JP2005232097A - ビス(ビフルオレニル)−アリールアミン、その製造方法、それを用いたホール注入材料および有機el素子 - Google Patents
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- BROYLFWUDCVRTI-UHFFFAOYSA-N CCC1(CC)c(cc(cc2)-c(cc3)cc(C4(CC)CC)c3-c3c4cccc3)c2C(C=C2)=C1CC2Br Chemical compound CCC1(CC)c(cc(cc2)-c(cc3)cc(C4(CC)CC)c3-c3c4cccc3)c2C(C=C2)=C1CC2Br BROYLFWUDCVRTI-UHFFFAOYSA-N 0.000 description 1
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Abstract
【解決手段】 一般式(1)
【化1】
〔式中、Qは、
【化2】
であり、R1〜R34は水素、置換基を有することもあるアルキル基、置換基を有することもあるアリール基および置換基を有することもあるヘテロアリール基よりなる群からそれぞれ独立して選ばれた基であり、
Ar1およびAr3は、置換基を有することもあるアリール基および置換基を有することもあるヘテロアリール基よりなる群からそれぞれ独立して選ばれた基であり、Ar2は置換基を有することもあるアリーレン基および置換基を有することもあるヘテロアリーレン基よりなる群から選ばれた基である。〕
で示されるビス(ビフルオレニル)−アリールアミン、その製造方法、それを用いたホール注入材料および有機EL素子。
【選択図】 なし
Description
それまではアントラセンなどの単結晶を発光材料に使用した物があったが、このものは高電圧であり輝度もそれほど高くなく、表示材料としてとても使用できるものではなかった。
タングらの有機ELの長所は、電荷の輸送部と発光機能部を分離したことであり、これによりそれまでの有機EL素子に比べて低電圧駆動で高輝度が得られるようになった。この技術のさらなる改良によって、有機EL素子は1998年に初めて車載用のディスプレイとして使用されるようになった。
有機ELがディスプレイとして使用されるには、これに使用される材料がその優劣を決める重要な要素であり、これまで多くの材料が開発され、ディスプレイの構成材料として検証されてきた。
材料に要求される項目としては、効率を高めること、素子の寿命を使用に十分耐えうるだけなものにすることが挙げられる。
これらの問題を解決する一つの方法としては、機能をさらに細分化し複数の機能を材料に持たせないことがある。これによりさらなる低電圧、高輝度の性能を有するディスプレイの開発が可能である。
この目的を達するためにITO基板の上にホールの注入層を、その上にホール輸送層を設け、発光層、電子輸送層、電子注入層、陰極電極の順で積層させていくのが一般的である。
このような素子の長所は、電荷の注入がスムーズに行なわれ発光層で確実に再結合が行なわれることである。
電子注入層に使用される材料としては、リチウム金属を含むものが一般的であり、例えば金属リチウムや8−ヒドロキシキノリンのリチウム錯体などが一般的である。また、1,10−フェナンソリジンにリチウムをドープしたものも使用される。
一方ホール注入材料としては、低分子材料の銅フタロシアニン(CuPc)が有名である。また、高分子材料としてポリアニリン−ポリスチレンスルホン酸(Pani−PSS)やポリエチレンジオキサチオフェン−ポリスチレンスルホン酸(PEDOT−PSS)などが用いられる。また特許文献1では、テトラフェニレンジアミン誘導体ルイス酸ドープ錯体(TPDDES−TBPAH)なども使用されている。
しかし、これらの材料では、銅フタロシアニンの場合ではこれが赤色発光を吸収するために赤色の発光材料との組合わせは適当とは言えない。また前述の高分子材料ではこれらを水溶媒からスピンコートするため、完全に水分を除去する必要があり、これを完全に除くには高温で高真空下を必要とし、水分に弱い有機EL素子にとっては必ずしも最良の素子作成には成り得ない。
そこで高性能の有機ELを作成するために、これらの弱点を克服しうる新規なホール注入材料の開発が必要であった。
Ar1およびAr3は、置換基を有することもあるアリール基および置換基を有することもあるヘテロアリール基よりなる群からそれぞれ独立して選ばれた基であり、Ar2は置換基を有することもあるアリーレン基および置換基を有することもあるヘテロアリーレン基よりなる群から選ばれた基である。〕
で示されるビス(ビフルオレニル)−アリールアミンに関する。
本発明の第2は、一般式(2)
で示されるハロゲン化ビフルオレンと、一般式(2′)
で示されるハロゲン化ビフルオレンに、
一般式(3)
で示されるアミンを反応させることを特徴とする一般式(1)
Ar1およびAr3は、置換基を有することもあるアリール基および置換基を有することもあるヘテロアリール基よりなる群からそれぞれ独立して選ばれた基であり、Ar2は置換基を有することもあるアリーレン基および置換基を有することもあるヘテロアリーレン基よりなる群から選ばれた基である。〕
で示されるビス(ビフルオレニル)−アリールアミンの製造方法に関する。
本発明の第3は、請求項1記載のビス(ビフルオレニル)−アリールアミンよりなるホール注入材料に関する。
本発明の第4は、請求項1記載のビス(ビフルオレニル)−アリールアミンを含有する有機EL素子に関する。
本発明の第5は、請求項1記載のビス(ビフルオレニル)−アリールアミンとルイス酸とを含有する有機EL素子に関する。
また、この化合物のもつエネルギーレベルは、ITOのもつイオン化ホテンシャルとも近似していることから、ITOからのホールの注入をスムースに進行させる。
したがって、本発明の化合物は有機EL素子のITO基板上に積層され、とくにホール注入層として使用されるため、ホールの注入されにくさが改善され、素子上でのホールと電子のエネルギーの注入バランスを整えることができる。このため本発明化合物を使用した有機EL素子、高寿命で素子耐久性にも優れ、かつEL素子としての特性にも優れている。
(1)2−ブロモ−9,9−ジエチルフルオレン〔2−bromo−9,9−diethylfluorene(BDEF)〕の合成
また大気中光電子分光装置(AC−1)の測定により、HOMOの値は5.4eVであり、Egとの差よりLUMOの値は3.2eVと見積もった。
またDFPA2の分解温度は424.0℃であり、ガラス転移温度は129.7℃であった。
また、表2は、DFPA2の蛍光スペクトルを示しており、表2中のfilmは材料を蒸着した薄膜状で測定したものであり、クロロホルムは材料をクロロホルムに溶かした溶液で測定したものである。欄外のsolutionについてはクロロホルムに溶かした時の濃度、filmについては薄膜の厚みを表している。λexは吸収光を、λemは蛍光のそれぞれのもっとも強いところを数値化したものである。
4,4′−ジフェニル−4,4′−ビス(9,9,9′,9′−テトラ−エチル−2,2−テトラ−エチル−2,2−ジフルオレニル−7−イル)−ジアミノビフェニル〔4,4′−Diphenyl−4,4′−bis(9,9,9′,9′−tetra−ethyl−2,2−tetra−ethyl−2,2−difluorenyl−7−yl)diaminobiphenyl〕の合成
下記の層構成の有機EL素子を作った。ただし、実施例においては合成例1の(5)で示すビス(9,9,9′,9′−テトラ−n−エチル−2,2′−ジフルオレニル−7−イル)−フェニルアミン(DFPA2)よりなるオリゴマーをバッファー層(ITOの上に設けられている層を俗にバッファー層と呼び、本発明においては、この層がDFPA2を含有することによりホール注入層として機能している)に用いた有機EL素子を作った。この有機EL素子の構造は図11に示す。
比較例1〔ITO/α−NPD(40nm)/Alq3(60nm)/LiF(0.5nm)/Al(100nm)〕
実施例1〔ITO/DFPA2(20nm)/α−NPD(20nm)/Alq3(60nm)/LiF(0.5nm)/Al(100nm)〕
実施例2〔ITO/DFPA2:TBPAH(5wt%)(20nm)/α−NPD(20nm)/Alq3(60nm)/LiF(0.5nm)/Al(100nm)〕
実施例3〔ITO/DFPA2:TBPAH(10wt%)(20nm)/α−NPD(20nm)/Alq3(60nm)/LiF(0.5nm)/Al(100nm)〕
実施例4〔ITO/DFPA2:TBPAH(15wt%)(20nm)/α−NPD(20nm)/Alq3(60nm)/LiF(0.5nm)/Al(100nm)〕
DFPA2のジクロロエタン溶液(濃度 5g/l)にルイス酸としてSbCl6 −を含んだトリス(4−ブロモフェニル)アルミニウムヘキサクロロアンチモネート(TBPAH)塩(0〜15wt%)をドーピングしたものをホール注入層としてスピンコート法によりITO基板上に200Å厚で成膜した。その上にホール輸送材料としてのα−NPD200Å、電子輸送性発光層としてのAlq3600Å、陰極材料としてのLiF/Al(5Å/1000Å)を、それぞれ真空蒸着法により成膜した。
オリゴマー溶液にドーパントであるトリス(4−ブロモフェニル)アルミニウムヘキサクロロアンチモネート(TBPAH)を分散させると、溶液色が変色しオリゴマーやドーパントのどちらでもない茶色への変色を観察した。これはオリゴマーとドーパントの間で電荷移動(CT)錯体が形成されたと考えられる。つまりドーパントのTBPAHのアクセプター性SbCl6 −がオリゴマーのドナー性窒素との間で電荷移動相互作用を起こし、電荷移動により吸収が長波長にシフトしたと考えられる。このCT錯体形成の様子は石英基板上に成膜した膜のUV−vis吸収スペクトルで500nm付近に新たなピークが表われたことから確認できた。
なお、α−NPD、Alq3、TBPAHの構造式は下記に示すとおりである。
洗浄したITO基板上にホール輸送層としてα−NPD400Å、電子輸送性発光層としてAlq3600Å、陰極電極としてLiF/Al(5Å/1000Å)をそれぞれ真空蒸着法により成膜した。
図中、黒ひし形印は比較例1の素子のデータである。黒逆三角印は実施例1の素子のデータである。三角印は実施例2の素子のデータである。黒四角印は実施例3の素子のデータである。黒丸印は実施例4の素子のデータである。図5は、各素子における輝度−電圧特性を示すグラフである。発光開始電圧は、それぞれとも2.5V付近からであるが、比較例に用いられているα−NPDをホール輸送剤に用いている素子(比較例1)に比べ、ホール注入層としてDFPA2を一層挿入した素子(実施例1〜4)は輝度においてそれを上回る結果が得られている。さらにDFPA2にバッファー剤であるTBPAHを加えた素子(実施例2〜4)はさらによい結果が表われている。
図6は、電流密度−電圧特性を表すグラフである。これについては、低電圧側で一部リーク電流の発生も見られるが、相対的に高電圧側では素子に入る電流の量はDFPA2にTBPAHを加えたもの(実施例2〜4)の方がTBPAHを加えないもの(実施例1)より特性的に優れている。
図7は、輝度−電流密度特性を表すグラフである。α−NPDを用いた素子(比較例1)は10−1mA/cm2で発光を開始するが、DFPA2やこれにルイス酸のTBPAHを加えた素子(実施例1〜4)は10−3mA/cm2付近から発光を開始する。またそれぞれの素子が右上がりの直線になっていることからホールと電子のキャリアバランスがとれていることを示している。ルイス酸のTBPAHを15wt%加えた素子(実施例4)については、ホールの注入効果が大きすぎるのか低電流密度においてバランスをうしなっているが、10mA/cm2を過ぎたところからはバランスが取れ他の素子同様正の相関関係が得られている。
図8は、電流効率−電圧特性を表すグラフである。多少のばらつきは見られるもののα−NPDだけの素子(比較例1)に比べて10wt%のTBPAHを加えたDFPA2の素子(実施例3)がより低電圧側で駆動を開始している。15wt%のTBPAHを加えた素子(実施例4)については図7に見られたことと同様な影響が表われたためか高電圧シフトしてしまっている。しかし5V付近からはきちんとした相関関係が得られている。
図9は、視感効率−電圧特性を表すグラフである、ここでも10wt%のTBPAHを加えたDFPAの素子(実施例3)が、α−NPDだけの素子(比較例1)に比べてより低電圧側で駆動を開始している。
なお、図10のELスペクトルよりほぼAlq3由来の発光であることが判った。これよりα−NPD層では発光していないことが解った。また可視領域での吸収の影響が少ないと考えられる。
以上のことからホール輸送層にα−NPD、電子輸送兼発光層にAlq3を用いた2層型の素子に比べて、ホール注入層にDFPA2あるいはDFPA2にルイス酸(TBPAH)を加えた3層型の素子の方が効率がよいことが分かる。それぞれの結果を考察してもっとも最適化された素子構造は、DFPA2に10wt%のTBPAHを加えたもの(実施例3)であり、ついで5wt%のTBPAHを加えたもの(実施例2)、15wt%添加したもの(実施例4)、DFPA2だけのもの(実施例1)、そして2層型の素子(比較例1)という順になる。
表4より、バッファー層を使用した素子(実施例1〜4)、とくにルイス酸をドープした素子(実施例2〜4)は使用しない素子(比較例1)に比べ、いずれも低電圧(8.5V以下)での最高輝度を記録している。とくに10wt%ルイス酸をドープしたもの(実施例3)は最大視感効率4.4lm/W、最大外部量子効率2.09p/e%と良い特性を得ることができた。これはホール注入層のオリゴマーをドーパントTBPAHでドープすることによってTBPAHのルイス酸であるSbCl6 −がオリゴマー上の窒素の非共有電子対から一個の電子を引き抜きラジカルカチオンが形成され、陽極界面においてキャリア密度が増加したため、陽極からホール注入性が向上したと考えられる。結論的には、ルイス酸をDFPA2にドープし、ホール注入層として挿入することにより、有機EL素子の陽極/有機層界面でのホール注入性が向上し素子の輝度、電流密度、視感効率が向上することができた。
Claims (5)
- 一般式(2)
で示されるハロゲン化ビフルオレンと、一般式(2′)
で示されるハロゲン化ビフルオレンに、
一般式(3)
で示されるアミンを反応させることを特徴とする一般式(1)
Ar1およびAr3は、置換基を有することもあるアリール基および置換基を有することもあるヘテロアリール基よりなる群からそれぞれ独立して選ばれた基であり、Ar2は置換基を有することもあるアリーレン基および置換基を有することもあるヘテロアリーレン基よりなる群から選ばれた基である。〕
で示されるビス(ビフルオレニル)−アリールアミンの製造方法。 - 請求項1記載のビス(ビフルオレニル)−アリールアミンよりなるホール注入材料。
- 請求項1記載のビス(ビフルオレニル)−アリールアミンを含有する有機EL素子。
- 請求項1記載のビス(ビフルオレニル)−アリールアミンとルイス酸とを含有する有機EL素子。
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