JP2005222719A - 燃料電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】適切な温度で作動させることが可能な燃料電池体を提供する。
【解決手段】筒状の外枠52と、外枠52内で外枠52の軸方向に並設され、各々が酸化剤と燃料とを供給されて発電を行う複数の燃料電池体2a,2b,2cとを有する燃料電池50。この燃料電池50には、複数の燃料電池体2a,2b,2c間に空間を形成するための空間形成手段34a,18b,34b,18cが設けられている。
【選択図】 図4
【解決手段】筒状の外枠52と、外枠52内で外枠52の軸方向に並設され、各々が酸化剤と燃料とを供給されて発電を行う複数の燃料電池体2a,2b,2cとを有する燃料電池50。この燃料電池50には、複数の燃料電池体2a,2b,2c間に空間を形成するための空間形成手段34a,18b,34b,18cが設けられている。
【選択図】 図4
Description
本発明は、所望の数のセル体を組み合わせることで、所定の出力を提供する燃料電池体に関する。
従来の燃料電池73では、図11に示されるように、複数のセル体74a,74b,74cが用いられている。各セル体74a,74b,74cは、電解質体76の一方に正極78を配設し、他方に負極79を配設することにより形成されている構造体4を有する。この構造体4は、正極78側の正極セパレータ80と、負極79側の負極セパレータ81とによって挟持されている。そして、各セル体74a,74b,74cを直列に積層することにより、積層セル体83が形成されている。なお、構造体4間の正極セパレータ80と負極セパレータ81とは、一体的に形成され、双極セパレータをなしている。
正極78及び負極79には触媒が付与されており、正極セパレータ80には酸化剤供給路82が、負極セパレータ81には燃料供給路84が夫々形成されている。酸化剤供給路82から正極78に酸化剤(空気、あるいは純酸素等)が供給され、燃料供給路84から負極79に燃料が供給される。燃料と酸化剤とが電解質を介して反応し、この化学反応エネルギーが電気エネルギーに変換される。このようにして発電が行われる。
燃料電池73の発電性能は、電解質体76、正極78、負極79、正極セパレータ80、負極セパレータ81の各々間の面圧に大きく影響を受ける。このため、積層セル体83を付勢して所定の面圧を与えるために、付勢機構が使用されている。
この付勢機構は、積層セル体83の両端に絶縁体97を介して夫々配設されているエンドプレート86を有する。これらエンドプレート86は、積層セル体83に沿って配設されている複数のボルト88によって互いに連結されている。これらボルト88の一端側はエンドプレート86を貫通して突出されており、これら突出端部にはナット89が螺着されている。これらナット89を締め込むことにより、積層セル体83の両端のエンドプレート86を互いに付勢して、積層セル体83に所定の面圧を付与することが可能となっている。
このような付勢機構の他の一例が、特許文献1で開示されている。特許文献1の燃料電池73は、図12に示されるように、積層セル体83を収容するスタック容器90を有する。このスタック容器90には蓋体91が装着されている。スタック容器90の内面にはスタック容器ねじ部92が形成されており、蓋体91にはスタック容器90のスタック容器ねじ部92に対応する蓋体ねじ部94が形成されている。蓋体91の底面には積層セル体83の一端面を押圧する蓋体押圧部96が配設されており、スタック容器90の底壁上面には積層セル体83の他端面を押圧するスタック容器押圧部98が配設されている。即ち、蓋体91をスタック容器90に捻じ込むことによって、積層セル体83の両端面を付勢して、積層セル体83に所定の面圧を付与することが可能となっている。なお、蓋体91の頭部とスタック容器90との間には、燃料漏れを防止するためのO−リング100が配設されている。また、スタック容器90には、燃料及び空気を供給するための孔99が設けられている。
特開平10−214634号公報
特許文献1の燃料電池ではセル体が積層されているため、発電時には各セル体は隣接するセル体の反熱の影響を受けてしまう。このため、セル体の温度を適切なものとすることが困難となっており、部材の劣化や発電性能の低下を誘発する可能性がある。
本発明は、上記課題に着目してなされたもので、その目的とするところは、適切な温度で作動させることが可能な燃料電池を提供することである。
請求項1の発明は、筒状の外枠と、前記外枠内で前記外枠の軸方向に並設され、各々が酸化剤と燃料とを供給されて発電を行う複数の燃料電池体と、前記複数の燃料電池体の少なくとも2つ間に空間を形成するための空間形成手段と、を具備することを特徴とする燃料電池である。
そして、本請求項1の発明では、空間形成手段によって少なくとも2つの燃料電池体間に空間を形成することにより、燃料電池によって発電を行う際に複数の燃料電池体が互いの発熱の影響を受けにくくなるようにしたものである。
請求項2の発明は、前記外枠は、前記外枠の外部と前記空間とを連通する連通孔を有することを特徴とする請求項1の燃料電池である。
そして、本請求項2の発明では、連通孔を介して所定の温度の流動体を空間に供給するようにしたものである。
請求項3の発明は、前記空間形成手段は、前記燃料電池体の少なくとも1つに形成され前記外枠の軸方向に突出する凸部を有することを特徴とする請求項1の燃料電池である。
そして、本請求項3の発明では、燃料電池体の少なくとも1つに形成され外枠の軸方向に突出する凸部によって、少なくとも1つの燃料電池体を外枠に対して位置決めして空間を形成するようにしたものである。
請求項4の発明は、前記空間形成手段は、前記外枠に設けられ前記燃料電池体の少なくとも1つを前記外枠に対して固定する固定ねじを有することを特徴とする請求項1の燃料電池である。
そして、本請求項4の発明では、固定ねじによって燃料電池体の少なくとも1つを外枠に対して固定して、少なくとも1つの燃料電池体を外枠に対して位置決めして空間を形成するようにしたものである。
請求項5の発明は、前記空間形成手段は、前記外枠の内周面に形成されている雌ねじと、前記複数の燃料電池体の少なくとも1つの外周面に形成され前記雌ねじに螺合する雄ねじとを有することを特徴とする請求項1の燃料電池である。
そして、本請求項5の発明では、外枠の雌ねじと複数の燃料電池体の少なくとも1つの雄ねじとによって、少なくとも1つの燃料電池体を外枠に対して位置決めして空間を形成するようにしたものである。
請求項6の発明は、前記燃料電池体は、電解質体の一側方に正極を他側方に負極を設けた構造体と、前記構造体の前記正極側に配置され前記正極に酸化剤を供給する酸化剤供給部が形成されている正極セパレータと、前記構造体の前記負極側に配置され前記負極に燃料を供給する燃料供給部が形成されている負極セパレータと、を備えるセル体と、前記セル体を収容し内周面に雌ねじが形成されている筒状部と、前記筒状部の雌ねじに螺合する雄ねじを有し、前記雄ねじの軸方向に垂直な断面は前記筒状部の内腔の軸方向に垂直な断面よりも小さく、前記正極セパレータと前記負極セパレータとの一方を押圧する第1の蓋体と、前記筒状部に設けられ、前記正極セパレータと前記負極セパレータとの他方を押圧し、前記第1の蓋体と共同して前記セル体を挟持して押圧する第2の蓋体と、を有することを特徴とする請求項1の燃料電池である。
そして、本請求項6の発明では、第1の蓋体を筒状部に対して筒状部の軸方向に移動自在とし、第1の蓋体を筒状部に捻じ込むことにより、第1の蓋体と第2の蓋体とによって正極セパレータと負極セパレータとを押圧してセル体を挟持して押圧し、電解質体、正極、負極、正極セパレータ及び負極セパレータの各々間に所定の面圧を付与し、そして、酸化剤供給部から正極に酸化剤を供給し、燃料供給部から負極に燃料を供給して発電を行うようにしたものである。
請求項7の発明は、前記正極セパレータと前記負極セパレータとの前記一方と前記第1の蓋体とは一体的に形成されていることを特徴とする請求項6の燃料電池である。
そして、本請求項7の発明では、第1の蓋体と正極セパレータ及び負極セパレータの一方とを一体的に筒状部に捻じ込むようにしたものである。
本発明によれば、燃料電池を適切な温度で作動させることが可能となっている。
以下、本発明の第1実施形態を図1乃至図6を参照して説明する。図1は、本実施形態の燃料電池50(図4参照)に用いられる燃料電池体2を示す。この燃料電池体2は、構造体4を有する。この構造体4は、電解質体の一側方に正極を配設し、他側方に負極を配設することにより形成されている。また、この構造体4は、正極から負極に向かう方向を中心軸とする円柱形状を有する。
構造体4の正極側には、正極セパレータ6が配置されている。この正極セパレータ6は両端壁を備えた円筒形状を有し、正極セパレータ6の中心軸は構造体4の中心軸とほぼ一致している。ここで、正極セパレータ6は、一端壁を備えた円筒形状を有する生成液収容部材8に、他端壁をなすように正極プレート10を圧入固定することにより形成されている。
生成液収容部材8の端壁には、正極セパレータ6の外部と内部とを連通する第1の酸化剤供給路12aが複数形成されている。また、正極プレート10には、正極セパレータ6の外部と内部とを連通する第2の酸化剤供給路12bが形成されている。即ち、第1の酸化剤供給路12a、正極セパレータ6の内部、及び、第2の酸化剤供給路12bによって、正極に酸化剤を供給する酸化剤供給部が形成されている。
ここで、正極セパレータ6の内部は、正極で生成される生成液を第2の酸化剤供給路12bを介して収容することが可能である。また、第1の酸化剤供給路12aを介して、正極セパレータ6の内部に収容された生成液を回収することが可能である。以下では、正極セパレータ6の内部を、生成液収容部14と称する。
また、正極プレート10には、正極を押圧するための正極押圧部16が配設されている。さらに、生成液収容部材8の端壁の外面には、正電極18が突設されている。この正電極18は、正極セパレータ6の中心軸に沿って突出している凸形状を有している。
構造体4の負極側には、負極セパレータ20が配置されている。この負極セパレータ20は正極セパレータ6と同様な形状を有し、負極セパレータ20の中心軸は構造体4及び正極セパレータ6の中心軸とほぼ一致している。負極セパレータ20は、生成液収容部材8及び正極プレート10と同様な形状の燃料収容部材22及び負極プレート24を有する。
負極セパレータ20の内部には、燃料を貯蔵する燃料収容部26が形成されている。燃料収容部材22の端壁には、負極セパレータ20の外部と内部とを連通するねじ穴27が形成されている。このねじ穴27は、燃料収容部26に燃料を補給するためのものである。また、ねじ穴27には、着脱されてねじ穴27を連通可能あるいは連通不能とするねじ28が螺着されている。そして、負極プレート24には、負極セパレータ20の外部と燃料収容部26とを連通する燃料供給路30が形成されている。この燃料供給路30は、燃料収容部26から負極へと燃料を供給するためのものである。即ち、燃料収容部26、燃料供給路30によって負極に燃料を供給するための燃料供給部が形成されている。
また、負極プレート24には、負極を押圧するための負極押圧部32が配設されている。さらに、燃料収容部材22の一端壁の外面には、負電極34が突設されている。この負電極34は、負極セパレータ20の中心軸に沿って突出している凸形状を有している。
このようにして、構造体4、正極セパレータ6及び負極セパレータ20によって、セル体36が形成されている。そして、セル体36は円筒状の外環(筒状部)38の内部に嵌入されており、外環38の中心軸は、セル体36の中心軸とほぼ一致している。また、外環38は、正極セパレータ6と負極セパレータ20との間の電気的な短絡を防止するような絶縁材料によって形成されている。
図2に示されるように、外環38の内周面には、雌ねじ形状のねじ部40が形成されている。また、正極セパレータ6及び負極セパレータ20の外周面には、夫々、ねじ部40に螺合する雄ねじ形状のセパレータねじ部42が形成されている。正極セパレータ6及び負極セパレータ20のセパレータねじ部42は、外環38のねじ部40に螺着されている。ここで、セパレータねじ部42がねじ部40に螺着されている場合に、正極セパレータ6あるいは負極セパレータ20を捻じることにより正極セパレータ6あるいは負極セパレータ20が進退する方向をセパレータねじ部42の軸方向と定義する。
構造体4の最大外径Φd1は、外環38の内部に収容可能なように、外環38のねじ山径ΦD2以下の径である必要がある。さらに、構造体4の最大外径Φd1は、外環38の内部に容易に収容可能なように、正極セパレータ6及び負極セパレータ20のねじ谷径ΦD1以下の径であることが好ましい。本実施形態では、構造体4の最大外径Φd1は、ねじ谷径ΦD1よりも僅かに小さくなっている。
また、負極プレート24の外径Φd2は、構造体4の外径Φd1よりも小さく、燃料収容部材22の内径Φd3は、負極プレート24の外径Φd2よりも小さい。このため、燃料収容部26からの燃料漏れが防止されるようになっている。
再び図1を参照すると、正極セパレータ6と負極セパレータ20との外径は、外環38の内径よりも小さくなっている。このため、正極セパレータ6と負極セパレータ20とは、外環38の軸方向に移動自在となっている。また、正極セパレータ6、構造体4及び負極セパレータ20の中心軸方向の長さの和は、外環38の中心軸方向の長さより僅かに小さくなっている。
図3(A)に示されるように、正極セパレータ6の生成液収容部材8の端壁には、複数の第1の酸化剤供給路12aが形成されている。そして、生成液収容部材8の端壁の外面には、正極ねじ締め用溝44が直径方向に延設されている。また、図3(B)に示されるように、負極セパレータ20の燃料収容部材22の端壁の外面には、負極ねじ締め用溝46が直径方向に延設されている。正極ねじ締め用溝44又は負極ねじ締め用溝46に代わって、蟹目、六角ねじ等のようなねじ溝を用いてもよい。
なお、正極セパレータ6と負極セパレータ20とは、以下に述べるように構造体4を挟持して所定の面圧を付与するものであるため、充分に剛性が高いことが好ましい。
図4に示されるように、本実施形態の燃料電池50は、円筒状の外枠52を有する。この外枠52の内部に、複数の燃料電池体2が嵌入され、外枠52の軸方向に並設されている。本実施形態では、第1乃至第3の3つの燃料電池体2a,2b,2cが用いられている。
第1の燃料電池体2aの正電極18aは、外枠52の一端側に配置されている。そして、第1の燃料電池体2aの負電極34aは、第2の燃料電池体2bの正電極18bに当接され、電気的に接続されている。同様に、第2の燃料電池体2bの負電極34bは、第3の燃料電池体2cの正電極18cに当接され、電気的に接続されている。そして、第3の燃料電池体2cの負電極34cは、外枠52の他端側に配置されている。
ここで、第1の燃料電池体2aの負電極34aと第2の燃料電池体2bの正電極18bとによって、第1の燃料電池体2aと第2の燃料電池体2bとの間に第1の空間部54aが形成されている。同様に、第2の燃料電池体2bの負電極34bと第3の燃料電池体2cの正電極18cとによって、第2の燃料電池体2bと第3の燃料電池体2cとの間に第2の空間部54bが形成されている。また、外枠52には、第1及び第2の空間部54a,54bと外部とを夫々連通する第1及び第2の連通孔55a,55bが形成されている。
一方、外枠52には、軸方向に離間して複数の固定ねじ穴56が形成されている。これら固定ねじ穴56には固定ねじ58が螺着されている。これら固定ねじ58によって、第1乃至第3の燃料電池体2a,2b,2cが外枠52に押圧固定されている。即ち、固定ねじ58は、外枠52に対する第1乃至第3の燃料電池体2a,2b,2cの外枠52の軸方向への移動を規制している。
次に、上記構成の本実施形態の燃料電池50の作用について説明する。本実施形態の燃料電池50の燃料電池体2の組立工程では、マイナスドライバ、コイン等を使用して、正極セパレータ6あるいは負極セパレータ20を外環38に螺着する(以下では、負極セパレータ20が螺着されたとして説明する)。そして、外環38内に構造体4を収容して、図5に示されるように、構造体4をその中心軸が外環38及び負極セパレータ20の中心軸と一致するように位置合わせする。この後、正極セパレータ6を外環38に螺着して、正極セパレータ6と負極セパレータ20とによって構造体4を挟持する。
この後、正極セパレータ6又は負極セパレータ20をさらに捻じ込んで、正極押圧部16と負極押圧部32とによって構造体4を押圧する。正極セパレータ6又は負極セパレータ20の捻じ込み量を調節することにより、電解質体、正極、負極、正極セパレータ6及び負極セパレータ20の各々間に所定の面圧を付与する。ここで、正極セパレータ6と負極セパレータ20とは外環38の軸方向に移動自在となっている。このため、構造体4が薄い場合には、図6に示されるように、正極セパレータ6及び負極セパレータ20を外環38内まで捻じ込んで構造体4を押圧することが可能である。
さらに、負極セパレータ20のねじ28をねじ穴27から外し、ねじ穴27を介して燃料収容部26に燃料を補給する。そして、負極セパレータ20のねじ28をねじ穴27に捻じ込んで、燃料を燃料収容部26に保持する。
このようにして組み立てられた第1乃至第3の燃料電池体2a,2b,2cを外枠52内に嵌入する。そして、第1の燃料電池体2aの負電極34aを第2の燃料電池体2bの正電極18bに当接させ、第2の燃料電池体2bの負電極34bを第3の燃料電池体2cの正電極18cに当接させ、第1及び第2の空間部54a,54bを形成する。この後、外枠52に対して第1乃至第3の燃料電池体2a,2b,2cを外枠52の軸方向に移動させて、第1及び第2の空間部54a,54bが第1及び第2の連通孔55a,55bと連通されるように第1乃至第3の燃料電池体2a,2b,2cを配置する。この後、固定ねじ58を捻じ込んで、外枠52に対して第1乃至第3の燃料電池体2a,2b,2cを固定する。
この状態で、第1の燃料電池体2aの正電極18aと第3の燃料電池体2cの負電極34cとを外部回路に接続し、燃料電池50によって発電を行う。この際、所定の温度の流動体を第1及び第2の連通孔55a,55bを介して第1及び第2の空間部54a,54bに導入する。第1乃至第3の燃料電池体2a,2b,2cを冷却したい場合には、低温の流動体を使用する。この結果、第1乃至第3の燃料電池体2a,2b,2cの温度上昇が緩和される。一方、第1乃至第3の燃料電池体2a,2b,2cの温度を高くしたい場合には、高温の流動体を使用する。
本実施形態では、流動体として空気を用いる。この空気は、第2及び第3の燃料電池体2b,2cの酸化剤としても使用される。即ち、第1の燃料電池体2aの正極には外部から、第2及び第3の燃料電池体2b,2cの正極には第1及び第2の空間部54a,54bから、第1の酸化剤供給路12a、生成液収容部14、第2の酸化剤供給路12bを介して空気が供給される。一方、第1乃至第3の燃料電池体2a,2b,2cの負極には、燃料収容部26から燃料供給路30を介して燃料が供給される。
空気中の酸素と燃料とが電解質を介して反応し、外部回路に電流が流れる。生成液収容部14には、正極で発した生成液が第2の酸化剤供給路12bを介して収容される。生成液収容部14に収容された生成液は、必要に応じて、第1の酸化剤供給路12aを介して回収される。
従って、上記構成のものにあっては次の効果を奏する。第1乃至第3の燃料電池体2a,2b,2cが外枠52内に収容され、第1の燃料電池体2aと第2の燃料電池体2bとの間に第1の空間部54aが形成され、第2の燃料電池体2bと第3の燃料電池体2cとの間に第2の空間部54bが形成されている。このため、燃料電池50によって発電を行う際には、第1乃至第3の燃料電池体2a,2b,2cが互いの発熱の影響を受けにくくなっている。
また、外枠52には、第1及び第2の空間部54a,54bと外部とを夫々連通する第1及び第2の連通孔55a,55bが形成されている。このため、燃料電池50によって発電を行う際には、所定の温度の流動体を第1及び第2の連通孔55a,55bを介して第1及び第2の空間部54a,54bに導入することにより、燃料電池体2を所望の温度に制御することが可能となっている。従って、燃料電池体2の発電効率を高めることが可能となっている。
そして、第1乃至第3の燃料電池体2a,2b,2cは円柱形状を有しており、円筒形状の外枠52内に嵌入され直列に接続されている。このため、外枠52の軸方向の長さを増大させることにより、第4、第5、…の燃料電池体2d,2e,…をさらに接続することが可能である。従って、燃料電池50の出力を容易に調節することが可能となっている。
さらに、正極セパレータ6は、正極に酸化剤を供給する酸化剤供給部を有し、負極セパレータ20は、負極に燃料を供給する燃料供給部を有する。一方、構造体4を収容する外環38の内周面には雌ねじ形状のねじ部40が形成され、正極セパレータ6と負極セパレータ20との外面にはねじ部40に螺合する雄ねじ形状のセパレータねじ部42が形成されている。即ち、正極セパレータ6と負極セパレータ20とは、構造体4に酸化剤あるいは燃料を供給する機能と、相対的に移動されて、電解質体、正極、負極、正極セパレータ6及び負極セパレータ20の各々間に所定の面圧を付与する機能との両方を有する。従って、燃料電池体2を構成する部品点数が削減されている。この結果、燃料電池50の小型化が可能となり、また、組立工数を減少することが可能となっている。
さらには、燃料電池体2の構造体4に一様な押圧力を容易に作用させることができる。
加えて、正極セパレータ6には、正極で生成された生成液を収容する生成液収容部14が形成されている。そして、負極セパレータ20には、負極に供給される燃料を収容する燃料収容部26が形成されている。即ち、正極セパレータ6は正極で生成された生成液を収容する機能をさらに有し、負極セパレータ20は負極に供給される燃料を収容する機能をさらに有する。従って、燃料電池体2を構成する部品点数がさらに削減され、燃料電池50のさらなる小型化と組立工数の減少が可能となっている。
そしてまた、負極セパレータ20は、一端壁を備えた円筒形状を有する燃料収容部材22に、他端壁をなすように負極プレート24を圧入固定することにより形成されている。そして、負極プレート24の外径Φd2は、構造体4の外径Φd1よりも小さく、燃料液収容部材の内径Φd3は、負極プレート24の外径Φd2よりも小さくなっている。このため、O−リング等の特別なシールを用いることなく、燃料収容部26からの燃料漏れを防止することが可能となっている。従って、燃料電池体2を構成する部品点数がさらに一層削減されている。
さらにまた、正極セパレータ6と負極セパレータ20との外径は外環38の内径よりも小さく、正極セパレータ6と負極セパレータ20とは外環38に対して外環38の中心軸方向に移動自在となっている。このため、構造体4、正極セパレータ6、負極セパレータ20の厚みのばらつきによらず、電解質体、正極、負極、正極セパレータ6及び負極セパレータ20の各々間に所定の面圧を付与することが可能となっている。従って、燃料電池体2を構成する部材に要求される製造精度を緩和することが可能となっている。
加えてまた、正極セパレータ6、構造体4及び負極セパレータ20の中心軸方向の長さの和は、外環38の中心軸方向の長さより小さくなっている。このため、正極セパレータ6、構造体4及び負極セパレータ20を外環38の内部に収容することが可能となっている。従って、外環38の長さによって、燃料電池体2の大きさを管理することが可能となっている。
そしてさらに、外環38は円筒形状を有し、正極セパレータ6、負極セパレータ20及び構造体4は円柱形状を有する。そして、燃料電池体2の組立工程の際には、外環38、正極セパレータ6、負極セパレータ20及び構造体4の各々の中心軸を所定の一軸上に配置するようになっている。従って、燃料電池体2の組立工程において各部材を方向合わせする必要がなくなっている。また、正極セパレータ6又は負極セパレータ20を外環38に捻じ込む際の正極セパレータ6又は負極セパレータ20の回転の回転軸は、構造体4の中心軸と一致している。このため、正極セパレータ6又は負極セパレータ20と構造体4との間の摩擦により、構造体4に連れ回りが発生しても影響がない。以上から、組立工程が簡単となっている。
加えてさらに、外環38は円筒形状を有し、構造体4は円柱形状を有する。そして、構造体4の最大外径Φd1は、外環38のねじ部40のねじ谷径ΦD2よりも僅かに小さくなっている。即ち、構造体4は外環38の中心軸方向に垂直な断面の断面積を最大限利用している。燃料電池体2の出力は電極面積の増大により増大するので、所定の出力を得るための燃料電池50を小型化することが可能となっている。
なおまた、正極セパレータ6及び負極セパレータ20には、夫々、正極ねじ締め用溝44及び負極ねじ締め用溝46が形成されている。このため、特別なねじ締め用工具を使用することなく、マイナスドライバ、コイン等によって正極セパレータ6及び負極セパレータ20を外環38に捻じ込むことが可能となっている。
このように、本実施形態における燃料電池体2は、部品点数が少なく、また特別な工具を使用することなく組立や分解が可能であるため、メンテナンスやリサイクルが容易である。
本実施形態では、第1乃至第3の燃料電池体2a,2b,2cの正電極18a,18b,18c及び負電極34a,34b,34cは、第1乃至第3の燃料電池体2a,2b,2cの中心軸に沿って突出している凸形状を有し、第1及び第2の空間部54a,54bを形成している。
代わって、第1乃至第3の燃料電池体2a,2b,2cに軸方向に突出する凸部を配設し、これら凸部によって第1及び第2の空間部54a,54bを形成するようにしてもよい。また、凸部は、第1乃至第3の燃料電池体2a,2b,2cと一体であっても別体であってもよい。また、固定ねじ58によって外枠52に対して第1乃至第3の燃料電池体2a,2b,2cを位置決めすることにより、第1及び第2の空間部54a,54bを形成するようにしてもよい。これらの場合には、正電極18及び負電極34は単に第1乃至第3の燃料電池体2a,2b,2cを電気的に接続する機能を有すればよい。
さらに、第1乃至第3の燃料電池体2a,2b,2cにおいては、正極セパレータ6と負極セパレータ20との両方を外環38に対して移動可能な構成としたが、どちらか一方を外環38と一体的に形成してもよい。また、構造体4は円柱形状としたが、四角板形状等の他の形状でもかまわない。この場合には、外環38の内面に、上述した構造体4の連れ回りを防止するための規制部材を設けるようにしてもよい。
図7は、本発明の第1実施形態の第1変形例を示す。第1実施形態と同様な機能を有する構成には、同一の参照符号を付して説明を省略する。本変形例は、正極セパレータ6及び負極セパレータ20(図1参照)の構造体4に押圧される面に面取り48を施したものである。このように面取り48を施すことで構造体4が傷つきにくくなるので、構造体4を極めて柔らかい材料で形成することが可能である。従って、構造体4の材料の選択の自由度が増大されている。
図8は、本発明の第1実施形態の第2変形例を示す。第1実施形態と同様な機能を有する構成には、同一の参照符号を付して説明を省略する。図8に示されるように、本変形例の燃料電池体2の正極セパレータ6は、円板形状の生成液収容部材8に、一端壁を備えた円筒形状を有する正極プレート10を並設することにより形成されている。即ち、生成液収容部材8と正極プレート10とが別体となっている。同様に、負極セパレータ20は、円板形状の燃料収容部材22に、一端壁を備えた円筒形状を有する負極プレート24を並設することにより形成されている。
本変形例では、軸方向の長さが異なる複数の正極セパレータ6からいずれかを選択することにより、正極セパレータ6の軸方向の長さ及び生成液収容部14の容積を変化させることが可能である。同様に、負極セパレータ20の軸方向の長さ及び燃料収容部26の容積を変化させることが可能である。このように、本変形例の燃料電池体2は、フレキシブルなものとなっている。
図9は、本発明の第1実施形態の第3の変形例を示す。第1実施形態と同様な機能を有する構成には、同一の参照符号を付して説明を省略する。本変形例では、正極セパレータ64及び負極セパレータ66には、セパレータねじ部42(図2参照)、正極ねじ締め用溝44及び負極ねじ締め用溝46(図3参照)は形成されていない。
セル体36の正極側には円柱形状の第1の蓋体68が配置され、負極側には円柱形状の第2の蓋体70が配置されている。これら第1及び第2の蓋体68,70の中心軸は、セル体36の中心軸にほぼ一致している。そして、セル体36、第1及び第2の蓋体68,70は外環38の内部に嵌入されており、外環38の中心軸は、セル体36、第1及び第2の蓋体68,70の中心軸とほぼ一致している。
第1及び第2の蓋体68,70の外周面には、夫々、外環38のねじ部40に螺合する雄ねじ形状の蓋体ねじ部72が形成されている。第1及び第2の蓋体68,70の蓋体ねじ部72は、外環38のねじ部40に螺着されている。ここで、蓋体ねじ部72がねじ部40に螺着されている場合に、第1あるいは第2の蓋体68,70を捻じることにより第1あるいは第2の蓋体68,70が進退する方向を蓋体ねじ部72の軸方向と定義する。
第1及び第2の蓋体68,70の外径は、外環38の内径よりも小さくなっている。このため、第1及び第2の蓋体68,70は外環38の軸方向に移動自在となっている。また、第1及び第2の蓋体68,70、並びに、セル体36の中心軸方向の長さの和は、外環38の中心軸方向の長さより小さくなっている。
また、第1及び第2の蓋体68,70は、後述するようにセル体36を挟持して所定の面圧を付与するものであるため、充分に剛性が高いことが好ましい。
本変形例の燃料電池体2を組み立てる場合には、第1あるいは第2の蓋体68,70を外環38に螺着する(以下では、第2の蓋体70が螺着されたとして説明する)。そして、外環38内にセル体36を収容して、セル体36をその中心軸が外環38及び第2の蓋体70の中心軸と一致するように位置合わせする。この後、第1の蓋体68を外環38に螺着して、図9で矢印により示されるように、第1の蓋体68と第2の蓋体70とによって構造体4を挟持して押圧する。
第1又は第2の蓋体70の捻じ込み量を調節することにより、電解質体、正極、負極、正極セパレータ64及び負極セパレータ66の各々間に所定の面圧を付与する。ここで、第1及び第2の蓋体68,70は外環38の軸方向に移動自在となっている。このため、セル体36が薄い場合には、第1及び第2の蓋体68,70を外環38内まで捻じ込んでセル体36を押圧することが可能である。
従って、上記構成のものにあっては次の効果を奏する。第1の蓋体68と第2の蓋体70との外径は外環38の内径よりも小さく、第1の蓋体68と第2の蓋体70とは外環38に対して外環38の中心軸方向に移動自在となっている。このため、セル体36の厚みのばらつきによらず、電解質体、正極、負極、正極セパレータ64及び負極セパレータ66の各々間に所定の面圧を付与することができる。従って、燃料電池体2を構成する部材に要求される製造精度を緩和することが可能となっている。
また、第1の蓋体68と正極セパレータ64、第2の蓋体70と負極セパレータ66が夫々別体となっている。このため、正極セパレータ64及び負極セパレータ66は、第1及び第2の蓋体68,70と異なり、充分に高い剛性は必要とされない。従って、正極セパレータ64及び負極セパレータ66の材料の選択の幅が広くなっている。
さらに、第1及び第2の蓋体68,70、並びに、セル体36の中心軸方向の長さの和は、外環38の中心軸方向の長さより小さくなっている。このため、第1及び第2の蓋体68,70、並びに、セル体36を外環38の内部に収容することが可能となっている。従って、外環38の長さによって、燃料電池体2の大きさを管理することが可能となっている。
加えて、外環38は円筒形状を有し、第1及び第2の蓋体68,70、並びに、セル体36は円柱形状を有する。そして、燃料電池体2の組立工程の際には、外環38、第1及び第2の蓋体68,70、並びに、セル体36の各々の中心軸を所定の一軸上に配置するようになっている。従って、燃料電池体2の組立工程において各部材を方向合わせする必要がなくなっている。また、第1又は第2の蓋体68,70を外環38に捻じ込む際の第1又は第2の蓋体68,70の回転の回転軸は、セル体36の中心軸と一致している。このため、第1又は第2の蓋体68,70とセル体36との間の摩擦により、セル体36に連れ回りが発生しても影響がない。以上から、組立工程が簡単となっている。
本変形例では、第1及び第2の蓋体68,70の両方を外環38に対して移動可能な構成としたが、どちらか一方を外環38と一体的に形成してもよい。また、セル体36は円柱形状としたが、四角板形状等の他の形状でもかまわない。この場合には、外環38の内面に、セル体36の連れ回りを防止するための規制部材を設けるようにしてもよい。
図10は、本発明の第2実施形態を示す。第1実施形態と同様な機能を有する構成には、同一の参照符号を付して説明を省略する。本変形例の外枠52の内周面には、雌ねじ形状の外枠ねじ部60が形成されている。そして、第1乃至第3の燃料電池体2a,2b,2cの外環38の外周面には、外枠ねじ部60に螺合する雄ねじ形状の外側ねじ部62が形成されている。
本実施形態の燃料電池50の組立工程では、第1乃至第3の燃料電池体2a,2b,2cを外枠52内に捻じ込む。そして、第1の燃料電池体2aの負電極34aを第2の燃料電池体2bの正電極18bに当接させ、第2の燃料電池体2bの負電極34bを第3の燃料電池体2cの正電極18cに当接させ、第1及び第2の空間部54a,54bを形成する。この際、第1及び第2の空間部54a,54bが第1及び第2の連通孔55a,55bと連通されるように、第1乃至第3の燃料電池体2a,2b,2cを配置する。
従って、上記構成のものにあっては次の効果を奏する。本実施形態では、固定ねじ58(図4参照)を使用しておらず、構成が簡単となっており、部品点数が削減されている。
本実施形態でも、外枠52の外枠ねじ部60と、第1乃至第3の燃料電池体2a,2b,2cの外側ねじ部62とによって、外枠52に対して第1乃至第3の燃料電池体2a,2b,2cを位置決めすることにより、第1及び第2の空間部54a,54bを形成するようにしてもよい。この場合には、正電極18a,18b,18c及び負電極34a,34b,34cは単に第1乃至第3の燃料電池体2a,2b,2cを電気的に接続する機能を有すればよい。
なお、燃料電池体の構成は上記した実施形態に限定されるものではなく、様々な構成とすることが可能である。必要に応じて、燃料タンク、生成物収容装置等を外枠内に配置するようにしてもよい。この場合には、燃料タンク、生成物収容装置等と燃料電池体との間に空間を形成することが好ましい。
本発明は、適切な温度で作動させることが可能な、セル体に所定の面圧を付与する燃料電池体を提供する。
2a,2b,2c…燃料電池体、34a,18b,34b,18c…空間形成手段、50…燃料電池、52…外枠。
Claims (7)
- 筒状の外枠と、
前記外枠内で前記外枠の軸方向に並設され、各々が酸化剤と燃料とを供給されて発電を行う複数の燃料電池体と、
前記複数の燃料電池体の少なくとも2つ間に空間を形成するための空間形成手段と、
を具備することを特徴とする燃料電池。 - 前記外枠は、前記外枠の外部と前記空間とを連通する連通孔を有することを特徴とする請求項1の燃料電池。
- 前記空間形成手段は、前記燃料電池体の少なくとも1つに形成され前記外枠の軸方向に突出する凸部を有することを特徴とする請求項1の燃料電池。
- 前記空間形成手段は、前記外枠に設けられ前記燃料電池体の少なくとも1つを前記外枠に対して固定する固定ねじを有することを特徴とする請求項1の燃料電池。
- 前記空間形成手段は、前記外枠の内周面に形成されている雌ねじと、前記複数の燃料電池体の少なくとも1つの外周面に形成され前記雌ねじに螺合する雄ねじとを有することを特徴とする請求項1の燃料電池。
- 前記燃料電池体は、
電解質体の一側方に正極を他側方に負極を設けた構造体と、前記構造体の前記正極側に配置され前記正極に酸化剤を供給する酸化剤供給部が形成されている正極セパレータと、前記構造体の前記負極側に配置され前記負極に燃料を供給する燃料供給部が形成されている負極セパレータと、を備えるセル体と、
前記セル体を収容し内周面に雌ねじが形成されている筒状部と、
前記筒状部の雌ねじに螺合する雄ねじを有し、前記雄ねじの軸方向に垂直な断面は前記筒状部の内腔の軸方向に垂直な断面よりも小さく、前記正極セパレータと前記負極セパレータとの一方を押圧する第1の蓋体と、
前記筒状部に設けられ、前記正極セパレータと前記負極セパレータとの他方を押圧し、前記第1の蓋体と共同して前記セル体を挟持して押圧する第2の蓋体と、
を有することを特徴とする請求項1の燃料電池。 - 前記正極セパレータと前記負極セパレータとの前記一方と前記第1の蓋体とは一体的に形成されていることを特徴とする請求項6の燃料電池。
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