JP2003096468A - 熱分解反応装置及びその運転方法 - Google Patents
熱分解反応装置及びその運転方法Info
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Abstract
容器内の負圧が過大になることを抑制することができる
熱分解反応装置を提供する。 【解決手段】 原料を加熱して熱分解する熱分解反応容
器3と、熱分解反応容器3内に間欠的に原料を供給する
供給装置5と、熱分解反応容器3内のガスを吸引する誘
引送風機7と、熱分解反応容器3内の圧力が設定負圧P
0になるように誘引送風機7の回転数もしくはサクショ
ンダンパー開度を制御する制御信号Mを出力する制御器
9とを備え、原料が熱分解反応容器3内に投入される際
に、制御信号Mに、回転数を低下させるもしくはサクシ
ョンダンパー開度を絞る補正信号mを加算することによ
り、熱分解反応容器3内の負圧が過大になることを抑制
する。
Description
熱分解して熱分解ガスを発生させる熱分解反応装置の技
術に関する。
物、産業廃棄物、プラスチック廃棄物、木材チップ、石
炭等の原料を熱分解して、熱分解ガスを生成する装置で
ある。このような熱分解反応装置は、還元雰囲気で原料
を加熱して熱分解させる熱分解反応容器と、この熱分解
反応容器内に原料を供給する供給装置と、熱分解反応容
器内で生成される熱分解ガスを吸引する誘引送風機など
を備えて構成される。また、熱分解反応容器内の圧力を
負圧に保持するために、熱分解反応容器内の圧力を検出
し、検出圧力が設定負圧になるように誘引送風機の回転
数やサクションダンパーの開度をフィードバック制御す
るPIまたはPIDなどの制御器が設けられている。
の原料を熱分解反応容器内に投入する供給装置として、
原料を連続的に供給する方式と、間欠的に供給する方式
とが考えられている。原料が連続的に投入される場合
は、熱分解反応も定常的になるため、熱分解反応容器内
で発生するガスの発生量に大きな変動はない。しかし、
原料を間欠的に供給する場合は、原料の投入のたびに、
熱分解反応容器内におけるガスの発生量が大きく変動
し、熱分解反応容器内の圧力が大きく変動する場合があ
る。
内に投入する方式の場合、常温の原料の投入によって熱
分解反応容器内の温度が一時的に低下する。例えば、一
般ごみなどの廃棄物の場合、反応容器の入口側では水分
の蒸発が起こっており、温度低下によって発生蒸気が減
少し、熱分解反応容器内の圧力が低下する。
に対して、従来では、熱分解反応容器内の圧力が設定負
圧の範囲を維持するように、フィードバック制御により
誘引送風機の回転数を下げるか、もしくはサクションダ
ンパー開度を絞ることにより圧力の低下を抑えるように
している。
制御が遅れると、熱分解反応容器内の負圧が過大にな
り、熱分解反応容器内に周囲の空気が洩れ込んで、熱分
解反応容器内を還元雰囲気に維持できない場合がある。
このような問題に対して、制御器の制御演算式を適切に
調整しようとしても、原料投入時から定常状態時にかけ
て熱分解反応容器内で発生するガスの発生量が線形でな
いため、1つの制御演算式では対応することができな
い。つまり、原料投入直後のモードに合わせて制御演算
式を設定すると、それ以外のときには不適切な設定にな
る。また、その逆も同様である。
に原料を投入する場合に、熱分解反応容器内の負圧が過
大になることを抑制することにある。
て熱分解する熱分解反応容器と、該熱分解反応容器内に
間欠的に原料を供給する供給装置と、前記熱分解反応容
器内のガスを吸引する誘引送風機と、熱分解反応容器内
の圧力が設定負圧になるように前記誘引送風機の回転数
もしくはサクションダンパー開度を制御する制御信号を
出力する制御器とを備えた熱分解反応装置を対象とす
る。
原料が熱分解反応容器内に投入される際に、前記制御信
号に予め設定された補正信号を加算することを特徴とす
る。
し、フィードフォワード制御によって制御信号に予め設
定された補正信号を加算することにより、制御遅れを解
消する。これにより、間欠的に原料が投入される場合で
あっても、熱分解反応容器内の負圧が過大になることを
抑制することができる。
内に原料が投入されることによる圧力制御の遅れを補償
するように、加算のタイミング、信号の大きさまたは信
号のパターン、補正時間幅などを設定することが好まし
い。
に同期させて、原料が熱分解反応容器に実際に投入され
るタイミングに合わせるのが好ましい。例えば、供給装
置が、ピストンにより原料を押し出す方式の場合は、ピ
ストンが前進端位置または一定位置手前に達するタイミ
ングに設定する。また、誘引送風機の回転数を低下させ
てから又はサクションダンパー開度を絞ってから、実際
にその効果が現れるまでの時間の遅れを考慮して、実際
に原料が投入されるタイミングよりも早いタイミングに
合わせることができる。
補正時間幅などは、シミュレーションや実機による事前
試験により、原料の投入による熱分解反応容器内の圧力
低下を求め、その圧力低下を吸収するように調整して設
定する。補正信号のパターンは、例えば、矩形波、三角
波、正弦波など、様々な波形を形成することができる。
さらに、補正信号を可変にし、実際に合わせて調整する
ようにすることが好ましい。
解反応装置の第1の実施形態について図1及び図2を参
照して説明する。図1は、本発明を適用してなる熱分解
反応装置の構成を示した図である。図2は、本発明を適
用してなる熱分解反応装置が設けられた廃棄物処理プラ
ントを示した系統図である。
搬入された廃棄物aは、図示していない破砕機などによ
って破砕(例えば150mm以下)された後、供給装置5の
供給ホッパ17へ投入される。廃棄物aは、供給装置5
により、熱分解反応容器3内に供給され、内部で例えば
300乃至600℃(通常は450℃)程度に加熱され、これに
より熱分解される。この加熱は、熱分解反応容器3の内
周壁に沿って配設された複数の加熱管29により行わ
れ、その加熱管29内には、加熱空気G2がラインL2
を介して供給されている。また、熱分解反応容器3の内
部圧力は、後述するように大気圧以下の雰囲気に保持さ
れている。
熱分解残渣bは、熱分解残渣室30へ導かれ、熱分解残
渣bはラインL3を介して分離部32へ送られる。分離
部32では熱分解残渣bから、金属成分、非金属成分な
どが、例えば、櫛、磁選式、うず電流式、遠心式または
風力選別式などの公知の分離方法で分離されて排出さ
れ、熱分解カーボンや灰分などはラインL4を介して燃
焼溶融炉34へ供給されるようになっている。熱分解残
渣室30からラインL1を介して燃焼溶融炉34のバー
ナ36に供給される熱分解ガスG1は、送風機38から
ラインL5を介して供給される燃焼用空気Fによって燃
焼する。
の混合気は、燃焼溶融炉34内に旋回流を形成しながら
燃焼する。その燃焼温度は灰分の溶融温度よりも高い13
00℃程度の高温域に設定される。この燃焼温度により熱
分解ガスG1に同伴して導入される不燃性の灰分及び分
離部32より供給される灰分などは、溶融されながら炉
壁に捕捉され、溶融スラグ40が形成される。溶融スラ
グ40は燃焼溶融炉34の低部に設けられた排出口を介
して、下方に配置されている水槽42へ落下し、冷却さ
れて固化される。
ガスG3は、空気加熱器44に導かれ、熱分解反応容器
3の加熱管29に通流する加熱空気G2を加熱した後、
ラインL11を介して廃熱ボイラ46へ供給される。廃
熱ボイラ46は燃焼排ガスG3の熱により蒸気を発生さ
せ、これにより蒸気タービン発電機48を回転させて電
力を回収する。廃熱ボイラ46から排出される燃焼排ガ
スG3は、減温塔53で低温化され、集塵器50に導か
れて除塵された後、ガス浄化装置52で清浄な燃焼排ガ
スG4とされ、誘引送風機7を介して煙突54から大気
中へ放出される。また、集塵器50で捕集されたダスト
は、燃焼溶融炉34内へ戻して、溶融スラグ化するよう
にしている。廃熱ボイラ46及び減温塔53で捕集され
たダストも同様に燃焼溶融炉34へ戻すようにしてもよ
い。
置について詳細に説明する。熱分解反応装置1は、図1
に示すように、原料である廃棄物aを熱分解する熱分解
反応容器3、廃棄物aを熱分解反応容器3へ間欠的に供
給する供給装置5、熱分解反応容器3内のガスを吸引す
る誘引送風機7、熱分解反応容器3内の圧力に基づいて
誘引送風機7の回転数を制御する制御器9、供給装置5
の間欠動作に同期させて制御器9が出力する制御信号M
を補正する補正信号mを出力する補正器11などを含ん
で構成されている。
された搬送筒15と、ピストン19を搬送筒15の軸方
向に往復駆動させる駆動装置21などを備えて構成され
ている。搬送筒15の先端は、図示していないシール機
構を介して熱分解反応容器3内に連結され、熱分解反応
容器3内部に開口している。搬送筒15の筒の途中に廃
棄物aを供給する供給ホッパ17が連結されている。搬
送筒15内には、廃棄物aが滞留するようになってお
り、大気と熱分解反応容器3内との間のシールが保たれ
ている。また、搬送筒15には、ピストン19の位置を
検出する位置センサー63が設けられている。この位置
センサー63は、廃棄物aが投入されるピストン19位
置(例えば、前進端位置の一定寸法手前)を検出するよ
うになっている。
よって計測される。比較器25は、圧力計23によって
検出された検出圧力Pと、予め設定された設定負圧P0
(例えば−5乃至−25mmAQの一点に設定される)とを比
較して偏差ΔP(=P−P0)を求め、この求めた偏差
ΔPを制御器9に入力するようになっている。制御器9
は、例えばPID演算器を有してなり、入力される偏差
ΔPを0に、つまり、P=P0となるように、誘引送風
機7の回転数を制御する制御信号Mを算出して、誘引送
風機7の制御装置に出力するようになっている。例え
ば、偏差ΔPが負(P<P0)の場合、制御器9は、制
御信号Mを小さくして誘引送風機7の回転数を低下さ
せ、偏差ΔPが正(P>P0)の場合、制御信号Mを大
きくして誘引送風機7の回転数を上昇させる。また、補
正器11は、位置センサー63が検出するピストン19
の位置の検出信号に基づいて、予め設定された補正信号
mを加算器28へ出力するように構成されている。な
お、P0は一定の不感帯をもって設定されている。
めに下げるものであり、例えば、矩形波状の信号を用い
ることができる。この矩形波の時間幅は、廃棄物aが熱
分解反応容器3内に投入されてから、圧力が低下してい
る時間を考慮して設定する。加算器28は、出力された
補正信号mを制御信号Mに加算するようになっている。
制御動作について説明する。熱分解反応装置1の運転
中、制御器9は比較器25から出力される圧力の偏差Δ
Pの幅を低減すべく、制御信号Mが誘引送風機7の制御
装置に出力される。誘引送風機7の制御装置は制御信号
Mに基づいて回転数を制御し、これにより熱分解反応容
器3内の圧力は、設定負圧P0近傍に維持制御される。
なお、制御器9は、検出圧力Pが設定負圧P0の不感帯
の範囲内であれば制御動作を行わないようになってい
る。
投入した場合の制御について説明する。駆動装置21に
よりピストン19が前進されると、供給ホッパ17から
搬送筒15内に投入された廃棄物aは、熱分解反応容器
3の方へ押し出される。そして、位置センサー63によ
ってピストン19が検知されると、補正器11に信号が
発信される。信号を受けた補正器11は補正信号mを加
算器28へ出力し、これによって制御信号Mに補正信号
mが加算される。その結果、誘引送風機7の制御装置は
回転数を低下させて吸引力を低下させ、熱分解反応容器
3内の圧力の低下が抑制される。
来との間欠投入した場合の熱分解反応容器3内の圧力の
変化を図3と図4とを比較して説明する。図3は、縦軸
に検出圧力P、制御信号及びピストンの動作信号を、横
軸に時間を表し、曲線Aは制御器より出力される制御信
号、曲線B1は検出圧力Pを示したグラフである。図4
は、縦軸に検出圧力P、制御信号及びピストンの動作信
号を、横軸に時間を表し、曲線Cは加算器より出力され
る制御信号、曲線B2は検出圧力Pを示したグラフであ
る。
おいてピストンが前進を開始し、時刻t1において廃棄
物aが熱分解反応容器3内に投入される。これによっ
て、熱分解反応容器3内の圧力が低下しはじめるが、設
定負圧P0の不感帯のために一定時間経過した時刻t2に
おいて、制御器9は誘引送風機7の制御装置に制御信号
Mを出力する。この制御の遅れΔt(=t2−t1)のた
めに、熱分解反応容器3内の圧力の低下が進み、負圧が
過大になる。これに対して本実施形態では、図4に示す
ように、時刻t0においてピストンが前進を開始した
後、廃棄物aが熱分解反応容器3内に投入されるタイミ
ングt1において、位置センサー63から補正器11に
検知信号が出力され、これによって制御信号が補正され
る。その結果、誘引送風機7の回転数が速やかに低下さ
れ、廃棄物投入に伴なう圧力の低下を抑える。このよう
に、本実施形態では、制御の遅れΔtをなくすことがで
き、熱分解反応容器3内の負圧が過大になることを抑制
することができる。
る。
回転数を低下させてから実際に熱分解反応容器3内の圧
力にその効果が現れるまでに時間遅れが生じる場合があ
る。この場合は、この時間遅れを考慮して、位置センサ
ー63の位置を設定位置よりも手前に設定することが好
ましい。また、図1に示す実施形態では、廃棄物が実際
に熱分解反応容器3内に投入されるピストン19の位置
に、位置センサー63を設置したが、これに代えて、駆
動装置21の駆動から一定時間を計測して、補正器11
を動作させるようにしてもよい。
補正時間などは、実機やシミュレーションによる事前試
験により、一定量の廃棄物aの投入による熱分解反応容
器3内の圧力低下を吸収するように設定する。さらに、
補正信号mは、可変可能に設定され実際の運転に合わせ
て調整することが好ましい。また、廃棄物aが投入され
ることによる熱分解反応容器3内の圧力低下の程度は、
投入される廃棄物aの量、廃棄物aが投入される前の熱分
解反応容器3内の温度、廃棄物aに含まれる水分量の季
節毎の差、及び廃棄物aの質などにより変化するため、
これらの要因を考慮して補正信号mの大きさ又はパター
ン、補正時間、加算のタイミングを調整する。
応容器3内の圧力を上昇させる手段として、誘引送風機
7の回転数を低下させる構成としたが、回転数の低下に
限らず、サクションダンパーの開度を絞る構成とするこ
とができる。さらに、熱分解反応容器として回転ドラム
式(キルン式)の熱分解反応容器を用いたが、流動床
式、固定床式などの様々な熱分解反応容器を備えた熱分
解反応装置に適用することができる。また、廃棄物に限
らず、石炭などの原料を熱分解する熱分解反応装置に適
用することができる。
る場合に、熱分解反応容器内の負圧が過大になることを
抑制することができる。
態の構成を示したブロック図である。
れてなる廃棄物処理プラントの構成を示したブロック図
である。
回転数の制御信号及びピストンの動作信号と、時間との
関係を示したグラフである。
力、誘引送風機の回転数の制御信号及びピストンの動作
信号と、時間との関係を示したグラフである。
Claims (3)
- 【請求項1】 原料を加熱して熱分解する熱分解反応容
器と、該熱分解反応容器内に間欠的に前記原料を供給す
る供給装置と、前記熱分解反応容器内のガスを吸引する
誘引送風機と、前記熱分解反応容器内の圧力が設定負圧
になるように前記誘引送風機の回転数もしくはサクショ
ンダンパー開度を制御する制御信号を出力する制御器と
を備え、 前記原料が前記熱分解反応容器内に投入される際に、前
記制御信号に予め設定された補正信号を加算することを
特徴とする熱分解反応装置。 - 【請求項2】 原料を加熱して熱分解する熱分解反応容
器と、該熱分解反応容器に連結され原料を容器内に導く
搬送筒と、該搬送筒内を往復運動するピストンと、前記
搬送筒内の前記ピストンが往復する部分に前記原料を供
給する供給ホッパと、前記熱分解反応容器内のガスを吸
引する誘引送風機と、前記熱分解反応容器内の圧力が設
定負圧になるように前記誘引送風機の回転数もしくはサ
クションダンパー開度を制御する制御信号を出力する制
御器と、予め設定された補正信号を出力する補正器と、
該補正器が出力した前記補正信号を前記制御信号に加算
する加算器と、前記ピストンが設定位置に来たときに信
号を出力する位置センサーとを備え、 前記補正器は、前記位置センサーの出力信号に基づいて
前記補正信号を出力することを特徴とする熱分解反応装
置。 - 【請求項3】 廃棄物を熱分解して熱分解ガスと熱分解
残留物を生成する熱分解反応容器と、前記熱分解反応容
器内に間欠的に前記廃棄物を供給する供給装置と、前記
熱分解残留物の一部と前記熱分解ガスとを燃焼して溶融
スラグと燃焼排ガスとを生成する燃焼溶融炉と、該燃焼
溶融炉から排出される燃焼排ガスの熱を回収する熱回収
装置と、前記燃焼排ガスを清浄化する清浄装置と、該清
浄装置に清浄化された燃焼排ガスを吸引して大気中へ排
出する誘引送風機と、前記熱分解反応容器内の圧力が設
定負圧になるように前記誘引送風機の回転数もしくはサ
クションダンパー開度を制御する制御信号を出力する制
御器とを備え、 前記廃棄物が前記熱分解反応容器内に投入される際に、
前記制御信号に予め設定された補正信号を加算すること
を特徴とする廃棄物処理プラント。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2001295827A JP4663933B2 (ja) | 2001-09-27 | 2001-09-27 | 熱分解反応装置及びその運転方法 |
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