JP2005221571A - 静電荷像現像用トナー - Google Patents

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Abstract

【課題】 低温で定着できるにもかかわらず、保存性に優れ、且つ長期間の連続印字においてもカブリの発生や印字濃度の低下が生じ難いので耐久性に優れ、高温下で保存された後でも耐久性に優れる静電荷像現像用トナーを提供すること。
【解決手段】 少なくとも結着樹脂、着色剤及びエステル化合物を含有する着色粒子と、外添剤とからなる静電荷像現像用トナーにおいて、
該エステル化合物は示差走査熱量計により測定されるDSC曲線において、吸熱ピーク温度が65℃以上であり、吸熱ピーク温度よりも20℃低い温度での吸熱値がA(mW)、吸熱ピーク温度よりも50℃低い温度での吸熱値がB(mW)、エステル化合物のエステル結合数がC(個)、測定試料として使用するエステル化合物の量がD(mg)のとき、上記A、B、C及びDが下記式(1)の関係を満足するものである静電荷像現像用トナー。
0≦|A−B|/(C×D)≦0.02 (1)
【選択図】 なし

Description

本発明は、電子写真法、静電記録法等によって形成される静電潜像を現像するための静電荷像現像用トナーに関する。
電子写真装置や静電記録装置等の画像形成装置では、先ず静電潜像を形成し、トナーにより現像し、現像されたトナー像を、必要に応じて紙等の転写材上に転写し、加熱、加圧、溶剤蒸気など種々の方式により定着する。
このような画像形成装置においては、消費電力の低減化とともに高速複写あるいは高速印刷が要求されている。電子写真方式の中で、特にエネルギーを消費する工程は、感光体から紙などの転写材上にトナーを転写した後に行われる定着工程である。一般にこの定着工程では、定着のために150℃以上の熱ロールが使用され、そのエネルギー源として電力が使用される。
近年、省エネルギーの観点から、この熱ロール温度を下げることが求められている。また、高速印刷等に対応できるように、トナーの定着温度を下げることが求められている。このように低温でも定着性に優れたトナーを得るために、ワックスなどの離型性を有する種々の低軟化点物質をトナー中に存在させる方法が提案されている。
一方、トナーには低温定着性と相反する特性として、保存性や印刷耐久性も求められる。これらの課題を解決するために、特許文献1にはDSCによる吸熱域が50℃以上のみに存在するワックス類を結着樹脂100重量部に対して1〜15重量部含有する静電荷像現像用トナーが、特許文献2には、n−パラフィンワックスを92質量%以上含有し、炭素数の異なる複数のn−パラフィン成分を含有しており、DSCで測定される吸熱曲線において最大吸熱ピークのピークトップ温度が70〜90℃であり、該最大吸熱ピークのピーク半値幅が12℃以下であるワックスAを含有するトナーが提案されている。
また、本出願人は、特許文献3に、少なくとも重合性単量体、着色剤及び離型剤を含有する単量体組成物を懸濁重合して得られ、該離型剤が、コア用単量体に可溶であり、重合トナー中の離型剤が、トナー断面の球形度に対する離型剤断面の球形度比1.0〜1.5の範囲内で存在し、離型剤断面形状の最大長径が、同一トナーの最大長の長径の0.3〜0.7倍であるコアシェル型トナーにおいて、特定のエステル化合物を含有させることを提案している。
近年、上述した保存性や耐久性の向上に加え、高温保存後の耐久性の向上も要求されるようになってきた。しかしながら、上記特許文献1〜特許文献3記載のトナーでは、高温保存後の耐久性が、高温保存前の耐久性に比較して低下する問題があった。
特開平03-91764号公報 特開平10−333359号公報 特開平11−305487号公報
本発明の目的は、低温で定着できるにもかかわらず、保存性に優れ、且つ長期間の連続印字においてもカブリの発生や印字濃度の低下が生じ難いので耐久性に優れ、高温下で保存された後でも耐久性に優れる静電荷像現像用トナーを提供することにある。
本発明者は、この目的を達成すべく鋭意研究を行った結果、離型剤として添加するエステル化合物に含有される少量の不純物が、トナーの結着樹脂を可塑化し、結果としてトナー特性を悪化させることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
かくして、本発明によれば、少なくとも結着樹脂、着色剤及びエステル化合物を含有する着色粒子と、外添剤とからなる静電荷像現像用トナーにおいて、
該エステル化合物は示差走査熱量計により測定されるDSC曲線において、吸熱ピーク温度が65℃以上であり、吸熱ピーク温度よりも20℃低い温度での吸熱値がA(mW)、吸熱ピーク温度よりも50℃低い温度での吸熱値がB(mW)、エステル化合物のエステル結合数がC(個)、測定試料として使用するエステル化合物の量がD(mg)のとき、上記A、B、C及びDが下記式(1)の関係を満足するものである静電荷像現像用トナーが提供される。
0≦|A−B|/(C×D)≦0.02 (1)
本発明によれば、低温で定着できるにもかかわらず、保存性に優れ、且つカブリの発生や印字濃度の低下が生じ難いので耐久性に優れ、高温下で保存された後でも耐久性に優れる静電荷像現像用トナーが提供される。
以下、本発明について詳述する。
本発明の静電荷像現像用トナーは、着色粒子と外添剤とからなる。
着色粒子は、結着樹脂、着色剤及び離型剤として後述する特定のエステル化合物を含有しており、更に帯電制御剤を含有していることが好ましい。
結着樹脂の具体例としては、ポリスチレン、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、環化イソプレンゴム等の従来からトナーに広く用いられている樹脂を挙げることができる。結着樹脂の数平均分子量は、特に限定されないが、通常、5,000〜50,000、好ましくは7,000〜30,000である。
着色剤としては、カーボンブラックやチタンホワイトなどのトナー分野で用いられている各種顔料及び染料を使用することができる。黒色着色剤としては、カーボンブラック、ニグロシンベースの染顔料類;コバルト、ニッケル、四三酸化鉄、酸化鉄マンガン、酸化鉄亜鉛、酸化鉄ニッケル等の磁性粉;等を挙げることができる。フルカラートナーを得る場合、通常、イエロー着色剤、マゼンタ着色剤およびシアン着色剤を使用する。
こうした着色剤の量は、結着樹脂100重量部に対して、通常、0.1〜50重量部、好ましくは1〜20重量部である。
エステル化合物としては、例えば、ベヘニルベヘネート、ステアリルステアレートなどの単官能のエステル化合物;ジステアリルテレフタレート、ジミリスチルテレフタレート、1,4−ブタンジオールジステアレートなどの2官能のエステル化合物;グリセリントリステアレート、グリセリントリベヘネートなどの3官能のエステル化合物;ジグリセリンテトラパルミテート、ジグリセリンテトラステアレート、ペンタエリスリトールテトラパルミテート、ペンタエリスリトールテトラステアレートなどの4官能のエステル化合物;ジペンタエリスリトールヘキサミリステート、ジペンタエリスリトールヘキサパルミテートなどの6官能のエステル化合物を挙げることができる。
本発明では、上記エステル化合物の中から、示差走査熱量計により測定されるDSC曲線において、吸熱ピーク温度が65℃以上であり、吸熱ピーク温度よりも20℃低い温度での吸熱値がA(mW)、吸熱ピーク温度よりも50℃低い温度での吸熱値がB(mW)、エステル化合物のエステル結合数がC、測定試料として使用するエステル化合物の量がD(mg)のとき、上記A、B、C及びDが下記式(1)の関係を満足するエステル化合物を使用する。なお、示差走査熱量計は後述の方法により測定することができる。
0≦|A−B|/(C×D)≦0.02 (1)
吸熱ピーク温度が65℃以上であり、かつ上記式(1)を満たすエステル化合物の中でも、優れた耐久性が得られることから、40℃でのトルエンへの溶解度が5重量%以上、好ましくは10重量%以上であるものが好ましい。また、エステル化合物のエステル結合数が3以上であるものが好ましく、4以上であるとより好ましい。
上記吸熱ピーク温度が65℃以上であり、かつ上記式(1)を満たすエステル化合物は、結着樹脂100重量部に対して、通常、0.1〜30重量部、好ましくは1〜20重量部である。
上記式(1)を満たすエステル化合物の合成方法は、特に限定されないが、例えば、以下の方法により得ることができる。A)市販のエステル化合物を、その化合物の溶解性の低い有機溶媒で洗浄する方法、B)市販のエステル化合物を加温することによって溶解する有機溶媒に溶解し、その溶液を冷却して再結晶させた後、濾別する方法、C)エステル化合物の合成原料であるアルコール類と脂肪酸類の主成分の純度が95重量%以上、好ましくは97重量%以上のものを使用して合成する方法、D)上記Cに、AまたはBを組み合わせる方法により得ることができる。
本発明では、本発明の目的を妨げない範囲で、通常使用されている離型剤を使用することができる。それらの離型剤としては、例えば、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリブチレンなどのポリオレフィンワックス;キャンデリラ、カルナウバ、ライス、木ロウ、ホホバなどの植物系天然ワックス;パラフィン、マイクロクリスタリン、ペトロラクタムなどの石油系ワックスおよびその変性ワックス;フィッシャートロプシュワックスなどの合成ワックスなどが挙げられる。
帯電制御剤としては、従来からトナーに使用されている帯電制御剤を用いることができる。帯電制御剤の中でも、結着樹脂との相溶性が高く、無色であり高速でのカラー連続印刷においても帯電性が安定したトナーを得ることができるので帯電制御樹脂が好ましい。帯電制御樹脂は、特開昭63−60458号公報、特開平3−175456号公報、特開平3−243954号公報、特開平11−15192号公報などの記載に準じて製造される4級アンモニウム(塩)基含有共重合体や、特開平1−217464号公報、特開平3−15858号公報などの記載に準じて製造されるスルホン酸(塩)基含有共重合体を用いることができる。
これらの共重合体に含有される4級アンモニウム(塩)基またはスルホン酸(塩)基を有する単量体単位は、共重合体中に0.5〜15重量%、好ましくは1〜10重量%である。含有量がこの範囲にあると、トナーの帯電量が制御し易く、カブリの発生を少なくすることができる。
帯電制御樹脂の重量平均分子量は、通常2,000〜50,000、好ましくは4,000〜40,000、さらに好ましくは6,000〜30,000である。重量平均分子量がこの範囲にあることにより、トナーの彩度や透明性を維持することができる。
帯電制御樹脂のガラス転移温度は、通常40〜80℃、好ましくは45〜75℃、さらに好ましくは45〜70℃である。ガラス転移温度がこの範囲にあることにより、トナーの保存性と定着性をバランスよく向上させることができる。
帯電制御剤の量は、結着樹脂100重量部に対して、通常、0.01〜20重量部、好ましくは0.1〜10重量部である。
着色粒子は、体積平均粒径(dv)が通常3〜10μmであり、好ましくは4〜9μm、更に好ましくは5〜8μmである。粒径が小さいと流動性が低下して、転写性が低下したり、カスレが発生したりし、また印字濃度が低下する。逆に大きいとカブリやトナー飛散が発生し、画像の解像度が低下する。
体積平均粒径(dv)と個数平均粒径(dp)の比である粒径分布(dv/dp)が1.0〜1.3であり、1.0〜1.2であると更に好ましい。粒径分布が大きいとカスレが発生したり、転写性、印字濃度及び解像度の低下を起こしたりすることがある。
上記の体積平均粒径及び粒径分布は、例えば、分級することによって上記範囲とすることができる。
着色粒子は、粒子の絶対最大長を直径とした円の面積(Sc)を粒子の実質投影面積(Sr)で割って得られる平均球形度(Sc/Sr)が、好ましくは1〜1.3であり、より好ましくは1.0〜1.2であり、更に好ましくは1.0〜1.15である。平均球形度が1.3より大きくなると、転写性が低下することがある。
この平均球形度は、例えば、転相乳化法、溶解懸濁法及び重合法等を用いることにより容易に上記範囲に調整することができる。
ここで、平均球形度は、着色粒子の電子顕微鏡写真を撮影し、その写真を画像処理解析装置ルーゼックスIID(ニレコ社製)により、フレーム面積に対する粒子の面積率を最大2%、トータル処理粒子数を100個の条件で測定し、得られた100個の着色粒子の球形度を平均した値である。
着色粒子は、誘電体損測定器による体積固有抵抗値(log(Ω・cm))が、通常、10〜13、好ましくは10.5〜12.5のものである。体積固有抵抗値がこの範囲にあると、トナー飛散、カブリ、フィルミングまたはクリーニング不良の発生が抑えられるので好ましい。
着色粒子は、粒子の内部(コア層)と外部(シェル層)に異なる二つの重合体を組み合わせて得られる、所謂コアシェル型(または、「カプセル型」ともいう。)の粒子とすることができる。
本発明のトナーを構成する外添剤としては、無機粒子や有機樹脂粒子が挙げられる。外添剤として添加するこれらの粒子は、トナー粒子よりも平均粒径が小さい。例えば、無機粒子としては、シリカ、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウムなどが挙げられ、有機樹脂粒子としては、メタクリル酸エステル重合体粒子、アクリル酸エステル重合体粒子、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体粒子、スチレン−アクリル酸エステル共重合体粒子、コアがスチレン重合体で、シェルがメタクリル酸エステル重合体で形成されたコアシェル型粒子などが挙げられる。これらのうち、シリカ粒子や酸化チタン粒子が好適であり、この表面を疎水化処理した粒子が好ましく、疎水化処理されたシリカ粒子が特に好ましい。外添剤の量は、特に限定されないが、着色粒子100重量部に対して、通常、0.1〜6重量部である。
本発明に使用することのできる着色粒子は、(1)粉砕法、(2)乳化重合法や懸濁重合法などの重合法、(3)溶解懸濁法等により製造することができる。これらの中でも、高解像度の画質や印刷の高速化に対応できるトナーを得る観点から重合法が好ましく、特に懸濁重合法により得られた実質的に球状の着色粒子が好ましい。
着色粒子の好ましい製造方法である懸濁重合法では、重合性単量体、着色剤、離型剤及び帯電制御剤をビーズミルなどのメディア型分散機を用いて均一に混合して、重合性単量体組成物を得、分散安定剤を含有する水分散媒体中に該組成物を添加した後、攪拌して液滴を形成し、次いで重合開始剤を添加した後、高速回転する攪拌機を用いて、所望の着色粒子の粒径となるように攪拌速度及び時間を調整して、更に小さな液滴を形成する。液滴を形成するときの水分散媒体の温度は、通常10〜55℃、好ましくは20〜45℃の範囲内に調整する。
次に、分散した液滴が沈降しない程度の攪拌を維持しながら、所定の温度に昇温して重合を開始し、一定時間重合を継続した後、反応を停止して着色粒子の水分散液を得る。その後、必要に応じて水分散液からトナー定着時に臭気の問題となる未反応の重合性単量体及び開始剤由来の副生成物である揮発性有機化合物を除去し、更に重合時に使用した分散安定剤を着色粒子から除去するために、酸洗浄を行い、更に水洗浄と脱水を繰り返し行い、そして乾燥することによって、着色粒子を得る。重合性単量体組成物の重合温度は、通常、40〜100℃、好ましくは50〜90℃であり、重合時間は、1〜20時間、好ましくは2〜10時間である。また、乾燥温度は、通常、20〜60℃、好ましくは30〜50℃である。
結着樹脂を得るための重合性単量体として、モノビニル単量体、架橋性単量体、マクロモノマー等を挙げることができる。この重合性単量体が重合され、結着樹脂成分となる。
モノビニル単量体としては、具体的にはスチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル単量体;(メタ)アクリル酸;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボニル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリル系単量体;エチレン、プロピレン、ブチレン等のモノオレフィン単量体;等が挙げられる。
モノビニル単量体は、単独で用いても、複数の単量体を組み合わせて用いても良い。これらモノビニル単量体のうち、芳香族ビニル単量体単独、芳香族ビニル単量体と(メタ)アクリル系単量体との併用などが好適に用いられる。
モノビニル単量体と共に、架橋性単量体を用いるとホットオフセットが有効に改善され、また、マクロモノマーを用いると、保存性と低温での定着性とのバランスが良好になるので好ましい。
架橋性単量体の量は、モノビニル単量体100重量部に対して、通常、2重量部以下、好ましくは、0.1〜1.5重量部である。
マクロモノマーの量は、モノビニル単量体100重量部に対して、通常、0.01〜10重量部、好適には0.03〜5重量部、さらに好適には0.05〜1重量部である。
分散安定剤としては、例えば、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸カルシウム等の無機塩、酸化アルミニウム、酸化チタン等の無機酸化物、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化第二鉄等の無機水酸化物;ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ゼラチン等水溶性高分子;アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤等を挙げることができ、これらは、単独で用いても、2種類以上を組み合わせても良い。
これらのうち、特に難水溶性の無機水酸化物のコロイドを含有する分散安定剤は、重合体粒子の粒径分布を狭くすることができ、また分散安定剤の洗浄後の残存性が少なく、画像を鮮明に再現できるので好ましい。
分散安定剤の量は、重合性単量体100重量部に対して、通常、0.1〜20重量部である。この割合が上記範囲にあることで、充分な重合安定性が得られ、重合凝集物の生成が抑制され、所望の粒径のトナーを得ることができるので好ましい。
重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩;4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2,2’−アゾビス(2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロライド、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物;ジ−t−ブチルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシピバレート、ジ−イソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート等の過酸化物類などを例示することができる。また、これら重合開始剤と還元剤とを組み合わせたレドックス開始剤を挙げることができる。
重合開始剤の量は、重合性単量体100重量部に対して、通常、0.1〜20重量部、好ましくは0.3〜15重量部、更に好ましくは0.5〜10重量部である。
また、重合に際して、分子量調整剤を使用することが好ましい。分子量調整剤としては、例えば、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタン−4−チオール等のメルカプタン類;四塩化炭素、四臭化炭素等のハロゲン化炭化水素類;などを挙げることができる。これらの分子量調整剤は、重合開始前、あるいは重合途中に添加することができる。分子量調整剤の量は、重合性単量体100重量部に対して、通常、0.01〜5重量部、好ましくは0.1〜2重量部である。
本発明の静電荷像現像用トナーは、上記した着色粒子と、外添剤とを、ヘンシェルミキサーなどの混合機に入れて撹拌することによって、着色粒子の表面に外添剤を付着または一部埋め込ませて製造することができる。
以下に、実施例および比較例を挙げて、本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。なお、部および%は、特に断りのない限り重量基準である。
本実施例では、以下の方法で評価した。
1.エステル化合物特性
(1)示差走査熱量分析
示差走査熱量分析(セイコーインスツルメンツ社製、製品名「RDC−220」)を用いて、試料用容器にエステル化合物を6〜8mg秤量し、窒素雰囲気下で−10℃から130℃まで10℃/min.で昇温して、DSC曲線を得た。このDSC曲線から、A、B及び|A−B|/(C×D)を求めた。
2.着色粒子特性
(1)体積平均粒径と粒径分布
着色粒子の体積平均粒径(dv)及び粒径分布即ち体積平均粒径と個数平均粒径(dp)との比(dv/dp)は、マルチサイザー(ベックマン・コールター社製)により測定した。このマルチサイザーによる測定は、アパーチャー径:100μm、媒体:イソトンII、濃度10%、測定粒子個数:100000個の条件で行った。
(2)平均球形度
着色粒子の絶対最大長を直径とした円の面積(Sc)を粒子の実質投影面積(Sr)で割って得られる値である平均球形度(Sc/Sr)は、各粒子の電子顕微鏡写真を撮影し、その写真を画像処理解析装置ルーゼックスIID(ニレコ社製)により、フレーム面積に対する粒子の面積率:最大2%、トータル処理粒子数:100個の条件で測定し、計算した100個についての平均値である。
(3)体積固有抵抗値
着色粒子の体積固有抵抗値は、着色粒子約3gを直径5cmの錠剤成型器に入れ、約100kgの荷重を1分間かけて試験片を作製し、それを誘電体損測定器(安藤電気社製、機種名「TRS−10型」)を用い、温度30℃、周波数1kHzの条件下で測定した。
2.トナー特性
(1)保存性
トナーを密閉可能な容器に入れて、密閉した後、該容器を温度が60℃の恒温水槽の中に沈め、7時間経過した後に取り出して、42メッシュの篩上に容器内のトナーの凝集構造を破壊しないように移す。粉体測定機(ホソカワミクロン社製、商品名「パウダーテスター」)の振動幅を1.0mmに設定して、30秒間振動した後、篩い上に残ったトナーの重量を測定し、凝集したトナーの重量とした。この凝集したトナーの重量と試料の重量とから、トナーの保存性(重量%)を算出した。この数値が小さい方が、保存性が高い。
(2)最低定着温度
市販の非磁性一成分現像方式のプリンター(24枚機)を、定着ロール部の温度を変化できるように改造して、定着ロールの温度を変化させて、5℃刻みで、それぞれの温度でのトナーの定着率を測定し、温度と定着率の関係を求める定着試験を行った。
定着率は、定着ロールの温度が安定したところで、上記改造プリンターを用いて印字用紙にベタ印字を行い、印字した用紙のベタ領域について、テープ剥離操作前後の印字濃度の比率から計算した。すなわち、テープ剥離前の画像濃度をID前、テープ剥離後の画像濃度をID後として、定着率は、次式から算出した。
定着率(%)=(ID後/ID前)×100
ここで、テープ剥離操作とは、試験用紙の測定部分に粘着テープ(住友スリーエム社製、スコッチメンディングテープ810−3−18)を貼り、一定圧力で押圧して付着させ、その後、一定速度で紙に沿った方向に粘着テープを剥離する一連の操作である。
この定着試験において、定着率が80%以上になる定着ロールの温度のうち、最低の温度をトナーの最低定着温度とした。
(3)耐久性1
市販の非磁性一成分現像方式のプリンター(24枚機)で、23℃×50RH%室温環境下で、初期から5%濃度で連続印字を行い、500枚目毎にベタ印字と白ベタ印字を行い、ベタ印字において、反射濃度計(マクベス社製)で測定した印字濃度が1.3以上で、かつ、白ベタ印字において、白色度計(日本電色社製)で測定した現像後の感光体上のカブリが5%以下の画質を維持できる連続印字枚数を調べ、トナーの耐久性を評価した。カブリは、現像後の感光体上のトナーを粘着テープ(住友スリーエム社製、スコッチメンディングテープ810−3−18)で剥ぎ取り、それを新しい印字用紙に貼り付けて白色度Bを測定し、一方粘着テープだけを貼り付けた印字用紙の白色度Aを測定し、カブリ(%)=(A−B)の計算式で算出した。
(4)耐久性2
トナーをカートリッジに400g計量添加し、該カートリッジを密閉できるアルミ袋に入れて密閉した後、50℃の温度に保持した恒温槽に保存する。5日間経過した後、恒温槽からカートリッジが入ったアルミ袋を取り出し、アルミ袋を開封した後、カートリッジを非磁性一成分現像方式のプリンター(24枚機)にセットして、前述の耐久性試験を実施し、高温保存後の耐久性を評価した。
(合成例1)
40℃に加熱したトルエンに、市販のペンタエリスリトールテトラパルミテート(日本油脂社製、商品名「WEP−4」)を溶解して20重量%で溶液とした後、5℃迄冷却して、ペンタエリスリトールテトラパルミテートを再結晶化させた。温度を5℃に維持したままで、再結晶成分を濾紙で濾過し、濾紙上の再結晶成分を50℃で24時間真空乾燥してエステル化合物Aを得た。エステル化合物Aの40℃でのトルエンへの溶解度は20重量%であった。
(合成例2)
合成例1で使用したペンタエリスリトールテトラパルミテートを、ペンタエリスリトールテトラステアレート(日本油脂社製、商品名「WEP−6」)に変えた以外は同様の方法でエステル化合物Bを得た。エステル化合物Bの40℃でのトルエンへの溶解度は10重量%であった。
(合成例3)
温度計、窒素導入管、攪拌機および冷却管を取り付けた4つロフラスコに、ジペンタエリスリトール(広栄化学社製、商品名「D−PE」)100部及びミリスチン酸567部を加え、窒素気流下、220℃で反応水を留去しつつ、15時間常圧で反応させた。得られた粗生成物625部にトルエン187部、n−プロパノール31部及び8%水酸化カリウム水溶液100部を加え、70℃で30分間攪拌した。30分間静置して、分離した油層部と水層部のうち、水層部を除去した。次いで、得られた粗生成物100部に対して、イオン交換水20部を添加して、70℃で30分間攪拌した後、30分間静置して水層部を除去して水洗を行った。水層部のpHが中性になるまで、水洗を4回繰り返した。分離した油層部から、180℃、1kPaの減圧条件下で、トルエンとn−プロパノールを留去した後、濾過を行い、エステル化合物C(ジペンタエリスリトールヘキサミリステート)を得た。エステル化合物Cの40℃でのトルエンへの溶解度は30重量%であった。
(合成例4)
合成例1で使用したペンタエリスリトールテトラパルミテートを、エステル化合物C(ジペンタエリスリトールヘキサミリステート)に変えた以外は同様の方法でエステル化合物Dを得た。エステル化合物Dの40℃でのトルエンへの溶解度は30重量%であった。
得られたエステル化合物A〜D及び市販のエステル化合物について、DSCの測定結果を表1に示す。
Figure 2005221571
(実施例1)
スチレン80.5部、n−ブチルアクリレート19.5部、ポリメタクリル酸エステルマクロモノマー(東亜合成化学工業社製、商品名「AA6」)0.3部、ジビニルベンゼン0.5部、t−ドデシルメルカプタン1.2部及びカーボンブラック(三菱化学社製、商品名「#25B」)7部をメディア型湿式粉砕機を用いて湿式粉砕を行い、帯電制御樹脂(藤倉化成社製、商品名「アクリベース FCA−207P」)1部とエステル化合物A10部を添加、混合、溶解して、コア用重合性単量体組成物を得た。
他方、イオン交換水250部に塩化マグネシウム10.2部を溶解した水溶液に、イオン交換水50部に水酸化ナトリウム6.2部を溶解した水溶液を攪拌下で徐々に添加して、水酸化マグネシウムコロイドの分散液を調製した。
一方、メチルメタクリレート2部と水65部を混合して、シェル用重合性単量体の水分散液を得た。
上記により得られた水酸化マグネシウムコロイド分散液に、室温で重合性単量体組成物を投入し、液滴が安定するまで攪拌し、そこにt−ブチルパーオキシ−イソブチレート(日本油脂社製、商品名「パーブチルIB」)6部を添加した後、15,000rpmで回転するエバラマイルダー(荏原製作所社製、商品名「MDN303V」)で30分間処理して、重合性単量体組成物の液滴を形成した。
上記重合性単量体組成物が分散されて液滴が形成された水酸化マグネシウムコロイド分散液を、攪拌翼を装着した反応器に入れ、昇温を開始し、85℃で温度が一定となるように制御した。重合転化率がほぼ100%に達した後、前記シェル用重合性単量体の水分散液に水溶性開始剤(和光純薬社製、商品名「VA−086」=2,2’−アゾビス(2−メチル−N−(2−ハイドロキシエチル)−プロピオンアミド))0.3部を溶解し、それを反応器に添加した。4時間重合を継続した後、反応を停止し、コアシェル型の着色粒子の水分散液を得た。
上記により得た着色粒子の水分散液を攪拌しながら、硫酸により洗浄(25℃、10分間)して、系のpHを4.5以下にした.この水分散液を濾過脱水し後、乾燥して、重合体粒子を得た。得られた着色粒子100部に、環状シラザンで疎水化処理されたシリカ微粒子(キャボット社製、製品名「TG820F」)1部とアミノ変性シリコーンオイルで疎水化処理されたシリカ微粒子(日本アエロジル社製、製品名「NEA50」)1部を添加し、ヘンシェルミキサーを用いて混合し、トナーを得た。着色粒子特性及びトナー特性を評価し、その評価結果を表2に示す。
(実施例2)
実施例1において、エステル化合物Aの代わりにエステル化合物Bを用いた以外は、実施例1と同じ方法で着色粒子及びトナーを得た。着色粒子特性及びトナー特性を評価し、その評価結果を表2に示す。
(実施例3)
実施例1において、エステル化合物Aの代わりにエステル化合物Dを用いた以外は、実施例1と同じ方法で着色粒子及びトナーを得た。着色粒子特性及びトナー特性を評価し、その評価結果を表2に示す。
(比較例1)
実施例1において、エステル化合物Aの代わりに市販品のペンタエリスリトールテトラパルミテート(日本油脂社製、商品名「WEP−4」)を使用した以外は、実施例1と同じ方法で着色粒子及びトナーを得た。着色粒子特性及びトナー特性を評価し、その評価結果を表2に示す。
(比較例2)
実施例1において、エステル化合物Aの代わりに市販品のペンタエリスリトールテトラステアレート(日本油脂社製、商品名「WEP−6」)を用いた以外は、実施例1と同じ方法で着色粒子及びトナーを得た。着色粒子特性及びトナー特性を評価し、その評価結果を表2に示す。
(比較例3)
実施例1において、エステル化合物Aの代わりにエステル化合物Cを用いた以外は、実施例1と同じ方法で着色粒子及びトナーを得た。着色粒子特性及びトナー特性を評価し、その評価結果を表2に示す。
Figure 2005221571
表2のトナーの評価結果から、以下のことがわかる。
本発明で規定する範囲より、|A−B|/(C×D)が大きいエステル化合物を使用した比較例1〜3のトナーは、定着温度が高いにもかかわらず、保存性が低く、高温保存後の耐久性が悪い。
これに対して、本発明のトナーは、低温で定着できるにもかかわらず、保存性に優れ、且つ長期間の連続印字においてもカブリの発生や印字濃度の低下が生じ難いので耐久性に優れ、高温下で保存された後でも耐久性に優れていることが分かる。

Claims (4)

  1. 少なくとも結着樹脂、着色剤及びエステル化合物を含有する着色粒子と、外添剤とからなる静電荷像現像用トナーにおいて、
    該エステル化合物は示差走査熱量計により測定されるDSC曲線において、吸熱ピーク温度が65℃以上であり、吸熱ピーク温度よりも20℃低い温度での吸熱値がA(mW)、吸熱ピーク温度よりも50℃低い温度での吸熱値がB(mW)、エステル化合物のエステル結合数がC(個)、測定試料として使用するエステル化合物の量がD(mg)のとき、前記A、B、C及びDが下記式(1)の関係を満足するものである静電荷像現像用トナー。
    0≦|A−B|/(C×D)≦0.02 (1)
  2. 前記エステル化合物は40℃でのトルエンへの溶解度が5重量%以上である請求項1記載の静電荷像現像用トナー。
  3. 前記エステル化合物のエステル結合数が3以上である請求項1または2記載の静電荷像現像用トナー。
  4. 前記着色粒子が重合法により得られたものである請求項1〜3記載の静電荷像現像用トナー。
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