JP2005209408A - 燃料電池用電解質膜、その製造方法、及び燃料電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】 十分な耐久性と優れたイオン交換性を備えた燃料電池用電解質膜、その製造方法、及び燃料電池を提供する。
【解決手段】 ふっ素樹脂に、その融点以上の温度で電離性放射線を照射し、改質ふっ素樹脂を生成する(S101)。この改質ふっ素樹脂に対し、スルホニルフルオライド基を含有するパーフルオロビニルエーテルをグラフトし(S102)、このグラフトによるグラフト体のスルホニルフルオライド基をケン化によりスルホン酸基に変換し、変性ふっ素樹脂を得る(S103、S104)。
【選択図】 図1
【解決手段】 ふっ素樹脂に、その融点以上の温度で電離性放射線を照射し、改質ふっ素樹脂を生成する(S101)。この改質ふっ素樹脂に対し、スルホニルフルオライド基を含有するパーフルオロビニルエーテルをグラフトし(S102)、このグラフトによるグラフト体のスルホニルフルオライド基をケン化によりスルホン酸基に変換し、変性ふっ素樹脂を得る(S103、S104)。
【選択図】 図1
Description
本発明は、燃料電池用電解質膜、その製造方法、及び燃料電池に関し、特に、優れた耐久性及び電池性能が得られる燃料電池用電解質膜、その製造方法、及び燃料電池に関する。
図2は燃料電池の一例を示す。図2の燃料電池は高分子型燃料電池(PEFC)であり、燃料通路11と、この燃料通路11に沿って配置された多孔性の燃料極12と、空気通路13と、この空気通路13に沿って配置された多孔性の空気極(または、酸素極)14と、この空気極14と燃料極12により挟持される高分子電解質膜(高分子イオン交換膜)15とを備えて構成されている。固体高分子電解質膜15としては、パーフルオロスルホン酸ポリマを用いたものがよく知られている。
図2において、燃料通路11に水素燃料(H2 +H2 O)を供給すると同時に空気通路13に空気(O2 )を供給すると、燃料極12上で水素燃料が水素イオン(2H+ )と電子(2e-)に分かれ、水素イオンは高分子電解質膜15中を水(H2 O)と一体になって移動する。電子は外部回路を通って空気極14へ移動し、空気極14で酸素、電子、及び水素イオンが反応することにより水が生成されることにより、電気が発生する。燃料極12から空気極14へ電子が移動することで、電流は空気極14から燃料極12へ流れる。
以上の過程で、燃料極12においてはH2 →2H++2e-の反応が生じ、空気極14においては1/2O2 +2H++e-→2H2 Oの反応が生じ、全体では、H2 +1/2O2 →H2 Oの反応が生じ、燃料極12と空気極14の間に接続された負荷16に電子(2e-)が流れることにより、負荷16に電力が供給される。
しかしながら、パーフルオロスルホン酸ポリマからなる固体高分子電解質膜は、多工程に亘る合成過程を経て製造されるために高価になる。そこで、コスト低減のため、汎用のフッ素樹脂を改質して耐放射線性を向上させた改質フッ素樹脂に、スチレンなどの炭化水素系モノマ(例えば、特許文献1,2参照。)や、炭化水素を一部含むふっ素系モノマ(例えば、特許文献3,4,5,6参照。)を放射線グラフト重合した電解質膜の作製が検討されている。
しかし、従来の燃料電池用電解質膜によると、炭化水素系モノマや炭化水素を一部含むふっ素系モノマをグラフト重合した電解質膜では、膜の化学的な安定性(耐酸化性)が不十分で、高度の耐久性及び信頼性が要求される家庭用装置や自動車向けの燃料電池に適用することは困難であった。
したがって、本発明の目的は、十分な耐久性と優れたイオン交換性を備えた燃料電池用電解質膜、その製造方法、及び燃料電池を提供することにある。
本発明は上記目的を達成するため、第1の特徴として、樹脂の融点以上の温度で電離性放射線を照射した改質ふっ素樹脂または前記改質ふっ素樹脂と他の高分子材料との混和物に対し、スルホニルフルオライド基を含有するパーフルオロビニルエーテルをグラフトし、このグラフトによるグラフト体のスルホニルフルオライド基をケン化によりスルホン酸基に変換した変性ふっ素樹脂からなることを特徴とする燃料電池用電解質膜を提供する。
この構成によれば、放射線を照射してなる改質ふっ素樹脂または前記改質ふっ素樹脂と他の高分子との混合物に、スルホニルフルオライド基を含有するパーフルオロビニルエーテルがグラフト(graft)され、そのグラフト体のスルホニルフルオライド基がケン化によりスルホン酸基に変換された構成により、パーフルオロビニルエーテルが改質ふっ素樹脂にグラフト重合されたことにより、十分な耐久性及び優れたイオン交換性を有する燃料電池用電解質膜が得られる。そして、原料に汎用のフッ素樹脂を用いているため、燃料電池用電解質膜の低コスト化が可能になる。
また、本発明は上記目的を達成するため、第2の特徴として、ふっ素樹脂に、酸素濃度10torr以下のもとで、且つ前記ふっ素樹脂の融点以上に加熱された状態下で、電離性放射線を線量0.1kGy〜1MGyの範囲で照射して改質ふっ素樹脂とし、または前記改質ふっ素樹脂と他の高分子材料との混和物からなる膜に不活性ガス中で電離性放射線を線量5kGy〜500kGyの範囲で照射する工程と、不活性ガス下、スルホニルフルオライド基を含有するパーフルオロビニルエーテルを−78℃〜100℃あるいは溶媒の沸点以下でモノマ単独またはモノマを溶媒で希釈した溶液中でグラフトする工程と、前記グラフトによるグラフト体のスルホニルフルオライド基をケン化によりスルホン酸基に変換する工程とを含むことを特徴とする燃料電池用電解質膜の製造方法を提供する。
この方法によれば、放射線を照射してなる改質ふっ素樹脂または前記改質ふっ素樹脂と他の高分子との混合物に、スルホニルフルオライド基を含有するパーフルオロビニルエーテルをグラフトし、そのグラフト体のスルホニルフルオライド基をケン化によりスルホン酸基に変換して変性ふっ素樹脂とすることにより、パーフルオロビニルエーテルが改質ふっ素樹脂にグラフト重合され、十分な耐久性及び優れたイオン交換性を有する燃料電池用電解質膜を製造することができる。
さらに、本発明は上記目的を達成するため、第3の特徴として、樹脂の融点以上の温度で電離性放射線を照射した改質ふっ素樹脂または前記改質ふっ素樹脂と他の高分子材料との混和物に対し、スルホニルフルオライド基を含有するパーフルオロビニルエーテルをグラフトし、このグラフトによるグラフト体のスルホニルフルオライド基をケン化によりスルホン酸基に変換した変性ふっ素樹脂からなる電解質膜が、燃料極と空気極の間に設けられていることを特徴とする燃料電池を提供する。
この構成によれば、放射線を照射した改質ふっ素樹脂または前記改質ふっ素樹脂と他の高分子との混合物に、スルホニルフルオライド基を含有するパーフルオロビニルエーテルがグラフトされ、そのグラフト体のスルホニルフルオライド基がケン化によりスルホン酸基に変換された電解質膜を用いた構成により、パーフルオロビニルエーテルが改質ふっ素樹脂にグラフト重合されることで、十分な耐久性及び優れたイオン交換性を有する燃料電池を得ることができる。
本発明の電解質膜及びその製造方法にによれば、耐久性及びイオン交換性の向上が可能になる。また、本発明の燃料電池によれば、使用する燃料電池用電解質膜が耐久性及びイオン交換性に優れていることから、耐久性及び電池性能に優れる燃料電池を得ることができる。
図1は、本発明の実施の形態に係る燃料電池用電解質膜の製造方法を示す。図中、Sはステップを表している。まず、所定の形状に加工されたふっ素樹脂を、酸素濃度10torr以下及び前記ふっ素樹脂の融点以上に加熱された雰囲気におく。このふっ素樹脂に電離性放射線を線量0.1kGy〜1MGyの範囲で照射して後述するグラフトの前処理を実施し、改質ふっ素樹脂を生成する(S101)。あるいは、前記改質ふっ素樹脂と他の高分子材料との混和物からなる膜に、不活性ガス中で電離性放射線を線量5kGy〜500kGyの範囲で照射した改質ふっ素樹脂であってもよい。ついで、不活性ガス下で、スルホニルフルオライド基を含有するパーフルオロビニルエーテルを−78℃〜100℃あるいは溶媒の沸点以下で、モノマ単独またはモノマを溶媒で希釈した溶液中でグラフトする(S102)。このグラフトによって、イオン伝導性が付与される。その後、このグラフトによるグラフト体のスルホニルフルオライド基をケン化(S103)して、スルホン酸基に変換し、変性ふっ素樹脂を得る(S104)。
上記ふっ素樹脂としては、テトラフルオロエチレン系重合体(PTFE)、テトラフルオロエチレン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)系共重合体(PFA)及びテトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン系共重合体(FEP)等があり、その形状は特に限定されるものではないが、粉末状、シート状、フィルム状、ブロック状、繊維状のいずれでもよく、又、これら材料同士あるいはこれら材料と他の材料との積層体や複合体であってもよい。
上記PTFEの中は、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)、ヘキサフルオロプロピレン、(パーフルオロアルキル)エチレン、あるいはクロロトリフルオロエチレン等の共重合性モノマに基づく重合単位を1モル%以下含有するものも含まれる。また、上記共重合体形式のふっ素樹脂の場合、その分子構造の中に少量の第3成分を含むことは有り得る。
上記改質ふっ素樹脂は、ふっ素樹脂に酸素濃度10torr以下の不活性ガス雰囲気下で、且つ融点以上に加熱された状態下で、電離性放射線を線量0.1kGy〜1MGyの範囲で照射することにより得ることができる。酸素濃度が10torrを超える雰囲気下では十分な架橋効果を達成できず、又、電離性放射線の照射線量が0.1kGy未満では十分な架橋効果を達成できず、逆に、1MGyを超えると伸びの著しい低下を招くことになる。
なお、改質ふっ素樹脂の成形体は、シートまたはブロック等の形状のふっ素樹脂成形体に電離性放射線を照射して製造することができる。又、電離性放射線を照射したふっ素樹脂粉末を圧縮成形等により、シートまたはブロック等の形状に成形してもよい。
ふっ素樹脂を改質するときの電離性放射線としては、γ線、電子線、X線、中性子線、あるいは高エネルギーイオン等が使用される。電離性放射線を照射するに際しては、ふっ素樹脂をその結晶融点以上に加熱しておく必要がある。例えば、ふっ素樹脂としてPTFEを使用する場合には、この材料の結晶融点近傍の325℃よりも高い温度にふっ素樹脂を加熱した状態で電離性放射線を照射する必要がある。また、PFAやFEPを使用する場合、PFAが310℃、FEPが275℃で特定される融点よりも高い温度に加熱して照射する。ふっ素樹脂をその融点以上に加熱することは、ふっ素樹脂を構成する主鎖の分子運動を活発化させることになり、その結果、分子間の架橋反応を効率良く促進させることが可能になる。但し、過度の加熱は、逆に分子鎖の切断と分解を招くようになるので、加熱温度は、ふっ素樹脂の融点より10〜40℃高い範囲内に抑えるべきである。
S104の工程における変性ふっ素樹脂は、上記のようにして得た改質ふっ素樹脂にスルホニルフルオライド基を含有するパーフルオロビニルエーテルを電離性放射線照射によりグラフト反応させ、そのグラフト体のスルホニルフルオライド基をケン化によりスルホン酸基に変換させることにより得ることができる。電離性放射線を用いるグラフト法には、改質ふっ素樹脂の主鎖ポリマーに予め電離性放射線を照射して、グラフト反応の起点となるラジカルを生成させた後、改質ふっ素樹脂をビニル基、ふっ素を有する化合物と接触させる前照射法、ビニル基、ふっ素を有する化合物と改質ふっ素樹脂の共存下に電離性放射線を照射する同時照射法とがあるが、本発明においてはいずれの方法をも採用できる。
ふっ素樹脂を改質するための電離性放射線としては、γ線、電子線、X線、陽子線などの100keV以上の放射線やイオンであり、ふっ素樹脂中を10〜100μm以上透過できるものをあげることができ、高エネルギーのプラズマなども用いることができる。電離性放射線の照射線量は5kGy〜500kGyが好ましく、5kGy未満では官能基の特性が有効に作用する程度のグラフト反応効果が達成されにくい傾向にあり、500kGyを超えると、伸びの著しい低下を招く傾向にある。又、電離性放射線を照射するときの温度が高くなると、ラジカルの消滅が起こるので、照射時の温度は室温ないしそれ以下が好ましい。さらに、酸素による樹脂の劣化促進を抑制するため、電離性放射線の照射は10‐3torr以下の減圧下、または不活性ガス雰囲気で実施する。
改質ふっ素樹脂にグラフト重合されるスルホニルフルオライド基を含有するパーフルオロビニルエーテルとしては、CF2 =CF(OCF2 CF(CF3 ))m O(CF2 )n SO2 Fを挙げることができる。ここでグラフト重合性を考慮すると、m=0〜10、n=1〜5の範囲とすることが好ましい。また、上記モノマとテトラフルオロエチレンコモノマのグラフトも有効である。
スルホニルフルオライド基を含有するパーフルオロビニルエーテルモノマは重合性が高く、改質ふっ素樹脂へのグラフトが可能であり、グラフト率、ひいてはスルホン酸基数を多く付与し、イオン交換性を効果的に向上させることができる。また、エーテル結合以外はすべてフロロアルキル鎖で構成されているため、化学的安定性に優れており、長時間に亘って良好なイオン交換性を持続することができる。
グラフトは、不活性ガス下、及び−78℃〜100℃あるいは溶媒の沸点以下の温度範囲で上記モノマ単独、または該モノマを1,1,2−トリクロロトリフルオロエタンなどの溶媒で希釈した溶液中で行う。酸素の存在はグラフト反応を阻害するため、これらの操作は不活性ガス中で行い、モノマやモノマを溶媒に溶かした溶液は凍結脱気やバブリングで酸素を除去した状態で使用する。また、イオン交換性を付与するために、一定以上のスルホン酸基数を確保する必要があり、従って、グラフト率は10wt%以上でなければならない。さらに、イオン交換性の尺度であるスルホン酸当量重量は、2000g/eq以下でなければならない。
スルホニルフルオライド基を含有するパーフルオロビニルエーテルモノマは、改質ふっ素樹脂にグラフト重合した後、スルホニルフルオライド基を水酸化ナトリウム溶液に続いて硫酸溶液で処理してスルホン酸基とし、電解質膜としての利用、さらには燃料電池への利用に供される。
本発明においては、改質ふっ素樹脂と他の高分子材料との混和物によっても電解質膜を形成することが可能である。他の高分子材料としては、未改質の(電離性放射線の照射によって改質を行っていない。)PTFE、PFA、FEP等のふっ素樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエーテルサルホン、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン等のエンジニアリングプラスチックをあげることができる。
厚さ50μm、6cm角のPTFEフィルムに対して、酸素濃度0.5torrの窒素ガス雰囲気下、340℃の加熱温度のもとで電子線(加速電圧800keV)を120kGy照射し、改質PTFEフィルムを得た。改質前後のPTFEフィルムの融点と結晶化点を走査型示差熱量計で測定したところ、未改質PTFEフィルムの融点は330℃、結晶化点は310℃であったのに対し、改質PTFEフィルムの融点は315℃、結晶化点は290℃であった。また、改質PTFEフィルムにおける残存ラジカル量を電子スピン共鳴装置で測定したところ、残存ラジカルは全く認められなかった。
次に、コック付きの耐圧ガラス製アンプルの一方にスルホニルフルオライド基を含有するパーフルオロビニルエーテルモノマであるCF2 =CFOCF2 CF(CF3 )O(CF2 )2 SO2 Fを入れ、Freeze&Thew法により3回真空脱気し、アルゴンガスで置換した。他方のガラスアンプルに改質PTFEフィルムを入れ、真空脱気後アルゴンガスで置換し、室温で45kGyのγ線(線量率3kGy/h)を照射した後、それぞれのガラスアンプルをH型に溶接し、ブレーカブルを破壊して上記モノマを改質PTFEフィルム側に移し、0℃で24時間、室温で24時間反応させた。
反応後、アンプルにTHF(テトロヒドロフラン)を加え、冷却したn−ペンタンでフィルムを洗浄し、ホモポリマーを除去した。その後、フィルムを60℃で24時間真空乾燥させた。PTFEフィルムの反応前後の重量差から求めたグラフト率は55%であった。グラフトした改質PTFEフィルムを、さらに60℃の水酸化ナトリウム溶液で12時間処理した後、硫酸溶液で20時間処理した。その後、pHが中性を示すまで純水で洗浄した。
次に、グラフト・スルホン化した改質PTFEフィルムを常温で24時間含水させ、0.1mol/lのKCL(塩化カリウム)水溶液に24時間浸漬した後、前記改質PTFEフィルムを取り出し、その水溶液に0.05mol/lのNaOH(水酸化ナトリウム)をビゥレットにて滴下して中和滴定することにより、イオン交換容量を測定し、その結果からスルホン酸当量重量を求めたところ、833(g/eq)であった。水素イオンの伝導性を表すイオン伝導率(25℃)は8.2×10‐2(S/cm)であった。さらに耐酸化性の評価は、改質PTFEフィルムを50℃の3%過酸化水素溶液中に入れ、24時間後のイオン交換容量測定を実施した。その結果、殆ど変化は見られなかった。つまり、イオン交換性及び耐久性に優れていることがわかる。
厚さ50μm、6cm角のPTFEフィルムに対して、上記実施例1と同様に電子線を照射し、改質PTFEフィルムを得た。この改質PTFEフィルムをコック付きの耐圧ガラス製アンプルに入れ、真空脱気後、アルゴンガスで置換し、室温で45kGyのγ線(線量率3kGy/h)を照射した。さらに禁止剤を除いたテトラフルオロエチレンガスをこのアンプルに導入し、1気圧とした。
次に、コック付きの耐圧ガラス製アンプルのもう一方にスルホニルフルオライド基を含有するパーフルオロビニルエーテルモノマであるCF2 =CFOCF2 CF(CF3 )O(CF2 )2 SO2 Fと溶媒の1,1,2−トリクロロトリフルオロエタン(容積比1:1)を入れ、Freeze&Thew法により3回真空脱気し、アルゴンガスで置換した。このガラスアンプルと改質PTFEフィルムの入ったもう一方のガラスアンプルをH型に溶接し、ブレーカブルを破壊して上記モノマ溶液を改質PTFEフィルム側に移し、容器内を攪拌しながら、テトラフルオロエチレンガスをほぼ1気圧に保ち、室温で48時間反応させた。
その後、ソックスレー抽出器中においてアセトンでフィルムを洗浄し、60℃で24時間真空乾燥させた。PTFEフィルムの反応前後の重量差から求めたグラフト率は68%であった。実施例1と同様に、グラフトした改質PTFEフィルムは、さらに60℃の水酸化ナトリウム溶液で12時間処理後、硫酸溶液で20時間処理し、pHが中性を示すまで純水で洗浄した。
グラフトした改質PTFEフィルムのイオン交換容量を実施例1と同様に測定し、その結果からスルホン酸当量重量を計算したところ、710(g/eq)であった。また、イオン伝導率(25℃)は1.0×10‐1(S/cm)であった。さらに耐酸化性の評価は、改質PTFEフィルムを50℃の3%過酸化水素溶液中に入れ、24時間後のイオン交換容量測定を実施した。その結果、殆ど変化は見られなかった。このように、実施例2は実施例1に比べて若干イオン交換性に劣るものの、良好な結果が得られている。
FEPパウダ(MI=25、平均粒径25μm)を酸素濃度0.5torrの窒素ガス雰囲気下、200℃の加熱温度のもとで、電子線(加速電圧800keV)を120kGy照射し、その後粉砕により平均粒径25μmの改質FEPパウダを得た。得られた改質FEPパウダをホットフォーミング成形(予備成形圧力;500kgf/cm2 、焼成温度;360℃、冷却圧力;350kgf/cm2 )して得られたブロックを200℃で10時間アニールした後、厚さ50μmのフィルムにスカイビングした。
この改質FEPフィルム(厚さ50μm、6cm角)をコック付きの耐圧ガラス製アンプルの一方に入れ、実施例1と同様に、真空脱気後アルゴンガスで置換し、室温で45kGyのγ線(線量率3kGy/h)を照射した。次に、コック付きの耐圧ガラス製アンプルのもう一方にスルホニルフルオライド基を含有するパーフルオロビニルエーテルモノマであるCF2 =CFOCF2 CF(CF3 )O(CF2 )2 SO2 Fを入れ、Freeze&Thew法により3回真空脱気し、アルゴンガスで置換した。
次に、それぞれのガラスアンプルをH型に溶接し、ブレーカブルを破壊して上記モノマを改質PTFEフィルム側に移し、0℃で24時間、室温で24時間反応させた。反応後、アンプルにTHFを加え、冷却したn−ペンタンでフィルムを洗浄し、ホモポリマーを除去した。その後、フィルムを60℃で24時間真空乾燥させた。PTFEフィルムの反応前後の重量差から求めたグラフト率は83%であった。
グラフト・スルホン化によりイオン伝導性を付与した改質PTFEフィルムのイオン交換容量を実施例1と同様に測定し、その結果からスルホン酸当量重量を計算したところ、552(g/eq)であった。また、イオン伝導率(25℃)は2.1×10‐1(S/cm)であった。さらに、耐酸化性の評価は、改質PTFEフィルムを50℃の3%過酸化水素溶液中に入れ、24時間後のイオン交換容量測定を実施した。その結果、殆ど変化は見られず、良好な結果が得られた。
上記実施例1と同様に、厚さ50μm、6cm角のPTFEフィルムに対して、酸素濃度0.5torrの窒素ガス雰囲気下及び340℃の加熱温度のもとで、電子線(加速電圧800keV)を120kGy照射し、改質PTFEフィルムを得た。
次に、H型ガラス製アンプルの一方にスチレン溶液50mlを入れ、Freeze&Thew法により3回真空脱気した。もう一方のガラスアンプルに改質PTFEフィルムを入れ、真空封管し、室温で15kGyのγ線(線量率3kGy/h)を照射した後、それぞれのガラスアンプルをH型に溶接し、ブレーカブルを破壊してスチレン溶液を改質PTFEフィルム側に移し、オイルバス中120℃で4時間反応させた。反応後、アンプルを開放してPTFEフィルムを取り出し、ソックスレー抽出器内でトルエンにより24時間洗浄し、ホモポリマーを除去した。その後、PTFEフィルムを60℃で24時間真空乾燥させた。PTFEフィルムの反応前後の重量差から求めたグラフト率は22%であった。
グラフトした改質PTFEフィルムをフラスコ内に入れ、1,1,2,2−テトラクロロエタンとクロロスルホン酸を7:3のモル比で注入し、ウォーターバス中で50℃及び20時間により反応させた。反応後、PTFEフィルムを取り出し、ソックスレー抽出器内でジクロロメタンにより24時間洗浄した。その後、PTFEフィルムを60℃で24時間真空乾燥させた。PTFEフィルムの反応前後の重量差から求めたスルホン化率は96%であった。
グラフト・スルホン化によりイオン伝導性を付与した改質PTFEフィルムのイオン交換容量を実施例1と同様に測定したところ、2.33(meq/g)であった(スルホン酸当量重量は430(g/eq))。イオン伝導率(25℃)は、4.8×10‐3(S/cm)であった。さらに、耐酸化性の評価は、改質PTFEフィルムを50℃の3%過酸化水素溶液中に入れ、24時間後のイオン交換容量測定を実施した。その結果、イオン交換容量は0(meq/g)であった。比較例は、イオン伝導率が上記各実施例に比べて小さく、また、イオン交換容量も変化しており、イオン交換性及び耐久性に劣ることがわかる。
11 燃料通路
12 燃料極
13 空気通路
14 空気極
15 高分子電解質膜(高分子イオン交換膜)
12 燃料極
13 空気通路
14 空気極
15 高分子電解質膜(高分子イオン交換膜)
Claims (8)
- ふっ素樹脂の融点以上の温度で電離性放射線を照射してなる改質ふっ素樹脂または前記改質ふっ素樹脂と他の高分子材料との混和物に対し、スルホニルフルオライド基を含有するパーフルオロビニルエーテルをグラフトし、このグラフトによるグラフト体のスルホニルフルオライド基をケン化によりスルホン酸基に変換した変性ふっ素樹脂からなることを特徴とする燃料電池用電解質膜。
- 前記スルホニルフルオライド基を含有するパーフルオロビニルエーテルは、
CF2 =CF(OCF2 CF(CF3 ))m O(CF2 )n SO2 F
の構造において、m=0〜10、n=1〜5であることを特徴とする請求項1記載の燃料電池用電解質膜。 - 前記改質ふっ素樹脂は、その原料が、テトラフルオロエチレン系重合体、テトラフルオロエチレン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)系共重合体及びテトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン系共重合体から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1記載の燃料電池用電解質膜。
- 前記グラフト体のグラフト率は、10wt%以上であり、
前記変性ふっ素樹脂は、スルホン酸当量重量が2000g/eq以下であることを特徴とする請求項1記載の燃料電池用電解質膜。 - ふっ素樹脂に、酸素濃度10torr以下のもとで、且つ前記ふっ素樹脂の融点以上に加熱された状態下で、電離性放射線を線量0.1kGy〜1MGyの範囲で照射して改質ふっ素樹脂とし、または前記改質ふっ素樹脂と他の高分子材料との混和物からなる膜に不活性ガス中で電離性放射線を線量5kGy〜500kGyの範囲で照射する工程と、
不活性ガス下、スルホニルフルオライド基を含有するパーフルオロビニルエーテルを−78℃〜100℃あるいは溶媒の沸点以下でモノマ単独またはモノマを溶媒で希釈した溶液中でグラフトする工程と、
前記グラフトによるグラフト体のスルホニルフルオライド基をケン化によりスルホン酸基に変換する工程とを含むことを特徴とする燃料電池用電解質膜の製造方法。 - 前記改質ふっ素樹脂にスルホニルフルオライド基を含有するパーフルオロビニルエーテルモノマを導入する工程は、前記モノマに対しテトラフロロエチレンをコモノマとして用い、グラフト鎖中に23〜80wt%のテトラフロロエチレン単位が導入される処理を含むことを特徴とする請求項5記載の燃料電池用電解質膜の製造方法。
- ふっ素樹脂の融点以上の温度で電離性放射線を照射してなる改質ふっ素樹脂または前記改質ふっ素樹脂と他の高分子材料との混和物に対し、スルホニルフルオライド基を含有するパーフルオロビニルエーテルをグラフトし、このグラフトによるグラフト体のスルホニルフルオライド基をケン化によりスルホン酸基に変換した変性ふっ素樹脂からなる電解質膜が、燃料極と空気極の間に設けられていることを特徴とする燃料電池。
- 前記改質ふっ素樹脂は、その原料が、テトラフルオロエチレン系重合体、テトラフルオロエチレン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)系共重合体及びテトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン系共重合体から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項7記載の燃料電池。
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