以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお図面においては処理に用いる情報・データを太線の四角形で示し、処理や記憶等を行う処理主体を細線の四角形で示す。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1として、本発明を適用した情報処理システムの基本構成を示すものである。実施の形態1の情報処理システムは、ユーザ101、データ102、処理装置103を有する構成である。処理装置103は、業務に対応するデータ処理サービスを提供する。ユーザ101は、端末装置等を含むものであり、データ102の処理を処理装置103に対し依頼する。言い換えれば、ユーザ101は、データ処理サービス依頼のデータ102を処理装置103に対し送信する。処理装置103は、ユーザ101から処理を依頼されたデータ102についてデータ処理サービスを実行する。
ユーザ101及びこれに対応するデータ102は複数存在する(図示せず)。あるユーザ101が処理依頼するデータ102はその処理依頼毎に存在する。ユーザ101と処理装置103との間はデータ102の処理依頼のために所定形式で通信接続され、データ102がユーザ101から処理装置103に転送される。
データ102は、処理すべき内容である内容データ1021と依頼元特定データ1022とを有するデータである。ユーザ101が処理装置103に対し内容データ1021について処理の依頼を行う際に、内容データ1021に依頼元特定データ1022が自動的に付与される。あるいは内容データ1021内に依頼元特定データ1022が含まれる形態でもよい。
内容データ1021は、ユーザ101が処理を依頼するデータであり、処理装置103における処理つまり業務に対応する処理の対象となるデータである。これは後述の内容処理機能1034による処理対象である。内容データ1021には、ユーザ101により、業務に対応する処理の内容に関する指定が記述される。
依頼元特定データ1022は、処理依頼元のユーザ101を処理装置103において特定可能なデータ、つまり処理装置103においてユーザ識別子として機能するデータである。これは内容データ1021についての処理依頼のための通信の際に自動的に付加されるデータであり、例えばユーザ101の使用する端末のIPアドレス等の通信アドレスや、ユーザが内容データ1021として発信するHTML文書等のヘッダ情報等である。ユーザ101は、処理装置103に対してデータ102の処理を依頼するにあたって、上記依頼元特定データ1022を内容データ1021に付加する処理を行う必要はなく、内容データ1021の作成の他にユーザがなすべき処理が増えることはない。
処理装置103は、処理条件記憶手段1032と、処理条件付け機能1031と、内容処理機能1034とを有する。処理装置103は、本発明に係る処理を記述したプログラムを読み出して実行することで目的の処理を実現する。また処理装置103は、図示していないが、ユーザ101からデータ102を受け付けるための通信機能等も有する。
処理条件記憶手段1032は、依頼元ユーザ101から処理依頼されるデータ102についての処理条件データを記憶領域に保持する手段である。本実施の形態では、処理条件記憶手段1032は、複数の依頼元ユーザ毎の処理条件についての設定が記述された処理条件テーブル1033を保持する。この処理条件テーブル1033は、ユーザ101からの処理依頼毎のデータ102を処理する際に守らなければならない処理条件を決定するための情報である。この処理条件は、ユーザ101からの依頼に基づくデータ処理サービスに関しての維持すべきサービスレベルに対応するサービス品質規定情報から導かれるものである。処理条件テーブル1033に設定されているサービス品質規定情報をもとに、依頼元ユーザ101毎の処理条件が決定される。
上記処理条件は、ユーザ101毎のサービスレベルに関する要求つまりデータ処理のサービス品質についての希望あるいは指定を反映して定まる条件をデータ化して処理条件記憶手段1032内に格納するものであり、ユーザ101が当該情報処理システムを利用するにあたって設定される。典型的には、当該情報処理システムの利用についてのユーザとの契約の際、ユーザの要求を反映した合意に基づき、当該データ処理サービスの実行結果において確保すべきサービスレベルが決定される。そしてこれに対応するサービス品質規定情報が処理装置103の処理条件記憶手段1032内に設定される。
処理条件付け機能1031は、データ102を受信した際に、処理条件記憶手段1032に保持されている処理条件テーブル1033から処理対象の内容データ1021に対応する処理条件を検索してデータ102に関連付けする処理を行う。処理条件付け機能1031は、データ102が有する依頼元特定データ1022を参照してこれをもとに処理条件テーブル1033中から対応する処理条件の検索及び関連付け処理を行う。処理条件付け機能1031は、依頼元特定データ1022を参照することでデータ102の処理依頼元のユーザ101を特定する。この処理条件付け処理によって、受信したデータ102にその処理条件が処理条件データ1041として関連付けされ、処理条件付きデータ104が生成される。
なお、処理条件付け機能1031による処理条件データ1041の関連付けの方法としては、対応する処理条件データを処理条件記憶手段1032中からコピーしてデータ102に付加する方法や、対応する処理条件データの処理条件記憶手段1032中でのアドレスを指し示すポインタを作成してデータ102に付加する方法等を採ることができる。
上記生成された処理条件付きデータ104は、処理すべき内容データ1021、依頼元特定データ1022、及び処理条件データ1041を有するデータである。この処理条件付きデータ104は内容処理機能1034に転送される。そして、内容処理機能1034は、処理条件付きデータ104について、その処理条件データ1041に従って内容データ1021の処理を行う。内容データ1021には、ユーザ101により、業務に対応する処理の内容に関する指定が記述されているのでそれを満たす処理が行われる。
本情報処理システムを適用した情報処理事業の具体例として、例えばチケット予約サービスを提供するチケット予約システムの場合なら、ユーザ101は例えば個人のインターネット端末装置や店舗に設置された端末装置等を通じてチケット予約処理を依頼する顧客である。また処理装置103は事業所内に設置されたサーバ装置等である。またデータ102はチケット予約処理の依頼が記述された所定形式のHTML文書や電子メール文書等である。
またデータ102の内容データ1021は、例えば、予約対象チケット、予約希望日時、枚数等、代金支払いのための口座情報等の指定が含まれた所定形式のチケット予約処理依頼を表わすデータである。処理装置103は、内容データ1021の記述で指定されるチケット予約処理を実行する。また上記依頼を表わす内容データ1021には、処理依頼の通信の際に依頼元特定データ1022が付加される。
またデータ102についての処理条件(処理条件データ1041)の具体例としては、「5秒以内に受付完了情報をユーザ宛てに返送完了する」(受付完了情報の返送完了時間)、「1日以内にチケット予約可否情報をユーザ宛てに返送完了する」(予約可否情報の返送完了時間)、「3日以内に予約チケットの発券を完了する」(予約チケット発券完了時間)等があり、チケット予約処理に係る処理単位におけるサービス品質の指定となっている。
図2は、処理装置103の処理条件記憶手段1032における処理条件(サービス品質規定情報)の保持形式の具体例を示す。この例では、複数の依頼元ユーザ毎の処理条件を保持する方法として、処理条件記憶手段1032内に処理条件テーブル1033を有し、処理条件テーブル1033は、依頼元特定データフィールド201、処理内容データフィールド202、処理条件データフィールド203の組からなるレコードを複数有する構成である。各フィールドはそれぞれ、データ102に関する処理依頼元ユーザ、処理内容、処理条件を特定する情報を保持するフィールドであり、これらにより依頼元ユーザ毎、及び処理内容毎の処理条件が対応付けされる。
依頼元特定データフィールド201は、処理依頼元ユーザを特定するためのデータを格納するフィールドであり、データ102の有する依頼元特定データ1022と対応している。処理条件付け機能1031は、データ102の有する依頼元特定データ1022を参照し、これをキーとして処理条件テーブル1033中の依頼元特定データフィールド201を検索する。例えばユーザ101の使用する端末のIPアドレスを依頼元特定データ1022として使用する場合では、処理条件テーブル1033の依頼元特定データフィールド201に予めそのIPアドレス情報が設定される。
処理内容データフィールド202は、データ102の処理内容を特定するデータを格納するフィールドであり、処理内容毎の処理条件を関連付けする場合に使用する。格納するデータは、内容データ1021の一部分である。処理内容は、例えばチケット予約処理サービスの場合なら、予約受付処理、予約可否情報の返送処理、予約チケット発券処理等の処理単位が存在するので、このそれぞれに対しての処理条件(サービス品質規定情報)を区別して設定する。
処理条件データフィールド203は、処理条件を特定するデータを格納するフィールドであり、処理条件を所定形式で表わしたデータ等である。このデータが処理条件データ1041としてデータ102に関連付けされる。
処理条件付け機能1031は、処理依頼されたデータ102における依頼元特定データ1022、更には内容データ1021を用いて処理条件テーブル1033から検索することで、処理依頼元ユーザ及び処理内容に対応する処理条件を関連付ける。
図2では、例として、異なる処理依頼元ユーザとして依頼元A,依頼元B、また異なる処理内容として処理内容a,b,cが存在し、これらの組み合わせに対応するデータの処理条件として処理条件1〜処理条件6が設定されている様子を示している。このように依頼元ユーザ毎及び処理内容毎の処理条件が設定される。
なお処理条件テーブル1033においては、依頼元特定データフィールド201、処理内容データフィールド202には、データ102に対応する処理条件データ1041の検索に必要なだけの情報を記憶していれば十分であり、例えば内容データ1021に相当するすべてを記憶している必要はない。
また、この構成例では、処理条件記憶手段1032に保持する処理条件テーブル1033において、予め設定されるサービス品質規定情報がそのまま処理依頼毎の処理条件に対応する。これに限らず、サービス品質規定情報が多段階的に定義され、データ処理の際に使用される処理条件が上位のサービス品質規定から下位のサービス品質規定へと多段階的な判断を通じて決定される形式を採ることも可能である。この場合、例えば処理条件テーブル1033が多段階的なサービス品質規定情報を保持するフィールドを更に有する形式となる。
上述した構成により、不特定多数のユーザ101を相手として条件付きデータ処理サービスを行う場合でも、処理依頼元ユーザ101は処理依頼においてそのサービス品質の指定等の処理動作を施す必要なく処理装置103側でユーザ毎の処理条件を関連付けしてこれを満たしてデータ処理を行い、サービスレベルを維持することができる情報処理システムを提供できる。
なお上述した実施の形態1の情報処理システムにおける処理手順は、後述する図7に示す実施の形態5における処理のフローチャートにおいてもまとめて説明される。また、実施の形態1における情報処理システムは、後述する図8に示す情報処理事業システムに適用される。
(実施の形態2)
次に図3は、本発明の実施の形態2における情報処理システムとして、複数の処理装置を用いてデータ処理を行う情報処理システムに本発明を適用した構成を示す。実施の形態2における情報処理システムは、複数のユーザ、これに対応する処理依頼のデータ、及び複数の処理装置を有する構成であり、図3では例として、特に二つのユーザ301,311と、これに対応するデータ302,312と、二つの処理装置303,313とで構成され、二つのユーザ301,311がそれぞれデータ処理依頼を別の処理装置301,313に対して行うことができる。
ユーザ301,311が処理を依頼する対象のデータ302,312は、それぞれ内容データ3021,3121と、依頼元特定データ3022,3122とを有する。データ302,312は、例としてそれぞれ処理装置303,313に転送されるものとする。処理装置303,313はそれぞれ内容処理機能3034,3134を有する。
実施の形態2の構成では、複数の処理装置が、実施の形態1の構成における処理条件記憶手段1032に相当する手段を備えるものと備えないものとで構成される。少なくとも一つの処理装置は処理条件記憶手段を備える。なお、すべての処理装置が処理条件記憶手段を備える構成も可能である。
図3に示す構成例では、処理装置303内に、複数の依頼元ユーザ毎の処理条件を保持する処理条件記憶手段3032と、処理条件付け機能3031とを有する。一方、処理装置313は、処理条件付け機能3131は有するが、上記のような処理条件記憶手段を備えず、依頼元ユーザの処理条件を保持しない。
また、実施の形態2の構成では、複数の処理装置間ここでは処理装置303と処理装置313内に、処理条件データについて伝達する処理を行う処理条件伝達機能3035,3135を有する。処理条件伝達機能3035,3135は、処理装置間で必要に応じて処理条件データを取得あるいは参照する処理を行う機能である。処理条件伝達機能3035,3135を通じて、処理条件記憶手段を備えない処理装置313が、処理条件記憶手段3032を備える処理装置303から処理条件データを取得あるいは参照する。また、処理条件記憶手段を備えない処理装置313が、処理条件記憶手段3032を備える処理装置303に対し新たな処理条件を送信・提供する等の処理を行う。
図3に示す構成例では、処理装置303は、処理条件記憶手段3032内の処理条件テーブル3033に、ユーザ301,311毎の処理条件である処理条件データ3041,3141を保持している。
処理装置303内の処理条件付け機能3031は、実施の形態1の構成における機能と同様に、処理条件記憶手段3032からデータ302に対応する処理条件データ3041を検索し関連付ける機能である。処理装置313内の処理条件付け機能3131は、処理条件伝達機能3034,3134を用いてデータ312に対応する処理条件3141を処理装置303内の処理条件記憶手段3032から検索して関連付ける処理を行う。この結果それぞれ生成される処理条件付きデータ304,314は、内容データ3021,3121と依頼元特定データ3022,3122と処理条件データ3041,3141とを有する。この処理条件付きデータ304,314はそれぞれ内容処理機能3034,3134に転送され、それぞれ処理条件データ3041,3141に従って内容データ3021,3121の処理が行われる。
上述した実施の形態2の構成により、複数の処理装置を有する情報処理システムにおいて実施の形態1の構成と同様に不特定多数のユーザを相手としてサービスレベルを維持するデータ処理サービスを実現する。また、複数の処理装置の内、すべての処理装置においてユーザの処理条件を管理する必要はない構成である。
なお上述した実施の形態2の情報処理システムにおける処理手順は、実施の形態1と同様、後述する図7においてもまとめて説明される。また、実施の形態2における情報処理システムは、後述する図8に示す情報処理事業システムに適用される。
(実施の形態3)
次に図4は、本発明の実施の形態3における情報処理システムとして、依頼元ユーザ毎の処理条件に従って内容処理機能を選択することで効率の良いデータ処理を行う構成を示す。図4の構成例では、複数のユーザ401と、これに対応するデータ402と、処理装置として、処理装置403及び複数の内容処理装置406,407,408とを有する。実施の形態3における情報処理システムは、前述した実施の形態の構成に加え、処理装置403が、処理分散機能405を有する。内容処理装置406〜408は、内容処理機能を有する処理装置である。
ユーザ401が処理を依頼するデータ402は、処理すべき内容データ4021と依頼元特定データ4022とを有する。データ402は、処理装置403に転送される。この処理装置403内に、複数の依頼元ユーザ401毎の処理条件を保持する処理条件記憶手段4032と、処理条件記憶手段4032の処理条件テーブル4033からデータ402に対応する処理条件データ4041を検索し関連付ける処理条件付け機能4031とを有する。この結果生成される処理条件付きデータ404は、内容処理機能によって処理すべき内容データ4021と、依頼元特定データ4022と、処理条件データ4041とを有する。
図4に示す構成例では、処理装置403は前述したような内容処理機能を有さず、複数の内容処理装置406〜408がそれぞれ内容処理機能を有する。上記生成された処理条件付きデータ404はまず処理分散機能405に転送される。処理分散機能405は、処理条件付きデータ404について、その処理条件データ4041に従って、複数の内容処理装置406〜408の内どの内容処理機能で処理を行うべきかの選択判断つまり処理分散の判断を行う。処理分散機能405は、この選択判断の結果選択した内容処理装置に対して処理条件付きデータ404を転送し、その内容データ4021の処理を行わせる。
この例では、処理分散機能405は、処理条件付きデータ404をまず内容処理装置406に転送して処理を行わせ、その処理後、内容処理装置407に転送して処理を行わせる様子を示している。
複数の内容処理装置406〜408におけるそれぞれの内容処理機能については、それぞれが同一の処理を行う機能であっても良いし、異なる処理を行う機能であっても良い。処理分散機能405は、処理条件付きデータ404について、その内容データ4021及び処理条件データ4041に応じて、処理単位毎の機能分散、あるいは負荷分散を行う。
本構成での処理の具体例としてチケット予約システムの場合で説明する。例えば処理単位毎に処理分散する形態として、内容処理装置406が予約処理装置、内容処理装置407が電子メール発送処理装置、内容処理装置408が印刷処理装置等のような構成となる。
また、処理条件データ4041としては、「予約可否の回答は電子メールを用いて1日以内に送付完了すること」、「印刷物を3日以内に郵便で発送完了すること」等の情報がある。例えば処理条件付きデータ404における処理条件データ4041が前者の情報だった場合、処理分散機能405は、予約処理及び電子メール発送処理が必要であると判断して、処理条件付きデータ404をまず予約処理装置である内容処理装置406に転送して予約処理を行わせ、その処理結果を電子メール発送処理装置である内容処理装置407に転送して電子メール発送処理を行わせる。各内容処理装置406,407は、処理条件データ4041に従って1日以内に処理を行う。
このように本構成によれば、依頼元ユーザ毎及び処理内容毎の処理条件に従って適切な内容処理機能を選択して処理分散を行い、ユーザの処理条件を満足するよう効率良く処理を行うことができる。
なお上述した実施の形態3の情報処理システムにおける処理手順は、実施の形態1と同様、後述する図7においてもまとめて説明される。また、実施の形態3における情報処理システムは、後述する図8に示す情報処理事業システムに適用される。
(実施の形態4)
次に図5は、本発明の実施の形態4における情報処理システムとして、データ処理を行う複数の内容処理機能の処理状態を保持することで、より効率の良い処理を行う実施の形態の構成を示す。図5の構成例では、複数のユーザ501と、これに対応するデータ502と、処理装置として、処理装置503及び複数の内容処理装置506,507,508とを有する。実施の形態4における情報処理システムは、前述した実施の形態の構成に加え、処理装置503が、処理状態記憶機能509を有する。内容処理装置506〜508は、内容処理機能を有する処理装置である。
ユーザ501が処理を依頼するデータ502は、内容データ5021と依頼元特定データ5022とを有する。データ502は、処理装置503に転送される。処理装置503内に、複数の依頼元ユーザ501毎の処理条件を保持する処理条件記憶手段5032と、処理条件記憶手段5032からデータ502に対応する処理条件データ5041を検索し関連付ける処理条件付け機能5031とを有する。
上記の結果生成される処理条件付データ504は、内容処理機能により処理すべき内容データ5021と、依頼元特定データ5022と、処理条件データ5041とを有する。この処理条件付きデータ504は処理分散機能505に転送される。
この構成では、処理装置503は、複数の内容処理装置506〜508の処理状態、例えば各装置の負荷状態、処理進行状況等の情報を保持する処理状態記憶機能509を有する。処理分散機能505は、処理状態記憶機能509内の処理状態情報と、処理条件データ5041とを参照・比較し、複数の内容処理装置506〜508の内どの装置で処理を行うべきかの処理分散判断を行う。この判断の結果、選択した内容処理装置に対して処理条件付データ504を転送して内容データ5021の処理を行わせる。
本構成での処理について前記同様にチケット予約システムを例に説明する。処理分散する形態として、内容処理装置506が予約処理装置、内容処理装置507,508が印刷処理装置であるものとする。また処理条件データ5041は、「予約可否の回答は印刷物を3日以内に郵便で発送完了すること」という情報である。
処理状態として例えば、印刷処理装置である内容処理装置507には1日分の印刷処理があり、同様の内容処理装置508には4日分の印刷処理がある場合、処理状態記憶機能509はそのような負荷状態を処理状態として認識し情報として記憶している。処理分散機能505は、処理状態記憶機能509における各内容処理装置の処理状態の情報と、処理条件データ5041とを参照・比較して、処理条件付きデータ504をまず予約処理装置である内容処理装置506に転送して処理を行わせ、その処理結果を印刷処理装置である内容処理装置507に転送して処理を行わせる。ここでは負荷の少ない内容処理装置507を選択している。各内容処理装置506,507は、処理条件データ5041に従って3日以内に処理を行う。
このように本構成によれば、依頼元ユーザ毎及び処理内容毎の処理条件データと複数の内容処理機能の処理状態とに従って適切な内容処理機能を選択して処理分散を行い、ユーザの処理条件を満足するよう効率良く処理を行うことができる。
なお上述した実施の形態4の情報処理システムにおける処理手順は、実施の形態1と同様、後述する図7においてもまとめて説明される。また、実施の形態4における情報処理システムは、後述する図8に示す情報処理事業システムに適用される。
(実施の形態5)
次に図6は、本発明の実施の形態5における情報処理システムとして、データ処理を行う複数の内容処理機能の処理状態に応じて処理条件を変更することで、更に効率の良い処理を行う実施の形態の構成を示す。図6の構成例では、複数のユーザ601と、これに対応するデータ602と、処理装置として、処理装置603及び複数の内容処理装置606,607,608とを有する。実施の形態5における情報処理システムは、前述した実施の形態の構成に加え、処理条件付きデータに関して処理条件を変更する機能を更に有する。内容処理装置606〜608は、内容処理機能を有する処理装置である。
ユーザ601が処理を依頼するデータ602は、内容データ6021と依頼元特定データ6022とを有する。データ602は、処理装置603に転送される。処理装置603内に、複数の依頼元ユーザ601毎の処理条件を処理条件テーブル6033に保持する処理条件記憶手段6032と、処理条件記憶手段6032からデータ602に対応する処理条件データ6041を検索し関連付ける処理条件付け機能6031とを有する。また、処理装置603は、複数の内容処理装置606〜608への処理分散を行う処理分散機能605と、複数の内容処理装置606〜608の処理状態を保持する処理状態記憶機能609とを有する。
上記の結果生成される処理条件付きデータ604は、内容処理機能により処理すべき内容データ6021と、依頼元特定データ6022と、処理条件データ6041とを有する。処理条件付きデータ604は処理分散機能605に転送される。
本構成では、処理分散機能605は、処理状態記憶機能609内の処理状態情報と、処理条件データ6041とを参照・比較し、複数の内容処理装置606〜608の内どの内容処理装置でどのような処理条件でデータ処理を行うべきかの処理分散判断を行う。そして処理分散機能605は、その判断結果に基づいて、処理条件付きデータ604における処理条件データ6041を変更する。
上記処理条件データ6041の変更とは、上記処理分散判断の結果に基づいて処理分散先となる各内容処理機能を有する内容処理装置における処理に対応した新たな処理条件データを作成することである。処理分散機能605は、作成した新たな処理条件データを元データに付加した処理条件付きデータを生成し、処理分散判断の結果選択した内容処理装置に適切なタイミングで転送し、その新たな処理条件データに従った処理を行わせる。
図6では例として、処理分散機能605は、処理条件付きデータ604の処理条件データ6041について、処理分散判断の結果に基づき処理分散先となる各内容処理装置606,607における処理に対応した新たな処理条件データ6141,6241を作成している。そしてそれらを付加した処理条件付きデータ614,624を生成し、これを処理分散のために選択した内容処理装置606,607にそれぞれ転送して、各処理条件データ6141,6241に従った処理を行わせる。
本構成での処理について前記同様にチケット予約システムを例に説明する。処理分散の形態として、内容処理装置606が予約処理、内容処理装置607,608が印刷処理装置である。また処理条件データ6041は、「印刷物を3日以内に郵便で発送完了すること」という情報である。
例えば、処理状態記憶機能609が、複数の内容処理装置606〜608の処理状態情報として、印刷処理装置である内容処理装置607には1日分の印刷処理があり、同様の内容処理装置608には4日分の印刷処理がある、と認識しているとする。この場合において、処理分散機能605は、上記の処理状態情報と、処理条件データ6041とを参照・比較して処理分散判断を行い、「予約処理を1日以内に完了すること」という新しい処理条件データ6141を作成する。また、「印刷・発送処理を2日以内に完了すること」という新しい処理条件データ6241を作成する。つまりここでは時間的な処理単位毎に分割した処理条件を作成している。
更に処理分散機能605は、上記新たに作成した処理条件データ6141と内容データ6021と依頼元特定データ6022とから処理条件付きデータ614を作成し、それをまず予約処理装置である内容処理装置606に転送して処理条件データ6141に従った処理を行わせる。そして、その内容処理装置606における予約処理の結果と、処理条件データ6241とを用いて処理条件付きデータ624を作成し、印刷処理装置である内容処理装置607に転送して処理条件データ6241に従った処理を行わせる。
内容処理装置606では処理条件データ6141に従って1日以内に処理を行い、また内容処理装置607では処理条件データ6241に従って2日以内に処理を行う。これにより、処理条件データ6041における「3日以内に処理を完了すること」という規定を満たしながら、ユーザに依頼された処理全体を完了する。
なお上記では、処理条件データの変更の例として、内容処理装置毎の時間的な処理単位に対応して二つに分割する場合について説明したが、新しい処理条件を追加する、不要な処理条件を削除もしくはマスクする処理も同様に可能である。また、上記例では、処理分散判断に応じて各処理条件データに従って複数の内容処理装置に順番に処理を行わせる場合について示しているが、処理分散判断に応じて各処理条件データに従って複数の内容処理装置に同時並行的に処理を行わせる処理も同様に可能である。
なお上記処理条件データ6041の変更処理は、処理条件記憶手段6032における処理条件の設定が変更されるのではなく、処理実行時における複数の処理装置の状態に応じた処理分散に対応した処理条件を作成するためのデータ変更である。
このように本構成によれば、依頼元ユーザ毎及び処理内容毎の処理条件データと複数の内容処理装置の処理状態に従って適切な内容処理機能を選択して処理分散を行い、ユーザの処理条件を満足するよう処理分散に対応した適切な処理条件に従って効率良く処理を行うことができる。
上述した本発明の各実施の形態における情報処理システムの処理動作についてまとめる。図7は、特に本発明の実施の形態5における情報処理システムに対応した処理を示すフローチャートである。
まず、処理装置603は、ユーザ601から処理依頼のデータ602を受け付けて受信する(S701)。次に、処理条件付け機能6031は、受信データ602について、その依頼元特定データ6022を参照し、依頼元ユーザを特定する(S702)。次に、処理条件付け機能6031は、依頼元特定データ6022をもとに、処理条件記憶手段6032の処理条件テーブル6033を参照して、受信データ602に対応するサービス品質規定情報つまり依頼元ユーザ及び処理内容に対応する処理条件データを検索する(S703)。なお実施の形態2のように処理条件記憶手段を持たない処理装置の場合は、前記条件伝達機能を通じて処理条件記憶手段を持つ処理装置から処理条件データを検索する等を行う。処理条件付け機能6031は、検索した処理条件データ6041を、データ602に関連付けして処理条件付きデータ604を生成し、これが処理分散機能605に転送される(S704)。
次に、処理分散機能605は、処理条件付きデータ604について、その処理条件データ6041と、処理状態記憶機能609が認識・記憶している複数の処理装置の処理状態情報とを参照・比較して、内容データ6021の処理に関する処理分散判断を行う(S705)。そして処理分散機能605は、上記処理分散判断の結果に基づき、必要に応じて処理条件データ6041の変更処理を行う。つまり、処理分散先の内容処理機能における処理に対応した新たな処理条件データ7141,7241を作成してそれを関連付けした処理条件付きデータ714,724を作成し、これを処理分散先の各内容処理機能を有する内容処理装置706,707へ適切なタイミングで転送する(S706)。処理条件付きデータ714,724を受信した各内容処理機能を有する内容処理装置706,707では、その処理条件データ7141,7241に従って内容データ7021の処理を行う(S707)。
次に図8は、上述した本発明の各実施の形態の情報処理システムを、一つ以上の情報処理センタでデータ処理を請け負う情報処理事業に適用した構成を示すものである。図8では特に、上述した第5の実施の形態の情報処理システムを適用した情報処理事業システムの構成例を示す。複数の情報処理センタの内どの情報処理センタで実際のデータ処理がなされるかをユーザが意識することなく、ユーザ毎の処理条件を満たしサービスレベルを維持してデータ処理サービス業務を遂行する情報処理事業を実現することが可能となる。
図8に示す情報処理事業システムは、不特定多数である複数のユーザ801と、これに対応する処理依頼のデータ802と、複数の情報処理センタ803,806,807,808とを有する。各情報処理センタ803,806〜808は、互いに通信接続される。この構成例では、特に情報処理センタ803が複数のユーザ801から処理依頼される複数のデータ802について一括して受け付け、他の情報処理センタ806〜808への処理分散を行ってデータ処理する構成例を示すが、複数の情報処理センタでデータ802を受け付ける構成も勿論可能である。またこの構成例では、情報処理センタ803は、処理条件記憶装置8032を備え、他の情報処理センタ806〜808は上記処理条件記憶装置8032相当を備えない。
複数のユーザ801からの複数のデータ802について情報処理センタ803で受信する。各データ802は、内容データ8021と依頼元特定データ8022とを有する。情報処理センタ803は、複数の依頼元ユーザ801毎の処理条件を処理条件テーブル8033に保持する処理条件記憶装置8032と、処理条件記憶装置8032から各データ802に対応する処理条件データ8041を検索して関連付ける処理条件付け装置8031とを有する。また、情報処理センタ803は、複数の情報処理センタ806〜808への処理分散を行う処理分散装置805と、複数の情報処理センタ806〜808の状態を保持する処理状態記憶装置809とを有する。
処理条件付け装置8031が生成する処理条件付きデータ804は、内容処理機能により処理すべき内容データ8021と、依頼元特定データ8022と、処理条件データ8041とを有する。この処理条件付きデータ804は処理分散装置805に転送される。処理分散装置805は、処理状態記憶装置809内に記憶されている複数の情報処理センタについての処理状態情報と、処理条件データ8041とを参照・比較し、複数の情報処理センタ806〜808の内どの情報処理センタでどのような処理条件でデータ処理を行うべきかの処理分散判断を行う。
処理分散装置805は、上記の処理分散判断の結果に基づいて、処理条件付きデータ804に関連付けされている処理条件データ8041を変更する。すなわち、処理分散判断の結果に基づく各情報処理センタへの処理分散に対応する処理単位毎の新たな処理条件データ8141,8241を作成する。そして、それらを内容データ8021及び依頼元特定データ8022に付加した処理条件付きデータ814,824を作成し、処理分散のために選択した情報処理センタ806,807にそれぞれ転送する。各情報処理センタ806,807では、それぞれ受信した処理条件付きデータ814,824について、各処理条件データ8141,8241に従った処理を行う。
これにより、複数の情報処理センタ806〜808における負荷等の処理状態に適合しかつユーザ毎の処理条件を満足するようにデータを分散処理することが可能となるので、ユーザ所望のサービスレベルを維持してデータ処理サービス業務を行う情報処理事業が実現できる。
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
101,301,311,401,501,601,801…ユーザ、201…依頼元特定データフィールド、202…処理内容データフィールド、203…処理条件データフィールド、102,302,312,402,502,602,802…データ、1021,3021,3121,4021,5021,6021,8021…内容データ、1022,3022,3122,4022,5022,6022,8022…依頼元特定データ、103,303,313,403,503,603…処理装置、1031,3031,3131,4031,5031,6031…処理条件付け機能、1032,3032,4032,5032,6032…処理条件記憶手段、1033,3033,4033,5033,6033,8033…処理条件テーブル、1041,3041,3141,4041,5041,6041,6141,6241,8041,8141,8241…処理条件データ、1034,3034,3134…内容処理機能、104,304,314,404,504,604,614,624,804,814,824…処理条件付きデータ、3035,3135…処理条件伝達機能、405,505,605…処理分散機能、406,407,408,506,507,508,606,607,608…内容処理装置、509,609…処理状態記憶機能、803,806,807,808…情報処理センタ、8031…処理条件付け装置、8032…処理条件記憶装置、805…処理分散装置、809…処理状態記憶装置、901…ユーザ、902…プリントデータ、9021…通常プリントデータ、9022…拡張ジョブ属性、903…マスタプロセッサ、9031…エージェント、9032…サービスカウンタ、904…スレーブプロセッサ。