JP2005213711A - 伸度差混繊糸の製造方法および伸度差混繊糸の製造装置 - Google Patents

伸度差混繊糸の製造方法および伸度差混繊糸の製造装置 Download PDF

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Abstract

【課題】フィラメント群ごとの伸度差をコントロールできる伸度差混繊糸の製造法を提供する。
【解決手段】下記(a)〜(c)の工程を有する伸度差混繊糸の製造法。(a)紡糸口金12が実質的に一列以上三列以下の列をなすように配列されている複数吐出フィラメント群を形成する、(b)各吐出フィラメント群ごとに、条件1…少なくとも一つのフィラメント群の気体流のフィラメント群吐出方向の速度成分が他の群のそれよりも大きい。条件2…少なくとも一つのフィラメント群においての気体流と接触する位置が他のフィラメント群のそれよりも口金寄り。条件3…少なくとも一つの群の気体流温度が他の群のそれよりも高温。条件4…少なくとも一つの群におけるフィラメントの平均単繊維横断面周長が他の群のそれよりも長い。(c)複数フィラメント群を合わせマルチフィラメント糸条として引取る。
【選択図】図1

Description

本発明は、伸度差混繊糸の製造方法と製造装置に関し、更に詳しくは気流紡糸法を利用した伸度差混繊糸の製造方法と製造装置に関するものである。
従来、伸度差を有するフィラメント繊維群(マルチフィラメント糸)を複数群用いて、それらを混繊して伸度差混繊糸を製造し、さらに該伸度差混繊糸を熱処理や延伸熱処理を伴う高次加工に供し、その際の収縮率差によって芯鞘構造や各群の糸が互いに均一に混ざり合った構造を有する嵩高加工糸を得ることが知られている。
一般には、伸度差混繊糸を利用して、製造時にもともとフィラメント長の差はなかったマルチフィラメント糸が、上記したような高次加工を受けて熱処理や延伸処理が加えられることにより、伸度差に基づくフィラメント長差が発現されて、伸度の小さいフィラメント群が芯部に位置し、伸度の大きいフィラメント群がより長いフィラメント長さを呈しつつ、まっすぐな芯部フィラメント群にまつわりつくように鞘部に位置している嵩高加工糸に加工されるものである。
このような伸度差混繊糸を製造するに当たっては、伸度の相違するマルチフィラメント糸条を別々の紡糸・延伸工程ラインで製造し、それらの個別に得られたマルチフィラメント糸条を合糸混繊することなどが一般に行われていた。
これを一つの口金あるいは複数ではあるが同一の紡糸口金を用いて、単一のポリマーでの紡糸から紡糸引取り工程の中で、伸度差が付与された複数のフィラメント群を製造することと、続いて該複数のフィラメント群を合糸・混繊して巻き取るという方法がいくつか提案されている(特許文献1、2、3、4、5、6他)。
しかし、これらの先行技術の方法では、特に、高速の加工時において伸度差を容易にかつ所望どおりに適切に与えるという点では不十分なものであった。
特に、一つの口金あるいは複数ではあるが同一の紡糸口金を用いて、単一共通のポリマーからなっているにも拘わらず、所望どおりの伸度差を有するフィラメント群を、高速度で製造することがむずかしいものであった。
特開平8−120519号公報 特開2000−220031号公報 特開2002−212846号公報 特開2002−194633号公報 特開2001−279527号公報 特開2000−54239号公報
上述したような点に鑑み、本発明の目的は、高速であっても糸(フィラメント)長手方向に伸度差の斑が少ない状態で紡糸することができ、かつ、フィラメント群ごとの伸度差を容易にコントロールすることができて、混繊糸の製造速度を上げることが可能な新規な伸度差混繊糸の製造方法と伸度差混繊糸の製造装置を提供することにある。
上述した目的を達成する本発明の伸度差混繊糸の製造方法は、以下の構成からなる。
すなわち、以下の(a)〜(c)の工程を少なくとも有することを特徴とする伸度差混繊糸の製造方法。
(a)紡糸口金から溶融したポリマーを吐出して、各群内の複数本の構成フィラメントが実質的に一列以上三列以下の列をなすように配列されている複数の吐出フィラメント群を形成する工程、
(b)各吐出フィラメント群ごとに、前記紡糸口金の下流に設けたフィラメント群通路を通過させつつ、該通路内において該吐出フィラメント群に対して、下記(1)、(2)、(3)または(4)の条件のうちのいずれか一つの条件か、または複数の条件を満足する条件下で、吐出フィラメント群吐出方向の速度成分を持つ気体流と接触させる工程、
条件(1)…少なくとも一つの吐出フィラメント群の気体流の吐出フィラメント群吐出方向の速度成分が、他の群の気体流の吐出フィラメント群吐出方向の速度成分よりも大きいこと。
条件(2)…複数の吐出フィラメント群のうち、少なくとも一つの吐出フィラメント群においての気体流と接触する位置が、他の吐出フィラメント群においての気体流と接触する位置よりも紡糸口金寄りであること。
条件(3)…複数の吐出フィラメント群のうち、少なくとも一つの群の気体流の温度が、他の群の気体流の吐出フィラメント群の温度よりも高温であること。
条件(4)…複数の吐出フィラメント群のうち、少なくとも一つの群における吐出フィラメントの平均単繊維横断面周長が、他の群における吐出フィラメントの平均単繊維横断面周長よりも長いこと。
(c)複数の吐出フィラメント群を合わせて一本の集束されたマルチフィラメント糸条として引き取る工程。
また、本発明の伸度差混繊糸の製造装置は、本発明にかかる伸度差混繊糸の製造方法を実施する装置であって、上述した条件(1)、(2)、(3)または(4)の条件のうちのいずれか一つの条件か、または複数の条件を満足して伸度差混繊糸を製造することができるように、紡糸口金の下流に設けられていてフィラメント群を気体流とともに吐出するエジェクタの気体流吐出速度、口金からの距離で表されるエジェクタの設置位置、吐出気体流の温度、および一つのフィラメント群における吐出フィラメントの平均単繊維横断面周長のうちのいずれかを、各フィラメント群ごとに変更することができるように構成されてなる伸度差混繊糸の製造装置である。
本発明の伸度差混繊糸の製造方法によれば、高速であっても糸(フィラメント)長手方向に伸度差の斑が少ない状態で紡糸することができ、かつ、フィラメント群ごとの伸度差を容易にコントロールすることができて、混繊糸の製造速度を上げることが可能な新規な伸度差混繊糸の製造方法を提供することができる。
本発明の伸度差混繊糸の製造装置によれば、高速であっても糸(フィラメント)長手方向に伸度差の斑が少ない状態で紡糸することができ、かつ、フィラメント群ごとの伸度差を容易にコントロールすることができて、混繊糸の製造速度を上げることが可能な新規な伸度差混繊糸の製造装置を提供することができる。
以下、更に詳しく本発明にかかる伸度差混繊糸の製造方法と装置について、説明する。
本発明は、伸度差混繊糸を製造する方法、装置に関わるものであり、伸度差混繊糸とは、マルチフィラメント糸条であって構成するフィラメント間に伸度特性(伸度値)に差異があるものをいい、代表的には、その伸度差を利用して前述したようないわゆる芯鞘構造や複数の群に属する糸が互いに混ざり合った構造を有する嵩高フィラメント加工糸の製造に用いられるものである。
本発明において、伸度差混繊糸の効果を所望通りに高いレベルで得る上で、該伸度の差異は、伸度比=(高伸度側糸条の伸度(%)/低伸度側糸条の伸度(%))と定義して、該伸度比が1.2以上、好ましくは1.4以上であることが好ましいものである。このようにある程度、伸度差が高レベル下にある伸度差混繊糸を、高速度でかつ同一のポリマー原料から共通の紡糸装置を用いて一気に製造することは従来では実現できなかったものである。
本発明では、特に限定されるものではないが、たとえば、5000m/分以上の紡糸巻取速度で上述した伸度差混繊糸を製造しようとするものであり、また、紡糸は、口金の下方に設けられるエジェクタにより気体流を噴射して吐出フィラメントを引き取る気流紡糸法によるものである。
図1は、本発明にかかる伸度差混繊糸の製造方法の概要プロセスを説明する概略モデル図である。図1において、まず、紡糸口金12から溶融したポリマーを糸条A、糸条Bとして吐出させて紡糸し、各糸条A、Bがそれぞれエジェクタ(糸条A用)26b、27bエジェクタ(糸条B用)内に導かれるように構成する。
ここで、紡糸口金は、図2に口金下面方向からみた概略下面図で示したように、実質的に一列以上三列以下の列をなすように各糸条(吐出フィラメント群)ごとに対応して口金孔13が配置されていて(図2のものでは、糸条A、Bそれぞれに対応して、計二つの直線状の二列に配置されている)、糸条(吐出フィラメント群)は、各糸条(吐出フィラメント群)ごとに、口金孔配置に従って実質的に一列以上三列以下の列をなして配置されている。このように配置することにより、後述する矩形型エジェクタ20、21を用いて各構成フィラメントに対して均一な引取、延伸作用を与えることができるものである。
エジェクタ(糸条A用)20、エジェクタ(糸条B用)21は、それぞれ図3に縦断面概略モデル図を示したように、気体を噴射して糸条Aあるいは糸条Bを下流に送り出す作用効果を有するものである。
すなわち、エジェクタ20、21から噴射される気体流は、吐出フィラメント群吐出方向の速度成分を持つ気体流として噴射される。図4は、該エジェクタ20、21を口金側から見た概略平面図であり、糸条(吐出フィラメント群)ごとに対応して、構成フィラメントの配置に沿った矩形状あるいは曲線状などを呈した糸条および気体の通路(流路)を有しているものである。
エジェクタを通過した各糸条(各フィラメント群)は、一つの糸を形成すべく合糸されて後、油剤ガイド17、流体交絡ノズル18に導かれ、一本の伸度差混繊糸条として巻取手段16により巻取られる。
本発明の方法は、かかる基本プロセス態様において、各吐出フィラメント群ごとに、紡糸口金12の下流に設けたフィラメント群通路を通過させつつ、該通路内において該吐出フィラメント群に対して、以下の(1)、(2)、(3)または(4)の条件のうちのいずれか一つの条件か、または複数の条件を満足する条件下で、吐出フィラメント群吐出方向の速度成分を持つ気体流と接触させるようにしたものであり、該条件を満足するようにして紡糸から混繊処理まで行うことにより、各吐出フィラメント間に伸度差を生成させて巻取るように構成したものである。
条件(1)…少なくとも一つの吐出フィラメント群の気体流の吐出フィラメント群吐出方向の速度成分が、他の群の気体流の吐出フィラメント群吐出方向の速度成分よりも大きいこと。
条件(2)…複数の吐出フィラメント群のうち、少なくとも一つの吐出フィラメント群においての気体流と接触する位置が、他の吐出フィラメント群においての気体流と接触する位置よりも紡糸口金寄りであること。
条件(3)…複数の吐出フィラメント群のうち、少なくとも一つの群の気体流の温度が、他の群の気体流の吐出フィラメント群の温度よりも高温であること。
条件(4)…複数の吐出フィラメント群のうち、少なくとも一つの群における吐出フィラメントの平均単繊維横断面周長が、他の群における吐出フィラメントの平均単繊維横断面周長よりも長いこと。
また、本発明の伸度差混繊糸の製造装置は、上述の本発明にかかる伸度差混繊糸の製造方法を実施する装置であって、上述した条件(1)、(2)、(3)または(4)の条件のうちのいずれか一つの条件か、または複数の条件を満足して伸度差混繊糸を製造することができるように、紡糸口金の下流に設けられていてフィラメント群を気体流とともに吐出するエジェクタの気体流吐出速度、口金からの距離で表されるエジェクタの設置位置、吐出気体流の温度、および一つのフィラメント群における吐出フィラメントの平均単繊維横断面周長のうちのいずれかを、各フィラメント群ごとに変更することができるように構成されてなるものである。
口金からの距離で表されるエジェクタの設置位置を変更する手段としての具体的構成に関して、図1に示した態様について以下に説明をする。
図1において、エジェクタ20は、外部に設けられた昇降装置26で上下方向に移動可能とされている。昇降装置26は、ボールねじ26bが設けられた鉛直方向に延びる回転可能な支柱26dと、該支柱26dを回転させるモータ26cと、一端がボールねじ26bの回動につれて支柱26dに沿って上下するようにボールねじ26bに結合され、他端が紡糸筒(エジェクタ筒)20に結合された紡糸筒(エジェクタ筒)支持アーム26aとからなる。該昇降装置26の作動により、紡糸口金12の下面(口金面)とエジェクタ20の上面との間の距離が所望の値に調整できるものである。
本発明において、用いられるポリマーは、所期の効果が得られるものであれば使用が可能であり、特に限定されるものではない。例えば、ポリエチレンテレフタレートや脂肪族ポリエステル(ポリ乳酸等)などのポリエステル系、ポリアミド系、ポリプロピレンなどが用いることができる。
混繊糸を構成するフィラメント(単繊維)の断面形状についても、特に限定されるものではなく、丸形断面、Y型断面、十字型断面等の異形断面や、田型断面などの中空部を有する断面等も単繊維断面形状として用いることができる。例えば、糸条AをY型断面、糸条Bを丸形断面とするなど、いわゆる異形断面ミックス糸とすることもできる。このような場合、丸形断面の糸条Bと比較して、Y型断面の糸条Aは繊維表面積が大きくなるためら、エジェクタ空気から受ける牽引力が大きくなり、高温状態にある繊維を効果的に引き延ばすため伸度がアップする。従って、全ての糸条を丸形断面とする場合に比べて、伸度差を大きくすることが可能となる。
また、全てのフィラメント群で同じ単繊維繊度の糸条を用いてフィラメント群ごとにエジェクタ空気量を変えてフィラメント群ごとに異なる伸度を有する混繊糸を製造することが可能であるが、フィラメント群ごとに単繊維繊度を異なるものとすることでさらに伸度差を大きくすることが可能である。例えば、糸条Aの単糸繊度を0.8dTex、糸条Bの単糸繊度を0.4dTexとした場合、太い単繊維で構成される糸条Aは、糸条Bよりも冷却されにくく、糸温度が高い状態でエジェクタ空気により引き延ばされるために高伸度となる。
従って、複数の吐出フィラメント群のうち、少なくとも一つの群における吐出フィラメントの平均単繊維横断面周長が、他の群における吐出フィラメントの平均単繊維横断面周長よりも長くなるように混繊糸構造を設定することにより、伸度差混繊糸を製造することができる。
また、エジェクタ空気の温度をフィラメント群ごとに替えることによっても、伸度差を大きくすることが可能である。例えば、糸条Aのエジェクタに供給する空気温度を160℃、糸条Bについては室温(約25℃)とすることにより、糸条Bに対して糸条A側は冷却が遅れるために、糸が高温の状態で引き延ばされることになり伸度が高くなるものである。
また、エジェクター距離(口金下面からエジェクタ上面までの距離)をフィラメント群ごとに変更すること(前述条件(2)の、少なくとも一つの吐出フィラメント群においての気体流とフィラメントが接触する位置が、他の吐出フィラメント群においての該位置よりも紡糸口金寄りであること)によっても、伸度差を大きくすることが可能である。例えば、後述する実施例3のように、エジェクタ距離のみを変更してそれ以外の条件を同等とした場合にあっても、エジェクタ距離が短い側のフィラメント群にあっては冷却が進んでいない状態で引き延ばされることになるので、エジェクタ距離が長い側のフィラメント群と比較して伸度を高いものとすることができるものである。
本発明において、エジェクタ長さは200〜900mm程度であることが好ましく、より好ましくは300〜600mmの範囲内にあることである。エジェクタが短すぎる場合は、空気による牽引力が低下し所望の伸度差を得ることが難しくなる。また、長すぎる場合は、糸走行が安定し糸斑発生を抑制することが可能になる点でも良いが、必要以上に長いとエジェクタ空気の噴射孔から下流側の圧力損失が大きくなり空気が糸走行方向に進まず、糸の上流側に逆流し紡糸が困難となってくる。
エジェクタ流路(通路)の断面形状は、前述のように矩形状であるのが好ましいが、図4に示す該矩形の長辺の寸法Eyは、図2に示す紡糸口金12の紡糸孔13の最外幅dw(mm)よりも大きければ良い。また、走行する多数本のフィラメントが安定してフィラメント通路25に導入れるためには、
該矩形の長辺の寸法Ey≧(紡糸孔最外幅dw+紡糸孔ピッチP)
の関係が満足されていることがより好ましく、さらに、空気噴射孔23aからフィラメント通路に噴射される気体を無駄なくかつ効率良くフィラメント群に作用させる上で、
該矩形の長辺の寸法Ey≦(紡糸孔最外幅dw+紡糸孔ピッチP×30)
の関係が満足されていることがより好ましい。
本発明において、フィラメント群を合わせて一本の糸条にするに際しては、油剤ガイドなどの給油装置の上流側において各フィラメント群の単繊維が開繊していてバラけた状態(未集束の状態)で全フィラメント群を合糸させることが好ましい。これにより、伸度差のある単繊維がバラけた状態でマルチフィラメント混繊糸を構成することが可能となり、延伸仮撚り加工などの後加工において、嵩高性などの良好な伸度差に基づく混繊効果を得ることができる。
油剤装置は、実施例では油剤ガイドを用いているが、その他、油剤ロールを用いてもよい。
なお、上述した実施態様においては、各フィラメント群は、それぞれ一列以上三列以下の列をなして配置されている。各フィラメントに対する気体の作用が均一になるので上述した図2に示したような態様が最も好ましいが、実質的に一列以上三列以下の列をなすように配列されているのであれば、図2に示したマトリックス配列のように、各フイラメントの配列方向における位置が各列で揃っている必要はなく、千鳥配列のように各フィラメントの配列方向における位置が各列で必ずしも一致しない配列となっていてもよいものである。また、各列は、一直線に沿う列であることが好ましいが、ゆるやかな曲線に沿う列であってもよい。ここで、ゆるやかな曲線に沿う列とは、周回することがなく、かつ、同一の列に属し、かつ隣接するフイラメント間を結ぶ線分をつなぎあわせたときに隣接する線分のなす角が90°を下回ることがないものをいう。
実施例1〜3
図1〜4に概要を示した装置を用いて、表1に示した各条件で糸繊度(D)が136dtex、フイラメント数36本のポリエステル混繊糸Yを製造した。
紡糸口金12は、図2の概要モデル図に示したように、糸条毎(フィラメント群毎)に紡糸孔13を二列の直線状に配置したものを用いた。該紡糸口金12の紡糸孔ピッチは2.5mm、紡糸孔径dは0.3mmとした。したがって、紡糸孔最外幅dwは、42.8mmとなる。糸条(フィラメント群)A、糸条(フィラメント群)Bのそれぞれは、口金を出た後、エジェクタ20(糸条(フィラメント群)A用)、 エジェクタ21(糸条(フィラメント群)B用)でそれぞれ引き取られる。
エジェクタ20(糸条(フィラメント群)A用)、 エジェクタ21(糸条(フィラメント群)B用)は、図3および図4に概要を示したものを用い、図1に示すように糸条ごと(フィラメント群ごと)に設けた。この際、エジェクタ内で糸条に噴射する空気の温度は室温(25℃)とした。
実施例1、2では、エジェクタ噴射流量Efを糸条(フィラメント群)ごとに異なるものとした以外は、同一条件で紡糸を実施した。
また、実施例3では、糸条ごとのエジェクタ噴射流量は同一とし、口金下面からエジェクタ上面までの距離(エジェクタ距離L1)を糸条Aでは100mm、糸条Bでは400mmと異なる状態に設定した。
いずれの実施例においても、紡糸筒の上側および下側における走行する36本のフィラメントFの揺れは少なく良好な紡糸状態を示した。36本のフィラメントFは、エジェクタ20、21の上流側からエジェクタの出口まで、紡糸口金12から吐出された直後のフィラメントA、Bの配列状態を維持しており、単繊維どおしが接触することもなく、エジェクタを通過していることが確認できた。
各糸条(各フィラメント群)は合糸されて後、油剤ガイド17、流体交絡ノズル18に導かれ、一本の伸度差混繊糸として巻取手段16により巻取られた。
こうして巻取手段16により巻き取られた糸条Yの糸質について評価をした結果を、表2に示した。
かかる表2からわかるように、5000m/分の高速紡糸でも、所望の伸度差を有していてかつ糸斑の少ない伸度差混繊糸を得ることができた。
該伸度差混繊糸を延伸同時仮撚り加工機を用いて、熱板温度190℃、延伸倍率1.1倍〜1.7倍、撚り数2000T/mで延伸同時仮撚り加工に供したところ、良好な嵩高性を有するポリエステル混繊加工糸が得られた。
なお、糸質の測定方法は、以下の方法に従ったものである。
強度Tおよび伸度Eは、引張試験器(東洋ボールドウィン社製、型式TENSILON UTM-4-100)を用いて、各実施例で製造した糸条(マルチフィラメント糸条)から切り出した長さ50mmの試験糸条を各単糸により分けて、それぞれ単糸ごとに引張速度400mm/分で破断に至るまで延伸させて取得し、伸度に大きな差が発生することを利用して糸条Aに属する群と糸条Bに属する群とに区別し、それぞれの群ごとに平均して得た値である。糸斑U%は、Zellweger社製 USTER TESTER1 MODELCを使用し、100m/分の速度で糸条を供給しながらノーマルモードで測定して取得した値である。
Figure 2005213711
Figure 2005213711
図1は、本発明にかかる伸度差混繊糸の製造方法の概要プロセスの一例を説明する概略モデル図である。 図2は、紡糸口金の下面方向からみた概略下面モデル図であり、各糸条毎の口金孔の配置状態の一例をモデル的に示したものである。 図3は、エジェクタ(糸条A用)、エジェクタ(糸条B用)の構造例を示す縦断面概略モデル図である。 図4は、エジェクタ流路(通路)の好ましい断面形状を説明するための概略モデルであある。
符号の説明
12:紡糸口金
14:第1ゴデーロール
15:第2ゴデーロール
16:巻取装置
17:油剤ガイド
18:交絡ノズル
20:エジェクタ(糸条A用)
21:エジェクタ(糸条B用)
26:エジェクタ昇降装置(糸条A用)
27:エジェクタ昇降装置(糸条B用)
L1:エジェクタ距離(口金下面〜エジェクタ上面までの距離)
L2:エジェクタ長
L3:給油位置(口金下面〜給油までの距離)
L4:引取位置(口金下面〜第1ゴデーロールまでの距離)

Claims (10)

  1. 以下の(a)〜(c)の工程を少なくとも有することを特徴とする伸度差混繊糸の製造方法。
    (a)紡糸口金から溶融したポリマーを吐出して、各群内の複数本の構成フィラメントが実質的に一列以上三列以下の列をなすように配列されている複数の吐出フィラメント群を形成する工程、
    (b)各吐出フィラメント群ごとに、前記紡糸口金の下流に設けたフィラメント群通路を通過させつつ、該通路内において該吐出フィラメント群に対して、下記(1)の条件を満足する条件下で、吐出フィラメント群吐出方向の速度成分を持つ気体流と接触させる工程、
    条件(1)…少なくとも一つの吐出フィラメント群の気体流の吐出フィラメント群吐出方向の速度成分が、他の群の気体流の吐出フィラメント群吐出方向の速度成分よりも大きいこと。
    (c)複数の吐出フィラメント群を合わせて一本の集束されたマルチフィラメント糸条として引き取る工程。
  2. 以下の(a)〜(c)の工程を少なくとも有することを特徴とする伸度差混繊糸の製造方法。
    (a)紡糸口金から溶融したポリマーを吐出して、各群内の複数本の構成フィラメントが実質的に一列以上三列以下の列をなすように配列されている複数の吐出フィラメント群を形成する工程、
    (b)各吐出フィラメント群ごとに、前記紡糸口金の下流に設けたフィラメント群通路を通過させつつ、該通路内において該吐出フィラメント群に対して、下記(2)の条件を満足する条件下で、吐出フィラメント群吐出方向の速度成分を持つ気体流と接触させる工程、
    条件(2)…複数の吐出フィラメント群のうち、少なくとも一つの吐出フィラメント群においての気体流と接触する位置が、他の吐出フィラメント群においての気体流と接触する位置よりも紡糸口金寄りであること。
    (c)複数の吐出フィラメント群を合わせて一本の集束されたマルチフィラメント糸条として引き取る工程。
  3. 以下の(a)〜(c)の工程を少なくとも有することを特徴とする伸度差混繊糸の製造方法。
    (a)紡糸口金から溶融したポリマーを吐出して、各群内の複数本の構成フィラメントが実質的に一列以上三列以下の列をなすように配列されている複数の吐出フィラメント群を形成する工程、
    (b)各吐出フィラメント群ごとに、前記紡糸口金の下流に設けたフィラメント群通路を通過させつつ、該通路内において該吐出フィラメント群に対して、下記(3)の条件を満足する条件下で、吐出フィラメント群吐出方向の速度成分を持つ気体流と接触させる工程、
    条件(3)…複数の吐出フィラメント群のうち、少なくとも一つの群の気体流の温度が、他の群の気体流の吐出フィラメント群の温度よりも高温であること。
    (c)複数の吐出フィラメント群を合わせて一本の集束されたマルチフィラメント糸条として引き取る工程。
  4. 以下の(a)〜(c)の工程を少なくとも有することを特徴とする伸度差混繊糸の製造方法。
    (a)紡糸口金から溶融したポリマーを吐出して、各群内の複数本の構成フィラメントが実質的に一列以上三列以下の列をなすように配列されている複数の吐出フィラメント群を形成する工程、
    (b)各吐出フィラメント群ごとに、前記紡糸口金の下流に設けたフィラメント群通路を通過させつつ、該通路内において該吐出フィラメント群に対して、下記(4)の条件を満足する条件下で、吐出フィラメント群吐出方向の速度成分を持つ気体流と接触させる工程、
    条件(4)…複数の吐出フィラメント群のうち、少なくとも一つの群における吐出フィラメントの平均単繊維横断面周長が、他の群における吐出フィラメントの平均単繊維横断面周長よりも長いこと。
    (c)複数の吐出フィラメント群を合わせて一本の集束されたマルチフィラメント糸条として引き取る工程。
  5. 以下の(a)〜(c)の工程を少なくとも有することを特徴とする伸度差混繊糸の製造方法。
    (a)紡糸口金から溶融したポリマーを吐出して、各群内の複数本の構成フィラメントが実質的に一列以上三列以下の列をなすように配列されている複数の吐出フィラメント群を形成する工程、
    (b)各吐出フィラメント群ごとに、前記紡糸口金の下流に設けたフィラメント群通路を通過させつつ、該通路内において該吐出フィラメント群に対して、下記(1)〜(4)の条件のうちの複数の条件を同時に満足する条件下で、吐出フィラメント群吐出方向の速度成分を持つ気体流と接触させる工程、
    条件(1)…少なくとも一つの吐出フィラメント群の気体流の吐出フィラメント群吐出方向の速度成分が、他の群の気体流の吐出フィラメント群吐出方向の速度成分よりも大きいこと。
    条件(2)…複数の吐出フィラメント群のうち、少なくとも一つの吐出フィラメント群においての気体流と接触する位置が、他の吐出フィラメント群においての気体流と接触する位置よりも紡糸口金寄りであること。
    条件(3)…複数の吐出フィラメント群のうち、少なくとも一つの群の気体流の温度が、他の群の気体流の吐出フィラメント群の温度よりも高温であること。
    条件(4)…複数の吐出フィラメント群のうち、少なくとも一つの群における吐出フィラメントの平均単繊維横断面周長が、他の群における吐出フィラメントの平均単繊維横断面周長よりも長いこと。
    (c)複数の吐出フィラメント群を合わせて一本の集束されたマルチフィラメント糸条として引き取る工程。
  6. 工程(c)において複数の吐出フィラメント群を合わせるに際して、各吐出フィラメント群が実質的に集束されていない状態にあるままで行なうように構成したことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の伸度差混繊糸の製造方法。
  7. 請求項1記載の伸度差混繊糸の製造方法を実施する伸度差混繊糸の製造装置であり、以下の(d)、(e)、(f)の要素を有するとともに、各吐出フィラメント群に対応して気体流の放出速度が変更可能な複数のエジェクタが設けられていることを特徴とする伸度差混繊糸の製造装置。
    (d)紡糸口金から溶融したポリマーを吐出して、各群内の複数本の構成フィラメントが実質的に一列以上三列以下の列をなすように配列されている複数の吐出フィラメント群を形成する要素、
    (e)各吐出フィラメント群ごとに、前記紡糸口金の下流に設けたフィラメント群通路を通過させつつ、該通路内において該吐出フィラメント群に対して、吐出フィラメント群吐出方向の速度成分を持つ気体流と接触させる要素、
    (f)複数の吐出フィラメント群を合わせて一本の集束されたマルチフィラメント糸条として引き取る要素。
  8. 請求項2記載の伸度差混繊糸の製造方法を実施する伸度差混繊糸の製造装置であり、以下の(d)、(e)、(f)の要素を有するとともに、各吐出フィラメント群に対応して吐出フィラメント群への気体流の接触位置と紡糸口金の間の距離が変更可能な複数のエジェクタが設けられていることを特徴とする伸度差混繊糸の製造装置。
    (d)紡糸口金から溶融したポリマーを吐出して、各群内の複数本の構成フィラメントが実質的に一列以上三列以下の列をなすように配列されている複数の吐出フィラメント群を形成する要素、
    (e)各吐出フィラメント群ごとに、前記紡糸口金の下流に設けたフィラメント群通路を通過させつつ、該通路内において該吐出フィラメント群に対して、吐出フィラメント群吐出方向の速度成分を持つ気体流と接触させる要素、
    (f)複数の吐出フィラメント群を合わせて一本の集束されたマルチフィラメント糸条として引き取る要素。
  9. 請求項3記載の伸度差混繊糸の製造方法を実施する伸度差混繊糸の製造装置であり、以下の(d)、(e)、(f)の要素を有するとともに、各吐出フィラメント群ごとに対応して気体流の設定温度が変更可能な複数のエジェクタが設けられていることを特徴とする伸度差混繊糸の製造装置。
    (d)紡糸口金から溶融したポリマーを吐出して、各群内の複数本の構成フィラメントが実質的に一列以上三列以下の列をなすように配列されている複数の吐出フィラメント群を形成する要素、
    (e)各吐出フィラメント群ごとに、前記紡糸口金の下流に設けたフィラメント群通路を通過させつつ、該通路内において該吐出フィラメント群に対して、吐出フィラメント群吐出方向の速度成分を持つ気体流と接触させる要素、
    (f)複数の吐出フィラメント群を合わせて一本の集束されたマルチフィラメント糸条として引き取る要素。
  10. 請求項4記載の伸度差混繊糸の製造方法を実施する伸度差混繊糸の製造装置であり、以下の(d)、(e)、(f)の要素を有するとともに、各吐出フィラメント群に対応して、
    少なくとも一つの群における吐出フィラメントの平均単繊維横断面周長が、他の群における吐出フィラメントの平均単繊維横断面周長よりも長い紡糸口金が用いられてなることを特徴とする伸度差混繊糸の製造装置。
    (d)紡糸口金から溶融したポリマーを吐出して、各群内の複数本の構成フィラメントが実質的に一列以上三列以下の列をなすように配列されている複数の吐出フィラメント群を形成する要素、
    (e)各吐出フィラメント群ごとに、前記紡糸口金の下流に設けたフィラメント群通路を通過させつつ、該通路内において該吐出フィラメント群に対して、吐出フィラメント群吐出方向の速度成分を持つ気体流と接触させる要素、
    (f)複数の吐出フィラメント群を合わせて一本の集束されたマルチフィラメント糸条として引き取る要素。
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