JP2005218224A - 力率改善回路 - Google Patents

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Abstract

【課題】力率を改善でき、負帰還ループを減らして安定な制御ができる力率改善回路を提供する。
【解決手段】整流回路B又はスイッチQ1に流れる電流を検出する電流検出抵抗Rshと、出力電圧Eoと基準電圧との誤差を増幅して誤差電圧を生成する出力電圧検出オペアンプ11と、生成された誤差電圧の値に応じてパルス幅を制御した第1パルス信号を生成する第1パルス幅変調器12と、第1パルス信号に応じて、電流検出抵抗Rshで検出された電流に比例した電圧をスイッチングさせる補助スイッチQ2と、補助スイッチQ2によってスイッチングされた電圧の高周波成分を除去して平滑化するローパスフィルタ13と、ローパスフィルタ13の出力の値に応じてパルス幅を制御した第2パルス信号を生成し、該第2パルス信号をスイッチQ1に印加して出力電圧Eoを所定電圧に制御する第2パルス幅変調器14とを有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、簡単で安価な力率改善回路に関し、特にその制御回路を構成する技術に関する。
図8に従来の力率改善回路の構成図を示す(特許文献1)。図8に示す力率改善回路において、交流電源Vacの交流電圧を整流する全波整流回路Bの出力両端P1及びP2には、昇圧リアクトルL1とMOSFET等からなるスイッチQ1と電流検出抵抗Rshからなる直列回路が接続されている。スイッチQ1の両端(ドレイン−ソース間)には、ダイオードDoと平滑コンデンサCoとからなる直列回路が接続され、平滑コンデンサCoの両端には、負荷Roが接続されている。ダイオードDoと平滑コンデンサCoとで整流平滑回路を構成している。スイッチQ1は、制御回路10のPWM制御によりオン/オフするようになっている。
電流検出抵抗Rshは、全波整流回路Bの負極側出力端P2とスイッチQ1の一端及び平滑コンデンサCoの一端との間に接続され、全波整流回路Bに流れる入力電流を検出する。
制御回路10は、出力電圧検出オペアンプ11、乗算器120、電流検出オペアンプ130、パルス幅変調器140を有して構成される。
出力電圧検出オペアンプ11は、平滑コンデンサCoの電圧と所定の基準電圧Vrefとの誤差を増幅し、誤差電圧を生成して乗算器120に出力する。乗算器120は、出力電圧検出オペアンプ11からの誤差電圧と全波整流回路Bの正極側出力端P1からの全波整流電圧とを乗算して乗算出力電圧を電流検出オペアンプ130に出力する。
電流検出オペアンプ130は、電流検出抵抗Rshで検出された入力電流に比例した電圧と乗算器120からの乗算出力電圧との誤差を増幅し、誤差電圧を生成してこの誤差電圧を入力信号としてパルス幅変調器140に出力する。
パルス幅変調器140は、その内部で生成される三角波信号と電流検出オペアンプ130からの入力信号とを比較する。そして、入力信号の値が三角波信号の値以上のときに例えばオンで、入力信号の値が三角波信号の値未満のときに例えばオフとなるパルス信号を生成し、該パルス信号をスイッチQ1のゲートに印加する。
交流電源Vacからの入力電圧(交流電圧)を全波整流回路Bで整流した全波整流電圧は、半サイクル毎に正弦波の形をしている。乗算器120は、全波整流回路Bからの半サイクル正弦波電圧を入力し、また、出力電圧検出オペアンプ11からの誤差電圧を入力し、この2つの電圧を乗算することにより正弦波の大きさを変えて出力する。電流検出オペアンプ130は、乗算器120からの半サイクル正弦波電圧と入力電流によって発生した電流検出抵抗Rshに比例した電圧とを比較して、入力電流が半サイクルの正弦波になるように制御している。これにより、電流検出抵抗Rshに流れる入力電流を半サイクル毎に交流電源Vacの入力電圧と相似形の正弦波にすることができるので、力率を改善できる。
次に、このように構成された力率改善回路の動作を説明する。まず、スイッチQ1がオンすると、B→L1→Q1→Rsh→Bに電流が流れる。この電流は、時間の経過とともに直線的に増大していく。
次に、スイッチQ1は、オン状態からオフ状態に変わるとき、昇圧リアクトルL1に誘起された電圧によりスイッチQ1の電圧が上昇する。また、スイッチQ1がオフとなるため、スイッチQ1に流れる電流は零になる。また、L1→Do→Coで電流が流れて、負荷Roに電力が供給される。
なお、従来の力率改善回路の関連技術として例えば、特許文献2がある。
特開2000−37072号(図5) 特開平3−284168号(第1図)
しかしながら、図8に示す昇圧型の力率改善回路は、(1)電流検出抵抗Rshで電流を検出して、電流検出オペアンプ130、パルス幅変調器140を通り、スイッチQ1をPWM制御して、電流をコントロールするループ、(2)平滑コンデンサCoの出力電圧を検出して出力電圧検出オペアンプ11、乗算器120、電流検出オペアンプ130、パルス幅変調器140を通ってスイッチQ1を制御し出力電圧をコントロールするループ、(3)全波整流回路Bからの電圧を検出して乗算器120、パルス幅変調器140を通ってスイッチQ1を制御し出力電圧をコントロールするループの3つの負帰還ループを有している。このため、力率改善回路の部品点数も多く、力率改善回路を安定に制御することが困難である。また、力率改善回路の部品点数が多いため、回路の調整が複雑化している。
本発明は、力率を改善でき、しかも、負帰還ループを減らすことにより回路を安定に制御できる力率改善回路を提供することにある。
本発明は上述した課題を解決するために以下の構成とした。請求項1の発明は、交流電源の交流電圧を整流回路で整流した整流電圧を昇圧リアクトルとスイッチとの直列回路に入力して前記スイッチによりオン/オフして前記交流電源の力率を改善するとともに、整流平滑回路により直流の出力電圧を得る力率改善回路であって、前記整流回路又は前記スイッチに流れる電流を検出する電流検出手段と、前記出力電圧と所定の基準電圧との誤差を増幅して誤差電圧を生成する誤差電圧生成手段と、前記誤差電圧生成手段で生成された誤差電圧の値に応じてパルス幅を制御した第1パルス信号を生成する第1パルス幅変調手段と、前記第1パルス幅変調手段からの第1パルス信号に応じて、前記電流検出手段で検出された電流に比例した電圧を変調させる変調手段と、前記変調手段によって変調された電圧の高周波成分を除去して平滑化するフィルタ手段と、前記フィルタ手段の出力の値に応じてパルス幅を制御した第2パルス信号を生成し、該第2パルス信号を前記スイッチに印加して前記出力電圧を所定電圧に制御する第2パルス幅変調手段とを有することを特徴とする。
請求項1の発明によれば、変調手段は、誤差電圧生成手段からの誤差電圧(直流電圧)の値に応じてパルス幅が制御された第1パルス信号に応じて、電流検出手段により検出された電流に比例した電圧(半サイクルの正弦波電圧)をパルス変調させ、さらにフィルタ手段で平滑化することにより、入力と相似形の半サイクルの正弦波の出力電圧を第2パルス幅変調手段に出力する。即ち、入力電流波形と第2パルス幅変調手段の入力電圧波形とが相似形となるので、力率を改善することができる。また、負帰還ループを減らすことができるため、回路を安定に制御できる。
請求項2の発明は、請求項1記載の力率改善回路において、前記変調手段は、前記第1パルス幅変調手段からの第1パルス信号がゲートに印加されることによりオン/オフして前記電流検出手段で検出された電流に比例した電圧をパルス変調させるMOSFETを有することを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項1記載の力率改善回路において、前記変調手段は、前記第1パルス幅変調手段からの第1パルス信号がアノードに印加されることによりオン/オフして前記電流検出手段で検出された電流に比例した電圧をパルス変調させるダイオードを有することを特徴とする。
請求項4の発明は、交流電源の交流電圧を整流回路で整流した整流電圧を昇圧リアクトルとスイッチとの直列回路に入力して前記スイッチによりオン/オフして前記交流電源の力率を改善するとともに、整流平滑回路により直流の出力電圧を得る力率改善回路であって、前記整流回路又は前記スイッチに流れる電流を検出する電流検出手段と、前記出力電圧と所定の基準電圧との誤差を増幅して誤差電圧を生成する誤差電圧生成手段と、前記電流検出手段で検出された電流に比例した電圧の値に応じてパルス幅を制御した第1パルス信号を生成する第1パルス幅変調手段と、前記第1パルス幅変調手段からの第1パルス信号に応じて、前記誤差電圧生成手段で生成された電圧を変調させる変調手段と、前記変調手段で変調された電圧の高周波成分を除去して平滑化するフィルタ手段と、前記フィルタ手段の出力の値に応じてパルス幅を制御した第2パルス信号を生成し、該第2パルス信号を前記スイッチに印加して前記出力電圧を所定電圧に制御する第2パルス幅変調手段と、を有することを特徴とする。
請求項4の発明によれば、変調手段は、電流検出手段により検出された電流に比例した電圧(半サイクルの正弦波電圧)の値に応じてパルス幅が制御された第1パルス信号に応じて、誤差電圧生成手段からの誤差電圧(直流電圧)をパルス変調させ、さらにフィルタ手段で平滑化することにより、入力と相似形の半サイクルの正弦波の出力電圧を第2パルス幅変調手段に出力する。従って、請求項1記載の発明と同様の効果が得られる。
本発明によれば、力率を改善でき、しかも負帰還ループを減らすことにより回路を安定に制御できる力率改善回路を提供できる。
以下、本発明に係る力率改善回路の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1に示す実施例1の力率改善回路は、図8に示す従来の力率改善回路に対して、制御回路10aの構成のみが異なる。なお、図1に示すその他の構成は、図8に示す構成と同一であるので、同一部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
制御回路10aは、出力電圧検出オペアンプ11、第1パルス幅変調器12、ローパスフィルタ13、第2パルス幅変調器14、補助スイッチQ2及び抵抗R1から構成されている。
出力電圧検出オペアンプ11は、本発明の誤差電圧生成手段に対応し、平滑コンデンサCoの電圧と所定の基準電圧Vrefとの誤差を増幅して誤差電圧を生成し、第1パルス幅変調器12に出力する。
第1パルス幅変調器12は、本発明の第1パルス幅変調手段に対応し、その内部で生成される三角波信号と出力電圧検出オペアンプ11からの入力信号(誤差電圧)とを比較し、入力信号の値が三角波信号の値以上のときに例えばオンで、入力信号の値が三角波信号の値未満のときに例えばオフとなる第1パルス信号を生成する。第1パルス幅変調器12で生成された第1パルス信号は、補助スイッチQ2のゲートに印加される。
図2は第1パルス幅変調器12の詳細な構成を示す図である。第1パルス幅変調器12は、三角波信号を発生する三角波発振器121と、この三角波発振器121からの三角波信号を非反転入力端子(+)に入力し、出力電圧検出オペアンプ11からの入力信号(誤差電圧)を反転入力端子(−)に入力するコンパレータ122とから構成されている。コンパレータ122は、図3の「出力1」に示すように、三角波信号の値が入力信号の値以上のときに例えばオン(Hレベル)で、三角波信号の値が入力信号の値未満のときに例えばオフ(Lレベル、例えばゼロ)となる第1パルス信号を生成して出力する。
補助スイッチQ2と抵抗R1は本発明の変調手段に対応する。補助スイッチQ2は、MOSFET等から構成されている。補助スイッチQ2のドレインは、抵抗R1を介して、全波整流回路Bの負極側出力端P2と電流検出抵抗Rshとの接続点に接続されており、補助スイッチQ2のソースは接地されている。補助スイッチQ2は、第1パルス幅変調器12からの第1パルス信号に応じてオン/オフすることにより、電流検出抵抗Rshで検出した入力電流に比例した電圧をスイッチング(パルス変調)してローパスフィルタ13に出力する。
ローパスフィルタ13は、本発明のフィルタ手段に対応し、補助スイッチQ2から供給されるスイッチングされた電圧から高周波成分を除去する。これにより、スイッチングによって離散的になった電圧波形が平滑化され、スイッチングの間隔に応じた振幅レベルを有する電圧波形が得られる。
第2パルス幅変調器14は、本発明の第2パルス幅変調手段に対応し、図2に示す第1パルス幅変調器12と同様の構成を有する。第2パルス幅変調器14内のコンパレータ122は、三角波発振器121からの三角波信号を非反転入力端子(+)に入力し、ローパスフィルタ13の出力を入力信号として反転入力端子(−)に入力し、三角波信号の値が入力信号の値以上のときに例えばオン(Hレベル)で、三角波信号の値が入力信号の値未満のときに例えばオフ(Lレベル、例えばゼロ)となる第2パルス信号を生成し、該第2パルス信号をスイッチQ1のゲートに印加して平滑コンデンサCoの出力電圧を所定電圧に制御する。
図4は第2パルス幅変調器14の入出力特性の例を示す図である。図4(a)は第2パルス幅変調器14の入力電圧EsとデューティーサイクルDが比例関係になっている第2パルス幅変調器14の入出力特性であり、Es=Dの関係になる。図4(b)は入力電圧EsとデューティーサイクルDとがEs=1−Dの関係になっている第2パルス幅変調器14の入出力特性を示す。
第2パルス幅変調器14では、入出力波形は、図3の「出力1」のような波形になり、第2パルス幅変調器14の入出力特性は図4(a)のような特性になる。
また、コンパレータ122は、入力信号の値が三角波信号の値以上のときに例えばオンで、入力信号の値が三角波信号の値未満のときに例えばオフとなる第2パルス信号を生成し、該第2パルス信号をスイッチQ1のゲートに印加して平滑コンデンサCoの出力電圧を所定電圧に制御しても良い。即ち、図2に示すコンパレータ122の入力端子の「+」と「−」を逆に接続すると、出力電圧は反転し、入出力波形は、図3の「出力2」のような波形になり、入出力特性は図4(b)のような特性になる。
次に、実施例1の力率改善回路の動作原理について説明する。ここでは、制御回路10aの動作を主に説明する。
まず、昇圧リアクトルL1の電流が連続して流れているものとし、スイッチQ1がオンしているデューティーサイクル(スイッチQ1のスイッチング周期をT1とし、スイッチQ1のオン時間をT2とすると、オン時比率T2/T1に相当する。)をD1とすると、全波整流回路Bの両端電圧である入力電圧Eiと、負荷Roの両端電圧である出力電圧Eoとの関係は、Eo/Ei=1/(1−D1)となる。
また、第2パルス幅変調器14の特性が図3に示すような特性であるとし、第2パルス幅変調器14の入力電圧をEsとすると、Es=1−D1であるので、Es=1−D1=Ei/Eoとなる。
出力電圧Eoは、直流でほぼ一定値であり、入力電圧Eiが半サイクルの正弦波であるので、入力電圧Esは半サイクルの正弦波となる。即ち、入力電圧Esは、ローパスフィルタ13の出力であり、ローパスフィルタ13には、電流検出抵抗Rshに流れる入力電流に応じた電圧が入力されている。このため、電流検出抵抗Rshに流れる入力電流に応じた電圧も半サイクルの正弦波となる。従って、電流検出抵抗Rshに流れる入力電流は、入力電圧Eiと比例して半サイクルの正弦波となるため、力率を改善することができる。
更に詳細に説明すると、全波整流回路Bの両端電圧である入力電圧Eiと、負荷Roの両端電圧である出力電圧Eoとの関係は、下記式(1)で表される。
Eo=Ei/(1-D1)・・・(1)
よって、
1-D1=Ei/Eo・・・(2)
となる。
また、電流検出抵抗Rshに流れる入力電流をIin、電流検出抵抗をRsh、補助スイッチQ2のデューティーサイクルをD2、ローパスフィルタ13のゲインをGfとすると、下記式(3)が成り立つ。
Iin×Rsh×(1-D2)×Gf=1-D1・・・(3)
上記式(1)及び(3)より、
Iin×Rsh×(1-D2)×Gf=Ei/Eo・・・(4)
となる。よって、
Rsh×(1-D2)×Gf×Eo=Ei/Iin・・・(5)
となる。
ここで、式(5)の右辺「Ei/Iin」は、入力側からの見かけ上の負荷抵抗Rinと見なすことができるから、
Rin=(1-D2)×Gf×Eo×Rsh・・・(6)
となり、出力電圧に応じてデューティーサイクルD2を変えることによって出力電圧を安定化して入力側から見た見かけ上のインピーダンスを純抵抗と同等にできるため、力率を「1」にすることができる。
次に、力率改善回路の全体の動作を図5に示す各部の波形を参照しながら説明する。図5において、交流電源Vacの入力電圧Vi、交流電源Vacの入力電流Ii、電流検出抵抗Rshに流れる電流IRsh、補助スイッチQ2のドレイン−ソース間の電圧Q2v、ローパスフィルタ13のフィルタ出力Fivを示している。
まず、交流電源Vacの正弦波の入力電圧Viが入力されると、正弦波の入力電流Iiが流れる。そして、交流電源Vacの入力電圧Viが全波整流回路Bで整流されて全波整流電圧Eiが出力される。
次に、スイッチQ1をオンすると、B→L1→Q1→Rsh→Bと電流が流れる。次に、スイッチQ1は、オン状態からオフ状態に変わるとき、昇圧リアクトルL1に誘起された電圧によりスイッチQ1の電圧が上昇する。また、スイッチQ1がオフとなるため、スイッチQ1に流れる電流は零になる。また、L1→Do→Coで電流が流れて、負荷Roに電力が供給される。
このようにスイッチQ1を所定のスイッチング周波数でオン/オフすることにより、電流検出抵抗Rshの両端には、図5に示すように、半サイクルの正弦波電流IRshが流れる。これにより、補助スイッチQ2のドレインには、電流検出抵抗Rshで検出した入力電流に比例した電圧が入力される。
一方、出力電圧検出オペアンプ11は、平滑コンデンサCoの電圧と所定の基準電圧Vrefとの誤差を増幅して誤差電圧を生成し、第1パルス幅変調器12に出力する。第1パルス幅変調器12は、出力電圧検出オペアンプ11からの誤差電圧の値に応じてパルス幅が制御された第1パルス信号を補助スイッチQ2のゲートに出力する。
補助スイッチQ2は、第1パルス幅変調器12からの第1パルス信号でオン/オフして、電流検出抵抗Rshで検出した入力電流に比例した電圧をスイッチングする。このため、補助スイッチQ2の電圧Q2vは、図5に示すように、電流検出抵抗Rshで検出した入力電流に比例した電圧をスイッチングした電圧波形となり、ローパスフィルタ13に供給される。
ローパスフィルタ13は、スイッチングされた電圧の高周波成分を除去して平滑化し、図5に示すように、入力と相似形の半サイクルの正弦波であって、スイッチングの間隔に応じて振幅レベルが制御されたフィルタ出力Fivを出力する。次に、ローパスフィルタ13のフィルタ出力Fivは、第2パルス幅変調器14に入力されて第2パルス信号のパルス幅が制御される。
このように実施例1の力率改善回路によれば、力率を改善できるとともに、負帰還ループは、(1)電流検出抵抗Rshで電流を検出して、補助スイッチQ2、ローパスフィルタ13、第2パルス幅変調器14を通り、スイッチQ1をPWM制御して、電流をコントロールするループ、(2)平滑コンデンサCoの出力電圧を検出して出力電圧検出オペアンプ11、第1パルス幅変調器12、補助スイッチQ3、ローパスフィルタ13及び第2パルス幅変調器14を通ってスイッチQ1を制御し出力電圧をコントロールするループの2つとなり、負帰還ループを1つ減らすことができるため、このループに起因する制御回路10aの不安定さもなくなり、2ループで回路を安定に制御できる。
図6は実施例2の力率改善回路を示す構成図である。図6において、制御回路10bは、出力電圧検出オペアンプ11、第1パルス幅変調器12、ローパスフィルタ13、第2パルス幅変調器14、補助スイッチQ2及び抵抗R2から構成されている。
出力電圧検出オペアンプ11は、平滑コンデンサCoの電圧と所定の基準電圧Vrefとの誤差を増幅して誤差電圧を生成し、生成した誤差電圧を抵抗R2を介してローパスフィルタ13に出力する。
第1パルス幅変調器12は、その内部で生成される三角波信号と入力信号(電流検出抵抗Rshに流れる電流に比例した電圧)とを比較し、入力信号の値が三角波信号の値以上のときに例えばオンで、入力信号の値が三角波信号の値未満のときに例えばオフとなる第1パルス信号を生成する。第1パルス幅変調器12で生成された第1パルス信号は、補助スイッチQ2のゲートに印加される。第1パルス幅変調器12の詳細な構成は、図2を参照して説明した実施例1のそれと同じである。
補助スイッチQ2と抵抗R2は本発明の変調手段に対応する。補助スイッチQ2のドレインは、ローパスフィルタ13の入力端と抵抗R2との接続点に接続されており、ソースは接地されている。補助スイッチQ2は、第1パルス幅変調器12からの第1パルス信号に応じてオン/オフすることにより、出力電圧検出オペアンプ11で検出された誤差電圧をスイッチング(パルス変調)してローパスフィルタ13に出力する。第2パルス幅変調器14の詳細な構成は、図2を参照して説明した実施例1のそれと同じである。
次に、実施例2の力率改善回路の動作原理について説明する。ここでは、制御回路10bの動作を主に説明する。
まず、昇圧リアクトルL1の電流が連続して流れているものとし、スイッチQ1がオンしているデューティーサイクルをD1とすると、全波整流回路Bの両端電圧である入力電圧Eiと、負荷Roの両端電圧である出力電圧Eoとの関係は、Eo/Ei=1/(1−D1)となる。
また、第2パルス幅変調器14の特性が図3に示すような特性であるとし、第2パルス幅変調器14の入力電圧をEsとすると、Es=1−D1であるので、Es=1−D1=Ei/Eoとなる。
出力電圧Eoは、直流でほぼ一定値であり、入力電圧Eiが半サイクルの正弦波であるので、入力電圧Esが半サイクルの正弦波となる。即ち、入力電圧Esは、ローパスフィルタ13の出力であり、ローパスフィルタ13には、出力電圧検出オペアンプ11で検出された誤差電圧が入力されている。このため、電流検出抵抗Rshに流れる入力電流に応じた電圧も半サイクルの正弦波となる。従って、電流検出抵抗Rshに流れる入力電流は、入力電圧Eiと比例して半サイクルの正弦波となるため、力率を改善することができる。
更に詳細に説明すると、全波整流回路Bの両端電圧である入力電圧Eiと、負荷Roの両端電圧である出力電圧Eoとの関係は、下記式(7)で表される。
Eo=Ei/(1-D1)・・・(7)
よって、
1-D1=Ei/Eo・・・(8)
となる。
また、電流検出抵抗Rshに流れる入力電流をIin、電流検出抵抗をRsh、補助スイッチQ2のデューティーサイクルをD2、第1パルス幅変調器12のゲインをG2、ローパスフィルタ13のゲインをGf、出力電圧検出オペアンプ11からの誤差電圧をEdetとすると、下記式(9)及び(10)が成り立つ。
Iin×Rsh×G2=1-D2・・・(9)
Edet×(1-D2)×Gf=1-D1・・・(10)
上記式(9)及び(10)より、
Edet×(1-D2)×Gf=Ei/Eo・・・(11)
となる。上記式(10)及び(11)より、
Edet×Eo×Rsh×G2×Gf=Ei/Iin・・・(12)
ここで、式(12)の右辺「Ei/Iin」は、入力側からの見かけ上の負荷抵抗Rinと見なすことができるから、
Rin=Edet×Eo×Rsh×G2×Gf・・・(13)
となり、出力電圧検出オペアンプ11からの誤差電圧Edetを変えることによって出力電圧を安定化して入力側から見た見かけ上のインピーダンスを純抵抗と同等にできるため、力率を「1」にすることができる。
なお、力率改善回路の全体の動作は、実施例1のそれと略同じであるので説明を省略する。
以上説明したように、実施例2の力率改善回路によれば、実施例1の力率改善回路と同様に、力率を改善できるとともに、負帰還ループを1つ減らすことができるため、このループに起因する制御回路10bの不安定さもなくなり、2ループで回路を安定に制御できる。
図7は実施例3の力率改善回路を示す構成図である。図7に示す力率改善回路は、図1に示した実施例1の力率改善回路における補助スイッチQ2をダイオードDsで置き換えたものである。以下では、実施例1と異なる部分についてのみ説明する。
制御回路10cは、出力電圧検出オペアンプ11、第1パルス幅変調器12、ローパスフィルタ13、第2パルス幅変調器14、ダイオードDs及び抵抗R1から構成されている。
ダイオードDsと抵抗R1は本発明の変調手段に対応する。ダイオードDsは、順方向電圧降下が電流検出抵抗Rshで検出した入力電流に比例した電圧に対して無視できる程度に小さいものが使用される。ダイオードDsのアノードは、抵抗R1を介して全波整流回路Bの負極側出力端P2と電流検出抵抗Rshとの接続点及びローパスフィルタ13の入力端に接続されており、カソードは、第1パルス幅変調器12の出力端に接続されている。ダイオードDsは、第1パルス幅変調器12からの第1パルス信号に応じてオン/オフする。これにより、実施例1と同様に、電流検出抵抗Rshで検出した入力電流に比例した電圧をスイッチング(パルス変調)してローパスフィルタ13に出力される。
以上説明したように、実施例3の力率改善回路によれば、実施例1の力率改善回路と同様の効果に加え、補助スイッチQ2の代わりにダイオードDsを用いたので、力率改善回路を簡単且つ安価に構成できる。
なお、本発明は、実施例1乃至実施例3に限定されるものではない。電流検出は、入力電流(交流電源電流)だけでなく、FET等のスイッチの電流や整流ダイオードの電流でも可能であり、その電流の平均値やピーク値や実効値などで検出しても良い。この場合、入力電流が正確な正弦波にならない場合もあるが、高調波規制の規格値はクリアできる値にすることができる。
電流検出手段として抵抗を用いたが、電流をホール素子で検出し、検出された電流に比例した電圧を出力する電流検出器を用いてもよい。
また、第1パルス幅変調器12及び第2パルス幅変調器14は、周波数固定のパルス幅変調だけでなく、例えばオン幅一定のオフ幅制御でも、オフ幅が一定でオン幅が変化するオン幅制御でも、オン幅とオフ幅と周波数とも変化するようなものでも、オンとオフの比率が変化するものであれば良い。
本発明は、AC−DC変換型の電源回路に適用可能である。
本発明の実施例1の力率改善回路を示す構成図である。 実施例1の力率改善回路内の制御回路に設けられたパルス幅変調器を示す構成図である。 パルス幅変調器の入出力波形を示す図である。 パルス幅変調器の入出力特性の1例を示す図である。 実施例1の力率改善回路の各部の波形を示す図である。 本発明の実施例2の力率改善回路を示す構成図である。 本発明の実施例3の力率改善回路を示す構成図である。 従来の力率改善回路の構成図である。
符号の説明
Vac 交流電源
B 全波整流回路
10,10a〜10c 制御回路
11 出力電圧検出オペアンプ(誤差電圧生成手段)
12 第1パルス幅変調器(第1パルス幅変調手段)
13 ローパスフィルタ(フィルタ手段)
14 第2パルス幅変調器(第2パルス幅変調手段)
120 乗算器
130 電流検出オペアンプ
140 パルス幅変調器
121 三角波発振器
122 コンパレータ
Q1 スイッチ
Q2 補助スイッチ
Do ダイオード
Ds ダイオード
L1 昇圧リアクトル
Co 平滑コンデンサ
R1,R2 抵抗
Ro 負荷
Rsh 電流検出抵抗(電流検出手段)

Claims (4)

  1. 交流電源の交流電圧を整流回路で整流した整流電圧を昇圧リアクトルとスイッチとの直列回路に入力して前記スイッチによりオン/オフして前記交流電源の力率を改善するとともに、整流平滑回路により直流の出力電圧を得る力率改善回路であって、
    前記整流回路又は前記スイッチに流れる電流を検出する電流検出手段と、
    前記出力電圧と所定の基準電圧との誤差を増幅して誤差電圧を生成する誤差電圧生成手段と、
    前記誤差電圧生成手段で生成された誤差電圧の値に応じてパルス幅を制御した第1パルス信号を生成する第1パルス幅変調手段と、
    前記第1パルス幅変調手段からの第1パルス信号に応じて、前記電流検出手段で検出された電流に比例した電圧を変調させる変調手段と、
    前記変調手段によって変調された電圧の高周波成分を除去して平滑化するフィルタ手段と、
    前記フィルタ手段の出力の値に応じてパルス幅を制御した第2パルス信号を生成し、該第2パルス信号を前記スイッチに印加して前記出力電圧を所定電圧に制御する第2パルス幅変調手段と、
    を有することを特徴とする力率改善回路。
  2. 前記変調手段は、前記第1パルス幅変調手段からの第1パルス信号がゲートに印加されることによりオン/オフして前記電流検出手段で検出された電流に比例した電圧をパルス変調させるMOSFETを有することを特徴とする請求項1記載の力率改善回路。
  3. 前記変調手段は、前記第1パルス幅変調手段からの第1パルス信号がアノードに印加されることによりオン/オフして前記電流検出手段で検出された電流に比例した電圧をパルス変調させるダイオードを有することを特徴とする請求項1記載の力率改善回路。
  4. 交流電源の交流電圧を整流回路で整流した整流電圧を昇圧リアクトルとスイッチとの直列回路に入力して前記スイッチによりオン/オフして前記交流電源の力率を改善するとともに、整流平滑回路により直流の出力電圧を得る力率改善回路であって、
    前記整流回路又は前記スイッチに流れる電流を検出する電流検出手段と、
    前記出力電圧と所定の基準電圧との誤差を増幅して誤差電圧を生成する誤差電圧生成手段と、
    前記電流検出手段で検出された電流に比例した電圧の値に応じてパルス幅を制御した第1パルス信号を生成する第1パルス幅変調手段と、
    前記第1パルス幅変調手段からの第1パルス信号に応じて、前記誤差電圧生成手段で生成された電圧を変調させる変調手段と、
    前記変調手段で変調された電圧の高周波成分を除去して平滑化するフィルタ手段と、
    前記フィルタ手段の出力の値に応じてパルス幅を制御した第2パルス信号を生成し、該第2パルス信号を前記スイッチに印加して前記出力電圧を所定電圧に制御する第2パルス幅変調手段と、
    を有することを特徴とする力率改善回路。
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