JP2005208079A - 液晶表示素子及び同素子を用いた液晶プロジェクタ装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】熱伝導率の大きいサファイア透光体を用いることなく放熱性を向上させた液晶表示素子及び同素子を用いた液晶プロジェクタ装置を提供する。
【解決手段】透光体を透過させた光を照射して画像を投影する液晶プロジェクタ装置において、光路上に設けたレンズ、偏光子支持基板、若しくは液晶表示素子の駆動基板、対向基板、防塵基板等の透光体の少なくともいずれか一つに複屈折のない透光性複酸化物結晶体を用いる。特に、液晶表示素子の少なくとも入射側に設けた防塵基板に複屈折のない透光性複酸化物結晶体を用いる。透光性複酸化物結晶体は単結晶YAG、または多結晶YAG、または単結晶MgAl2O4(スピネル)、または多結晶MgAl2O4のいずれかとする。透光性複酸化物結晶体にはいすれか一方の表面に反射防止膜を設ける。
【選択図】図2
【解決手段】透光体を透過させた光を照射して画像を投影する液晶プロジェクタ装置において、光路上に設けたレンズ、偏光子支持基板、若しくは液晶表示素子の駆動基板、対向基板、防塵基板等の透光体の少なくともいずれか一つに複屈折のない透光性複酸化物結晶体を用いる。特に、液晶表示素子の少なくとも入射側に設けた防塵基板に複屈折のない透光性複酸化物結晶体を用いる。透光性複酸化物結晶体は単結晶YAG、または多結晶YAG、または単結晶MgAl2O4(スピネル)、または多結晶MgAl2O4のいずれかとする。透光性複酸化物結晶体にはいすれか一方の表面に反射防止膜を設ける。
【選択図】図2
Description
本発明は、液晶表示素子及び同素子を用いた液晶プロジェクタ装置に関するものである。
従来、液晶表示素子に所要の画像を表示させ、この液晶表示素子の一方から光を照射することによって画像を投影する液晶プロジェクタ装置が知られている。
このような液晶プロジェクタ装置では、昨今、画質向上の要求にともなって光源にメタルハライドランプやキセノンランプ等の高出力のランプが使用されており、光の照射にともなって液晶表示素子及び光路上に位置するレンズや偏光板等の透光体が加熱して特性低下が生じることを抑制するために、液晶プロジェクタ装置の内部を冷却する冷却手段が設けられている。
このような冷却手段の一つとして、冷却ファンにより熱を帯びた空気を排気したり、あるいは液晶表示素子等の所要の透光体に冷却風を送気したりして冷却する方法があるが、光源のランプの高出力化にともなって冷却ファンだけの冷却能力では不十分となっていた。
そこで、透光体に熱伝導率の大きい放熱ガラス等を用いることにより放熱性を向上させることが行われており、特に、放熱ガラスとして透光性酸化物結晶体であるサファイア透光体を用いた場合には、このサファイア透光体の熱伝導率が約42W/m・Kと極めて大きいことによって効率よく冷却可能としている(例えば、特許文献1参照。)。
特許第23091183号公報
しかしながら、サファイア透光体を用いた場合には、サファイア透光体の硬度が高く、光学研磨及び切断等の加工が難しいために、サファイア透光体が一般的な放熱ガラスと比較して高価であるので製造コストが高騰し、液晶表示素子及び同素子を用いた液晶プロジェクタ装置を低価格で提供することが極めて困難となっていた。
しかも、サファイア透光体には複屈折があるために、サファイア透光体を用いる場合には、サファイア透光体を偏光透過軸に合わせて貼着する必要があり、液晶表示素子の防塵基板にサファイア透光体を用いた場合には装着作業に高精度が要求されることによっても、製造コストが高騰することとなっていた。
そこで、本発明者は、サファイア透光体を用いることなく放熱性を向上させるように研究開発を行い、本発明を成すに至ったものである。
本発明の液晶表示素子では、液晶を挟んで対向させた駆動基板と対向基板とに防塵基板を貼着した液晶表示素子において、少なくとも一方の防塵基板に複屈折のない透光性複酸化物結晶体を用いた。
また、本発明の液晶プロジェクタ装置では、透光体を透過させた光を照射して画像を投影する液晶プロジェクタ装置において、透光体に複屈折のない透光性複酸化物結晶体を用いた。
さらに、以下の点にも特徴を有するものである。すなわち、
(1)透光体は、光路上に設けたレンズ、偏光子支持基板、若しくは液晶表示素子の駆動基板、対向基板、防塵基板の少なくともいずれか一つであること。
(2)透光体は、液晶表示素子の少なくとも入射側に設けた防塵基板であること。
(3)複屈折のない透光性複酸化物結晶体の少なくとも一方の表面に反射防止膜を設けたこと。
(4)複屈折のない透光性複酸化物結晶体を単結晶YAG(Yttrium Aluminum Garnet)、または多結晶YAG、または単結晶MgAl2O4(スピネル)、または多結晶MgAl2O4のいずれかとしたこと。
(1)透光体は、光路上に設けたレンズ、偏光子支持基板、若しくは液晶表示素子の駆動基板、対向基板、防塵基板の少なくともいずれか一つであること。
(2)透光体は、液晶表示素子の少なくとも入射側に設けた防塵基板であること。
(3)複屈折のない透光性複酸化物結晶体の少なくとも一方の表面に反射防止膜を設けたこと。
(4)複屈折のない透光性複酸化物結晶体を単結晶YAG(Yttrium Aluminum Garnet)、または多結晶YAG、または単結晶MgAl2O4(スピネル)、または多結晶MgAl2O4のいずれかとしたこと。
請求項1記載の発明によれば、液晶を挟んで対向させた駆動基板と対向基板とに防塵基板を貼着した液晶表示素子において、少なくとも一方の防塵基板に複屈折のない透光性複酸化物結晶体を用いたことによって、放熱性の高い防塵基板を低コストで形成することができるので、サファイア透光体を用いた場合よりも液晶表示素子の製造コストを低減させながら、所要の冷却効果を得ることができる。したがって、液晶表示素子の長寿命化を図ることができる。
請求項2記載の発明によれば、透光体を透過させた光を照射して画像を投影する液晶プロジェクタ装置において、透光体に複屈折のない透光性複酸化物結晶体を用いたことによって、この透光体の組み付け作業を簡便としながら冷却効率を向上させることができ、液晶プロジェクタ装置の製造コストを低減させることができる。
請求項3記載の発明によれば、透光体を、光路上に設けたレンズ、偏光子支持基板、または液晶表示素子の駆動基板、対向基板、防塵基板の少なくともいずれか一つとしたことによって、この透光体の放熱性を向上させることができ、画質劣化を抑制できる。
請求項4記載の発明によれば、透光体を、液晶表示素子の少なくとも入射側に設けた防塵基板としたことによって、液晶表示素子において最も高温となる領域の放熱性を向上させて液晶表示素子を冷却することができ、液晶表示素子を効率よく冷却することができる。
請求項5記載の発明によれば、複屈折のない透光性複酸化物結晶体の少なくとも一方の表面に反射防止膜を設けたことによって、照射された光の反射による損失を低減させて可視光領域以上の直線透過率を高めることができるとともに、透光性複酸化物結晶体の熱膨張の均質化を図ることができ、透光体の熱膨張にともなう画質劣化を抑止できる。
請求項6記載の発明によれば、複屈折のない透光性複酸化物結晶体を単結晶YAG、または多結晶YAG、または単結晶MgAl2O4、または多結晶MgAl2O4のいずれかとしたことによって、十分な可視光領域以上の直線透過率を有するとともに高い熱伝導率を有しており、しかも低価格で安定的に入手可能であるので、液晶プロジェクタ装置の製造コストを低減させることができる。
本発明の液晶表示素子及び同素子を用いた液晶プロジェクタ装置では、光が透過する透光体に複屈折のない透光性複酸化物結晶体を用いているものである。したがって、この透光体の組み付け作業を簡便とすることができ、液晶プロジェクタ装置の製造コストを低減させることができる。
透光体とは、光路上に設けたレンズ、偏光子支持基板、または液晶表示素子の駆動基板、対向基板、防塵基板等の光を透過させる透明材料であって、これらの少なくともいずれか一つを複屈折のない透光性複酸化物結晶体を用いることにより、透光体の放熱性を向上させることができ、効率よく冷却して画質劣化を抑制できる。
特に、液晶表示素子の少なくとも入射側に設けた防塵基板を複屈折のない透光性複酸化物結晶体で構成した場合には、液晶表示素子において最も高温となる領域の放熱性を向上させて液晶表示素子を冷却することができるので、液晶表示素子を効率よく冷却して液晶表示素子の長寿命化を図ることができる。
しかも、複屈折のない透光性複酸化物結晶体の少なくとも一方の表面に反射防止膜を設けた場合には、照射された光の反射による損失を低減させて可視光領域以上の直線透過率を高めることができる。
そして、これらを組み合わせることにより、次のような液晶プロジェクタ装置を実現できる。
(1)入射側より、反射防止膜を設けた複屈折のない透光性複酸化物結晶体の防塵基板/透光性の対向基板/液晶層/透光性の駆動基板/反射防止膜を設けた複屈折のない透光性複酸化物結晶体の防塵基板を順次設けた液晶表示素子の透過型液晶プロジェクタ装置。
(2)入射側より、反射防止膜を設けた複屈折のない透光性複酸化物結晶体の防塵基板/透光性の対向基板/液晶層/非透光性の駆動基板を順次設けた液晶表示素子の反射型液晶プロジェクタ装置。
(1)入射側より、反射防止膜を設けた複屈折のない透光性複酸化物結晶体の防塵基板/透光性の対向基板/液晶層/透光性の駆動基板/反射防止膜を設けた複屈折のない透光性複酸化物結晶体の防塵基板を順次設けた液晶表示素子の透過型液晶プロジェクタ装置。
(2)入射側より、反射防止膜を設けた複屈折のない透光性複酸化物結晶体の防塵基板/透光性の対向基板/液晶層/非透光性の駆動基板を順次設けた液晶表示素子の反射型液晶プロジェクタ装置。
さらに、複屈折のない透光性複酸化物結晶体として単結晶YAG、または多結晶YAG、または単結晶MgAl2O4、または多結晶MgAl2O4のいずれかを用いた場合には、次のような構成による高輝度、高精細、高品質の液晶プロジェクタ装置を実現できる。
(1)入射側より、反射防止膜を設けた複屈折のない単結晶YAGまたは多結晶YAGまたは単結晶スピネルまたは多結晶スピネルのいずれかからなる防塵ガラス/石英ガラス又は透明結晶化ガラスからなる対向基板/液晶層/石英ガラスからなる駆動基板/反射防止膜を設けた複屈折のない単結晶YAGまたは多結晶YAGまたは単結晶スピネルまたは多結晶スピネルのいずれかからなる防塵ガラスを順次設けた液晶表示素子の透過型液晶プロジェクタ装置。
(2)入射側より、反射防止膜を設けた複屈折のない単結晶YAGまたは多結晶YAGまたは単結晶スピネルまたは多結晶スピネルのいずれかからなる防塵ガラス/石英ガラス又は透明結晶化ガラスからなる対向基板/液晶層/単結晶Siからなる駆動基板を順次設けた液晶表示素子の反射型液晶プロジェクタ装置。
(1)入射側より、反射防止膜を設けた複屈折のない単結晶YAGまたは多結晶YAGまたは単結晶スピネルまたは多結晶スピネルのいずれかからなる防塵ガラス/石英ガラス又は透明結晶化ガラスからなる対向基板/液晶層/石英ガラスからなる駆動基板/反射防止膜を設けた複屈折のない単結晶YAGまたは多結晶YAGまたは単結晶スピネルまたは多結晶スピネルのいずれかからなる防塵ガラスを順次設けた液晶表示素子の透過型液晶プロジェクタ装置。
(2)入射側より、反射防止膜を設けた複屈折のない単結晶YAGまたは多結晶YAGまたは単結晶スピネルまたは多結晶スピネルのいずれかからなる防塵ガラス/石英ガラス又は透明結晶化ガラスからなる対向基板/液晶層/単結晶Siからなる駆動基板を順次設けた液晶表示素子の反射型液晶プロジェクタ装置。
以下において、図面に基づいて本発明の実施形態を詳説する。
図1は、本実施形態の液晶プロジェクタ装置の概略説明図である。液晶プロジェクタ装置には、光源となるメタルハライドランプやキセノンランプ等の高出力のランプ1と、このランプ1から照射された光をグリーン(Green)光、レッド(Red)光、ブルー(Blue)光に分離するダイクロイックミラー2と、このダイクロイックミラー2で分離された各光の透光・遮光を制御して所要の画像を形成する画像形成部3と、この画像形成部3でそれぞれ形成された画像を合成するダイクロイックプリズム4と、このダイクロイックプリズム4で合成された画像を拡大投射する投射レンズ5とを設け、これらを所要のケーシング内に収容して液晶プロジェクタ装置を構成している。
さらに、ランプ1から照射された光の光路上には、必要に応じて光の単位面積あたりの光量を均一化するインテグレータレンズ6、及びインテグレータレンズ6で均一化された光の偏光をそろえるPS分離合成板7を設けており、必要に応じて光路上に適宜のレンズを設けてもよい。図1中、8は所要の光をそれぞれ屈折させるミラーである。
また、図示していないが、液晶プロジェクタ装置のケーシング内には、ケーシング内の熱を帯びた空気を排気する冷却ファン、またはケーシング内に外気を吸引してケーシング内部を冷却する冷却ファンを設けている。
画像形成部3は、液晶表示素子3aと、この液晶表示素子3aの入射側に設けた入射側偏光板3bと、液晶表示素子3aの出射側に設けた出射側偏光板3cとで構成しており、液晶表示素子3aは、図示していない制御部から入力された制御信号に基づいて液晶による偏光状態を変化させることにより透光・遮光を制御している。
入射側偏光板3b及び出射側偏光板3cは、それぞれ所要の向きに偏光軸を有する偏光子を透明な偏光子支持基板に装着して構成している。
図2は、液晶表示素子3aの断面模式図であり、液晶表示素子3aは、液晶10を挟んで対向させた駆動基板11と対向基板12と、駆動基板11に透明接着剤を介して貼着した駆動基板側防塵基板13と、対向基板12に透明接着剤を介して貼着した対向基板側防塵基板14と、このように駆動基板側防塵基板13、駆動基板11、対向基板12、対向基板側防塵基板14を重合させた重合体を収容する金属製の支持フレーム15とで構成している。
石英ガラス材で構成した駆動基板11には、図示しない所要の回路、画素電極及び液晶配向膜を形成し、必要に応じて液晶配向膜の液晶配向処理を行っている。
また、石英ガラス材や透明結晶化ガラス(日本電気硝子製ネオセラム(登録商標)等)材等で構成した対向基板12には、図示しない共通電極層及び液晶配向膜を形成し、必要に応じて液晶配向膜の液晶配向処理を行っている。
そして、駆動基板11と対向基板12とを所定の間隔で重ね合わせてシールすることにより空セルを形成し、この空セルに液晶を注入して封止した後に、必要に応じて液晶を所要の配向状態とする配向液晶配向熱処理を行って液晶パネルを形成している。
この液晶パネルの駆動基板11にはフレキシブル基板で構成した配線基板16を接続して、この配線基板16を介して図示しない制御部から出力された制御信号を駆動基板11に入力し、この制御信号に基づいて駆動基板11に設けた画素電極と、対向基板12に設けた共通電極層との間に所要の電位を印加して、駆動基板11と対向基板12との間に封入した液晶10の液晶分子を駆動させている。
図2中、17は駆動基板側防塵基板13を駆動基板11に貼着した際に硬化した透明接着剤からなる第1接着層であり、18は対向基板側防塵基板14を対向基板12に貼着した際に硬化した透明接着剤からなる第2接着層である。
上記した液晶プロジェクタ装置において、インテグレータレンズ6、偏光子支持基板、駆動基板11、対向基板12、駆動基板側防塵基板13、対向基板側防塵基板14等の透光体、さらには、ダイクロイックミラー2やミラー8を複屈折のない透光性複酸化物結晶体で構成した場合には、サファイア透光体よりも低コストで所定の冷却効率を得ることができる。
複屈折のない透光性複酸化物結晶体で構成する透光体は、上記の透光体のうち、冷却することが要求される少なくともいずれか一つであってもよいし、必要であればすべての透光体を複屈折のない透光性複酸化物結晶体で構成してもよい。
特に、複屈折のない透光性複酸化物結晶体を用いた場合には、サファイア透光体のような複屈折がないので、透光体の所定位置への組み付け作業において複屈折の生起を考慮することなく組み付け作業を行うことができ、液晶プロジェクタ装置の製造コストを低減させることができる。
また、インテグレータレンズ6を複屈折のない透光性複酸化物結晶体で構成した場合には、そのインテグレータレンズ6の表面に反射防止膜を設けることによって、光の透過率を向上させるとともに冷却効率を向上させたレンズとすることができる。
さらに、偏光子支持基板を少なくとも一方の表面に反射防止膜を設けた複屈折のない透光性複酸化物結晶体で構成した場合には、偏光子支持基板に複屈折がないことによって、フィルム状とした偏光子からなる偏光フィルムを偏光子支持基板に貼着する際にサファイア透光体等のように複屈折を考慮することなく貼着することができ、しかもこのようにして形成した偏光板の放熱性を向上させることができるので、冷却効率を向上させて偏光板としての機能の低下が生じることを抑制できる。
複屈折のない透光性複酸化物結晶体としては、具体的には、単結晶YAG、または多結晶YAG、または単結晶MgAl2O4、または多結晶MgAl2O4が望ましい。以下において、説明の便宜上、単結晶YAGと多結晶YAGとをまとめて「YAG」と称し、単結晶MgAl2O4、と多結晶MgAl2O4とをまとめて「スピネル」と称する。
透光性複酸化物結晶体としてYAGまたはスピネルを用いた場合には、十分な可視光領域以上の直線透過率を有するとともに高い熱伝導率を有しており、しかもサファイアと比較して特にYAGは低価格で安定的に入手可能であるので、液晶プロジェクタ装置の製造コストを低減させることができる。ちなみに、YAGは立方晶系のガーネット構造であり、例えば多結晶YAGの熱伝導率は約12W/m・K、スピネルは立方晶系のスピネル構造であり、例えば多結晶MgAl2O4の熱伝導率は約15W/m・Kである。なお、上記したサファイアを含め、熱伝導率の数値は測定サンプルバラツキや測定条件バラツキなどがあるので、常温での測定値の一例を示している。
本実施形態では、駆動基板側防塵基板13及び対向基板側防塵基板14には、平板状に形成したYAGからなるYAG板を用いている。
YAG板で構成した駆動基板側防塵基板13及び対向基板側防塵基板14の少なくとも一方の表面には、SiO2膜、TiO2膜、ZrO2膜、MgF2膜等の屈折率の異なる薄膜を1/4波長厚(0.1〜0.3μm)の厚みとして積層することにより反射防止膜19,20を形成している。この反射防止膜19,20の反射率は、波長450〜630nmの範囲において0.8%以下が好ましい。
反射防止膜19,20を形成したことによって、液晶表示素子3aに照射された光の反射による損失を低減させて可視光領域以上の直線透過率を高めることができるとともに、YAG板の熱膨張を均質化することができ、駆動基板側防塵基板13及び対向基板側防塵基板14の熱膨張にともなう画質劣化を抑止できる。
上記した駆動基板側防塵基板13及び対向基板側防塵基板14を、駆動基板11及び対向基板12にそれぞれ貼着する際に使用する透明接着剤には、ショアA硬度が30以下、望ましくは18〜25のものを使用し、第1接着層17及び第2接着層18の厚みが5〜50μm、望ましくは10〜20μmとなるようにしている。
したがって駆動基板側防塵基板13及び対向基板側防塵基板14を駆動基板11及び対向基板12にそれぞれ貼着しても液晶ギャップのニュートンリング変動を抑制することができる。
このように反射防止膜及び低ショアA硬度透明接着剤のそれぞれの効果、さらにはそれらの相乗効果により、高輝度、高画質、高信頼性の液晶プロジェクタ装置を実現することができる。
なお、透明接着剤には、紫外線照射硬化型接着剤、低温硬化併用の紫外線照射硬化型接着剤、可視光照射硬化型接着剤、低温硬化併用の可視光照射硬化型接着剤、低温硬化型接着剤等のいずれを用いてもよい。
上記したように駆動基板側防塵基板13、駆動基板11、対向基板12、対向基板側防塵基板14を重合させた重合体を支持フレーム15に収容する場合には、高熱伝導性モールド樹脂21を用いて重合体を支持フレーム15装着し、収容している。
したがって、駆動基板側防塵基板13及び対向基板側防塵基板14の熱は、冷却ファンで生起した空気流動によって放熱されるとともに、高熱伝導性モールド樹脂21を介して金属製の支持フレーム15に伝えられ、支持フレーム15によって放熱されることにより速やかに駆動基板側防塵基板13及び対向基板側防塵基板14を冷却することができ、冷却効率を向上させることができる。
上記した実施形態では、駆動基板側防塵基板13と対向基板側防塵基板14の両方に、少なくとも一方の表面に反射防止膜を設けたYAG板を用いているが、液晶表示素子3aにおいて最も高温となる入射側の防塵基板、すなわち対向基板側防塵基板14だけに、少なくとも一方の表面に反射防止膜を設けたYAG板を用い、駆動基板側防塵基板13には、少なくとも一方の表面に反射防止膜を設けた石英ガラス板を用いることによって製造コストの低減を図ってもよい。
すなわち、一般に駆動基板は石英ガラス材を用いて構成されることが多く、熱膨張係数の差による熱ストレスの低減の観点から、駆動基板に貼り合せる防塵基板として、少なくとも一方の表面に反射防止膜を設けた石英ガラスとすることも可能である。
特に、少なくとも入射側の防塵基板に、少なくとも一方の表面に反射防止膜を設けたYAG板を用いることによって、大きな製造コスト増をまねくことなく液晶表示素子3aにおいて最も高温となる領域の放熱性を向上させて液晶表示素子3aを冷却することができ、液晶表示素子3aを効率よく冷却することができる。なお、YAG板の代わりにスピネルを平板状に形成したスピネル板であって、少なくとも一方の表面に反射防止膜を設けたスピネル板を用いてもよい。
インテグレータレンズ6をYAGまたはスピネルで構成した場合には、YAGまたはスピネルで構成したインテグレータレンズ6の表面には反射防止膜を設けることにより、光の透過率が高く、かつ冷却効率の高いレンズとすることができる。
また、偏光子支持基板をYAGまたはスピネルで構成した場合には、偏光子支持基板に複屈折がないことによって、フィルム状とした偏光子からなる偏光フィルムを偏光子支持基板に貼着する際にサファイア透光体等のように複屈折を考慮することなく貼着することができ、しかもこのようにして形成した偏光板の放熱性を向上させることができるので、冷却効率を向上させて偏光板としての機能の低下が生じることを抑制できる。
特に、このYAGまたはスピネルの少なくとも一方の表面に反射防止膜を設けることにより、光の透過率をさらに向上させることができるとともに、冷却効率を向上させた偏光子とすることができる。
1 ランプ
2 ダイクロイックミラー
3 画像形成部
3a 液晶表示素子
3b 入射側偏光板
3c 出射側偏光板
4 ダイクロイックプリズム
5 投射レンズ
6 インテグレータレンズ
7 PS分離合成板
8 ミラー
10 液晶
11 駆動基板
12 対向基板
13 駆動基板側防塵基板
14 対向基板側防塵基板
15 支持フレーム
16 配線基板
17 第1接着層
18 第2接着層
19 反射防止膜
20 反射防止膜
21 高熱伝導性モールド樹脂
2 ダイクロイックミラー
3 画像形成部
3a 液晶表示素子
3b 入射側偏光板
3c 出射側偏光板
4 ダイクロイックプリズム
5 投射レンズ
6 インテグレータレンズ
7 PS分離合成板
8 ミラー
10 液晶
11 駆動基板
12 対向基板
13 駆動基板側防塵基板
14 対向基板側防塵基板
15 支持フレーム
16 配線基板
17 第1接着層
18 第2接着層
19 反射防止膜
20 反射防止膜
21 高熱伝導性モールド樹脂
Claims (6)
- 液晶を挟んで対向させた駆動基板と対向基板とに防塵基板を貼着した液晶表示素子において、
少なくとも一方の前記防塵基板に複屈折のない透光性複酸化物結晶体を用いたことを特徴とする液晶表示素子。 - 透光体を透過させた光を照射して画像を投影する液晶プロジェクタ装置において、
前記透光体に複屈折のない透光性複酸化物結晶体を用いたことを特徴とする液晶プロジェクタ装置。 - 前記透光体は、光路上に設けたレンズ、偏光子支持基板、または液晶表示素子の駆動基板、対向基板、防塵基板の少なくともいずれか一つであることを特徴とする請求項2記載の液晶プロジェクタ装置。
- 前記透光体は、液晶表示素子の少なくとも入射側に設けた防塵基板であることを特徴とする請求項2記載の液晶プロジェクタ装置。
- 前記複屈折のない透光性複酸化物結晶体の少なくとも一方の表面に反射防止膜を設けたことを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の液晶プロジェクタ装置。
- 前記複屈折のない透光性複酸化物結晶体は、単結晶YAG、または多結晶YAG、または単結晶MgAl2O4、または多結晶MgAl2O4のいずれかであることを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項に記載の液晶プロジェクタ装置。
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-
2004
- 2004-01-19 JP JP2004011219A patent/JP2005208079A/ja active Pending
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