JP2005207279A - 熱分解ガスファンのインペラブロー装置 - Google Patents

熱分解ガスファンのインペラブロー装置 Download PDF

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Abstract

【課題】熱分解ガスファンのインペラにダストが付着しないようにする。
【解決手段】熱分解炉1にて発生する熱分解ガス9を次工程に送る熱分解ガス配管14上の熱分解ガスファン15に、インペラに臨むブローノズル21を設ける。ブローノズル21は、コンプレッサ24に接続した空気ヘッダ23に、電磁弁26付きのブロー用空気配管25を介し接続する。熱分解ガスファン15の回転数を検出するインバータ28と、空気ヘッダ23の圧力センサ27と、熱分解ガスファン15の下流側の熱分解ガス配管14上の温度センサ29とからの信号を基に電磁弁26を開閉させる制御器30を備える。制御器30による電磁弁26の開閉によりブローノズル21より加圧空気22を間欠的に噴出させて、熱分解ガスファン15のインペラに付着するダストを除去させる。この際、ブロー空気量は、熱分解ガス9中の酸素濃度が燃焼濃度下限未満になるよう制御させる。
【選択図】図1

Description

本発明は都市ごみ等の廃棄物を熱分解する熱分解炉より熱分解残渣と分離されて取り出される熱分解ガスを次工程へ送る熱分解ガス配管上に設けてある熱分解ガスファンのインペラに、上記熱分解ガスに同伴されるダストが付着することを防止すると共に、付着したダストを除去できるようにするための熱分解ガスファンのインペラブロー装置に関するものである。
一般に、都市ごみ等の廃棄物の処理方法としては、現在、その大半が焼却処理されている。この廃棄物の焼却処理の際にエネルギーを回収することができれば、廃棄物をエネルギー源としてリサイクルできると共に、その分の化石燃料の消費を減らすことができて、資源の節約及び二酸化炭素の排出抑制に繋がることになる。そのために、廃棄物をエネルギー源としてリサイクルする手法の1つとして、近年、都市ごみ等の廃棄物を熱分解炉内にて酸素欠乏状態(無酸素雰囲気或いは低酸素濃度雰囲気)や還元雰囲気下において350〜500℃に加熱して熱分解処理し、生成される可燃性の熱分解ガスと熱分解残渣(チャー、炭化物)とを熱分解炉より分離させて取り出し、該熱分解ガス及び熱分解残渣を、共に溶融炉で少ない空気量で高温にして燃焼させ、廃棄物中の灰分を溶融スラグとして取り出すことができるようにした熱分解ガス化溶融方式の廃棄物処理方法が開発されてきている。
かかる熱分解ガス化溶融方式の廃棄物処理設備は、図4に示す如き構成としてある。すなわち、二重構造として外周に加熱流路3を形成してあるロータリー型のキルン炉本体2を回転駆動可能に横向き配置し、且つ該キルン炉本体2の長手方向一端側の入口4に投入ホッパ5からの廃棄物6を投入する給じん機7を備えると共に、長手方向他端側の出口8に熱分解ガス9と熱分解残渣10を分離させる分離室11を備えた構造としてなる外熱キルン式の熱分解炉1を設けて、低速で回転させた上記キルン炉本体2内に給じん機7より供給した廃棄物6を、外周部の加熱流路3内を流通する熱風炉12からの高温ガス(熱風)13による外熱により間接加熱して熱分解させるようにしてある。
上記熱分解炉1のキルン炉本体2内における廃棄物6の熱分解で発生した熱分解ガス9は、出口8部の分離室11の上部に接続してある熱分解ガスファン15を備えた熱分解ガス配管14を通して下流側の表面溶融炉等の溶融炉16へ導くようにしてある。一方、上記キルン炉本体2内における廃棄物6の熱分解で発生する熱分解残渣10は、上記熱分解炉出口8部の分離室11の下端より残渣取出装置17へ取り出し、鉄、アルミニウム等の有価金属18を分離回収してから上記溶融炉16へ導くようにしてある。これにより、上記熱分解ガス9と熱分解残渣10とを共に溶融炉16内にて高温で燃焼させて、揮発分の残った熱分解残渣10や、熱分解残渣10中に混入するがれき類も含めて安定した溶融スラグ19とさせて回収できるようにしてある。
更に、上記熱分解ガス9の一部は、上記熱分解ガス配管14における熱分解ガスファン15よりも下流側位置より分岐させた分岐管14aを通し熱風炉12へ供給して、上記熱分解炉1における廃棄物6を熱分解させる熱源となる高温ガス13を発生させるための燃料として利用することができるようにしてある。
なお、20は熱風炉12にて発生させた高温ガス13をキルン炉本体2の加熱流路3に出口8側位置より導入させるための高温ガス導入配管である。又、上記熱風炉12は、図示しない燃料ライン及び燃焼用空気ラインが接続してあり、上記燃料ラインを通して供給される助燃用の外部燃料と、熱分解ガス配管14の分岐管14aを経て供給される熱分解ガス9と、上記燃焼用空気ラインを通して供給される燃焼用空気との比率を適宜調整することにより、発生させる高温ガス13の温度が廃棄物6の熱分解温度を上回る所定温度となるようにしてある(たとえば、特許文献1参照)。
又、上記と同様にして熱分解炉1における廃棄物6の熱分解により発生させられて、熱分解炉出口8部の分離室11の上部より取り出される熱分解ガス9と熱分解残渣10のうち、熱分解ガス9は廃棄物処理設備で必要となる熱源の燃料として利用する一方、熱分解残渣10は、有価金属や不燃物を除去した後、外部の各種燃焼炉で利用できる炭化物燃料として外部へ取り出すことができるようにした廃棄物炭化設備も提案されてきている。
ところで、上記熱分解炉1の分離室11の上部より取り出される熱分解ガス9には、上記熱分解炉1内における廃棄物6の熱分解時に発生される可燃性で且つ粘性の高いダスト(粉塵)が多く同伴される。このため、熱分解ガス配管14上に設けられる熱分解ガスファン15では、上記可燃性で且つ粘性の高いダストが、インペラ(図示せず)に付着し易い。なお、ダストがインペラに付着すると、送風効率が低下するのみではなく、正常な場合と比較してインペラの重量バランスが崩れ、上記熱分解ガスファン15に振動(異常振動)が発生する。更に、インペラの周方向に不均一にダストが付着したり、インペラの回転中に、該インペラに付着していたダストの付着物が一部剥離したりすると、回転しているインペラの回転バランスが大きく崩れされて熱分解ガスファン15が更に異常振動する虞がある。このような振動が激しくなると、熱分解ガスファン15が破損する虞も懸念されるようになるため、熱分解ガスファン15の運転が継続できなくなる。したがって、上記インペラに付着するダストは除去する必要がある。
このため、従来は、1〜2週間に一度程度の頻度で定期的に、上記熱分解ガスファン15のインペラに付着するダストを手作業で除去して清掃するようにしていた。
なお、ファンのインペラに付着するダストを運転中に除去できるようにするための装置としては、ダストの多いガスを送風するようにしてある、たとえば、セメントプラント等で用いる送風装置において、インペラのガス取込み側近傍位置に、該インペラの圧縮羽根のガス取込み先端の裏面に向けて開口するよう配置したノズルと、該ノズルに空気配管を介して接続した加圧空気タンクと、上記空気管に設けた開閉弁と、該開閉弁の開閉を制御する制御器とからなるダスト除去装置を設けて、上記制御器により開閉弁の開閉を行なうことにより、加圧空気タンク内より空気配管を通して導いた加圧空気を、ノズルより上記インペラの圧縮羽根のガス取込み先端の裏面へ向けて噴射することにより、その噴射圧力とインペラの回転による衝突力の増加によって上記インペラの圧縮羽根に付着したダストを剥離除去させるようにすることが従来提案されている(たとえば、特許文献2参照)。
又、送風機のケーシング内に設けられた羽根車のガス流入部付近に位置して該羽根車に向けて粉粒体を噴射するノズルと、該ノズルに導通して前記ケーシングの外部まで延設された噴射粉粒体導管と、送風機の外部に設けられた粉粒体槽と、この粉粒体槽内の粉粒体の適量を圧縮空気にのせて上記噴射粉粒体導管に送給する圧縮空気源とからなる構成として、上記圧縮空気源より送給される圧縮空気によって搬送される粉粒体槽内の粉粒体を、ノズルより回転中の上記羽根車へ連続的又は間欠的に噴射させることにより、サンドブラストと同様の作用により上記羽根車に付着するダストを除去できるようにした送風機のダスト除去装置も従来提案されている(たとえば、特許文献3参照)。
特開2001−263625号公報 特開平9−133100号公報 実公昭59−38992号公報
ところが、上記熱分解ガス化溶融方式の廃棄物処理設備における熱分解ガスファン15のインペラの清掃作業を手作業で行なう場合には、該熱分解ガスファン15のインペラに付着するダストが可燃性であるため、該インペラに付着したダストの付着物が冷却されるまで待つ必要があり、このため、廃棄物処理設備全体の運転を2日程度停止させて、加熱部分である熱分解ガスファン15が冷えてから清掃作業を行う必要があり、このため、廃棄物処理設備の運転の復旧に長時間を要するというのが実状である。
又、熱分解ガスファン15を備えた熱分解ガス配管14に並列させて予備のラインを設けるようにすれば、上記熱分解ガスファン15のインペラに付着したダストを清掃する際に、廃棄物処理設備全体を長時間に亘って運転停止させる必要をなくすことができると考えられるが、この場合には、熱分解ガスファン15を2基設ける必要が生じると共に、2系統の熱分解ガス配管14について、停止中のラインへダストが付着するのを防ぐため、各々前後弁が必要となる。更には各弁入出口にブロー装置が必要となるため、イニシャルコスト及び維持管理コストが嵩んでしまう。
なお、特許文献2に示されたダスト除去装置、及び、特許文献3に示されたダスト除去装置は、セメントプラント等で用いる送風装置のように、非可燃物である空気等を送風する送風装置のインペラに付着するダストの除去には共に有効である。しかし、これらの特許文献に示されたダスト除去装置は、いずれも、外部より加圧した(圧縮した)空気をインペラや羽根車に向けて噴き付けるものであるため、該噴き付けられた空気は、そのまま、送付装置における送風対象となる空気に混入されて下流側へ送られている。したがって、図4に示された如き可燃性の熱分解ガス9を送風するようにしてある熱分解ガスファン15のインペラに付着する可燃性のダストの除去を目的として、上記特許文献2、特許文献3に示されたダスト除去装置をそのまま適用すると、可燃物である熱分解ガス9やダストに、外部より空気が供給されることになり、これにより、上記熱分解ガス9やダストが燃焼する虞が懸念される。したがって、上記熱分解ガスファン15のインペラの清掃に、上記特許文献2及び特許文献3に示されたダスト除去装置をそのまま適用することはできない。
更に、特許文献3に示されたダスト除去装置は、羽根車に対して、空気と一緒に外部より供給した粉粒体を噴き付けるようにしたものであるため、図4に示された熱分解ガスファン15に適用すると、該熱分解ガスファン15の下流側に熱分解ガス配管14を介し接続してある溶融炉16や、熱分解ガス配管14の分岐管14aを介し接続してある熱風炉12に、上記粉粒体が熱分解ガス9に混入された状態で一緒に供給されることになり、好ましくない。
そこで、本発明は、廃棄物の熱分解炉より取り出された熱分解ガスを次工程に送るため熱分解ガス配管上に設けてある熱分解ガスファンのインペラに可燃性のダストを付着させないようにすると共に、インペラに可燃性ダストが付着した場合は、該熱分解ガスファンの運転停止を要することなく且つ可燃性の熱分解ガスやダストの燃焼を防ぎながら清掃できるようにするための熱分解ガスファンのインペラブロー装置を提供しようとするものである。
本発明は、上記課題を解決するために、廃棄物を熱分解する熱分解炉から取り出される熱分解ガスを次工程に送るための熱分解ガス配管上の熱分解ガスファンに、該熱分解ガスファンのインペラの所要個所に気体を噴き付けるようにするブローノズルを設け、且つ該ブローノズルを、加圧気体供給源に接続してあるヘッダに、開閉弁付きのブロー用気体配管を介し接続し、更に、上記開閉弁へ開閉指令を所要の時間間隔で間欠的に与える制御器を備えた構成とする。
又、上記構成における熱分解ガスファンの下流側近傍の熱分解ガス配管上に熱分解ガスの温度を検出する温度センサを設け、該温度センサにて検出される熱分解ガスファン出口側の熱分解ガス温度が予め設定してある温度よりも高い場合に、ブロー用気体配管上の開閉弁に閉止指令を与える機能を制御器にもたせた構成とする。
同じく、ヘッダの圧力を検出する圧力センサを設け、該圧力センサにて検出される上記ヘッダの圧力が所定の圧力よりも低い場合に、ブローノズル用気体配管上の開閉弁に閉止指令を与える機能を制御器にもたせた構成とする。
更に、熱分解ガスファンの回転数を検出するインバータを設けると共に、ヘッダの圧力を制御する圧力制御弁とヘッダ圧力を検出する圧力センサを設け、更に、上記インバータからの信号と圧力センサからの信号に基づいて上記圧力制御弁へヘッダ圧力の制御指令を与えるようにするヘッダ圧力制御器を備えるようにした構成とし、更に、上記ヘッダ圧力制御器は、ブローノズルからのブローを開始する直前の時点にて、インバータにより検出される熱分解ガスファンの回転数から求められる熱分解ガスの量を基に、上記ブローノズルよりブローされる加圧気体に含まれる酸素が熱分解ガス中に混合されても該熱分解ガス中の酸素濃度が燃焼濃度下限未満となる加圧気体の噴き込み可能量を算出し、該算出される加圧気体の噴き込み可能量と上記ブローノズルの特性とを基に、上記噴き込み可能量の加圧気体をブローノズルよりブローさせるために要求されるヘッダの圧力を算出し、該算出される要求ヘッダ圧力と、圧力センサにより検出されるヘッダ圧力の実測値との差が零になるように、ヘッダの圧力制御弁へ制御指令を与えて、該ヘッダの圧力を制御する機能を備えたものとした構成とする。
本発明の熱分解ガスファンのインペラブロー装置によれば、以下の如き優れた効果を発揮する。
(1)廃棄物を熱分解する熱分解炉から取り出される熱分解ガスを次工程に送るための熱分解ガス配管上の熱分解ガスファンに、該熱分解ガスファンのインペラの所要個所に気体を噴き付けるようにするブローノズルを設け、且つ該ブローノズルを、加圧気体供給源に接続してあるヘッダに、開閉弁付きのブロー用気体配管を介し接続し、更に、上記開閉弁へ開閉指令を所要の時間間隔で間欠的に与える制御器を備えた構成としてあるので、熱分解ガスファンのインペラに、ブローノズルより間欠的に加圧気体をブローさせることにより、該インペラに対するダストの付着を防止できると共に、付着したダストの除去も行なうことができる。この際、上記熱分解ガスファンのインペラに対するブローノズルからの加圧気体のブローは、熱分解ガスファンのインペラを回転させた状態で行なえるため、熱分解ガスファンの運転を停止させる必要はなく、したがって、該熱分解ガスファンの運転を長期に亘って継続できると共に、廃棄物の熱分解を行う熱分解炉を備えた廃棄物処理設備を長期間継続運転することが可能になる。更に、上記ブローノズルを、熱分解ガスファンにおける熱分解ガスが最小量で且つヘッダ圧力が所要の圧力上限となるときに、該ブローノズルよりブローされる加圧気体の流量が、該加圧気体が酸素を含むものであって熱分解ガスに混入しても、該熱分解ガス中の酸素濃度を燃焼濃度下限未満に抑えることができるような流量となるように、ブローノズルの特性を備えたものとすることにより、熱分解ガスファンを流通する熱分解ガスが上記ブローノズルからの加圧気体のブローに伴って燃焼する虞を防ぐことができる。
(2)上記熱分解ガスファンの下流側近傍の熱分解ガス配管上に熱分解ガスの温度を検出する温度センサを設け、該温度センサにて検出される熱分解ガスファン出口側の熱分解ガス温度が予め設定してある温度よりも高い場合に、ブロー用気体配管上の開閉弁に閉止指令を与える機能を制御器にもたせた構成とすることにより、万一、ブローノズルからの加圧気体のブローに伴って熱分解ガスの燃焼が開始されたとしても、該熱分解ガスの燃焼に伴う温度上昇を、温度センサにて検出して直ちにブローノズルからの加圧気体のブローを中断させることができるため、上記熱分解ガスの燃焼を速やかに終息させることができる。
(3)ヘッダの圧力を検出する圧力センサを設け、該圧力センサにて検出される上記ヘッダの圧力が所定の圧力よりも低い場合に、ブローノズル用気体配管上の開閉弁に閉止指令を与える機能を制御器にもたせた構成とすることにより、ブローノズルからの加圧気体のブローに伴ってヘッダの圧力が低下した場合は、ブローノズルからの加圧気体のブローを停止させることができて、ヘッダ圧力を所定の圧力以上に回復させることができるため、上記ブローノズルよりブローさせる加圧空気により熱分解ガスファンのインペラに付着するダストを効率よく除去することができる。
(4)更に、熱分解ガスファンの回転数を検出するインバータを設けると共に、ヘッダの圧力を制御する圧力制御弁とヘッダ圧力を検出する圧力センサを設け、更に、上記インバータからの信号と圧力センサからの信号に基づいて上記圧力制御弁へヘッダ圧力の制御指令を与えるようにするヘッダ圧力制御器を備えるようにした構成とし、更に、上記ヘッダ圧力制御器は、ブローノズルからのブローを開始する直前の時点にて、インバータにより検出される熱分解ガスファンの回転数から求められる熱分解ガスの量を基に、上記ブローノズルよりブローされる加圧気体に含まれる酸素が熱分解ガス中に混合されても該熱分解ガス中の酸素濃度が燃焼濃度下限未満となる加圧気体の噴き込み可能量を算出し、該算出される加圧気体の噴き込み可能量と上記ブローノズルの特性とを基に、上記噴き込み可能量の加圧気体をブローノズルよりブローさせるために要求されるヘッダの圧力を算出し、該算出される要求ヘッダ圧力と、圧力センサにより検出されるヘッダ圧力の実測値との差が零になるように、ヘッダの圧力制御弁へ制御指令を与えて、該ヘッダの圧力を制御する機能を備えたものとした構成とすることにより、熱分解ガスファンを流通する熱分解ガスの流量の変化に応じて、該熱分解ガスファンのインペラへ向けて各ブローノズルより吹き出させる加圧空気の噴出量を変化させることができ、この際、該加圧空気の噴出量は、加圧空気を噴出させる時点で熱分解ガスファンを流通している熱分解ガス中の可燃成分を燃焼させない燃焼下限未満の酸素濃度となる範囲内において多く設定することができるようになる。このために、上記熱分解ガスファンのインペラに対するダストの付着防止効果、及び、付着したダストの除去効果を更に高めることが可能になる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面を参照して説明する。
図1は本発明の熱分解ガスファンのインペラブロー装置の実施の一形態を示すもので、以下のような構成とする。すなわち、図4に示したと同様の構成としてある熱分解ガス化溶融方式の廃棄物処理設備における熱分解炉1の下流側に接続してある熱分解ガス配管14上の熱分解ガスファン15に、該熱分解ガスファン15のインペラにダストが付着し易い部位に向けて気体としての加圧空気22を噴き付けるようにブローノズル21を複数設ける。該各ブローノズル21は、加圧気体供給源としてのコンプレッサ24に接続してある空気ヘッダ23に、開閉弁としての電磁弁26を備えたブロー用空気配管25を介して接続する。更に、上記空気ヘッダ23に設けた圧力センサ27と、熱分解ガスファン15の出口側近傍となる熱分解ガス配管14上に設けた温度センサ29とから送られる信号に基づいて上記ブロー用空気配管25上の電磁弁26に開閉指令を与えるための制御器30を設ける。なお、28は熱分解ガスファン15の回転数を検知するためのインバータである。
詳述すると、上記熱分解ガスファン15が、たとえば、図2に示す如く、平行配置された2枚の円板状のシュラウド32の間に、中心付近より外周部まで直線的或いは湾曲して略放射方向へ延びる複数の羽根部33を設けた構成としてあるインペラ31を備えてなる直線ターボファン形式としてある場合は、上記インペラ31の各シュラウド32の外側面と、各羽根部33における回転方向の背面部にダストが付着し易い。このことから、上記熱分解ガスファン15に設けるブローノズル21は、図2に示す如く、上記インペラ31の各シュラウド32のそれぞれの外側面と、インペラ31の回転に伴って回転する各羽根部33の回転方向の背面部に臨む3個所に配置して熱分解ガスファン15の図示しないケーシングに取り付けるようにすればよい。
上記空気ヘッダ23は、連続運転するコンプレッサ24にて加圧されて連続供給される空気を、電磁弁26の閉止時に溜めることにより、通常7kPa以下程度としてある上記熱分解ガスファン15内の圧力に比して大幅に高い圧力、たとえば、500〜650kPaのヘッダ圧力となるよう圧縮した状態としてブロー用空気22を貯蔵できるようにしてある。又、本発明では、上記ブロー用の空気22の供給源として、上記熱分解ガス化溶融方式の廃棄物処理設備に常備されている図示しない雑用空気ラインを通して導いた雑用空気を利用するようにしてある。
ところで、上記熱分解ガスファン15を通して送風されている熱分解ガス9の量と、熱分解ガスファン15の回転数は比例する。このため、或る時点におけるインバータ28にて検出される熱分解ガスファン15の回転数より、該時点にて熱分解ガスファン15を通して送風されている熱分解ガス9の流量が判る。一方、上記空気ヘッダ23のヘッダ圧力を熱分解ガスファン15の内部圧力よりも大幅に高くなるようにしてあるため、上記各ブローノズル21より噴き出される加圧空気22の流量(ブロー空気流量)は、上記各ブローノズル21の特性と、圧力センサ27により検出される空気ヘッダ23のヘッダ圧力とから求めることができる。
なお、各ブローノズル21より熱分解ガスファン15のインペラ31に向けて加圧空気22をブローさせる場合、上記熱分解ガスファン15を通して送風されている可燃性の熱分解ガス9に対して上記加圧空気22中に含まれる酸素が供給されることになる。この際、上記各ブローノズル21よりブローされる加圧空気22中に含まれている酸素が、熱分解ガスファン15を流通している熱分解ガス9中に混入(供給)されたとしても、該熱分解ガス9中の酸素濃度が燃焼濃度下限未満となるようにすれば、上記各ブローノズル21から熱分解ガスファン15のインペラ31へ向けて加圧空気22をブローさせても、該ブローに伴って熱分解ガス9の燃焼が生じる虞を未然に防止できる。
そのために、上記インバータ28にて検出される熱分解ガスファン15の回転数を基にして求められる該熱分解ガスファン15を流通する熱分解ガス9の流量が、廃棄物処理設備の通常運転時に想定される最小量で、且つ上記空気ヘッダ23のヘッダ圧力が、所要の圧力上限(たとえば、650kPa)にあるときに、上記電磁弁26を開操作して各ブローノズル21より加圧空気22を噴き出させたとしても、上記熱分解ガス9中の酸素濃度を燃焼濃度下限未満に抑えることが可能なブロー空気流量となるよう、上記各ブローノズル21のノズル特性を設定するようにしてある。これにより、熱分解ガスファン15を流通する熱分解ガス9の流量が上記最小量よりも多い場合、空気ヘッダ23のヘッダ圧力が上記圧力上限よりも低い場合、及び、熱分解ガス9の流量が上記最小量より多く且つ空気ヘッダ23のヘッダ圧力が上記圧力上限より低い場合、のいずれの場合も、上記各ブローノズル21より噴き出させる加圧空気22中の酸素が熱分解ガス9に混合されるときの該熱分解ガス9中の酸素濃度がより希薄になるようにすることで、該熱分解ガス9の燃焼を未然に防止できるようにしてある。
又、上記電磁弁26を開操作して各ブローノズル21より加圧空気22を噴き出させると、上記空気ヘッダ23のヘッダ圧力は低下する。このようなヘッダ圧力の低下に伴い、該ヘッダ圧力が所定の圧力下限(たとえば、500kPa)よりも低くなると、電磁弁26の開操作時に各ブローノズル21より噴き出される加圧空気22の勢いが弱まって、熱分解ガスファン15のインペラ31に付着するダストを除去することが困難になる。一方、電磁弁26が閉状態のときには、コンプレッサ24より加圧空気が連続供給されることに伴って、空気ヘッダ23のヘッダ圧力は上昇される。
そのため、上記電磁弁26の開操作時に生じる空気ヘッダ23のヘッダ圧力の低下率と、電磁弁26が閉状態のときに生じる空気ヘッダ23のヘッダ圧力の上昇率とを考慮して、電磁弁26の開操作と閉操作をそれぞれ所要の時間間隔で交互に行わせると共に、該電磁弁26の間欠的な開閉操作に伴い上記空気ヘッダ23のヘッダ圧力が交互に増減されるときの変動範囲が、上記所定の圧力下限と圧力上限の範囲内、たとえば、500〜650kPaの範囲内に保持できるように、上記制御器30に、上記電磁弁26を間欠的に開閉操作させるタイミングを、たとえば、電磁弁26を1分間隔で5秒間開操作させ、残る55秒間は閉操作させる、等として予め設定するようにしてある。
更に、上記制御器30に設定した所定のタイミングで上記電磁弁26の間欠的な開閉操作を行なっている状態において、万一、空気ヘッダ23のヘッダ圧力が所定の圧力下限(たとえば、500kPa)を下回るようになった場合には、上記制御器30に設定された所要の時間間隔で次のブロー時期がきても、電磁弁26へ開指令を与えずに各ブローノズル21からの加圧空気22の供給を一時停止させるようにして、上記空気ヘッダ23のヘッダ圧力が、上記所定の圧力下限よりも高くなるまで回復させるようにしてもよい。
なお、空気ヘッダ23のヘッダ圧力の圧力上限側は、該空気ヘッダ23に図示しない安全弁を設けたり、空気ヘッダ23に加圧空気22を供給するようにしてあるコンプレッサ24の能力を適宜選定すること等により過剰な圧力上昇を防止させるようにすればよい。
更に又、上記したように熱分解ガスファン15を流通する熱分解ガス9の燃焼が生じないようなブロー空気流量となるようノズル特性を設定してある各ブローノズル21より、加圧空気22を熱分解ガスファン15のインペラ31へ向けて間欠的にブローさせるときに、万一、熱分解ガス9の性状の変動等により熱分解ガスファン15内にて該熱分解ガス9の燃焼が生じた場合には、速やかに上記各ブローノズル21からの加圧空気22のブローを停止できるようにする必要がある。上記のような熱分解ガスファン15における熱分解ガス9の燃焼が生じた場合には、燃焼熱の発生により、燃焼ガスファン15の下流側では、熱分解ガス配管14内のガス温度が上昇する。このため、上記制御器30は、上記熱分解ガスファン15の下流側近傍となる熱分解ガス配管14上に設けてある温度センサ29による検出温度が、予め設定してある所要の設定温度を越えると、上記熱分解ガスファン15内にて熱分解ガス9の燃焼が生じたと判断して、上記電磁弁26が開操作されている場合であっても直ちに閉指令を与えて速やかに閉止させると共に、上記温度センサ29による検出温度が、上記設定温度よりも低くなるまでの間は、上記電磁弁26を閉止状態に保持し続けるインタロック機能を有するようにしてある。これにより、上記温度センサ29の検出温度が設定温度よりも高い間は、上記制御器30に設定された所要の時間間隔で次のブロー時期がきても、各ブローノズル21からの新たな加圧空気22の供給を行わせないようにしてある。
その他、図4に示したものと同一のものには同一符号が付してある。
上記本発明の熱分解ガスファンのインペラブロー装置を使用する場合は、コンプレッサ24を運転して空気ヘッダ23のヘッダ圧力を予め上記所定の圧力下限と圧力上限の範囲内となるように高めておくようにする。この状態において、熱分解炉1にて廃棄物6を熱分解することにより生じた後、該熱分解炉1の分離室11より熱分解残渣10と分離されて取り出される熱分解ガス9を、熱分解ガスファン15の運転により熱分解ガス配管14を通して下流側の溶融炉(図4参照)16へ送ったり、分岐管14aを通して熱風炉12へ送ると、上記熱分解ガスファン15のインペラ31に、上記熱分解炉1にて発生して熱分解ガス9に多く同伴される可燃性で且つ粘性の高いダストが次第に付着するようになる。本発明の熱分解ガスファンのインペラブロー装置は、上記熱分解ガスファン15のインペラ31にダストが付着し易い部位に向けて各ブローノズル21が備えてあり、制御器30により予め設定された所要の時間間隔で電磁弁26を開閉操作させることにより、上記空気ヘッダ23内にて上記所定の圧力下限と圧力上限の範囲内の所要圧力に加圧された空気22を、ブロー用空気配管25を経て、各ブローノズル21より上記インペラ31へ向けて間欠的にブローできる。この各ブローノズル21からの加圧空気22の間欠的なブローにより、上記熱分解ガスファン15のインペラ31に対するダストの付着が防止されると共に、付着したダストの除去が定期的に行われるようになる。
このように、本発明の熱分解ガスファンのインペラブロー装置によれば、熱分解ガスファン15の運転を継続したまま該熱分解ガスファン15のインペラ31へのダストの付着を防止すると共にインペラ31に付着したダストを除去することができることから、従来の如き1〜2週間程度の頻度で定期的に熱分解ガスファン15の運転を停止させてインペラを清掃する必要がなく、該熱分解ガスファン15を長期に亘り連続運転することが可能になる。このため、熱分解ガス化溶融方式の廃棄物処理設備を長期連続運転することが可能になる。又、この際、熱分解ガス配管14の補助ラインを設ける必要もないため、イニシャルコストの増加を抑えることができる。
又、熱分解ガスファン15のインペラ31に各ブローノズル21より加圧空気22をブローすることに伴って熱分解ガスファン9に加圧空気22中に含まれている酸素が供給されても、該熱分解ガス9中の酸素濃度を燃焼濃度下限未満に抑えることができるよう上記各ブローノズル21のノズル特性を設定してあるため、上記熱分解ガスファン15を通して送風される熱分解ガス9が燃焼するようになる虞を防ぐことができる。更に、万一、熱分解ガスファン15にて熱分解ガス9の燃焼が生じたとしても、直ちに各ブローノズル21からの加圧空気22のブローを中断して、上記熱分解ガス9の燃焼を速やかに終息させることができる。
更に、たとえば、各ブローノズル21より加圧空気22をブローさせることに代えて窒素ガス(N)をブローさせるようにすれば、熱分解ガスファン15のインペラ31を清掃できると共に、該熱分解ガスファン15における熱分解ガス9の燃焼を抑えることができるため、上記熱分解ガスファン15の下流側近傍の熱分解ガス配管14上に設ける温度センサ29が不要になると考えられるが、この場合には、上記窒素ガスの製造設備を設けたり、外部より窒素ガスを供給しなければならず無駄が多くなるという問題が懸念される。これに対して、上記本発明の熱分解ガスファンのインペラブロー装置では、ブローする空気22として、廃棄物処理設備に常備されている雑用空気を利用することができるようにしてあるため、無駄を省くことができてランニングコストの低減化を図ることが可能になる。
更に又、上記熱分解ガスファン15のインペラ31に対するダストの付着を防止するためには、熱分解ガス9中の可燃成分を燃焼させない燃焼下限未満の酸素濃度となる範囲内において上記インペラ31に向けて常時加圧空気22をブローさせるようにすることも考えられる。しかし、この場合には、空気ヘッダ23やコンプレッサ24の容量を大とする必要が生じてコストが嵩むと共に、連続的に加圧空気22をブローする場合は、空気ヘッダ23のヘッダ圧力を上記所定の圧力上限と圧力下限の範囲内に保つことが難しくなるため、たとえば、空気ヘッダ23のヘッダ圧力が上記圧力下限よりも低下し、これにより、各ブローノズル21より噴き出させる加圧空気22の勢いが弱まって、熱分解ガスファン15のインペラ31に付着するダストを除去することが困難になる虞が生じることが懸念される。これに対して本発明の熱分解ガスファンのインペラブロー装置では、上記したように、加圧空気22のブローは、制御器30に予め設定された所要の時間間隔で間欠的に行なうようにしてあるため、空気ヘッダ23やコンプレッサ24は容量が小さいものでよく、したがって、設備コストを抑えることができると共に、空気ヘッダ23のヘッダ圧力を上記所定の圧力上限と圧力下限の範囲内に保持できるため、各ブローノズル21より噴き出す加圧空気22により熱分解ガスファン15のインペラ31に付着するダストを効率よく除去することができる。
次に、図3は本発明の実施の他の形態を示すもので、先ず、概要を説明する。
図1及び図2に示した実施の形態では、熱分解ガスファン15のインペラ31へ向けて加圧空気22を間欠的に噴き付けることにより該インペラ31に付着しようとする、あるいは付着するダストを除去できるようにするために上記熱分解ガスファン15に設ける各ブローノズル21のノズル特性を、熱分解ガスファン15を流通する熱分解ガス9の流量が、廃棄物処理設備の通常運転時に想定される最小量で、且つ上記空気ヘッダ23のヘッダ圧力が、所要の圧力上限にあるときに、上記電磁弁26を開操作して各ブローノズル21より加圧空気22を噴き出させたとしても、上記熱分解ガス9中の酸素濃度を燃焼濃度下限未満に抑えることが可能なブロー空気流量となるようなノズル特性として設定してある。ところで、電磁弁26の開操作時に各ブローノズル21より噴き出される加圧空気22の噴出量(ブロー空気流量)は、空気ヘッダ23のヘッダ圧力の高低に依存して(比例して)増減される。したがって、上記図1及び図2に示した実施の形態では、熱分解ガスファン15を流通する熱分解ガス9の流量が最小量、且つ空気ヘッダ23の圧力が最大となるときに対応させて、各ブローノズル21より噴き出させる加圧空気22の噴出量の最大量、すなわち、熱分解ガスファン15のインペラ31に吹き付けられる加圧空気22の最大量が設定されていることとなる。
これに対し、本実施の形態の熱分解ガスファンのインペラブロー装置は、熱分解ガスファン15を流通する熱分解ガス9の流量が上記最小量よりも多いときには、熱分解ガス9中の可燃成分を燃焼させない燃焼下限未満の酸素濃度となる範囲内において各ブローノズル21aより熱分解ガスファン15のインペラ31へ噴き付ける加圧空気22の量をより多くできるようにするもので、以下のような構成としてある。
すなわち、図1及び図2に示したものと同様の構成において、熱分解ガスファン15を流通する熱分解ガス9の流量が廃棄物処理設備の通常運転時に想定される最小量で、且つ上記空気ヘッダ23のヘッダ圧力が所要の圧力上限にあるときに、上記熱分解ガス9中の酸素濃度を燃焼濃度下限未満に抑えることが可能なブロー空気流量となるようなノズル特性を有するものとしてあるブローノズル21に代えて、熱分解ガスファン15を流通する熱分解ガス9の流量が、廃棄物処理設備の通常運転時に想定される最大量で、且つ上記空気ヘッダ23のヘッダ圧力が、所要の圧力上限(たとえば、650kPa)にあるときに、上記電磁弁26を開操作して各ブローノズルより加圧空気22を噴き出させたとしても、上記熱分解ガス9中の酸素濃度を燃焼濃度下限未満に抑えることが可能なブロー空気流量となるようなノズル特性を備えてなるブローノズル21aとする。
更に、上記ノズル特性としてある各ブローノズル21aより噴き出させる加圧空気22の噴出量を、熱分解ガスファン15を流通する熱分解ガス9の流量に対応させて制御できるようにするために、空気ヘッダ23に、該空気ヘッダ23のヘッダ圧力を調整するための圧力制御弁34を設け、更に、上記空気ヘッダ23に設けた圧力センサ27と、上記熱分解ガスファン15の回転数を検知するためのインバータ28より入力される信号に基づいて、上記空気ヘッダ23の圧力制御弁34へヘッダ圧力の制御指令を発するヘッダ圧力制御器35を備える。
上記ヘッダ圧力制御器35は、先ず、各ブローノズル21aより加圧空気22をブローさせる直前の時点で、上記インバータ28にて検出される熱分解ガスファン15の回転数を基にして、該時点における熱分解ガスファン15を流通する熱分解ガス9の流量を算出する。次に、算出された熱分解ガス9の流量に基づいて、該流量の熱分解ガス9に混合させても該熱分解ガス9中の酸素濃度を燃焼濃度下限未満に抑えることが可能な加圧空気22の噴き込み可能量を算出する。次いで、上記各ブローノズル21aより噴き出される加圧空気22の流量は上記各ブローノズル21aの特性と空気ヘッダ23のヘッダ圧力とから決定されるものであることから、上記において算出される加圧空気22の噴き込み可能量と、各ブローノズル21aのノズル特性を基に、上記噴き込み可能量の加圧空気22を各ブローノズル21aより噴き出させるために要求される空気ヘッダ23のヘッダ圧力を逆算する。この際、求める空気ヘッダ23のヘッダ圧力としては、各ブローノズル21aより噴出される加圧空気22により熱分解ガス9中の酸素濃度が燃焼濃度下限に達しない範囲となるヘッダ圧力の最大値を求めさせるようにすればよい。しかる後、上記で求められる空気ヘッダ23のヘッダ圧力の最大値を目標値とし、圧力センサ27より入力される空気ヘッダ23のヘッダ圧力の実測値との差が零になるように、空気ヘッダ23の圧力制御弁34へ制御指令を与えて、該空気ヘッダ23のヘッダ圧力を、上記目標値に合わせるよう制御するようにしてある。これにより、各ブローノズル21aより熱分解ガスファン15のインペラ31へ向けて加圧空気22を噴き出させるときに、該噴出される該加圧空気22が上記熱分解ガスファン15を流通している熱分解ガス9に混入されても、該熱分解ガス9中の酸素濃度は燃焼下限未満に抑えられるため、熱分解ガス9が燃焼する虞は未然に防止される。
上記において、空気ヘッダ23のヘッダ圧力の実測値と目標値の差が零になるようヘッダ圧力制御器35により圧力制御弁34を制御する手法としては、各種フィードバック制御並びにフィードフォワード制御を適宜採用するようにすればよい。
なお、上記ヘッダ圧力制御器35により空気ヘッダ23のヘッダ圧力の制御を行うようにしてあるため、制御器30は、ブローノズル21aからの加圧空気22の間欠的な噴き出し時に生じる上記空気ヘッダ23のヘッダ圧力の変動を考慮することなく、単に、上記電磁弁26を間欠的に開閉操作させるタイミングを、たとえば、電磁弁26を1分間隔で5秒間開操作させる、等として予め設定する機能と、上記熱分解ガスファン15の下流側近傍となる熱分解ガス配管14上に設けてある温度センサ29による検出温度が予め設定してある所要の設定温度を超えると、該設定温度よりも検出温度が低くなるまでの間は、上記電磁弁26を閉止状態に保持し続けるインタロック機能とを有するものとしてある。
その他の構成は図1及び図2に示したものと同様であり、同一のものには同一符号が付してある。
本実施の形態によれば、熱分解ガスファン15を流通する熱分解ガス9の流量の変化に応じて、該熱分解ガスファン15のインペラ31へ向けて各ブローノズル21aより吹き出させる加圧空気22の噴出量を変化させることができ、この際、該加圧空気22の噴出量は、加圧空気22を噴出させる時点で熱分解ガスファン15を流通している熱分解ガス9中の可燃成分を燃焼させない燃焼下限未満の酸素濃度となる範囲内において最大に設定することができるようになる。このため、上記熱分解ガスファン15のインペラ31に対するダストの付着防止効果、及び、付着したダストの除去効果を更に高いものとすることが可能になる。
なお、本発明は上記実施の形態のみに限定されるものではなく、熱分解ガスファン15に設けるブローノズル21,21aは、インペラ31におけるダストの付着し易い個所に加圧空気22を噴き付けることができるようにすれば、熱分解ガスファン15の用いているインペラの形状、形式等に応じてブローノズル21,21aの配置及び個数は適宜変更してよい。空気ヘッダ23におけるヘッダ圧力の圧力上限は、各ブローノズル21,21aのノズル特性や空気ヘッダ23自体の容量、コンプレッサ24の容量等に応じて、650kPaより増減させるようにしてもよい。又、ヘッダ圧力の圧力下限は、各ブローノズル21,21aより噴き出させる加圧空気22により熱分解ガスファン15のインペラ31に付着するダストを除去できるようにすれば、ノズル特性等に応じて500kPaの値から増減させるようにしてもよい。圧力制御弁34として逃がし弁の場合を示したが、空気ヘッダ23の入口側に流量調節弁を設けて、コンプレッサ24から空気ヘッダ23へ供給される加圧空気量を調節することにより空気ヘッダ23のヘッダ圧力を制御するようにしてもよい。ブロー用空気配管25に設ける開閉弁は電磁弁26とするものとして説明したが、制御器30の開閉指令に基づいて速やかに開閉操作できれば、いかなる形式の開閉弁を用いるようにしてもよい。温度センサ29は、熱分解ガスファン15の出口部に設けるようにしてもよい。熱分解炉1より熱分解残渣10と分離されて取り出される熱分解ガス9を次工程へ送るための熱分解ガス配管14上に設けられた熱分解ガスファン15であって、且つインペラ31に対するダストの付着が懸念される熱分解ガスファン15であれば、いかなる設備の熱分解ガスファン15にも適用できること、その他本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
本発明の熱分解ガスファンのインペラブロー装置の実施の一形態を示す概要図である。 図1の装置における熱分解ガスファンに設けるブローノズルのインペラに対する配置の一例を示す概略斜視図である。 本発明の実施の他の形態を示す概要図である。 熱分解ガス化溶融方式の廃棄物処理施設を示す概要図である。
符号の説明
1 熱分解炉
6 廃棄物
9 熱分解ガス
14 熱分解ガス配管
15 熱分解ガスファン
21,21a ブローノズル
22 加圧空気(加圧気体)
23 空気ヘッダ(ヘッダ)
24 コンプレッサ(加圧気体供給源)
25 ブロー用空気配管(ブロー用気体配管)
26 電磁弁(開閉弁)
27 圧力センサ
28 インバータ
29 温度センサ
30 制御器
31 インペラ
34 圧力制御弁
35 ヘッダ圧力制御器

Claims (5)

  1. 廃棄物を熱分解する熱分解炉から取り出される熱分解ガスを次工程に送るための熱分解ガス配管上の熱分解ガスファンに、該熱分解ガスファンのインペラの所要個所に気体を噴き付けるようにするブローノズルを設け、且つ該ブローノズルを、加圧気体供給源に接続してあるヘッダに、開閉弁付きのブロー用気体配管を介し接続し、更に、上記開閉弁へ開閉指令を所要の時間間隔で間欠的に与える制御器を備えた構成を有することを特徴とする熱分解ガスファンのインペラブロー装置。
  2. 熱分解ガスファンの下流側近傍の熱分解ガス配管上に熱分解ガスの温度を検出する温度センサを設け、該温度センサにて検出される熱分解ガスファン出口側の熱分解ガス温度が予め設定してある温度よりも高い場合に、ブロー用気体配管上の開閉弁に閉止指令を与える機能を制御器にもたせた請求項1記載の熱分解ガスファンのインペラブロー装置。
  3. ヘッダの圧力を検出する圧力センサを設け、該圧力センサにて検出される上記ヘッダの圧力が所定の圧力よりも低い場合に、ブローノズル用気体配管上の開閉弁に閉止指令を与える機能を制御器にもたせた請求項1又は2記載の熱分解ガスファンのインペラブロー装置。
  4. 熱分解ガスファンの回転数を検出するインバータを設けると共に、ヘッダの圧力を制御する圧力制御弁とヘッダ圧力を検出する圧力センサを設け、更に、上記インバータからの信号と圧力センサからの信号に基づいて上記圧力制御弁へヘッダ圧力の制御指令を与えるようにするヘッダ圧力制御器を備えるようにした請求項1又は2記載の熱分解ガスファンのインペラブロー装置。
  5. ヘッダ圧力制御器は、ブローノズルからのブローを開始する直前の時点にて、インバータにより検出される熱分解ガスファンの回転数から求められる熱分解ガスの量を基に、上記ブローノズルよりブローされる加圧気体に含まれる酸素が熱分解ガス中に混合されても該熱分解ガス中の酸素濃度が燃焼濃度下限未満となる加圧気体の噴き込み可能量を算出し、該算出される加圧気体の噴き込み可能量と上記ブローノズルの特性とを基に、上記噴き込み可能量の加圧気体をブローノズルよりブローさせるために要求されるヘッダの圧力を算出し、該算出される要求ヘッダ圧力と、圧力センサにより検出されるヘッダ圧力の実測値との差が零になるように、ヘッダの圧力制御弁へ制御指令を与えて、該ヘッダの圧力を制御する機能を備えたものとした請求項4記載の熱分解ガスファンのインペラブロー装置。
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