以下、本発明に係るディジタル制御装置について、図面を参照して説明する。
[第1の実施形態]
図1に本発明の第1の実施形態に係るディジタル制御装置の一実施例として制御対象をプラント機器(付随する計器類等も含む)とするディジタル制御装置20の構成を概略的に表した構成概略図を示す。
図1によれば、ディジタル制御装置20は、入力された複数の信号を演算処理して信号出力する制御手段としてのコントローラ21と、コントローラ21から出力された複数の出力信号に基づき、論理演算または信号選択して1つの信号をディジタル制御装置20の外部に出力する出力選択手段とを具備する。尚、以下の説明においては、コントローラ21に入出力される信号数が2つの場合を例に挙げて説明する。
ディジタル制御装置20のコントローラ21は、外部から信号の入力を受け付ける信号入力手段と、信号入力手段に入力された2つの信号に基づき、論理演算または信号選択して1つの信号を出力する入力選択手段と、入力された信号を演算処理する演算手段と、演算手段が演算処理した信号をコントローラ21の外部に出力する信号出力手段とを備える。
コントローラ21の信号入力手段は、ディジタル信号の入力を担うディジタル信号入力部25と、アナログ信号の入力を担うアナログ信号入力部26とを備え、ディジタル信号入力部25およびアナログ信号入力部26は、各々が対をなして構成される。つまり、1つのディジタル入力信号に対して2つのディジタル信号入力部(図中、DI1,DI2と図示する)25が、1つのアナログ入力信号に対して2つのアナログ信号入力部26(図中、AI1,AI2と図示する)が設けられる。
信号入力手段には、ディジタル制御装置20の外部にて1つの信号を分岐させた2つの同一信号が入力される。入力される信号がディジタル信号の場合、2つのディジタル信号の一方がディジタル信号入力部25のDI1に、他方がディジタル信号入力部25のDI2に入力される。また、入力される信号がアナログ信号の場合、2つのアナログ信号の一方がアナログ信号入力部26のAI1に、他方がアナログ信号入力部26のAI2に入力される。
ディジタル信号入力部25(DI1とDI2)に入力された信号は、それぞれ出力され、入力選択手段に入力される。また、アナログ信号入力部26(AI1とAI2)に入力された信号もディジタル信号入力部25に入力された信号と同様にそれぞれ出力され、入力選択手段に入力される。
入力選択手段は、入力される2つの信号がディジタル信号の場合に、論理演算して1つのディジタル信号を出力するディジタル入力選択部28と、入力される2つの信号がアナログ信号の場合に、2つのアナログ信号の高値または低値を二者択一的に選択して1つの信号を出力するアナログ入力選択部29を備える。
ディジタル入力選択部28は、入力される2つのディジタル信号の論理積(AND)を論理演算するAND機能31または論理和(OR)を論理演算するOR機能32を有しており、入力される2つのディジタル信号を論理演算して1つのディジタル信号を出力する。図1において、ディジタル入力選択部28は、AND機能31を有する形態が一例として示されているが、AND機能31およびOR機能32のいずれを有するかは、ANDまたはORのどちらを演算した方が制御対象に安全かを考慮して決定される。
例えば、演算手段への入力信号がONにおいて、コントローラ21の出力信号が制御対象であるプラント機器の破損防止等の安全方向となる場合には、入力信号のいずれか1つが誤動作/誤不動作した場合においても、演算手段への入力信号がONとなるORを論理演算するようにOR機能32を有するディジタル入力選択部28を構成する。逆に、OFFにおいて安全方向となる場合には、入力信号のいずれか1つが誤動作/誤不動作した場合においても制御演算部の入力がOFFとなるANDを論理演算するようにAND機能31を有するディジタル入力選択部28を構成する。
尚、ディジタル入力選択部28は、AND機能31またはOR機能32を有するとしたが、AND機能31およびOR機能32の両方の機能を有する構成とし、ディジタル入力選択部28をAND機能31およびOR機能32のうち一方を事後的に選択切替可能に構成しても構わない。
また、アナログ入力選択部29は、入力される2つの信号のうち高値の信号(3つ以上の信号である場合は最高値の信号)を選択する高値選択機能34または低値の信号(3つ以上の信号である場合は最低値の信号)を選択する低値選択機能35を有し、入力される2つの信号の高値または低値を二者択一的に選択する。図1において、アナログ入力選択部29は、高値選択機能34を有する形態が一例として示されているが、高値選択機能34および低値選択機能35のいずれを有するかは、ディジタル入力選択部28と同様にどちらを選択した方が制御対象に安全かを考慮して決定される。
例えば、アナログ入力選択部29に入力される入力信号が大きい時にコントローラ21の出力信号が安全方向となる場合には、高値選択機能34を有するアナログ入力選択部29を構成し、アナログ入力選択部29に入力される入力信号が小さい時にコントローラ21の出力信号が安全方向となる場合には、低値選択機能35を有するアナログ入力選択部29を構成する。
尚、ディジタル入力選択部28の場合と同様に、アナログ入力選択部29を高値選択機能34および低値選択機能35の両方の機能を有する構成とし、アナログ入力選択部29を高値選択機能34および低値選択機能35のうち一方を事後的に選択切替可能に構成しても構わない。
入力選択手段では、入力される2つのディジタル信号については、ディジタル入力選択部28が論理演算を行い、1つのディジタル信号を出力する。また、入力される2つのアナログ信号については、アナログ入力選択部29が1つのアナログ信号を出力する。入力選択手段から出力されたディジタル信号およびアナログ信号は、演算手段に入力される。
演算手段は、ディジタル入力選択部28から出力されたディジタル信号を演算処理して出力する制御演算部37と、アナログ入力選択部29から出力されたアナログ信号が一定レベル以上または以下かを検出し検出した場合に信号(ディジタル信号)を出力する検出器38と、予め設定した設定値からアナログ入力選択部29から出力されたアナログ信号を減算して出力する減算器39と、減算器39のアナログ信号出力を演算処理してアナログ信号出力する調節制御演算部40とを備える。
演算手段から出力される出力信号は、制御演算部37および検出器38から出力されるディジタル信号と、調節制御演算部40から出力されるアナログ信号とがある。また、制御演算部37、検出器38および調節制御演算部40から出力される出力信号は、2つの同一信号に分岐された後、信号出力手段に入力される。
信号出力手段は、信号入力手段と同様に、ディジタル信号出力部42と、アナログ信号出力部43とを備え、ディジタル信号出力部42およびアナログ信号出力部43は、各々が対をなして構成される。つまり、1つのディジタル信号に対して2つのディジタル信号出力部(図中、DO1,DO2と図示する)42が、1つのアナログ入力信号に対して2つのアナログ信号入力部43(図中、AO1,AO2と図示する)が設けられる。
ディジタル信号出力部42は、演算手段としての制御演算部37および検出器38から出力され分岐された2つの同一ディジタル信号を、一方はDO1、他方はDO2を介して出力選択手段に出力する。また、アナログ信号入力部43は、調節制御演算部40から出力され分岐された2つの同一アナログ信号を、一方はAO1、他方はAO2を介して出力選択手段に出力する。
一方、出力選択手段は、入力される2つのディジタル信号を論理演算して出力するディジタル出力選択部45と、入力される2つのアナログ信号の高値または低値を二者択一的に選択して出力するアナログ出力選択部46とを備える。尚、ディジタル出力選択部45の機能構成および処理内容は、ディジタル入力選択部28の処理内容と同様であり、アナログ出力選択部46の機能構成および処理内容は、アナログ入力選択部29の処理内容と同様であるので、ここでは説明を省略する。
このように構成されるディジタル制御装置20によれば、信号入力手段および信号出力手段を冗長化し、2つの入力信号に基づき1つの信号出力を行う入力選択手段および出力選択手段とを具備することにより、ディジタル信号入力部25、アナログ信号入力部26、ディジタル信号出力部42およびアナログ信号出力部43において故障が発生しても、従来のディジタル制御装置と異なり、一方の信号入出力部が健全であれば、制御対象であるプラント機器は、安全方向に動作することができる。
つまり、ディジタル制御装置20の場合、2つの信号入出力部が同時に故障しない限り制御対象であるプラント機器を安全方向に動作制御することができるので、従来のディジタル制御装置と比べて制御対象であるプラント機器の運転(動作)継続が困難となる確率をより低く抑えることができる。
尚、ディジタル制御装置20は、コントローラ21の演算手段に減算器39および調節制御演算部40を、信号出力手段にアナログ信号出力部43を、出力選択手段にアナログ出力選択手段46を備える構成となっているが、必ずしも備えていなくても良い。つまり、純粋なディジタル制御装置20としてアナログ信号出力を一切行わない構成としても差し支えない。
また、コントローラ21に入力する信号にアナログ信号が無く、全てディジタル信号で信号入力されることを前提とするならば、信号入力手段にディジタル信号入力部25を、入力選択手段にディジタル入力選択部28を、演算手段に制御演算部37を、信号出力手段にディジタル信号出力部42を備えるコントローラ21と、ディジタル出力選択部45を備える出力選択手段とを具備するディジタル制御装置20を構成しても差し支えない。
さらに、図1によれば、ディジタル入力選択部28はAND機能31を、ディジタル出力選択部45は、OR機能32を有している構成となっているが、必ずしも図1に図示した例に限定されない。AND機能31およびOR機能32のいずれの機能を有するかは、上述した通り、制御対象の動作がどちらの機能を選択すればより安全となるかを考慮して決定するものであるからである。また、アナログ入力選択部29およびアナログ出力選択部46についても同様の理由から必ずしも図1に図示した例に限定されない。
さらにまた、図1によれば、信号入力手段のディジタル信号入力部25の個数は、DI1とDI2の1対であるが、図1に図示した例は一例に過ぎず、必ずしも図示される1対に限定されるものではない。このことは、アナログ信号入力部26、ディジタル信号出力部42およびアナログ信号出力部43についても同様である。
さらに、入力信号の分離は、ディジタル制御装置20の外部でなされた後にディジタル制御装置20に入力されているが、ディジタル制御装置20の外部でなく、内部において入力信号の分離がなされても構わない。
一方、図1によれば、ディジタル制御装置20において、アナログ入力選択部29およびアナログ出力選択部46は、高値選択機能34または低値選択機能35を有し、2つの入力信号のうち高値または低値を出力しているが、図2に示すように、アナログ入力選択部29の代わりに、2つの入力信号の平均値を出力する平均値出力機能を有するアナログ入力選択部29Aを、アナログ出力選択部46の代わりに2つの入力信号の平均値を出力する平均値出力機能を有するアナログ出力選択部46Aを備えるディジタル制御装置20Aを構成しても良い。
図2に示すように2つの入力信号の平均値を信号出力するアナログ入力選択部29Aまたはアナログ出力選択部46Aを適用したディジタル制御装置20Aの場合、2つの入力信号のうち高値または低値の一方を選択して出力するアナログ入力選択部29またはアナログ出力選択部46を適用したディジタル制御装置20と比較すると、アナログ信号入力部26の一方の信号伝送系(例えばAI1の系)が故障による信号ロックまたは急変した場合、ディジタル制御装置20では、誤信号を選択する可能性が有り得るが、ディジタル制御装置20Aでは、平均値を出力するので、信号誤差は小さくなり制御対象となるプラント機器への影響度をより少なくすることができる。
尚、ディジタル制御装置20Aは、アナログ入力選択部29Aおよびアナログ出力選択部46Aを備える構成としたが、必ずしも両方を備えている必要はなく、アナログ入力選択部29Aおよびアナログ出力選択部46Aのいずれか一方を備える構成であっても良い。
[第2の実施形態]
図3に本発明の第2の実施形態に係るディジタル制御装置の一実施例として制御対象をプラント機器(付随する計器類等も含む)とするディジタル制御装置20Bの構成を概略的に表した構成概略図を示す。
ディジタル制御装置20Bは、ディジタル制御装置20に対して、2つの信号伝送系(DI1〜DO1等の1側の信号伝送系とDI2〜DO2等の2側の信号伝送系のこと)のうち一方を手動的に切替選択する信号伝送系切替選択手段としての選択スイッチ50と、マンマシンインターフェイスとしてユーザに表示する表示手段としての表示部51とをさらに具備する点と、コントローラ21の代わりにコントローラ21Aを具備する点において異なる。
しかし、その他の点は、本質的に異ならない。そこで、ディジタル制御装置20Bの説明に際し、ディジタル制御装置20と本質的に異ならない箇所については、同じ符号を付して説明を省略する。また、既に説明済みのディジタル制御装置20と本質的に異ならない効果、変形例等についても省略する。
図3によれば、ディジタル制御装置20Bは、コントローラ21Aと、出力選択手段と、2つの信号伝送系のうち一方を手動的に切替選択する選択スイッチ50と、表示部(マンマシンインターフェイス)51とを具備する。また、ディジタル制御装置20Bのコントローラ21Aは、コントローラ21が具備する信号入力手段、演算手段および信号出力手段に加え、ディジタル制御装置20Bの故障を検出し、検出した場合に故障検出信号を出力する故障検出手段53をさらに備える。
ディジタル制御装置20Bにおいて、選択スイッチ50は、ユーザからのスイッチ入力を受け付け、入力選択手段(ディジタル入力選択部28とアナログ入力選択部29)および出力選択手段(ディジタル出力選択部45とアナログ出力選択部46)の信号伝送系を1側の信号伝送系(以下、1系とする)または2側の信号伝送系(以下、2系とする)を手動的に切替て選択する。
マンマシンインターフェイスであり表示手段としての表示部51は、故障検出手段53が故障を検出し出力した故障検出信号(ディジタル信号)をディジタル信号出力部42を介してコントローラ21Aから受信して故障を検出した旨を表示する。
このように構成されるディジタル制御装置20Bによれば、ディジタル制御装置20に対し、1系、2系の信号伝送系を切替選択する選択スイッチ50と、マンマシンインターフェイスである表示部51とを付加し、コントローラ21の代わりに故障検出手段53を備えるコントローラ21Aを具備することで、入出力部において片側の系が故障した旨を検出した場合、ユーザは表示部51を介して故障を検出した旨を知ることができ、ユーザが選択スイッチ50を手動的に切り替えて健全な一方の系を切替選択することができる。
ユーザが健全な一方の系を切替選択することにより、選択スイッチ50により選択された健全な信号伝送系が信号を正常にコントローラ21に入力、そして出力するので、制御対象であるプラント機器の運転(動作)継続が可能となる。
尚、図3によれば、ディジタル制御装置20Bは、2つの選択スイッチ50を具備し、一方が入力選択手段(ディジタル入力選択部28とアナログ入力選択部29)の信号伝送系を1系と2系とに切替選択し、他方が出力選択手段(ディジタル出力選択部45とアナログ出力選択部46)の信号伝送系を1系と2系とに切替選択しているが、図3に示すものに限定されない。
例えば、ディジタル制御装置20Bが1つの選択スイッチ50を具備し、この選択スイッチ50が、入力選択手段および出力選択手段の両手段の信号伝送系を1系と2系とに切替選択するよう構成しても良いし、ディジタル制御装置20Bが4つの選択スイッチ(第1の選択スイッチ〜第4の選択スイッチ)50を具備し、これら4つの選択スイッチ50を用いて第1の選択スイッチ50がディジタル入力選択部28、第2の選択スイッチ50がアナログ入力選択部29、第3の選択スイッチ50がディジタル出力選択部45、そして、第4の選択スイッチ50がアナログ出力選択部46の信号伝送系を1系と2系とに切替選択するよう構成しても良い。
また、ディジタル制御装置20Bは、必ずしも、表示部51を具備する必要はない。例えば、表示装置(図外)等の外部機器を使用して故障を検出した旨を表示装置に表示できるのであれば、表示部51を具備していなくても、ユーザが故障の発生した信号伝送系を知ることができるからである。
さらに、ディジタル制御装置20Bは、コントローラ21の代わりに故障検出手段53を備えるコントローラ21Aを具備しているが、外部機器を使用して故障を検出し、ユーザが故障の発生した信号伝送系を知ることができるのであれば、コントローラ21を具備する形態でも良い。選択スイッチ50を具備していれば、ユーザが健全な一方の系を切替選択することはできるので、制御対象であるプラント機器の運転(動作)継続が可能となり差し支えないからである。
[第3の実施形態]
図4に本発明の第3の実施形態に係るディジタル制御装置の一実施例として制御対象をプラント機器(付随する計器類等も含む)とするディジタル制御装置20Cの構成を概略的に表した構成概略図を示す。
ディジタル制御装置20Cは、ディジタル制御装置20Bに対して、選択スイッチ50の代わりに、選択スイッチ50Aを具備する点と、故障検出手段53が検出した1系または2系の故障を示す故障検出信号(ディジタル信号)を選択スイッチ50Aが受信する点において異なるが、その他の点は、本質的に異ならない。
そこで、ディジタル制御装置20Cの説明に際し、ディジタル制御装置20Bと本質的に異ならない箇所については、同じ符号を付して説明を省略する。また、既に説明済みのディジタル制御装置20,20A,20Bと本質的に異ならない効果、変形例等の説明についても省略する。
図4によれば、ディジタル制御装置20Cは、コントローラ21Aと、出力選択手段と、2つの信号伝送系のうち一方を切替選択する信号伝送系切替選択手段としての選択スイッチ50Aと、表示手段としての表示部(マンマシンインターフェイス)51とを具備する。また、選択スイッチ50Aには、コントローラ21Aに備えられる故障検出手段53からディジタル信号出力部42を介してコントローラ21Aの外部に出力された故障検出信号(ディジタル信号)が入力される。
選択スイッチ50Aは、故障検出手段53からディジタル信号出力部42を介して故障検出信号(ディジタル信号)を受信すると、受信した故障検出信号に基づいて1系または2系に切替選択を自動的に行う。
より具体的に説明すると、故障検出手段53が1系の信号入力部の故障を検出した場合には、故障検出手段53が1系の信号入力部の故障を検出した旨の故障検出信号(以下、1系I/O故障検出信号とし、2系側についても同様に2系I/O故障検出信号とする。)を出力するのだが、故障検出手段53が出力した1系I/O故障検出信号を受信すると、選択スイッチ50Aは、信号伝送系を故障を検出していない2系側に自動的に切替選択する。
また、逆に、故障検出手段53が2系の信号入力部の故障を検出した場合には、故障検出手段53が出力した2系I/O故障検出信号を受信し、選択スイッチ50Aが信号伝送系を故障を検出していない1系側に自動的に切替選択する。
このように構成されるディジタル制御装置20Cによれば、選択スイッチ50の代わりに、故障検出手段53が出力する故障検出信号を受信し、自動的に信号伝送系を1系または2系に切替選択する選択スイッチ50Aを具備することで、故障検出手段53が1系の信号入力部の故障を検出した場合には、選択スイッチ50Aが自動的に他方の2系を選択し、2系の信号入力部の故障を検出した場合には、選択スイッチ50Aが自動的に他方の1系を選択するので、信号を正常にコントローラ21Aに入力、そして出力するので、制御対象であるプラント機器の運転(動作)継続が可能となる。
[第4の実施形態]
図5に本発明の第4の実施形態に係るディジタル制御装置の一実施例として制御対象をプラント機器(付随する計器類等も含む)とするディジタル制御装置20Dの構成を概略的に表した構成概略図を示す。
ディジタル制御装置20Dは、ディジタル制御装置20に対して、コントローラ21の代わりにコントローラ21Bを具備する点と、表示部51とをさらに具備する点で異なるが、その他の点は、本質的に異ならない。そこで、ディジタル制御装置20Dの説明に際し、ディジタル制御装置20と本質的に異ならない箇所については、同じ符号を付して説明を省略する。尚、既に説明済みのディジタル制御装置20〜20Cの各装置と本質的に異ならない効果、変形例等についても省略する。
図5によれば、ディジタル制御装置20Dは、コントローラ21Bと、コントローラ21Bから出力される情報を表示するマンマシンインターフェイスであり表示手段としての表示部51と、出力選択手段とを具備する。
コントローラ21Bは、コントローラ21に対して、ディジタル信号入力部25に入力された1系と2系との信号を比較し不一致の場合にON出力を行う入力不一致検出手段55と、アナログ信号入力部26に入力された1系と2系との信号を比較し、偏差が許容範囲よりも大きい場合にON出力を行う入力偏差大検出手段56とをさらに備える。
コントローラ21Bの入力不一致検出手段55は、ディジタル信号入力部25のDI1およびDI2から出力された信号を受信して、DI1から出力されたディジタル信号(1系のディジタル信号)とDI2から出力されたディジタル信号(2系のディジタル信号)とを比較する。そして、両信号が不一致の場合にON出力を行う。入力不一致検出手段55から出力されたディジタル信号は、ディジタル信号出力部42を介して表示部51に入力され、1系と2系のディジタル信号が不一致になっている旨を表示する。
また、入力偏差大検出手段56は、アナログ信号入力部26のAI1およびAI2から出力された信号を受信して、AI1から出力されたアナログ信号(1系のアナログ信号)とDI2から出力されたアナログ信号(2系のアナログ信号)とを比較する。そして、両信号の偏差が設定した許容範囲よりも大きい場合にON出力を行う。入力偏差大検出手段56から出力されたアナログ信号は、アナログ信号出力部43を介して表示部51に入力され、1系と2系のアナログ信号の偏差が許容範囲を超過している旨を表示する。
このように構成されるディジタル制御装置20Dによれば、コントローラ21Bが入力不一致検出手段55および入力偏差大検出手段56を備えるので、1系と2系のディジタル信号の不一致および1系と2系のアナログ信号の偏差が許容範囲内にあるか否かの監視を行うことができる。
ディジタル信号入力部25およびアナログ信号入力部26において、DI1とDI2またはAI1とAI2とが同時に故障する可能性は非常に低い点を考慮すると、1系と2系のディジタル信号の不一致および1系と2系のアナログ信号の偏差が許容範囲内にあるか否かの監視を行い得ることで、入力不一致または偏差が許容範囲を超過した場合には、DO1とDO2またはAO1とAO2のいずれかが異常となっていることを検出できることになる。
また、ディジタル信号入力部25のDO1とDO2またはアナログ信号入力部26のAO1とAO2のいずれかが異常となっていることを検出できることは、他の実施形態と組み合わせるとより効果的なものとなる。例えば、第2の実施形態と組み合わせると、表示部51に表示される表示内容をユーザが確認をし、正常信号を入力している系を選択スイッチ50を切替選択して選択できるので、制御対象となるプラント機器の運転(動作)継続が可能となる。
さらに、故障検出手段53を備えるコントローラ21Aが検出できない故障がディジタル信号入力部25およびアナログ信号入力部26のいずれかで発生した場合においても、入力不一致検出手段55および入力偏差大検出手段56を備えていれば、ディジタル信号入力部25およびアナログ信号入力部26のいずれかが異常となっていることを検出できる。
[第5の実施形態]
図6に本発明の第5の実施形態に係るディジタル制御装置の一実施例として制御対象をプラント機器(付随する計器類等も含む)とするディジタル制御装置20Eの構成を概略的に表した構成概略図を示す。
ディジタル制御装置20Eは、ディジタル制御装置20Dに対して、コントローラ21Bの代わりにコントローラ21Cを具備する点で異なるが、その他の点は、本質的に異ならない。そこで、ディジタル制御装置20Eの説明に際し、ディジタル制御装置20Dと本質的に異ならない箇所については、同じ符号を付して説明を省略する。尚、既に説明済みのディジタル制御装置20〜20Dの各装置と本質的に異ならない効果、変形例等についても省略する。
図6によれば、ディジタル制御装置20Eは、コントローラ21Cと、コントローラ21Cから出力される情報を表示するマンマシンインターフェイスであり表示手段としての表示部51と、出力選択手段とを具備する。
コントローラ21Cは、コントローラ21Bに対して、入力不一致検出手段55および入力偏差大検出手段56の代わりに出力不一致検出手段58および出力偏差大検出手段59を備える。コントローラ21Cの出力不一致検出手段58は、一旦コントローラ21Cのディジタル信号出力部42のDO1およびDO2から出力されフィードバックされたディジタル信号をディジタル信号入力部25のDI1およびDI2を介して受信する。
その一方で、出力不一致検出手段58は、例えば、演算手段の制御演算部37や検出器38から出力されるディジタル信号(以下、演算手段ディジタル出力信号とする。)も受信する。そして、DO1から出力されフィードバックされたディジタル信号(1系のディジタル信号)およびDO2から出力されたフィードバックディジタル信号(2系のディジタル信号)と、演算手段ディジタル出力信号とを比較する。
1系のディジタル信号および2系のディジタル信号と演算手段ディジタル出力信号とを比較し、1系のディジタル信号および2系のディジタル信号と演算手段ディジタル出力信号とが不一致の場合にON出力を行う。出力不一致検出手段58から出力されたディジタル信号は、ディジタル信号出力部42を介して表示部51に入力され、1系および2系のディジタル信号と演算手段ディジタル出力信号とが不一致になっている旨が表示部51に表示される。
また、出力偏差大検出手段59は、一旦コントローラ21Cのアナログ信号出力部43のAO1およびAO2から出力されフィードバックされたアナログ信号をアナログ信号入力部26のAI1およびAI2を介して受信する一方で、例えば、演算手段の調整制御演算部40から出力されるアナログ信号(以下、演算手段アナログ出力信号とする。)も受信する。そして、AO1から出力されフィードバックされたアナログ信号(1系のアナログ信号)およびAO2から出力されフィードバックされたアナログ信号(2系のアナログ信号)と演算手段アナログ出力信号との比較を行う。
出力偏差大検出手段59が、1系のアナログ信号および2系のアナログ信号と演算手段アナログ出力信号との比較を行い、1系のアナログ信号および2系のアナログ信号と演算手段アナログ信号との偏差が設定した許容範囲よりも大きい場合にON出力を行う。出力偏差大検出手段59から出力されたアナログ信号は、アナログ信号出力部43を介して表示部51に入力され、1系および2系のアナログ信号と演算手段アナログ信号との偏差が許容範囲を超過している旨が表示部51に表示される。
このように構成されるディジタル制御装置20Eによれば、コントローラ21Cが出力不一致検出手段58および出力偏差大検出手段59を備えるので、1系および2系のディジタル信号と演算手段ディジタル出力信号との不一致の監視ならびに1系および2系のアナログ信号と演算手段アナログ出力信号との偏差が許容範囲内か否かの監視を行うことができる。
ディジタル信号出力部42およびアナログ信号出力部43において、DO1とDO2またはAO1とAO2とが同時に故障する可能性は非常に低い点を考慮すると、1系および2系のディジタル信号と演算手段ディジタル出力信号との不一致ならびに1系および2系のアナログ信号と演算手段アナログ出力信号との偏差が許容範囲内にあるか否かの監視を行い得ることで、出力不一致または偏差が許容範囲を超過した場合には、DO1とDO2またはAO1とAO2のいずれかが異常となっていることを検出できることになる。
また、ディジタル信号出力部42のDO1とDO2またはアナログ信号出力部43のAO1とAO2のいずれかが異常となっていることを検出できることは、他の実施形態と組み合わせるとより効果的なものとなる。例えば、第2の実施形態と組み合わせると、表示部51に表示される表示内容をユーザが確認をし、正常信号を入力している系を選択スイッチ50を切替選択して選択できるので、制御対象となるプラント機器の運転(動作)継続が可能となる。
さらに、故障検出手段53を備えるコントローラ21Aが検出できない故障がディジタル信号出力部42およびアナログ信号出力部43のいずれかで発生した場合においても、出力不一致検出手段58および出力偏差大検出手段59を備えていれば、ディジタル信号出力部42およびアナログ信号出力部43のいずれかが異常となっていることを検出できる。
[第6の実施形態]
図7に本発明の第6の実施形態に係るディジタル制御装置の一実施例として制御対象をプラント機器(付随する計器類等も含む)とするディジタル制御装置20Fの構成を概略的に表した構成概略図を示す。
ディジタル制御装置20Fは、ディジタル制御装置20Eに対して、コントローラ21Cの代わりにコントローラ21Dを具備する点で異なるが、その他の点は、本質的に異ならない。そこで、ディジタル制御装置20Fの説明に際し、ディジタル制御装置20Eと本質的に異ならない箇所については、同じ符号を付して説明を省略する。尚、既に説明済みのディジタル制御装置20〜20Eの各装置と本質的に異ならない効果、変形例等についても省略する。
図7によれば、ディジタル制御装置20Fは、コントローラ21Dと、コントローラ21Dから出力される情報を表示するマンマシンインターフェイスであり表示手段としての表示部51と、出力選択手段とを具備する。コントローラ21Dは、コントローラ21Cに対して、故障検出手段53と、故障検出手段53と出力不一致検出手段58または出力偏差大検出手段59とが同じ箇所の故障を重複して検出しているか否かを判定する故障重複検出判定手段61とを備える。
コントローラ21Dの故障重複検出判定手段61には、故障検出手段53から出力されたディジタル信号と出力不一致検出手段58または出力偏差大検出手段59から出力されたディジタル信号とが入力され、入力された2つのディジタル信号を用いて論理演算を行う。
故障重複検出判定手段61は、図7に示すようにAND計算を行うAND機能31と、否定(NOT)演算を行うNOT機能63とを有し、AND機能31およびNOT機能63が論理演算を行うことにより、故障検出手段53が故障を検出しているか否かおよび出力不一致検出手段58が出力信号の不一致を検出しているか否かまたは出力偏差大検出手段59が出力信号の偏差について許容範囲内にあるか否かを判定する。そして、故障検出手段53が故障を検出している場合には、ON信号の出力を行わず、故障検出手段53が検出した結果のみが表示部51に表示されるようにする。
また、故障検出手段53が故障を検出しておらず、出力不一致検出手段58が出力信号の不一致を検出している場合または出力偏差大検出手段59が出力信号の偏差について許容範囲の超過を検出している場合にのみ、ON信号の出力を行い、出力不一致検出手段58が出力信号の不一致を検出している旨または出力偏差大検出手段59が出力信号の偏差について許容範囲の超過を検出している旨、すなわち、ディジタル信号出力手段の故障を表示部51に表示するようにする。
故障重複検出判定手段61は、出力不一致検出手段58が出力信号の不一致を検出している場合または出力偏差大検出手段59が出力信号の偏差について許容範囲の超過を検出している場合にのみON信号の出力を行うことで、出力不一致検出手段58または出力偏差大検出手段59が故障検出手段53と同じ箇所の故障(図7に示す例では、ディジタル信号出力手段の故障)を検出している場合には、重複して故障を検出した旨を表示部51に表示することのないようにしている。
故障重複検出判定手段61におけるディジタル信号の流れ(入力→出力)は、入力される2つのディジタル信号のうち故障検出手段53から出力されたディジタル信号が、まず、NOT機能63に入力される。NOT機能63は、入力された信号のNOT計算を行う。そして、NOT機能63から出力された計算結果(ディジタル信号)は、AND機能31の一方に入力される。また、出力不一致検出手段58または出力偏差大検出手段59から出力されたディジタル信号は、AND機能31の他方に入力される。
AND機能31は、入力されたNOT機能63からのディジタル信号と出力不一致検出手段58からのディジタル信号とをAND計算し、計算結果を出力する。AND機能31の出力信号は、故障重複検出判定手段61の出力信号として故障重複検出判定手段61の外部に出力される。
故障重複検出判定手段61から出力されたディジタル信号は、ディジタル信号出力部42を介してコントローラ21Dの外部に出力され、そして、表示部51に入力される。表示部51は、故障重複検出判定手段61から出力されたディジタル信号を受信して、受信した信号がON信号の場合、出力不一致検出手段58が出力不一致を検出した旨または出力偏差大検出手段59が出力信号の偏差について許容範囲の超過を検出した旨を表示する。
このように構成されるディジタル制御装置20Fによれば、故障重複検出判定手段61を備えたコントローラ21Dを具備することによって、故障検出手段53がディジタル信号入力部25およびアナログ入力部26において生じた故障を検出した場合にまで、出力不一致検出手段58が出力不一致を検出した旨または入力偏差大検出手段56が出力信号の偏差について許容範囲の超過を検出した旨が表示部51に表示されることがなくなる。つまり、実質的に重複する故障検出表示を表示部51に表示することがなくなるので、ユーザに対して簡潔明瞭な故障検出表示を行うことができる。
尚、ディジタル制御装置20Fでは、ディジタル制御装置20Eのコントローラ21Cに故障検出手段53と故障重複検出判定手段61とをさらに備えるコントローラ21Dを具備しているが、コントローラ21Dをディジタル制御装置20Dのコントローラ21Bの代わりに具備する構成とし、故障検出手段53と故障重複検出判定手段61とをさらに備える構成としても良い。
また、コントローラ21Dを入力不一致検出手段55、入力偏差大検出手段56、出力不一致検出手段58および出力偏差大検出手段59と、故障検出手段53と故障重複検出判定手段61とを備える構成としても良い。
[第7の実施形態]
図8に本発明の第7の実施形態に係るディジタル制御装置の一実施例として制御対象をプラント機器(付随する計器類等も含む)とするディジタル制御装置20Gの構成を概略的に表した構成概略図を示す。
ディジタル制御装置20Gは、ディジタル制御装置20Eに対して、コントローラ21Cの代わりにコントローラ21Eを具備する点で異なるが、その他の点は、本質的に異ならない。そこで、ディジタル制御装置20Gの説明に際し、ディジタル制御装置20Eと本質的に異ならない箇所については、同じ符号を付して説明を省略する。尚、既に説明済みのディジタル制御装置20〜20Fの各装置と本質的に異ならない効果、変形例等についても省略する。
図8によれば、ディジタル制御装置20Gは、コントローラ21Eと、コントローラ21Eから出力される情報を表示するマンマシンインターフェイスであり表示手段としての表示部51と、出力選択手段とを具備する。コントローラ21Eは、コントローラ21Cに対して、信号時間差相殺手段としてのメモリ65をさらに備える。
コントローラ21Eのメモリ65は、コントローラ21Eから一旦出力されフィードバックして出力不一致検出手段58または出力偏差大検出手段59に入力されるフィードバック信号と演算手段(制御演算部37、検出器38および調節制御演算部40)から出力される出力信号との間に生じる時間差(以下、信号時間差とする)を相殺することを目的として設けられたものである。
信号時間差は、出力不一致検出手段58または出力偏差大検出手段59において誤検出の原因となるので、ディジタル制御装置の故障検出の信頼性の観点からできるだけ相殺することが望ましい。そこで、演算手段からの出力信号がメモリ65を経由して出力不一致検出手段58または出力偏差大検出手段59に入力されるように設けられる。また、メモリ65は、演算手段からの出力信号を信号時間差以上の任意時間記憶し、内蔵されるプログラムによって、信号時間差分だけ前に取り込んだ演算手段からの出力信号を出力不一致検出手段58または出力偏差大検出手段59へ出力する。
信号時間差相殺手段としてのメモリ65を演算手段と出力不一致検出手段58または出力偏差大検出手段59との間に設けることによって、コントローラ21Eから一旦出力されフィードバックして出力不一致検出手段58または出力偏差大検出手段59に入力されるフィードバック信号と演算手段から出力される出力信号との信号時間差を相殺することができ、コントローラ21Eの出力不一致検出手段58または出力偏差大検出手段59における不一致または偏差大検出の信頼性をより高めることができる。
このように構成されるディジタル制御装置20Gによれば、メモリ65を備えるコントローラ21Eを具備することにより、コントローラ21Eから一旦出力されフィードバックして出力不一致検出手段58または出力偏差大検出手段59に入力されるフィードバック信号と演算手段から出力される出力信号との信号時間差を相殺することができ、出力不一致検出手段58または出力偏差大検出手段59における不一致または偏差大検出の信頼性をより高めることができる。
[第8の実施形態]
図9に本発明の第8の実施形態に係るディジタル制御装置の一実施例として制御対象をプラント機器(付随する計器類等も含む)とするディジタル制御装置20Hの構成を概略的に表した構成概略図を示す。
ディジタル制御装置20Hは、ディジタル制御装置20Gに対してコントローラ21Eの信号時間差相殺手段がメモリ65の代わりにタイマ67となる点で異なるが、その他の点は、本質的に異ならない。そこで、ディジタル制御装置20Hの説明に際し、ディジタル制御装置20Gと本質的に異ならない箇所については、同じ符号を付して説明を省略する。尚、既に説明済みのディジタル制御装置20〜20Gの各装置と本質的に異ならない効果、変形例等についても省略する。
図9によれば、ディジタル制御装置20Hは、コントローラ21Eと、コントローラ21Eから出力される情報を表示するマンマシンインターフェイスであり表示手段としての表示部51と、出力選択手段とを具備する。ディジタル制御装置20Hのコントローラ21Eは、信号時間差相殺手段としてのメモリ65の代わりにタイマ67を備える。
コントローラ21Eのタイマ67は、コントローラ21Eから一旦出力されフィードバックして出力不一致検出手段58または出力偏差大検出手段59に入力されるフィードバック信号と演算手段(制御演算部37、検出器38および調節制御演算部40)から出力される出力信号との信号時間差を相殺することを目的として設けられている点はメモリ65と同様である。また、タイマ67は、出力不一致検出手段58とディジタル信号出力部42との間または出力偏差大検出手段59とアナログ信号出力部43との間に設けられ、出力不一致検出手段58または出力偏差大検出手段59の出力信号がタイマ67に入力される。
タイマ67は、出力不一致検出手段58または出力偏差大検出手段59からの出力信号(ON信号)が入力されると、入力されてから信号時間差と同じ時間またはそれ以上の時間が経過した後にスイッチが入り、入力されたON信号の出力を行うように設定される。つまり、出力不一致検出手段58または出力偏差大検出手段59からON信号が入力されても、信号時間差と同じ時間が経過する前にON信号がなくなった(OFF信号となった)場合には、タイマ67のスイッチが入らないので、ON信号の出力はなされない。
このようなタイマ67を出力不一致検出手段58とディジタル信号出力部42との間または出力偏差大検出手段59とアナログ信号出力部43との間に設けることで、タイマ67が信号時間差により一時的に生じた出力不一致検出手段58または出力偏差大検出手段59からのON出力信号(誤検出)を無視することができ、実質的にコントローラ21Eの出力信号をフィードバックしたフィードバック信号と演算手段からの出力信号との信号時間差を相殺することができる。
このように構成されるディジタル制御装置20Hによれば、信号時間差相殺手段としてのタイマ67を備えるコントローラ21Eを具備することによって、コントローラ21Eから一旦出力されフィードバックして出力不一致検出手段58または出力偏差大検出手段59に入力されるフィードバック信号と演算手段から出力される出力信号との比較を行い、不一致または偏差大を検出した後、所定時間(信号時間差以上の任意時間)を設定したタイマ時間経過後に出力を行うことにより、信号時間差を考慮した監視を行うことができる。
[第9の実施形態]
図10に本発明の第9の実施形態に係るディジタル制御装置の一実施例として制御対象をプラント機器(付随する計器類等も含む)とするディジタル制御装置20Iの構成を概略的に表した構成概略図を示す。
ディジタル制御装置20Iは、ディジタル信号に関する信号入出力部、すなわち、ディジタル信号入力部25およびディジタル信号出力部42の少なくとも一方の保守点検試験を行うように構成される。図10に示すディジタル制御装置20Iは、ディジタル信号入力部25およびディジタル信号出力部42の両方について、保守点検試験が可能に構成された実施例を示したものである。
図10に示すディジタル制御装置20Iは、ディジタル制御装置20に対して、コントローラ21の代わりにディジタル試験回路69を備えたコントローラ21Fを具備する点と、選択スイッチ50、表示部51、試験用スイッチ70、通常/試験切替信号生成手段71および通常/試験切替スイッチ72を具備する点とで異なるが、その他の点は、本質的に異ならない。
そこで、ディジタル制御装置20Iの説明に際し、ディジタル制御装置20と本質的に異ならない箇所については、同じ符号を付して説明を省略する。尚、既に説明済みのディジタル制御装置20〜20Hの各装置と本質的に異ならない効果、変形例等についても省略する。
図10によれば、ディジタル制御装置20Iは、コントローラ21Fと、コントローラ21Fから出力される情報を表示するマンマシンインターフェイスであり表示手段としての表示部51と、出力選択手段と、信号伝送系切替選択手段としての選択スイッチ50と、保守点検試験の未実施(通常運用時)か実施かを選択する通常/試験選択手段としての試験用スイッチ70と、通常運用時と試験時とに応じて信号経路を切り替えるスイッチ切替信号を生成する通常/試験切替信号生成手段71と、通常運用時と試験時とに応じて信号経路を切り替える通常/試験切替手段としての通常/試験切替スイッチ72とを具備する。
ディジタル制御装置20Iのコントローラ21Fは、コントローラ21に対して、ディジタル信号入力部25とディジタル信号出力部42におけるDI1およびDI2の保守点検試験を行うディジタル試験回路69をさらに備える。
ディジタル信号入力部25を保守点検試験するディジタル試験回路(以下、入力側ディジタル試験回路とする)69には、選択スイッチ50、試験用スイッチ70および通常/試験切替スイッチ72からの出力信号が入力される。また、ディジタル信号出力部42を保守点検試験するディジタル試験回路(以下、出力側ディジタル試験回路とする)69には、選択スイッチ50、試験用スイッチ70からの出力信号が入力される。
このように構成されるディジタル制御装置20Iにおいて、ディジタル信号入力部25について保守点検試験を実施する場合には、まず、ユーザ(試験実施者)が、試験用スイッチ70を試験実施側(ON)に切り替える。すると、試験用スイッチ70のスイッチ状態(ON)および選択スイッチ50のスイッチ状態が通常/試験切替信号生成手段71に入力される。
通常/試験切替信号生成手段71では、2つのAND機能31および1つのNOT機能63を用いて論理演算を行う。一方のAND機能31には、試験用スイッチ70および選択スイッチ50のスイッチ状態がそのまま入力され、他方のAND機能31には、試験用スイッチ70のスイッチ状態はそのまま、選択スイッチ50のスイッチ状態はNOT機能63を介して反転されて入力される。
2つのAND機能31が論理演算した結果は、通常/試験切替信号生成手段71からの信号出力、すなわち、通常/試験切替スイッチ72の通常時側(OFF)と試験時側(ON)との切り替えを行うスイッチ切替信号として出力される。試験用スイッチ70および選択スイッチ50のスイッチ状態がそのまま入力されたAND機能31からのスイッチ切替信号は、1系側のスイッチを切り替える通常/試験切替スイッチ72に、他方のAND機能31からのスイッチ切替信号は、2系側のスイッチを切り替える通常/試験切替スイッチ72に入力される。
通常/試験切替スイッチ72は、入力されるスイッチ切替信号によって、現在、選択スイッチ50が選択している信号伝送系では、現在の状態(制御対象を制御している状態)を維持し、逆の信号伝送系では、試験するようにスイッチを試験側(ON)に切り替える。例えば、選択スイッチ50が1系を選択している場合には、1系側の通常/試験切替スイッチ72には、0(OFF信号)が出力されることになり、通常/試験切替スイッチ72は通常時側(OFF)となる。一方、2系側の通常/試験切替スイッチ72に1(ON信号)が入力され、通常/試験切替スイッチ72が試験側(ON)に切り替わる。
一方、試験用スイッチ70および選択スイッチ50のスイッチ状態は、ディジタル試験回路69にも入力され、試験用スイッチ70から試験実施側(ON)の信号が入力されると、ディジタル試験回路69に内蔵される試験プログラム(図は省略)が選択スイッチ50が選択していない信号伝送系に試験用信号の出力を開始して保守点検試験を実施する。例えば、ディジタル試験回路69から出力される試験用信号は、ONまたはOFFが所定の時間、ステップ的に出力される。
ディジタル試験回路69から出力される試験用信号は、ディジタル信号出力部42のDO1およびDO2を介してコントローラ21Fの外部に出力された後、通常/試験切替スイッチ72に入力される。通常/試験切替スイッチ72がONの場合には、ディジタル試験回路69からディジタル信号出力部42を介して入力された試験用信号がディジタル信号入力部25に入力されることとなり、通常/試験切替スイッチ72がOFFの場合には、試験用信号は、ディジタル信号入力部25に入力されない。
また、ディジタル試験回路69は、試験結果の判定をマンマシンインターフェイス装置としての表示部51に出力するとともに、試験の結果を内蔵されるメモリ(図は省略)に記憶し格納することができる。従って、保守支援装置75と電気的に接続し、保守支援装置75からディジタル試験回路69のメモリ読出しを実施することにより試験結果を確認することができる。
一方、ディジタル信号出力部42について保守点検試験を実施する場合には、まず、ユーザ(試験実施者)が、試験用スイッチ70を試験実施側(ON)に切り替える。すると、試験用スイッチ70のスイッチ状態(ON)および選択スイッチ50のスイッチ状態がディジタル信号入力部25を介して、ディジタル試験回路69に入力される。
ディジタル試験回路69に試験用スイッチ70から試験実施側(ON)の信号が入力されると、ディジタル試験回路69に内蔵される試験プログラム(図は省略)が選択スイッチ50が選択していない信号伝送系に試験用信号の出力を開始して保守点検試験を実施する。
このように構成されるディジタル制御装置20Iでは、試験実施時においても、選択スイッチで選択している一方の信号伝送系では、通常通り、制御対象であるプラント機器の運転(動作)を継続しつつ、他方の信号伝送系では、ディジタル信号入力部25およびディジタル信号出力部42の保守点検試験を実施することができる。
また、試験結果はディジタル試験回路69に内蔵されるメモリ(図は省略)に記憶されるため、試験結果の判定をマンマシンインターフェイス装置としての表示部51に出力または保守支援装置75と接続しメモリ読出しを実施することにより試験結果を確認することができる。従って、定期的に行う保守点検試験に要する人的作業を軽減することができる。
さらに、他の実施形態と組み合わせることにより、より効果的な保守点検試験を実施することができる。
尚、図10によれば、ディジタル制御装置20Iは、ディジタル信号入力部25およびディジタル信号出力部42の両方の保守点検試験を実施することができるように構成されているが、必ずしも両方の保守点検試験が実施できる実施形態に限定されない。つまり、ディジタル信号入力部25またはディジタル信号出力部42のみを保守点検試験するように構成されたディジタル制御装置20Iも本実施形態に係るディジタル制御装置として包含する。
例えば、ディジタル信号入力部25のみを保守点検試験するディジタル制御装置20Iの場合、コントローラ21Fに備えられる出力側ディジタル試験回路69と、コントローラ21Fの外部に設けられた試験用スイッチ70は不要となる。逆に、ディジタル信号出力部42のみを保守点検試験するディジタル制御装置20Iの場合、コントローラ21Fに備えられる入力側ディジタル試験回路69と、コントローラ21Fの外部に設けられた試験用スイッチ70、通常/試験切替信号生成手段71および通常/試験切替スイッチ72は不要となる。
また、図10によれば、保守点検装置75は、ディジタル試験回路69から試験結果の判定を読み出すマンマシンインターフェイス装置として、ディジタル制御装置20Iの外部に設けられているが、ディジタル制御装置20Iが具備しても良い。
さらに、保守点検装置75を具備するディジタル制御装置20Iにおいては、表示部51と保守点検装置75とを同一のマンマシンインターフェイス(例えば、タッチパネル)で構成しても良い。
[第10の実施形態]
図11に本発明の第10の実施形態に係るディジタル制御装置の一実施例として制御対象をプラント機器(付随する計器類等も含む)とするディジタル制御装置20Jの構成を概略的に表した構成概略図を示す。
ディジタル制御装置20Jは、アナログ信号に関する信号入出力部、すなわち、アナログ信号入力部26およびアナログ信号出力部43の少なくとも一方の保守点検試験を行うように構成される。つまり、ディジタル制御装置20Iがディジタル信号に関する信号入出力部の保守点検試験を行うのに対し、アナログ信号に関する信号入出力部の保守点検試験を行う点で相違する。
従って、ディジタル制御装置20Jは、ディジタル制御装置20Iのコントローラ21Fの代わりに、コントローラ21Gを具備する点と、選択スイッチ50や通常/試験切替スイッチ72から出力される信号の出力先が異なる点で異なるが、その他の点は本質的に異ならない。そこで、ディジタル制御装置20Jの説明に際し、ディジタル制御装置20Iと本質的に異ならない箇所については、同じ符号を付して説明を省略する。尚、既に説明済みのディジタル制御装置20〜20Iの各装置と本質的に異ならない効果、変形例等についても省略する。
ディジタル制御装置20Jは、ディジタル制御装置20Iのコントローラ21Fの代わりに、コントローラ21Gを具備する。コントローラ21Gは、コントローラ21Fに対して、ディジタル試験回路69の代わりにアナログ試験回路77を備える。
アナログ信号入力部26を保守点検試験するアナログ試験回路(以下、入力側アナログ試験回路とする)77には、選択スイッチ50、試験用スイッチ70および通常/試験切替スイッチ72からの出力信号が入力される。また、アナログ信号出力部42を保守点検試験するアナログ試験回路(以下、出力側アナログ試験回路とする)77には、選択スイッチ50、試験用スイッチ70からの出力信号が入力される。
このように構成されるディジタル制御装置20Jにおいて、アナログ信号入力部26について保守点検試験を実施する場合には、まず、ユーザ(試験実施者)が、試験用スイッチ70を試験実施側(ON)に切り替える。すると、試験用スイッチ70のスイッチ状態(ON)および選択スイッチ50のスイッチ状態が、通常/試験切替信号生成手段71に入力される。
通常/試験切替信号生成手段71は、試験用スイッチ70のスイッチ状態(ON)および選択スイッチ50のスイッチ状態に基づいて、選択スイッチ50が選択していない信号伝送系を選択するスイッチ切替信号を生成する。そして、生成されたスイッチ切替信号を通常/試験切替スイッチ72に出力する。通常/試験切替スイッチ72は、入力されるスイッチ切替信号によって、現在、選択スイッチ50が選択している信号伝送系では、現在の状態(制御対象を制御している状態)を維持し、逆の信号伝送系では、試験するようにスイッチを試験側(ON)に切り替える。
一方、試験用スイッチ70および選択スイッチ50のスイッチ状態は、アナログ試験回路77にも入力され、試験用スイッチ70から試験実施側(ON)の信号が入力されると、アナログ試験回路77に内蔵される試験プログラム(図は省略)が選択スイッチ50が選択していない信号伝送系に試験用信号の出力を開始して保守点検試験を実施する。例えば、アナログ試験回路77から出力される試験用信号は、0%,25%,50%,75%,100%の出力で、所定の時間、ステップ的に出力される。
アナログ試験回路77から出力される試験用信号は、アナログ信号出力部43のAO1およびAO2を介してコントローラ21Fの外部に出力された後、通常/試験切替スイッチ72に入力される。通常/試験切替スイッチ72に入力され、出力される試験用信号は、現在、選択スイッチ50が選択している信号伝送系には出力されず、逆の信号伝送系にのみ出力される。
また、アナログ試験回路77は、試験結果の判定をマンマシンインターフェイス装置としての表示部51に出力するとともに、試験の結果を内蔵されるメモリ(図は省略)に記憶し格納することができる。従って、保守支援装置75と電気的に接続し、保守支援装置75からアナログ試験回路77のメモリ読出しを実施することにより試験結果を確認することができる。
一方、アナログ信号出力部43について保守点検試験を実施する場合には、まず、ユーザ(試験実施者)が、試験用スイッチ70を試験実施側(ON)に切り替える。すると、試験用スイッチ70のスイッチ状態(ON)および選択スイッチ50のスイッチ状態がディジタル信号入力部25を介して、アナログ試験回路77に入力される。アナログ試験回路77に試験用スイッチ70から試験実施側(ON)の信号が入力されると、アナログ試験回路77に内蔵される試験プログラム(図は省略)が選択スイッチ50が選択していない信号伝送系に試験用信号の出力を開始して保守点検試験を実施する。
このように構成されるディジタル制御装置20Jでは、試験実施時においても、選択スイッチで選択している一方の信号伝送系では、通常通り、制御対象であるプラント機器の運転(動作)を継続しつつ、他方の信号伝送系では、アナログ信号入力部26およびアナログ信号出力部42の保守点検試験を実施することができる。
また、試験結果はアナログ試験回路77に内蔵されるメモリ(図は省略)に記憶されるため、試験結果の判定をマンマシンインターフェイス装置としての表示部51に出力または保守支援装置75と接続しメモリ読出しを実施することにより試験結果を確認することができる。従って、定期的に行う保守点検試験に要する人的作業を軽減することができる。
さらに、他の実施形態と組み合わせることにより、より効果的な保守点検試験を実施することができる。
尚、図11によれば、ディジタル制御装置20Jは、アナログ信号入力部26およびアナログ信号出力部43の両方の保守点検試験を実施することができるように構成されているが、必ずしも両方の保守点検試験が実施できる実施形態に限定されない点は、ディジタル制御装置20Iと同様である。
尚、アナログ試験回路77から出力される試験用信号は、0%,25%,50%,75%,100%の出力で、所定の時間、ステップ的に出力されるとしたが、これは、一例であり、出力の割合、信号の出力ステップ数、出力時間等は任意でも良い。
[第11の実施形態]
図12に本発明の第11の実施形態に係るディジタル制御装置の一実施例として制御対象をプラント機器(付随する計器類等も含む)とするディジタル制御装置20Kの構成を概略的に表した構成概略図を示す。
ディジタル制御装置20Kは、ディジタル制御装置20Iに対して、信号伝送系切替選択手段としての選択スイッチ50の代わりに選択スイッチ50B、通常/試験選択手段としての試験用スイッチ70の代わりに試験用スイッチ70Aを具備する点で異なるが、その他の点は、本質的に異ならない。
そこで、ディジタル制御装置20Kの説明に際し、ディジタル制御装置20Iと本質的に異ならない箇所については、同じ符号を付して説明を省略する。尚、既に説明済みのディジタル制御装置20〜20Jの各装置と本質的に異ならない効果、変形例等についても省略する。
図12によれば、ディジタル制御装置20Kは、コントローラ21Fと、表示手段としての表示部51と、出力選択手段と、信号伝送系切替選択手段としての選択スイッチ50Bと、通常/試験選択手段としての試験用スイッチ70Aと、通常/試験切替信号生成手段71と、通常/試験切替スイッチ72とを具備する。
選択スイッチ50Bは、試験用スイッチ70Aからのスイッチ状態を信号として受信して、自動的に1系または2系の選択を行うように構成される一方、試験用スイッチ70Aは、試験用スイッチ70に対し、試験を実施する信号伝送系(1系または2系)の選択を行い得るように構成される。
このように構成されるディジタル制御装置20Kにおいて、保守点検試験を実施する場合には、まず、ユーザ(試験実施者)が、試験用スイッチ70Aをスイッチ操作して試験実施側(ON)に切り替えるとともに、試験を実施したい信号伝送系を選択する。すると、試験用スイッチ70Aから選択スイッチ50Bに保守点検試験を実施する信号伝送系について信号出力される。
選択スイッチ50Bは、試験用スイッチ70Aから出力される信号を受信して、試験用スイッチ70Aが選択している信号伝送系、すなわち、保守点検試験を実施する信号伝送系とは逆の信号伝送系を自動的に選択する。選択スイッチ50Bが制御対象であるプラント機器に信号を伝送する信号伝送系を自動的に選択すると、試験用スイッチ70Aが選択した信号伝送系では、ディジタル試験回路69が保守点検試験を開始し、選択スイッチ50Bが選択した他方の信号伝送系では、制御対象であるプラント機器に信号の伝送を継続する。
尚、ディジタル試験回路69が保守点検試験を開始するのは、安全を考慮し、制御対象であるプラント機器に信号の伝送がなされ、運転(動作)が継続していることを確認した後に行うようにする。
このように構成されるディジタル制御装置20Kでは、ディジタル制御装置20Iの試験用スイッチ70および選択スイッチ50に代わり、試験用スイッチ70Aおよび選択スイッチ50Bを具備することで、試験用スイッチ70Aに試験を実施したい信号伝送系を入力することで、選択スイッチ50Bが制御対象であるプラント機器に信号の伝送を継続する信号伝送系を自動的に選択することができる。
つまり、ユーザ(試験実施者)が、試験用スイッチ70Aに保守点検試験の実施およびその試験を実施したい信号伝送系を入力すると、試験用スイッチ70Aが選択する信号伝送系では保守点検試験が開始され、選択スイッチ50Bが選択した他方の信号伝送系では、制御対象であるプラント機器に信号の伝送を継続し、運転(動作)を継続することができる。
尚、ディジタル制御装置20Kは、ディジタル制御装置20Iの試験用スイッチ70および選択スイッチ50に代わり、試験用スイッチ70Aおよび選択スイッチ50Bを具備しているが、ディジタル制御装置20Jまたは、ディジタル制御装置20Iおよびディジタル制御装置20Jの両者を組み合わせたディジタル制御装置に適用しても良い。
[第12の実施形態]
図13に本発明の第12の実施形態に係るディジタル制御装置の一実施例として制御対象をプラント機器(付随する計器類等も含む)とするディジタル制御装置20Lの構成を概略的に表した構成概略図を示す。
ディジタル制御装置20Lは、ディジタル制御装置20Kに対して、コントローラ21Fの代わりにコントローラ21Hを具備する点と、選択スイッチ50Bの代わりに選択スイッチ50Cを具備する点と、試験スイッチ70Aの代わりに試験スイッチ70Bを具備する点で異なるが、その他の点は、本質的に異ならない。
そこで、ディジタル制御装置20Lの説明に際し、ディジタル制御装置20Kと本質的に異ならない箇所については、同じ符号を付して説明を省略する。尚、既に説明済みのディジタル制御装置20〜20Kの各装置と本質的に異ならない効果、変形例等についても省略する。
図13によれば、ディジタル制御装置20Lは、コントローラ21Hと、表示手段としての表示部51と、出力選択手段と、信号伝送系切替選択手段としての選択スイッチ50Cと、通常/試験選択手段としての試験用スイッチ70Bと、通常/試験切替信号生成手段71と、通常/試験切替スイッチ72とを具備する。コントローラ21Hは、コントローラ21Fに対して、故障検出手段53をさらに備える。
選択スイッチ50Cは、基本的な機能については選択スイッチ50Bと同様であるが、コントローラ21Hの故障検出手段53が信号伝送系の故障を検出し出力した故障検出信号(1系I/O故障検出信号または2系I/O故障検出信号)を受信すると、故障が検出されていない信号伝送系を選択する点が相違する。
また、試験用スイッチ70Bは、基本的な機能については試験用スイッチ70Aと同様であるが、コントローラ21Hの故障検出手段53が信号伝送系の故障を検出し出力した故障検出信号(1系I/O故障検出信号または2系I/O故障検出信号)を受信すると、スイッチ状態を通常運用時側、すなわち、試験未実施側(OFF)に切り替える点が相違する。
このように構成されるディジタル制御装置20Lは、ディジタル制御装置20Kに対して、コントローラ21Fの代わりにコントローラ21Hを、選択スイッチ50Bの代わりに選択スイッチ50Cを、試験スイッチ70Aの代わりに試験スイッチ70Bを具備することで、保守点検試験の実施中において、コントローラ21Hの故障検出手段53が信号伝送系の故障を検出した場合、試験スイッチ70Bがスイッチ状態を通常運用、すなわち、試験未実施側(OFF)に切り替えるので、自動的に試験を中断することができる。
また、ディジタル制御装置20Lは、試験スイッチ70Bがスイッチ状態を試験未実施側(OFF)に切り替えると共に選択スイッチ50Bが故障を検出していない信号伝送系を選択することができるので、故障が検出されていない信号伝送系を用いて制御対象であるプラント機器に信号の伝送を継続し、運転(動作)を継続することができる。
[第13の実施形態]
図14に本発明の第13の実施形態に係るディジタル制御装置の一実施例として制御対象をプラント機器(付随する計器類等も含む)とするディジタル制御装置20Mの構成を概略的に表した構成概略図を示す。
ディジタル制御装置20Mは、ディジタル制御装置20に対して、コントローラ21の代わりにコントローラ21Iを具備する点で異なるが、その他の点は、本質的に異ならない。そこで、ディジタル制御装置20Mの説明に際し、ディジタル制御装置20と本質的に異ならない箇所については、同じ符号を付して説明を省略する。尚、既に説明済みのディジタル制御装置20〜20Lと本質的に異ならない効果、変形例等についても省略する。
図14によれば、ディジタル制御装置20Mは、ディジタル制御装置20に対して、コントローラ21の代わりにコントローラ21Iを具備する。
コントローラ21Iは、ディジタル制御装置20Mの外部から信号を強制的に変更して入力する信号強制変更手段としての信号強制変更装置79が信号の強制変更を行うポイント(以下、変更ポイントとする)が設定されている。変更ポイントは、例えば図14に示すαおよびβの様に、コントローラ21I内部における信号経路上に設定され、設定数は任意である。
信号強制変更装置79は、マンマシンインターフェイスであり、ユーザがコントローラ21I内部に設定された変更ポイントを選択することにより、強制的に変更ポイントに信号出力して変更ポイントにおける信号を変更する。変更対象となる信号がディジタル信号の場合にはONまたはOFFに強制的に変更され、アナログ信号の場合には、予め設定した任意値に変更される。また、信号強制変更装置79の表示部(図は省略)には、変更ポイントの状態や強制変更中である旨が表示される。
このように構成されるディジタル制御装置20Mは、信号強制変更手段としての信号強制変更装置79から信号の強制変更が可能な変更ポイントを予め設定したコントローラ21Iを具備することで、変更ポイントにおいて変更対象となる信号をディジタル信号の場合にはONまたはOFF、アナログ信号の場合には、予め設定した任意値に強制的に変更することができる。
また、信号強制変更装置79は、変更ポイントの状態、強制変更中であるか否かが表示されるので、例えば、検出器38の様な構成要素単位の試験時において、誤出力を防止することができる。
尚、信号強制変更装置79は、ディジタル制御装置20Mの外部装置として説明したが、ディジタル制御装置20Mが具備する構成でも良い。また、ディジタル制御装置20Mが信号強制変更装置79を具備している場合において、表示部51および信号強制変更装置79を同一のマンマシンインターフェイス(例えば、タッチパネル)で構成しても良い。
[第14の実施形態]
図15に本発明の第14の実施形態に係るディジタル制御装置の一実施例として制御対象をプラント機器(付随する計器類等も含む)とするディジタル制御装置20Nの構成を概略的に表した構成概略図を示す。
ディジタル制御装置20Nは、ディジタル制御装置20に対して、コントローラ21の代わりにコントローラ21Jを具備する点で異なるが、その他の点は、本質的に異ならない。そこで、ディジタル制御装置20Nの説明に際し、ディジタル制御装置20と本質的に異ならない箇所については、同じ符号を付して説明を省略する。尚、既に説明済みのディジタル制御装置20〜20Lの各装置と本質的に異ならない効果、変形例等についても省略する。
図15によれば、ディジタル制御装置20Nは、コントローラ21Jと、出力選択手段としてのディジタル出力選択部45およびアナログ出力選択部46を具備する。コントローラ21Jは、コントローラ21に対し、バージョン情報を検出するバージョン情報管理手段81をさらに備える構成であり、換言すれば、コントローラ21Jは、コントローラ21に対応するコントローラ制御部82と、バージョン情報管理手段81とを備える。
コントローラ21Jのバージョン情報管理手段81は、コントローラ21J内のコントローラ制御部82の各構成要素、すなわち、信号入力手段、演算手段および信号出力手段に対してバージョン情報を検出する。そして、検出したバージョン情報を記憶し格納する。コントローラ21Jに記憶されたバージョン情報は、コントローラ21Jとバージョン情報読出手段としての保守支援装置75とを電気的に接続することで、ユーザが保守支援装置75から読み出して確認することができる。
このように構成されるディジタル制御装置20Nによれば、コントローラ21Jを具備することにより、コントローラ21Jが検出し記憶したバージョン情報をユーザが保守支援装置75から読み出して確認することができる。
従って、故障箇所の復旧時に故障箇所のバージョン情報を台帳にて確認する場合と比べ、バージョン情報の確認が容易かつ正確となり、故障箇所の復旧時に故障箇所のバージョン情報を台帳にて確認する場合に生じ得る確認したバージョン情報と故障箇所のバージョン情報との齟齬発生を防止し、故障からの復旧時間の削減を図ることができる。
以上、本発明に係るディジタル制御装置によれば、ディジタル信号入力部25、アナログ信号入力部26、ディジタル信号出力部42およびアナログ信号出力部43において故障が発生しても、従来のディジタル制御装置と異なり、一方の信号入出力部が健全であれば、制御対象であるプラント機器を安全方向に動作させることができる。
つまり、2つの信号入出力部が同時に故障しない限り制御対象であるプラント機器を安全方向に動作制御することができるので、従来のディジタル制御装置と比べて制御対象であるプラント機器の運転(動作)継続が困難となる確率をより低く抑えることができる。
また、保守点検試験実施時においては、一方の信号伝送系では、制御対象の制御を継続しつつ、他方の信号伝送系では、保守点検試験を実施することができる。さらに、ディジタル試験回路69およびアナログ試験回路77に内蔵されるメモリに試験結果が記憶されるため、表示部51に出力または保守支援装置75と接続しメモリ読出しを実施することにより試験結果を確認することができ、定期的に行う保守点検試験に要する人的作業を軽減することができる。