JP2005224134A - 食品の殺菌加熱方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】殺菌処理工程において、食品を高温下に曝す時間を極力短くし、しかも充分な殺菌を行う。
【解決手段】 多段昇温にて半調理食品の調理や殺菌を行う方法において、
調理後に、殺菌槽内を食品殺菌温度の120〜130℃まで上げる一次殺菌処理工程と、
殺菌槽内を食品調理温度と食品殺菌温度の中間の温度に下げこれを2〜4分間継続する休止工程と、
前記休止後、殺菌槽内を食品殺菌温度の120〜130℃まで上げこの温度を1〜5分間継続する二次殺菌処理工程と、
その後食品を急速に冷却する冷却工程と、
を順に経ることを特徴とする。
【選択図】 図4

Description

本発明は、食品の殺菌加熱法の改良に関するものであり、特に、食品を高温下に曝す時間を短くする方法に関する。
本発明者の発明になる含気食品の殺菌及び加熱調理法は、気体バリヤー性の優れた容器に食品を収容し、この容器内の空気を不活性ガスに置換した後、容器を密封する。その後、この容器を殺菌槽に収容し、高温殺菌する。この高温殺菌の際に、多段昇温して殺菌処理の加熱時間を短縮している(特許文献1参照)。
しかし、殺菌処理工程では、充分に殺菌(食材の中心を120℃で4分殺菌:F4値)するために殺菌槽内に供給する熱水の温度を120〜130℃にして、これを2〜10分継続している。ものによってはこの殺菌処理工程時に、食品の味、食感、匂いなどを失うことがあった。
特許第3053529号公報
そこで、殺菌処理工程において、食品を高温下に曝す時間を極力短くし、しかもF4値での殺菌条件を充分に満たすことを目的とする。
上記課題を解決するために本発明者は鋭意研究の結果、殺菌の際に槽内温度を所定の温度まで下げ、食品の表面の温度を下げ、食品の中心の温度を上昇させ続けると、食品の表面が高温に曝される時間が短縮されると共に、その間に食品の中心温度が上昇して食品の表面の温度に近付くので、その後の高温で殺菌する時間を短縮できることを知見し本発明に至った。
すなわち、本発明は、耐熱性気密容器に調理未完了の食品を充填し密封する密封工程と、
前記密封食品を殺菌槽内に搬入する搬入工程と、
搬入後、殺菌槽内を加圧する加圧工程と、
殺菌槽に熱水を供給して殺菌槽内を食品調理温度まで上昇する昇温工程と、
殺菌槽内を前記食品調理温度で所定時間保持する調理工程と、
前記所定時間経過後、殺菌槽内を食品殺菌温度の120〜130℃まで上げる一次殺菌処理工程と、
殺菌槽内を食品調理温度と食品殺菌温度の中間の温度に下げこれを2〜4分間継続する休止工程と、
前記休止後、殺菌槽内を食品殺菌温度の120〜130℃まで上げこの温度を1〜5分間継続する二次殺菌処理工程と、
熱水に代え冷却水を槽内に供給して食品を急速に冷却する冷却工程とからなり、
これら各工程を前記の記載順に行うことを特徴とする。
なお、前記昇温工程の殺菌槽の昇温を、多段昇温にしてもよい。また、調理工程と一次殺菌処理工程の間に、殺菌槽内を食品殺菌温度より3〜7℃低い温度にして所定時間継続する予備昇温工程を加えてもよい。
本発明は、調理工程の後、一次殺菌処理工程を経て、その後、殺菌槽内を食品調理温度と食品殺菌温度の中間の温度に下げ2〜4分間継続する休止工程と、前記休止後、殺菌槽内を食品殺菌温度の120〜130℃まで上げこの温度を1〜5分間継続する二次殺菌処理工程と、熱水に代え冷却水を槽内に注水して食品を急速に冷却する冷却工程を備える。
よって、休止工程の際に食品の表面は高温に曝されず、温度上昇もない。食品の中心の温度は、この間も上昇し続け、食品の表面の温度に近付く。これにより食品の表面と中心の温度差が縮小する。その後、殺菌槽に供給する熱水の温度を食品殺菌温度に再び上昇し、食品が充分に殺菌されるまでこれを継続する。食品の中心温度は、休止工程中に食品殺菌温度近くまで上昇しているので、食品の表面が高温に曝される時間を短縮して、食品の味や匂いを保持できる。
以下に図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明を実現する含気食品の殺菌および調理システムの構成を示すブロック図である。
1は殺菌槽であり、含気食品(未調理又は半調理の食品をガスバリア性のある耐熱性容器に収容し不活性ガスで置換し密封したもの)を収容して、殺菌と加熱調理を行う。
この殺菌槽1内には、一対のスプレ筐体2、圧力センサ3、槽内温度センサ4を設ける。また、殺菌槽1内を、圧力調整弁5を備える給気管6を介し、コンプレッサ7に接続する。
さらに、この殺菌槽1に、熱交換器8の2次側を接続する。
熱交換器8の2次側と殺菌槽1との接続は、以下のとおりである。
熱水供給管9の一端を殺菌槽1内のスプレ筐体2に接続し、当該熱水供給管9の他端を熱交換器8の2次側の排水口に接続する。この熱水供給管9には、熱交換器8に近い側より温度センサ10,2方向切換弁11,ポンプ12を配備する。
また、殺菌槽1の下端部に設けた排水口13に、熱水戻し管14の一端を接続し、熱水戻し管14の他端を熱交換器8の2次側の給水口に接続する。この熱水戻し管14には、殺菌槽1に近い側より,流量調整弁15,2方向切換弁16を配備する。
これにより熱交換器8より排出された熱水が殺菌槽1内のスプレ筐体2に供給され、再び熱交換器8に戻る経路ができる。
熱交換器8の1次側と過熱蒸気発生装置17、及び第1冷却水槽18、第2冷却水槽19との接続は、以下のとおりである。
熱源供給管20の一端を熱交換器8の1次側の一方(図面上の上側)に接続し、熱源供給管20の他端を、過熱蒸気発生装置17及び蒸気調整弁21を介して蒸気供給装置(図示せず)に接続する。
また、熱交換器8と過熱蒸気発生装置17間の熱源供給管20に、流量調整弁22を配備した冷却水戻し管23の一端を接続し、冷却水戻し管23を第2冷却水槽19に接続する。
さらに、蒸気調整弁27を配備する熱源排出管28の一端を熱交換器8の1次側の他方(図面上の下側)に接続し、熱源排出管28の他端より蒸気を蒸気供給装置に戻す。
また、熱交換器8と蒸気調整弁27間の熱源排出管28に、冷却水供給管24の一端を接続する。
この冷却水供給管24の他端は、流量調整弁25,ポンプ26を介して第2冷却水槽19に接続する。
前記過熱蒸気発生装置17は、耐熱性の良いシリコーンオイル等を充填した筐体内に蒸気を流通するスパイラル状またはU字状のパイプを貫通させ、筐体内に電気ヒータ等の熱源を埋設し、シリコーンオイル等を介して流通する蒸気を再加熱する装置で、電気ヒータを制御することにより、所定の過熱度(100〜130℃)の蒸気を生成するものである。
第1冷却水槽18及び第2冷却水槽19をそれぞれ、流量調整弁29,30を備える分岐管31,32を介し冷却水供給管33に接続する。この冷却水供給管33の他端部は、2方向切換弁11に接続し、さらにポンプ12を介しスプレ筐体2に接続する。
また、第1冷却槽18及び第2冷却槽19をそれぞれ、流量調整弁34,35を備える分岐管36,37を介し2方向切換弁16に接続する。
38は熱水回収タンクであり、流量調整弁39を備える熱水排出管40を介し2方向切換弁16に接続する。
41は、排気調整弁42を備える排気管であり、殺菌槽1の上部に連結する。
43は制御手段(CPU)であり、制御盤44で設定した圧力及び温度などの設定値と圧力センサ3及び温度センサ4,10からの実測データを受けて、圧力調整弁5、2方向切換弁11,16、ポンプ12,26、過熱蒸気発生装置17,コンプレッサ7、流量調整弁15,22,25,29,30,34,35,39、蒸気調整弁21,27、排気調整弁42を制御する(図2参照)。
本発明の殺菌および調理システムの構成は以上のとおりで、その動作は次のとおりである。
先ず、缶やレトルトパウチなどの耐熱性容器に調理未完了の食品を充填し密封する(密封工程)。この密封前に、容器内の空気を不活性ガスで置換する。
次に、この食品を詰めた容器を殺菌槽1の棚45に並べる(搬入工程)。
次に、殺菌槽1の蓋を閉め、槽内を加圧する(加圧工程)。
次に、蒸気調整弁21,27を開け、流量調整弁22,25を閉じ過熱蒸気発生装置17を作動する。そして、過熱蒸気発生装置17で過熱した蒸気を熱交換器8に送り、熱交換器8の2次側を循環する熱水の温度を上げ、この熱水をポンプ12により熱水供給管9を介して殺菌槽1内のスプレ筐体2に送り、このスプレ筐体2から槽1内に噴射して、含気食品を加熱し調理及び殺菌を行う。
このとき、殺菌槽1内に設けた圧力センサ3,槽内温度センサ4で測定した槽内圧力と槽内温度を検出して制御手段(CPU)43に送り、槽内温度が所定温度(80〜100℃)に達するまで急速に加熱し(5〜15分間)、また槽内の圧力をコンプレッサ7により制御盤44で設定した圧力に維持する(昇温工程)。
槽内温度が食品調理温度(約100〜110℃)に到達すると、蒸気調整弁21と過熱蒸気発生装置17を調整し、この温度を所定時間維持し、含気食品の調理を行う(調理工程)。
含気食品の調理が完了すると、蒸気調整弁21と過熱蒸気発生装置17を調整して熱交換器8の2次側を循環する(熱交換器8の2次側から殺菌槽1内に供給され、熱交換器8の2次側に戻る)熱水の温度を所定殺菌温度(約120〜130℃)まで上げて、所定時間(2〜3分間)その状態を保持し、殺菌槽1内の温度を所定殺菌温度まで上昇する(一次殺菌処理工程)。
この後、蒸気調整弁21,27を閉じ過熱蒸気発生装置17を停止し、次に流量調整弁25,22を開き、ポンプ26を作動して第2冷却水槽19内の冷水を熱交換器8に送り、熱交換器8の2次側を循環する(熱交換器8の2次側から殺菌槽1内に供給され、熱交換器8の2次側に戻る)熱水の温度を下げて、殺菌槽1内の温度を115℃まで低下し所定時間(2〜4分間)その状態を保持する(休止工程)。
この後、流量調整弁25,22を閉じ、ポンプ26を停止し、次に蒸気調整弁21,27を開き過熱蒸気発生装置17を作動して熱交換器8の2次側を循環する熱水の温度を再び所定殺菌温度(約120〜130℃)まで上げて、所定時間(1〜5分間)その状態を保持して殺菌槽1内の温度を所定殺菌温度まで上昇し、食品を殺菌する(二次殺菌処理工程)。
以上の工程での食品の中心温度は図3の点線に示すように、実線で示す槽内温度の変化に遅れて追従する。
その後、スプレ筐体2に冷水を供給して含気食品を急冷する(冷却工程)。
以上のように一次殺菌工程〜休止工程〜二次殺菌工程で、殺菌層内を所定殺菌温度(約120〜130℃)まで上げた後、所定温度(約115℃)まで下げ、その後再び所定殺菌温度(約120〜130℃)まで上げる。この際の槽内温度と食品の中心温度との差は、調理温度と殺菌温度の差の大きさに起因して一次殺菌処理工程では大きく、この状態を続けると含気食品の表面と中心部の温度差が大きく、食品の味や匂いなどが失われる。よって、休止工程で一旦温度を5〜15℃程度下げこの間に食品の中心温度を槽内温度に近付け、二次殺菌工程で再び殺菌層内を所定殺菌温度(約120〜130℃)まで上げることにより、含気食品の表面と中心部の温度差を小さくして、しかも充分な殺菌を行うことができる(図4参照。実線は槽内温度、点線は食品の中心温度、一点鎖線は食品の表面温度である。)。
以上の実施形態では、含気食品を殺菌と加熱調理しているが、本発明はこれに限るものではなく、容器で密封した食品であればよい。ただし、含気食品にすると食品の酸化が防止されるという利点がある。
また、前記昇温工程は、食品の種類に応じて多段昇温にしてもよい。
なお、前記の構成は一例であり、図5に示すように、殺菌槽1に供給する熱水の温度を急激に上昇する必要のない場合には、過熱蒸気発生装置17を用いず蒸気供給装置からの蒸気を直接熱交換器8の一次側に導入してもよい。また、冷却水槽も一方(図では第1冷却槽18)を殺菌槽1内の食品冷却用の冷却水用、他方(図では第2冷却槽19)を熱交換器8に供給する冷却水用として、それぞれに異なる温度の冷却水を入れておいてもよい。
カレー
まず半調理の状態でガスバリア性のある容器に収容し不活性ガスで置換し密封する。この容器詰めしたものを、殺菌槽に入れ、槽内を加圧し100℃まで槽内温度を上昇する。この槽内温度100℃を約5分間保持する。
この後槽内温度を110℃に上昇し、この槽内温度110℃を約30分間保持する。
次に、槽内温度を120℃に上昇し、この槽内温度120℃を約5分間保持する。
次に、槽内温度を125℃に上昇後、120℃に下げ、その後再度槽内温度を125℃に上昇する。
その後、槽内に冷水を噴射して食品を急冷する。
クリームシチュー
まず半調理の状態でガスバリア性のある容器に収容し不活性ガスで置換し密封する。この容器詰めしたものを、殺菌槽に入れ、槽内を加圧し100℃まで槽内温度を上昇する。この槽内温度100℃を約5分間保持する。
この後槽内温度を110℃に上昇し、この槽内温度110℃を約30分間保持する。
次に、槽内温度を115℃に上昇し、この槽内温度115℃を約5分間保持する。
次に、槽内温度を120℃に上昇後、115℃に下げ、その後再度槽内温度を120℃に上昇する。
その後、槽内に冷水を噴射して食品を急冷する。
卯の花
まず半調理の状態でガスバリア性のある容器に収容し不活性ガスで置換し密封する。この容器詰めしたものを、殺菌槽に入れ、槽内を加圧し100℃まで槽内温度を上昇する。この槽内温度100℃を約5分間保持する。
この後槽内温度を110℃に上昇し、この槽内温度110℃を約20分間保持する。
次に、槽内温度を115℃に上昇し、この槽内温度115℃を約5分間保持する。
次に、槽内温度を120℃に上昇後、115℃に下げ、その後再度槽内温度を120℃に上昇する。
その後、槽内に冷水を噴射して食品を急冷する。
以上各実施例において、F4値(食材の中心を120℃で4分殺菌)の殺菌をしたにもかかわらず、食品は容器臭がなく、食感も維持され、色、味、匂いは料理人などが調理した場合と変わりない。
本発明の構成を示すブロック図である。 制御系統のブロック図である。 殺菌槽内と食品の中心の温度時間推移曲線である。 殺菌槽内、食品の表面、食品の中心の温度推移曲線の要部を拡大した図である。 本発明の他の構成を示すブロック図である。
符号の説明
1 殺菌槽
2 スプレ筐体
3 圧力センサ
4 槽内温度センサ
5 圧力調整弁
7 コンプレッサ
8 熱交換器
10 温度センサ
11 2方向切換弁
12,26 ポンプ
15,22,25,29,30,34,35,39 流量調整弁
17 過熱蒸気発生装置
18,19 冷却水槽
21,27 蒸気調整弁
42 排気調整弁
44 制御盤

Claims (2)

  1. 耐熱性気密容器に調理未完了の食品を充填し密封する密封工程と、
    前記の密封した食品を殺菌槽内に搬入する搬入工程と、
    搬入後、殺菌槽内を加圧する加圧工程と、
    殺菌槽に熱水を供給して殺菌槽内を食品調理温度まで上昇する昇温工程と、
    殺菌槽内を前記食品調理温度で所定時間保持する調理工程と、
    前記所定時間経過後、殺菌槽内を食品殺菌温度の120〜130℃まで上げる一次殺菌処理工程と、
    殺菌槽内を食品調理温度と食品殺菌温度の中間の温度に下げこれを2〜4分間継続する休止工程と、
    前記休止後、殺菌槽内を食品殺菌温度の120〜130℃まで上げこの温度を1〜5分間継続する二次殺菌処理工程と、
    熱水に代え冷却水を槽内に供給して食品を急速に冷却する冷却工程とからなり、
    これら各工程を前記の記載順に行うことを特徴とする食品の殺菌加熱方法。
  2. 前記昇温工程の殺菌槽の昇温を、多段昇温にすると共に、
    前記調理工程と一次殺菌処理工程の間に、殺菌槽内を食品殺菌温度より3〜7℃低い温度にして所定時間継続する予備昇温工程を加えることを特徴とする請求項1に記載の食品の殺菌加熱方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2012095607A (ja) * 2010-11-02 2012-05-24 Miura Co Ltd レトルト装置
KR20150105819A (ko) * 2014-03-10 2015-09-18 호서대학교 산학협력단 견과류를 포함하는 무균포장 즉석 약밥의 제조방법
KR20150105825A (ko) * 2014-03-10 2015-09-18 호서대학교 산학협력단 나물을 포함하는 무균포장 즉석밥의 제조방법

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KR101615932B1 (ko) * 2014-03-10 2016-04-27 호서대학교 산학협력단 나물을 포함하는 무균포장 즉석밥의 제조방법
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