JP2005226087A - 陽極酸化ポーラスアルミナおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】第1段階目の陽極酸化により細孔部を有するポーラスアルミナを作製し、このポーラスアルミナの地金Alを除去して得られたポーラスアルミナ底面のバリア層の表面における、前記細孔部に対応する凸部を優先的にエッチングした後、その構造を反転させた鋳型を作製し、この鋳型の構造を他のAlに転写して該他のAlに第2段階目の陽極酸化を施し、元のポーラスアルミナに対して1/√3倍の細孔周期を有する陽極酸化ポーラスアルミナを製造する方法、及びその方法により製造された規則細孔配列を有する陽極酸化ポーラスアルミナ。
【選択図】図1
Description
図1は、本発明の一実施態様に係る陽極酸化ポーラスアルミナの製造方法を示している。まず、ステップ(a)において、アルミニウムを酸性電解液中で陽極酸化し、第1段階目の陽極酸化ポーラスアルミナ1を準備する。ポーラスアルミナ1は、細孔2を中心に有する6角柱のセルの集合体として表現される。ポーラス皮膜はセルの境界3で最も成長が遅く、ポーラスアルミナ底部のバリア層側から見るとセル境界3が窪んだ構造となる。また、セル境界3のなかでも。3つのセルの接合点であるセル3重点部分が最大の深さとなる。本発明において、この第1段階目の陽極酸化に使用される電解液は、りん酸、しゅう酸、硫酸、クロム酸など、ポーラスアルミナの形成が可能な電解液を1種類で、あるいは2種以上を混合して使用することができるが、硫酸を用いることでより微細な周期で規則性細孔配列を得ることができる。このときの硫酸の濃度を0.1M〜10M、化成電圧を16V〜28Vとすることが、細孔配列の規則性の点から好ましい。上記手法で得られる陽極酸化ポーラスアルミナは規則配列の領域が複数に分かれたドメイン構造を有し、また細孔配列の方位を決定することができない。これに対し、陽極酸化に先立ち、アルミニウムの表面に目的の細孔配列に対応した規則的な窪み配列を形成し、これを陽極酸化することで、細孔の配列方位が制御され、かつ高規則配列を単一領域で達成した理想的な陽極酸化ポーラスアルミナを形成することができる。アルミニウムの表面に規則的な窪みの配列を形成する手法はどのようなものを用いても構わないが、配列の制御された微小突起配列を有するモールドを用い、アルミニウム表面にプレスする方法が、作業工程の簡素さ、制御性の高さから好ましい。
実施例1
アルミニウム(以下、Alと表記することもある。)板を電解研磨法により鏡面研磨した後、0.3Mの硫酸を用い、25Vの化成電圧で12時間の陽極酸化を行った。この後、塩化第二水銀の飽和水溶液中で地金Alを選択的に除去した。イオンミリング装置を使用し、6kV、0.2mAで加速したArイオンビームを10度の角度でバリア層に照射し、細孔を貫通させた。得られたバリア層の表面にPt−Pdを5nmコートし、これを電極とした電気めっきによりNiを厚さ0.2mmまで析出させた。ポーラスアルミナをクロム・リン酸混合液中で選択的に溶解除去し、Niのモールドを作製した。これを別の電解研磨を施したAl板に圧力3500kg/cm2で押しつけた。窪み配列が形成されたAl板を、0.3Mの硫酸水溶液中で14.5Vの化成電圧で陽極酸化することにより、ドメイン構造を有する細孔周期36nmの規則細孔配列ポーラスアルミナを得た。
バリア層のエッチングにおいて,Arイオンミリング後に30℃の1重量%のりん酸水溶液中で1分間のエッチングを行った以外は実施例1と同様にして、ドメイン構造を有する細孔周期36nmの規則細孔配列ポーラスアルミナを得た。この試料の細孔配列の規則性及び細孔径の均一性は、実施例1で得られたポーラスアルミナよりも優れていた。
第1段階目の陽極酸化において、9.0Mの硫酸水溶液中で18V、1時間の陽極酸化を行い、第2段階目の陽極酸化を10.4Vで行った以外は実施例2と同様にしてドメイン内で細孔周期26nmの規則配列を有する陽極酸化ポーラスアルミナを得た。
突起が45nm周期で6方配列したNiモールドを用いてAl表面に窪みの配列を形成した以外は実施例3と同様にして、細孔の配列方位が揃ったシングルドメイン状の細孔周期26nmの高規則性陽極酸化ポーラスアルミナを得た。
2 細孔
3 セル境界
4 地金アルミニウム
5 バリア層
6 エッチング後のバリア層
7 鋳型材料
8 モールド
9 他のアルミニウム
10 元の陽極酸化ポーラスアルミナの1/√3倍の細孔周期を有する陽極酸化ポーラスアルミナ
Claims (9)
- 第1段階目の陽極酸化により細孔部を有するポーラスアルミナを作製し、このポーラスアルミナの地金アルミニウムを除去して得られたポーラスアルミナ底面のバリア層の表面における、前記細孔部に対応する凸部を優先的にエッチングした後、その構造を反転させた鋳型を作製し、この鋳型の構造を他のアルミニウムに転写して該他のアルミニウムに第2段階目の陽極酸化を施し、元のポーラスアルミナに対して1/√3倍の細孔周期を有する陽極酸化ポーラスアルミナを製造することを特徴とする、陽極酸化ポーラスアルミナの製造方法。
- イオンビームあるいは原子ビームを用いたミリング法によりポーラスアルミナ底面のバリア層の表面における細孔部に対応する凸部を優先的にエッチングすることを特徴とする、請求項1の陽極酸化ポーラスアルミナの製造方法。
- イオンビームあるいは原子ビームによりバリア層の表面における細孔部に対応する凸部を優先的にエッチングした後、ウエットエッチングによりセル3重点の窪み深さを増加させることを特徴とする、請求項2の陽極酸化ポーラスアルミナの製造方法。
- 第1段階目の陽極酸化の電解液として硫酸を用いることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の陽極酸化ポーラスアルミナの製造方法。
- 硫酸の濃度を0.1M〜10Mの範囲内とすることを特徴とする、請求項4の陽極酸化ポーラスアルミナの製造方法。
- 第1段階目の陽極酸化の化成電圧を16V〜28Vの範囲内とすることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の陽極酸化ポーラスアルミナの製造方法。
- 第1段階目の陽極酸化に先立ち、アルミニウム表面に規則的な窪み配列を形成することで、窪み配列に対応した細孔配列を有する陽極酸化ポーラスアルミナを形成し、該ポーラスアルミナを前記優先的エッチングに用いることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の陽極酸化ポーラスアルミナの製造方法。
- アルミニウム表面に規則的な窪み配列を形成する手段として、配列の制御された突起配列を有するモールドを用い、アルミニウム表面にプレスすることで窪み配列を形成することを特徴とする、請求項7の陽極酸化ポーラスアルミナの製造方法。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の方法により製造された陽極酸化ポーラスアルミナ。
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