本発明は、上記課題を解決するための走行支援装置を提供することにある。即ち、請求項1によれば、少なくとも1つの操舵支援手段を備える走行支援装置において、運転者の操作により操舵支援手段の操舵特性を任意に設定変更できる操舵特性設定変更手段と、該設定変更された操舵支援手段の操舵特性に基づいて該操舵支援手段の制御を実行する制御手段と、該設定変更された操舵支援手段の操舵特性を車両外に運搬可能とするために不揮発性の記憶運搬手段に書き込む書込み手段と、該記憶運搬手段に記憶された該操舵支援手段の操舵特性を車両にコピーする操舵特性コピー手段と、を備えることを特徴とする走行支援装置として構成される。本構成によって、ある車両で設定変更した操舵支援手段の操舵特性を他の車両に容易にコピーすることができる。
請求項2によれば、本発明の走行支援装置は、前記記憶運搬手段に記憶された該操舵支援手段の操舵特性を車両にコピーする際、該操舵支援手段の操舵特性が設定変更された車両の型式と該操舵支援手段の操舵特性をコピーする車両の型式とを考慮して該操舵支援手段の操舵特性に変換を加えてコピーする構成をとることもできる。本構成によって、ある車両で設定変更した操舵支援手段の操舵特性を、コピー元の車両の型式とコピー先の車両の型式とを考慮してコピー先の車両に設定変更することができる。
請求項3によれば、本発明の走行支援装置は、該操舵支援手段の操舵特性を前記記憶運搬手段に読み書きするに当たり汎用の携帯パーソナルコンピュータまたは携帯電話機を使用する構成とすることもできる。本構成によって、記憶運搬手段の入出力インタフェースを持たない車両(カーナビゲーション装置等を含む)であっても、携帯パーソナルコンピュータまたは携帯電話機を使用して記憶運搬手段の読み書きを行なうことができる。
請求項4によれば、本発明の走行支援装置は、前記操舵特性コピー手段が、インターネットなどを通じて配布される、他人が設定変更した特定の型式の車両における該走行支援手段の操舵特性のデータを車両にコピーできる構成とすることもできる。本構成によって、他人、例えば、有名レーサーなどが設定変更した、特定の型式の車両の走行支援手段の操舵特性をデータとして、インターネットなどを通じて有償または無償で配布してビジネスにつなげることができる。
請求項5によれば、本発明の走行支援装置は、前記操舵支援手段が、ステアリングシャフトにかかる操舵トルクを検出するトルクセンサと、前記ステアリングシャフトにかかるトルクを補助するための電動モータと、該トルクセンサで検出した前記操舵トルクに応じて、前記電動モータに供給する電流値を決定する制御手段と、該制御手段で決定した電流値により前記電動モータを駆動するモータ駆動手段と、を備えた電動パワーステアリング装置であって、設定変更可能な前記電動パワーステアリング装置の操舵特性は、前記操舵トルクに対するモータ電流特性、前記ステアリングシャフトの操舵速度に対する逆電流特性、または前記ステアリングシャフトを中立位置に戻す戻し電流特性のいずれかである構成をとることもできる。本構成によって、運転者は車両間にまたがって電動パワーステアリング装置の操舵特性を容易に設定変更できるようになる。
請求項6によれば、本発明の走行支援装置は、前記操舵支援手段が、車両の転舵輪の転舵角を検知する転舵角検知センサと、分割されたステアリング側のステアリングシャフトと前記転舵輪側のステアリングシャフトとの間の回転角を電動モータにより相対的に可変させる駆動アクチュエータと、該電動モータの駆動を制御する制御装置とを備えた伝達比可変操舵装置であって、設定変更可能な前記伝達比可変操舵装置の操舵特性は、車速に対するステアリング側のステアリングシャフトと前記転舵輪側のステアリングシャフトとの間の舵角比である構成をとることもできる。本構成によっても、運転者は車両間にまたがって伝達比可変操舵装置の操舵特性を容易に設定変更できるようになる。
請求項7によれば、本発明の走行支援装置は、前記操舵支援手段が、車両の後輪に配置され電動モータにより後輪の舵角を変化させるアクチュエータと、該電動モータの駆動を制御する制御装置とを備えた後輪操舵装置であって、設定変更可能な前記後輪操舵装置の操舵特性は、車両の前後軸と路面に固定された基準軸とのなす角であるヨー角の時間微分に対する後輪の舵角である構成をとることもできる。本構成によっても、運転者は車両間にまたがって後輪操舵装置の操舵特性を容易に設定変更できるようになる。
以下、本発明の走行支援装置について、図面に示す実施例を参照しながら説明する。
図1は、本発明の走行支援装置を搭載する車両のシステム図である。この車両システムは、トルクセンサ111,EPSアクチュエータ115,EPS−ECU(Electric Control Unit)130などからなる電動パワーステアリング装置と、操舵角センサ211,VGRSアクチュエータ212,VGRS−ECU213などからなるギア比可変ステアリング装置(本発明の伝達比可変操舵装置)と、ヨーレイトセンサ301,後輪操舵アクチュエータ302,後輪舵角センサ306,後輪操舵ECU307などからなるアクティブ後輪操舵装置(本発明の後輪操舵装置)とを含んで構成されている。
電動パワーステアリング装置では、操舵ハンドル110が操舵軸(ステアリングシャフト)112aに接続されて、操舵軸112aの下端は運転者の操舵ハンドル110の動きを検出するトルクセンサ111に接続されており、ピニオンシャフト(ステアリングシャフト)112bの上端がトルクセンサ111に接続されている。また、ピニオンシャフト112bの下端には、ピニオン112cが設けられ、ピニオン112cがラックバー118に噛合されている。更に、ラックバー118の両端には、ナックルアーム122,122を介して操舵輪124,124が接続されている。また、ラックバー118には、EPSアクチュエータ115がピニオン115aを介して取り付けられている。なお、EPSアクチュエータ115は、ラックバー118に同軸的に取り付ける方法を採ってもよい。
トルクセンサ111およびEPSアクチュエータ115は、EPS−ECU130に接続されている。EPS−ECU130には、CPU(Central Processing Unit),RAM(Random Access Memory),ROM(Read Only Memory),I/O(Input/Output)およびこれらの構成を接続するバスライン等が備えられているが、すでに公知のものであるので、その詳しい説明については割愛する。
EPS−ECU130においてEPS制御プログラムを実行することにより、トルクセンサ111で検出されたトルクに対応したEPSアクチュエータ115で発生させる駆動トルクを算出し、算出した駆動トルクを発生させるための電圧をEPSアクチュエータ115に印加する。詳しくは、トルクセンサ111がステアリングシャフトにかかる操舵トルクを検出し、検出された操舵トルクに応じてEPSアクチュエータ115に供給する電流値を決定し、決定された電流値によりEPSアクチュエータ115を駆動して、ステアリングシャフトにかかるトルクを補助する。
ギア比可変ステアリング装置では、操舵ハンドル110が操舵軸112aに接続されて、この操舵軸112aには運転者の操舵ハンドル110の動きを検出する操舵角センサ211が接続されており、さらにVGRSアクチュエータ212が接続されている。
操舵角センサ211およびVGRSアクチュエータ212は、VGRS−ECU213に接続されている。VGRS−ECU213には、CPU,RAM,ROM,I/Oおよびこれらの構成を接続するバスライン等が備えられているが、すでに公知のものであるので、その詳しい説明については割愛する。
VGRS−ECU213においてVGRS制御プログラムを実行することにより、操舵角センサ211で検出された操舵角に対応したVGRSアクチュエータ212で発生させる舵角比を算出し、算出した舵角比を発生させるための電圧をVGRSアクチュエータ212に印加する。なお、転舵角検知センサが車両の転舵輪の転舵角を検知し、VGRSアクチュエータ212が分割された操舵ハンドル(ステアリング)110側の操舵軸(ステアリングシャフト)112aと転舵輪側のステアリングシャフトとの間の回転角を電動モータにより相対的に変化させる。
アクティブ後輪操舵装置では、ヨーレイトセンサ301が設けられているとともに、後輪操舵アクチュエータ302がピニオン302aを介してラックバー303に噛合されている。更に、ラックバー303の両端には、ナックルアーム304,304を介して後輪305,305が接続されている。また、ラックバー303の近傍には、後輪舵角センサ306が配置されている。
ヨーレイトセンサ301,後輪操舵アクチュエータ302および後輪舵角センサ306は、後輪操舵ECU307に接続されている。後輪操舵ECU307には、CPU,RAM,ROM,I/Oおよびこれらの構成を接続するバスライン等が備えられているが、すでに公知のものであるので、その詳しい説明については割愛する。
後輪操舵ECU307において後輪操舵制御プログラムを実行することにより、ヨーレイトセンサ301で検出されたヨーレイトおよび後輪舵角センサ306で検出された後輪舵角に対応した後輪操舵アクチュエータ302で発生させる値を算出し、算出した値を発生させるための電圧を後輪操舵アクチュエータ302に印加する。後輪操舵アクチュエータ302は、電動モータにより後輪305,305の舵角を変化させる。
図2は、本発明の一実施例としてのナビゲーション装置100を用いた走行支援装置の全体構成を示すブロック図である。なお、本発明の走行支援装置が、ナビゲーション装置100に限定されるものでないことはいうまでもない。
ナビゲーション装置100は、位置検出器1,地図データ入力器6,操作スイッチ群7,リモートコントロール(以下、リモコンと称する)センサ11,音声案内などを行なうスピーカ15,外部記憶装置9,表示装置10,これらの接続された制御回路8,リモコン端末12を備えている。
位置検出器1は、周知の地磁気センサ2,ジャイロスコープ3,距離センサ4,および衛星からの電波に基づいて車両の位置を検出するGPS(Global Positioning System)のためのGPS受信機5を有している。これらのセンサ等2,3,4,5は、各々が性質の異なる誤差を持っているため、複数のセンサにより各々補完しながら使用するように構成されている。なお、精度によっては、前述したうちの一部センサで構成してもよく、さらに、ステアリングの回転センサや各転動輪の車輪センサ等を用いてもよい。
地図データ入力器6は、位置検出の精度向上のためのいわゆるマップマッチング用データ、道路の接続を表した道路データを含む各種データを記憶媒体18から入力するための装置である。記憶媒体としては、そのデータ量からCD−ROM(Compact Disk-Read Only Memory)やDVD(Digital Video Disk),ハードディスクドライブ(以降、HDDと称する)を用いるのが一般的であるが、例えばメモリカード等の他の記憶媒体を用いてもよい。
操作スイッチ群7は、例えば表示装置10と一体になったタッチスイッチもしくはメカニカルなスイッチ等が用いられる。タッチスイッチは、表示装置10の画面上に縦横に微細に配置された赤外線センサより構成されており、例えば指やタッチペンなどでその赤外線を遮断すると、その遮断した位置が2次元座標値(X,Y)として検出される。また、マウスやカーソル等のポインティングデバイスを用いてもよい。これら操作スイッチ群7およびリモコン端末12によって、種々の指示を入力することが可能である。
表示装置10は、カラー液晶表示器等により構成されており、表示装置10の画面には位置検出器1から入力された車両現在位置マークと、地図データ入力器6から入力された地図データと、更に地図上に表示する誘導経路等の付加データとを重ね合わせて表示すると共に、本画面に経路案内の設定および経路誘導中の案内や画面の切り換え操作を行なうためのメニューアイコンが表示される。
送受信装置13は、VICS(Vehicle Information and Communication System;道路交通情報通信システム)等の情報センタ14との通信を行なうための装置である。この送受信装置13を介して外部から受け取った情報は、制御回路8において処理する。
また、通信ユニット19に携帯電話機17あるいは自動車電話機等の移動体通信機器を接続することによっても、外部ネットワークとの接続が可能で、インターネット等に接続することができる。さらに、ETC(Electronic Toll Collection;自動料金収受システム)車載器16と通信することにより、ETC車載器16がETC路上器から受信した、料金情報などをナビゲーション装置100に取り込むことができる。また、ETC車載器16によって外部ネットワークと接続することも可能である。これら携帯電話機17あるいはETC車載器16を介して情報センタ14との通信を行なう構成を採ってもよい。
制御回路8は、通常のコンピュータとして構成されており、周知のCPU81,ROM82,RAM83,入出力回路であるI/O84およびこれらの構成を接続するバスライン85が備えられている。CPU81は、ROM82およびRAM83に記憶されたプログラムおよびデータにより制御を行なう。ROM82は、プログラム格納領域82aとデータ記憶領域82bとを有している。プログラム格納領域82aにはナビゲーションプログラム(以下、ナビプログラムと称する)82pが格納される。データ記憶領域82bには、ナビプログラム82pの動作に必要なデータが格納されているとともに、内部記憶装置として運転者等によって設定された、EPS,VGRS,4WSなどの操舵補助装置の操舵特性が一覧として記憶される。また、ナビプログラム82pは、RAM83上にてナビプログラム用ワークメモリ83wを作業領域とする形で作動する。なお、地図データ入力器6にHDDを用いる場合は、ROM82およびRAM83の機能をHDDによって実施してもよい。
さらに、外部記憶装置9には、ナビゲーション装置100の動作に必要な情報およびデータが記憶されている。特に、運転者等によって設定された、EPS,VGRS,4WSなどの操舵補助装置の操舵特性が一覧として記憶される。なお、外部記憶装置9は、車両のアクセサリスイッチがオフ状態(即ち、ナビゲーション装置100がオフ状態)になっても、記憶内容が保持されるようになっている。
このような構成を持つことにより、ナビゲーション装置100は、制御回路8のCPU81によりナビプログラム82pが起動されると、運転者が操作スイッチ群7あるいはリモコン端末12を操作して、表示装置10上に表示されるメニューから目的地経路を表示装置10に表示させるための経路案内処理を選択した場合、次のような処理を実施する。即ち、運転者が表示装置10上の地図に基づいて目的地を入力すると、GPS受信機5から得られる衛星データに基づき車両の現在地が求められ、現在地から目的地までの最適な経路を求める処理が行なわれる。そして、表示装置10上の道路地図に誘導経路を重ねて表示し、運転者に適切な経路を案内する。また、表示装置10およびスピーカ15によって、操作時のガイダンスや動作状態に応じたメッセージの送出を行なう。
図3は、ナビゲーション装置100の通信ユニット19に設けられた通信コネクタ103に通信ケーブル104を介して携帯端末としての携帯電話機17を接続し、かつ携帯電話機17のメモリスロットに、記憶メディア20を装填した状態を示す。記憶メディア20には、EPS操舵特性設定画面に見られるような、車速V1,V2,V3でのEPS操舵特性が格納されているが、EPS操舵特性,VGRS操舵特性,および4WS操舵特性のうち少なくとも一つが格納されているものとする。なお、ここでは、携帯端末として携帯電話機17を使用したが、携帯パーソナルコンピュータ等の他の携帯端末を使用してもよいものである。また、ナビゲーション装置100と携帯電話機17とを通信ケーブル104を介して接続したが、両者をブルートゥース(Bluetooth;登録商標)等の短距離無線通信手段で接続してもよいものである。
次に、図4ないし図7のフローチャートを用いて、ナビゲーション装置100において実行される走行支援処理(便宜的に処理1〜処理4に分けられる)について説明する。なお、この走行支援処理は、ナビゲーション装置100が動作中にナビゲーション装置100の他の処理とともに繰り返し行なわれる。
図4の処理1では、運転者によりカーナビの利用が設定されると(S101)、ナビゲーション装置100は、操舵特性設定機能を起動するかどうかを運転者に問い合わせる(S102)。操舵特性設定機能を起動しない場合には、ナビゲーション装置100は、ステップS101に制御を戻す。
操舵特性設定機能を起動する場合には、ナビゲーション装置100は、地図上で表示する領域(特定の範囲)および縮尺を運転者に選定させ、データ記憶領域82bのデータに基づいて特定の範囲の地図を表示装置10上に表示させる(S103)。例えば、図8においては、川および橋を含む特定範囲の地図が表示されている。
次に、ナビゲーション装置100は、データ記憶領域82bのデータに基づいて表示装置10に表示された地図上に急勾配の下り坂や未舗装路があるかどうかを判定し(S104)、あれば、表示装置10に表示された地図上に急勾配の下り坂や未舗装路であることを強調表示する(S105)。
続いて、ナビゲーション装置100は、情報センタ14等から入力される道路交通情報および気象情報等の路面情報を総合的に判断して、表示装置10に表示された地図上に工事中,自然災害による障害,段差,降雨凍結などによる滑り易い路面などの要注意路面があるかどうかを判定し(S106)、あれば、表示装置10に表示された地図上に要注意路面を強調表示する(S107)。
次に、ナビゲーション装置100は、現在の操舵特性の設定を確認するかどうかを運転者に問い合わせ(S108)、確認するのであれば、データ記憶領域82bのデータに基づいて、表示装置10に表示された地図上にデフォルト特性でない操舵特性が設定されている道路区間があるかどうかを判定し(S109)、あれば、デフォルト特性でない現在の操舵特性の設定を地図上に吹き出し表示して(S110)、ステップS108に制御を戻す。例えば、図8においては、四角形で囲まれた橋を含む道路区間にデフォルト特性でない認識番号001の操舵特性が設定されていることが吹き出し表示されている。
一方、現在の操舵特性の設定を確認しない(S108;NO)、または表示装置10に表示された地図上にデフォルト特性でない操舵特性が設定されている道路区間がないのであれば(S109;NO)、ナビゲーション装置100は、表示装置10に表示された地図上で任意の道路区間が選択されたかどうかを判定し(S111)、選択されていなければ、ナビゲータ(ナビゲーション装置100の初期画面)へ戻るかどうかを運転者に問い合わせる(S112)。ナビゲータへ戻る場合には、ナビゲーション装置100は、ステップS101に制御を戻し、ナビゲータに戻らない場合にはステップS103に制御を戻す。
また、表示装置10に表示された地図上で任意の道路区間が選択されたときには(S111;YES)、ナビゲーション装置100は、処理2に制御を移行する。
図5の処理2では、ナビゲーション装置100は、選択された道路区間が急勾配の下り坂,未舗装路,その他の要注意路面に相当するかどうかを判定し(S201)、相当すれば、選択された道路区間の要注意路面情報を表示装置10に表示された地図上に表示する(S202)。例えば、図8においては、四角形で囲まれた橋を含む道路区間に要注意路面情報として橋が凍結中である旨が吹き出し表示されている。
選択された道路区間が急勾配の下り坂,未舗装路,その他の要注意路面に相当しなければ、ナビゲーション装置100は、選択された道路区間は要注意路面でない旨を表示装置10に表示された地図上に表示する(S203)。
次に、ナビゲーション装置100は、操舵特性の設定変更を行なうかどうかを運転者に問い合わせる(S204)。例えば、図8に示されるように、操舵特性001が設定されている場合、「変更しますか?」と表示して運転者に操舵特性を設定変更するかどうかを問い合わせる。
操舵特性の設定変更を行なわない場合には、ナビゲーション装置100は、操舵特性設定機能の初期画面に戻るかどうかを運転者に問い合わせる(S205)。
操舵特性設定機能の初期画面に戻るのであれば、ナビゲーション装置100は、操舵特性設定機能の初期画面(具体的には、ステップS103)に制御を戻し(S206)、戻らないのであれば、ナビゲータへ戻るかどうかを運転者に問い合わせる(S207)。
ナビゲータへ戻らないのであれば、ナビゲーション装置100は、ステップS204に制御を戻し、ナビゲータへ戻るのであれば、ナビゲータ(具体的には、ステップS101)へ制御を戻す(S208)。
操舵特性の設定変更を行なう場合には(S204;YES)、ナビゲーション装置100は、処理3に制御を移行する。
図6の処理3では、ナビゲーション装置100は、データ記憶領域82bに記憶されたデータに基づいて、選択された道路区間の路面状態に対する推奨操舵特性の認識番号および説明を表示装置10に表示された地図上に表示すると同時に、デフォルト特性および運転者が作成した操舵特性の一覧を表示装置10に表示された地図上に表示する(S301)。
例えば、図9(a)は、車速Vにおける、操舵トルク−モータ電流特性(EPS)の推奨操舵特性の一例を示す線図である。ここでは、通常道路に対して、悪路および凍結路の場合には、同一操舵トルクでのモータ電流を少なくすることを推奨している。
また、図9(b)は、車速−舵角比(VGRS)の推奨操舵特性の一例を示す線図である。ここでは、通常道路に対して、悪路および凍結路の場合には、同一車速での舵角比を小さくすることを推奨している。
さらに、図9(c)は、車速Vにおけるヨーレイト−後輪舵角(4WS)の推奨操舵特性の一例を示す線図である。ここでは、通常道路に対して、悪路および凍結路の場合には、同一ヨーレイトでの後輪舵角を小さくすることを推奨している。
次に、ナビゲーション装置100は、運転者により推奨操舵特性が選択されたかどうかを判定する(S302)。
推奨操舵特性が選択された場合には、ナビゲーション装置100は、データ記憶領域82bに記憶された現在の操舵特性を推奨操舵特性に変更し(S303)、推奨操舵特性が選択されなかった場合には、運転者により操舵特性一覧から操舵特性が選択されたかどうかを判定する(S304)。
操舵特性一覧から操舵特性が選択された場合には、ナビゲーション装置100は、データ記憶領域82bに記憶された現在の操舵特性を選択された操舵特性に変更する(S305)。
次に、ナビゲーション装置100は、処理2に戻るかどうかを運転者に問い合わせ(S306)、戻らない場合には、ステップS301に制御を戻し、戻る場合には、処理2に制御を戻す(S307)。
操舵特性一覧から操舵特性が選択されなかった場合には(S304;NO)、ナビゲーション装置100は、操舵特性を編集/新規作成するかどうかを運転者に問い合わせ(S308)、操舵特性を編集/新規作成するのであれば、処理4に制御を移行する。
図7の処理4では、ナビゲーション装置100は、操舵特性を新規作成するかどうかを運転者に問い合わせる(S401)。この問い合わせでは、例えば、図10,図11および図12中に示されるメイン画面のように、運転者が選択した走行予定範囲の地図が表示され、この地図には任意の道路区間の路面情報、すなわち未舗装路,傾斜勾配,曲率,道幅などが記載される一方、EPS,VGRS,4WSのそれぞれの操舵特性を設定できる操舵特性設定画面を開くためのEPSアイコン,VGRSアイコンおよび4WSアイコンが表示される。
操舵特性を新規作成するのであれば(S401;YES)、ナビゲーション装置100は、空白の操舵特性を作成して認識番号を新規取得する(S402)。
操舵特性を新規作成しないのであれば(S401;NO)、ナビゲーション装置100は、編集対象の操舵特性を既存の操舵特性一覧から選択するかどうかを運転者に問い合わせ(S403)、選択するのであれば、操舵特性一覧から選択した操舵特性をコピーして認識番号を新規取得する(S404)。
編集対象の操舵特性を既存の操舵特性一覧から選択しないのであれば(S403;NO)、ナビゲーション装置100は、外部記憶装置9からダウンロードするかどうかを運転者に問い合わせ(S405)、ダウンロードするのであれば、外部記憶装置9から操舵特性をダウンロードして認識番号を新規取得する(S406)。
次に、ナビゲーション装置100は、編集対象である操舵補助装置の操舵特性を選択するかどうかを運転者に問い合わせ(S407)、編集終了であれば、処理3に制御を戻す(S411)。
操舵ハンドル110を回す力に応じて発生する操舵補助力の割合を表すEPS操舵特性が編集対象の操舵特性として選択されたのであれば、ナビゲーション装置100は、情報センタ14等から入力される道路交通情報および気象情報等の路面情報を総合的に判断して、表示装置10上にEPS操舵特性設定画面を表示して運転者にEPS操舵特性を編集させ(S408)、処理3に制御を戻す(S411)。
例えば、図10に示されるように、メイン画面においてEPSアイコンが押された場合に、情報センタ14等から入力される道路交通情報および気象情報等の路面情報が走行予定の道路区間が通常道路であることを示していれば、通常道路での車速V1,V2およびV3(V1<V2<V3)のEPS操舵特性を車両が安全な走行ができる範囲で可変に設定できるEPS操舵特性設定画面が表示装置10上に表示されるので、運転者はEPS操舵特性設定画面上で通常道路での車速V1,V2およびV3のEPS操舵特性を編集する。また、情報センタ14等から入力される道路交通情報および気象情報等の路面情報が走行予定の道路区間が悪路であることを示していれば、悪路での車速V1,V2およびV3(V1<V2<V3)のEPS操舵特性を車両が安全な走行ができる範囲で可変に設定できるEPS操舵特性設定画面が表示装置10上に表示されるので、運転者はEPS操舵特性設定画面上で悪路での車速V1,V2およびV3のEPS操舵特性を編集する。さらに、情報センタ14等から入力される道路交通情報および気象情報等の路面情報が走行予定の道路区間が凍結路であることを示していれば、凍結路での車速V1,V2およびV3(V1<V2<V3)のEPS操舵特性を車両が安全な走行ができる範囲で可変に設定できるEPS操舵特性設定画面が表示装置10上に表示されるので、運転者はEPS操舵特性設定画面上で凍結路での車速V1,V2およびV3のEPS操舵特性を編集する。
具体的には、運転者は、通常道路,悪路および凍結路の各場合において、自らの嗜好,性癖ないしは車両の走行条件などに応じて最適な操舵フィーリングが得られるように、表示装置10のEPS操舵特性設定画面上に表示されたEPS操舵特性を目視しながら操作スイッチ群7やリモコン端末12を用いてEPS操舵特性の線図をクリックしたり、ドローしたりしてEPS操舵特性を編集する。
なお、設定変更可能なEPS操舵特性としては、少なくとも操舵トルクに対するモータ電流特性,ステアリングシャフトの操舵速度に対する逆電流特性,あるいはステアリングシャフトを中立位置に戻す戻し電流特性がある。
EPS操舵特性の編集後、運転者が設定終了アイコンを押すと、ナビゲーション装置100は、メイン画面に制御を戻す。
ナビゲーション装置100は、編集されたEPS操舵特性をデータ記憶領域82bまたは外部記憶装置9に格納する。また、ナビゲーション装置100は、格納されたEPS操舵特性を読み取り、読み取られたEPS操舵特性に基づいて駆動信号を発生し、操舵動作をアシストするEPSアクチュエータ115を制御する。
このように、EPS操舵特性が、車両購入時のデフォルト特性から運転者の嗜好,性癖ないしは車両の走行条件などに応じて最適な操舵フィーリングが得られるように編集されるため、運転者は、EPS操舵特性を見ながら必要な編集量を大小といった直観的ないしは感覚的な量として把握できる。これにより、嗜好,性癖ないしは車両の走行条件などに応じ、運転者の個性に見合った多様な操舵フィーリングに運転者自身で簡易かつ迅速にEPS操舵特性を設定変更することができる。
一方、操舵ハンドル110の回転角に応じて操舵輪124の舵角を発生するVGRS操舵特性が編集対象の操舵特性として選択されたのであれば、ナビゲーション装置100は、情報センタ14等から入力される道路交通情報および気象情報等の路面情報を総合的に判断して、表示装置10上にVGRS操舵特性設定画面を表示して運転者にVGRS操舵特性を編集させ(S409)、処理3に制御を戻す(S411)。
例えば、図11に示されるように、メイン画面においてVGRSアイコンが押された場合に、情報センタ14等から入力される道路交通情報および気象情報等の路面情報が走行予定の道路区間が通常道路であることを示していれば、通常道路でのVGRS操舵特性を車両が安全な走行ができる範囲で可変に設定できるVGRS操舵特性設定画面が表示装置10上に表示されるので、運転者はVGRS操舵特性設定画面上で通常道路でのVGRS操舵特性を編集する。また、情報センタ14等から入力される道路交通情報および気象情報等の路面情報が走行予定の道路区間が悪路であることを示していれば、悪路でのVGRS操舵特性を車両が安全な走行ができる範囲で可変に設定できるVGRS操舵特性設定画面が表示装置10上に表示されるので、運転者はVGRS操舵特性設定画面上で悪路でのVGRS操舵特性を編集する。さらに、情報センタ14等から入力される道路交通情報および気象情報等の路面情報が走行予定の道路区間が凍結路であることを示していれば、凍結路でのVGRS操舵特性を車両が安全な走行ができる範囲で可変に設定できるVGRS操舵特性設定画面が表示装置10上に表示されるので、運転者はVGRS操舵特性設定画面上で凍結路でのVGRS操舵特性を編集する。
具体的には、運転者は、通常道路,悪路および凍結路の各場合において、自らの嗜好,性癖ないしは車両の走行条件などに応じて最適な操舵フィーリングが得られるように、表示装置10のVGRS操舵特性設定画面上に表示されたVGRS操舵特性を目視しながら操作スイッチ群7やリモコン端末12を用いてVGRS操舵特性の線図をクリックしたり、ドローしたりしてVGRS操舵特性を編集する。
VGRS操舵特性の編集後、運転者が設定終了アイコンを押すと、ナビゲーション装置100は、メイン画面に制御を戻す。
ナビゲーション装置100は、編集されたVGRS操舵特性をデータ記憶領域82bまたは外部記憶装置9に格納する。また、ナビゲーション装置100は、格納されたVGRS操舵特性を読み取り、読み取られたVGRS操舵特性に基づいて駆動信号を発生し、操舵動作をアシストするVGRSアクチュエータ212を制御する。
このように、VGRS操舵特性が、車両購入時のデフォルト特性から運転者の嗜好,性癖ないしは車両の走行条件などに応じて最適な操舵フィーリングが得られるように編集されるため、運転者は、VGRS操舵特性を見ながら必要な編集量を大小といった直観的ないしは感覚的な量として把握できる。これにより、嗜好,性癖ないしは車両の走行条件などに応じ、運転者の個性に見合った多様な操舵フィーリングに運転者自身で簡易かつ迅速にVGRS操舵特性を設定変更することができる。
他方、車体に発生するヨー角(車両の前後軸と路面に固定された基準軸とのなす角)の速度に対する後輪舵角の比(ヨーレイト)を表す4WS操舵特性が編集対象の操舵特性として選択されたのであれば、ナビゲーション装置100は、情報センタ14等から入力される道路交通情報および気象情報等の路面情報を総合的に判断して、4WS操舵特性設定画面を表示して運転者に4WS操舵特性を編集させ(S410)、処理3に制御を戻す(S411)。
例えば、図12に示されるように、メイン画面において4WSアイコンが押された場合に、情報センタ14等から入力される道路交通情報および気象情報等の路面情報が走行予定の道路区間が通常道路であることを示していれば、通常道路での車速V1,V2およびV3(V1<V2<V3)の4WS操舵特性を車両が安全な走行ができる範囲で可変に設定できる4WS操舵特性設定画面が表示装置10上に表示されるので、運転者は4WS操舵特性設定画面上で通常道路での車速V1,V2およびV3の4WS操舵特性を編集する。また、情報センタ14等から入力される道路交通情報および気象情報等の路面情報が走行予定の道路区間が悪路であることを示していれば、悪路での車速V1,V2およびV3(V1<V2<V3)の4WS操舵特性を車両が安全な走行ができる範囲で可変に設定できる4WS操舵特性設定画面が表示装置10上に表示されるので、運転者は4WS操舵特性設定画面上で悪路での車速V1,V2およびV3の4WS操舵特性を編集する。さらに、情報センタ14等から入力される道路交通情報および気象情報等の路面情報が走行予定の道路区間が凍結路であることを示していれば、凍結路での車速V1,V2およびV3(V1<V2<V3)の4WS操舵特性を車両が安全な走行ができる範囲で可変に設定できる4WS操舵特性設定画面が表示装置10上に表示されるので、運転者は4WS操舵特性設定画面上で凍結路での車速V1,V2およびV3の4WS操舵特性を編集する。
具体的には、運転者は、通常道路,悪路および凍結路の各場合において、自らの嗜好,性癖ないしは車両の走行条件などに応じて最適な操舵フィーリングが得られるように、表示装置10の4WS操舵特性画面上に表示された4WS操舵特性を目視しながら操作スイッチ群7やリモコン端末12を用いて4WS操舵特性の線図をクリックしたり、ドローしたりして4WS操舵特性を編集する。
4WS操舵特性の編集後、運転者が設定終了アイコンを押すと、ナビゲーション装置100は、メイン画面に制御を戻す。
ナビゲーション装置100は、編集された4WS操舵特性をデータ記憶領域82bまたは外部記憶装置9に格納する。また、ナビゲーション装置100は、格納された4WS操舵特性を読み取り、読み取られた4WS操舵特性に基づいて駆動信号を発生し、操舵動作をアシストする後輪操舵アクチュエータ302を制御する。
このように、4WS操舵特性は、車両購入時のデフォルト特性から運転者の嗜好,性癖ないしは車両の走行条件などに応じて最適な操舵フィーリングが得られるように編集されるため、運転者は、4WS操舵特性を見ながら必要な編集量を大小といった直観的ないしは感覚的な量として把握できる。これにより、嗜好,性癖ないしは車両の走行条件などに応じ、運転者の個性に見合った多様な操舵フィーリングに運転者自身で簡易かつ迅速に4WS操舵特性を設定変更することができる。
ところで、図13は、比較的軽量な型式Aの車両におけるEPS操舵特性と、比較的重量な型式Bの車両におけるEPS操舵特性との遷移を説明する図である。型式Aの車両では、車速V1が0km/hである場合,車速V2が40km/hである場合,および車速V3が100km/hである場合の各場合において、操舵トルク(Nm)が大きくてもモータ電流(A)は比較的少ない(最大でも50A)。一方、型式Bの車両では、車速V1が0km/hである場合,車速V2が40km/hである場合,および車速V3が100km/hである場合の各場合において、操舵トルク(Nm)が小さくてもモータ電流(A)は比較的大きくなる(最大で80A)。したがって、EPS操舵特性を型式Aの車両から型式Bの車両にコピーする場合、そのままコピーしても設定変更することはできず、EPS操舵特性が設定変更された車両の型式とEPS操舵特性をコピーする車両の型式とを考慮して両車両の諸元に応じた変換ルールによりEPS操舵特性に変換を加えてコピーする必要が生じる。本実施例では、コピー元のEPS操舵特性に何らかの変換係数(以下、EPS操舵特性変換係数という)を掛けてコピー先のEPS操舵特性に変換した上で、EPS操舵特性を変更設定しなければならないものとする。
図14は、複数(図示は4つ)の型式a,b,c,dについて、相互にコピー元およびコピー先となった場合に掛けることが必要となるEPS操舵特性変換係数Kxx(xはa,b,c,dのいずれか)を格納するテーブル(以下、EPS操舵特性変換係数テーブルという)を示す。例えば、コピー元の車両の型式aからコピー先の車両の型式bにEPS操舵特性をコピーする場合には、ナビゲーション装置100は、記憶メディア20から入力されたコピー元の車両の型式aのEPS操舵特性に、EPS操舵特性変換係数テーブルを参照して得られた変換係数Kabを掛け算して、コピー先の車両の型式bのEPS操舵特性に変換する。なお、コピー元の車両の型式がaであるという情報は、記憶メディア20に記憶されているものとし、コピー先の車両の型式がbであるという情報は、ナビゲーション装置100が記憶しているものとする(以下同様)。
また、図15は、比較的軽量な型式Aの車両におけるVGRS操舵特性と、比較的重量な型式Bの車両におけるVGRS操舵特性との遷移を説明する図である。型式Aの車両では、車速が大きくなると舵角比が急速に低下するが、型式Bの車両では、車速が大きくなっても舵角比の低下は緩やかである。したがって、VGRS操舵特性を型式Aの車両から型式Bの車両にコピーする場合、そのままコピーしても設定変更することはできず、VGRS操舵特性が設定変更された車両の型式とVGRS操舵特性をコピーする車両の型式とを考慮して両車両の諸元に応じた変換ルールによりVGRS操舵特性に変換を加えてコピーする必要が生じる。本実施例では、コピー元のVGRS操舵特性に何らかの変換係数(以下、VGRS操舵特性変換係数という)を掛けてコピー先のVGRS操舵特性に変換した上で、VGRS操舵特性を変更設定しなければならないものとする。
図16は、複数(図示は4つ)の型式a,b,c,dについて、相互にコピー元およびコピー先となった場合に掛けることが必要となるVGRS操舵特性変換係数Lxx(xはa,b,c,dのいずれか)を格納するテーブル(以下、VGRS操舵特性変換係数テーブルという)を示す。例えば、コピー元の車両の型式aからコピー先の車両の型式bにVGRS操舵特性をコピーする場合には、ナビゲーション装置100は、記憶メディア20から入力されたコピー元の車両の型式aのVGRS操舵特性に、VGRS操舵特性変換係数テーブルを参照して得られた変換係数Labを掛け算して、コピー先の車両の型式bのVGRS操舵特性に変換する。
さらに、図17は、ある型式Aの車両における4WS操舵特性と、他の型式Bの車両における4WS操舵特性との遷移を説明する図である。型式Aの車両では、ヨーレイトが大きくなると後輪舵角が急速に大きくなるが、型式Bの車両では、ヨーレイトが大きくなっても後輪舵角の上昇は緩やかである。したがって、4WS操舵特性を型式Aの車両から型式Bの車両にコピーする場合、そのままコピーしても設定変更することはできず、4WS操舵特性が設定変更された車両の型式と4WS操舵特性をコピーする車両の型式とを考慮して両車両の諸元に応じた変換ルールにより4WS操舵特性に変換を加えてコピーする必要が生じる。本実施例では、コピー元の4WS操舵特性に何らかの変換係数(以下、VGRS操舵特性変換係数という)を掛けてコピー先の4WS操舵特性に変換した上で、4WS操舵特性を変更設定しなければならないものとする。
図18は、複数(図示は4つ)の型式a,b,c,dについて、相互にコピー元およびコピー先となった場合に掛けることが必要となる4WS操舵特性変換係数Mxx(xはa,b,c,dのいずれか)を格納するテーブル(以下、4WS操舵特性変換係数テーブルという)を示す。例えば、コピー元の車両の型式aからコピー先の車両の型式bに4WS操舵特性をコピーする場合には、ナビゲーション装置100は、記憶メディア20から入力されたコピー元の車両の型式aの4WS操舵特性に、4WS操舵特性変換係数テーブルを参照して得られた変換係数Mabを掛け算して、コピー先の車両の型式bの4WS操舵特性に変換する。
次に、図19のフローチャートを用いて、ナビゲーション装置100において実行される操舵特性コピー処理について説明する。なお、この操舵特性コピー処理は、図3に示されたように、ナビゲーション装置100の通信ユニット19に設けられた通信コネクタ103に通信ケーブル104を介して携帯端末としての携帯電話機17を接続し、かつ携帯電話機17のメモリスロットに記憶メディア20を装填した状態で、運転者からの操舵特性コピー機能の起動指示があった場合に行なわれるものとする。
運転者によりカーナビの利用が設定されると(S501)、ナビゲーション装置100は、操舵特性コピー機能を起動するかどうかを運転者に問い合わせる(S502)。操舵特性コピー機能を起動しない場合には、ナビゲーション装置100は、ステップS501に制御を戻す。
操舵特性コピー機能を起動する場合には、ナビゲーション装置100は、まず、コピー対象の操舵特性を特定する(S503)。すなわち、EPS操舵特性,VGRS操舵特性または4WS操舵特性のいずれの操舵特性のコピーを行なうかを特定する。特定方法としては、順番に選択する等の方法が採用される。
次に、ナビゲーション装置100は、記憶メディア20に格納されている操舵特性(データ)を読み込んで、その中に記録されているコピー元の車両の型式を特定する(S504)。
続いて、ナビゲーション装置100は、データ記憶領域82bに格納されている自車両の諸元データを読み込んで、その中に記録されているコピー先の車両の型式を特定する(S505)。
次に、ナビゲーション装置100は、データ記憶領域82bに格納されている、先に特定された操舵特性の操舵特性変換係数テーブルを参照して、コピー元の車両の型式およびコピー先の車両の型式に合致した変換係数を取得する(S506)。
続いて、ナビゲーション装置100は、先に読み込んだ操舵特性(データ)に、先に取得した変換係数を掛けて、操舵特性を設定変更する(S507)。
次に、ナビゲーション装置100は、記憶メディア20に未コピーの操舵特性があるかどうかを判定し(S508)、未コピーの操舵特性があれば、ナビゲーション装置100は、ナビゲータに戻るかどうかを運転者に問い合わせ(S509)、戻らないのであれば、ステップS503に制御を戻す。
ステップS508で未コピーの操舵特性がなくなるか、ステップS509でナビゲータに戻るのであれば、ナビゲーション装置100は、ナビゲータ(具体的にはステップS501)に制御を戻す。
なお、記憶メディア20に記憶されている操舵特性を運転者自身が他の車両で設定変更した操舵特性であるものとして説明したが、記憶メディア20に記憶されている操舵特性は運転者以外の者が同一または異なる車両で設定変更した操舵特性であってもよいものである。例えば、インターネットなどを通じてデータとして有償または無償で配布されている、有名レーサーなどが設定変更した特定の型式の車両の操舵補助装置の操舵特性が記憶されていてもよい。このような操舵特性を用いれば、運転者は有名レーサーの操舵フィーリングを自身で体感することが可能になる。
本実施例によれば、ある車両で設定変更した操舵支援手段の操舵特性を他の車両に容易にコピーすることができる。
また、ある車両で設定変更した操舵支援手段の操舵特性を、コピー元の車両の型式とコピー先の車両の型式とを考慮してコピー先の車両に設定変更することもできる。
さらに、記憶メディア20の入出力インタフェースを持たない車両(ナビゲーション装置100等を含む)であっても、携帯パーソナルコンピュータまたは携帯電話機を使用して記憶メディア20の読み書きを行なうことができる。
さらにまた、他人、例えば、有名レーサーなどが設定変更した、特定の型式の車両の走行支援手段の操舵特性をデータとして、インターネットなどを通じて有償または無償で配布してビジネスにつなげることができる。
また、運転者は車両間にまたがって電動パワーステアリング装置の操舵特性を容易に設定変更できるようになる。
さらに、運転者は車両間にまたがって伝達比可変操舵装置の操舵特性を容易に設定変更できるようになる。
さらにまた、運転者は車両間にまたがって後輪操舵装置の操舵特性を容易に設定変更できるようになる。
以上、本発明の実施の形態を説明したが、これらはあくまで例示にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づく種々の変更が可能である。