JP2005226534A - 動弁制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】可変バルブタイミング機構のストッパで規制される機構上の最遅角位置及び最進角位置の内側にオフセットした位置を、制御上の最遅角位置及び最進角位置として設定し、カム角センサで検出される機構上の最遅角位置を基準とした検出バルブ位相角(回転位相検出値)をオフセット分で補正した値を制御用バルブ位相角として制御に用いる構成とした。
【選択図】 図19
Description
この種の可変バルブタイミング機構では、バルブスプリングの付勢力に抗して動弁を開弁するときとバルブスプリングの付勢力によって閉弁とするときとで逆向きに交互に生じるトルク(交番トルク)がカムシャフトを介して、前記回転位相を変化させる機構部に作用し、該機構部の回転位相変化により相対動する部品同士が前記交番トルクによって振動する。これにより、前記部品同士の隙間(回転摺動部)に潤滑油膜が形成され、該油膜によって機構部の潤滑及び摩耗保護が行われる。
本発明は、このような課題に着目してなされたもので、可変動弁機構を適切に制御することにより、動作の規制による偏摩耗を防止することを目的とする。
このようにすれば、動弁の作動範囲を変更させる機構の制御範囲が、該機構の動作範囲の内側に狭めて設定されるので、前記ストッパ構造で規制される位置に制御されることがなく、動弁開閉動作で入力される交番トルクによる機構の振動が制限されないので、該機構の潤滑油膜が良好に形成され被潤滑部の偏摩耗、ストッパの摩耗などの不具合を防止できる。
このようにすれば、制御上の基準位置をストッパ構造で制限される機構上の基準位置からオフセットすることで、制御範囲をストッパに当接しない範囲に設定することができる。
制御上の基準位置に対する動弁の作動状態と機構上の基準位置に対する作動状態との間には、オフセット分のずれを生じる。そこで、機構上の基準位置に対する作動状態をオフセット分で補正した作動状態を制御時の作動状態検出値として用いることにより、適正に制御することができる。
この図1において、内燃機関101の吸気管102には、スロットルモータ103aでスロットルバルブ103bを開閉駆動する電子制御スロットル104が介装され、該電子制御スロットル104及び吸気バルブ105を介して、燃焼室106内に空気が吸入される。
前記排気バルブ107は、排気側カムシャフト110に軸支されたカム111によって一定のリフト量及び作動角(開から閉までのクランク角)を保って開閉駆動されるが、吸気バルブ105は、可変バルブリフト機構112によってリフト量及び作動角が連続的に変えられるようになっている。なお、リフト量と作動角とは、一方の特性が決まれば他方の特性も決まるように同時に変えられる。
尚、本実施形態では吸気バルブ105側にのみ可変バルブタイミング機構201を備える構成としたが、吸気バルブ105側に代えて、又は、吸気バルブ105側と共に、排気バルブ107側に可変バルブタイミング機構を備える構成であっても良い。
マイクロコンピュータを内蔵する前記ECU114には、各種センサからの検出信号が入力され、該検出信号に基づく演算処理によって、前記電子制御スロットル104,可変バルブタイミング機構201及び燃料噴射弁131を制御する。
図2〜図4は、前記可変バルブリフト機構112の構造を詳細に示すものである。
図2〜図4に示す可変バルブリフト機構は、一対の吸気バルブ105,105と、シリンダヘッド11のカムシャフト受14に回転自在に支持された中空状のカムシャフト13(駆動軸)と、該カムシャフト13に軸支された回転カムである2つの偏心カム15,15(駆動カム)と、前記カムシャフト13の上方位置に同じカムシャフト受14に回転自在に支持された制御軸16と、該制御軸16に制御カム17を介して揺動自在に支持された一対のロッカアーム18,18と、各吸気バルブ105,105の上端部にバルブリフター19,19を介して配置された一対のそれぞれ独立した揺動カム20,20とを備えている。
上記ロッカアーム18,18,リンクアーム25,25,リンク部材26,26が伝達機構を構成する。
また、前記一対の偏心カム15は、カムシャフト13に対し前記バルブリフター19に干渉しない両外側にカムシャフト挿通孔15cを介して圧入固定されていると共に、カム本体15aの外周面15dが同一のカムプロフィールに形成されている。
また、基部18aの外端部に突設された一端部18bには、リンクアーム25の先端部と連結するピン21が圧入されるピン孔18dが貫通形成されている一方、基部18aの内端部に突設された他端部18cには、各リンク部材26の後述する一端部26aと連結するピン28が圧入されるピン孔18eが形成されている。
前記揺動カム20は、図2及び図6,図7に示すように略横U字形状を呈し、略円環状の基端部22にカムシャフト13が嵌挿されて回転自在に支持される支持孔22aが貫通形成されていると共に、ロッカアーム18の他端部18c側に位置する端部23にピン孔23aが貫通形成されている。
即ち、図8に示すバルブリフト特性からみると、図2に示すように基円面24aの所定角度範囲θ1がベースサークル区間になり、カム面24bの前記ベースサークル区間θ1から所定角度範囲θ2が所謂ランプ区間となり、更に、カム面24bのランプ区間θ2から所定角度範囲θ3がリフト区間になるように設定されている。
更に、前記リンク部材26は、所定長さの直線状に形成され、円形状の両端部26a,26bには前記ロッカアーム18の他端部18cと揺動カム20の端部23の各ピン孔18d,23aに圧入した各ピン28,29の端部が回転自在に挿通するピン挿通孔26c,26dが貫通形成されている。
上記構成において、制御軸16の軸心P2と制御カム17の軸心P1との位置関係によって、図6,7に示すように、リフト量が変化することになり、前記制御軸16を回転駆動させることで、制御カム17の軸心P1に対する制御軸16の軸心P2の位置を変化させる。
一方、前記制御軸16の先端に一対のステー123a,123bが固定され、一対のステー123a,123bの先端部を連結する制御軸16と平行な軸周りに、ナット124が揺動可能に支持される。
ここで、ナット124の位置をかさ歯車126に近づける方向が、リフト量が小さくなる方向で、逆に、ナット124の位置をかさ歯車126から遠ざける方向が、リフト量が大きくなる方向となっている。
一方、ヒステリシスブレーキ320は、中間回転体318の前端部にリテーナプレート322を介して取り付けられた有底円筒状のヒステリシスリング323と、非回転部材である図外のVTCカバーに回転を規制した状態で取り付けられた磁界制御手段としての電磁コイル324と、電磁コイル324の磁気を誘導する磁気誘導部材であるコイルヨーク325と、を備え、電磁コイル324が機関の運転状態に応じて前記ECU114によって通電制御されるようになっている。
コイルヨーク325は、電磁コイル324を取り囲むように全体が略円筒形状に形成され、その内周面が軸受328を介して従動軸部材307の先端部に回転可能に支持されている。そして、コイルヨーク325の後部面側(中間回転体318側)には磁気入出部分が円筒状の隙間をもって向かい合うように周面状の一対の対向面326,327が形成されている。
そして、一方の対向面326の凸部326aと他方の対向面327の凸部327aは円周方向に交互に配置され、対向面326,327相互の近接する凸部326a,327aがすべて円周方向にずれている。したがって、両対向面326,327の近接する凸部326a,327a間には、電磁コイル24の励磁によって図16に示すような円周方向に傾きをもった向きの磁界が発生する。そして、両対向面326,327間の隙間には前記ヒステリシスリング323の円筒壁323aが非接触状態で介装されている。
図17(a)の状態においては、コイルヨーク325の対向面326,327間の磁界の向き(対向面27の凸部327aから他方の対向面326の凸部327aに向かう磁界の向き)に沿うようにヒステリシスリング323内に磁束の流れが生じる。
このように、このVTC201によって可変される(クランクシャフト120に対するカムシャフト134の)回転位相は、電磁コイル324の励磁電流値を制御してヒステリシスブレーキ320の制動力を制御することによって任意の位相に変更し、ゼンマイばね319の力とヒステリシスブレーキ320の制動力のバランスによってその位相を保持することができる。
しかし、かかる従来の構成では、既述のように、運転中に最遅角位置または最進角位置に制御されて係合ピンがストッパとして機能する渦巻き溝の端面に突き当たると、バルブ開閉反力に伴う交番トルクを入力したときに、VTCの回転位相を変更する機構部の振動が規制されて潤滑油膜の形成が難しくなり、衝突部分等に偏摩耗などの不具合を生じる可能性がある。
そこで、機構上の最遅角位置を基準とした回転位相検出値(検出バルブ位相角)を前記オフセット分で補正して制御上の最遅角位置を基準とした回転位相検出値を算出し、この補正した回転位相検出値を制御用実バルブ位相角として用いる。
検出バルブ位相角=|実バルブ位置−機構上の最遅角位置|
制御用実バルブ位相角=|検出バルブ位相角−オフセット分|
図20は、前記VTC201による吸気バルブのバルブタイミング制御の基本フローを示す。
ステップ2では、カム角センサ202の検出値を読み込み、前記補正処理を行って制御用の実バルブ位相角を算出する。
ステップ3では、前記目標バルブ位相角と前記実バルブ位相角との偏差Δθを算出する。
ステップ5では、前記励磁電流Iに応じた制御信号を電磁コイル324に出力する。
これにより、電磁コイル324が駆動されて励磁電流Iが流れ、ゼンマイばね319の付勢力とバランスする制動力により実バルブ位相角(バルブタイミング)が目標バルブ位相角に収束する。なお、運転停止時は、電磁コイル324の通電が遮断されて機構上の最遅角位置にあるが、始動時に制御上の最遅角位置が目標バルブ位相角として設定され、速やかに制御上の最遅角位置まで制御される。
また、上記実施形態では、機構上の基準位置に対する回転位相検出値をオフセット分で補正して制御用として用いる回転位相検出値(実バルブ位相角)を算出する構成としたが、機構上の基準位置に対する回転位相検出値をそのまま用いて制御上の基準位置を制御するようにしてもよい。すなわち、機構上の基準位置(吸気バルブ制御では最遅角位置、排気バルブ制御では最大進角位置)に対し、オフセット分(吸気バルブ制御では進角量、排気バルブ制御では遅角量)加算した値が、制御上の基準位置における目標バルブ位相角となり、通常運転時(非学習時)の目標バルブ位相角は、さらに所望の位相角分(吸気バルブ制御では進角量、排気バルブ制御では遅角量)加算して設定する構成とすればよい。
更に、上記実施形態から把握し得る請求項以外の技術思想について、以下にその効果と共に記載する。
(イ)請求項1〜請求項3のいずれか1つに記載の動弁制御装置において、
動弁として吸気バルブのバルブタイミングを変更する可変バルブタイミング機構では、前記制御上の基準位置を吸気バルブのバルブタイミングの最遅角位置に設定し、動弁として排気バルブのバルブタイミングを変更する可変バルブタイミング機構では、前記制御上の基準位置をバルブタイミングの最進角位置に設定したことを特徴とする。
(ロ)請求項1〜請求項3または上記(イ)のいずれか1つに記載の動弁制御装置において、
可変バルブタイミング機構がクランクシャフトに同期して回転するカムスプロケットと、カムシャフトと、の間に、双方を相対回転させることによって前記回転位相を変更する組付け角操作機構を備えて構成されることを特徴とする。
前記組付け角操作機構が、駆動回転体と従動回転体のいずれか一方に設けられた径方向ガイドと、このガイドに対峙する面に渦巻き状ガイドを有する中間回転体と、前記2つのガイドに変位可能に案内結合される可動案内部と、前記駆動回転体と従動回転体のいずれか他方の回転中心から離間した部位と前記可動案内部とを揺動可能に結合したリンクを備えた構造であることを特徴とする。
Claims (3)
- 内燃機関の動弁の作動状態を変更させる機構の動作範囲を、ストッパ構造により規制しつつ、前記動弁の作動状態を制御する動弁制御装置であって、前記動弁の作動状態を変更する制御範囲を、該作動状態を変更させる機構の動作範囲の内側に狭めて設定したことを特徴とする動弁制御装置。
- 前記動弁の作動状態を変更させる機構の前記ストッパ構造によって規制される機構上の限界位置を基準位置として動弁の作動状態を検出し、前記機構上の限界位置に対して所定量オフセットした作動状態を制御上の基準位置として設定することを特徴とする請求項1に記載の動弁制御装置。
- 前記機構上の限界位置を基準位置とする作動状態検出値を、前記所定量のオフセットで補正して前記制御上の基準位置に対する作動状態検出値を算出し、該補正した制御上の基準位置に対する作動状態検出値を、制御に使用することを特徴とする請求項2に記載の動弁制御装置。
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