第1ないし第3のスイッチ部材17a,17b,17cの各スイッチの状態を示すスイッチ信号は、機器本体内に設けられた制御部(図示せず)に送出される。
図2に示すように、前記ベースシャーシ20は金属板をプレス加工および打抜き加工などすることにより形成されている。ベースシャーシ20の中央には略小判形状に開口する開口穴21が穿設されており、この開口穴21のX1側の縁部には第1のラック部21aが形成されている。前記ベースシャーシ20の幅方向(X1およびX2方向)の両端には、図示Y方向に延びる長孔22a,22bが対称の位置に形成されている。前記長孔22a,22bには、後述する移動部材50に形成された被押圧部52a,52aが挿通されるようになっている。また前記前記開口穴21の両側には、Y方向に延びる案内長孔23a,23bが形成され、前記一方の長孔22bと一方の案内長孔23bとの間にもY方向に延びる長穴24が形成されている。
前記前記ベースシャーシ20の幅方向の両端には、合成樹脂などによって形成された一対の案内部材30,30が固定されている。前記案内部材30は、底面31、側面32および上面33の3つの面を囲むように断面コの字形状に形成されており、前記側面32および上面33は図示Y方向に延びて形成されている。そして、この3つの面で囲まれる空間内に前記カートリッジ2のX1およびX2方向の側部が挿入されるようになっている。前記底面31、側面32および上面33の3つの面の前端には、傾斜面31a,32a,33aがそれぞれ形成されており、これら傾斜面31a,32a,33aで囲まれる部分が記録媒体装着装置10の挿入部10Aを構成している。
前記底面31には図示Y方向に延びる長穴31bと取付け穴31c,31dが形成されており、取付け穴31c,31dをベースシャーシ20に形成された固定穴25a,25bに位置合わせしてネジ止めすると、前記ベースシャーシ20の長孔22a、22bと前記長穴31b,31bとが重なり合う。
前記側面32の前方の位置には、側面32からZ1方向に突出する延長側面32Aが一体で形成されている。前記側面32にはY方向に沿って延びるガイド長孔32cが形成されている。前記ガイド長孔32cのY2方向の前端には、前記ガイド長孔32cから連続して上方(Z1方向)に傾斜して延びる傾斜部32dが形成されている。さらの前記側面32と前記延長側面32Aとにまたがる位置には、前記傾斜部32dに連続する長方形状の支持穴32eが形成されている。なお、前記支持穴32eのY2側の下端が支持部32fであり、Y1側の縁部が規制部32gである。また前記側面32の内壁のY1側には、図示内方に凸状に突出するとともに図示Y方向に延びる案内突部32hが形成されている。
前記ベースシャーシ20には受け側となる内部コネクタ40が基板39上に固定された状態で設けられている。前記内部コネクタ40は全体を覆う絶縁性の外装カバー41を有している、外装カバー41の前側(Y1側)が接続部42であり、この接続部42の内側には開口部43が形成されている。
前記内部コネクタ40は、例えば弾性を有する複数の導電性の接続端子が前記開口部43の上下の面に幅方向に並べて設けられており、前記記録媒体1側の差込コネクタ3を前記開口部43に差し込むと、前記各接続端子が前記差込コネクタ3の基板の表裏両面に形成された各導電部3aを弾圧しながら接触するタイプのコネクタなどである。あるいは、前記記録媒体1側の差込コネクタ3が接続ピンである場合には、前記接続ピンが挿入可能なレセクタブルが複数配列されたタイプのコネクタである。
前記基板39の幅方向の両端にはネジ穴39a,39aが穿設されており、前記基板39は前記ネジ穴39a,39aが前記案内部材30の取付け穴31d,31dに重ねられた状態で図示しないねじ部材により共締めされて固定される。
図1に示すように前記下部シャーシ11とベースシャーシ20との間には、移動部材50と可動部材60とが設けられている。前記移動部材50は金属板を折り曲げることによって平面T字形状に形成された基部50Aと、前記基部50Aの幅の広い部分の両端を垂直に折り曲げて形成した側部50B,50Bとを有している。前記基部50Aの中心には略小判形状に開口する開口穴51が形成されている。また基部50A上で前記側部50B,50Bの近傍には、切欠穴52,52が形成されており、この切欠穴52,52の縁部にはその一部を垂直に折り曲げた被押圧部52a,52aが形成されている。さらに前記移動部材50には、前記基部50Aの一部を図示Z2方向に陥没させることにより形成された押圧部53が設けられている。図6に示すように前記押圧部53は上記第1のスイッチ部材17aに対向配置される。
前記移動部材50の前記開口穴51の近傍には、基部50Aから上下両方向に突出する案内ピン54,55が設けられている。なお、前記案内ピン54,55の機能については後述する。
前記移動部材50の側部50B,50Bには窓56,56が形成されており、この窓56、56の近傍には引込み部材70,70が設けられている。前記引込み部材70は合成樹脂などによって形成されており、前記側部50BのY1側の位置に設けられた軸71において回動自在に支持されている。
前記引込み部材70は、図示Y2方向に延びる腕部72と図示Z1方向に延びる掛止片73とを有している。前記腕部72の先端の内面には内側方向に突出する係止部74が形成されている。また前記腕部72の外面には外側方向に突出する規制突起75が形成されており、前記窓56の内部に挿入されている。したがって、前記引込み部材70は、前記規制突起75が前記窓56の上下の縁部に当接する範囲内で前記軸71を中心として上下方向に揺動自在に支持されている。前記移動部材50の側部50B,50BのY2方向の前端には、図示Z1方向に延びる掛止片57,57が一体に形成されている。前記掛止片57,57はわずかに内側方向に折り曲げられており、この掛止片57,57と前記引込み部材70の掛止片73,73との間にはコイルスプリングなどからなる付勢部材S1,S1が圧縮された状態で架設されている。よって、引込み部材70は前記腕部72の先端部が図示下方(Z2方向)に回動させられる方向に付勢されている。
前記可動部材60は金属板で形成されており、その中央部には略小判形状に開口する開口部61が形成されている。前記開口部61の図示X2側の縁部には第2のラック部62が形成されている。
前記可動部材60の幅方向(X方向)の寸法は前記移動部材50の基部50Aの幅の狭い部分の幅寸法とほぼ同寸法で形成されており、前記可動部材60は前記基部50Aの下面(Z2側の面)に接している。前記可動部材60の前記開口部61の両側には、図示Y方向に延びる案内長孔63,64が形成されており、この案内長孔63,64には前記移動部材50に設けられた前記案内ピン54,55の下端が挿入されている。前記可動部材60は、前記案内ピン54,55によって前記移動部材50の下面に支持されるとともに、前記案内長孔63,64に沿ったY方向への移動が可能とされている。
前記可動部材60の図示Y1側で且つX2側の縁部には図示X2方向に突出する掛止部65が形成されている。そして、この掛止部65と前記移動部材50の基部50Aの側面に設けられた掛止部58との間にコイルスプリングなどからなる付勢部材S2が架設されている。よって、前記可動部材60と移動部材50とは重なり合った状態で互いにY方向に引き合っている。よって、通常は前記移動部材50に設けられた前記案内ピン54,55の下端は、前記可動部材60の案内長孔63,64のY1側に端部に当接している。
図1に示すように、前記ベースシャーシ20の表面上で且つ前記一方の案内部材30と他方の案内部材30との間の領域には、長方形状に形成された金属板からなるスライド部材80が設けられている。前記スライド部材80の中央には軸81が設けられており、その先端はスライド部材80の下面から図示Z2方向に延びている。前記軸81の先端には動力伝達手段90が回転自在に設けられている。前記動力伝達手段90は、大径のピニオンギヤ91の上部に小径のピニオンギヤ92が一定に設けられた二段歯車で構成され、前記大径のピニオンギヤ91の下面には図示Z2方向に突出する摺動ピン93が設けられている。なお、前記大径のピニオンギヤ91の歯数をN1、小径のピニオンギヤ92の歯数をN1とすると、N1>N2である。
前記スライド部材80の幅方向の両縁部には、Y方向に延びる2つの案内長孔82,83が形成されており、この案内長孔82,83には前記移動部材50に設けられた案内ピン54,55の先端が挿入されている。すなわち、前記案内ピン54,55は、ベースシャーシ20の案内長孔23a,23bに挿通され、さらにその先端が前記スライド部材80の案内長孔82,83に挿入されている。よって、スライド部材80は、前記案内ピン54,55と案内長孔82,83によって図示Y方向に移動できる状態にある。なお、前記スライド部材80は前記ベースシャーシ20の表面をY方向に移動可能であり、Y1方向に移動するときには前記前記ベースシャーシ20と基板39との隙間を移動する。
前記案内長孔83の近傍には、スライド部材80の縁部から図示X1に略三角形状で突出するとともに図示Z2方向に折り曲げられた突出片84が形成されている。前記突出片84は前記ベースシャーシ20に形成された長穴24に挿入され、その先端は前記ベースシャーシ20の下面に達している。前記突出片84の先端には掛止部85が形成されており、この掛止部85と前記ベースシャーシ20の前方の位置に設けられた掛止部26との間にはコイルスプリングなどからなる付勢部材S3が圧縮された状態で架設されている。よって、前記スライド部材80は、常に前記ベースシャーシ20上において前方(図示Y2方向)に付勢されている。
前記スライド部材80が前記ベースシャーシ20の表面に装着されている状態では、前記動力伝達手段90の小径のピニオンギヤ92が前記ベースシャーシ20の開口穴21に形成されている第1のラック部21aに噛み合っている。また前記動力伝達手段90の大径のピニオンギヤ91は、前記移動部材50の開口穴51と可動部材60の開口部61内に入り込んでおり、前記可動部材60に設けられた第2のラック部62に噛みあっている。すなわち、前記動力伝達手段90は、第1のラック部21aと第2のラック部62とによってX方向の両側から噛み合わされている。
前記動力伝達手段90に設けられた摺動ピン93は、前記カム部材12の表面に形成されている前記第1の摺動溝12aに挿入されており、前記第1の摺動溝12a内を自在に移動可能とされている。
以下には記録媒体装着装置10の動作について説明する。
(初期状態)
図5および図6はハードディスクが挿入される前の初期状態を示しており、図5は記録媒体装着装置の平面図、図6は記録媒体装着装置の前方部分を拡大して示す側面図である。
図5に示すように、記録媒体1のカートリッジ2が、前記一対の案内部材30,30に形成された傾斜面31a,32a,33aで囲まれる記録媒体装着装置10の挿入部10Aに挿入される前の初期状態では、前記カム部材12は図3において時計回り方向に回転させられている。このため、前記動力伝達手段90の摺動ピン93は、前記カム部材12に形成された第1の摺動溝12aの前記幅広部12a3内のY2側(軸11aから離れる側)に位置している。
このとき、前記移動部材50と可動部材60は前記付勢部材S2の付勢力により、ほぼ一体化した状態で図示Y2方向の前方の位置に移動させられている。同様に、前記スライド部材80も前記付勢部材S3の付勢力によって前方の位置に移動させられている。
図6に示すように、初期状態では前記移動部材50が前方の位置に移動させられている結果、引込み部材70の腕部72が付勢部材S1の付勢力に抗して図6にて反時計回り方向に回動させられている。すなわち、引込み部材70の係止部74が、案内部材30の傾斜部32dを登った支持穴32e内の支持部32fに支持されている。
また第1のスイッチ部材17aのアクチュエータ17a1が、移動部材50の押圧部53により押圧させられており、前記第1のスイッチ部材17aのスイッチ状態がOFFに設定されている。さらには図5に示すように、揺動部材15が反時計回り方向に揺動しており、第2のスイッチ部材17bのアクチュエータ17b1が押圧部15bにより押圧させられ、第2のスイッチ部材17bがON、および第3のスイッチ部材17cがOFFに設定されている。
(挿入動作)
この初期状態において、前記記録媒体1のカートリッジ2が前記挿入部10Aに挿入される。前記カートリッジ2が前記挿入部10Aに挿入されると、カートリッジ2の両側面2B,2Bが前記X方向の両端に設けられた案内部材30,30の各底面31、側面32および上面33の間に挟まれた状態で挿入方向(Y1方向)に案内される。
さらに前記カートリッジ2を挿入方向に挿入されると、カートリッジ2の前面2Aが、前記移動部材50に設けられた被押圧部52a,52aに当接し、移動部材50が前記付勢部材S3の付勢力に抗して前記カートリッジ2とともに挿入方向に移動させられる。カートリッジ2の挿入時のときには、前記付勢部材S3が前記移動部材50のダンパとして機能するため、挿入感触を高めることができる。
ここで、前記移動部材50が挿入方向に移動させられると、前記移動部材50の案内ピン54,55の下端が前記可動部材60の案内長孔63,64のY1側の端部を挿入方向に押圧するため、前記移動部材50と可動部材60とが一体化した状態で挿入方向に移動させられる。このとき、前記可動部材60の第2のラック部62に噛み合う大径のピニオンギヤ91を有する前記動力伝達手段90も挿入方向に移動させられることになるが、動力伝達手段90の摺動ピン93は前記カム部材12の幅広部12a3内に位置しているため、この幅広部12a3内を挿入方向に移動することが可能である(図7参照)。よって、前記付勢部材S3によるダンパ機能が前記動力伝達手段90によって妨げられるのを回避することが可能とされている。
図7に示すように、移動部材50が挿入方向に移動させられると、引込み部材70も前記移動部材50とともに挿入方向に移動させられる。そして、前記引込み部材70の係止部74が前記案内部材30の支持部32fから移動して傾斜部32dに達すると、前記引込み部材70が前記付勢部材S1により図示時計回り方向に付勢されているため、前記係止部74は前記傾斜部32dを下降できるようになる。ただし、挿入初期の段階では、前記係止部74はカートリッジ2の側面2Bに設けられた段差部2cに支えられるため、引込み部材70の回動が制限され前記係止部74はガイド長孔32cに至ることができないように規制される。そして、さらにカートリッジ2が挿入されて前記側面2Bに設けられた凹部2dが前記案内部材30の傾斜部32dと重なる位置に達すると、前記引込み部材70の回動が許容されようになるため、前記係止部74が段差部2cを下降してガイド長孔32cに至るとともに前記凹部2dを係止する。
このように、本願発明では係止部74が高さ方向(Y方向)に下降することにより、カートリッジ2の凹部2dを係止することができるため、カートリッジ2を横方向から係止する場合に比較して記録媒体装着装置10全体の幅寸法を小さくできる。よって、特に記録媒体装着装置10の幅方向を小型化することが可能となる。
またこのときには、移動部材50に設けられた前記押圧部53が前記第1のスイッチ部材17aのアクチュエータ17a1から外れるため、前記第1のスイッチ部材17aのスイッチ状態がOFF状態からON状態に切り換えられる。よって、機器本体側の制御部は、前記記録媒体装着装置10の挿入部10Aにカートリッジ2が挿入されたことを検出することが可能である。
またカートリッジ2が不正常な状態で挿入部10Aに対して誤挿入された場合、例えば前記カートリッジ2の後面2D側を挿入部10Aに向けて挿入された場合や、カートリッジ2の上下を逆にした状態で挿入された場合には、前記引込み部材70の係止部74,74が前記カートリッジ2の凹部2d,2dを係止することができなくなる。このため、前記引込み部材70の回動は許容されず、引込み部材70は図6に示す状態が維持されることとなる。
さらに不正常な向きの状態にあるカートリッジ2が挿入方向に押し込まれると、前記引込み部材70は図6に示す状態でわずかに挿入方向に移動させられるが、前記係止部74が支持穴32eの規制部32gに当接し、これ以上の引込み部材70の挿入方向への移動を禁止することができる。その結果、前記押圧部53は前記第1のスイッチ部材17aのアクチュエータ17a1の押圧状態を維持し、前記第1のスイッチ部材17aのスイッチ状態の切り換わりを防止することが可能となる。よって、不正常な向きのカートリッジ2が後述するようなローディング動作によって自動的に挿入方向へ搬送されることを防止することが可能となる。すなわち、不正常な向きの状態にあるカートリッジ2が装置奥部に搬送されることを未然に防止することができる。
(カートリッジのローディング動作)
前記制御部は、前記カートリッジ2が正常な状態で挿入されて前記第1のスイッチ部材17aがON状態に切り換わったことを検知すると、前記駆動モータMを始動させて、カム部材12を反時計回り方向に回転させる。
カム部材12が反時計回り方向に回転させられると、前記動力伝達手段90に設けられた摺動ピン93が前記第1の摺動溝12aに沿って挿入方向に移動させられる。このとき、前記小径のピニオンギヤ92が前記第1のラック部21aに噛み合いながら時計回り方向に転動するため、動力伝達手段90が挿入方向に移動させられる。前記動力伝達手段90を搭載したスライド部材80が付勢部材S3に抗しながら挿入方向に移動させられる。
同時に、前記大径のピニオンギヤ91に噛み合う第2のラック部62が、前記動力伝達手段90の時計回り方向の回転によって挿入方向に送られるため、前記第2のラック部62を有する可動部材60が挿入方向に移動させられる。前記可動部材60が挿入方向に移動させられると、前記移動部材50は前記付勢部材S2を介して挿入方向へ引っ張られるため、移動部材50も可動部材60とともに挿入方向に移動させられる。そして、前記移動部材50が挿入方向へ移動させられると、前記移動部材50に搭載された前記引込み部材70の係止部74によって係止されているカートリッジ2が、自動的に記録媒体装着装置10の奥部に搬送される。すなわち、前記カム部材12、動力伝達手段90、移動部材50および引込み部材70などは、カートリッジ2を挿入方向に搬送するローディング機構を構成している。
前記カートリッジ2は、その両側面2B,2Bが前記案内部材30,30の底面31、側面32および上面33の3つの面に保持された状態で挿入方向に移動させられるが、前記カートリッジ2が案内部材30,30の奥部側に達すると、前記両側面2B,2Bに形成された案内溝2b,2b内に前記案内部材30,30の内壁に設けられた前記案内突部32h,32hが挿入されるようになるため、前記カートリッジ2をより安定した姿勢で挿入方向に移動させることが可能である。
また図8に示すように、カートリッジ2がローディングされているときには、揺動部材15の制御ピン15aは、前記カム部材12の第2の摺動溝12b内の前記外周端部12b1および内周端部12b2以外の部分に位置しており、揺動部材15は中立位置に設定されている。よって、第2のスイッチ部材17bと第3のスイッチ部材17cはいずれも操作されない状態にあるため、前記制御部はカム部材12がローディングの状態にあることを把握することができる。
(コネクタの接続動作)
図8に示すように、摺動ピン93が第1の摺動溝12aの連結部12a4を過ぎると、前記摺動ピン93は小円弧溝12a2によって挿入方向に移動させられる。図9に示すように、摺動ピン93が第1の摺動溝12aの最内周部12a5に達すると、摺動ピン93の移動に伴って引込み部材70に係止されている前記カートリッジ2の前面2Aに設けられた開口部2a内に内部コネクタ40の接続部42が挿入される。
前記カートリッジ2の差込コネクタ3と内部コネクタ40の前記開口部43とが装着し合うときには、これらの間に摩擦抵抗などによる挿入負荷が生じる。このため、前記動力伝達手段90の大径のピニオンギヤ91に噛み合う可動部材60が挿入方向に移動しても、前記カートリッジ2を係止する引込み部材70を備えた移動部材50は前記可動部材60と共に移動することができず、差込コネクタ3が内部コネクタ40に当接した状態が維持される。このとき、前記可動部材60の移動に伴って前記可動部材60と移動部材50との間に架設された付勢部材S2が伸張させられるため、前記付勢部材S2の付勢力が徐々に増大させられる。そして、前記付勢部材S2の付勢力が、前記差込コネクタ3と内部コネクタ40間の挿入負荷を超えると、前記差込コネクタ3が内部コネクタ40の開口部43内に挿入されるようになる。
前記内部コネクタ40の開口部43内にカートリッジ2側の前記差込コネクタ3が装着されると、差込コネクタ3に設けられた各導電部3aと内部コネクタ40の前記開口部43内に設けられた各接続端子とが電気的に接続される。これにより、記録媒体1と記録媒体装着装置10を備えた機器本体との間でデジタルデータの再生や記録が可能となる。
図9に示すように、前記差込コネクタ3と内部コネクタ40との装着が完了すると、揺動部材15の制御ピン15aは前記カム部材12の第2の摺動溝12bの内周端部12b2に入り込むため、前記揺動部材15は図9において時計回り方向に揺動させられる。このとき、揺動部材15の押圧部15bが第2のスイッチ部材17bのアクチュエータ17b1を押圧するため、前記制御部はカム部材12がコネクタの装着が完了した状態に達したことを把握することができる。
前記ローディング動作の初期においては、前記動力伝達手段90の摺動ピン93が前記第1の摺動溝12aの大円弧溝12a1によって挿入方向に移動させられるが、図8に示すように、前記摺動ピン93が第1の摺動溝12aの連結部12a4を過ぎると、今度は小円弧溝12a2によって挿入方向に移動させられる。
ここで、前記大円弧溝12a1は、小円弧溝12a2に比して大きな曲率で形成されているため、カム部材12がほぼ1/2周する間に前記摺動ピン93を図3に示す幅広部12a3の位置a1から図8に示す連結部12a4の位置a2までの移動距離L1を移動させる。このとき、図8に示すように引込み部材70の係止部74の移動量、すなわちカートリッジ2の挿入方向への移動距離はL0である。
前記カートリッジ2の移動距離L0と摺動ピン93の移動距離L1との関係はL0≦2・L1である。すなわち、この記録媒体装着装置10では、前記大円弧溝12a1を用いた場合、摺動ピン93(すなわち、動力伝達手段90を搭載したスライド部材80)の移動距離L1の約半分以下でカートリッジ2の移動距離L1を移動させることができる。
一方、図8から図9に至る過程、すなわち前記摺動ピン93が前記連結部12a4から前記位置a2から前記最内周部12a5に達する位置a3までは、前記摺動ピン93は前記小円弧溝12a2によって移動させられる。前記小円弧溝12a2は曲率半径が小さいため、カム部材12がほぼ1/2周する間に前記摺動ピン93を前記位置a2から前記位置a3までの移動距離L2を移動させる。このとき、図9に示すように、引込み部材70の係止部74の移動量、すなわちカートリッジ2の挿入方向への移動距離はL3である。つまり、この記録媒体装着装置10では、前記小円弧溝12a2を用いた場合、摺動ピン93(すなわち、動力伝達手段90を搭載したスライド部材80)の移動距離L2とカートリッジ2の移動距離L3はほぼ同じである(L2≒L3)。
また上記のように、前記大径のピニオンギヤ91の歯数N1と小径のピニオンギヤ92の歯数N2とはN1>N2の関係にある。よって、小径のピニオンギヤ92が第1のラック部21aを例えば歯数nだけ回転させると、前記大径のピニオンギヤ91に噛み合う第2のラック部62を歯数(N1/N2)・n(>n)分だけ移動させることが可能となる。すなわち、第2のラック部62を有する可動部材60および前記可動部材60に付勢部材S2を介して連結されている移動部材50のY方向の移動量を、前記動力伝達手段90、すなわち動力伝達手段90を搭載したスライド部材80のY方向の移動量よりも多くすることが可能である。
すなわち、本発明の記録媒体装着装置10では、スライド部材80の移動距離に対してカートリッジ2を2倍以上の長い移動距離を移動させることが可能となっている。よって、スライド部材80のY方向の移動距離を少なくすることができるため、記録媒体装着装置10を小型化することができる。
また、カム部材12の回転速度を一定とすると、カートリッジ2はカム部材12が最初に1/2周する間(摺動ピン93が幅広部12a3から連結部12a4に至る間)に移動距離L0だけ移動させられ、残り1/2周する間(摺動ピン93が連結部12a4から最内周部12a5に至る間)に移動距離L3だけ移動させられるため、前記カム部材12が最初に半周する間はカートリッジ2を高速で搬送することができ、前記残り半周する間はカートリッジ2を低速で搬送することが可能となっている。
よって、カートリッジ2を挿入部10Aに挿入すると、カートリッジ2を素早く記録媒体装着装置10の内部に引き込むことができる。このため、上記大型(2.5インチ型)のハードディスクのように、外形寸法がY方向に長い記録媒体1であっても記録媒体1を記録媒体装着装置10の内部に引き込むために要する時間を短くすることができる。
またカートリッジ2の移動速度が低速に変わった後に、前記カートリッジ2の差込コネクタ3が記録媒体装着装置10側の内部コネクタ40に装着するようになる。しかも、この低速に至った後に上記のように付勢部材S2の付勢力が、前記差込コネクタ3と内部コネクタ40間の挿入負荷を超えて前記差込コネクタ3が内部コネクタ40の開口部43内に挿入されるようになる。
よって、本願発明の記録媒体装着装置10では、前記引込み部材70による引込み力に加えて前記付勢部材S2の付勢力が補助的に作用し、より大きな力で前記差込コネクタ3を内部コネクタ40に装着させることができるため、前記差込コネクタ3と内部コネクタ40との装着を確実に行うことが可能となる。
なお、カートリッジ2の記録媒体装着装置10内部への装着動作が完了すると、小型の記録媒体1であるか大型の記録媒体1であるかにかかわらず、いずれについてもカートリッジ2全体を記録媒体装着装置10の内部に引き込むことができる。よって、動作中にカートリッジ2の一部に外力が作用することがなく、データエラーやデータ破壊などが生じる虞をなくすることができる。
上記実施の形態では、コネクタを有する記録媒体の実施の形態としてリムーバブルハードディスクを用いて説明したが、本発明はこれに限られるものではなく、その他の例えばカートリッジ2内に磁気ディスクの代わりにICメモリを内蔵した記録媒体であってもよい。