以下、図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面中、同一又は相当部分には同一符号を付することとし、重複する説明は省略する。
図1は本発明の電子写真感光体の好適な一実施形態を示す模式断面図である。図1に示した電子写真感光体(以下、「感光体」という)1は、導電性支持体2と、導電性支持体2上に形成された感光層3とを備え、感光層3は、導電性支持体2から近い順に、下引層4、電荷発生層5及び電荷輸送層6がこの順で積層されて構成されている。このうち、導電性基体2から最も遠い位置に配置されている電荷輸送層6は、電荷輸送材料に加えて、見かけ密度が0.35g/mL以下のフッ素系樹脂粒子と、フッ素系グラフトポリマーと、結着樹脂とを含有する。
導電性支持体2としては、従来から使用されているものであれば、如何なるものを使用してもよい。例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、ステンレス鋼等の金属類、およびアルミニウム、チタニウム、ニッケル、クロム、ステンレス鋼、金、バナジウム、酸化錫、酸化インジウム、ITO等の薄膜を設けたプラスチックフィルム等、あるいは導電性付与剤を塗布し又は含浸させた紙又はプラスチックフィルム等が挙げられる。導電性支持体2の表面は、必要に応じて、画質に影響のない範囲で各種の処理を行うことができる。かかる表面処理としては、例えば、陽極酸化処理、薬品処理、着色処理、あるいは砂目立て、液体ホーニング等の乱反射処理が挙げられる。
下引層4は電気特性向上、画質の向上、画質維持性の向上、感光層3と導電性支持体2との接着性の向上、耐リーク性の向上などの目的で設けられる層である。なお、下引層4を設けなくともこれらの特性が達成可能である場合には、導電性支持体2上に電荷発生層5を密接して配置してもよい。
下引層4の構成材料としては、ポリビニルブチラールなどのアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ゼラチン、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂などの高分子樹脂化合物が挙げられる。
また、ジルコニウム、チタニウム、アルミニウム、マンガン、シリコン原子などを含有する有機金属化合物などを用いてもよい。これらの化合物は単独にあるいは複数の化合物の混合物あるいは重縮合物として用いることができる。中でも、ジルコニウムもしくはシリコンを含有する有機金属化合物は残留電位が低い、環境による電位変化が少ない、また繰り返し使用による電位の変化が少ないなど電気特性上優れている。
さらに、導電性支持体2上の欠陥被覆、あるいは導電性支持体の保護のため、下引層4を導電層としてもよい。この場合、下引層4の構成材料としては、例えば、アルミニウム、銅、ニッケル、銀などの金属粉体や、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛などの導電性金属酸化物や、カーボンファイバ、カーボンブラック、グラファイト粉末などの導電性物質、またはこれら導電性物質で表面を被覆した導電性粉体などの導電性材料を、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルブチラール樹脂などの熱可塑性樹脂や、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂などの熱硬化樹脂や光硬化樹脂などのバインダ樹脂に分散したもの、さらに必要に応じた添加剤を加えたものを支持体上に塗布したものが挙げられる。
下引層4は、例えば、上記の材料を所定の溶剤に加えた塗布液を用いて形成することができる。下引層形成用塗布液の溶剤としては、アルコール系、芳香族系、ハロゲン化炭化水素系、ケトン系、ケトンアルコール系、エーテル系、エステル系等の有機溶剤から任意で選択することができる。より具体的には、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロルベンゼン、トルエン等が挙げられる。これらの溶媒は単独あるいは2種以上混合して用いることができる。
また、下引層4に導電性粉体等を含有させる場合、その塗布液の調製の際には分散処理を行うことが好ましい。分散方法としては、ロールミル、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、コロイドミル、ペイントシェーカーなどの方法を用いることができる。
また、下引層形成用塗布液を導電性支持体2上に塗布するに際し、その塗布方法としては、ブレードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の方法を用いることができる。
下引層4の膜厚は、所望の特性が得られる範囲内で任意に設定可能であるが、好ましくは15μm以上であり、より好ましくは20〜50μmである。また、下引層4のビッカース硬度は35以上であることが好ましい。
電荷発生層5は、例えば電荷発生材料及び結着樹脂を含んで構成される。本発明で使用される電荷発生材料としては、フタロシアニン顔料、キノン顔料、ペリレン顔料、インジゴ顔料、ビスベンゾイミダゾール顔料、アントロン顔料、キナクリドン顔料等が挙げられる。中でも、無金属フタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン、ジクロロスズフタロシアニン、チタニルフタロシアニン等のフタロシアニン顔料が好ましく、特に、CuKα特性X線に対するブラッグ角(2θ±0.2゜)の少なくとも7.4゜、16.6゜、25.5゜及び28.3゜に強い回折ピークを有するクロロガリウムフタロシアニン結晶、CuKα特性X線に対するブラッグ角(2θ±0.2゜)の少なくとも7.7゜、9.3゜、16.9゜、17.5゜、22.4゜及び28.8゜に強い回折ピークを有する無金属フタロシアニン結晶、CuKα特性X線に対するブラッグ角(2θ±0.2゜)の少なくとも7.5゜、9.9゜、12.5゜、16.3゜、18.6゜、25.1゜及び28.3゜に強い回折ピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶、CuKα特性X線に対するブラッグ角(2θ±0.2゜)の少なくとも9.6゜、24.1゜及び27.2゜に強い回折ピークを有するチタニルフタロシアニン結晶がより好ましい。これらの電荷発生材料は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
電荷発生層5における結着樹脂としては、ビスフェノールAタイプ或いはビスフェノールZタイプ等のポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体樹脂、塩化ビニリデン−アクリルニトリル共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール等が挙げられる。これらの結着樹脂は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることが可能である。電荷発生層5における電荷発生材料と結着樹脂の含有量の比(重量比)は、10:1〜1:10の範囲内であることが好ましい。
電荷発生層5は、例えば、上記の構成材料を所定の溶剤に加えた塗布液を用いて形成することができる。電荷発生層形成用塗布液の溶剤としては、結着樹脂を溶解するものを適宜選択することができる。電荷発生材料を塗布液中に分散させる方法としては、ロールミル、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、コロイドミル、高圧ホモジナイザー等の方法を用いることができる。
また、電荷発生層形成用塗布液を下引層4上に塗布するに際し、その塗布方法としては、ブレードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の方法を用いることができる。
電荷発生層5の膜厚は、好ましくは0.01〜5μm、より好ましくは0.05〜2.0μmの範囲に設定される。
電荷輸送層6は、上述したように、見掛け密度が0.35g/mL以下であるフッ素系樹脂粒子(以下、単に「フッ素系樹脂微粒子」という)と、フッ素系グラフトポリマーと、結着樹脂と、電荷輸送材料とを含有する。
本発明で用いられるフッ素系樹脂粒子としては、四フッ化エチレン樹脂、三フッ化塩化エチレン樹脂、六フッ化プロピレン樹脂、フッ化ビニル樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、二フッ化二塩化エチレン樹脂およびそれらの共重合体が好ましく、中でも四フッ化エチレン樹脂及びフッ化ビニリデン樹脂がより好ましく、四フッ化エチレン樹脂が特に好ましい。これらのフッ素系樹脂粒子は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明で用いられるフッ素系樹脂粒子の平均一次粒子径は、好ましくは0.05〜1μm、より好ましくは0.1〜0.5μmである。フッ素系樹脂粒子の平均一次粒子径が0.05μm未満の場合、電荷発生層5又はその塗布液中で分散性が不十分となり、凝集しやすくなる傾向にある。一方、平均一次粒子径が1μmを超えると画質欠陥が発生し易くなる。
また、フッ素系樹脂粒子の平均球形度は0.95以上であることが好ましい。フッ素系樹脂粒子の平均球形度が0.95未満の場合には、フッ素系樹脂粒子同士が凝集しやすくなり、その分散均一性が低下する傾向にある。
なお、本発明でいう「平均球形度」は、粒子の投影像により粒子形状を分析し、投影面積と粒子の投影周囲長と同じ円周を持つ円の面積との比を用いて、以下の手順によって測定することができる。先ず、走査型電子顕微鏡と画像解析装置を用い、電子顕微鏡で得られたSEM写真の画像解析を行い、粒子の投影面積(A)と周囲長(PM)を測定する。う。測定粒子数は100個以上とする。周囲長(PM)に対応する真円の面積を(B)とすると、その粒子の真円度はA/Bとなる。そこで、試料粒子の周囲長(PM)と同一の周囲長を持つ真円を想定すると、PM=2πr、B=πr2であるから、B=π×(P
M/2π)2となり、個々の粒子の真円度は、A/B=A×4π/(PM)2として算出する。このようにして得られた100個以上の粒子の真円度を求めその平均値を平均球形度とする。
本発明で用いられるフッ素系樹脂微粒子は、乳化重合により好適に作製することができる。例えば四フッ化エチレン樹脂の場合、耐圧耐圧オートクレーブに水、開始剤、乳化剤、フッ素系界面活性剤等を仕込み、脱気した後、原料であるテトラフルオロエチレンを連続的に投入しながら、0〜120℃、1〜50気圧の加圧下で攪拌しながら反応を行う。反応終了後、得られたラテックスを凝析し、洗浄、乾燥することにより目的のフッ素系樹脂粒子が得られる。
上記の乳化重合の際には、昇温条件及び反応時間を調整することにより、フッ素系樹脂微粒子の見掛け密度を制御することができる。なお、これらの条件を制御するための設備投資や工数が見合わなければ、ロット選別を行うことで、見かけ密度が0.35g/mL以下のフッ素系樹脂粒子を得てもよい。
電荷輸送層6におけるフッ素系樹脂粒子の含有量は、電荷輸送層の固形分全量を基準として、0.1〜40重量%が好ましく、1〜30重量%がより好ましい。フッ素系樹脂粒子の含有量が0.1重量%未満ではフッ素系樹脂粒子の分散による改質効果が不十分となる傾向にあり、一方、40重量%を超えると電荷輸送層6の光通過性の低下及び膜強度の低下が起こりやすくなる。
また、フッ素系グラフトポリマーとしては、アクリル酸エステル化合物、メタクリル酸エステル化合物、スチレン化合物等からなるマクロモノマー及びパーフルオロアルキルエチルメタクリレートよりグラフト重合された樹脂が好ましい。
本発明においては、フッ素系樹脂粒子の見かけ密度を0.35g/mL以下とすることで、フッ素系グラフトポリマーの使用量を従来より少なくしてもフッ素系樹脂粒子の分散性を高めることができる。本実施形態においては、電荷輸送層6の機械的強度及びクリーニング性の向上と、感光体1を繰り返し使用したときの残留電位の抑制とを両立する点から、フッ素系グラフトポリマーの含有量が、フッ素系樹脂粒子の含有量に対して、1.5〜2.5重量%であることが好ましく、1.8〜2.2重量%であることがより好ましい。
また、電荷輸送層6の結着樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ポリアリレート、ポリエステル樹脂、ビスフェノールAタイプ或いはビスフェノールZタイプ等のポリカーボネート樹脂、ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリスルホン、ポリアクリルアミド、ポリアミド、塩素ゴム等の絶縁性樹脂、およびポリビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルピレン等の有機光導電性ポリマー等があげられる。
また、電荷輸送材料としては、例えば、2,5−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール等のオキサジアゾール誘導体、1,3,5−トリフェニル−ピラゾリン、1−[ピリジル−(2)]−3−(p−ジエチルアミノスチリル)−5−(p−ジエチルアミノスチリル)ピラゾリン等のピラゾリン誘導体、トリフェニルアミン、トリ(p−メチルフェニル)アミニル−4−アミン、ジベンジルアニリン等の芳香族第3級アミノ化合物、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N′−ジフェニルベンジジン等の芳香族第3級ジアミノ化合物、3−(4’−ジメチルアミノフェニル)−5,6−ジ−(4′−メトキシフェニル)−1,2,4−トリアジン等の1,2,4−トリアジン誘導体、4−ジエチルアミノベンズアルデヒド−1,1−ジフェニルヒドラゾン等のヒドラゾン誘導体、2−フェニル−4−スチリル−キナゾリン等のキナゾリン誘導体、6−ヒドロキシ−2,3−ジ(p−メトキシフェニル)ベンゾフラン等のベンゾフラン誘導体、p−(2,2−ジフェニルビニル)−N,N−ジフェニルアニリン等のα−スチルベン誘導体、エナミン誘導体、N−エチルカルバゾール等のカルバゾール誘導体、ポリ−N−ビニルカルバゾールおよびその誘導体などの正孔輸送物質、クロラニル、ブロアントラキノン等のキノン系化合物、テトラアノキノジメタン系化合物、2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン等のフルオレノン化合物、キサントン系化合物、チオフェン化合物等の電子輸送物質、および上記した化合物からなる基を主鎖または側鎖に有する重合体などが挙げられる。これらの電荷輸送材料は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。電荷輸送材料と上記結着樹脂との含有量の比(重量比)は10:1〜1:5が好ましい。
また、電荷輸送層6は、上記の構成材料に加えて無機粒子を更に含有してもよい。無機粒子としては、例えば、アルミナ、シリカ、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、硫化亜鉛、酸化マグネシウム、硫酸銅、炭酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化ナトリウム、硫酸ニッケル、アンチモン、二酸化マンガン、酸化クロム、酸化錫、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、硫酸アルミニウム、炭化ケイ素、炭化チタン、炭化ホウ素、炭化タングステン、炭化ジルコニウムが挙げられ、中でもシリカが好ましい。これらの無機粒子は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
無機粒子として好ましく用いられるシリカ粒子は、化学炎CVD法により製造されることが好ましい。また、化学炎CVD法としては、クロルシランガスを酸素−水素混合ガス又は炭化水素−酸素混合ガスの高温火炎中で気相反応させてシリカ微粒子を得る方法が好ましい。
また、無機粒子を使用する際には、無機粒子の表面を所定の疎水化処理剤で処理することが好ましい。疎水化処理剤としては、シロキサン化合物、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、高分子脂肪酸又はその金属塩等が挙げられる。より具体的には、シロキサン化合物としては、ジヒドロキシポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサンなどが挙げられる。また、シランカップリング剤としては、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、ヘキサメチルジシラザン、メチルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、o−メチルフェニルトリメトキシシラン、p−メチルフェニルトリメトキシシランなどが挙げられる。
無機粒子の平均一次粒子径は、好ましくは0.005〜2.0μmであり、より好ましくは0.01〜1.0μmである。無機粒子の平均一次粒子径が0.005μm未満の場合、感光体1表面の十分な機械的強度が得られず、又、電荷輸送層6又はその塗布液中に分散させる際に凝集が起こりやすくなる。一方、平均一次粒子径が2μmを超えると、感光体1の表面粗さが過剰に大きくなり、クリーニングブレードが摩耗、損傷してクリーニング特性が悪化し、画像ボケが発生しやすくなる。
また、無機粒子の含有量は、電荷輸送層中の固形分全量を基準として、好ましくは0.1〜30重量%であり、より好ましくは1〜20質量%である。無機粒子の含有量が1重量%未満では無機粒子の分散による改質効果が不十分となる傾向にあり、一方、30wt%を越えると繰返し使用による残留電位の上昇が生じやすくなる傾向にある。
電荷輸送層6は、上記の構成材料を所定の溶剤に加えた塗布液を用いて形成することができる。電荷輸送層形成用塗布液の溶媒としては、例えば、トルエン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素系溶剤、メタノール、エタノール、n―ブタノール等の脂肪族アルコール系溶剤、アセトン、シクロヘキサノン、2−ブタノン等のケトン系溶剤、塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン等のハロゲン化脂肪族炭化水素溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコール、ジエチルエーテル等の環状もしくは直鎖状のエーテル系溶剤、あるいはこれらの混合溶剤などを用いることができる。
電荷輸送層形成用塗布液を調製するに際し、フッ素系樹脂粒子あるいはさらに無機粒子を分散させる方法としては、ロールミル、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、高圧ホモジナイザー、超音波分散機、コロイドミル等の方法が挙げられる。
電荷輸送層形成用塗布液の調製方法としては、溶媒に溶解した結着樹脂、電荷輸送材料などの溶液中にフッ素系樹脂粒子や無機粒子を分散する方法が挙げられるが、以下の手順で調製することが好ましい。
先ず、フッ素グラフトポリマーとフッ素系樹脂粒子とを溶剤に加えて混合し、フッ素系樹脂粒子懸濁液を調製する。一方、結着樹脂と電荷輸送材料とを溶剤に溶解し、樹脂溶液を調製する。次に、樹脂溶液とフッ素系樹脂粒子懸濁液とを混合し、その混合物を高圧ホモジナイザーにより処理する。このようにして塗布液を調製することで、塗布液の分散安定性を向上させることができ、また、塗膜の形成時にフッ素系樹脂微粒子の凝集をより確実に防止することができる。
ここで、樹脂溶液とフッ素系樹脂粒子懸濁液とを混合する際には、撹拌した状態の樹脂溶液中にフッ素系樹脂粒子懸濁液を徐々に投入することが好ましい。
また、高圧ホモジナイザーとしては、高圧状態でフッ素系樹脂粒子懸濁液を液−液衝突若しくは液−壁衝突させて分散する衝突方式のもの、又は高圧状態で微細な流路を貫通させて分散する貫通方式のものが好ましい。
また、高圧ホモジナイザーの圧力条件としては、例えば貫通方式の場合、300kgf/cm2以上700kgf/cm2未満が好ましい。圧力が300kg/cm2未満の場合は、フッ素系樹脂粒子の凝集物が残留しやすくなる傾向にある。一方、この圧力を700kg/cm2以上とする場合も、フッ素系樹脂粒子の凝集物が生成しやすくなる傾向にある。その結果、感光体のトナーに対する低摩擦性の維持が困難になるために、繰返し使用後においてトナーの転写率の低下やクリーニング不良を引き起こす場合がある。なお、圧力を700kg/cm2以上に設定した場合にフッ素系樹脂粒子が凝集しやすくなる要因は必ずしも明確ではないが、温度上昇による粘度変化、フッ素系グラフトポリマーのフッ素系樹脂粒子表面からの脱着若しくは破断等が考えられる。
また、高圧ホモジナイザーによる処理の回数は特に制限されないが、2回以上処理することが好ましく、4〜8回処理することがより好ましい。1回のみの処理ではフッ素系樹脂粒子の分散性が不十分となるおそれがあり、一方、8回を超える回数だけ処理しても、処理回数の増加に見合う効果が得られず、時間、労力及びコストを過剰に消費することになる。
また、得られた塗布液を電荷発生層5上に塗布するに際し、その塗布方法としては、浸漬塗布法、突き上げ塗布法、スプレー塗布法、ロールコータ塗布法、グラビアコータ塗布法などが挙げられる。
電荷輸送層6の膜厚は一般に5〜50μm、好ましくは10〜40μmの範囲に設定される。
本実施形態では、それぞれ電子写真装置中で発生するオゾンや酸化性ガス、あるいは光、熱による劣化を防止する目的で、感光層3を構成する下引層4、電荷発生層5、電荷輸送層6の一部又は全部に酸化防止剤、光安定剤、熱安定剤などの添加剤を添加することができる。酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミン、パラフェニレンジアミン、アリールアルカン、ハイドロキノン、スピロクロマン、スピロインダノンおよびそれらの誘導体、有機硫黄化合物、有機リン化合物等が挙げられる。また、光安定剤としては、ベンゾフェノン、ベンゾアゾール、ジチオカルバメート、テトラメチルピペン等の誘導体が挙げられる。また、感光体1の表面(導電性支持体2と反対側の面)の平滑性を向上させる目的で、表面層である電荷輸送層6中にシリコーンオイル等のレベリング剤を添加することができる。
このように本実施形態によれば、感光層3の導電性支持体2から最も遠い位置に、見かけ密度が0.35g/mL以下のフッ素系樹脂粒子と、フッ素系グラフトポリマーと、結着樹脂とを含有する電荷輸送層6を設けることによって、機械的強度及びクリーニング性の向上と繰り返し使用時における残留電位の上昇の抑制とが高水準でバランスよく両立された感光体1が実現可能となる。このように優れた特性を有する感光体1は、ライトレンズ系複写機、近赤外光もしくは可視光に発光するレーザービームプリンター、デジタル複写機、LEDプリンター、レーザーファクシミリなどの電子写真装置において好適に用いることができる。また、感光体1は一成分系、二成分系の現像剤との組み合わせにおいても好適に使用可能である。さらに、感光体1は、帯電ローラーや帯電ブラシを用いた接触帯電方式の電子写真装置においても、電流リークの発生が少ない良好な特性が得られる。
なお、本発明の電子写真感光体は上記の実施形態に何ら限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、感光層3の導電性支持体2から最も遠い位置に電荷輸送層6を設けたが、図2に示した感光体1のように、見かけ密度が0.35g/mL以下のフッ素系樹脂粒子とフッ素系グラフトポリマーと結着樹脂とを含有する保護層7を設けてもよい。なお、感光体1が保護層7を備える場合、電荷輸送層6はフッ素系樹脂粒子及びフッ素系グラフトポリマーを含まなくてもよい。
保護層7の結着樹脂としては、ポリアミド樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリケトン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルケトン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂等が挙げられる。また、これらは必要に応じて互いに架橋させて使用することもできる。
また、保護層7は導電性材料を更に含有してもよい。導電性材料としては、例えば、N,N’−ジメチルフェロセン等のメタロセン化合物、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン等の芳香族アミン化合物、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化アンチモン、酸化錫、酸化チタン、酸化インジウム、酸化錫とアンチモン、硫酸バリウムと酸化アンチモンとの固溶体の担体、上記金属酸化物の混合物、酸化チタン、酸化スズ、酸化亜鉛又は硫酸バリウムの単一粒子中に上記の金属酸化物を混合したもの、あるいは、酸化チタン、酸化スズ、酸化亜鉛、又は硫酸バリウムの単一粒子中に上記の金属酸化物を被覆したもの等が挙げられる。
保護層7は、電荷輸送材料を必須の構成成分としない点以外は、電荷輸送層6と同様にして形成することができる。また、この場合も、保護層形成用塗布液の調製方法としてはフッ素グラフトポリマーとフッ素系樹脂粒子とを溶剤に加えて混合し、フッ素系樹脂粒子懸濁液を調製する工程、結着樹脂を溶剤に溶解し、樹脂溶液を調製する工程、並びに樹脂溶液とフッ素系樹脂粒子懸濁液とを混合し、その混合物を高圧ホモジナイザーにより処理する工程を備えることが好ましい。
保護層7の膜厚は1〜20μmであることが好ましく、2〜10μmであることがより好ましい。
また、図1、図2には電荷発生層5と電荷輸送層5とに機能を分離した積層型感光体を示したが、本発明の電子写真感光体は、電荷発生材料と電荷輸送材料との双方を含む単層型の感光層を備えるものであってもよい。なお、電荷発生材料及び電荷輸送材料を含む層が導電性支持体から最も遠い位置に設けられる場合、当該層は見かけ密度が0.35g/mL以下のフッ素系樹脂粒子とフッ素系グラフトポリマーと結着樹脂とを更に含有する。また、電荷発生材料及び電荷輸送材料を含む層上に保護層を設ける場合には、図2に示した感光体1の保護層7と同様に、保護層が見かけ密度が0.35g/mL以下のフッ素系樹脂粒子とフッ素系グラフトポリマーと結着樹脂とを含有すればよい。
次に、本発明の電子写真感光体を搭載した電子写真装置及びプロセスカートリッジの好適な実施形態について説明する。
図3は、本発明の電子写真装置の好適な一実施形態を示す概略構成図である。図3に示す電子写真装置200は、本発明の電子写真感光体1と、電子写真感光体1を接触帯電方式により帯電させる帯電装置208と、帯電装置208に接続された電源209と、帯電装置208により帯電される電子写真感光体207を露光して静電潜像を形成する露光装置210と、露光装置210により形成された静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像装置211と、現像装置211により形成されたトナー像を被転写媒体に転写する転写装置212と、クリーニング装置213と、除電器214と、定着装置215とを備える。なお、図2には示していないが、トナーを現像装置211に供給するトナー供給装置も備えている。また、本実施形態とは別の実施形態において、除電器214が設けられていなくてもよい。
帯電装置208は、感光体1の表面に導電性部材(帯電ロール)を接触させて感光体に電圧を均一に印加し、感光体表面を所定の電位に帯電させるものである。
導電性部材としては、芯材の外周面に弾性層、抵抗層、保護層等を設けたものが好適に用いられる。導電性部材の形状は、ブラシ状、ブレード状、ピン電極状、あるいはローラー状等のいずれであってもよい。
芯材の材質としては、導電性を有するもの、例えば、鉄、銅、真鍮、ステンレス、アルミニウム若しくはニッケル等が用いられる。また、導電性粒子等を分散した樹脂成形品等を用いることができる。
弾性層の材質としては、導電性あるいは半導電性を有するもの、例えば、ゴム材に導電性粒子あるいは半導電性粒子を分散したものが使用可能である。ゴム材としてはEPDM、ポリブタジエン、天然ゴム、ポリイソブチレン、SBR、CR、NBR、シリコーンゴム、ウレタンゴム、エピクロルヒドリンゴム、SBS、熱可塑性エラストマー、ノルボーネンゴム、フロロシリコーンゴム、エチレンオキシドゴム等が用いられる。導電性粒子あるいは半導電性粒子としてはカーボンブラック、亜鉛、アルミニウム、銅、鉄、ニッケル、クロム、チタニウム等の金属、ZnO−Al2O3、SnO2−Sb2O3、In2O3−SnO2、ZnO−TiO2、MgO−Al2O3、FeO−TiO2、TiO2、SnO2、Sb2O3、In2O3、ZnO若しくはMgO等の金属酸化物が用いることができる。これらの材料は1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
抵抗層および保護層の材質としては結着樹脂に導電性粒子あるいは半導電性粒子を分散し、その抵抗を制御したものである。結着樹脂としてはアクリル樹脂、セルロース樹脂、ポリアミド樹脂、メトキシメチル化ナイロン、エトキシメチル化ナイロン、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリビニル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリチオフェン樹脂、PFA、FEP若しくはPET等のポリオレフィン樹脂、又はスチレンブタジエン樹脂等が用いられる。導電性粒子あるいは半導電性粒子としては弾性層と同様のカーボンブラック、金属若しくは金属酸化物が用いられる。また、必要に応じてヒンダードフェノール、ヒンダードアミン等の酸化防止剤、クレー、カオリン等の充填剤や、シリコーンオイル等の潤滑剤を添加することができる。これらの層を形成する手段としてはブレード塗布法、マイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法等を用いることができる。
これらの導電性部材を用いて感光体1を帯電させる際には、導電性部材に電圧が印加されるが、かかる印加電圧は直流電圧、直流電圧に交流電圧を重畳したもののいずれでもよい。なお、本実施形態において示した帯電ロールの他、帯電ブラシ、帯電フィルム若しくは帯電チューブなどを用いて接触帯電方式による帯電を行ってもよい。また、コロトロン若しくはスコロトロンを用いた非接触方式による帯電を行ってもよい。
露光装置210としては、感光体1の表面に、半導体レーザー、LED(light emitting diode)、液晶シャッター等の光源を所望の像様に露光できる光学系装置等を用いることができる。これらの中でも、非干渉光を露光可能な露光装置を用いると、電子写真感光体1の導電性基体と感光層との間での干渉縞を防止することができる。
現像装置211としては、一成分系、ニ成分系等の正規または反転現像剤を用いた従来公知の現像装置等を用いることができる。
転写装置212としては、ローラー状の接触帯電部材の他、ベルト、フィルム、ゴムブレード等を用いた接触型転写帯電器、あるいはコロナ放電を利用したスコロトロン転写帯電器やコロトロン転写帯電器等が挙げられる。
クリーニング装置213は、転写工程後の電子写真感光体の表面に付着した残存トナーを除去するためのもので、これにより清浄面化された感光体1は上記の画像形成プロセスに繰り返し供される。クリーニング装置としては、図示したクリーニングブレードを用いたものの他、ブラシクリーニング、ロールクリーニング等の手法を用いることができるが、これらの中でもクリーニングブレードを用いることが好ましい。また、クリーニングブレードの材質としてはウレタンゴム、ネオプレンゴム、シリコーンゴム等が挙げられる。
また、本実施形態の電子写真装置は、図2に示したように、除電器(イレーズ光照射装置)214、像定着装置215等の除電装置をさらに備える。これにより、電子写真感光体が繰り返し使用される場合に、電子写真感光体の残留電位が次の画像形成サイクルに持ち込まれる現象が防止されるので、画像品質をより高めることができる。
図4は本発明の電子写真装置の他の実施形態の基本構成を示す概略構成図である。図4に示す電子写真装置220は中間転写方式の電子写真装置であり、ハウジング400内において4つの電子写真感光体1a〜1d(例えば、電子写真感光体1aがイエロー、電子写真感光体1bがマゼンタ、電子写真感光体1cがシアン、電子写真感光体1dがブラックの色からなる画像をそれぞれ形成可能である)が中間転写ベルト409に沿って相互に並列に配置されている。
ここで、電子写真装置220に搭載されている電子写真感光体1a〜1dは、それぞれ本発明の電子写真感光体(例えば感光体1)である。
電子写真感光体1a〜1dのそれぞれは所定の方向(紙面上は反時計回り)に回転可能であり、その回転方向に沿って帯電ロール402a〜402d、現像装置404a〜404d、1次転写ロール410a〜410d、クリーニングブレード415a〜415dが配置されている。現像装置404a〜404dのそれぞれにはトナーカートリッジ405a〜405dに収容されたブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの4色のトナーが供給可能であり、また、1次転写ロール410a〜410dはそれぞれ中間転写ベルト409を介して電子写真感光体1a〜1dに当接している。
さらに、ハウジング400内の所定の位置にはレーザー光源(露光装置)403が配置されており、レーザー光源403から出射されたレーザー光を帯電後の電子写真感光体1a〜1dの表面に照射することが可能となっている。これにより、電子写真感光体1a〜1dの回転工程において帯電、露光、現像、1次転写、クリーニングの各工程が順次行われ、各色のトナー像が中間転写ベルト409上に重ねて転写される。
中間転写ベルト409は駆動ロール406、バックアップロール408及びテンションロール407により所定の張力をもって支持されており、これらのロールの回転によりたわみを生じることなく回転可能となっている。また、2次転写ロール413は、中間転写ベルト409を介してバックアップロール408と当接するように配置されている。バックアップロール408と2次転写ロール413との間を通った中間転写ベルト409は、例えば駆動ロール406の近傍に配置されたクリーニングブレード416により清浄面化された後、次の画像形成プロセスに繰り返し供される。
また、ハウジング400内の所定の位置にはトレイ(被転写媒体トレイ)411が設けられており、トレイ411内の紙などの被転写媒体417が移送ロール412により中間転写ベルト409と2次転写ロール413との間、さらには相互に当接する2個の定着ロール414の間に順次移送された後、ハウジング400の外部に排紙される。
なお、上述の説明においては中間転写体として中間転写ベルト409を使用する場合について説明したが、中間転写体は、上記中間転写ベルト409のようにベルト状であってもよく、ドラム状であってもよい。ベルト状とする場合中間転写体の基材として用いる樹脂材料としては、従来公知の樹脂を用いることができる。例えば、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂(PC)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリアルキレンテレフタレート(PAT)、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)/PC、ETFE/PAT、PC/PATのブレンド材料、ポリエステル、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアミド等の樹脂材料及びこれらを主原料としてなる樹脂材料が挙げられる。さらに、樹脂材料と弾性材料をブレンドして用いることができる。
弾性材料としては、ポリウレタン、塩素化ポリイソプレン、NBR、クロロピレンゴム、EPDM、水素添加ポリブタジエン、ブチルゴム、シリコーンゴム等を1種類、又は2種類以上をブレンドしてなる材料を用いることができる。これらの基材に用いる樹脂材料及び弾性材料に、必要に応じて、電子伝導性を付与する導電剤やイオン伝導性を有する導電剤を1種類又は2種類以上を組み合わせて添加する。この中でも、機械強度に優れる点で、導電剤を分散させたポリイミド樹脂を用いることが好ましい。上記の導電剤としては、カーボンブラック、金属酸化物、ポリアニリン等の導電性ポリマーを用いることができる。中間転写体として中間転写ベルト409のようなベルトの形状の構成を採用する場合、一般にベルトの厚さは50〜500μmが好ましく、60〜150μmがより好ましいが、材料の硬度に応じて適宜選択することができる。
例えば、導電剤を分散させたポリイミド樹脂からなるベルトは、特開昭63−311263号公報に記載されているように、ポリイミド前駆体であるポリアミド酸の溶液中に導電剤として5〜20質量%のカーボンブラックを分散させ、分散液を金属ドラム上に流延して乾燥した後、ドラムから剥離したフィルムを高温下に延伸してポリイミドフィルムを形成し、さらに適当な大きさに切り出してエンドレスベルトとすることにより製造することができる。
上記フィルム成形は、一般には、導電剤を分散したポリアミド酸溶液の成膜用原液を円筒金型に注入して、例えば、100〜200℃に加熱しつつ500〜2000rpmの回転数で円筒金型を回転させながら、遠心成形法によりフィルム状に成膜し、次いで、得られたフィルムを半硬化した状態で脱型して鉄芯に被せ、300℃以上の高温でポリイミド化反応(ポリアミド酸の閉環反応)を進行させて本硬化させることにより行うことができる。また、成膜原液を金属シート上に均一な厚みに流延して、上記と同様に100〜200℃に加熱して溶媒の大半を除去し、その後300℃以上の高温に段階的に昇温してポリイミドフィルムを形成する方法もある。また、中間転写体は表面層を有していてもよい。
また、中間転写体としてドラム形状を有する構成を採用する場合、基材としては、アルミニウム、ステンレス鋼(SUS)、銅等で形成された円筒状基材を用いることが好ましい。この円筒状基材上に、必要に応じて弾性層を被覆し、該弾性層上に表面層を形成することができる。
なお、本発明にかかる被転写媒体とは、電子写真感光体上に形成されたトナー像を転写する媒体であれば特に制限はない。例えば、電子写真感光体から直接、紙等の被転写媒体に転写する場合は、紙等が被転写媒体である。また、中間転写体を用いる場合には、中間転写体が被転写媒体である。
図5は、本発明の電子写真感光体を備えるプロセスカートリッジの好適な一実施形態の基本構成を概略的に示す断面図である。プロセスカートリッジ300は、電子写真感光体1とともに、帯電装置208、現像装置211、クリーニング装置(クリーニング手段)213、露光のための開口部217、及び、除電露光のための開口部218を、取り付けレール219を用いて組み合わせ、そして一体化したものである。
そして、このプロセスカートリッジ300は、転写装置212と、定着装置215と、図示しない他の構成部分とからなる電子写真装置本体に対して着脱自在としたものであり、電子写真装置本体とともに電子写真装置を構成するものである。
上述した電子写真装置200、220及びプロセスカートリッジ400においては、本発明の電子写真感光体に該当する感光体1(又は1a〜1d)を備えることによって、感光体の機械的強度及びクリーニング性の向上と、繰り返し使用時の残留電位の抑制とが高水準で両立されるため、高い画質(画像品質)の画像を得ることができ、その画質の安定性を向上させることができる。
以下、実施例及び比較例に基づき本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
酸化亜鉛(SMZ−017N、テイカ社製)100重量部をトルエン500重量部と攪拌混合し、シランカップリング剤(A1100、日本ユニカー社製)2重量部を添加し、5時間攪拌した。その後トルエンを減圧蒸留にて留去し、120℃で2時間焼き付けを行った。得られた表面処理酸化亜鉛を蛍光X線により分析した結果、Si元素強度の亜鉛元素強度に対する比は1.8×10−4であった。
次に、表面処理を施した酸化亜鉛35重量部と硬化剤としてのブロック化イソシアネート(スミジュール3175、住友バイエルンウレタン社製)15重量部とブチラール樹脂(BM−1、積水化学社製)6重量部と2−ブタノン44重量部とを混合し、1mmφのガラスビーズを用いてサンドミルにて2時間の分散処理を行った。得られた分散液に触媒としてジオクチルスズジラウレート0.005重量部及びシリコーン粒子(トスパール130、GE東芝シリコーン社製)17重量部を添加し、下引層形成用塗布用液を得た。この塗布液を浸漬塗布法にて84mmφのアルミニウム基材上に塗布し、160℃、100分の乾燥硬化を行い厚さ20μmの下引層を得た。
次に、電荷発生材料としての塩化ガリウムフタロシアニン15重量部、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂(VMCH、日本ユニオンカーバイト社製)10重量部及びn−ブチルアルコール300重量部からなる混合物をサンドミルにて4時間分散した。得られた分散液を、上記下引き層上に浸漬塗布し、乾燥して、膜厚0.2μmの電荷発生層を形成した。
次に、見掛け密度が0.33g/mLである四フッ化エチレン樹脂粒子10重量部、フッ素系グラフトポリマー0.20重量部、テトロヒドロフラン49重量部及びトルエン21重量部に十分に攪拌混合して、四フッ化エチレン樹脂粒子懸濁液を調製した。一方、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニルベンジジン20重量部とN,N’−ビス(3,4−ジメチルフェニル)ビフェニル−4−アミン20重量部とビスフェノールZポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量40,000)60重量部とをテトロヒドロフラン231重量部及びトルエン99重量部に十分に溶解して樹脂溶液を得た。この樹脂溶液に、上記の四フッ化エチレン樹脂粒子懸濁液を加えて、攪拌混合した後、微細な流路をもつ貫通式チャンバーを装着した高圧ホモジナイザー(ナノマイザー株式会社製、商品名LA−33S)を用いて、400kgf/cm2まで昇圧しての分散処理を4回繰返すことで、電荷輸送層形成用塗布液を得た。得られた塗布液を上記電荷発生層上に浸漬塗布し、乾燥することにより、膜厚26μmの電荷輸送層を形成し、目的の感光体を得た。
上記の工程においては、四フッ化エチレン樹脂粒子分散液の調製後にその一部を採取し、溶剤で希釈して粒度分布測定用の試料とした。その試料について、粒度分布測定装置(堀場製作所製LA700)により、分散液中に存在する1μm以上の粗大粒子量を測定した。得られた結果を表1に示す。
表1中、1μm以上の粗大粒子量は、フッ素系樹脂粒子からなる凝集体の量を示しており、粗大粒子量が少ないほど、電荷輸送層中におけるフッ素系樹脂粒子の分散性が向上し、該電荷輸送層の表面(すなわち感光体の表面)の摩擦力が低下することで、磨耗や傷に対する耐久性が向上する。また、トナーとクリーニング装置のブレードとの間の摩擦力は変化がないのに対して、該表面層とその表面層に付着したトナーとの間の摩擦力が低下することにより、クリーニング性が向上すると考えられる。
一方、1μm以上の粗大粒子量が8%以上含まれている場合は、液の静置により粗大粒子の沈降がすすみ、さらにフッ素系樹脂粒子の凝集ために、表面層中に存在するフッ素系樹脂粒子が局在化しやすく、十分な耐磨耗性及びクリーニング性の向上が望めなくなる。この結果、繰返しでの使用において、画像濃度の低下、かぶりの発生、濃度むら等の画質欠陥が生じる場合がある。
このようにして得られた感光体を用いて、図3に示す構成を有する電子写真装置を作製した。なお、感光体以外の構成は富士ゼロックス製DocuCentre Color 500と同様とした。
次に、得られた電子写真装置を用いて、28℃、85%RHの高温高湿環境下にて、A4サイズ、モノクロで50,000枚プリント試験を行った。プリント試験の初期と50,000枚プリント後の感光体について除電後の残留電位(Rp)を測定し、初期の残留電位と50,000枚プリント後の残留電位との差(ΔRp)を算出した。その結果を表1に示す。表1中、ΔRpが小さいほど、安定した電子写真特性であると判断できる。
また、その初期及び50,000枚プリント後の画像について、ソリッド部及び背景部の画質を目視で評価した。得られた結果を表1に示す。
(実施例2)
見掛け密度が0.30g/mLである四フッ化エチレン樹脂粒子10重量部、フッ素系グラフトポリマー0.20重量部、テトロヒドロフラン49重量部及びトルエン21重量部に十分に攪拌混合して、四フッ化エチレン樹脂粒子懸濁液を調製した。一方、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニルベンジジン20重量部とN,N’−ビス(3、4−ジメチルフェニル)ビフェニル−4−アミン20重量部とビスフェノールZポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量40,000)60重量部とをテトロヒドロフラン231重量部及びトルエン99重量部に十分に溶解混合して樹脂溶液を調製した。その樹脂溶液に上記の四フッ化エチレン樹脂粒子懸濁液を加えて攪拌混合した後、高圧ホモジナイザーを用いて分散し、電荷輸送層形成用塗布液を得た。
このとき、実施例1と同様にして、四フッ化エチレン樹脂粒子の分散液中に存在する1μm以上の粗大粒子量を測定した。得られた結果を表1に示す。
次に、上記で得られた電荷輸送層形成用塗布液を用いたこと以外は実施例1と同様にして、感光体を作製した。更に、得られた感光体を用いたことは実施例1と同様にして、電子写真装置の作製及びプリント試験を行った。得られた結果を表1に示す。
(実施例3)
見掛け密度が0.33g/mLである四フッ化エチレン樹脂粒子10重量部、フッ素系グラフトポリマー0.18重量部、テトロヒドロフラン49重量部及びトルエン21重量部に十分に攪拌混合して、四フッ化エチレン樹脂粒子懸濁液を作製した。一方、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニルベンジジン20重量部とN,N’−ビス(3,4−ジメチルフェニル)ビフェニル−4−アミン20重量部とビスフェノールZポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量40,000)60重量部とをテトロヒドロフラン231重量部及びトルエン99重量部に十分に溶解混合して樹脂溶液を得た。その樹脂溶液に上記の四フッ化エチレン樹脂粒子懸濁液を加えて攪拌混合した後、高圧ホモジナイザーを用いて分散し、電荷輸送層形成用塗布液を得た。
このとき、実施例1と同様にして、四フッ化エチレン樹脂粒子の分散液中に存在する1μm以上の粗大粒子量を測定した。得られた結果を表1に示す。
次に、上記で得られた電荷輸送層形成用塗布液を用いたこと以外は実施例1と同様にして、感光体を作製した。更に、得られた感光体を用いたことは実施例1と同様にして、電子写真装置の作製及びプリント試験を行った。得られた結果を表1に示す。
(実施例4)
見掛け密度が0.30g/mLである四フッ化エチレン樹脂粒子10重量部、フッ素系グラフトポリマー0.18重量部、テトロヒドロフラン49重量部及びトルエン21重量部に十分に攪拌混合して、四フッ化エチレン樹脂粒子懸濁液を調製した。一方、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニルベンジジン20重量部とN,N’−ビス(3,4−ジメチルフェニル)ビフェニル−4−アミン20重量部とビスフェノールZポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量40,000)60重量部とをテトロヒドロフラン231重量部及びトルエン99重量部に十分に溶解混合して樹脂溶液を調製した。その樹脂溶液に上記の四フッ化エチレン樹脂粒子懸濁液を加えて攪拌混合した後、高圧ホモジナイザーを用いて分散し、電荷輸送層形成用塗布液を得た。
このとき、実施例1と同様にして、四フッ化エチレン樹脂粒子の分散液中に存在する1μm以上の粗大粒子量を測定した。得られた結果を表1に示す。
次に、上記で得られた電荷輸送層形成用塗布液を用いたこと以外は実施例1と同様にして、感光体を作製した。更に、得られた感光体を用いたことは実施例1と同様にして、電子写真装置の作製及びプリント試験を行った。得られた結果を表1に示す。
(実施例5)
見掛け密度が0.35g/mLである四フッ化エチレン樹脂粒子10重量部、フッ素系グラフトポリマー0.18重量部、テトロヒドロフラン49重量部及びトルエン21重量部に十分に攪拌混合して、四フッ化エチレン樹脂粒子懸濁液を調製した。一方、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニルベンジジン20重量部とN,N’−ビス(3,4−ジメチルフェニル)ビフェニル−4−アミン20重量部とビスフェノールZポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量40,000)60重量部とをテトロヒドロフラン231重量部及びトルエン99重量部に十分に溶解混合して樹脂溶液を調製した。その樹脂溶液に上記の四フッ化エチレン樹脂粒子懸濁液を加えて攪拌混合した後、高圧ホモジナイザーを用いて分散し、電荷輸送層形成用塗布液を得た。
このとき、実施例1と同様にして、四フッ化エチレン樹脂粒子の分散液中に存在する1μm以上の粗大粒子量を測定した。得られた結果を表1に示す。
次に、上記で得られた電荷輸送層形成用塗布液を用いたこと以外は実施例1と同様にして、感光体を作製した。更に、得られた感光体を用いたことは実施例1と同様にして、電子写真装置の作製及びプリント試験を行った。得られた結果を表1に示す。
(実施例6)
N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニルベンジジン20重量部とN,N’−ビス(3,4−ジメチルフェニル)ビフェニル−4−アミン20重量部とビスフェノールZポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量40,000)60重量部とをテトロヒドロフラン280重量部及びトルエン120重量部に十分に溶解混合した後、見掛け密度が0.30g/mLである4フッ化エチレン樹脂粒子10重量部及びフッ素系グラフトポリマー0.18重量部を加え、さらに混合した後、高圧ホモジナイザーを用いて分散し、電荷輸送層形成用塗布液を得た。
このとき、実施例1と同様にして、塗布液中に存在する1μm以上の粗大粒子量を測定した。得られた結果を表1に示す。
次に、上記で得られた電荷輸送層形成用塗布液を用いたこと以外は実施例1と同様にして、感光体を作製した。更に、得られた感光体を用いたことは実施例1と同様にして、電子写真装置の作製及びプリント試験を行った。得られた結果を表1に示す。
(比較例1)
N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニルベンジジン20重量部とN,N’−ビス(3,4−ジメチルフェニル)ビフェニル−4−アミン20重量部とビスフェノールZポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量40,000)60重量部とをテトロヒドロフラン280重量部及びトルエン120重量部に十分に溶解混合した後、見掛け密度が0.37g/mLである四フッ化エチレン樹脂粒子10重量部及びフッ素系グラフトポリマー0.20重量部を加え、さらに混合した後、高圧ホモジナイザーを用いて分散し、電荷輸送層形成用塗布液を得た。
このとき、実施例1と同様にして、塗布液中に存在する1μm以上の粗大粒子量を測定した。得られた結果を表1に示した。
次に、上記で得られた電荷輸送層形成用塗布液を用いたこと以外は実施例1と同様にして、感光体を作製した。更に、得られた感光体を用いたことは実施例1と同様にして、電子写真装置の作製及びプリント試験を行った。得られた結果を表1に示す。
(比較例2)
N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニルベンジジン20重量部とN,N’−ビス(3,4−ジメチルフェニル)ビフェニル−4−アミン20重量部とビスフェノールZポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量40,000)60重量部とをテトロヒドロフラン280重量部及びトルエン120重量部に十分に溶解混合した後、見掛け密度が0.37g/mLである四フッ化エチレン樹脂粒子10重量部及びフッ素系グラフトポリマー0.50重量部を加え、さらに混合した後、高圧ホモジナイザーを用いて分散し、電荷輸送層形成用塗布液を得た。
このとき、実施例1と同様にして、塗布液中に存在する1μm以上の粗大粒子量を測定した。得られた結果を表1に示した。
次に、上記で得られた電荷輸送層形成用塗布液を用いたこと以外は実施例1と同様にして、感光体を作製した。更に、得られた感光体を用いたことは実施例1と同様にして、電子写真装置の作製及びプリント試験を行った。得られた結果を表1に示す。
表1に示した通り、実施例1〜6においてはいずれも、電荷輸送層におけるフッ素系樹脂粒子の分散性の向上と、得られた感光体におけるΔRpの上昇の抑制とが高水準で両立されており、良好な画質を長期にわたって安定的に得ることができた。また、樹脂溶液に四フッ化エチレン樹脂及びフッ素系グラフトポリマーを加えて電荷輸送層形成用塗布液とした実施例6では、40,000枚後に背景部にカブリが発生し、45,000枚後にソリッド部に筋状濃度ムラが発生したのに対し、四フッ化エチレン樹脂粒子分散液と樹脂溶液とを別個に調製し、両者を混合して電荷輸送層形成用塗布液とした実施例1〜5の場合は、50,000枚後の画質はソリッド部、背景部ともに良好であった。
一方、比較例1においては、10,000枚後にソリッド部における筋状濃度ムラ及び背景部におけるカブリが発生した。また、比較例2では、フッ素系グラフトポリマーの増量によりフッ素系樹脂粒子の分散性が改善されたが、ΔRpが上昇し、10,000枚後にソリッド部における濃度低下が発生した。
1、1a〜1d…電子写真感光体、2…導電性支持体、3…感光層、4…下引層、5…電荷発生層、6…電荷輸送層、7…保護層、200、220…電子写真装置、208…帯電装置、209…電源、210…露光装置、211…現像装置、212…転写装置、213…クリーニング装置、214…除電器、215…定着装置、216…トナー供給装置、217…露光のための開口部、218…除電露光のための開口部、219…取り付けレール、300…プロセスカートリッジ、400…ハウジング、402a〜402d…帯電ロール、403…レーザー光源(露光装置)、404a〜404d…現像装置;405a〜405d…トナーカートリッジ、406…駆動ロール、407…テンションロール、408…バックアップロール、409…中間転写ベルト、410a〜410d…1次転写ロール、411…トレイ(被転写媒体トレイ)、412…移送ロール、413…2次転写ロール、414…定着ロール、415a〜415d…クリーニングブレード、416…クリーニングブレード、417、500…被転写媒体。