JP2005227417A - 転写ローラ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】上記課題は、金属芯と、その外周を覆う円筒状の樹脂層とを備えるローラであって、前記樹脂層が、熱可塑性樹脂と、アルカリ金属またはアルカリ土類金属のカチオン成分およびイオン解離可能なアニオン成分で構成される金属塩と、上記金属塩を溶解可能な有機化合物とを含有するものであることを特徴とする転写ローラで解決できる。
【選択図】図1
Description
転写工程では感光ドラム上のトナー画像はコロナ転写方式やローラ転写方式によって紙上に転写されるが、コロナ転写方式ではコロナ放電に伴うオゾンの発生等の問題が生じるため、近年ではローラ転写方式が多く用いられている。このローラ転写方式に使用される転写ローラとしては、従来からゴムやエラストマーなどの弾性材料にカーボンブラック、リン酸エステルの添加(特許文献1)、チタン酸カリウイスカー(特許文献2、特許文献3)等の導電性添加剤を配合した中抵抗を有する弾性ロールが使用されている。また、ゴム材料そのものを検討した特許文献4等もある。
[1]金属芯と、その外周を覆う円筒状の樹脂層とを備えるローラであって、前記樹脂層が、熱可塑性樹脂と、アルカリ金属またはアルカリ土類金属のカチオン成分およびイオン解離可能なアニオン成分で構成される金属塩と、上記金属塩を溶解可能な有機化合物とを含有するものであることを特徴とする転写ローラ。
[2]上記熱可塑性樹脂がABS樹脂である[1]に記載の転写ローラ。
[3]上記金属塩がLiClO4、LiCF3SO3、LiC(CF3SO2)3から選ばれる少なくとも1種である、[1]または[2]に記載の転写ローラ。
[4]上記有機化合物が、下記一般式(1)〜(3)で表される少なくともいずれかである、[1]〜[3]のいずれかに記載の転写ローラ。
本発明の転写ローラは、金属芯と、該金属芯の外周を覆う円筒状の樹脂層とを備える転写ローラであって、当該樹脂層が、熱可塑性樹脂と、アルカリ金属またはアルカリ土類金属のカチオン成分およびイオン解離可能なアニオン成分で構成される金属塩と、該金属塩を溶解可能な有機化合物とを含有するものであることを特徴とする。
また、本発明に使用される金属塩よりイオン解離し得るアニオン成分としては、例えば、Cl−、Br−、F−、I−、NO3 −、SCN−、ClO4 −、CF3SO3 −、BF4 −、(CF3SO2)2N−、(CF3SIO2)3C−などが挙げられ、中でもClO4 −、CF3SO3 −、BF4 −、(CF3SO2)2N−、(CF3SIO2)3C−が好ましい。
上記カチオン成分およびアニオン成分によって構成される金属塩としては、例えば、従来公知のリチウム塩電解質、具体的には、LiClO4、NaClO4、KClO4、LiCF3SO3、LiN(CF3SO2)2、NaN(CF3SO2)2、LiC(CF3SO2)3、NaC(CF3SO2)3が挙げられ、中でも堆積抵抗率を制御し易い点から、LiClO4、LiCF3SO3、LiC(CF3SO2)3が好ましい。なお、本発明においては、上述した中から2種類以上の金属塩を用いてもよい。
ここで、「良好な導電性」とは、樹脂層の体積抵抗率が105Ω・cm〜1011Ω・cmであることを指す(好ましくは、107Ω・cm〜109Ω・cm)。体積抵抗率が105Ω・cm未満であると、異常画像の原因となる。また、体積抵抗率が1011Ω・cmを超えると、充分な導電性が得られず、転写効率が悪くなる傾向になる。該体積抵抗率は、例えば、転写ローラに金属箔を巻きつけ、転写ローラの金属芯より直流電流を印加し、直列に接続した電流計の値を読みながら計算して抵抗値を求め、金属箔の面積、ローラ被覆厚(樹脂層の肉厚)から、体積抵抗率を換算する。また、「導電性が均一である」とは、転写ローラの樹脂層の任意の区画における良好なローラ1本中の体積抵抗率の最大値/最小値の割合が10以下(好ましくは5以下)であることを指す。該体積抵抗率の差は、ローラを1本について数箇所、体積抵抗率を測定することで得られる。
また、射出成形の条件に特に制限はないが、通常、200℃〜250℃の成形温度、50mm/秒〜150mm/秒の射出速度の各範囲内で成形を行う。
また、本発明の転写ローラを形成するための組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲で無機充填剤、酸化防止剤、相溶化剤などの適宜の添加剤が配合されていてもよい。
ABS樹脂100重量部、LiClO40.05重量部、トリエチレングリコールジアセチル0.5重量部を混合した組成物を、バンバリミキサで混練した後、ステンレス鋼製の金属芯上に射出成形(温度230℃、射出速度:100mm/秒)し、ロール径12mm(シャフト径:8mm)、長さ350mmの転写ローラのサンプルを作製した。
LiClO4の配合量を5.0重量部に変更し、トリエチレングリコールジアセチルに換えてアジピン酸ジブトキシエトキシエチルを3.0重量部配合した以外は実施例1と同様にして、転写ローラのサンプルを作製した。
LiClO4に換えてLiCF3SO3を7.0重量部配合し、トリエチレングリコールジアセチルの配合量を5.0重量部に変更した以外は実施例1と同様にして、転写ローラのサンプルを作製した。
LiClO4の配合量を18.0重量部に変更し、トリエチレングリコールジアセチルに換えてアジピン酸ジブトキシエトキシエチルを8.0重量部配合した以外は実施例1と同様にして、転写ローラのサンプルを作製した。
LiClO4の配合量を0.02重量部、トリエチレングリコールジアセチル0.1重量部に変更した以外は実施例1と同様にして、転写ローラのサンプルを作製した。
PE(ポリエチレン)樹脂100重量部、LiClO45.0重量部、アジピン酸ジブトキシエトキシエチル3.0重量部を混合した組成物を、バンバリミキサで混練した後、ステンレス鋼製の金属芯上に射出成形(温度:230℃、射出速度:100mm/秒)し、ロール径12mm(シャフト径:8mm)、長さ350mmの転写ロールのサンプルを作製した。
ABS樹脂100重量部のみを含有する組成物を、バンバリミキサで混練した後、ステンレス鋼製の金属芯上に射出成形(温度:230℃、射出速度:100mm/秒)し、ロール径12mm(シャフト径:8mm)、長さ350mmの転写ローラのサンプルを作製した。
ABS樹脂100重量部、LiClO415重量部を混合した組成物をバンバリミキサで混練した後、ステンレス鋼製の金属芯上に射出成形(温度:230℃、射出速度:100mm/秒)し、ロール径12mm(シャフト径:8mm)、長さ350mmの転写ローラのサンプルを作製した。
ABS樹脂100重量部、カーボンブラック8重量部を混合した組成物をバンバリミキサで混練した後、ステンレス鋼製の金属芯上に射出成形(温度:230℃、射出速度:100mm/秒)し、ロール径12mm(シャフト径:8mm)、長さ350mmの転写ローラのサンプルを作製した。
上記で作製した実施例1〜6、比較例1〜3のサンプルについて、下記の手順で測定した(1)〜(4)について、いずれも基準を満足するものを合格とし、いずれか1つでも満足しないものを不合格とした。
各サンプルに金属箔を巻きつけ、金属芯から100Vの直流電圧を印加し、直列に接続した電流計の値の読みから計算して抵抗を求め、金属箔の面積、ローラ被覆厚(樹脂層の肉厚)から体積抵抗率を換算した。体積抵抗率が1×105Ω・cm〜1.0×1011Ω・cmの範囲であったものを合格とした。
各サンプルを、40℃×90%RH雰囲気中に7日間放置し、目視によりローラ表面のブリードアウトを有無を判定した。
体積抵抗率の測定に準じ、1本のローラについて数箇所に金属箔を巻き付けて測定した。その測定値の中で最大値と最小値を求め、その差(その比:最大値/最小値)が10以下であれば合格とした。
LL(低温低湿:10℃×15%RH)およびHH(高温高湿:50℃×80%RH)雰囲気でのローラの体積抵抗率を測定(方法は上記と同じ)する。LL/HHを求め、その値が30以下であれば合格とした。
結果を表1、表2に示す。
2 露光手段
3 表面電位計
4 パワーパック
5 現像ローラ
6 転写ローラ
7 記録紙
8 感光ドラム
9 クリーニング装置
10 画像形成装置
Claims (4)
- 金属芯と、その外周を覆う円筒状の樹脂層とを備えるローラであって、前記樹脂層が、熱可塑性樹脂と、アルカリ金属またはアルカリ土類金属のカチオン成分およびイオン解離可能なアニオン成分で構成される金属塩と、上記金属塩を溶解可能な有機化合物とを含有するものであることを特徴とする転写ローラ。
- 上記熱可塑性樹脂がABS樹脂である請求項1に記載の転写ローラ。
- 上記金属塩がLiClO4、LiCF3SO3、LiC(CF3SO2)3から選ばれる少なくとも1種である、請求項1または2に記載の転写ローラ。
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