JP2005224824A - センサステム及びこれを用いたセンサ装置並びにセンサ装置の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 装着した振動子、回路基板等を保護するキャップを溶接したときに良好な密封封止を確保でき、リードとのショートを防止できる低背化されたセンサステムを提供する。
【解決手段】 センサ素子を支持するセンサステム1であって、センサステムは金属板をプレス成形することで形成されたステム構造を有し、ステム構造は前記金属板の第1の面に形成された凹部24と、第1の面に対向する第2の面に形成された段差部17と、段差部17に設けられた抵抗溶接用のプロジェクション6とを有する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、カーナビゲーションシステム等で角速度を検出するために使用されるジャイロセンサや加速度センサなどのセンサ装置に関し、より詳細には、センサ装置のステム構造に関する。本発明はまた、センサ装置の製造方法に関する。
従来から、様々な構成の加速度センサや角速度センサ(ジャイロセンサ)が提案されている。例えば、特許文献1には、図1に示す加速度センサが記載されている。この加速度センサは、ベースプレート11と、この上に載置された回路基板上に搭載されたセンサチップ3と、センサチップ3を封止するキャップ8と、ベースプレート11を貫通するリード端子5とを有する。更に、加速度センサは回路基板上に電子部品4と、回路基板とリード端子5とを接続するリード線7とを有する。
ベースプレート11は加速度センサのステムを構成するものであって、窪み部13と段差部12とを有する。このようなベースプレート11の形成には、打ち出しプレス(折り曲げプレス)手段が用いられる。つまり、平たいプレートを押し上げ成形することで窪み部13を形成し、反対方向から押し上げ成形することで段差部12を形成する。キャップ8は、ベースプレート11の段差部12に勘合させた状態で、キャップ8の鍔部9とベースプレート11の周縁部を抵抗溶接により気密に被着することでベースプレート11に取り付けられる。
実開平6−58369号公報
しかしながら、上記加速度センサは以下の問題点を有する。
特許文献1には、キャップ8の取り付けは抵抗溶接により行うと記載されているだけで、その詳細は説明されていない。抵抗溶接には様々な種類が知られているが、高い気密封止を実現するためには、例えばプロジェクション溶接を用いることが望まれる。ところが、キャップ8の鍔部9が溶接されるベースプレート8の部分は平坦なので、プロジェクション溶接を用いることができない。
また、打ち出しプレスを用いてベースプレート11を形成しているため、溶接飛び散りの防護壁として段差部12を機能させるに十分な高さを得るができないという問題点もある。
従って、本発明は上記従来技術の問題点を解決し、気密性の高い封止構造を有するとともに、溶接飛び散りの防護壁として十分な高さを有しているにもかかわらず低背化が可能なセンサステム及びこれを用いたセンサ装置並びにセンサ装置の製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、センサ素子を支持するセンサステムであって、該センサステムは金属板をプレス成形することで形成されたステム構造を有し、該ステム構造は前記金属板の第1の面に形成された凹部と、該第1の面に対向する第2の面に形成された段差部と、該段差部に設けられた抵抗溶接用のプロジェクションとを有することを特徴とする。この構成により、リード端子、センサステムの下面と基板との間に回り込んだハンダによって生じるショートを防止できる。また、溶接時の溶接飛び散りを効果的に防止し、さらに、キャップを溶接した際の高い気密封止を実現できる。
ここで、前記段差部は、外周壁と鍔部とからなり、前記金属板は、凹部の板厚と、鍔部の板厚とが異なる構成とすることができる。すなわち、高圧力のプレス成形により、各部の板厚を自在に設定できるので、例えば、凹部の板厚を薄くすることによって凹部を成形するようにすれば、センサステムの低背化を図ることができる。
また、前記プロジェクションは、前記金属板の外周縁部の全周に亘って設けた前記段差部の全周に亘って形成することが望ましい。これにより、更なる気密性の向上を図ることができる。
以上のように構成したセンサステムは、該センサステムと、該センサステムに支持された前記センサ素子と、前記センサステムに支持されたリード端子と、前記センサステムに溶接したキャップを有するセンサ装置に用いられる。ここで、前記センサ素子は、加速度又は角速度の少なくとも1つを検知する素子とすることができる。
このようなセンサ装置は、金属板の第1の面に設けられる凹部、前記第1の面に対向する第2の面に設けられる段差部、及び該段差部に設けられる抵抗溶接用のプロジェクションとをプレス成形によって同時に形成してセンサステムを形成する段階と、該センサステムにセンサ素子を取り付ける段階とを有するセンサ装置の製造方法によって製造することができる。
本発明によれば、金属板の第1の面に形成された凹部を有するので、基板にハンダ付けされたリードと、基板上方に設置されるセンサステムとがセンサステムの下面と基板との間に回り込んだハンダによってショートすることを防止できる。また、該第1の面に対向する第2の面に形成された段差部を有するので、当該段差部がセンサステムにキャップを溶接する際の溶接飛び散りの防護壁として機能し、センサステム上に装着されるセンサ素子等の精密機器をクリーンな状態に保つことができる。さらに、前記段差部に設けられた抵抗溶接用のプロジェクションとを有するので、キャップによる気密性の向上、安定化を図ることができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面と共に詳細に説明する。
この発明のセンサステム1は、軟鋼からなる金属板2を高圧力のプレス成形(高圧プレス)によって成形したステム構造を有する。この金属板2には、ニッケルメッキを施してある。センサステム1は、図2(a)に示すように、金属板2の第1の面(下面)に形成された凹部24と、第1の面に対向する面、すなわち上面側に形成された段差部17と、該段差部17に設けられた抵抗溶接用のプロジェクション6とを有する。段差部17は、図面に示すように外周壁15と鍔部16とからなる。段差部17は金属板2の全周に亘って設けてある。プロジェクション6は図4に示すように、段差部17の鍔部16の全周に亘って形成されている。
図2(b)に示したセンサステム1の各部の厚さ等の寸法の一例を挙げると、総厚Tが1.2mm、凹部24を形成している部分の板厚tが1.0mm、段差部17の外周壁15の高さhが0.8mm、鍔部16部分の板厚tが0.4mm、段差部17において外周壁15と鍔部16とが連続する部分の板厚tが0.2mm、凹部24の深さwが0.2mmである。
このように構成されたセンサステム1は、前記のように金属板を高圧プレスにより加工、成形したステム構造を有する。高圧プレスを用いることで、凹部24、段差部17及びプロジェクション6を一回の工程で同時に形成することができる。
なお、図2及び図3において符号18は基板であり、符号14はリード端子であり、符号19を付し、ハッチングで示した部分はハンダである。
センサステム1の凹部24は図2(b)に示すように、元々の金属板2の厚さから深さw分だけ、圧縮して成形されている。これにより、凹部24の深さw分のスタンドオフを形成できる。
図8は、スタンドオフを設けることなくセンサステム10を基板18に取り付けた状態を示している。この構成では、センサステム10の下面と基板18との間にハンダ19aが回り込んでしまい、このハンダ19aによりセンサステム10とリード端子14とがショートする虞がある。そこで、凹部24を設けてスタンドオフを形成すれば、センサステム1の下面と基板18との間に回り込んだハンダ19aによるセンサステム1とリード端子14とのショートを防止することができる。
また、図9に示すようにセンサステム10の下面側に突起20を取り付けてスタンドオフを設ける構造とすることが考えられる。しかし、図9に示すようにセンサステム10の下面側に凹部を成形せず、突起20を取り付けてスタンドオフを設けただけの構造では、センサを基板18に搭載した際に、突起20の高さ分だけ高さ寸法が大きくなるというデメリットがある。
図8及び図9の構成に対し、実施例1のセンサステム1では、その凹部24を形成している部分の板厚tを、図8や図9に示すセンサステム10の中央部の板厚と比較して薄く成形している。これにより、センサステム1の総厚Tを図8や図9に示すセンサステム10の全体厚さと同一とし、かつ、センサステム1と基板18とのショートを防止するスタンドオフを設けることができる。
なお、センサステム1を構成する金属板は元々は均一の厚さであって、これを低圧プレス成形を用いて、異なる厚さ部分を有するセンサステム1を成形することは困難である。本実施例では、ある程度の圧力をかける高圧プレス成形を施すことにより、凹部24を形成している部分の板厚tと、鍔部15tの板厚とが異なる形状、寸法を実現している。
以上のように構成されたセンサステム1には、回路基板23等(図7参照)が装着され、図3に示すように溶接によってキャップ8が取り付けられる。センサステム1は、前記のようにプロジェクション6を有する。プロジェクション6は、センサステム1とキャップ8とをプロジェクション溶接し、溶接後の高い気密封止を得るためのものである。このような目的から、プロジェクション6は、金属板2の全周に亘って設けた段差部17の鍔部16の全周に亘って形成されている(図4)。プロジェクション6は、高圧プレス成形によって鍔部16の一部を潰す様にして形成される。
また、段差部17の外周壁15は、キャップ8をセンサステムに溶接する際の溶接飛び散りの防護壁として機能するものであるが、高圧プレス成形により、防護壁として十分な高さが確保されている。
なお、プロジェクション6を用いたセンサステム1とキャップ8との溶接については、説明の都合上、以下の実施例2の説明において詳説する。
次に、本発明のセンサ装置の実施例について、図3及び図7を参照して説明する。図3及び図7は、本実施例のセンサ装置27を示す図である。
センサ装置27は、実施例1のセンサステム1と、センサステム1に支持されたセンサ素子22と、センサステム1に支持されたリード端子14と、センサステム1に溶接したキャップ8とを有する。センサ素子22は音叉型の振動子であって、角速度を検知することができる。従って、本実施例のセンサ装置は角速度センサ装置(ジャイロセンサ装置)である。
図7に示すように、センサステム1の上面1aには、振動子支持部21、この振動子支持部21に支持された振動子22、回路基板23、複数のリード端子(外部接続端子)14が装着されている。このリード端子14は、図3の参照番号19で示すように基板18にハンダ付けされる。また、リード端子先端がセンサステム1を貫通して、センサステム1上に装着された回路基板23に接続されている。回路基板23等を装着したセンサステム1には、図3に示すようにキャップ8が取り付けられている。このような構成のセンサ装置は、図3に示すように、基板18に実装される。なお、図3では便宜上、振動子22及び回路基板23の図示を省略してある。
以上のように構成されるセンサ装置27は、以下の製造方法によって製造される。
まず、実施例1のセンサステム1を形成する。すなわち、金属板2の第1の面に設けられる凹部24、第1の面に対向する第2の面に設けられる段差部17、及び段差部17に設けられる抵抗溶接用のプロジェクション6とをプレス成形によって同時に形成してセンサステム1を得る。次に、センサステム1に穿孔等、必要な加工を施して、センサステム1にセンサ素子等を取り付けて、図7に示す状態とする。次に、センサステム1にキャップ8を溶接すれば、図3に示すセンサ装置27とすることができる。
ここで、キャップ8の溶接による取り付けについて詳説する。溶接はプロジェクション溶接を用いる。キャップ8は、鉄板にニッケルメッキを施した板体からなり、図3図示のように下端側外周縁に沿って鍔部26が形成されている。このキャップ8の鍔部26と、センサステム1の鍔部16とを当接させ、両者を溶接、接合することになる。
ここで、実施例1で説明したようにセンサステム1は、段差部17が金属板2の全周に亘って設けてあり、このような段差部17の鍔部16にプロジェクション6が形成されている。このプロジェクション6は、センサステム1とキャップ8とをプロジェクション溶接するためのもので、溶接後の高い気密封止を実現することができる。高い気密封止を実現するためには、図4に示すように、プロジェクション6を金属板2の全周に亘って設けた段差部17の鍔部16の全周に亘って形成しておくことが好ましい。
溶接作業は、まず、キャップ8の下側内周とセンサステム1の段差部17の外周壁15とが密着するようにセンサステム1にキャップ8を嵌める。この際、図5に示すように、プロジェクション6の上端部をキャップ8の鍔部26の下面側に突き当てる。図5中、符号16aはセンサステム1側の鍔部16の鉄層、符号16bはセンサステム1側の鍔部16のニッケルメッキ層、符号6aはプロジェクション6の鉄層、符号6bはプロジェクション6のニッケルメッキ層、符号26aはキャップ8側の鍔部26の鉄層、符号26bはキャップ8側の鍔部26のニッケルメッキ層を示している。
図5に示すようにプロジェクション6の上端部をキャップ8の鍔部26の下面側に突き当てた状態で、当該箇所のプロジェクション溶接を開始すると、プロジェクション6の鉄層6a、ニッケルメッキ層6bが溶融し始める。さらに溶接作業を進めると、溶融した鉄層6a、ニッケルメッキ層6bが混合され、混合された溶融物はセンサステム1の鍔部16の上面全体に行き渡るように流れ始める。これにより、プロジェクション6は、徐々に崩壊し、消滅していく。
溶接作業が進むと、最終的には、キャップ8側の鍔部26の下面側にあるニッケルメッキ層26bと鉄層26aの下側の一部、センサステム1側の鍔部16の上側にあるニッケルメッキ層6b及び16bの一部と鉄層16aの上側の一部も溶融、混合されて、図6図示のような合金層9が形成され、溶接が完了する。
プロジェクション6は、図4に示すように、センサステム1の全周に亘って成形されているので、合金層9は、センサステム1の全周に亘って形成される。これにより、キャップ8は、安定して高い密閉性、気密性を持ってセンサステム1に装着され、センサステム1の上面1aに装着された振動子、回路基板等は、クリーンな状態を維持して保護される。
また、キャップ8は、キャップ8の下側内周とセンサステム1の段差部17の外周壁15とが密着するようにセンサステム1にキャップ8を嵌められており、外周壁15が溶接飛び散りの防護壁として機能する。
この外周壁15は、前記のように高圧プレス成形により、十分な高さが確保されており、防護壁としての機能が高いので、センサステム1の上面1aに装着された振動子、回路基板等は、溶接飛び散りにより汚染されることはない。
このようにして製造されたセンサ装置27は、図3に示すように基板18上へ装着され、カーナビゲーションシステム等に搭載される。
なお、上記実施例1、2は本発明を実施するための例にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではなく、この実施例を種々変形することは本発明の範囲内であり、更に本発明の範囲内において、他の様々な実施例が可能であることは上記記載から自明である。
従来例のセンサステムの構造を説明する説明図である。 (a)は、本発明の実施例のセンサステムを説明する断面説明図であり、(b)は、(a)図示のセンサステムの厚さ寸法を示す一部を拡大した説明図である。 本発明の実施例のセンサステムに、キャップを溶接して、本発明のセンサ装置とした状態を示す断面説明図である。 本発明の実施例のセンサステムにおけるプロジェクションの配置を説明する平面図である。 センサステムの鍔部にキャップを溶接する際の、プロジェクションの上部とキャップの鍔部との当接部分の状態を説明する断面拡大説明図である。 センサステムの鍔部にキャップを溶接した後の溶着部分の状態を説明する断面拡大説明図である。 センサステム上に振動子、センサ素子等を装着して構成した加速度センサの斜視図である。 従来のセンサステムにキャップを溶接した状態の断面説明図である。 センサステムの下面側に突起を取り付けてスタンドオフを設けた構造の断面説明図である。
符号の説明
1、10 センサステム
2 金属板
3 センサチップ
4 電子部品
5、14 リード端子
6 プロジェクション
7 リード線
8 キャップ
9 合金層
11 ベースプレート
12 段差部
13 窪み部
15 外周壁
16 鍔部
17 段差部
18 基板
19 ハンダ
20 突起
21 振動子支持部
22 振動子
23 回路基板
24 凹部
26 鍔部
27 センサ装置

Claims (6)

  1. センサ素子を支持するセンサステムであって、該センサステムは金属板をプレス成形することで形成されたステム構造を有し、該ステム構造は前記金属板の第1の面に形成された凹部と、該第1の面に対向する第2の面に形成された段差部と、該段差部に設けられた抵抗溶接用のプロジェクションとを有することを特徴とするセンサステム。
  2. 前記段差部は外周壁と鍔部とを有し、前記金属板は凹部の板厚と鍔部の板厚とが異なることを特徴とする請求項1記載のセンサステム。
  3. 前記プロジェクションは、前記金属板の外周縁部の全周に亘って設けた前記段差部の全周に亘って形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載のセンサステム。
  4. 請求項1から3のいずれか一項記載の前記センサステムと、該センサステムに支持された前記センサ素子と、前記センサステムに支持されたリード端子と、前記センサステムに溶接したキャップとを有することを特徴とするセンサ装置。
  5. 前記センサ素子は、加速度又は角速度の少なくとも1つを検知する請求項4記載のセンサ装置。
  6. 金属板の第1の面に設けられる凹部、前記第1の面に対向する第2の面に設けられる段差部、及び該段差部に設けられる抵抗溶接用のプロジェクションとをプレス成形によって同時に形成してセンサステムを形成する段階と、該センサステムにセンサ素子を取り付ける段階と、前記センサステムにキャップを溶接する段階とを有することを特徴とするセンサ装置の製造方法。
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