JP2004070163A - 表示素子 - Google Patents
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Abstract
【課題】液晶パネルの温度上昇を防止して、安定した表示品位が得られる液晶表示素子の提供。
【解決手段】表示素子は、駆動素子基板1と、駆動素子基板1に対向する対向基板2と、駆動素子基板1および対向基板2の間隙に介在する液晶層3と、対向基板2の入射側面2bに対向する外側基板4と、対向基板2および外側基板4の間隙に形成された密閉断熱層5と、外側基板4の出射側面4aに形成された偏光板13とを有する。
【選択図】 図2
【解決手段】表示素子は、駆動素子基板1と、駆動素子基板1に対向する対向基板2と、駆動素子基板1および対向基板2の間隙に介在する液晶層3と、対向基板2の入射側面2bに対向する外側基板4と、対向基板2および外側基板4の間隙に形成された密閉断熱層5と、外側基板4の出射側面4aに形成された偏光板13とを有する。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、表示素子に関する。本発明の表示素子は、プロジェクタを始めとする透過型表示装置に用いることができる。
【0002】
【従来の技術】
液晶パネルをプロジェクタにおけるライトバルブとして用いる場合、スクリーン上で拡大投影を行うために、例えばメタルハライド等の光源からの強力な光源光が集光された状態で液晶パネルに入射する。このように強力な光源光が入射すると、液晶パネルの温度は上昇し、液晶パネル内において一対の透明基板間に狭持された液晶層の温度も上昇して、液晶層の特性劣化を招く。また特に光源光に強度ムラがあった場合には、部分的に液晶パネルが加熱されて、所謂ホットスポットが発生して、液晶層の透過率のムラができて投射画像の表示品位が低下する。
【0003】
そのため、液晶プロジェクタでは、従来から液晶パネルを冷却する機構がいくつか組み込まれている。例えば、光源と液晶パネルの間に熱線カットフィルタを配置して、不要な赤外線の入射を低減する例や、液晶パネルを空冷または液冷する例である。しかし、これらの冷却機構にもいくつか問題点がある。まず熱線カットフィルタにおいては、少なからず効果はあるが、表示品位の改善までには程遠いのが現状である。また空冷型においては、鑑賞時での騒音やパネルへの付着ダストなどが懸念される。さらに液冷型については、熱交換媒体となる液体を封入するので、温度上昇時の圧力抜き、気泡発生、混入異物および冷却液漏れなど、信頼性の点で様々な問題が発生する。空冷または液冷の二つの手法においても、液晶パネル温度が若干緩和される程度が現状であり、表示の高品位化を図るためには、より効率的なパネル温度上昇の防止対策が必要である。
【0004】
液晶パネルを使用して投影画像表示するために、入射側および出射側に偏光機能を備えた偏光子(以下「偏光板」ともいう。)を設置するが、特にツイステッドネマテック(以下「TN」ともいう。)液晶を使用した際、互いの偏光板の偏光軸は90°回転して画像表示を行うことになる。一般に、偏光板は高分子フィルムを基本としており、直視用の液晶パネルでは直接接着されている。しかし、プロジェクタ用の液晶パネルは高温になるので、パネルに直接接着することができないのが現状である。
【0005】
例えば、画素電極およびTFT(Thin Film Transistor、薄膜トランジスタ)などのスイッチング素子が形成された駆動用透明基板に、偏光板を接着した場合を考えると、黒表示をした場合には、光が直接、偏光板に吸収される。特に出射側においては、液晶パネルに接着された偏光板の遮光による発熱が顕著となる。その光吸収により偏光板の温度は急激に上昇し、この熱拡散で液晶パネル全体が熱せられてしまい、スイッチング素子や液晶層の最適動作条件から大きくずれが生じて、かえって表示品位を低下させるおそれがある。
【0006】
同時に、パネル内の画素遮光部による温度上昇が起きるので、パネル自体も加熱され、その相乗効果により、高分子フィルムを用いている偏光板自体も劣化し表示品位の低下を招く。したがって、現在では、偏光板を液晶パネル基板から離れた位置に設置し、その間に空気が存在するように設置する例が多い。
【0007】
一方で、近年、液晶パネルは、表示の高品位化、高精細がますます求められている。偏光板と液晶パネルとを分離した場合、偏光軸方向の調整は表示装置(例えば、プロジェクタ光学システム)内のセッテイング状況に依存し、液晶パネルの偏光軸も含め、3 軸の最適軸の調整が必要になる。したがって、偏光軸のズレが一般に大きくなり、表示品位の低下は避けられない問題もある。
【0008】
さらに、駆動用透明基板として、例えば石英基板を使用した場合、石英基板と空気層との屈折率差により、石英基板に入射した光の3%程度は石英基板と空気層との界面で反射される。また駆動用透明基板としてガラス基板を用いた場合には、ガラス基板に入射した光の4%程度がガラス基板と空気層との界面で反射される。すなわち、石英基板およびガラス基板のいずれにおいても、光利用率を低下させる。
【0009】
基板と空気層との界面で反射された光は、スイッチング素子の半導体層を照射することになり、素子の特性劣化を招く。特にプロジェクタ型の場合には、光強度が強いので、数%の反射光でもTFT素子の特性を大きく変動させてしまうおそれがある。
【0010】
駆動用透明基板に戻る反射光を減らすには、その基板と基板に接する媒質との屈折率の差を小さくすれば良い。光利用効率やコントラストの点からは、やはり液晶パネル基板に偏光板を貼り付けることが望まれる。しかしながら、先述したとおり、偏光板の発熱問題があるので、プロジェクタ型の場合には、偏光板を基板に直接貼り付けることができない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
実開昭59−51321号公報には、光源光の入射側および出射側における両偏光板の昇温による熱拡散を避けるために、または光源光による輻射熱から断熱するために、液晶パネルの入射側および出射側に断熱真空層を設ける手法が開示されている。しかしこのパネル構成では、パネル内の画素遮光部の昇温による液晶パネル単体の発熱を放熱することもできなくなるので、逆に大幅なパネル温度の上昇が起き、ますます表示品位の低下を招く。
【0012】
また特開平9−113906号公報には、液晶パネル内の相対する一対の基板のそれぞれの裏面に冷却用厚板透明ガラスを貼り付ける手法が開示されている。しかし、冷却用厚板透明ガラスによるパネル冷却効果は低く、特に出射側の偏光板の発熱および熱拡散により、偏光板と液晶パネルとの分離配置は避けられないのが現状である。本発明は、液晶パネルの温度上昇を防止して、安定した表示品位が得られる表示素子の提供を目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の局面による表示素子は、光源光が入射される第1基板と、前記第1基板に対向し、前記光源光が出射される第2基板と、前記第1基板および前記第2基板の間隙に介在する液晶層と、前記第1基板の入射側面に対向する第3基板と、前記第1基板および前記第3基板の間隙に形成された密閉断熱層と、前記第3基板の出射側面に形成された偏光板とを有する。
【0014】
本発明の第2の局面による表示素子は、光源光が入射される第1基板と、前記第1基板に対向し、前記光源光が出射される第2基板と、前記第1基板および前記第2基板の間隙に介在する液晶層と、前記第2基板の出射側面に対向する第3基板と、前記第2基板および前記第3基板の間隙に形成された密閉断熱層と、前記第3基板の出射側面に形成された偏光板とを有する。
【0015】
本発明の第1および第2の局面による表示素子は、前記密閉断熱層が、真空断熱層であることが好ましい。
【0016】
本発明の第1の局面による表示素子は、前記第1基板および/または第3基板の前記密閉断熱層側の面に、熱伝導層が形成されていることが好ましい。
【0017】
本発明の第2の局面による表示素子は、前記第2基板および/または第3基板の前記密閉断熱層側の面に、熱伝導層が形成されていることが好ましい。
【0018】
前記熱伝導層は、酸化アルミニウム層、窒化アルミニウム層、炭化シリコン層、窒化シリコン層、窒化ホウ素層、リン化ホウ素層、薄膜ダイヤモンド層からなる群から選ばれる少なくとも1層を有することが好ましい。
【0019】
前記第3基板は、石英ガラス基板または耐熱ガラス基板であることが好ましく、また、防塵機能を有することが好ましい。さらに、前記第3基板は、熱伝導率が1W/m・K以上であり、厚みが1mm以上であることが好ましい。
【0020】
本発明の第1の局面による表示素子は、前記第1基板および/または前記第3基板の前記密閉断熱層側の面に、反射防止膜が形成されていることが好ましい。
【0021】
本発明の第2の局面による表示素子は、前記第2基板および/または前記第3基板の前記密閉断熱層側の面に、反射防止膜が形成されていることが好ましい。
【0022】
本発明の第1の局面による表示素子は、前記第1基板と前記第3基板とが、接合材を介して接合され、前記接合材が、表示領域以外の領域に形成されていることが好ましい。
【0023】
本発明の第2の局面による表示素子は、前記第2基板と前記第3基板とが、接合材を介して接合され、前記接合材が、表示領域以外の領域に形成されていることが好ましい。
【0024】
ここで、「表示領域」とは、マトリクス状に配置された画素領域によって規定される、液晶表示装置(または液晶セル)の領域をいう。また、「画素領域」とは、表示の最小単位である画素に対応する液晶表示装置の領域である。カラー液晶表示装置においては、R,G,Bのサブ画素が1つの画素に対応する。アクティブマトリクス型液晶表示装置においては、画素電極と画素電極と対向する対向電極とが画素領域を規定する。本発明は、実施形態で例示するアクティブマトリクス型液晶表示装置に限られず、例えば、単純マトリクス型液晶表示装置に適用することもできる。単純マトリクス型液晶表示装置においては、ストライプ状に設けられる列電極と列電極に直交するように設けられる行電極とが互いに交差するそれぞれの領域が画素領域を規定する。なお、ブラックマトリクスが設けられる構成においては、厳密には、表示すべき状態に応じて電圧が印加される領域のうち、ブラックマトリクスの開口部に対応する領域が画素領域に対応することになる。
【0025】
前記第1基板と前記第2基板とは、第1接合材を介して接合され、前記第2基板と前記第3基板とは、第2接合材を介して接合され、前記第1接合材と前記第2接合材とは、同種の接合材であり、パターン形状が略同一であることが好ましい。
【0026】
本発明の投影型表示装置は、光源と、本発明の表示素子と、前記光源から出射された光源光を集光しながら前記表示素子に導く集光光学系と、前記表示素子によって光変調された前記光源光を投射面に投影する投影光学系とを備える。
【0027】
本発明の第2の局面による表示素子を備えた投影型表示装置は、前記光源光が、前記偏光板の偏光軸と略等しい方向に振動する光であることが好ましい。
【0028】
本発明の第1の局面による表示素子を製造する方法は、前記第1基板または前記第3基板の前記密閉断熱層側の面に、開口を有するシールパターンの接合材を形成する工程と、前記接合材を介して、前記第1基板と前記第3基板とを貼り合わせる工程と、真空雰囲気において、前記開口を封止材で封止し、前記封止材を硬化させる工程とを有する。
【0029】
本発明の第2の局面による表示素子を製造する方法は、前記第2基板または前記第3基板の前記密閉断熱層側の面に、開口を有するシールパターンの接合材を形成する工程と、前記接合材を介して、前記第2基板と前記第3基板とを貼り合わせる工程と、真空雰囲気において、前記開口を封止材で封止し、前記封止材を硬化させる工程とを有する。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。以下の実施形態では、TFT(Thin Film Transistor)をアクティブ素子に用いたTFT駆動型の液晶表示素子を例に説明する。但し、本発明の表示素子は、これに限らず、TFT以外の3端子素子、MIM(Metal Insulator Metal) などの2端子素子をアクティブ素子に用いたアクティブ駆動型の液晶表示素子に適用できる。また、アクティブ駆動型の液晶表示素子だけでなく、パッシブ(マルチプレックス)駆動型の液晶表示素子にも適用できる。
【0031】
(実施形態1)
図1は、本実施形態の透過型の液晶表示素子を模式的に示す平面図であり、図2は、図1中のX−Y線断面図である。本実施形態の液晶表示素子は、駆動素子基板1と、駆動素子基板1に対向し、かつ光源光が入射される対向基板2と、駆動素子基板1および対向基板2の間隙に介在する液晶層3と、駆動素子基板1の出射側の面1aに対向する外側基板4と、駆動素子基板1および外側基板4の間隙に形成された密閉断熱層5とを有する。本実施形態の液晶表示素子では、密閉断熱層5は真空に保持された真空断熱層である。真空断熱層は、真空度が高くなるに従って、熱伝導率が低くなる。言い換えると、断熱能が高くなる。なお、以下では、両基板1,2と液晶層3とを合わせて「液晶セル」といい、液晶表示素子を「液晶パネル」ともいう。
【0032】
駆動素子基板1および外側基板4の真空断熱層5側の面1a,4bのうち少なくとも一方の面には、熱伝導層6が形成されている。本実施形態では、駆動素子基板1の真空断熱層5側(出射側)の面1aおよび外側基板4の真空断熱層5側(入射側)の面4bに、熱伝導層6,6がそれぞれ形成されている。
【0033】
熱伝導層6は、酸化アルミニウム層、窒化アルミニウム層、炭化シリコン層、窒化シリコン層、窒化ホウ素層、リン化ホウ素層、薄膜ダイヤモンド層からなる群から選ばれる少なくとも1層を有する。これらの層は、高熱伝導率を有する。一般的なプロジェクタでは、液晶パネル中央部に最も集光するので、温度が最も高くなり、液晶パネルの中央部から周辺に離れる従って、光量・温度ともに低くなる傾向がある。また、パネルケース(ベゼル)などにより、画素表示領域(液晶パネル中央部)以外は遮光されるので、液晶パネルの温度は、中央部と周辺部とで差が生じる。熱伝導層6は、高い温度エリアから低い温度エリアへの伝熱する機能を有するので、不均一な温度ムラを解消させることができる。したがって、熱伝導層6がない場合と比較すると、画素表示領域の温度は低下する。駆動素子基板1の真空断熱層5側の面1aに熱伝導層6を形成することにより、液晶パネルの画素表示領域における冷却が期待できる。同様に、外側基板4の真空断熱層5側の面4bに熱伝導層6を形成することにより、出射側偏光板13による発熱を分散させることができる。
【0034】
駆動素子基板1および外側基板4の真空断熱層5側の面1a,4bにそれぞれ形成された熱伝導層6,6の全面に、反射防止膜(Anti−Reflection 膜、不図示)が製膜されている。反射防止膜としては、例えば低屈折率膜SiO2 と高屈折率膜TiO2 とを交互に重ねた多層膜を用いることができる。反射防止膜により、各基板1,4での界面反射が低減される。
【0035】
光源光が入射される対向基板2の入射側の面2bには、熱伝導性接着樹脂層15を介して、対向基板2と同サイズ程度の透明ガラス基板16が形成されている。熱伝導性接着樹脂層15は、例えばアルミナなどの導電性材料を混入したシリコン系樹脂からなる。
【0036】
透明ガラス基板16の入射側の面16bおよび外側基板4の出射側の面4aには、入射側偏光板12および出射側偏光板13がそれぞれ形成されている。本実施形態の液晶表示素子では、液晶層3中の液晶分子のツイスト角が約90°になるように調整されている。したがって、両偏光板12,13は、互いの偏光軸が直交するように設置もしくは装着されている。
【0037】
本実施形態では、入射光L1は、入射側偏光板12の偏光軸と略等しい方向に振動するように偏光されている。これにより、入射光L1の殆どは、入射側偏光板12を透過することができるので、光吸収による入射側偏光板12の発熱量は少ない。一方、入射側偏光板12を透過した入射光L1は、液晶層3により変調されて、一部が出射側偏光板13から外部環境に出射光L2として出射され、残りが出射側偏光板13に吸収される。したがって、黒表示をした場合には、入射側偏光板12を透過した入射光L1の殆どが出射側偏光板13に吸収されるので、出射側偏光板13の遮光による発熱が顕著となる。
【0038】
本実施形態によれば、液晶パネル構成部材の中で温度上昇の最も顕著な出射側偏光板13の放熱から液晶セルを断熱することで、液晶セルの大幅な温度上昇を抑えることができる。また、温度上昇の比較的小さい液晶セルの入射側には、密閉断熱層(例えば真空断熱層)を設けないことで、液晶セル単体からの発熱を効率良く放熱することができる。
【0039】
さらに、外側基板4および/または透明ガラス基板16として、熱伝導率が1W/m・K以上である放熱用ガラスを用いることにより、冷却効果および放熱効果を得ることができる。放熱用ガラスとしては、石英ガラス基板および耐熱ガラス基板が挙げられる。石英ガラス基板は、1.4W/m・K程度の熱伝導率を有しており、耐熱ガラス基板も例えばホウケイ酸ガラスではその熱伝導率が1.1W/m・K程度である。なお、通常のソーダガラスは、熱伝導率が0.5〜0.7W/m・K程度であり、十分な冷却効果および放熱効果を得ることはできない。
【0040】
外側基板4は、厚みが1mm以上であることが好ましい。駆動素子基板1の出射側に外側基板4を設けることにより、液晶パネルの駆動素子基板1の表面に塵が付着するのを防ぐことができる。また、駆動素子基板1の厚みは1mm程度であるので、液晶層3の面から外側基板4の面4aまでの距離を2mm以上確保することができる。外側基板4と駆動素子基板1とを合わせて2mm以上厚みを確保した場合、液晶層界面付近に入射光のピントを合わせると、外側基板4の表面はデフォーカスされる。したがって、外側基板4の表面に傷、塵や埃がたとえ付いたとしても、傷や埃などの像を投射画面上で大きくぼかして視覚上目立たなくすることができる。すなわち、外側基板4は防塵機能およびデフォーカス機能を有する。
【0041】
同様に、透明ガラス基板16も、厚みが1mm以上であることが好ましい。対向基板2の厚みも1mm程度であるので、液晶層3の面から透明ガラス基板16の面16bまでの距離を2mm以上確保することができるからである。また、ガラス基板を空冷する機構と組み合わせることにより、光源光による輻射熱を放熱するだけでなく、液晶セル内の遮光層での蓄積熱も、透明ガラス基板16から放熱することができる。言い換えれば、透明ガラス基板16は、液晶セルの放熱面として機能する。
【0042】
このように、液晶パネルの入射側に、防塵および放熱機能を有する厚板透明ガラス基板16を設けることで、放熱および防塵効果をともに維持できる。さらに、厚板透明ガラス基板16上に入射側偏光板12を貼り付けることで、基板16と偏光板12とを分離した場合に比べ、光利用効率が高くなる。
【0043】
駆動素子基板1と対向基板2とは、第1接合材7を介して接合されている。また、対向基板2と外側基板4とは、第2接合材8を介して接合されている。第1接合材7および第2接合材8は、ともに表示領域10以外の領域に形成され、パターン形状が略同一である。これにより、各接合材7,8は、表示面内には現れず、表示品位に影響を与えない。各接合材7,8には、同種の接合材(シール材)を用いることができる。
【0044】
図1に示すように、対向基板2よりも駆動素子基板1の方が大きいので、駆動素子基板1は対向基板2に重畳しない領域を有する。駆動素子基板1の液晶層3側の面1b上であって、対向基板2に重畳しない領域には、水平駆動回路および垂直駆動回路を含む周辺回路(不図示)が形成されている。周辺回路は、駆動素子基板1の上方に形成された信号入力端子9を介して、外部信号入力用のフレキシブルコネクタ11に接続されている。
【0045】
次に、本実施形態の液晶表示素子の製造工程について説明する。駆動素子基板1は、フォトリソ法を用いて、石英ガラスなどの透明基板上に、マトリクス状に配列された複数の透明画素電極および複数のスイッチング素子(TFT素子)を形成し、さらに、ポリイミド膜を形成することによって得られる。透明画素電極およびスイッチング素子を形成するためのフォトリソ工程を利用して、水平駆動回路および垂直駆動回路を含む周辺回路および信号入力端子9を形成する。なお、透明画素電極およびスイッチング素子の形成前または形成後に、周辺回路および信号入力端子9を形成しても良い。
【0046】
対向基板2は、駆動素子基板1の透明基板よりも小さい、石英ガラスなどの透明基板上に、透明電極およびポリイミド膜を形成することによって得られる。ポリイミド膜は、一般的なポリイミド材料を用いて形成することができる。例えば、ポリイミド材料としてオプトマーAL−4552 (JSR社製)を用いて、厚さが1000nmであるポリイミド薄膜を印刷法により形成することができる。その後、液晶層3の遅相軸または進相軸に対して45度もしくは−45度方向に、それぞれラビング処理などの延伸処理を行う。ポリイミド膜は、ラビング処理などにより液晶分子をガラス基板面に水平または数度のプレティルト角度をもって配向させる作用をもっている。
【0047】
上述の通り、透明画素電極上には、液晶組成物などの電気光学物質の配向を制御するための配向膜が形成されている。しかし、下層側のパターンや凹凸により画素電極や配向膜に凹凸が一般に生じる。このような凹凸近傍では液晶層の配向不良、配向異常が生じ、これにより光抜けやコントラストの低下などの表示品位への悪影響が起きる。このような品位低下を回避する手法として、駆動素子基板1や対向基板2に遮光膜を形成したり、駆動素子基板1の積層構造の一部に遮光膜を含めたりする。
【0048】
特に、液晶パネルを投射型表示装置のライトバルブとして使用した場合、入射光の一部は液晶パネルを透過した後、各基板表面での界面反射光として再び液晶パネルに戻ることがある。この反射光によりTFT素子の半導体層に光電流が発生し、スイッチング素子の特性低下を招く。反射光による半導体膜への影響を回避する手法として、半導体膜と基板との間に遮光膜を設ける例もある。遮光膜として、例えば、Ti、Ta、Mo、Pb、Cr、Wなどの不透明金属の単体、これら不透明金属の合金、あるいはシリサイドなどを使用することができる。
【0049】
駆動素子基板1の出射側の面1aおよび外側基板4の入射側の面4b全面に、熱伝導層6,6を形成する。本実施形態では、熱伝導層6,6として薄膜ダイヤモンド層を形成する。薄膜ダイヤモンド層は、一般にDLC(Diamond Like Carbon )層と呼ばれており、ダイヤモンド構造を一部含んだアモルファス層であり、構成元素として、炭素以外に水素も一部含有している。駆動素子基板1および外側基板4それぞれの熱伝導層6,6の全面に、反射防止膜(AR膜)を製膜する。なお、外側基板4としては、対向基板2と同サイズかつ基板厚1mmの石英ガラス基板を使用する。
【0050】
第1接合材7を介して、駆動素子基板1と対向基板2とを接合するとともに、第2接合材8を介して、駆動素子基板1と外側基板4とを接合する。第1接合材7および第2接合材8は、同じシール剤(例えばXN−21S、三井化学社製)を用いて、ほぼ同じシールパターンで形成するのが望ましい。これにより、接合材7,8が表示面内に現れず、表示品位に影響を与えない。また、後述する液晶パネル保護ケース(モジュール)14内の遮光部に接合材7,8がレイアウトされるので、強度も保持でき信頼性が高くなる。
【0051】
図3を参照しながら、駆動素子基板1と外側基板4とを接合して、密閉断熱層(本実施形態では真空断熱層5)を形成する工程を説明する。図3は、第2接合材8のシールパターンを模式的に示す平面図である。図3に示す第2接合材8は、駆動素子基板1または外側基板4の一方面の周辺部に、印刷法を用いて形成することができる。第2接合材8のシールパターンは開口8aを有する環状である。真空断熱層5の体積は、2枚の基板1,4間の距離を調整することにより、制御することができる。例えば、第2接合材8中に球形ビーズもしくはグラスファイバを混入させる場合、球形ビーズまたはグラスファイバの径を調整することにより、真空断熱層5の体積を容易に制御することができる。なお、必要に応じて、駆動素子基板1または外側基板4上にプラスチックからなる球状のスペーサを分散させても良い。
【0052】
駆動素子基板1と外側基板4との位置合わせを行って、第2接合材8を介して、両基板1,4を貼り合わせる。第2接合材8が熱硬化型であれば加熱により、紫外線硬化型であれば紫外線照射により、第2接合材8を硬化させる。
【0053】
真空雰囲気中(1×104 Pa〜1×10−10 Pa程度)、第2接合材8の開口付近のみを封止材(例えば封止樹脂)に浸し、開口の封止材8bを熱または紫外線により硬化させる。その後、雰囲気を大気圧に戻すと、駆動素子基板1と外側基板4との間に真空断熱層5が形成される。なお、硬化前の封止材の粘度を適宜調整することによって、雰囲気を大気圧に戻した後に、封止材を硬化させることもできる。また、紫外線により硬化させる場合、紫外線を照射する方向は特に限定されないが、基板面に対して略垂直方向から紫外線を照射するのが望ましい。
【0054】
同様にして、駆動素子基板1または対向基板2の一方面の周辺部に、開口を有する第1接合材7のシールパターンを形成する。駆動素子基板1と対向基板2との接合を行った後、真空注入法により第1接合材7の開口から液晶材料を注入する。
【0055】
ネマテック相−等方相転移温度(NI点)100℃のカイラルネマチック液晶材料を加温して等方性状態にする。真空雰囲気中、開口を下に向けた状態で、開口を液晶材料に浸す。その後、雰囲気を大気圧に戻すと、開口から液晶材料が注入されて、駆動素子基板1と対向基板2との間隙に液晶材料が充填される。このとき、両基板1,2もNI点以上の温度に加温する。カイラルネマチック液晶材料を完全に充填した後、液晶セルを徐冷して、開口を封止樹脂により封口する。封止樹脂を熱または紫外線により硬化させる。これにより、両基板1,2間にカイラルネマチック液晶層3が形成される。なお、液晶材料は、屈折異方性が0.084 であるネマテック液晶材料に左ねじれのカイラル材を添加して、調製することができる。本実施形態では、カイラル材の添加量をツイスト角が約90度になるように調整する。
【0056】
対向基板2の入射側の面2bに、熱伝導性接着樹脂層15を介して、対向基板2と同サイズ程度の透明ガラス基板16を貼り付ける。熱伝導性接着樹脂層15は、例えばアルミナなどの導電性材料を混入したシリコン系樹脂を塗布することにより形成することができる。
【0057】
以上の工程により形成された液晶パネルの両面に、入射側の偏光板12および出射側の偏光板13をそれぞれポリイミド膜(配向膜)のラビング方向と水平となる方向で、かつ互いの偏光板12,13が直交するように、設置もしくは装着させる。さらに、水平駆動回路および垂直駆動回路を含む周辺回路を、駆動素子基板1の上方に形成された信号入力端子9を介して、外部信号入力用のフレキシブルコネクタ11に接続する。
【0058】
図4は、液晶パネル保護ケースを装着した状態の液晶表示素子を示す平面図である。図4に示すように、液晶パネルの周辺駆動回路および各接合材7,8のパターンを遮光し、かつ液晶パネル内の表示領域10のみが透過できる液晶パネル保護ケース(ベゼル)14を用いて、液晶表示素子をパッケージングする。その後、フレキシブルコネクタ11をプロジェクタ本体の回路基板に接続する。
【0059】
本実施形態によれば、液晶パネルの点灯時において、パネル構成部材の中で温度上昇の最も顕著な出射側偏光板13の放熱および熱拡散から液晶パネルを断熱することができるので、液晶パネルの大幅な温度上昇を抑えることができる。また、温度上昇の比較的少ない入射側には、真空断熱層を設けないことで、パネル単体からの発熱を効率良く放熱することができる。また、入射側に、防塵および放熱機能を有する厚板透明ガラス16を設けることにより、放熱および防塵効果をともに維持できる。したがって、現状の表示特性を損なわずに、液晶パネルの温度上昇を抑え、パネルの信頼性向上が期待できる。
【0060】
(実施形態2)
図5は、実施形態2の透過型の液晶表示素子を模式的に示す断面図である。図5において、実施形態1の液晶表示素子と実質的に同じ機能を有する構成要素を共通の参照符号で示し、その説明を省略する。
【0061】
本実施形態の液晶表示素子は、密閉断熱層(真空断熱層)5が液晶セルの入射側に形成されている点が、密閉断熱層(真空断熱層)5が液晶セルの出射側に形成されている実施形態1の液晶表示素子と異なる。
【0062】
具体的には、本実施形態の液晶表示素子は、駆動素子基板1と、駆動素子基板1に対向し、かつ光源光が入射される対向基板2と、駆動素子基板1および対向基板2の間隙に介在する液晶層3と、対向基板2の入射側の面2bに対向する外側基板4と、対向基板2および外側基板4の間隙に形成された密閉断熱層(本実施形態では、真空断熱層である)5とを有する。
【0063】
対向基板2および外側基板4の真空断熱層5側の面2b,4aのうち少なくとも一方の面には、放熱機能を有する熱伝導層6が形成されている。本実施形態では、対向基板2の真空断熱層5側(出射側)の面2bおよび外側基板4の真空断熱層5側(入射側)の面4aに、熱伝導層6,6がそれぞれ形成されている。これにより、液晶パネルの冷却とともに、出射側偏光板13による発熱の放熱を期待できる。対向基板2および外側基板4それぞれの熱伝導層6,6の全面に、反射防止膜(AR膜)を製膜する。なお、外側基板4としては、対向基板2と同サイズかつ基板厚1mmの耐熱性ガラス基板(例えば、パイレックス(登録商標)ガラス基板)を使用する。
【0064】
光源光が出射される駆動素子基板1の出射側の面1aには、熱伝導性接着樹脂層15を介して、対向基板2と同サイズ程度の透明ガラス基板16が形成されている。熱伝導性接着樹脂層15は、例えばアルミナなどの導電性材料を混入したシリコン系樹脂からなる。
【0065】
外側基板4の入射側の面4bおよび透明ガラス基板16の出射側の面16aには、入射側偏光板12および出射側偏光板13がそれぞれ形成されている。本実施形態の液晶表示素子では、液晶層3中の液晶分子のツイスト角が約90°になるように調整されている。したがって、両偏光板12,13は、互いの偏光軸が直交するように設置もしくは装着されている。
【0066】
本実施形態の液晶表示素子は、液晶セルの入射側が出射側よりも高温となる場合に有利である。例えば、光源光があらゆる方向に振動しているランダム偏光の場合、入射側の偏光板12に光源光(入射光L1)が入射すると、偏光板12の偏光軸と異なる方向に振動する光が偏光板12に吸収されるので、光吸収による入射側偏光板12の発熱量は多い。一方、入射側偏光板12を透過した入射光L1は、液晶層3により変調されて、一部が出射側偏光板13から外部環境に出射光L2として出射され、残りが出射側偏光板13に吸収される。したがって、出射側偏光板13の光吸収による発熱量は、入射側偏光板12の光吸収による発熱量よりも少ない。
【0067】
本実施形態によれば、液晶パネル構成部材の中で温度上昇の最も顕著な入射側偏光板12の放熱から液晶セルを断熱することで、液晶セルの大幅な温度上昇を抑えることができる。また、温度上昇の比較的小さい液晶セルの出射側には、密閉断熱層(例えば真空断熱層)を設けないことで、液晶セル単体からの発熱を効率良く放熱することができる。
【0068】
また、実施形態1と同様に、外側基板4および/または透明ガラス基板16として、熱伝導率が1W/m・K以上である放熱用ガラスを用いることにより、冷却効果および放熱効果を得ることができる。さらに、外側基板4および/または透明ガラス基板16は、厚みが1mm以上であることが好ましい。これにより、防塵機能およびデフォーカス機能が付与される。液晶パネルの出射側に、防塵および放熱機能を有する厚板透明ガラス基板16を設けることで、放熱および防塵効果をともに維持できる。さらに、厚板透明ガラス基板16上に出射側偏光板13を貼り付けることで、基板16と偏光板13とを分離した場合に比べ、光利用効率が高くなる。
【0069】
対向基板2と外側基板4とを貼り合わせる際、強度および耐久性を考慮して、熱硬化性接着フィルムを第2接合材8に用いることができる。熱硬化性接着フィルムは、液晶材料保持用の第1接合材7のパターンと同様なシールパターンを有する。真空雰囲気下で、液晶セルに外側基板4を貼り合わせ、その後加熱することにより接着樹脂の硬化処理を行う。なお、実施形態1と同様に、開口8aを有する環状のシールパターンを形成し、対向基板2および外側基板4を貼り合わせ、真空雰囲気中(1×104 Pa〜1×10−10 Pa程度)、開口付近のみを封止材(例えば封止樹脂)に浸し、封止材を熱または紫外線により硬化させても良い。
【0070】
図4に示すように、液晶パネルの周辺駆動回路および各接合材7,8のパターンを遮光し、かつ液晶パネル内の表示領域10のみが透過できるパネル保護ケース(ベゼル)14を用いて、液晶表示素子をパッケージングする。その後、フレキシブルコネクタ11をプロジェクタ本体の回路基板に接続する。
【0071】
(実施形態3)
実施形態1および2の液晶表示素子は、いずれも真空断熱層5の両側に、熱伝導層6および反射防止膜を有するが、真空断熱層5のいずれか一方側にのみ熱伝導層6および反射防止膜が形成されていても良く、あるいは熱伝導層6および反射防止膜がなくても良い。また、熱伝導層6および反射防止膜のうちいずれか一方のみが形成されていても良い。
【0072】
(実施形態4)
本発明の表示素子は、投射型液晶表示装置のライトバルブとして好適に用いることができる。投射型液晶表示装置(以下、プロジェクタともいう。)としては、典型的には、3つの液晶表示素子を用いる3板式のプロジェクタ、特開平4−60538号公報などに開示された単板式のプロジェクタが挙げられる。本実施形態では、実施形態1の液晶表示素子を用いた、3板式のプロジェクタについて説明する。なお、単板式のプロジェクタでは、液晶パネルにカラーフィルタを設ける必要がある。3板式の場合には、カラーフィルタは不要だが、光源光を3原色に分光および合成するための光学素子が必要となる。
【0073】
図6は、3板式の投射型液晶表示装置における光学系の構成図である。本実施形態のプロジェクタは、白色光源17と、実施形態1の液晶表示素子20,21,22と、光源17から出射された光源光を集光しながら液晶表示素子20,21,22に導く集光光学系と、各液晶表示素子20,21,22によって光変調された光源光を投射面に投影する投影光学系とを備える。
【0074】
本実施形態では、RGB(赤・緑・青)の3原色を表示するために、各原色の表示光路に、RGBの3つの液晶パネル20,21,22が設けられる。ランプ光源17から投影レンズ30に至る光路上には、光源光から熱線を除去する熱線フィルタ18、ホモジナイザ19、色分離特性を有するダイクロイックミラー23,24、各光路用液晶パネル20,21,22、最終的に3色の色合成を行うクロスダイクロイックプリズム25が順次に配置されている。
【0075】
また、光源光を90°反射させ、その反射光をホモナイザ透過光路に導くためのミラー26、ダイクロイックミラー23で赤色に分離された光を90°反射させるためのミラー27、ダイクロイックミラー24で青色に分離された光を90°反射させるためのミラー28,28、複数の集光レンズがそれぞれ配置されている。投影レンズ30の透過方向には、スクリーンが配置されている。
【0076】
ダイクロイックミラー23,24は、光源光をRGBの3原色の成分に分光するための光学素子である。赤分離用ダイクロイックミラー23は、赤色成分の波長を透過し、他の成分の波長を反射する。緑分離用ダイクロイックミラー24は、緑色成分の波長のみを反射し、他の成分の波長を透過する。なお、各液晶パネル20,21,22の光源入射側および出射側には、それぞれ偏光板12,13が設けられており、一方の偏光板と他方の偏光板とはその偏光方向が直交している。
【0077】
光学系の光路は以下の通りである。まず光源17を出射した光源光は、熱線フィルタ18により赤外成分が除去され、ホモジナイザ19によって強度が均一化され、さらに1方向に振動する直線偏光にされた後、ダイクロイックミラー23,24に入射する。赤色ダイクロイックミラー23に入射した光のうち赤色成分は、ダイクロイックミラー23を透過した後、ミラー27で90°反射され、赤用液晶パネル20に入射する。赤色ダイクロイックミラー23に入射した光のうち赤色成分以外のGB成分は、赤色ダイクロイックミラー23で反射された後、緑色ダイクロイックミラー24に入射する。緑色成分は、ダイクロイックミラー24で反射され、緑用液晶パネル21を照射する。
【0078】
ダイクロイックミラー24を透過した残りの成分、つまり青色成分は、ミラー28,28によりそれぞれ90°反射され、青用液晶パネル22を照射する。赤色、緑色、青色の3色の光は、各液晶パネル20,21,22を透過することにより、光の2次元的な強度分布が変調されて、赤色の画像、緑色の画像、青色の画像に対する光となる。
【0079】
各RGB用液晶パネル20,21,22を透過した赤色、緑色、青色の3色の光は、クロスダイクロイックプリズム25の同じ面から出射することで合成され、カラー画像となる。このカラー画像を投影するために、クロスダイクロイックプリズム25からの出射光を投影レンズ30によって拡大し、スクリーン上に投射する。
【0080】
本実施形態では、実施形態1の液晶表示素子を用いているが、光源17からの光がランダム偏光の場合には、各液晶表示素子20,21,22として実施形態2の液晶表示素子を用いることが望ましい。
【0081】
本実施形態では、3つの白黒型液晶表示素子を用いているが、赤(R),緑(G),青(B)各色の液晶表示素子を用いても良い。本実施形態では、白色光源を用いているが、赤,緑,青の3原色の光源を用いてもよい。また、白色光源からの白色光の平行度が悪い場合には、コントラストや色純度の低下を引き起こすおそれがあるので、白色光源からの白色光をコンデンサーレンズで一旦スポットに集光し、スリットまたはピンホールなどで不要な光をカットしても良い。
【0082】
本実施形態の投射型液晶表示装置は、スクリーンの手前から投写するフロント投写方式であるが、反射ミラーを用いてスクリーンの背面から投写するリア投写方式にも適用することができる。またヘッドマウント型の表示装置にも適用することができる。
【0083】
本実施形態に用いられた液晶表示素子は、アクティブマトリクス型電気書き込み方式により情報の書き込みが行われる。しかし、本発明の液晶表示素子は、単純マトリクス型電気書き込み方式、光書き込み方式、熱(レーザ)書き込み方式の液晶表示素子であっても良い。
【0084】
【発明の効果】
本発明の表示素子によれば、液晶パネルの温度上昇を防止して、安定した表示品位が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態1の透過型の液晶表示素子を模式的に示す平面図である。
【図2】図1中のX−Y線断面図である。
【図3】第2接合材8のシールパターンを模式的に示す平面図である。
【図4】液晶パネル保護ケース14を装着した状態の液晶表示素子を示す平面図である。
【図5】実施形態2の透過型の液晶表示素子を模式的に示す断面図である。
【図6】3板式の投射型液晶表示装置における光学系の構成図である。
【符号の説明】
1 駆動素子基板(第1基板)
1a 第1基板の出射側面
2 対向基板(第2基板)
2b 第2基板の入射側面
3 液晶層
4 外側基板(第3基板)
4a 第3基板の出射側面
5 密閉断熱層(真空断熱層)
6 熱伝導層
7 第1接合材
8 第2接合材
8a 開口
8b 封止材
10 表示領域
12 入射側偏光板
13 出射側偏光板
17 白色光源
25 クロスダイクロイックプリズム
30 投影レンズ
【発明の属する技術分野】
本発明は、表示素子に関する。本発明の表示素子は、プロジェクタを始めとする透過型表示装置に用いることができる。
【0002】
【従来の技術】
液晶パネルをプロジェクタにおけるライトバルブとして用いる場合、スクリーン上で拡大投影を行うために、例えばメタルハライド等の光源からの強力な光源光が集光された状態で液晶パネルに入射する。このように強力な光源光が入射すると、液晶パネルの温度は上昇し、液晶パネル内において一対の透明基板間に狭持された液晶層の温度も上昇して、液晶層の特性劣化を招く。また特に光源光に強度ムラがあった場合には、部分的に液晶パネルが加熱されて、所謂ホットスポットが発生して、液晶層の透過率のムラができて投射画像の表示品位が低下する。
【0003】
そのため、液晶プロジェクタでは、従来から液晶パネルを冷却する機構がいくつか組み込まれている。例えば、光源と液晶パネルの間に熱線カットフィルタを配置して、不要な赤外線の入射を低減する例や、液晶パネルを空冷または液冷する例である。しかし、これらの冷却機構にもいくつか問題点がある。まず熱線カットフィルタにおいては、少なからず効果はあるが、表示品位の改善までには程遠いのが現状である。また空冷型においては、鑑賞時での騒音やパネルへの付着ダストなどが懸念される。さらに液冷型については、熱交換媒体となる液体を封入するので、温度上昇時の圧力抜き、気泡発生、混入異物および冷却液漏れなど、信頼性の点で様々な問題が発生する。空冷または液冷の二つの手法においても、液晶パネル温度が若干緩和される程度が現状であり、表示の高品位化を図るためには、より効率的なパネル温度上昇の防止対策が必要である。
【0004】
液晶パネルを使用して投影画像表示するために、入射側および出射側に偏光機能を備えた偏光子(以下「偏光板」ともいう。)を設置するが、特にツイステッドネマテック(以下「TN」ともいう。)液晶を使用した際、互いの偏光板の偏光軸は90°回転して画像表示を行うことになる。一般に、偏光板は高分子フィルムを基本としており、直視用の液晶パネルでは直接接着されている。しかし、プロジェクタ用の液晶パネルは高温になるので、パネルに直接接着することができないのが現状である。
【0005】
例えば、画素電極およびTFT(Thin Film Transistor、薄膜トランジスタ)などのスイッチング素子が形成された駆動用透明基板に、偏光板を接着した場合を考えると、黒表示をした場合には、光が直接、偏光板に吸収される。特に出射側においては、液晶パネルに接着された偏光板の遮光による発熱が顕著となる。その光吸収により偏光板の温度は急激に上昇し、この熱拡散で液晶パネル全体が熱せられてしまい、スイッチング素子や液晶層の最適動作条件から大きくずれが生じて、かえって表示品位を低下させるおそれがある。
【0006】
同時に、パネル内の画素遮光部による温度上昇が起きるので、パネル自体も加熱され、その相乗効果により、高分子フィルムを用いている偏光板自体も劣化し表示品位の低下を招く。したがって、現在では、偏光板を液晶パネル基板から離れた位置に設置し、その間に空気が存在するように設置する例が多い。
【0007】
一方で、近年、液晶パネルは、表示の高品位化、高精細がますます求められている。偏光板と液晶パネルとを分離した場合、偏光軸方向の調整は表示装置(例えば、プロジェクタ光学システム)内のセッテイング状況に依存し、液晶パネルの偏光軸も含め、3 軸の最適軸の調整が必要になる。したがって、偏光軸のズレが一般に大きくなり、表示品位の低下は避けられない問題もある。
【0008】
さらに、駆動用透明基板として、例えば石英基板を使用した場合、石英基板と空気層との屈折率差により、石英基板に入射した光の3%程度は石英基板と空気層との界面で反射される。また駆動用透明基板としてガラス基板を用いた場合には、ガラス基板に入射した光の4%程度がガラス基板と空気層との界面で反射される。すなわち、石英基板およびガラス基板のいずれにおいても、光利用率を低下させる。
【0009】
基板と空気層との界面で反射された光は、スイッチング素子の半導体層を照射することになり、素子の特性劣化を招く。特にプロジェクタ型の場合には、光強度が強いので、数%の反射光でもTFT素子の特性を大きく変動させてしまうおそれがある。
【0010】
駆動用透明基板に戻る反射光を減らすには、その基板と基板に接する媒質との屈折率の差を小さくすれば良い。光利用効率やコントラストの点からは、やはり液晶パネル基板に偏光板を貼り付けることが望まれる。しかしながら、先述したとおり、偏光板の発熱問題があるので、プロジェクタ型の場合には、偏光板を基板に直接貼り付けることができない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
実開昭59−51321号公報には、光源光の入射側および出射側における両偏光板の昇温による熱拡散を避けるために、または光源光による輻射熱から断熱するために、液晶パネルの入射側および出射側に断熱真空層を設ける手法が開示されている。しかしこのパネル構成では、パネル内の画素遮光部の昇温による液晶パネル単体の発熱を放熱することもできなくなるので、逆に大幅なパネル温度の上昇が起き、ますます表示品位の低下を招く。
【0012】
また特開平9−113906号公報には、液晶パネル内の相対する一対の基板のそれぞれの裏面に冷却用厚板透明ガラスを貼り付ける手法が開示されている。しかし、冷却用厚板透明ガラスによるパネル冷却効果は低く、特に出射側の偏光板の発熱および熱拡散により、偏光板と液晶パネルとの分離配置は避けられないのが現状である。本発明は、液晶パネルの温度上昇を防止して、安定した表示品位が得られる表示素子の提供を目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の局面による表示素子は、光源光が入射される第1基板と、前記第1基板に対向し、前記光源光が出射される第2基板と、前記第1基板および前記第2基板の間隙に介在する液晶層と、前記第1基板の入射側面に対向する第3基板と、前記第1基板および前記第3基板の間隙に形成された密閉断熱層と、前記第3基板の出射側面に形成された偏光板とを有する。
【0014】
本発明の第2の局面による表示素子は、光源光が入射される第1基板と、前記第1基板に対向し、前記光源光が出射される第2基板と、前記第1基板および前記第2基板の間隙に介在する液晶層と、前記第2基板の出射側面に対向する第3基板と、前記第2基板および前記第3基板の間隙に形成された密閉断熱層と、前記第3基板の出射側面に形成された偏光板とを有する。
【0015】
本発明の第1および第2の局面による表示素子は、前記密閉断熱層が、真空断熱層であることが好ましい。
【0016】
本発明の第1の局面による表示素子は、前記第1基板および/または第3基板の前記密閉断熱層側の面に、熱伝導層が形成されていることが好ましい。
【0017】
本発明の第2の局面による表示素子は、前記第2基板および/または第3基板の前記密閉断熱層側の面に、熱伝導層が形成されていることが好ましい。
【0018】
前記熱伝導層は、酸化アルミニウム層、窒化アルミニウム層、炭化シリコン層、窒化シリコン層、窒化ホウ素層、リン化ホウ素層、薄膜ダイヤモンド層からなる群から選ばれる少なくとも1層を有することが好ましい。
【0019】
前記第3基板は、石英ガラス基板または耐熱ガラス基板であることが好ましく、また、防塵機能を有することが好ましい。さらに、前記第3基板は、熱伝導率が1W/m・K以上であり、厚みが1mm以上であることが好ましい。
【0020】
本発明の第1の局面による表示素子は、前記第1基板および/または前記第3基板の前記密閉断熱層側の面に、反射防止膜が形成されていることが好ましい。
【0021】
本発明の第2の局面による表示素子は、前記第2基板および/または前記第3基板の前記密閉断熱層側の面に、反射防止膜が形成されていることが好ましい。
【0022】
本発明の第1の局面による表示素子は、前記第1基板と前記第3基板とが、接合材を介して接合され、前記接合材が、表示領域以外の領域に形成されていることが好ましい。
【0023】
本発明の第2の局面による表示素子は、前記第2基板と前記第3基板とが、接合材を介して接合され、前記接合材が、表示領域以外の領域に形成されていることが好ましい。
【0024】
ここで、「表示領域」とは、マトリクス状に配置された画素領域によって規定される、液晶表示装置(または液晶セル)の領域をいう。また、「画素領域」とは、表示の最小単位である画素に対応する液晶表示装置の領域である。カラー液晶表示装置においては、R,G,Bのサブ画素が1つの画素に対応する。アクティブマトリクス型液晶表示装置においては、画素電極と画素電極と対向する対向電極とが画素領域を規定する。本発明は、実施形態で例示するアクティブマトリクス型液晶表示装置に限られず、例えば、単純マトリクス型液晶表示装置に適用することもできる。単純マトリクス型液晶表示装置においては、ストライプ状に設けられる列電極と列電極に直交するように設けられる行電極とが互いに交差するそれぞれの領域が画素領域を規定する。なお、ブラックマトリクスが設けられる構成においては、厳密には、表示すべき状態に応じて電圧が印加される領域のうち、ブラックマトリクスの開口部に対応する領域が画素領域に対応することになる。
【0025】
前記第1基板と前記第2基板とは、第1接合材を介して接合され、前記第2基板と前記第3基板とは、第2接合材を介して接合され、前記第1接合材と前記第2接合材とは、同種の接合材であり、パターン形状が略同一であることが好ましい。
【0026】
本発明の投影型表示装置は、光源と、本発明の表示素子と、前記光源から出射された光源光を集光しながら前記表示素子に導く集光光学系と、前記表示素子によって光変調された前記光源光を投射面に投影する投影光学系とを備える。
【0027】
本発明の第2の局面による表示素子を備えた投影型表示装置は、前記光源光が、前記偏光板の偏光軸と略等しい方向に振動する光であることが好ましい。
【0028】
本発明の第1の局面による表示素子を製造する方法は、前記第1基板または前記第3基板の前記密閉断熱層側の面に、開口を有するシールパターンの接合材を形成する工程と、前記接合材を介して、前記第1基板と前記第3基板とを貼り合わせる工程と、真空雰囲気において、前記開口を封止材で封止し、前記封止材を硬化させる工程とを有する。
【0029】
本発明の第2の局面による表示素子を製造する方法は、前記第2基板または前記第3基板の前記密閉断熱層側の面に、開口を有するシールパターンの接合材を形成する工程と、前記接合材を介して、前記第2基板と前記第3基板とを貼り合わせる工程と、真空雰囲気において、前記開口を封止材で封止し、前記封止材を硬化させる工程とを有する。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。以下の実施形態では、TFT(Thin Film Transistor)をアクティブ素子に用いたTFT駆動型の液晶表示素子を例に説明する。但し、本発明の表示素子は、これに限らず、TFT以外の3端子素子、MIM(Metal Insulator Metal) などの2端子素子をアクティブ素子に用いたアクティブ駆動型の液晶表示素子に適用できる。また、アクティブ駆動型の液晶表示素子だけでなく、パッシブ(マルチプレックス)駆動型の液晶表示素子にも適用できる。
【0031】
(実施形態1)
図1は、本実施形態の透過型の液晶表示素子を模式的に示す平面図であり、図2は、図1中のX−Y線断面図である。本実施形態の液晶表示素子は、駆動素子基板1と、駆動素子基板1に対向し、かつ光源光が入射される対向基板2と、駆動素子基板1および対向基板2の間隙に介在する液晶層3と、駆動素子基板1の出射側の面1aに対向する外側基板4と、駆動素子基板1および外側基板4の間隙に形成された密閉断熱層5とを有する。本実施形態の液晶表示素子では、密閉断熱層5は真空に保持された真空断熱層である。真空断熱層は、真空度が高くなるに従って、熱伝導率が低くなる。言い換えると、断熱能が高くなる。なお、以下では、両基板1,2と液晶層3とを合わせて「液晶セル」といい、液晶表示素子を「液晶パネル」ともいう。
【0032】
駆動素子基板1および外側基板4の真空断熱層5側の面1a,4bのうち少なくとも一方の面には、熱伝導層6が形成されている。本実施形態では、駆動素子基板1の真空断熱層5側(出射側)の面1aおよび外側基板4の真空断熱層5側(入射側)の面4bに、熱伝導層6,6がそれぞれ形成されている。
【0033】
熱伝導層6は、酸化アルミニウム層、窒化アルミニウム層、炭化シリコン層、窒化シリコン層、窒化ホウ素層、リン化ホウ素層、薄膜ダイヤモンド層からなる群から選ばれる少なくとも1層を有する。これらの層は、高熱伝導率を有する。一般的なプロジェクタでは、液晶パネル中央部に最も集光するので、温度が最も高くなり、液晶パネルの中央部から周辺に離れる従って、光量・温度ともに低くなる傾向がある。また、パネルケース(ベゼル)などにより、画素表示領域(液晶パネル中央部)以外は遮光されるので、液晶パネルの温度は、中央部と周辺部とで差が生じる。熱伝導層6は、高い温度エリアから低い温度エリアへの伝熱する機能を有するので、不均一な温度ムラを解消させることができる。したがって、熱伝導層6がない場合と比較すると、画素表示領域の温度は低下する。駆動素子基板1の真空断熱層5側の面1aに熱伝導層6を形成することにより、液晶パネルの画素表示領域における冷却が期待できる。同様に、外側基板4の真空断熱層5側の面4bに熱伝導層6を形成することにより、出射側偏光板13による発熱を分散させることができる。
【0034】
駆動素子基板1および外側基板4の真空断熱層5側の面1a,4bにそれぞれ形成された熱伝導層6,6の全面に、反射防止膜(Anti−Reflection 膜、不図示)が製膜されている。反射防止膜としては、例えば低屈折率膜SiO2 と高屈折率膜TiO2 とを交互に重ねた多層膜を用いることができる。反射防止膜により、各基板1,4での界面反射が低減される。
【0035】
光源光が入射される対向基板2の入射側の面2bには、熱伝導性接着樹脂層15を介して、対向基板2と同サイズ程度の透明ガラス基板16が形成されている。熱伝導性接着樹脂層15は、例えばアルミナなどの導電性材料を混入したシリコン系樹脂からなる。
【0036】
透明ガラス基板16の入射側の面16bおよび外側基板4の出射側の面4aには、入射側偏光板12および出射側偏光板13がそれぞれ形成されている。本実施形態の液晶表示素子では、液晶層3中の液晶分子のツイスト角が約90°になるように調整されている。したがって、両偏光板12,13は、互いの偏光軸が直交するように設置もしくは装着されている。
【0037】
本実施形態では、入射光L1は、入射側偏光板12の偏光軸と略等しい方向に振動するように偏光されている。これにより、入射光L1の殆どは、入射側偏光板12を透過することができるので、光吸収による入射側偏光板12の発熱量は少ない。一方、入射側偏光板12を透過した入射光L1は、液晶層3により変調されて、一部が出射側偏光板13から外部環境に出射光L2として出射され、残りが出射側偏光板13に吸収される。したがって、黒表示をした場合には、入射側偏光板12を透過した入射光L1の殆どが出射側偏光板13に吸収されるので、出射側偏光板13の遮光による発熱が顕著となる。
【0038】
本実施形態によれば、液晶パネル構成部材の中で温度上昇の最も顕著な出射側偏光板13の放熱から液晶セルを断熱することで、液晶セルの大幅な温度上昇を抑えることができる。また、温度上昇の比較的小さい液晶セルの入射側には、密閉断熱層(例えば真空断熱層)を設けないことで、液晶セル単体からの発熱を効率良く放熱することができる。
【0039】
さらに、外側基板4および/または透明ガラス基板16として、熱伝導率が1W/m・K以上である放熱用ガラスを用いることにより、冷却効果および放熱効果を得ることができる。放熱用ガラスとしては、石英ガラス基板および耐熱ガラス基板が挙げられる。石英ガラス基板は、1.4W/m・K程度の熱伝導率を有しており、耐熱ガラス基板も例えばホウケイ酸ガラスではその熱伝導率が1.1W/m・K程度である。なお、通常のソーダガラスは、熱伝導率が0.5〜0.7W/m・K程度であり、十分な冷却効果および放熱効果を得ることはできない。
【0040】
外側基板4は、厚みが1mm以上であることが好ましい。駆動素子基板1の出射側に外側基板4を設けることにより、液晶パネルの駆動素子基板1の表面に塵が付着するのを防ぐことができる。また、駆動素子基板1の厚みは1mm程度であるので、液晶層3の面から外側基板4の面4aまでの距離を2mm以上確保することができる。外側基板4と駆動素子基板1とを合わせて2mm以上厚みを確保した場合、液晶層界面付近に入射光のピントを合わせると、外側基板4の表面はデフォーカスされる。したがって、外側基板4の表面に傷、塵や埃がたとえ付いたとしても、傷や埃などの像を投射画面上で大きくぼかして視覚上目立たなくすることができる。すなわち、外側基板4は防塵機能およびデフォーカス機能を有する。
【0041】
同様に、透明ガラス基板16も、厚みが1mm以上であることが好ましい。対向基板2の厚みも1mm程度であるので、液晶層3の面から透明ガラス基板16の面16bまでの距離を2mm以上確保することができるからである。また、ガラス基板を空冷する機構と組み合わせることにより、光源光による輻射熱を放熱するだけでなく、液晶セル内の遮光層での蓄積熱も、透明ガラス基板16から放熱することができる。言い換えれば、透明ガラス基板16は、液晶セルの放熱面として機能する。
【0042】
このように、液晶パネルの入射側に、防塵および放熱機能を有する厚板透明ガラス基板16を設けることで、放熱および防塵効果をともに維持できる。さらに、厚板透明ガラス基板16上に入射側偏光板12を貼り付けることで、基板16と偏光板12とを分離した場合に比べ、光利用効率が高くなる。
【0043】
駆動素子基板1と対向基板2とは、第1接合材7を介して接合されている。また、対向基板2と外側基板4とは、第2接合材8を介して接合されている。第1接合材7および第2接合材8は、ともに表示領域10以外の領域に形成され、パターン形状が略同一である。これにより、各接合材7,8は、表示面内には現れず、表示品位に影響を与えない。各接合材7,8には、同種の接合材(シール材)を用いることができる。
【0044】
図1に示すように、対向基板2よりも駆動素子基板1の方が大きいので、駆動素子基板1は対向基板2に重畳しない領域を有する。駆動素子基板1の液晶層3側の面1b上であって、対向基板2に重畳しない領域には、水平駆動回路および垂直駆動回路を含む周辺回路(不図示)が形成されている。周辺回路は、駆動素子基板1の上方に形成された信号入力端子9を介して、外部信号入力用のフレキシブルコネクタ11に接続されている。
【0045】
次に、本実施形態の液晶表示素子の製造工程について説明する。駆動素子基板1は、フォトリソ法を用いて、石英ガラスなどの透明基板上に、マトリクス状に配列された複数の透明画素電極および複数のスイッチング素子(TFT素子)を形成し、さらに、ポリイミド膜を形成することによって得られる。透明画素電極およびスイッチング素子を形成するためのフォトリソ工程を利用して、水平駆動回路および垂直駆動回路を含む周辺回路および信号入力端子9を形成する。なお、透明画素電極およびスイッチング素子の形成前または形成後に、周辺回路および信号入力端子9を形成しても良い。
【0046】
対向基板2は、駆動素子基板1の透明基板よりも小さい、石英ガラスなどの透明基板上に、透明電極およびポリイミド膜を形成することによって得られる。ポリイミド膜は、一般的なポリイミド材料を用いて形成することができる。例えば、ポリイミド材料としてオプトマーAL−4552 (JSR社製)を用いて、厚さが1000nmであるポリイミド薄膜を印刷法により形成することができる。その後、液晶層3の遅相軸または進相軸に対して45度もしくは−45度方向に、それぞれラビング処理などの延伸処理を行う。ポリイミド膜は、ラビング処理などにより液晶分子をガラス基板面に水平または数度のプレティルト角度をもって配向させる作用をもっている。
【0047】
上述の通り、透明画素電極上には、液晶組成物などの電気光学物質の配向を制御するための配向膜が形成されている。しかし、下層側のパターンや凹凸により画素電極や配向膜に凹凸が一般に生じる。このような凹凸近傍では液晶層の配向不良、配向異常が生じ、これにより光抜けやコントラストの低下などの表示品位への悪影響が起きる。このような品位低下を回避する手法として、駆動素子基板1や対向基板2に遮光膜を形成したり、駆動素子基板1の積層構造の一部に遮光膜を含めたりする。
【0048】
特に、液晶パネルを投射型表示装置のライトバルブとして使用した場合、入射光の一部は液晶パネルを透過した後、各基板表面での界面反射光として再び液晶パネルに戻ることがある。この反射光によりTFT素子の半導体層に光電流が発生し、スイッチング素子の特性低下を招く。反射光による半導体膜への影響を回避する手法として、半導体膜と基板との間に遮光膜を設ける例もある。遮光膜として、例えば、Ti、Ta、Mo、Pb、Cr、Wなどの不透明金属の単体、これら不透明金属の合金、あるいはシリサイドなどを使用することができる。
【0049】
駆動素子基板1の出射側の面1aおよび外側基板4の入射側の面4b全面に、熱伝導層6,6を形成する。本実施形態では、熱伝導層6,6として薄膜ダイヤモンド層を形成する。薄膜ダイヤモンド層は、一般にDLC(Diamond Like Carbon )層と呼ばれており、ダイヤモンド構造を一部含んだアモルファス層であり、構成元素として、炭素以外に水素も一部含有している。駆動素子基板1および外側基板4それぞれの熱伝導層6,6の全面に、反射防止膜(AR膜)を製膜する。なお、外側基板4としては、対向基板2と同サイズかつ基板厚1mmの石英ガラス基板を使用する。
【0050】
第1接合材7を介して、駆動素子基板1と対向基板2とを接合するとともに、第2接合材8を介して、駆動素子基板1と外側基板4とを接合する。第1接合材7および第2接合材8は、同じシール剤(例えばXN−21S、三井化学社製)を用いて、ほぼ同じシールパターンで形成するのが望ましい。これにより、接合材7,8が表示面内に現れず、表示品位に影響を与えない。また、後述する液晶パネル保護ケース(モジュール)14内の遮光部に接合材7,8がレイアウトされるので、強度も保持でき信頼性が高くなる。
【0051】
図3を参照しながら、駆動素子基板1と外側基板4とを接合して、密閉断熱層(本実施形態では真空断熱層5)を形成する工程を説明する。図3は、第2接合材8のシールパターンを模式的に示す平面図である。図3に示す第2接合材8は、駆動素子基板1または外側基板4の一方面の周辺部に、印刷法を用いて形成することができる。第2接合材8のシールパターンは開口8aを有する環状である。真空断熱層5の体積は、2枚の基板1,4間の距離を調整することにより、制御することができる。例えば、第2接合材8中に球形ビーズもしくはグラスファイバを混入させる場合、球形ビーズまたはグラスファイバの径を調整することにより、真空断熱層5の体積を容易に制御することができる。なお、必要に応じて、駆動素子基板1または外側基板4上にプラスチックからなる球状のスペーサを分散させても良い。
【0052】
駆動素子基板1と外側基板4との位置合わせを行って、第2接合材8を介して、両基板1,4を貼り合わせる。第2接合材8が熱硬化型であれば加熱により、紫外線硬化型であれば紫外線照射により、第2接合材8を硬化させる。
【0053】
真空雰囲気中(1×104 Pa〜1×10−10 Pa程度)、第2接合材8の開口付近のみを封止材(例えば封止樹脂)に浸し、開口の封止材8bを熱または紫外線により硬化させる。その後、雰囲気を大気圧に戻すと、駆動素子基板1と外側基板4との間に真空断熱層5が形成される。なお、硬化前の封止材の粘度を適宜調整することによって、雰囲気を大気圧に戻した後に、封止材を硬化させることもできる。また、紫外線により硬化させる場合、紫外線を照射する方向は特に限定されないが、基板面に対して略垂直方向から紫外線を照射するのが望ましい。
【0054】
同様にして、駆動素子基板1または対向基板2の一方面の周辺部に、開口を有する第1接合材7のシールパターンを形成する。駆動素子基板1と対向基板2との接合を行った後、真空注入法により第1接合材7の開口から液晶材料を注入する。
【0055】
ネマテック相−等方相転移温度(NI点)100℃のカイラルネマチック液晶材料を加温して等方性状態にする。真空雰囲気中、開口を下に向けた状態で、開口を液晶材料に浸す。その後、雰囲気を大気圧に戻すと、開口から液晶材料が注入されて、駆動素子基板1と対向基板2との間隙に液晶材料が充填される。このとき、両基板1,2もNI点以上の温度に加温する。カイラルネマチック液晶材料を完全に充填した後、液晶セルを徐冷して、開口を封止樹脂により封口する。封止樹脂を熱または紫外線により硬化させる。これにより、両基板1,2間にカイラルネマチック液晶層3が形成される。なお、液晶材料は、屈折異方性が0.084 であるネマテック液晶材料に左ねじれのカイラル材を添加して、調製することができる。本実施形態では、カイラル材の添加量をツイスト角が約90度になるように調整する。
【0056】
対向基板2の入射側の面2bに、熱伝導性接着樹脂層15を介して、対向基板2と同サイズ程度の透明ガラス基板16を貼り付ける。熱伝導性接着樹脂層15は、例えばアルミナなどの導電性材料を混入したシリコン系樹脂を塗布することにより形成することができる。
【0057】
以上の工程により形成された液晶パネルの両面に、入射側の偏光板12および出射側の偏光板13をそれぞれポリイミド膜(配向膜)のラビング方向と水平となる方向で、かつ互いの偏光板12,13が直交するように、設置もしくは装着させる。さらに、水平駆動回路および垂直駆動回路を含む周辺回路を、駆動素子基板1の上方に形成された信号入力端子9を介して、外部信号入力用のフレキシブルコネクタ11に接続する。
【0058】
図4は、液晶パネル保護ケースを装着した状態の液晶表示素子を示す平面図である。図4に示すように、液晶パネルの周辺駆動回路および各接合材7,8のパターンを遮光し、かつ液晶パネル内の表示領域10のみが透過できる液晶パネル保護ケース(ベゼル)14を用いて、液晶表示素子をパッケージングする。その後、フレキシブルコネクタ11をプロジェクタ本体の回路基板に接続する。
【0059】
本実施形態によれば、液晶パネルの点灯時において、パネル構成部材の中で温度上昇の最も顕著な出射側偏光板13の放熱および熱拡散から液晶パネルを断熱することができるので、液晶パネルの大幅な温度上昇を抑えることができる。また、温度上昇の比較的少ない入射側には、真空断熱層を設けないことで、パネル単体からの発熱を効率良く放熱することができる。また、入射側に、防塵および放熱機能を有する厚板透明ガラス16を設けることにより、放熱および防塵効果をともに維持できる。したがって、現状の表示特性を損なわずに、液晶パネルの温度上昇を抑え、パネルの信頼性向上が期待できる。
【0060】
(実施形態2)
図5は、実施形態2の透過型の液晶表示素子を模式的に示す断面図である。図5において、実施形態1の液晶表示素子と実質的に同じ機能を有する構成要素を共通の参照符号で示し、その説明を省略する。
【0061】
本実施形態の液晶表示素子は、密閉断熱層(真空断熱層)5が液晶セルの入射側に形成されている点が、密閉断熱層(真空断熱層)5が液晶セルの出射側に形成されている実施形態1の液晶表示素子と異なる。
【0062】
具体的には、本実施形態の液晶表示素子は、駆動素子基板1と、駆動素子基板1に対向し、かつ光源光が入射される対向基板2と、駆動素子基板1および対向基板2の間隙に介在する液晶層3と、対向基板2の入射側の面2bに対向する外側基板4と、対向基板2および外側基板4の間隙に形成された密閉断熱層(本実施形態では、真空断熱層である)5とを有する。
【0063】
対向基板2および外側基板4の真空断熱層5側の面2b,4aのうち少なくとも一方の面には、放熱機能を有する熱伝導層6が形成されている。本実施形態では、対向基板2の真空断熱層5側(出射側)の面2bおよび外側基板4の真空断熱層5側(入射側)の面4aに、熱伝導層6,6がそれぞれ形成されている。これにより、液晶パネルの冷却とともに、出射側偏光板13による発熱の放熱を期待できる。対向基板2および外側基板4それぞれの熱伝導層6,6の全面に、反射防止膜(AR膜)を製膜する。なお、外側基板4としては、対向基板2と同サイズかつ基板厚1mmの耐熱性ガラス基板(例えば、パイレックス(登録商標)ガラス基板)を使用する。
【0064】
光源光が出射される駆動素子基板1の出射側の面1aには、熱伝導性接着樹脂層15を介して、対向基板2と同サイズ程度の透明ガラス基板16が形成されている。熱伝導性接着樹脂層15は、例えばアルミナなどの導電性材料を混入したシリコン系樹脂からなる。
【0065】
外側基板4の入射側の面4bおよび透明ガラス基板16の出射側の面16aには、入射側偏光板12および出射側偏光板13がそれぞれ形成されている。本実施形態の液晶表示素子では、液晶層3中の液晶分子のツイスト角が約90°になるように調整されている。したがって、両偏光板12,13は、互いの偏光軸が直交するように設置もしくは装着されている。
【0066】
本実施形態の液晶表示素子は、液晶セルの入射側が出射側よりも高温となる場合に有利である。例えば、光源光があらゆる方向に振動しているランダム偏光の場合、入射側の偏光板12に光源光(入射光L1)が入射すると、偏光板12の偏光軸と異なる方向に振動する光が偏光板12に吸収されるので、光吸収による入射側偏光板12の発熱量は多い。一方、入射側偏光板12を透過した入射光L1は、液晶層3により変調されて、一部が出射側偏光板13から外部環境に出射光L2として出射され、残りが出射側偏光板13に吸収される。したがって、出射側偏光板13の光吸収による発熱量は、入射側偏光板12の光吸収による発熱量よりも少ない。
【0067】
本実施形態によれば、液晶パネル構成部材の中で温度上昇の最も顕著な入射側偏光板12の放熱から液晶セルを断熱することで、液晶セルの大幅な温度上昇を抑えることができる。また、温度上昇の比較的小さい液晶セルの出射側には、密閉断熱層(例えば真空断熱層)を設けないことで、液晶セル単体からの発熱を効率良く放熱することができる。
【0068】
また、実施形態1と同様に、外側基板4および/または透明ガラス基板16として、熱伝導率が1W/m・K以上である放熱用ガラスを用いることにより、冷却効果および放熱効果を得ることができる。さらに、外側基板4および/または透明ガラス基板16は、厚みが1mm以上であることが好ましい。これにより、防塵機能およびデフォーカス機能が付与される。液晶パネルの出射側に、防塵および放熱機能を有する厚板透明ガラス基板16を設けることで、放熱および防塵効果をともに維持できる。さらに、厚板透明ガラス基板16上に出射側偏光板13を貼り付けることで、基板16と偏光板13とを分離した場合に比べ、光利用効率が高くなる。
【0069】
対向基板2と外側基板4とを貼り合わせる際、強度および耐久性を考慮して、熱硬化性接着フィルムを第2接合材8に用いることができる。熱硬化性接着フィルムは、液晶材料保持用の第1接合材7のパターンと同様なシールパターンを有する。真空雰囲気下で、液晶セルに外側基板4を貼り合わせ、その後加熱することにより接着樹脂の硬化処理を行う。なお、実施形態1と同様に、開口8aを有する環状のシールパターンを形成し、対向基板2および外側基板4を貼り合わせ、真空雰囲気中(1×104 Pa〜1×10−10 Pa程度)、開口付近のみを封止材(例えば封止樹脂)に浸し、封止材を熱または紫外線により硬化させても良い。
【0070】
図4に示すように、液晶パネルの周辺駆動回路および各接合材7,8のパターンを遮光し、かつ液晶パネル内の表示領域10のみが透過できるパネル保護ケース(ベゼル)14を用いて、液晶表示素子をパッケージングする。その後、フレキシブルコネクタ11をプロジェクタ本体の回路基板に接続する。
【0071】
(実施形態3)
実施形態1および2の液晶表示素子は、いずれも真空断熱層5の両側に、熱伝導層6および反射防止膜を有するが、真空断熱層5のいずれか一方側にのみ熱伝導層6および反射防止膜が形成されていても良く、あるいは熱伝導層6および反射防止膜がなくても良い。また、熱伝導層6および反射防止膜のうちいずれか一方のみが形成されていても良い。
【0072】
(実施形態4)
本発明の表示素子は、投射型液晶表示装置のライトバルブとして好適に用いることができる。投射型液晶表示装置(以下、プロジェクタともいう。)としては、典型的には、3つの液晶表示素子を用いる3板式のプロジェクタ、特開平4−60538号公報などに開示された単板式のプロジェクタが挙げられる。本実施形態では、実施形態1の液晶表示素子を用いた、3板式のプロジェクタについて説明する。なお、単板式のプロジェクタでは、液晶パネルにカラーフィルタを設ける必要がある。3板式の場合には、カラーフィルタは不要だが、光源光を3原色に分光および合成するための光学素子が必要となる。
【0073】
図6は、3板式の投射型液晶表示装置における光学系の構成図である。本実施形態のプロジェクタは、白色光源17と、実施形態1の液晶表示素子20,21,22と、光源17から出射された光源光を集光しながら液晶表示素子20,21,22に導く集光光学系と、各液晶表示素子20,21,22によって光変調された光源光を投射面に投影する投影光学系とを備える。
【0074】
本実施形態では、RGB(赤・緑・青)の3原色を表示するために、各原色の表示光路に、RGBの3つの液晶パネル20,21,22が設けられる。ランプ光源17から投影レンズ30に至る光路上には、光源光から熱線を除去する熱線フィルタ18、ホモジナイザ19、色分離特性を有するダイクロイックミラー23,24、各光路用液晶パネル20,21,22、最終的に3色の色合成を行うクロスダイクロイックプリズム25が順次に配置されている。
【0075】
また、光源光を90°反射させ、その反射光をホモナイザ透過光路に導くためのミラー26、ダイクロイックミラー23で赤色に分離された光を90°反射させるためのミラー27、ダイクロイックミラー24で青色に分離された光を90°反射させるためのミラー28,28、複数の集光レンズがそれぞれ配置されている。投影レンズ30の透過方向には、スクリーンが配置されている。
【0076】
ダイクロイックミラー23,24は、光源光をRGBの3原色の成分に分光するための光学素子である。赤分離用ダイクロイックミラー23は、赤色成分の波長を透過し、他の成分の波長を反射する。緑分離用ダイクロイックミラー24は、緑色成分の波長のみを反射し、他の成分の波長を透過する。なお、各液晶パネル20,21,22の光源入射側および出射側には、それぞれ偏光板12,13が設けられており、一方の偏光板と他方の偏光板とはその偏光方向が直交している。
【0077】
光学系の光路は以下の通りである。まず光源17を出射した光源光は、熱線フィルタ18により赤外成分が除去され、ホモジナイザ19によって強度が均一化され、さらに1方向に振動する直線偏光にされた後、ダイクロイックミラー23,24に入射する。赤色ダイクロイックミラー23に入射した光のうち赤色成分は、ダイクロイックミラー23を透過した後、ミラー27で90°反射され、赤用液晶パネル20に入射する。赤色ダイクロイックミラー23に入射した光のうち赤色成分以外のGB成分は、赤色ダイクロイックミラー23で反射された後、緑色ダイクロイックミラー24に入射する。緑色成分は、ダイクロイックミラー24で反射され、緑用液晶パネル21を照射する。
【0078】
ダイクロイックミラー24を透過した残りの成分、つまり青色成分は、ミラー28,28によりそれぞれ90°反射され、青用液晶パネル22を照射する。赤色、緑色、青色の3色の光は、各液晶パネル20,21,22を透過することにより、光の2次元的な強度分布が変調されて、赤色の画像、緑色の画像、青色の画像に対する光となる。
【0079】
各RGB用液晶パネル20,21,22を透過した赤色、緑色、青色の3色の光は、クロスダイクロイックプリズム25の同じ面から出射することで合成され、カラー画像となる。このカラー画像を投影するために、クロスダイクロイックプリズム25からの出射光を投影レンズ30によって拡大し、スクリーン上に投射する。
【0080】
本実施形態では、実施形態1の液晶表示素子を用いているが、光源17からの光がランダム偏光の場合には、各液晶表示素子20,21,22として実施形態2の液晶表示素子を用いることが望ましい。
【0081】
本実施形態では、3つの白黒型液晶表示素子を用いているが、赤(R),緑(G),青(B)各色の液晶表示素子を用いても良い。本実施形態では、白色光源を用いているが、赤,緑,青の3原色の光源を用いてもよい。また、白色光源からの白色光の平行度が悪い場合には、コントラストや色純度の低下を引き起こすおそれがあるので、白色光源からの白色光をコンデンサーレンズで一旦スポットに集光し、スリットまたはピンホールなどで不要な光をカットしても良い。
【0082】
本実施形態の投射型液晶表示装置は、スクリーンの手前から投写するフロント投写方式であるが、反射ミラーを用いてスクリーンの背面から投写するリア投写方式にも適用することができる。またヘッドマウント型の表示装置にも適用することができる。
【0083】
本実施形態に用いられた液晶表示素子は、アクティブマトリクス型電気書き込み方式により情報の書き込みが行われる。しかし、本発明の液晶表示素子は、単純マトリクス型電気書き込み方式、光書き込み方式、熱(レーザ)書き込み方式の液晶表示素子であっても良い。
【0084】
【発明の効果】
本発明の表示素子によれば、液晶パネルの温度上昇を防止して、安定した表示品位が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態1の透過型の液晶表示素子を模式的に示す平面図である。
【図2】図1中のX−Y線断面図である。
【図3】第2接合材8のシールパターンを模式的に示す平面図である。
【図4】液晶パネル保護ケース14を装着した状態の液晶表示素子を示す平面図である。
【図5】実施形態2の透過型の液晶表示素子を模式的に示す断面図である。
【図6】3板式の投射型液晶表示装置における光学系の構成図である。
【符号の説明】
1 駆動素子基板(第1基板)
1a 第1基板の出射側面
2 対向基板(第2基板)
2b 第2基板の入射側面
3 液晶層
4 外側基板(第3基板)
4a 第3基板の出射側面
5 密閉断熱層(真空断熱層)
6 熱伝導層
7 第1接合材
8 第2接合材
8a 開口
8b 封止材
10 表示領域
12 入射側偏光板
13 出射側偏光板
17 白色光源
25 クロスダイクロイックプリズム
30 投影レンズ
Claims (18)
- 光源光が入射される第1基板と、前記第1基板に対向し、前記光源光が出射される第2基板と、前記第1基板および前記第2基板の間隙に介在する液晶層と、前記第1基板の入射側面に対向する第3基板と、前記第1基板および前記第3基板の間隙に形成された密閉断熱層と、前記第3基板の出射側面に形成された偏光板とを有する、表示素子。
- 光源光が入射される第1基板と、前記第1基板に対向し、前記光源光が出射される第2基板と、前記第1基板および前記第2基板の間隙に介在する液晶層と、前記第2基板の出射側面に対向する第3基板と、前記第2基板および前記第3基板の間隙に形成された密閉断熱層と、前記第3基板の出射側面に形成された偏光板とを有する、表示素子。
- 前記密閉断熱層は、真空断熱層である、請求項1または2に記載の表示素子。
- 前記第1基板および/または第3基板の前記密閉断熱層側の面に、熱伝導層が形成されている、請求項1に記載の表示素子。
- 前記第2基板および/または第3基板の前記密閉断熱層側の面に、熱伝導層が形成されている、請求項2に記載の表示素子。
- 前記熱伝導層は、酸化アルミニウム層、窒化アルミニウム層、炭化シリコン層、窒化シリコン層、窒化ホウ素層、リン化ホウ素層、薄膜ダイヤモンド層からなる群から選ばれる少なくとも1層を有する、請求項4または5に記載の表示素子。
- 前記第3基板は、石英ガラス基板または耐熱ガラス基板である、請求項1または2に記載の表示素子。
- 前記第3基板は、防塵機能を有する、請求項1または2に記載の表示素子。
- 前記第3基板は、熱伝導率が1W/m・K以上であり、厚みが1mm以上である、請求項1または2に記載の表示素子。
- 前記第1基板および/または前記第3基板の前記密閉断熱層側の面に、反射防止膜が形成されている、請求項1に記載の表示素子。
- 前記第2基板および/または前記第3基板の前記密閉断熱層側の面に、反射防止膜が形成されている、請求項2に記載の表示素子。
- 前記第1基板と前記第3基板とは、接合材を介して接合され、前記接合材は、表示領域以外の領域に形成されている、請求項1に記載の表示素子。
- 前記第2基板と前記第3基板とは、接合材を介して接合され、前記接合材は、表示領域以外の領域に形成されている、請求項2に記載の表示素子。
- 前記第1基板と前記第2基板とは、第1接合材を介して接合され、前記第2基板と前記第3基板とは、第2接合材を介して接合され、前記第1接合材と前記第2接合材とは、同種の接合材であり、パターン形状が略同一である、請求項1または2に記載の表示素子。
- 光源と、
請求項1〜14のいずれか1項に記載の表示素子と、
前記光源から出射された光源光を集光しながら前記表示素子に導く集光光学系と、
前記表示素子によって光変調された前記光源光を投射面に投影する投影光学系とを備えた、投影型表示装置。 - 請求項2に記載の表示素子を備えた、投影型表示装置であって、
前記光源光は、前記偏光板の偏光軸と略等しい方向に振動する光である、請求項15に記載の投影型表示装置。 - 請求項1に記載の表示素子を製造する方法であって、
前記第1基板または前記第3基板の前記密閉断熱層側の面に、開口を有するシールパターンの接合材を形成する工程と、
前記接合材を介して、前記第1基板と前記第3基板とを貼り合わせる工程と、
真空雰囲気において、前記開口を封止材で封止し、前記封止材を硬化させる工程とを有する、表示素子の製造方法。 - 請求項2に記載の表示素子を製造する方法であって、
前記第2基板または前記第3基板の前記密閉断熱層側の面に、開口を有するシールパターンの接合材を形成する工程と、
前記接合材を介して、前記第2基板と前記第3基板とを貼り合わせる工程と、
真空雰囲気において、前記開口を封止材で封止し、前記封止材を硬化させる工程とを有する、表示素子の製造方法。
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- 2002-08-08 JP JP2002231722A patent/JP2004070163A/ja active Pending
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