JP2005230961A - ワークロールのオンライン研削方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】厚鋼板などに用いられる被圧延材の圧延時間が短いリバース圧延機におけるワークロールにも適用でき、ワークロール表面を一定の深さで安定して研削するオンラインロール研削方法を提供する。
【解決手段】ワークロールの軸芯振れ防止装置を有する圧延機の操業中に該ワークロールを研削するオンライン研削方法であって、前記ワークロールが被圧延材を噛み込んでない状態で待機位置にて回転している際に該ワークロールの外面に砥石を押し付けて研削し、該研削中は前記ワークロールの軸芯振れ防止装置を動作状態にして、研削中の前記ワークロールの軸心振れを防止することを特徴とするワークロールのオンライン研削方法。
【選択図】 図3

Description

本発明は、ワークロールの軸芯振れ防止装置を有する圧延機の操業中に該ワークロールを研削するオンライン研削方法に関する。
圧延機の操業中にワークロールを研削し、圧延によって生じるワークロール表面の凹凸をなくすことによって1本のロールによって圧延できる生産量(ロール単位)を増大させるオンラインロール研削装置は、従来から熱延鋼板における仕上げ圧延機などに用いられており、このオンラインロール研削装置には以下の機能が必要である。
すなわち、オンラインロール研削装置は、圧延機に設置された研削装置で、砥石をロールに接触させ、ロールを回転させながら研削する。そのとき、ワークロール表面の一定の深さを安定して研削する必要がある。深さが不安定のまま研削すると、ロール真円度が悪化したり、ロールのプロファイルが崩れたりする恐れがあり、圧延の精度維持(キャンバー、板厚など)が困難となる。
そこで、例えば、特開平5−23715号公報には、被圧延材が圧延ロールに噛み込まれる時および圧延ロールを抜け出る時にはロール研削を中断することによってロール噛み込み時等のショックによりロール表面に研削斑が生じることを防止する方法が開示されている。
また、特開平6−47654号公報には、圧延ロールからの振動を吸収するための砥石として、弾性研削砥石を用いる方法が開示されている。
しかし、これらの従来のオンラインロール研削方法は、熱間仕上げ圧延に用いられるタンデム圧延機に用いることを前提としており、このタンデム圧延は圧延時間が数十秒間以上なので圧延中にロール研削を行うことができ、ワークロールに圧延荷重がかかった状態で研削を行うため、研削中のワークロールの振動は比較的小さく、ワークロールの振動がロール研削に及ぼす影響は小さかった。
一方、例えば、製品板厚が6mmを超えるような厚板に用いられる仕上げ圧延機は、被圧延材を往復させて圧延するいわゆるリバース圧延機であり、リバース圧延の場合は一回の圧延時間が数秒以内と極めて短く、圧延中にロール研削を行うことができないため、被圧延材を噛み込んでいない、即ち、ワークロールに圧延荷重がかかっていない状態で研削するのでワークロールの振動がロール研削に及ぼす影響が大きく、ワークロール表面を一定の深さで安定して研削することが困難であるという問題点があった。
また、ワークロールの振動を防止する方法としては、例えば、特開昭58−167010号公報に、圧延機に油圧シリンダーを設けて、鋼板噛込時にワークロールの振動を防止する方法が開示されている。
また、特開平5−38504号公報には、クロスロール圧延機に油圧シリンダーを設けて、圧延中にワークロールがクロス方向し振動するのを防止する方法が開示されている。
しかし、これらの従来技術は、油圧シリンダーを用いて圧延機のワークロールの振動を防止することによって被圧延材の板厚精度を向上させるものであり、本発明が課題とする、オンラインロール研削時におけるワークロールの振動を防止するという課題は開示されていない。
特開平5−23715号公報 特開平6−47654号公報 特開昭58−167010号公報 特開平5−38504号公報
そこで、本発明は、前述のような従来技術の問題点を解決し、厚鋼板などの圧延時間が短い短尺の被圧延材を圧延対象とする圧延機におけるワークロールの表面を一定の深さで安定して研削することができるオンラインロール研削方法を提供することを課題とする。
本発明は、ワークロールが待機位置にある際に、圧延機に設けたワークロールの軸芯振れ防止装置を動作させて、ワークロールの軸芯振れを抑制した状態で研削を行うことにより、厚鋼板などの圧延時間が短い短尺の被圧延材を圧延対象とする圧延機におけるワークロールの表面を一定の深さで安定して研削することができるオンラインロール研削方法を提供するものであり、その要旨とするところは特許請求の範囲に記載した通りの下記内容である。
(1)ワークロールの軸芯振れ防止装置を有する圧延機の操業中に該ワークロールを研削するオンライン研削方法であって、前記ワークロールが被圧延材を噛み込んでない状態で待機位置にて回転している際に該ワークロールの外面に砥石を押し付けて研削し、該研削中は前記ワークロールの軸芯振れ防止装置を動作状態にして、研削中の前記ワークロールの軸心振れを防止することを特徴とするワークロールのオンライン研削方法。
(2)前記ワークロールを砥石で研削中に、前記軸芯振れ防止装置を動作状態から非動作状態に変更しないことを特徴とする(1)に記載のワークロールのオンライン研削方法。
(3)前記軸芯振れ防止装置が油圧ジャッキであることを特徴とする(1)または(2)に記載のワークロールのオンライン研削方法。
(4)前記研削中におけるワークロールの軸芯振れの振幅を20μm以下とすることを特徴とする(1)乃至(3)のいずれかに記載のワークロールのオンライン研削方法。
本発明によれば、ワークロールが待機位置にある際に、圧延機に設けたワークロールの軸芯振れ防止装置を動作させて、ワークロールの軸芯振れを抑制した状態で研削を行うことにより、圧延時間が短い厚鋼板などの圧延時間が短い短尺の被圧延材を圧延対象とする圧延機におけるワークロールの表面を一定の深さで安定して研削することが可能となり、ロールの真円度を長期に維持できるオンラインロール研削方法を提供することができるなど、産業上有用な著しい効果を奏する。
本発明の実施形態について、図1乃至図3を用いて詳細に説明する。
なお、以下の実施形態における被圧延材として厚鋼板(以下単に鋼板とも称す)を例にとって説明する。
図1は、本発明のオンラインロール研削方法の実施形態を例示する図であり、圧延機を側面から見た断面図である。
図1において、1はワークロール、2はバックアップロール、3はロールチョック、4、はワークロールの軸芯振れ防止装置、5はハウジングを示す。
ワークロール1およびバックアップロール2は両端をそれぞれロールチョック3(軸受け箱)で支持され、圧延機のハウジング5に固定される。ハウジング5とロールチョック3が接する面には、それぞれライナが取り付けられている。ライナは、ロールギャップ設定のための昇降やロール組替のための出し入れによって摩耗する。このライナの摩耗が進展すると、圧延機との間のクリアランス(ギャップ)によるガタが生じ、ワークロール回転時の軸芯振れが増加する。
この軸芯振れは、前述の弾性砥石を用いれば、ある程度の軸芯振れを吸収することができるが、軸芯振れが大きくなった場合はワークロールと砥石の接触圧変動が増加する。
ワークロールの軸芯振れを低減するためにはライナの摩耗管理を厳密に行う必要があり、ライナを頻繁に交換する必要があるため生産コストが増大する。
研削深さは砥石の押付荷重で決定されるため、荷重偏差が大きいと研削深さが変動する。ワークロールの軸芯振れはロールの回転周期に対応して発生するため、軸芯振れが大きい状態で研削を続けると、ロールの真円度が悪化し、鋼板の板厚偏差が増加する等、品質面での不具合が発生する。
また、圧延機のワークロールを回転させると、特に圧延荷重が発生していない無負荷状態では、機械ガタによりワークロールの軸芯振れが発生する。研削対象であるロールが変位すると砥石とロールの接触圧が変動し、その変動によって研削深さが変化する。
<ロール軸芯振れを低減させる方法>
そこで本発明においては、ロールチョック3(軸受け箱)とハウジング5の間にワークロールの軸芯振れ防止装置4を設け、この軸芯振れ防止装置4を動作させることでクリアランスを無効にするので、ワークロールの固定力が増し、回転時の軸芯振れを低減することができる。
ワークロールを砥石で研削中に軸芯振れ防止装置の動作状態から非動作状態に変更すると、その変更した瞬間にワークロールが振動する場合があり、ワークロールの研削深さが変化したり、砥石に負荷が掛かり該砥石が破損する場合があるために、軸芯振れ防止装置の動作状態を変更しないことが好ましい。
尚、 軸芯振れ防止装置の動作状態とは、例えば、軸芯振れ防止装置として下記油圧シリンダーを用いる場合にはシリンダーロッドを伸長した状態をいう。
また、軸芯振れ防止装置の非動作状態とは、例えば、下記油圧シリンダーを用いる場合にはシリンダーロッドを縮小した状態をいう。
図1においては、軸芯振れ防止装置4を上下それぞれ4箇所、合計8箇所に設置しているが、少なくとも1箇所に設置すればよく、この軸芯振れ防止装置4を複数箇所に設置することによって、ワークロールの軸芯振れをさらに低減することができる。
また、ワークロールの軸芯振れ防止装置4として油圧ジャッキを用いることによって、簡便かつ効果的にワークロールの軸芯振れを防止できる。
<研削タイミング>
また、本発明は、オンラインロール研削は、鋼板の噛込みや尻抜けのタイミングを回避する必要がある。これらのタイミングは研削装置への衝撃が大きく、ロールに接触している砥石が破損する恐れがあるからである。
従って、研削タイミングとしては、1)鋼板を噛み込んでいない状態(圧延休止状態)、あるいは2)圧延中が挙げられる。
圧延中であれば圧延反力によってロールは固定され軸芯振れは小さいが、例えば製品板厚が6mm以上の厚鋼板をリバース圧延機で圧延する場合には一回の圧延時間は数秒間と短いため、圧延中にロール研削を行うことができない。
そこで、本発明においては、ワークロールが鋼板を噛み込んでない状態で待機位置にて回転している際に該ワークロールの外面に砥石を押し付けながらロール軸方向に移動させて研削する。
ここに、待機位置とは、次に鋼板を噛み込んで圧延するために、ロールギャップを調整した状態でワークロールが待機している状態をいい、例えば、図3における先行材圧延完了から当該材圧延開始までのターン時間のうちギャップ調整時間を除いたワークロールの状態がこれに相当する。
しかし、鋼板を噛み込んでいない状態では無負荷となるためロール回転時の軸芯振れが大きく、研削深さが不安定になりやすい。
そこで本発明においては、鋼板を噛み込んでいない状態で軸芯振れ防止装置を動作させ、ロールを固定しながら研削することによって、研削精度を確保することができる。
また、本発明者らは研削中におけるワークロールの軸芯振れの振幅(±を合計した全幅)を小さくすることによりワークロール表面を一定の深さで安定して研削することができることを見出し、実験の結果、この振幅を20μm以下とすることが好ましいことをつき止めた。
なお、本発明においては砥石の仕様は問わないが、100〜500kgの押し付け力で1mm撓むバネ剛性を有する弾性砥石を用いることによって、ワークロールの軸芯振れをさらに吸収することができる。
図2および図3は、本発明のオンライン研削方法の実施形態を例示する図である。
図2において、1はワークロール、2はバックアップロール、6はロール研削装置を示す。
本実施形態においては、上下のワークロール1のそれぞれに左右一対、合計4台のロール研削装置6が設けられており、図2に示すように、シリンダを動作させることによって、研削ヘッドがフレームに沿って進退し、砥石をワークロール1の表面に押し付けながらロール軸方向に移動させることによってワークロールの表面を研削することができる。
図3は、本発明のロール研削方法における研削タイミングを例示する図である。
図3の縦軸は時間軸を示し、左側の図は、圧延される鋼板中央部の軌跡を示し、右側の図は研削装置の研削ヘッド位置を示す図である。
鋼板は、まずターンされ、複数回往復するリバース圧延によって幅出圧延された後に、再度ターンされて、リバース圧延によって仕上げ圧延される。
本実施形態においては、先行材の圧延が終了した後、後行材を噛み込むまでの間にターンするタイミングで、ロール研削を行うため、右側の図のように鋼板がターンする時間のうちワークロールのロールギャップ調整時間を除いた時間に研削ヘッドをワークロールに押し付けながらロール軸方向に移動させて研削する。その間、前述の油圧ジャッキを動作させてシリンダーロッドを伸長することによって、ロールチョック3をハウジング5に固定し、ワークロールの軸芯振れを抑制するので、ワークロール表面を一定の深さで安定して研削することができる。
なお、図3の実施形態では、1本の鋼板について2回ターンされるので、そのターンしている間、および、先行材の圧延が終了して次の後行材を噛み込む迄の間にロール研削を行う。
本発明のオンライン研削方法を厚鋼板のリバース圧延機に適用し、下記条件にて実施した結果を表1に示す。
なお、ロール研削は、次に鋼板を噛み込んで圧延するためにロールギャップの設定が完了した後に開始し、圧延を開始する迄に終了した。
<研削条件>
・ロールサイズ:φ735mm
・砥石粒度:#60、砥石バネ剛性:1000N/mm
・ 油圧ジャッキ押力・サイズ:25ton、100mmφ、ストローク10mm
<ロール使用限度>
ロールの真円度が悪化すると圧延精度が悪化するため、ロールの真円度(長径−短径)が20μm超でロールを交換する。
表1における実施例1は本発明例であって、軸芯振れ防止装置を動作状態にして、ロールの回転数を75rpmにしたところ、振幅20μmの軸芯振れに抑制され、その結果、ロール表面への砥石の押し付け荷重変動が±20Nとなり、ロールの研削基準深さ:2μmに対して±0.04μmの研削深さ変動となった。この研削深さ変動が小さいため、真円度も悪化せず、500回の研削を行うまでロール交換せずに圧延可能だった。
実施例2は本発明例であり、ロールの回転数を50rpmとしたところ軸芯振れの振幅が実施例1に対して半減し、その結果、研削深さ変動も半減した。
実施例3は本発明例であり、軸芯振れ防止装置を動作状態として、ロールの回転数を100rpmにしたところ、振幅30μmの軸芯振れとなった。この結果、±0.06μmの研削深さ変動が発生し、圧延可能な研削回数は333回で、実施例1〜2に比べると若干早いタイミングでロール交換が必要となった。
比較例1は、軸芯振れ防止装置を非動作状態(油圧ジャッキのシリンダーロッドを伸長せず縮小したままの状態)として、ロールの回転数を100rpmにしたところ、振幅80μmの軸芯振れが発生し、研削深さ変動は±0.16μmとなり、研削を125回実施したところで圧延精度が確保できずロールの組替を行った。
比較例2は軸芯振れ防止装置を非動作状態として、ロール回転数を50rpmとしたところ、振幅40μmの軸芯振れが発生し、比較例1と同様に研削を125回実施したところで圧延精度が確保できずロールの組替を行った。
比較例3は、軸芯振れ防止装置を動作状態として、ロール回転数を50rpmとして200回研削したが、この際の真円度は20μm以下であったが、次の回の研削途中に軸芯振れ防止装置を非動作状態としたので、砥石が破損したため、この時点で研削を中止し、砥石の交換を行うとともに、ワークロールの表面に傷が付いたので、ロールの組替も行った。
Figure 2005230961
本発明のオンラインロール研削方法の実施形態を例示する図であり、圧延機を側面から見た断面図である。 本発明のオンライン研削方法の実施形態を例示する図である。 本発明のロール研削方法における研削タイミングを例示する図である。
符号の説明
1 ワークロール
2 バックアップロール
3 ロールチョック
4 ワークロールの軸芯振れ防止装置(油圧ジャッキ)
5 ハウジング
6 ロール研削装置

Claims (4)

  1. ワークロールの軸芯振れ防止装置を有する圧延機の操業中に該ワークロールを研削するオンライン研削方法であって、前記ワークロールが被圧延材を噛み込んでない状態で待機位置にて回転している際に該ワークロールの外面に砥石を押し付けて研削し、該研削中は前記ワークロールの軸芯振れ防止装置を動作状態にして、研削中の前記ワークロールの軸心振れを防止することを特徴とするワークロールのオンライン研削方法。
  2. 前記ワークロールを砥石で研削中に、前記軸芯振れ防止装置を動作状態から非動作状態に変更しないことを特徴とする請求項1に記載のワークロールのオンライン研削方法。
  3. 前記軸芯振れ防止装置が油圧ジャッキであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のワークロールのオンライン研削方法。
  4. 前記研削中におけるワークロールの軸芯振れの振幅を20μm以下とすることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のワークロールのオンライン研削方法。
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