JP2005226053A - 高強度難燃性樹脂組成物及び電線・ケーブル - Google Patents

高強度難燃性樹脂組成物及び電線・ケーブル Download PDF

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【課題】シングルサイト触媒の存在下て重合された直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体、及び無機難燃剤を含有する難燃性樹脂組成物であって、特に強度を高めて機械的特性の向上が図られた高強度難燃性樹脂組成物、並びにそれからなる被覆層を有する電線・ケーブルを提供すること。
【解決手段】本発明の高強度難燃性樹脂組成物は、シングルサイト触媒を使用して重合された直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体、及び無機難燃剤を含有する難燃性樹脂組成物であって、上記直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体が、メルトマスフローレート0.5〜10g/10分、及び密度0.86〜0.95g/cm3 のエチレン−ヘキセン−1共重合体である。本発明の電線・ケーブルは、本発明の高強度難燃性樹脂組成物からなる被覆層を有する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、シングルサイト触媒を使用して重合された直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体、及び無機難燃剤を含有し、優れた難燃性を有するとともに強度を高めた高強度難燃性樹脂組成物、並びにそれからなる被覆層を有する電線・ケーブルに関する。
直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体(以下、本明細書では単にエチレン−α−オレフィン共重合体と略称することがある。)は、いわゆる活性点が異なる複数種であるマルチサイト触媒を使用して、重合反応条件としては、温度が0〜250℃、圧力が高圧の場合50MPa以上、中圧の場合10〜50MPa、あるいは低圧の場合常圧〜10MPaのいずれかの条件で、溶液重合法、懸濁重合法、スラリー重合法あるいは気相重合法等により製造されている。
近年活性点が同種のシングルサイト触媒(メタロセン系触媒とも言われる。)が開発され、この触媒を使用したエチレン−α−オレフィン共重合体が上市されるようになった。 シングルサイト触媒で重合されたエチレン−α−オレフィン共重合体は、優れた機械特性(特に引張破壊応力、本明細書ではこれを強度とも呼ぶ。)をもつので、これに難燃剤を配合した難燃性樹脂組成物が、数多く提案されている。
例えば、下記特許文献1では、難燃性が高く、特に従来の組成物に比べて機械的特性が格段に優れ、電線被覆等に好適である組成物として、メルトフローレート0.5〜50g/10分、密度0.86〜0.91g/cm3 および重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)3.0以下である、シングルサイト触媒を使用して製造された実質的に線状であるエチレン−α−オレフィン共重合体100重量部と、難燃剤5〜250重量部とからなる難燃性エチレン系樹脂組成物が提案され、難燃性が高く、特に従来の組成物に比べて機械的特性が格段に優れ、電線被覆等に好適であるとの記載がある。
また、下記特許文献2では、難燃剤として、水酸化マグネシウムを主成分とする天然鉱物をオレフィン系樹脂に配合する難燃性オレフィン系樹脂組成物が提案されている。
この組成物における水酸化マグネシウムを主成分とする天然鉱物の配合量はオレフィン系樹脂100重量部に対して、5〜250重量部、好ましい範囲は40〜250重量部、更に好ましい範囲は75〜225重量部とされている。このように、無機難燃剤は、いわゆるハロゲン元素を含む有機難燃剤と比較して多量に配合しなければならず、多量に配合すると樹脂組成物の強度が低下し、したがって、より高強度の難燃性樹脂組成物の開発が求められていた。
一方、エチレン−α−オレフィン共重合体のメルトマスフローレートは、分子量の指標となるものであり、共重合体の分子量が高くなるに伴ってメルトマスフローレートが低下し、これを含有する樹脂組成物の強度も高くなる。
また、エチレン−α−オレフィン共重合体の密度は、結晶度の指標となるものであり、共重合体の結晶度が高くなるに伴って密度も高くなり、これを含有する樹脂組成物の強度も高くなる。
従って、エチレン−α−オレフィン共重合体に無機難燃剤を配合した難燃性樹脂組成物であっても、メルトマスフローレートが低く、密度が高い(換言すれば、分子量が高くて結晶度も高い)エチレン−α−オレフィン共重合体を使用することによって、当該難燃性樹脂組成物の強度の向上を図ることができる。
メルトボリュームフローレートの規格がJIS K 6922−2に規定されている。 エチレン−α−オレフィン共重合体のメルトボリュームフローレートは、当該共重合体のメルトマスフローレートおよび密度から計算により求めることができる。
ここに、あるエチレン−α−オレフィン共重合体のメルトマスフローレートの測定値をM(g/10分)とし、その密度をD(g/cm3 )とすると、当該共重合体のメルトボリュームフローレート(V)は、式:V=M/D(cm3 /10分)により求めることができる。
上記の式から、メルトマスフローレートの測定値(M)が低いほど(強度の付与効果が大きいほど)、そして、密度(D)が高いほど(強度の付与効果が大きいほど)、メルトボリュームフローレート(V)の値が小さくなる傾向にある。
従って、メルトボリュームフローレートが低い共重合体ほど、これを含有する樹脂組成物に高い強度を付与することができ、強度の付与効果を示すパラメータとして好適であり、これを採用することにより、これが小さくなると、樹脂組成物の強度が上がり、大きくなると、樹脂組成物の強度が下がる関係をより感度よく把握することができる。
特開平9−12792号公報 特開2002−363349号公報
本発明は、シングルサイト触媒を使用して重合された直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体、及び無機難燃剤を含有する難燃性樹脂組成物であって、特に強度を高めた高強度難燃性樹脂組成物、並びにそれからなる被覆層を有する電線・ケーブルを提供することを課題とする。
本発明は、上記の問題点に鑑み、マルチサイト触媒及びシングルサイト触媒をそれぞれ使用して製造された、エチレン−α−オレフィン共重合体と無機難燃剤とを含有する難燃性樹脂組成物の強度について、α−オレフィンの炭素数(C4 ,C6 ,C8 )との関係(依存性)を検討した結果、マルチサイト触媒を使用して製造された一定のメルトマスフローレートを持つエチレン−α−オレフィン共重合体にあっては、エチレン−ブテン−1共重合体、エチレン−ヘキセン−1共重合体、エチレン−オクテン−1共重合体と、α−オレフィンの炭素数が増加するに伴って、それを含有する組成物の強度が高くなることを確認した。
他方、シングルサイト触媒を使用して製造された一定のメルトマスフローレートを持つエチレン−α−オレフィン共重合体について同様に検討してみると、マルチサイト触媒を使用した場合の結果(α−オレフィンの炭素数の増加に伴って組成物の強度が上昇する)と異なり、エチレン−ヘキセン−1共重合体を含有させた組成物の強度が、エチレン−ブテン−1共重合体を含有させた組成物、及びエチレン−オクテン−1共重合体を含有させた組成物の何れの強度よりも高いものとなることを見出し、このような予測外の知見に基いて本発明を完成させた。
即ち、本発明の第1の発明によれば、シングルサイト触媒を使用して重合された直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体、及び無機難燃剤を含有する難燃性樹脂組成物であって、上記直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体が、メルトマスフローレート0.5〜10g/10分、及び密度0.86〜0.95g/cm3 のエチレン−ヘキセン−1共重合体であることを特徴とする高強度難燃性樹脂組成物が提供される。
本発明の第2の発明によれば、エチレン−ヘキセン−1共重合体100質量部に対して無機難燃剤5〜200質量部を含有することを特徴とする第1の発明の高強度難燃性樹脂組成物が提供される。
本発明の第3の発明によれば、エチレン−ヘキセン−1共重合体のメルトボリュームフローレートが0.5〜5cm3 /10分であることを特徴とする第1の発明または第2の発明の高強度難燃性樹脂組成物が提供される。
本発明の第4の発明によれば、エチレン−ヘキセン−1共重合体が、気相法で重合されたものであることを特徴とする第1〜第3のいずれかの発明の高強度難燃性樹脂組成物が提供される。
本発明の第5の発明によれば、無機難燃剤が、水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウムから選ばれた1種以上であることを特徴とする第1〜第4のいずれかの発明の高強度難燃性樹脂組成物が提供される。
更に、本発明の第6の発明によれば、第1〜第5のいずれかの発明の高強度難燃性樹脂組成物からなる被覆層を有することを特徴とする電線・ケーブルが提供される。
本発明の高強度難燃性樹脂組成物は、シングルサイト触媒の存在下に重合されたエチレン−α−オレフィン共重合体、及び無機難燃剤を含有する従来公知の難燃性樹脂組成物の持つ低温特性、環境応力亀裂性(耐亀裂性)等の特性に対して、これと同等以上の特性を有するとともに、機械特性、特に引張破壊応力を主として示す強度(引張強度)において、従来公知のものよりも格段に優れている。
即ち、エチレン−α−オレフィン共重合体のメルトマスフローレート(より感度の高いパラメータとしてメルトボリュームフローレート)が同一範囲となる条件下(これは、絶縁性や加工性において同等であることを示す)では、本発明の高強度難燃性樹脂組成物は、従来公知の難燃性樹脂組成物よりも高い引張強度を有する。
これにより、難燃性のシート、チューブ等に優れた製品を製造することができる。
本発明の高強度難燃性樹脂組成物は、特に、従来品と同様押出加工性が担保されているので、更に優れた強度を持つ電線・ケーブルの被覆層を形成することができる。
すなわち、本発明の高強度難燃性樹脂組成物によれば以下の効果が奏される。
(1)エチレン−α−オレフィン共重合体として、シングルサイト触媒の存在下に重合されたエチレン−ヘキセン−1共重合体を選択することにより、従来公知の難燃性樹脂組成物と比較して、機械特性(特に引張強度)が格段に向上する。しかも、当該エチレン−ヘキセン−1共重合体が具備する条件(メルトマスフローレート・密度)によって、これを含有する難燃性樹脂組成物は、絶縁性や加工性にも優れたものとなる。
(2)「シングルサイト触媒」の存在下に重合されたエチレン−α−オレフィン共重合体として「エチレン−ヘキセン−1共重合体」を選択することにより、エチレン−オクテン−1共重合体またはエチレン−ブテン−1共重合体を選択することによっては得られない優れた機械特性(高い引張強度)が得られる。
(3)エチレン−ヘキセン−1共重合体に対する無機難燃剤の含有割合が特定された難燃性樹脂組成物(請求項2に係る組成物)は、優れた機械的特性(高い引張強度)と、難燃性とをバランスよく発現することができる。
(4)メルトボリュームフローレートが特定の範囲にあるエチレン−ヘキセン−1共重合体を含有する難燃性樹脂組成物(請求項3に係る組成物)は、機械特性(特に引張強度)の向上効果が特に顕著である。
(5)シングルサイト触媒の存在下に気相法で重合体されたエチレン−ヘキセン−1共重合体を含有する難燃性樹脂組成物(請求項4に係る組成物)は、機械特性(特に引張強度)の向上効果が特に顕著である。
以下、本発明の高強度難燃性樹脂組成物、及びそれからなる被覆層を有する電線・ケーブルについて詳細に説明する。
<エチレン−ヘキセン−1共重合体>
本発明で使用されるエチレン−ヘキセン−1共重合体は、シングルサイト触媒を使用して重合されたエチレンとヘキセン−1との共重合体である。
本発明による顕著な効果である高強度は、共重合体を構成するα−オレフィンとして、炭素数4のブテン−1や炭素数8のオクテン−1を使用したときには得られず、炭素数6のヘキセン−1を使用した場合にのみ得られる。
シングルサイト触媒を使用して重合されたエチレン−ヘキセン−1共重合体のみが、無機難燃剤の充填性が高く、これを多量に配合した難燃性樹脂組成物であっても、その強度が高くなるかの機構は確かではないが、シングルサイト触媒を使用して重合されたエチレン−α−オレフィン共重合体と、無機難燃剤との混合系にあっては、エチレン−α−オレフィン共重合体として、エチレン−ヘキセン−1共重合体を選択する場合に限り、両者の相溶性が、何らかの理由で高まるものと考えられ、これにより高強度化を図るものと推測される。
このシングルサイト触媒で重合されたエチレン−ヘキセン−1共重合体のメルトマスフローレートは、0.5〜10g/10分、好ましくは0.5〜5g/10分、更に好ましくは、0.8〜3.5g/10分である。メルトマスフローレートが0.5g/10分未満であると、これを含有する樹脂組成物の加工性が劣り、一方これが10g/10分を超えると、これを含有する樹脂組成物が、高い強度を有するものとならず、本発明の効果を奏することができないので望ましくない。
このシングルサイト触媒を使用して重合されたエチレン−ヘキセン−1共重合体の密度は0.86〜0.95g/cm3 、好ましくは0.90〜0.93g/cm3 、更に好ましくは0.905〜0.925g/cm3 とされる。密度が0.86g/cm3 未満である共重合体は、その製造が困難であり、かつ、当該共重合体を含有する樹脂組成物は高い強度を有するものとならない。一方、共重合体の密度が0.95g/cm3 を超えると、当該共重合体を含有する樹脂組成物の柔軟性がなくなり、もろくなり、結果として機械特性のバランスが低下し、強度にも悪影響が出るので望ましくない。
このシングルサイト触媒で重合されたエチレン−ヘキセン−1共重合体の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の関係は、即ちサイズ排除クロマトグラフィーで測定された(Mw)と(Mn)の比、(Mw)/(Mn)が1.5〜5.0であることが好ましく、更に好ましくは2.0〜5.0、特に好ましくは3.0〜5.0とされる。なお、(Mw)/(Mn)が1.5未満のものは、現時点では製造が難しく、かつ高価となり、一方、これが5.0を超える共重合体を含有する樹脂組成物は、高い強度を有するものとならない。
更に、本発明で使用されるシングルサイト触媒を使用して重合されたエチレン−ヘキセン−1共重合体のメルトボリュームフローレートは、0.5〜5cm3 /10分であることが好ましく、更に好ましくは0.5〜4cm3 /10分、特に好ましくは1〜4cm3 /10分とされる。メルトボリュームフローレートが0.5cm3 /10分未満であると、当該共重合体を含有する樹脂組成物の加工性が劣る傾向があり、一方これが5cm3 /10分を超える共重合体を含有する樹脂組成物は、十分に高い強度を有するものとならない。
上述したように、本発明で使用されるエチレン−ヘキセン−1共重合体は、シングルサイト触媒で重合されたもので、詳しくは直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体とも言われるものである。
シングルサイト触媒は活性点が同種(シングルサイト)のものであり、具体的には、メタロセン系触媒(カミンスキー触媒とも呼ばれる)を挙げることができ、例えば、置換シクロペンタジエニル環をもつ遷移金属化合物から構成されるものが含まれる。具体的なメタロセン系触媒は、特開平8−134121号公報、特表平8−509773号公報、特表平8−510290号公報、特開平6−306121号公報及び特表平7−500622号公報等多くの特許公報に記載されている。実際の重合には、更に活性化共触媒を含めることができる。共触媒としては、高重合度又は低重合度のアルミノオキサン、特にメチルアルミノオキサンが好適である。又、いわゆる変性アルミノオキサンも共触媒として適している。
本発明で使用されるエチレン−ヘキセン−1共重合体は、この触媒の存在下で、溶液重合法、懸濁重合法、スラリー重合法又は気相重合法のいずれかの方法で、0〜250℃の温度、並びに高圧(50MPa超)、中圧(10〜50MPa)又は低圧(常圧〜10MPa未満)のいずれかの圧力で重合し製造することができる。
本発明では、機械特性(特に引張強度)などの向上効果が特に顕著であることから、気相法で重合されたエチレン−ヘキセン−1共重合体を、好適に使用することができる。
また、市販のシングルサイト触媒を使用して重合されたエチレン−ヘキセン−1共重合体も使用できる。例えば、日本ユニカー(株)製の気相法重合品として、ユニマイティー(登録商標)FMGN−040、FMGN−030、FMGN−020、FMGN−010等の各種品種が入手可能である。
こうして得られる、シングルサイト触媒で重合されたエチレン−ヘキセン−1共重合体の粒径及び形状は、平均粒径0.02mm未満の粉状、平均粒径0.02〜2.0mmのグラニュラー状、平均粒径2.0〜7.0mmのペレット状のいずれであってもよいが、取り扱い易さから平均粒径2.0〜7.0mmのペレット状のものが好ましい。
シングルサイト触媒を使用して重合されたエチレン−ヘキセン−1共重合体は、1種あるいは2種以上混合して使用することができる。
<無機難燃剤>
本発明で使用する無機難燃剤としては、金属水和物、三酸化アンチモン、リン酸カルシウム、酸化ジルコン、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、硫酸バリウム、ホウ酸バリウム、メタホウ酸バリウム、ホウ酸亜鉛、無水アルミナ、二硫化モリブデン、粘土、赤リン、ケイソウ土、カオリナイト、モンモリロナイト、タルク、シリカ、ホワイトカーボン、ゼオライト、アスベスト、リトポン等が例示されるが、好ましい無機難燃剤は、金属水和物である。
金属水和物としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム、水酸化ジルコニウム、水和珪酸アルミニウム、水和珪酸マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、ハイドロタルサイト等の水酸基あるいは結晶水を有するものが例示される。
これらの中では、安全性と難燃性等から、水酸化アルミニウム及び水酸化マグネシウムか更に好ましく、分解開始温度が高く加工成形性の良い水酸化マグネシウムが特に好ましい。
水酸化マグネシウムとしては、海水等から凝集法で製造された合成水酸化マグネシウム、また天然産ブルーサイト鉱石を粉砕して製造された水酸化マグネシウムを主成分(水酸化マグネシウム含有量85〜98質量%程度)とする天然水酸化マグネシウムのいずれも好適に使用することができる。
合成水酸化マグネシウムの場合は、その平均粒子径は、成形品の表面平滑性を得るために40μm以下が好ましく、特に0.2〜1.5μmのものが好ましい。
天然水酸化マグネシウムの場合は、主に乾式で粉砕されるので合成水酸化マグネシウムの平均粒子径程度まで粉砕することが可能であるが、効率も悪く、結晶系に影響し、白化を起こす場合があるので1.5〜6μmのものが好ましい。
無機難燃剤の表面には、ステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸等の脂肪酸、又はそのナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム等との金属塩、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤等で被覆処理を施すことが、これを含有する樹脂組成物の強度を更に向上できるために好ましい。この場合の表面処理量(処理剤使用量)は、無機難燃剤100質量部あたり0.5〜5質量部程度であり、合成水酸化マグネシウムの場合には湿式で、天然水酸化マグネシウムの場合には乾式で行うことが好適である。
無機難燃剤の配合量は、エチレン−ヘキセン−1共重合体100質量部あたり5〜200質量部、好ましくは40〜200質量部、更に好ましは75〜185質量部である。
配合量が5重量未満では、得られる樹脂組成物の難燃性が不足する傾向があり、200質量部を超えると、本発明の特徴である、得られる難燃性樹脂組成物からなる成形品(電線・ケーブルの被覆層等)の強度を含む機械特性が低下し、かつ成形性も低下する傾向がある。
なお、本発明では、無機難燃剤は1種あるいは2種以上混合して使用して良い。
<その他の配合物>
本発明の高強度難燃性樹脂組成物には、使用目的に応じてその他の配合剤を配合することができる。
その他の配合剤としては、相溶剤(酸変性オレフィン系樹脂等)、酸化防止剤、安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、核剤、滑剤、加工性改良剤、充填剤、分散剤、銅害防止剤、中和剤、発泡剤、気泡防止剤、着色剤、カーボンブラック等を挙げることができる。
本発明の高強度難燃性樹脂組成物には、本発明の効果を妨げない範囲で、その他のエチレン系樹脂を少量配合することができる。その他のエチレン系樹脂としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレンプロピレンゴム、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−スチレン共重合体等を挙げることができる。
更に、本発明の高強度難燃性樹脂組成物に架橋剤、例えば有機過酸化物、イオウまたはシラン系架橋剤並びに架橋助剤を使用して架橋させたり、電離性放射線を照射させるなどして架橋させたりすることもできる。
<高強度難燃性樹脂組成物の調製方法>
本発明の高強度難燃性樹脂組成物は、シングルサイト触媒を使用して重合されたエチレン−ヘキセン−1共重合体、及び無機難燃剤の各々所定量、並びに必要に応じて上記の各種その他の配合物を合わせ混合し、公知の一般的な方法、例えば、押出機、ニーダー、コンテニュアスミキサー、バンバリーミキサー等で、例えば100〜230℃、好ましくは130〜200℃、更に好ましくは150〜180℃で溶融混練することにより製造することができる。その後、成形加工する場合の取り扱い易さから、ストランドカッター等を用いて、2.0〜7.0mm程度の平均粒径をもつペレットとして使用することが好ましい。
<電線・ケーブル>
本発明の電線・ケーブルは、上記で得られた本発明の高強度難燃性樹脂組成物からなる被覆層を有するものであり、押出成形機を使用する公知の方法により、絶縁層やシース層として被覆層(高強度難燃性樹脂組成物)を導体芯線上に形成(押出成形被覆)することにより製造することができる。
次に実施例に基づいて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、本明細書中で用いられた物性値及び評価方法は、それぞれ以下の方法によるものである。
(I)メルトマスフローレート(表中及び図中、「MFR」と略記する。)
JIS K6922−2に準拠して、190℃、2160g荷重で測定した。
(II)密度:
JIS K6922−2に準拠して測定した。
(III)メルトボリュームフローレート(表中及び図中、「MVR」と略記する。)
JIS K6922−2に準拠して求めた。
(IV)強度:
強度は、JIS C−3005に準拠して、JIS K6251の3号ダンベルを試験片として用い、引張破壊応力(単位:MPa)を測定した。
<参考例1>
下記表1に示す処方に従って、マルチサイト触媒であるチーグラー触媒を使用して重合されたエチレン−オクテン−1共重合体であるダウレックス2045AC(溶液重合品、メルトマスフローレート1.0g/10分、密度0.925g/cm3 、メルトボリュームフローレート1.081cm3 /10分、ペレット品、ダウケミカル製、表1中、「エチレン−オクテン−1共重合体(M1)」と記載する。)100質量部に、無機難燃剤である水酸化マグネシウム(天然品、ステアリン酸表面処理品、平均粒径3.3μm、マグシーズWU4、神島化学工業製)85質量部、及び酸化防止剤としてペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]0.4質量部を混合し、バンバリーミキサーで160℃の温度で10分間混練することにより難燃性樹脂組成物を調製した後、熱プレス成形機を用いて150℃、100kg/cm2 で3分間熱プレスすることにより厚さ1.0mmのシートを製造し、このシートからJIS K6251の3号ダンベルからなる切り抜き試験片を作製し、これについて強度を測定した。
<参考例2〜10>
下記表1に示す処方に従って、チーグラー触媒を使用して重合された、エチレン−オクテン−1共重合体(参考例2〜6)、エチレン−ヘキセン−1共重合体(参考例7〜8)、及びエチレン−ブテン−1共重合体(参考例9〜10)の各々を用いて参考例1と同様にして、難燃性樹脂組成物を調製し、シートを製造し、試験片を作製し、強度を測定した。
ここに、参考例2〜10で用いた各々の共重合体は、下記のとおりである。
・参考例2:
エチレン−オクテン−1共重合体(M2):「ダウレックス2032」(溶液重合品、メルトマスフローレート2.0g/10分、密度0.925g/cm3 、メルトボリュームフローレート2.162cm3 /10分、ペレット品、ダウケミカル製)
・参考例3:
エチレン−オクテン−1共重合体(M3):「ダウレックス2047」(溶液重合品、メルトマスフローレート2.2g/10分、密度0.917g/cm3 、メルトボリュームフローレート2.399cm3 /10分、ペレット品、ダウケミカル製)
・参考例4:
エチレン−オクテン−1共重合体(M4):「モアテック0138」(溶液重合品、メルトマスフローレート1.0g/10分、密度0.920g/cm3 、メルトボリュームフローレート1.087cm3 /10分、ペレット品、出光石油化学(株)製)
・参考例5:
エチレン−オクテン−1共重合体(M5):「モアテック0398」(溶液重合品、メルトマスフローレート3.0g/10分、密度0.905g/cm3 、メルトボリュームフローレート3.315cm3 /10分、ペレット品、出光石油化学(株)製)
・参考例6:
エチレン−オクテン−1共重合体(M6):「モアテック0628」(溶液重合品、メルトマスフローレート6.0g/10分、密度0.915g/cm3 、メルトボリュームフローレート6.557cm3 /10分、ペレット品、出光石油化学(株)製)
・参考例7:
エチレン−ヘキセン−1共重合体(M7):「GMM−1985H」(気相重合品、メルトマスフローレート0.9g/10分、密度0.919g/cm3 、メルトボリュームフローレート0.979cm3 /10分、ペレット品、日本ユニカー(株)製)
・参考例8:
エチレン−ヘキセン−1共重合体(M8):「GMH−2025H」(気相重合品、メルトマスフローレート2.5g/10分、密度0.920g/cm3 、メルトボリュームフローレート2.717cm3 /10分、ペレット品、日本ユニカー(株)製)
・参考例9:
エチレン−ブテン−1共重合体(M9):「GMM−1810」(気相重合品、メルトマスフローレート1.0g/10分、密度0.918g/cm3 、メルトボリュームフローレート1.089cm3 /10分、ペレット品、日本ユニカー(株)製)
・参考例10:
エチレン−ブテン−1共重合体(M10):「GMM−1820」(気相重合品、メルトマスフローレート2.0g/10分、密度0.918g/cm3 、メルトボリュームフローレート2.179cm3 /10分、ペレット品、日本ユニカー(株)製)
参考例1〜10により得られた難燃性樹脂組成物の各々は、すべて良好な成形加工性、特に押出成形性を持つことが確認された。
参考例1〜10における配合組成、使用した共重合体の特性は、得られた難燃性樹脂組成物の評価結果(強度)とともに表1にまとめて示す。また、共重合体のメルトマスフローレートと、これを含有する難燃性樹脂組成物の強度との関係を図1に示し、共重合体のメルトボリュームフローレートと、これを含有する難燃性樹脂組成物の強度との関係を図2に示す。

Figure 2005226053
〔表1において、配合量の単位は「質量部」、MFR(メルトマスフローレート)の単位は「g/10分」、密度の単位は「g/cm3 」、MVR(メルトボリュームフローレート)の単位は「cm3 /10分」である。〕
表1、図1及び図2に示す結果から明らかなように、これら参考例1〜10により得られた難燃性樹脂組成物の有する機械特性(引張破壊応力)は、溶液重合法や気相重合法にかかわりなく、使用した共重合体を構成するα−オレフィン(ブテン−1・ヘキセン−1・オクテン−1)における炭素数の増加(C4 ・C6 ・C8 )に伴って向上する(大きくなる)ことが理解される。
この傾向は、パラメータとして、「メルトマスフローレート」に換えて、密度の要因を加味した「メルトボリュームフローレート」を採用することにより、更に感度良く測定されることも確認された。
<比較例1〜9>
下記表2に示す処方に従って、シングルサイト触媒を使用して重合された、エチレン−オクテン−1共重合体の各々を用いて参考例1と同様にして、難燃性樹脂組成物を調製し、シートを製造し、試験片を作製し、強度を測定した。
ここに、比較例1〜9で用いた各々の共重合体は、下記のとおりである。
・比較例1:
エチレン−オクテン−1共重合体(C1):「アフィニティ8150」(溶液重合品、メルトマスフローレート0.5g/10分、密度0.868g/cm3 、メルトボリュームフローレート0.576cm3 /10分、Mw/Mn2.2、ペレット品、ダウケミカル製)
・比較例2:
エチレン−オクテン−1共重合体(C2):「アフィニティ1880」(溶液重合品、メルトマスフローレート1.0g/10分、密度0.905g/cm3 、メルトボリュームフローレート1.105cm3 /10分、Mw/Mn2.6、ペレット品、ダウケミカル製)
・比較例3:
エチレン−オクテン−1共重合体(C3):「アフィニティ1140」(溶液重合品、メルトマスフローレート1.5g/10分、密度0.895g/cm3 、メルトボリュームフローレート1.676cm3 /10分、Mw/Mn2.5、ペレット品、ダウケミカル製)
・比較例4:
エチレン−オクテン−1共重合体(C4):「アフィニティ1850」(溶液重合品、メルトマスフローレート3.0g/10分、密度0.905g/cm3 、メルトボリュームフローレート3.315cm3 /10分、Mw/Mn2.8、ペレット品、ダウケミカル製)
・比較例5:
エチレン−オクテン−1共重合体(C5):「アフィニティ8852」(溶液重合品、メルトマスフローレート3.0g/10分、密度0.875g/cm3 、メルトボリュームフローレート3.429cm3 /10分、ペレット品、ダウケミカル製)
・比較例6:
エチレン−オクテン−1共重合体(C6):「エリート5110」(溶液重合品、メルトマスフローレート0.9g/10分、密度0.925g/cm3 、メルトボリュームフローレート0.973cm3 /10分、ペレット品、ダウケミカル製)
・比較例7:
エチレン−オクテン−1共重合体(C7):「エリート5400」(溶液重合品、メルトマスフローレート1.0g/10分、密度0.917g/cm3 、メルトボリュームフローレート1.091cm3 /10分、ペレット品、ダウケミカル製)
・比較例8:
エチレン−オクテン−1共重合体(C8):「エリート5210」(溶液重合品、メルトマスフローレート2.3g/10分、密度0.917g/cm3 、メルトボリュームフローレート2.508cm3 /10分、ペレット品、ダウケミカル製)
・比較例9:
エチレン−オクテン−1共重合体(C9):「エリート5220」(溶液重合品、メルトマスフローレート3.5g/10分、密度0.917g/cm3 、メルトボリュームフローレート3.817cm3 /10分、ペレット品、ダウケミカル製)
比較例1〜9における配合組成、使用した共重合体(C1)〜(C9)の特性は、得られた難燃性樹脂組成物の評価結果(強度)とともに表2にまとめて示す。また、共重合体のメルトマスフローレートと、これを含有する難燃性樹脂組成物の強度との関係を図3に示し、共重合体のメルトボリュームフローレートと、これを含有する難燃性樹脂組成物の強度との関係を図4に示す。
なお、比較例1〜9により得られた難燃性樹脂組成物の各々は、すべて良好な成形加工性、特に押出成形性を持つことが確認された。

Figure 2005226053
〔表2において、配合量の単位は「質量部」、MFR(メルトマスフローレート)の単位は「g/10分」、密度の単位は「g/cm3 」、MVR(メルトボリュームフローレート)の単位は「cm3 /10分」である。〕
これらの評価結果から、比較例1〜9により得られた難燃性樹脂組成物(メタロセン触媒を使用して重合されたエチレン−オクテン−1共重合体を含有する難燃性樹脂組成物)は、参考例1〜6により得られた難燃性樹脂組成物(マルチサイト触媒を使用して重合されたエチレン−オクテン−1共重合体を含有する難燃性樹脂組成物)と比べて、同じメルトマスフローレートにおいて、高い強度を有していることが確認された(図3及び図1参照)。また、同じメルトボリュームフローレートにおいて比較すると(図4及び図2参照)、強度の差(比較例の強度−参考例の強度)が更に感度良く確認された。
<実施例1〜4>
下記表3に示す処方に従って、シングルサイト触媒を使用して重合された、エチレン−ヘキセン−1共重合体の各々を用いて参考例1と同様にして、難燃性樹脂組成物を調製し、シートを製造し、試験片を作製し、強度を測定した。
ここに、実施例1〜4で用いた各々の共重合体は、下記のとおりである。
・実施例1:
エチレン−ヘキセン−1共重合体(1):「ユニマイティーFMGN−040」(気相重合品、メルトマスフローレート1.3g/10分、密度0.913g/cm3 、メルトボリュームフローレート1.424cm3 /10分、Mw/Mn2.3、ペレット品、日本ユニカー(株)製)
・実施例2:
エチレン−ヘキセン−1共重合体(2):「ユニマイティーFMGN−030」(気相重合品、メルトマスフローレート1.8g/10分、密度0.917g/cm3 、メルトボリュームフローレート1.963cm3 /10分、Mw/Mn3.6、ペレット品、日本ユニカー(株)製)
・実施例3:
エチレン−ヘキセン−1共重合体(3):「ユニマイティーFMGN−020」(気相重合品、メルトマスフローレート2.5g/10分、密度0.919g/cm3 、メルトボリュームフローレート2.720cm3 /10分、Mw/Mn3.4、ペレット品、日本ユニカー(株)製)
・実施例4:
エチレン−ヘキセン−1共重合体(4):「ユニマイティーFMGN−010」(気相重合品、メルトマスフローレート3.3g/10分、密度0.919g/cm3 、メルトボリュームフローレート3.591cm3 /10分、Mw/Mn3.5、ペレット品、日本ユニカー(株)製)
実施例1〜4における配合組成、使用した共重合体(1)〜(4)の特性は、得られた難燃性樹脂組成物の評価結果(強度)とともに表3にまとめて示す。また、共重合体のメルトマスフローレートと、これを含有する難燃性樹脂組成物の強度との関係を図3に示し、共重合体のメルトボリュームフローレートと、これを含有する難燃性樹脂組成物の強度との関係を図4に示す。
なお、実施例1〜4により得られた難燃性樹脂組成物の各々は、すべて良好な成形加工性、特に押出成形性を持つことが確認された。

Figure 2005226053
〔表3において、配合量の単位は「質量部」、MFR(メルトマスフローレート)の単位は「g/10分」、密度の単位は「g/cm3 」、MVR(メルトボリュームフローレート)の単位は「cm3 /10分」である。〕
これらの評価結果から、実施例1〜4により得られた難燃性樹脂組成物(シングルサイト触媒を使用して重合されたエチレン−ヘキセン−1共重合体を含有する難燃性樹脂組成物)は、比較例1〜9により得られた難燃性樹脂組成物(シングルサイト触媒を使用して重合されたエチレン−オクテン−1共重合体を含有する難燃性樹脂組成物)と比べて、同じメルトマスフローレートにおいて、一層高い強度を有していることが確認された。
また、同じメルトボリュームフローレートにおいて比較すると、強度の差(実施例の強度−比較例の強度)が更に感度良く確認された。
即ち、「シングルサイト触媒」の存在下に重合されたエチレン−α−オレフィン共重合体を含有する難燃性樹脂組成物(実施例1〜4/比較例1〜9)の機械特性は、「マルチサイト触媒」の存在下に重合されたエチレン−α−オレフィン共重合体を含有する難燃性樹脂組成物(参考例1〜10)のように、共重合体を構成するα−オレフィンの炭素数の増加に伴って向上するものではなく、α−オレフィンが「ヘキセン−1」であるとき(実施例1〜4)にのみ、きわめて優れたものとなり、α−オレフィンが「オクテン−1」(比較例1〜9)や「ブテン−1」であるときには達成することのできない高い強度を達成することができる。これにより本発明の難燃性樹脂組成物が、優れた高強度難燃性樹脂組成物であることが実証された。
<比較例10〜11>
下記表4に示す処方に従って、無機難燃剤である水酸化マグネシウムの配合量を変更したこと以外は比較例2と同様にして、難燃性樹脂組成物を調製し、シートを製造し、試験片を作製し、強度を測定した。結果を併せて表4に示す。
なお、比較例10〜11により得られた難燃性樹脂組成物の各々は、すべて良好な成形加工性、特に押出成形性を持つことが確認された。
<実施例5〜6>
下記表4に示す処方に従って、無機難燃剤である水酸化マグネシウムの配合量を変更したこと以外は実施例1と同様にして、難燃性樹脂組成物を調製し、シートを製造し、試験片を作製し、強度を測定した。結果を併せて表4に示す。
なお、実施例5〜6により得られた難燃性樹脂組成物の各々は、すべて良好な成形加工性、特に押出成形性を持つことが確認された。

Figure 2005226053
〔表4において、配合量の単位は「質量部」、MFR(メルトマスフローレート)の単位は「g/10分」、密度の単位は「g/cm3 」、MVR(メルトボリュームフローレート)の単位は「cm3 /10分」である。〕
表4に示すように、水酸化マグネシウムの配合量がそれぞれ40質量部である、比較例10と実施例5とを対比すると、実施例5により得られた難燃性樹脂組成物の方が強度が高く機械特性に優れている。
また、水酸化マグネシウムの配合量がそれぞれ175質量部である、比較例11と実施例6とを対比すると、実施例6により得られた難燃性樹脂組成物の方が強度が高く機械特性に優れている。
比較例2で使用したエチレン−オクテン−1共重合体(C2)のメルトマスフローレートは1.0g/10分、メルトボリュームフローレートは1.105cm3 /10分であり、実施例1で使用したエチレン−ヘキセン−1共重合体(1)のメルトマスフローレートは1.3g/10分、メルトボリュームフローレートは1.424cm3 /10分であるので、従来公知の知見(メルトマスフローレートが低い共重合体が、これを含有する樹脂組成物に高い強度を付与する)、及びマルチサイト触媒を使用して製造されたエチレン−α−オレフィン共重合体にあっては、当該共重合体を構成するα−オレフィンの炭素数が増加するに伴って、それを含有する組成物の強度が高くなるという事実(必ずしも公知ではない)によると、比較例2で使用した共重合体が、高強度の難燃性樹脂組成物を与えると、当業者は予測するはずであるが、そのような予測に反して、比較例2により得られた難燃性樹脂組成物の強度(24.9MPa)よりも、実施例1により得られた難燃性樹脂組成物の強度(27.5MPa)の方が高いという予想外の結果が得られたが、無機難燃剤の配合量を変化させても、エチレン−ヘキセン−1共重合体(1)を含有する本発明の難燃性樹脂組成物(実施例5/実施例6)の方が、エチレン−オクテン−1共重合体(C2)を含有する難燃性樹脂組成物(比較例10/比較例11)よりも高強度を得ることができることが認められた。
本発明の高強度難燃性樹脂組成物は、シングルサイト触媒を使用して重合されたエチレン−α−オレフィン共重合体、及び無機難燃剤からなる従来公知の難燃性樹脂組成物の持つ低温特性、環境応力亀裂性等に優れるとともに、絶縁性、加工性が良好であり、更になおいっそう機械特性、特に引張破壊応力を主として示す強度で従来のものと比べて優れているので、難燃性のシート、チューブ等として優れた製品を製造することができる。本発明の高強度難燃性樹脂組成物は、特に、従来品と同様押出加工性が良好であるので、優れた高強度を持つ電線・ケーブルの被覆層として好適に利用することができる。
参考例1〜10で得られた難燃性樹脂組成物の各々について、これを構成するエチレン−α−オレフィン共重合体のメルトマスフローレートと、当該難燃性樹脂組成物の強度との関係を示す説明図である。 参考例1〜10で得られた難燃性樹脂組成物の各々について、これを構成するエチレン−α−オレフィン共重合体のメルトボリュームフローレートと、当該難燃性樹脂組成物の強度との関係を示す説明図である。 比較例1〜9及び実施例1〜4で得られた難燃性樹脂組成物の各々について、これを構成するエチレン−α−オレフィン共重合体のメルトマスフローレートと、当該難燃性樹脂組成物の強度との関係を示す説明図である。 比較例1〜9及び実施例1〜4で得られた難燃性樹脂組成物の各々について、これを構成するエチレン−α−オレフィン共重合体のメルトボリュームフローレートと、当該難燃性樹脂組成物の強度との関係を示す説明図である。

Claims (6)

  1. シングルサイト触媒を使用して重合された直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体、及び無機難燃剤を含有する難燃性樹脂組成物であって、上記直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体が、メルトマスフローレート0.5〜10g/10分、及び密度0.86〜0.95g/cm3 のエチレン−ヘキセン−1共重合体であることを特徴とする高強度難燃性樹脂組成物。
  2. エチレン−ヘキセン−1共重合体100質量部に対して無機難燃剤5〜200質量部を含有することを特徴とする請求項1に記載の高強度難燃性樹脂組成物。
  3. エチレン−ヘキセン−1共重合体のメルトボリュームフローレートが0.5〜5cm3 /10分であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の高強度難燃性樹脂組成物。
  4. エチレン−ヘキセン−1共重合体が、気相法で重合されたものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の高強度難燃性樹脂組成物。
  5. 無機難燃剤が、水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウムから選ばれた1種以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の高強度難燃性樹脂組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の高強度難燃性樹脂組成物からなる被覆層を有することを特徴とする電線・ケーブル
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