JP2005210887A - ダイアフラム型圧電素子、該ダイアフラム型圧電素子を用いた液体吐出機構及びインクジェットヘッド、並びに該インクジェットヘッドを用いたインクジェット式記録装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 開口部1aを有する基板1上に、開口部1aを覆うように設けられた振動板層3と、該振動板層3上に設けられた下電極層4と、該下電極層4上に設けられた圧電体層5と、該圧電体層5上に設けられ、上記開口部1a内側上に位置する上電極本体部7aと該上電極本体部7aの周縁の一部から開口部1a外側に向かって延びて開口部1a縁上を跨ぐ配線部7bとからなるようにパターン化された上電極層7とを備えたダイアフラム型圧電素子の上記圧電体層5にクラックが生じるのを出来る限り抑制して、信頼性を向上させる。
【解決手段】 圧電体層5と下電極層4との間及び圧電体層5と上電極層7との間の少なくとも一方における配線部7bが跨ぐ開口部1a縁上の部分に、低誘電率層6を該開口部1a縁上を跨ぐように形成する。
【選択図】 図2
【解決手段】 圧電体層5と下電極層4との間及び圧電体層5と上電極層7との間の少なくとも一方における配線部7bが跨ぐ開口部1a縁上の部分に、低誘電率層6を該開口部1a縁上を跨ぐように形成する。
【選択図】 図2
Description
本発明は、開口部を有する基板上に該開口部を覆うように設けられた振動板層を備えていて圧電体層の圧電効果により該振動板層を厚み方向に振動させるダイアフラム型圧電素子、該ダイアフラム型圧電素子を用いた液体吐出機構及びインクジェットヘッド、並びに該インクジェットヘッドを用いたインクジェット式記録装置に関する技術分野に属する。
従来より、圧電体層に電圧を印加することで機械振動する圧電素子として、開口部を有する基板上に該開口部を覆うように振動板層が設けられていて該振動板層上において上電極層と下電極層との間に圧電体層が配設されてなるダイアフラム型圧電素子が知られており、このダイアフラム型圧電素子は、液体吐出機構やインクジェットヘッド(インクジエツト式記録装置)等に広く利用されている(例えば、特許文献1参照)。
上記ダイアフラム型圧電素子は、例えば図18〜図20に示すように、開口部101aを有するシリコン(Si)からなる基板101と、この基板101上に形成したSiO2からなる振動板層102と、この振動板層102上に形成した白金(Pt)からなる下電極層103と、この下電極層103上に形成したチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)からなる圧電体層104と、この圧電体層104上に形成したPtからなる上電極層105とで構成されている。この上電極層105は、上記開口部101a内側上に位置する上電極本体部105aと、この上電極本体部105aの周縁の一部から開口部101a外側に向かって延びて開口部101a縁上を跨ぐ配線部105bとからなるようにパターン化されている。この構成において、上記下電極層103及び上電極層105を介して圧電体層104にパルス電圧を印加すると、図19において二点鎖線で示すように振動板層102における開口部101a中央に対応する部分が開口部101a側に凸状に変形し、このことで、基板101における振動板層102とは反対側の面に設けたノズル部材の吐出ノズルより、開口部101a内に収容されたインク等の液体を吐出させるようになっている。
このような構成のダイアフラム型圧電素子では、圧電体層104にパルス電圧を繰り返し印加したり、比較的高い電圧を印加したりすると、図19に示すように、圧電体層104における上記配線部105bが跨ぐ開口部101a縁上の部分に、かなり大きな応力が生じるためにクラック108が生じ易く、特に圧電体層104が配向している場合には、柱状の内部構造によってクラックがより一層生じ易くなることが知られている。
そこで、図21及び図22に示すように、開口部302を有する基板303と、該開口部302に対応する領域に絶縁体層304を介して設けられた下電極層309と、該下電極層309上に設けた圧電体層308と、該圧電体層308上に設けた上電極層307とからなるダイアフラム型圧電素子において、下電極層309の一部305を除去することにより、圧電体層308を、実質的に駆動されない圧電体非能動部301と駆動される圧電体能動部300とに分割し、その圧電体非能動部301上の上電極本体部に配線部306を接続する構造とすることにより、圧電体層308における配線部306が跨ぐ開口部縁上の部分310の応力を低減して、クラックの発生を防止する方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特開2001−284671号公報
特開2000−198197号公報
しかしながら、上記の如く下電極層309の一部305を除去する構成のダイアフラム型圧電素子では、その除去部分305においては、上電極層307と下電極層309との間の電界が平行にならず、局所的に電界集中が生じ、これにより、圧電体層308に発生するひずみが大きくなって、クラックが生じやすくなる。
しかも、そのダイアフラム型圧電素子を駆動すると、絶縁体層304が、図22に二点鎖線で示すように変形し、このとき、圧電体層308が圧電体非能動部301と圧電体能動部300との境界(上記除去部分305に対応する位置)において大きく曲げられることになるため、高速で長時間駆動すると圧電体材料の内部摩擦により、圧電体層308に局所的に熱が発生する。一般的に、圧電特性を有する材料は、温度が上昇するとキュリー温度までは、圧電特性も上昇する。このため、圧電体層308の中に圧電特性が部分的に高い部分が生じ、圧電体層308における圧電体能動部300と圧電体非能動部301との境界(上記除去部分305に対応する位置)にクラックが生じやすくなる。
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、上記のように電極の配線部が開口部縁上を跨ぐダイアフラム型圧電素子に対して、その構成を改良することによって、高速で長時間駆動した際に、圧電体層にクラックが生じるのを出来る限り抑制して、信頼性を向上させようとすることにある。
上記の目的を達成するために、請求項1の発明では、開口部を有する基板と、上記基板上に上記開口部を覆うように設けられた振動板層と、上記振動板層上に設けられた下電極層と、上記下電極層上に設けられた圧電体層と、上記圧電体層上に設けられ、上記開口部内側上に位置する上電極本体部と該上電極本体部の周縁の一部から開口部外側に向かって延びて開口部縁上を跨ぐ配線部とからなるようにパターン化された上電極層とを備えたダイアフラム型圧電素子を対象として、上記下電極層と圧電体層との間及び圧電体層と上電極層との間の少なくとも一方における上記配線部が跨ぐ開口部縁上の部分に、該圧電体層よりも誘電率が低い低誘電率層が該開口部縁上を跨ぐように形成した。
上記の構成により、低誘電率層によって、圧電体層における配線部が跨ぐ開口部縁上の部分にかかる電圧が低く抑えられ、圧電体層における開口部縁上に位置する部分が圧電体非能動部となり、その部分に生じる応力が軽減されてクラックが生じ難くなる。
請求項2の発明では、開口部を有する基板と、上記基板上に上記開口部を覆うように設けられた金属振動板層と、上記金属振動板層上に設けられた圧電体層と、上記圧電体層上に設けられ、上記開口部内側上に位置する上電極本体部と該上電極本体部の周縁の一部から開口部外側に向かって延びて開口部縁上を跨ぐ配線部とからなるようにパターン化された上電極層とを備えたダイアフラム型圧電素子を対象として、上記金属振動板層と圧電体層との間及び圧電体層と上電極層との間の少なくとも一方における上記配線部が跨ぐ開口部縁上の部分に、該圧電体層よりも誘電率が低い低誘電率層が該開口部縁上を跨ぐように形成されているものとする。
このことにより、圧電体層が、絶縁体層に比べて熱伝導率が大きい金属振動板層を介して、熱容量の大きい基板及び基板開口部内に収容される流体に接することになり、圧電体能動部と圧電体非能動部との境界で材料の内部摩擦によって発生した熱が上記基板及び流体に伝導し、圧電体層の温度上昇を抑制することができる。これにより、高速で長期駆動した場合のクラック発生を防止し、信頼性を向上させることができる。
請求項3の発明では、請求項2の発明において、低誘電率層の誘電率を圧電体層の誘電率のa倍とし、低誘電率層の厚みを圧電体層の厚みのb倍としたとき、a/(a+b)<1の関係を満たしているものとする。
このような構成にすることにより、圧電体層における配線部が跨ぐ開口部縁上の部分に生じる応力を低減し、クラックの発生を有効に抑えることができる。
請求項4の発明では、請求項3の発明において、a/(a+b)<0.5の関係を満たしているものとする。
このような構成にすることにより、圧電体層における配線部が跨ぐ開口部縁上の部分に生じる応力をさらに低減し、クラックの発生をより効果的に抑えることができる。
請求項5の発明では、請求項1〜4のいずれか1つの発明において、低誘電率層の配線部が延びる方向の長さが、圧電体層の厚み以上であり、上記低誘電率層の開口部内側上に位置する部分の配線部が延びる方向の長さが、100μm以下であるものとする。
こうすることで、圧電素子の圧電特性の低下を抑制しつつ、圧電体層における配線部が跨ぐ開口部縁上の部分にクラックが発生するのを有効に抑えることができる。しかも、低誘電率層の開口部内側上に位置する部分の長さが100μm以下であるので、基板と、圧電体層における圧電体能動部と圧電体非能動部との境界部分(低誘電率層の開口部側の端部に対応する部分)との間の距離が小さく、これにより、特に請求項2の発明のように金属振動板層を用いる場合には、当該境界部分で材料の内部摩擦により発生した熱が、熱伝導により基板により一層伝わりやすくなり、クラック発生を有効に抑えることができる。
請求項6の発明は、液体吐出機構の発明であり、この発明では、請求項1〜5のいずれか1つに記載のダイアフラム型圧電素子と、上記ダイアフラム型圧電素子の基板における振動板層とは反対側の面に設けられ、該基板の開口部内に液体を供給する液体供給孔と該開口部内の液体を吐出する吐出ノズルとを有するノズル部材とを備え、上記ダイアフラム型圧電素子の作動により上記開口部内の液体を上記吐出ノズルより吐出させるように構成されているものとする。この発明により、信頼性の高い液体吐出機構が得られる。
請求項7の発明は、インクジェットヘッドの発明であり、この発明では、請求項1〜5のいずれか1つに記載のダイアフラム型圧電素子と、上記ダイアフラム型圧電素子の基板における振動板層とは反対側の面に設けられ、該基板の開口部内にインクを供給するインク供給孔と該開口部内のインクを吐出する吐出ノズルとを有するノズル部材とを備え、
上記ダイアフラム型圧電素子の作動により上記開口部内のインクを上記吐出ノズルより吐出させるように構成されているものとする。
上記ダイアフラム型圧電素子の作動により上記開口部内のインクを上記吐出ノズルより吐出させるように構成されているものとする。
請求項8の発明は、インクジェット式記録装置の発明であり、この発明では、請求項7記載のインクジェットヘッドと、上記インクジェットヘッドと記録媒体とを相対移動させる相対移動手段と、上記インクジェットヘッドに記録信号を供給する信号供給手段とを備え、上記相対移動手段によりインクジェットヘッドが記録媒体に対して相対移動しているときに、上記信号供給手段から供給される記録信号に応じて、該インクジェットヘッドのダイアフラム型圧電素子を作動させることにより、該インクジェットヘッドのノズル部材の吐出ノズルより基板開口部内のインクを記録媒体に吐出させて記録を行うように構成されているものとする。
これら請求項7及び8の発明により、信頼性の高いインクジェットヘッド、延いては信頼性の高いインクジェット式記録装置が得られる。
以上説明したように、本発明によると、下電極層と圧電体層との間及び圧電体層と上電極層との間の少なくとも一方における配線部が跨ぐ開口部縁上の部分に、該圧電体層よりも誘電率が低い低誘電率層を該開口部縁上を跨ぐように形成することにより、圧電素子の圧電特性の低下を抑制しつつ、圧電体層における配線部が跨ぐ開口部縁上の部分に、高い応力によりクラックが発生するのを抑え、さらに、熱伝導率が大きい金属材料を振動板に用いると、高速で長時間駆動した場合に圧電体層における圧電体能動部と圧電体非能動部との境界部分に生じる材料の内部摩擦による熱を、基板及び基板開口部内に収容される流体に伝熱して温度を低下させ、クラック発生を防止することができる。特に圧電体層が配向している場合に、クラック抑制効果が有効に得られる。また、上電極層の上電極本体部及び配線部の形状に関係なく、クラック抑制効果が得られる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
(実施形態1)
図1〜図3は、本発明の実施形態に係るダイアフラム型圧電素子を示し、このダイアフラム型圧電素子は、厚み方向両面に開口する複数(この実施形態では、100個)の開口部1aを有する厚さ0.2mmのシリコン基板1を備えている。この基板1の各開口部1aは、該基板1の厚み方向から見て、長さEが1mmで幅Gが0.15mmの矩形状をなしていて、開口部1aの幅方向に互いに所定間隔をあけて並設されている。
図1〜図3は、本発明の実施形態に係るダイアフラム型圧電素子を示し、このダイアフラム型圧電素子は、厚み方向両面に開口する複数(この実施形態では、100個)の開口部1aを有する厚さ0.2mmのシリコン基板1を備えている。この基板1の各開口部1aは、該基板1の厚み方向から見て、長さEが1mmで幅Gが0.15mmの矩形状をなしていて、開口部1aの幅方向に互いに所定間隔をあけて並設されている。
上記基板1の厚み方向一方の面上には、SiO2からなる厚さ2μmの振動板層3が上記全開口部1aを覆うように設けられ、この振動板層3上には、Ptからなる厚さ0.2μmの下電極層4が設けられ、この下電極層4上には、PZT(PbTi0.57Zr0.43O3)からなる厚さ3μmの圧電体層5が設けられている。この圧電体層4の比誘電率は800である。
上記圧電体層5上には、Ptからなる厚さ0.2μmの上電極層7が設けられている。この上電極層7は、上記各開口部1a内側上にそれぞれ位置しかつ上電極層7の厚み方向から見て開口部1aに対応した形状(開口部1aよりも小さい矩形状(長さH=0.9mm、幅I=0.13mm))をなす上電極本体部7aと、該各上電極本体部7aの周縁の一部(上電極本体部7aの長さ方向一端側の縁)から開口部1aの長さ方向外側に向かって延びて開口部1a縁(開口部1aの長さ方向一端側の縁)上を跨ぐ配線部7bとからなるようにパターン化されている。
上記下電極層4と圧電体層5との間における上記各配線部7bが跨ぐ開口部1a縁(開口部1aの長さ方向一端側の縁)上の部分には、該圧電体層5よりも誘電率が低い低誘電率層6が該開口部1a縁上を跨ぐように形成されている。この実施形態では、低誘電率層6は、基板1上(下電極層4上)において開口部1aが並ぶ方向全体に亘って連続的に延びているが、各配線部7bが跨ぐ各開口部1a縁上のそれぞれの位置に分割した状態で配設するようにしてもよい。また、低誘電率層6を、配線部7bが延びる方向に延ばして、配線部7b全体に対応して基板1外周まで延長してもよい。これにより、配線部7bと下電極層4との短絡による不良を低減することができる。
上記低誘電率層6の誘電率を圧電体層5の誘電率のa(0<a<1)倍とし、低誘電率層6の厚みを圧電体層5の厚みのb倍としたとき、
a/(a+b)<1
の関係を満たしていることが好ましく、より好ましいのは、
a/(a+b)<0.5
の関係を満たすことであり、a/(a+b)の値を出来る限り小さくするのがよい。
a/(a+b)<1
の関係を満たしていることが好ましく、より好ましいのは、
a/(a+b)<0.5
の関係を満たすことであり、a/(a+b)の値を出来る限り小さくするのがよい。
本実施形態では、低誘電率層6は厚さ0.1μmのSiO2からなっており、比誘電率は3.8である。このことより、
a=3.8/800=0.00475
b=0.1/3=0.0333
a/(a+b)=0.125
となる。
a=3.8/800=0.00475
b=0.1/3=0.0333
a/(a+b)=0.125
となる。
また、低誘電率層6の配線部7bが延びる方向(開口部1aが並ぶ方向と垂直な方向)の長さFが、圧電体層5の厚み以上であり、低誘電率層6の開口部1a内側上に位置する部分(開口部1a縁から開口部1a内側へはみ出している部分)の配線部7bが延びる方向の長さKが100μm以下であることが好ましい。
本実施形態では、低誘電率層6の配線部7bが延びる方向の長さFが30μmであって、圧電体層5の厚み3μmよりも大きい。そして、低誘電率層6の上記長さKが20μmである。
次に、上記ダイアフラム型圧電素子の製造方法を図4により説明する。
先ず、図4(a)に示すように、シリコン基板1(この段階では、開口部1aは形成されていない)上に振動板層3をスパッタリング法により形成し、その後、図4(b)に示すように、上記振動板層3上に下電極層4をスパッタリング法により形成する。
続いて、図4(c)に示すように、上記下電極層4上に低誘電率層6をスパッタリング法により形成し、この低誘電率層6を、下電極層4上において、後に基板1に形成する開口部1aの長さ方向一端側の縁上に位置しかつ該開口部1aが並ぶ方向全体に亘って連続的に幅30μm(低誘電率層6の配線部7bが延びる方向の長さFの値に相当)で延びる形状にする。
次いで、図4(d)に示すように、上記下電極層4及び低誘電率層6上に、圧電体層5をスパッタリング法により形成する。その後、図4(e)に示すように、上記圧電体層5上に上電極層7をスパッタリング法により形成し、この上電極層7を、上電極本体部7aと配線部7bとからなるようにパターン化する。すなわち、上電極層7上に感光性樹脂を形成し、この感光性樹脂を露光及び除去して所定形状にパターン化し、その後、上電極層7における上記感光性樹脂が存在しない部分をArによりドライエッチングして、100個の上電極本体部7a及び配線部7bを形成する。
続いて、図4(f)に示すように、基板1に開口部1aを形成する。すなわち、基板1の振動板層3と反対側の面上に感光性樹脂を形成し、この感光性樹脂を露光及び除去して所定形状にパターン化し、その後、基板1における上記感光性樹脂が存在しない部分をSF6を主成分とするエッチングガスにより、ドライエッチングして、100個の開口部1aを形成する。
ここで、上記実施形態1と同様のダイアフラム型圧電素子を、上記実施形態1で説明した方法で作製し(このダイアフラム型圧電素子を実施例1とする)、このダイアフラム型圧電素子の下電極層4及び上電極層7の間に、周波数5kHzで電圧が0Vから40Vに変化する矩形波を10日間印加したところ、圧電体層5にクラックは全く発生しなかった。しかし、駆動周波数20kHzの矩形波で10日間印加したところ、圧電体層5において100箇所の圧電体能動部と圧電体非能動部との境界(低誘電率層6の開口部1a側の端部に対応する部分)のうち25箇所にクラックが認められた。但し、印加電圧の最大値を80Vとすると、駆動直後にクラックが生じた。
一方、比較のために、上記実施例1に対して、低誘電率層がなくかつ下電極層4の一部が除去されて圧電体層5が圧電体能動部と圧電体非能動部とに分割されてなる点が異なる、図21及び図22で示した従来と同様のダイアフラム型圧電素子を作製し(このダイアフラム型圧電素子を比較例とする)、このダイアフラム型圧電素子の下電極層4及び上電極層7の間に、周波数5kHzで電圧が0Vから30Vに変化する矩形波を連続10日間印加したところ、圧電体層5にクラックは全く発生しなかったが、周波数20kHzで電圧が0Vから40Vに変化する矩形波を連続10日間印加したところ、圧電体層5において配線部7bが跨ぐ開口部1a縁に対応する部分100箇所のうち40箇所にクラックの発生が認められ、残り60箇所の圧電体能動部と圧電体非能動部との境界部分のうち20箇所にクラックが認められた。また、印加電圧の最大値を60Vとした場合に、駆動直後にクラックが生じた。
したがって、上記実施形態1では、下電極層4と圧電体層5との間における各配線部7bが跨ぐ開口部1a縁上の部分に、圧電体層5よりも誘電率が低い低誘電率層6を該開口部1a縁上を跨ぐように形成したので、低誘電率層6によって、圧電体層5における各配線部7bが跨ぐ開口部1a縁上の部分にかかる電圧が低く抑えられ、これにより、その部分に生じる応力が軽減されてクラックが生じ難くなる。そして、低誘電率層6の配線部7bが延びる方向の長さFを、圧電体層5の厚み以上とし、低誘電率層6の開口部1a内側上に位置する部分の配線部7bが延びる方向の長さKを100μm以下としておくことで、圧電素子の圧電特性の低下を抑制しつつ、クラックの発生を有効に抑えることができ、圧電素子の信頼性を向上させることができる。
(実施形態2)
図5〜図7は、本発明の実施形態に係る別のダイアフラム型圧電素子を示し(尚、以下の各実施形態では、図1〜図3と同じ部分については同じ符号を付して、その詳細な説明は省略する)、低誘電率層6の配設位置と材料とを上記実施形態1とは異ならせたものである。
図5〜図7は、本発明の実施形態に係る別のダイアフラム型圧電素子を示し(尚、以下の各実施形態では、図1〜図3と同じ部分については同じ符号を付して、その詳細な説明は省略する)、低誘電率層6の配設位置と材料とを上記実施形態1とは異ならせたものである。
すなわち、この実施形態では、低誘電率層6を、上記実施形態1のように下電極層4と圧電体層5との間に配設するのではなくて、圧電体層5と上電極層7との間に配設する。具体的には、圧電体層5と上電極層7との間における各配線部7bが跨ぐ開口部1a縁上の部分に、低誘電率層6を該開口部1a縁上を跨ぐように形成する。この低誘電率層6の寸法及び形状は上記実施形態1と同じであり、低誘電率層6の開口部1a内側上に位置する部分の配線部7bが延びる方向の長さKも、上記実施形態1と同じ20μmである。但し、低誘電率層6の材料を、SiO2に代えてポリイミド(比誘電率はSiO2と同じ程度か僅かに小さい値である)としている。この低誘電率層6の形成は、上記実施形態1で説明したダイアフラム型圧電素子の製造方法において、圧電体層5の形成後でかつ上電極層7の形成前に行えばよい。
尚、この実施形態においても、低誘電率層6は、基板1上(圧電体層5上)において開口部1aが並ぶ方向全体に亘って連続的に延びているが、各配線部7bが跨ぐ各開口部1a縁上のそれぞれの位置に分割した状態で配設するようにしてもよい。また、低誘電率層6を、配線部7bが延びる方向に延ばして、配線部7b全体に対応して基板1外周まで延長してもよい。これにより、配線部7bと下電極層4との短絡による不良を低減することができる。
ここで、上記実施形態2と同様のダイアフラム型圧電素子を作製し(このダイアフラム型圧電素子を実施例2とする)、このダイアフラム型圧電素子の下電極層4及び上電極層7の間に、周波数5kHzで電圧が0Vから40Vに変化する矩形波を10日間印加したところ、圧電体層5にクラックは全く発生しなかった。しかし、駆動周波数20kHzの矩形波で10日間印加したところ、圧電体層5において100箇所の圧電体能動部と圧電体非能動部との境界のうち25箇所にクラックが認められた。但し、印加電圧の最大値を80Vとすると、駆動直後にクラックが生じた。
したがって、上記実施形態2では、圧電体層5と上電極層7との間における各配線部7bが跨ぐ開口部1a縁上の部分に、低誘電率層6を該開口部1a縁上を跨ぐように形成したので、上記実施形態1と同様に、低誘電率層6によって、圧電体層5における各配線部7bが跨ぐ開口部1a縁上の部分にかかる電圧が低く抑えられ、その部分にクラックが生じ難くなり、圧電素子の信頼性を向上させることができる。
尚、上記実施形態1では、下電極層4と圧電体層5との間に低誘電率層6を設け、上記実施形態2では、圧電体層5と上電極層7との間に低誘電率層6を設けたが、下電極層4と圧電体層5との間及び圧電体層5と上電極層7との間の両方に低誘電率層6をそれぞれ設けるようにしてもよい。
(実施形態3)
図8〜図10は、本発明の実施形態に係る更に別のダイアフラム型圧電素子を示し、上記実施形態1に対して圧電体層5を各開口部1aにそれぞれ対応して個別分割化した点が異なる。
図8〜図10は、本発明の実施形態に係る更に別のダイアフラム型圧電素子を示し、上記実施形態1に対して圧電体層5を各開口部1aにそれぞれ対応して個別分割化した点が異なる。
すなわち、この実施形態では、圧電体層5において相隣接する開口部1a間に対応する部分に、開口部1aの長さ方向(配線部7bが延びる方向)に延びる溝5a(この実施形態では、溝5aの幅Jを10μmとする)が形成されて、この溝5aにより圧電体層5が各開口部1aにそれぞれ対応して個別分割化されており(低誘電率層6も、圧電体層5と同様に分割してもよい)、その他の部分は上記実施形態1と同様の構成である。このことにより、振動板層3における開口部1a中央に対応する部分の変位量を上記実施形態1に比べて大きくすることができる。尚、上記圧電体層5の溝5aは、圧電体層5をフッ酸及び硝酸の水溶液でエッチングすることで形成できる。
ここで、上記実施形態3と同様のダイアフラム型圧電素子を作製し(このダイアフラム型圧電素子を実施例3とする)、このダイアフラム型圧電素子の下電極層4及び上電極層7の間に、周波数5kHzで電圧が0Vから40Vに変化する矩形波を10日間印加したところ、圧電体層5にクラックは全く発生しなかった。しかし、駆動周波数20kHzの矩形波で10日間印加したところ、圧電体層5において100箇所の圧電体能動部と圧電体非能動部との境界のうち25箇所にクラックが認められた。但し、印加電圧の最大値を80Vとすると、駆動直後にクラックが生じた。さらに、振動板層3における開口部1a中央に対応する部分の変位量は、上記実施例1に比べて20%大きくなった。
したがって、上記実施形態3では、上記実施形態1と同様の作用効果が得られるとともに、振動板層3の変位量の増大化を図ることができる。
(実施形態4)
図11〜図13は、本発明の実施形態に係る更に別のダイアフラム型圧電素子を示し、上記実施形態2に対して圧電体層5を各開口部1aにそれぞれ対応して個別分割化した点が異なる。
図11〜図13は、本発明の実施形態に係る更に別のダイアフラム型圧電素子を示し、上記実施形態2に対して圧電体層5を各開口部1aにそれぞれ対応して個別分割化した点が異なる。
すなわち、この実施形態では、上記実施形態3と同様に、圧電体層5において相隣接する開口部1a間に対応する部分に、開口部1aの長さ方向(配線部7bが延びる方向)に延びる溝5a(この実施形態においても、溝5aの幅Jを10μmとする)が形成されて、この溝5aにより圧電体層5が各開口部1aにそれぞれ対応して個別分割化されている。この圧電体層5の分割により、低誘電率層6も分割されることになるが、その他の部分は、上記実施形態2と同様の構成である。
ここで、上記実施形態4と同様のダイアフラム型圧電素子を作製し(このダイアフラム型圧電素子を実施例4とする)、このダイアフラム型圧電素子の下電極層4及び上電極層7の間に、周波数5kHzで電圧が0Vから40Vに変化する矩形波を10日間印加したところ、圧電体層5にクラックは全く発生しなかった。しかし、駆動周波数20kHzの矩形波で10日間印加したところ、圧電体層5において100箇所の圧電体能動部と圧電体非能動部との境界のうち25箇所にクラックが認められた。但し、印加電圧の最大値を80Vとすると、駆動直後にクラックが生じた。さらに、振動板層3における開口部1a中央に対応する部分の変位量は、上記実施例2に比べて20%大きくなった。
したがって、上記実施形態4では、上記実施形態3と同様に、圧電素子の信頼性の向上化と振動板層3の変位量の増大化を図ることができる。
(実施形態5)
図14は、本発明の実施形態に係る更に別のダイアフラム型圧電素子を示し、上記実施形態1における振動板層3及び下電極層4に代えて、熱伝導率が大きい金属振動板層8を用いたものである。
図14は、本発明の実施形態に係る更に別のダイアフラム型圧電素子を示し、上記実施形態1における振動板層3及び下電極層4に代えて、熱伝導率が大きい金属振動板層8を用いたものである。
すなわち、この実施形態では、金属振動板層8は下電極層4を兼ねるものであって、Cuからなっている。この金属振動板層8の熱伝導率は390W/mKであり、熱伝導率が1W/mKであるSiO2からなる振動板層3に比べてかなり大きい。
ここで、上記実施形態5と同様のダイアフラム型圧電素子を作製し(このダイアフラム型圧電素子を実施例5とする)、このダイアフラム型圧電素子の金属振動板層8及び上電極層7の間に、周波数5kHzで電圧が0Vから40Vに変化する矩形波を10日間印加したところ、圧電体層5にクラックは全く発生しなかった。さらに、駆動周波数20kHzの矩形波で10日間印加したところ、圧電体層5における圧電体能動部と圧電体非能動部との境界にもクラックは発生しなかった。但し、印加電圧の最大値を80Vとすると、駆動直後にクラックが生じた。
したがって、上記実施形態5では、熱伝導率の大きい金属振動板層8を用いることにより、圧電体層5における圧電体能動部と圧電体非能動部の境界部分(低誘電率層6の開口部1a側の端部に対応する部分)で発生する熱を、熱容量の大きい基板1に効率良く拡散させることができ、当該境界部分で圧電材料の内部摩擦によって発生した熱によるクラックの発生を防止することができる。さらに、各圧電素子の温度が均一になることから、温度分布による素子特性のばらつきが低減する。このように上記境界部分で発生する熱を基板1に伝わりやすくするためにも、低誘電率層6の開口部1a内側上に位置する部分の配線部7bが延びる方向の長さKを100μm以下とすることが好ましい。
尚、上記実施形態5では、金属振動板層8を単層としたが、必ずしも単層である必要はなく、複数の金属層を積層して応力調整を行うようにしてもよい。また、金属振動板層8と圧電体層5との間に、圧電体層5の配向特性を向上させるための配向制御層を設けたり、基板1と金属振動板層8との間や、金属振動板層8と圧電体層5との間に、その間の密着性を良くする密着層を介在させたりするようにしてもよい。
さらに、上記実施形態5では、上記実施形態1における振動板層3及び下電極層4を、金属振動板層8に変更する場合について説明を行ったが、実施形態2〜4の場合についても同様の変更を行うことができ、これらの場合についても同様の効果が得られる。
さらにまた、上記実施形態1〜5においては,低誘電率層6の構成材料をSiO2又はポリイミドとしたが、これに限定されるものではなく、圧電体層5よりも誘電率が低いものであればどのような材料であってもよい。そして、上記したようにa/(a+b)<1の関係を満たすように低誘電率層6と圧電体層5との材料(誘電率)及び厚さを決定するようにすれば、信頼性向上効果が確実に得られ、a/(a+b)の値が小さくなるほど、その効果が大きくなり、a/(a+b)<0.5の関係を満たすようにすれば、信頼性向上効果が十分に得られる。図15は、a及びbの値を変化させた場合のa/(a+b)の値の変化を示すグラフであり、例えば低誘電率層6の厚さが圧電体層5の厚さの10分の1(b=0.1)の場合、a/(a+b)<0.5となるのは、同図中の斜線部の範囲、つまり低誘電率層6の誘電率が圧電体膜5の10分の1未満(a<0.1)となる範囲であることが分かる。
また、上記実施形態1〜5では、シリコン基板1上に振動板層3(又は金属振動板層8)、圧電体層5、上電極層7等を積層し、シリコン基板1の一部を加工してダイアフラム型圧電素子を作製するようにしたが、この方法に限る必要はなく、基板1とは別の基板上に、上電極層7、圧電体層5、振動体層3及び下電極層4(或いは振動体層3及び下電極層4に代えて金属振動板層8)をこの順に積層し(但し、必要なところで低誘電率層を形成する)、この振動体層3(金属振動板層8)上に、開口部1aを有する基板1を接合したり、感光性樹脂により型を作って、型のない部分に電界めっきや無電界めっきを施すことにより、開口部1aを有する基板1を形成したりするようにしてもよい。
(実施形態6)
図16は、本発明の実施形態に係るインクジェットヘッドを示し、このインクジェットヘッドは、上記実施形態5におけるダイアフラム型圧電素子を備えている。このダイアフラム型圧電素子の基板1における金属振動板層8とは反対側の面には、ノズル部材13が接着層14を介して設けられており、このノズル部材13と上記金属振動板層8とによって、基板1の各開口部1aが塞がれてその内部がインク室18とされる。
図16は、本発明の実施形態に係るインクジェットヘッドを示し、このインクジェットヘッドは、上記実施形態5におけるダイアフラム型圧電素子を備えている。このダイアフラム型圧電素子の基板1における金属振動板層8とは反対側の面には、ノズル部材13が接着層14を介して設けられており、このノズル部材13と上記金属振動板層8とによって、基板1の各開口部1aが塞がれてその内部がインク室18とされる。
上記ノズル部材13は、上記各開口部1a(インク室18)にそれぞれ接続された複数のインク供給孔13aと吐出ノズル13bとを有している。この各インク供給孔13aの開口部1aと反対側端は、ノズル部材13内において開口部1aが並ぶ方向に延びるように設けられたインク供給室13cにそれぞれ接続され、このインク供給室13cは図外のインクタンクと接続されており、上記インク供給孔13aより各開口部1a(インク室18)内にインクが供給されるようになっている。そして、上記ダイアフラム型圧電素子の作動により、開口部1a内のインクが上記吐出ノズル13bより外部(記録媒体)に吐出されるようになっている。
このインクジェットヘッドを製造するには、上記実施形態5において作製したダイアフラム型圧電素子の基板1における金属振動板層8とは反対側の面に、予め作製しておいたノズル部材13を接着層14を介して接着固定すればよい。
ここで、上記実施形態6と同様のインクジェットヘッドを作製し(このインクジェットヘッドを実施例6とする)、このインクジェットヘッドのダイアフラム型圧電素子の金属振動板層8及び上電極層7の間に、周波数20kHzで電圧が0Vから40Vに変化する矩形波(0Vであるときの時間:40Vであるときの時間=95:5)を連続10日間印加して吐出ノズル13bよりインクを吐出させたところ、圧電体層5にクラックは全く発生せず、インクの吐出量の低下も認められなかった。また、印加電圧の最大値を80Vとすると、駆動直後にクラックが生じ、インクが吐出されなくなった。
したがって、上記実施形態6では、上記実施形態5におけるダイアフラム型圧電素子を用いてインクジェットヘッドを製造したので、インクの吐出特性を長期間に亘って良好に維持することができ、インクジェットヘッドの信頼性を向上させることができる。
尚、上記実施形態6では、ダイアフラム型圧電素子として上記実施形態5のものを用いたが、上記実施形態1〜4のいずれか1つを用いてもよい(上記実施例6のインクジェットヘッドにおけるダイアフラム型圧電素子(実施例5と同じもの)を、実施例1〜4と同じのものに代えても、良好な結果が得られた)。
また、上記実施形態6では、ダイアフラム型圧電素子をインクジェットヘッドに適用したが、上記インクジェットヘッドと同様の構成で、インクの代わりに、金属コロイド溶液、有機半導体溶液、DNA溶液、誘電体溶液等の液体を微少液滴として吐出ノズル13bより吐出させる液体吐出機構(インクジェットヘッドのインク室18、インク供給孔13a及びインク供給室13cは、液体吐出機構では、それぞれ、液体を収容する液体室、開口部1a(液体室)内に液体を供給する液体供給孔、及び液体供給室となる)にも適用することができ、この液体吐出機構により、配線基板や、ディスプレイ、DNAチップ、薄膜回路用コンデンサー、抵抗体等を容易に作製することができる。
(実施形態7)
図17は、本発明の実施形態に係るインクジェット式記録装置を示し、このインクジェット式記録装置は、上記実施形態6で説明したものと同様のインクジェットヘッド22を備えている。このインクジェットヘッド22においてインク室(上記実施形態6におけるインク室18)に連通するようにノズル部材(上記実施形態6におけるノズル部材13)に設けた吐出ノズル(上記実施形態6における吐出ノズル13b)から該インク室内のインクを記録媒体26(記録紙等)に吐出させて記録を行うように構成されている。
図17は、本発明の実施形態に係るインクジェット式記録装置を示し、このインクジェット式記録装置は、上記実施形態6で説明したものと同様のインクジェットヘッド22を備えている。このインクジェットヘッド22においてインク室(上記実施形態6におけるインク室18)に連通するようにノズル部材(上記実施形態6におけるノズル部材13)に設けた吐出ノズル(上記実施形態6における吐出ノズル13b)から該インク室内のインクを記録媒体26(記録紙等)に吐出させて記録を行うように構成されている。
上記インクジェットヘッド22は、主走査方向Xに延びるキャリッジ軸23に設けられたキャリッジ24に搭載されていて、このキャリッジ24がキャリッジ軸23に沿って往復動するのに応じて主走査方向Xに往復動するように構成されている。このことで、キャリッジ24は、インクジェットヘッド22と記録媒体26とを主走査方向Xに相対移動させる相対移動手段を構成することになる。
また、このインクジェット式記録装置は、上記記録媒体26を主走査方向Xと略垂直方向の副走査方向Yに移動させる複数のローラ25を備えている。このことで、複数のローラ25は、インクジェットヘッド22と記録媒体26とを副走査方向Yに相対移動させる相対移動手段を構成することになる。尚、図17中、Zは上下方向である。
上記インクジェットヘッド22には、該インクジェットヘッド22に記録信号を供給する信号供給手段27(コントローラ等)が接続されており、インクジェットヘッド22がキャリッジ24により主走査方向Xに移動しているときに、上記信号供給手段27から供給される記録信号に応じて、ダイアフラム型圧電素子を作動させることにより、インクジェットヘッド22のノズル部材の吐出ノズルよりインク室内のインクを記録媒体26に吐出させて記録を行う。そして、この一走査の記録が終了すると、上記ローラ25により記録媒体26を所定量移動させて次の一走査の記録を行う。
したがって、このインクジェット式記録装置は、上記実施形態6と同様のインクジェットヘッド22を備えているので、インクの吐出特性が長期間に亘って良好に維持され、信頼性が高いものとなる。
尚、上記実施形態7では、インクジェットヘッド22を記録媒体26の移動方向(Y方向)と垂直な方向(X方向)に移動させるようにしたが、複数のインクジェットヘッド22を記録媒体26の移動方向と垂直な方向全体に亘って並べることで、その並ぶ方向(X方向)の走査が不要となる。このように構成した場合、記録媒体26がローラ25(インクジェットヘッド22と記録媒体26とを相対移動させる相対移動手段を構成する)により移動しているときに、信号供給手段27から供給される記録信号に応じて、ダイアフラム型圧電素子を作動させることにより、インクジェットヘッド22のノズル部材の吐出ノズルよりインク室内のインクを記録媒体26に吐出させて記録を行えばよく、こうすることで、高速で印刷が可能となる。
本発明のダイアフラム型圧電素子は、インクを吐出するインクジェットヘッド(インクジェット式記録装置)に有用であり、また、配線基板や、ディスプレイ、DNAチップ、薄膜回路用コンデンサー、抵抗体等を作製するために、金属コロイド溶液、有機半導体溶液、DNA溶液、誘電体溶液等の液体を吐出する液体吐出機構にも有用である。
1 基板
1a 開口部
3 振動板層
4 下電極層
5 圧電体層
6 低誘電率層
7 上電極層
7a 上電極本体部
7b 配線部
8 金属振動板層
13 ノズル部材
13a インク供給孔
13b 吐出ノズル
18 インク室
22 インクジェットヘッド
24 キャリッジ(相対移動手段)
25 ローラ(相対移動手段)
26 記録媒体
27 信号供給手段
1a 開口部
3 振動板層
4 下電極層
5 圧電体層
6 低誘電率層
7 上電極層
7a 上電極本体部
7b 配線部
8 金属振動板層
13 ノズル部材
13a インク供給孔
13b 吐出ノズル
18 インク室
22 インクジェットヘッド
24 キャリッジ(相対移動手段)
25 ローラ(相対移動手段)
26 記録媒体
27 信号供給手段
Claims (8)
- 開口部を有する基板と、
上記基板上に上記開口部を覆うように設けられた振動板層と、
上記振動板層上に設けられた下電極層と、
上記下電極層上に設けられた圧電体層と、
上記圧電体層上に設けられ、上記開口部内側上に位置する上電極本体部と該上電極本体部の周縁の一部から開口部外側に向かって延びて開口部縁上を跨ぐ配線部とからなるようにパターン化された上電極層とを備えたダイアフラム型圧電素子であって、
上記下電極層と圧電体層との間及び圧電体層と上電極層との間の少なくとも一方における上記配線部が跨ぐ開口部縁上の部分に、該圧電体層よりも誘電率が低い低誘電率層が該開口部縁上を跨ぐように形成されていることを特徴とするダイアフラム型圧電素子。 - 開口部を有する基板と、
上記基板上に上記開口部を覆うように設けられた金属振動板層と、
上記金属振動板層上に設けられた圧電体層と、
上記圧電体層上に設けられ、上記開口部内側上に位置する上電極本体部と該上電極本体部の周縁の一部から開口部外側に向かって延びて開口部縁上を跨ぐ配線部とからなるようにパターン化された上電極層とを備えたダイアフラム型圧電素子であって、
上記金属振動板層と圧電体層との間及び圧電体層と上電極層との間の少なくとも一方における上記配線部が跨ぐ開口部縁上の部分に、該圧電体層よりも誘電率が低い低誘電率層が該開口部縁上を跨ぐように形成されていることを特徴とするダイアフラム型圧電素子。 - 低誘電率層の誘電率を圧電体層の誘電率のa倍とし、低誘電率層の厚みを圧電体層の厚みのb倍としたとき、
a/(a+b)<1
の関係を満たしていることを特徴とする請求項1又は2記載のダイアフラム型圧電素子。 - a/(a+b)<0.5
の関係を満たしていることを特徴とする請求項3記載のダイアフラム型圧電素子。 - 低誘電率層の配線部が延びる方向の長さが、圧電体層の厚み以上であり、
上記低誘電率層の開口部内側上に位置する部分の配線部が延びる方向の長さが、100μm以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載のダイアフラム型圧電素子。 - 請求項1〜5のいずれか1つに記載のダイアフラム型圧電素子と、
上記ダイアフラム型圧電素子の基板における振動板層とは反対側の面に設けられ、該基板の開口部内に液体を供給する液体供給孔と該開口部内の液体を吐出する吐出ノズルとを有するノズル部材とを備え、
上記ダイアフラム型圧電素子の作動により上記開口部内の液体を上記吐出ノズルより吐出させるように構成されていることを特徴とする液体吐出機構。 - 請求項1〜5のいずれか1つに記載のダイアフラム型圧電素子と、
上記ダイアフラム型圧電素子の基板における振動板層とは反対側の面に設けられ、該基板の開口部内にインクを供給するインク供給孔と該開口部内のインクを吐出する吐出ノズルとを有するノズル部材とを備え、
上記ダイアフラム型圧電素子の作動により上記開口部内のインクを上記吐出ノズルより吐出させるように構成されていることを特徴とするインクジェットヘッド。 - 請求項7記載のインクジェットヘッドと、
上記インクジェットヘッドと記録媒体とを相対移動させる相対移動手段と、
上記インクジェットヘッドに記録信号を供給する信号供給手段とを備え、
上記相対移動手段によりインクジェットヘッドが記録媒体に対して相対移動しているときに、上記信号供給手段から供給される記録信号に応じて、該インクジェットヘッドのダイアフラム型圧電素子を作動させることにより、該インクジェットヘッドのノズル部材の吐出ノズルより基板開口部内のインクを記録媒体に吐出させて記録を行うように構成されていることを特徴とするインクジェット式記録装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2004367092A JP2005210887A (ja) | 2003-12-25 | 2004-12-20 | ダイアフラム型圧電素子、該ダイアフラム型圧電素子を用いた液体吐出機構及びインクジェットヘッド、並びに該インクジェットヘッドを用いたインクジェット式記録装置 |
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2003429049 | 2003-12-25 | ||
JP2004367092A JP2005210887A (ja) | 2003-12-25 | 2004-12-20 | ダイアフラム型圧電素子、該ダイアフラム型圧電素子を用いた液体吐出機構及びインクジェットヘッド、並びに該インクジェットヘッドを用いたインクジェット式記録装置 |
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JP2005210887A true JP2005210887A (ja) | 2005-08-04 |
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ID=34914072
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Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2004367092A Pending JP2005210887A (ja) | 2003-12-25 | 2004-12-20 | ダイアフラム型圧電素子、該ダイアフラム型圧電素子を用いた液体吐出機構及びインクジェットヘッド、並びに該インクジェットヘッドを用いたインクジェット式記録装置 |
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JP (1) | JP2005210887A (ja) |
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-
2004
- 2004-12-20 JP JP2004367092A patent/JP2005210887A/ja active Pending
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