JP2005232577A - リング状線材の加熱装置およびその加熱方法 - Google Patents
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Abstract
【要 約】
【課 題】 線材熱処理ラインに適用して、迅速にかつ均一に所定の加熱温度に加熱することが可能なリング状線材の加熱装置およびその加熱方法を提供する。
【解決手段】 リング状線材を上下から挟むように、リング状線材に対して上下に配置された少なくとも一対の電極ローラを有するリング状線材の加熱装置およびそれを用いたリング状線材の加熱方法。
【選択図】 図3
【課 題】 線材熱処理ラインに適用して、迅速にかつ均一に所定の加熱温度に加熱することが可能なリング状線材の加熱装置およびその加熱方法を提供する。
【解決手段】 リング状線材を上下から挟むように、リング状線材に対して上下に配置された少なくとも一対の電極ローラを有するリング状線材の加熱装置およびそれを用いたリング状線材の加熱方法。
【選択図】 図3
Description
本発明は、線材熱処理ラインに適用して、迅速に且つ均一に所定の加熱温度に加熱することができるリング状線材の加熱装置およびその加熱方法に関する。
鋼線材は、熱間圧延等により所定の径に加工された後、一般に巻取装置により図4(a)、(b)に示す如くリング状に巻き取られ、この形状のまま搬送コンベアにより集束装置の設置位置に搬送され、図5(a)に示す如くコイル状に集束されて製造されている。図5(a)中、符号Dは、集束装置により集束されたコイル状線材Mのコイル径を示し、符号dは、線材の直径を示す。
このような過程で製造される線材は、一般に、仕上圧延機により所定の仕上温度範囲内、減面率で仕上圧延され、その後水冷帯で所定温度に冷却され、引き続き、搬送コンベア上において所定の熱処理を受ける。例えば、搬送コンベア上においてリング状に巻き取られた線材には、放冷もしくは衝風、或いは冷却水により冷却する熱処理や、搬送コンベアを保熱カバーで覆って冷却速度を遅くする熱処理が施されている。
このような保熱処理を施された鋼線材の冷間加工性は、例えば、高圧縮率で冷間加工される部品に対しては必ずしも十分なものではない。そこで、冷間鍛造性に優れた線材とするには、その後、線材圧延ラインと別設あるいは併設されたオフライン熱処理設備に運び、コイル状線材Mに対して炭化物の球状化焼鈍または軟化焼鈍を行って製造されていた。このため、効率が悪く、冷間鍛造性に優れた線材を効率的に製造できる線材熱処理ラインが必要とされていた。
ところで、冷間鍛造性に優れた線材を線材圧延ラインで製造するには、仕上圧延され、その後、水冷帯で所定温度にまで冷却されたリング状の線材をインラインで所定の加熱温度に再加熱し、所定の加熱温度に到達させてから緩冷却することが有効である。これを実現するのには、迅速に且つ均一に所定の加熱温度に加熱することができるリング状線材の加熱装置と加熱方法が必要である。
ここで、搬送コンベア上を搬送されるリング状の線材の形状について説明する。巻取装置により巻き取られた線材形状は、代表例を図4(a)に例示した如く、巻取装置が線材を1巻する毎に線材の位置が移送方向に所定量だけずれることにより形成される。例えば、巻取装置の最初の2巻では、図4(b)に示す如く、1巻目においてL0〜L1の線材により、L0とL1間が移送方向に所定量だけずれたリングが形成され、2巻目においてL1〜L2の線材により、L1とL2間が移送方向にずれているリングが形成される。図4(b)中、符号P1、P2、は、移送方向にずれているリング同士が交差し、重なっている部分である。
このように巻取装置により巻き取られた線材を、以下、リング状線材Lともいうが、リング状線材Lは、搬送コンベア上を搬送されているうえに、上述したとおり、リング同士が重なっている部分を有しているので、均一に且つ迅速に加熱することが困難である。
これに対して、熱処理の自由度を格段に拡大させた熱処理ラインが特許文献1に示されている。特許文献1に記載の線材の熱処理ラインは、電気ヒータやラジアントチューブなどを有する保熱カバーで搬送コンベアを覆うことにより、リング状線材Lの冷却速度を遅くできるように構成されている。
特開2000−345244号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載の線材の熱処理ラインは、リング状線材Lを所定の加熱温度に加熱しようとすると、電気ヒータやラジアントチューブなどを有する保熱カバーを用いているから、加熱温度に到達するまでに長時間かかるという問題があった。
また、特許文献1に記載の線材の熱処理ラインは、電気ヒータやラジアントチューブなどを有する保熱カバーを用いているため、リング同士が重なっている部分を有しているリング状線材Lを短時間に且つ均一に所定の加熱温度に加熱するのが困難であるという欠点があった。
また、特許文献1に記載の線材の熱処理ラインは、リング状線材Lを加熱するに際し、所定の加熱温度に到達するまでに時間がかかり、加熱時間に見合った長さの搬送コンベアが必要となるため、ラインが長大となるという問題もあった。
本発明は、上記従来技術の問題点を解決するものであり、線材熱処理ラインに適用して、迅速にかつ均一に所定の加熱温度に加熱することが可能なリング状線材の加熱装置およびその加熱方法を提供することを目的とする。
本発明に係るリング状線材の加熱装置は、巻取装置によってリング状に巻き取られ、搬送コンベアにより搬送されるリング状線材を加熱するリング状線材の加熱装置であって、リング状線材を上下から挟むように、リング状線材の移送方向箇所に配置した少なくとも一対の電極ローラを有することを特徴とする。
本発明に係るリング状線材の加熱方法は、リング状線材を搬送コンベアにより搬送しつつ、加熱するリング状線材の加熱方法であって、リング状線材を上下に配置した少なくとも一対の電極ローラにより挟み、該一対の電極ローラを介してリング状線材に電流を流し、リング状線材を直接通電加熱することを特徴とする。
本発明によれば、線材熱処理ラインにおいて、迅速にかつ均一に所定の加熱温度に加熱することができる。このため、本発明を適用した線材熱処理ラインにおいて、線材の炭化物の球状化焼鈍または軟化焼鈍を行うことができ、冷間鍛造性に優れた線材を効率よく製造することが可能である。
以下、図面を用いて本発明の実施例の形態について説明する。
図1は、本発明の実施例の形態に係るリング状線材の加熱装置を適用した線材熱処理ラインの説明図であり、図2は、図1に示す線材熱処理ラインの要部を示す縦断面模式図である。図3は、本発明の実施例の形態に係るリング状線材の加熱装置の構成を示す概略図である。
先ず、本発明を適用した線材熱処理ラインについて図を用いて説明する。
この本発明を適用した線材熱処理ラインは、図1、図2において、符号を付した装置を使用するラインである。すなわち、仕上圧延機1、水冷帯2、巻取装置3、搬送装置としての搬送コンベア4、加熱装置5、集束装置6、およびトラバース装置7、トンネル型徐冷炉8、取り出し室9を使用する。
この線材熱処理ラインにおいては、仕上圧延機1で仕上圧延され、水冷帯2により所定の温度に水冷された線材を巻取装置3によりリング状に巻き取った後、リング状線材Lを搬送コンベア4で搬送しつつ、加熱装置5により所定の加熱温度に加熱し、第1の集束装置6により集束してコイル状線材Mとする。引き続き、この線材熱処理ラインでは、コイル状線材Mを第1の集束装置6に連設したトンネル型徐冷炉8を通過させる。このようなライン構成とすることで、加熱装置5により所定の加熱温度に再加熱されたコイル状線材を0.5℃/秒以下の冷却速度で徐冷できる。
仕上圧延機1は、供給された中間素材に所望の減面率、所定の温度範囲で仕上圧延を施して、水冷帯2に仕上圧延された線材を送給可能に構成され、また、水冷帯2は、仕上圧延された線材を水冷により効率よく冷却し、仕上圧延された線材の温度を該鋼のAr1変態点以下の温度に冷却することができる。所定の温度に冷却された線材は、巻取装置3に送給される。巻取装置3は、所定の温度に冷却された線材を巻き取って、リング状線材Lとすることができる。搬送コンベア4は、搬送ローラ4Aを有し、巻取装置3によって巻き取られ、リング状線材Lを集束装置6まで搬送可能に構成されている。加熱装置5については後述する。
また、トラバース装置7は、コイル状線材を集束装置6の位置からトンネル型徐冷炉8の入側位置へ搬送する、例えば、搬送台車などを有する装置とされている。トンネル型徐冷炉8は、入口、出口の遮蔽扉と、上、下の複数箇所に設置されたラジアントチューブと、回転可能な複数の循環ファンおよび複数の搬送ローラを有するものとすることができる。図1、図2中、符号M1、M2、M3、M4…Mnは、各過程でのコイル状線材を示す。
ここで、符号4Aは、巻取装置3から集束装置6までの間に配置された搬送ローラを示す。リング状線材Lは、搬送ローラ4Aにより搬送されながら、加熱装置5により所定の加熱温度に加熱される。
図3を用いて、本発明の実施例の形態に係るリング状線材の加熱装置5について説明する。図中、符号50A、50Bは、電極ローラを示し、符号51は電源、符号52で示す矢印は、上側の電極ローラ50Aの移動方向を示す。
本発明の実施例の形態に係るリング状線材の加熱装置は、リング状線材Lを上、下から挟むように、リング状線材Lに対して上下に配置された10対の電極ローラ50A、50Bを有する。各対の電極50A、50B は、並列に電気を供給する電源51に接続されている。電源51は、直流もしくは交流とすることができる。なお、リング状線材Lの電気抵抗が小さいので、電源51は大電流を流すことができるものとする。
なお、上下の電極ローラ50A、50Bの胴長は、リング状線材Lの移送幅D’より長くされている。また、上側の電極ローラ50Aと下側の電極ローラ50Bは、千鳥状に配置されていると共に、図示しない軸受けにより回転自在に支持されている。下側の電極ローラ50Bは、搬送コンベア4の搬送ローラ4Aとしての機能も併せ持つ。
この場合、リング状線材Lの移送方向箇所に10対の電極ローラ50A、50Bを配置した加熱装置としたが、本発明では、リング状線材Lの移送方向に配置する電極ローラの数およびリング状線材Lに流す電流量は、加熱温度、加熱速度、線材の材質、線材の直径d、コイル径D等により、適宜決めることができる。
上述した加熱装置を用いたリング状線材の加熱方法は、リング状線材Lを搬送しつつ、加熱する際、リング状線材Lを上下から少なくとも一対の電極ローラにより挟み、リング状線材Lに電流を流し、リング状線材Lを直接通電加熱することにより、短時間でかつ均一に所定の加熱温度にまで加熱することができる。
従って、上述した実施例の形態に係る加熱装置によれば、電気ヒータやラジアントチューブなどを有する保熱カバーで搬送コンベアを覆う装置に比べて、加熱速度を極めて速くすることができ、加熱装置のライン方向長さを短くすることができる。
電極ローラ50A、50Bの材質は、カーボンなどの材質とするのが好ましい。上述した電極ローラ50A、50Bの材質をカーボンとした場合、強度、寿命などの観点から直径は、100〜200mmとすることが好ましく、また、外層をカーボン製、内層を鋼製とするとより好ましい。
上述した本発明の実施の形態に係るリング状線材の加熱装置を図1、図2に示した線材熱処理ラインの加熱装置として適用することにより、軟化焼鈍処理あるいは炭化物の球状化焼鈍処理を行うことができる。このような熱処理を施した加熱線材は、例えば、高圧縮率で冷間加工される部品に好適である。
図1、図2に示した線材熱処理ラインを用いて、規格JIS SCM415(C:0.15mass%、Si:0.20mass%、Mn:0.30mass%、P:0.01mass%、S:0.01mass%、Cr:1.1mass%、Mo:0.18mass%、残部Feおよび不可避的不純物)を直径4.0mmφに仕上圧延した後、冷却帯2にて650℃まで冷却し、ついで、巻取装置3でコイル径が1000mm、移送方向のずれ量が10mmのリング状線材とし、この後に加熱装置5を用いて加熱するにあたり、加熱装置5として以下に示した2種類の加熱装置を用いた。
(発明例)
加熱装置:通電加熱
電極配置:リング状線材の上下両側に10対配置(下側の電極は搬送ローラを兼ねる)(図3参照)
電極仕様:直径100mmφ、カーボン製ローラ型電極
加熱装置の移送方向全長:8m
リング状線材の通過時間:15秒
供給電力:電圧30V、電流合計10kA
(比較例)
加熱方式:電気ヒータによる炉加熱
設定炉温:800℃
加熱炉の移送方向全長:8m
リング状線材の通過時間:15秒
そして、加熱装置出側における線材温度を放射温度計により測定した。放射温度計はリング状線材の移送幅方向中央部および移送幅方向端部の温度をそれぞれ測定できるように配置した。測定結果を表1に示す。
(発明例)
加熱装置:通電加熱
電極配置:リング状線材の上下両側に10対配置(下側の電極は搬送ローラを兼ねる)(図3参照)
電極仕様:直径100mmφ、カーボン製ローラ型電極
加熱装置の移送方向全長:8m
リング状線材の通過時間:15秒
供給電力:電圧30V、電流合計10kA
(比較例)
加熱方式:電気ヒータによる炉加熱
設定炉温:800℃
加熱炉の移送方向全長:8m
リング状線材の通過時間:15秒
そして、加熱装置出側における線材温度を放射温度計により測定した。放射温度計はリング状線材の移送幅方向中央部および移送幅方向端部の温度をそれぞれ測定できるように配置した。測定結果を表1に示す。
表1に示す結果から、本発明の加熱装置によればリング状線材を短時間で加熱することが可能となる。
これに対し、比較例の電気ヒータによる炉加熱の場合には、昇温速度が遅いため15秒間ではリング状線材の温度上昇がほとんど認められなかった。
L リング状線材
M(M1、M2、M3、M4…Mn) コイル状線材
D コイル径
d 線材の直径
D’ リング状線材Lの移送幅
1 仕上圧延機
2 水冷帯
3 巻取装置
4 搬送コンベア(搬送装置)
4A 搬送コンベア4の搬送ローラ
5 加熱装置
6 集束装置
7 トラバース装置
8 トンネル型徐冷炉
9 取り出し室
50A、50B 電極ローラ
51 電源
52 上側の電極50Aの移動方向
M(M1、M2、M3、M4…Mn) コイル状線材
D コイル径
d 線材の直径
D’ リング状線材Lの移送幅
1 仕上圧延機
2 水冷帯
3 巻取装置
4 搬送コンベア(搬送装置)
4A 搬送コンベア4の搬送ローラ
5 加熱装置
6 集束装置
7 トラバース装置
8 トンネル型徐冷炉
9 取り出し室
50A、50B 電極ローラ
51 電源
52 上側の電極50Aの移動方向
Claims (2)
- 巻取装置によってリング状に巻き取られ、搬送コンベアにより搬送されるリング状線材を加熱するリング状線材の加熱装置であって、前記リング状線材を上下から挟むように、前記リング状線材に対して上下に配置された少なくとも一対の電極ローラを有することを特徴とするリング状線材の加熱装置。
- リング状線材を搬送しつつ、加熱するリング状線材の加熱方法であって、前記リング状線材を上下から少なくとも一対の電極ローラにより挟み、前記リング状線材に電流を流し、前記リング状線材を直接通電加熱することを特徴とするリング状線材の加熱方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004047044A JP2005232577A (ja) | 2004-02-23 | 2004-02-23 | リング状線材の加熱装置およびその加熱方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004047044A JP2005232577A (ja) | 2004-02-23 | 2004-02-23 | リング状線材の加熱装置およびその加熱方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2005232577A true JP2005232577A (ja) | 2005-09-02 |
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ID=35015831
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2004047044A Pending JP2005232577A (ja) | 2004-02-23 | 2004-02-23 | リング状線材の加熱装置およびその加熱方法 |
Country Status (1)
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---|---|
JP (1) | JP2005232577A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN102489533A (zh) * | 2011-12-04 | 2012-06-13 | 西北有色金属研究院 | 一种MgB2线材的电塑性拉拔装置及拉拔方法 |
KR101490630B1 (ko) | 2013-11-13 | 2015-02-05 | 주식회사 포스코 | 선재코일 균일냉각장치 |
-
2004
- 2004-02-23 JP JP2004047044A patent/JP2005232577A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN102489533A (zh) * | 2011-12-04 | 2012-06-13 | 西北有色金属研究院 | 一种MgB2线材的电塑性拉拔装置及拉拔方法 |
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