JP2005206441A - 高純度Si製造用原材料及びその製造方法 - Google Patents

高純度Si製造用原材料及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 安価、かつ、大量生産可能、かつ、高純度の太陽電池基板用Siの原材料及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 質量割合で、リンが7ppm以下、かつ、ボロンが0.3ppm以下、かつ、ヒ素およびアンチモンおよびガリウムおよびインジウムがそれぞれ0.1ppm以下、かつ、その他の金属不純物が20ppm以下であり一酸化珪素を主成分とする高純度シリコン製造用原材料及びその製造方法である。
【選択図】 図2

Description

本発明は、太陽電池に使用可能な高純度シリコン(Si)を製造するための高純度原材料に関するものである。
太陽電池基板に使用されるSiは、99.9999%以上レベルという極めて高純度のものが要求される(このレベルの純度のSiを以下「高純度Si」と呼び、これより低い純度のものを「低純度Si」と以下、呼ぶことにする)。特に、電池性能に悪影響を与える、Si中の不純物元素は、太陽光による発電の起電力を大幅に減少させるn型不純物元素またはp型不純物元素と呼ばれるリン、ヒ素、アンチモン、ボロン、ガリウム、インジウム、並びに、電気抵抗を低めて素子の絶縁性を阻害したり、電池内で発生した電荷の移動を阻害したりするその他の金属元素、例えば、鉄、アルミ、ニッケル、チタン等である。高純度Siは、従来、シーメンス法(特許文献1等)により製造されてきた。この方法は、純度97%程度の金属シリコン原料を一旦、塩化した後、精製・還元して99.9999999%以上の高純度シリコンを得るものであり、反応に多大のエネルギーを消費するため原理的に製造費は高価になることが避けられない。
そこで、金属Si等から一旦、一酸化珪素(SiO)を経由して高純度Siを製造する方法が提案されている。例えば、特許文献2では、高温下で次の反応によりSiOから高純度Siを得る方法が示されている。
SiO → Si + SiO (1)
また、特許文献3では、
SiO + H → Si + HO (2)
なる反応でSiOからSiの得られることを示している。
また、SiOを得る方法としては、例えば、特許文献4に示されるように、次の2つの反応による手法が知られている。
Si + SiO → 2SiO (3)
C + SiO → SiO + CO (4)
これは、高温低圧下で発生する大きな吸熱反応である。
また、SiOを得るための別の方法として、特許文献5では、プラズマジェットにより蒸気化されたSiを用いて、
2Si + O → 2SiO (5)
なる反応により、SiO微粉末を得ることが開示されている。
さらに、SiOを得るための別の方法として、特許文献6では、例えば、シラン(SiH)ガスを水素ガス雰囲気下で燃焼させることにより、
SiH + O → 2SiO + H (6)
なる反応により、SiO微粉末を得ることが開示されている。
これら、SiOを微粉末で得る製造方法においては、微粉のハンドリング、製造時の安全対策(SiO微粉は、常温空気と触れると爆発する)の点で、バルク状でSiOを得る製造方法に比べて製造費が上昇する。従って、高純度Si製造原料として、SiOを微粉で得る方法は、不利である。
ここで、特許文献2で示された従来技術の代表的なSiO製造手法を図1の概念図を使って説明する。反応容器1内のるつぼ3内に予め設置されたSi粒−SiO粒混合原料2は、るつぼ3周囲に配置された加熱装置4によって加熱される。また、真空ポンプ8により反応容器1及び凝縮容器6内は低圧に維持され、圧力計9によって監視される。原料温度が充分に上昇すると(3)式反応によってSiOガスが生成し、凝縮容器6に流入する。凝縮容器6の外壁は冷却され、その結果、SiOが壁面に凝固付着してSiO固体7を形成する。凝縮容器内の流路は充分長く設定され、大部分のSiOを凝縮物として回収する。併せて、凝固潜熱による発熱により凝縮面は、300℃以上に維持され、SiOの原料中に大量に含まれていたP等の低沸点物質の不純物蒸気10のみが凝固することなく凝固容器の末端から系外に排気されることを意図している。
SiOからSiを製造する従来技術においては最終的なSi純度は、原材料であるSiO純度に依存する。しかし、従来技術においては、最終的なSi製品中の不純物は多くの元素について良く調査されているにもかかわらず、SiO中不純物への関心は低く、Fe、Al、P等の少数の成分のみしか調査、開示されてこなかった。この結果、成分ばらつきの大きなSiOを原材料として高純度Siを製造していたため、最終的なSi製品の電池特性が安定せずに製品歩留が低く、安価な製造が困難であった。ここで、極めて高純度の原料、例えば、半導体用ポリSiを用いて、(3)式の反応を行い、SiOを生成させればこの様な問題を回避できる可能性は存在するが、この様な製法で得られたSiOの成分ばらつきについて開示された知見は未だ存在しない。また、安価、大量に生産することの求められる太陽電池基板用Siに対して、高価な半導体用ポリSiを用いて製造されたSiOを使用することはそもそも本末転倒であり、現実的ではない。
他方、太陽電池基板用以外のSiO製造、例えば、SiO蒸着膜の製造においては、SiOが最終製品であることもあり、最適なSiO成分が調査、開示されている。例えば、特許文献7においては、食品や医薬品の包装用SiO膜として、SiO中の不純物元素Fe、Al、Ca、Cu、Cr、Mn、Mg、Ti、Ni、P、As、Cd、Hg、Sb、Pbの合計量について範囲を規定している。しかしながら、この成分系のものを太陽電池基板用Si原料用SiOとして直接用いると電池性能を著しくばらつかせる結果となる。これは、当該技術においては電池特性に大きな影響を与えるボロン等のp型不純物の成分範囲に対して何らの規定もされておらず、また、電池性能に対して特に悪影響の高い特定の元素、例えば、Pが10ppmのオーダーという太陽電池基板用として許容できないレベルでSiO中に含まれていたとしても、他の元素成分値との合計量が基準値(50ppm)以下であれば特許文献7の基準を満たしてしまうからである。
特公昭35−2982号公報 WO99/33749号公報 米国特許3010797号公報 特公平4−81524号公報 特開昭60−215514号公報 特開昭62−123009号公報 特開2002−194535号公報
そこで、本発明においては、安価で大量生産可能であり、かつ、太陽電池基板用Siの原材料として使用可能なSiOを主成分とする高純度原材料を提示する。併せて、本発明の高純度原材料を具体的に製造する方法についても提示する。
本発明者らのSiO製造に関する研究の結果、以下の解決方法を発明するに至った。
即ち、本発明は、質量割合で、リンを7ppm以下、ボロンを0.3ppm以下、ヒ素、アンチモン、ガリウム、インジウムをそれぞれ0.1ppm以下、かつ、その他の金属不純物の合計を20ppm以下含有する一酸化珪素である高純度シリコン製造用原材料、に関する。
また、本発明は、反応容器内で不純物を1ppm以上含むシリコンと二酸化珪素を主成分とする材料の混合物を、1400℃以上1800℃以下の温度範囲で3000Pa以下の圧力のもとに両物質間の接触面における反応により一酸化珪素ガスを生成させ、さらにこのガスを冷却して一部の一酸化珪素をバルク状に固化した後、回収するとともに、他の一酸化珪素を排気することにより、高純度シリコン製造用原材料を得る方法、に関する。
さらに、本発明は、反応容器内でカーボンと二酸化珪素を主成分とする材料の混合物を、1300℃以上1800℃以下の温度範囲で5000Pa以下の圧力のもとに両物質間の接触面における反応により一酸化珪素ガス及び一酸化炭素ガスを生成させ、さらにこのガスを冷却して一酸化珪素の一部をバルク状に固化した後、回収するとともに、他の一酸化珪素を排気することにより、高純度シリコン製造用原材料を得る方法、に関する。
前記排気する一酸化珪素が、生成する一酸化珪素に対して質量割合で少なくとも1%であることが好ましい。
尚、ここで、「バルク状」と表現しているのは、微粉として凝縮しないということを意味しており、塊状、棒状、スポンジ状、膜状、粒状(但し、容易には飛散しない大きさを有するもの)等、容易には飛散せずに回収可能な多様な形態を含んでいる。
本発明の高純度Si製造用原材料を用いて高純度Siを製造すると、太陽電池基板用Siに求められるSi純度を常に満足する製品を得ることができ、また、本発明の製造方法によれば、従来法に比べて製造費を50%削減することができる。
まず、第1発明について説明する。太陽電池基板用Siは、一般に、純度のより高いものを用いる程、性能が向上するといわれるが、高純度化するに従って性能向上率は逓減していく。一方、Siが高純度になる程、純度を上昇させるための費用は急激に増大するので、ある特定のSi純度が費用−効果の最適点となる。この最適点は、成分毎に異なり、現在の太陽電池として市場価値を有する性能を満足するためには、次の範囲のSiを用いることが望ましい。即ち、質量割合でリン(P)0.1ppm以下、ヒ素(As)0.1ppm、アンチモン(Sb)0.1ppm以下、ボロン(B)0.3ppm以下、ガリウム(Ga)0.1ppm以下、インジウム(In)0.1ppm以下、その他の金属成分0.1ppm以下である。尚、ここで、その他の金属成分として特に重要な元素は、Fe、Al、Cr、Mo、Ni、Mn、Cu、Ti、V、W、Zn、Cd、Na、Mg、Li、Co、Be、Sr、Hg、Au、Pt、Ag、U、K、Ca、Nb、Ru、Rh等である。これ以外の金属元素については、個々の成分の許容限界濃度が必ずしも明確にされているわけではないが、一般に、0.1ppmを充分下回っていれば問題ないとされている。以上挙げた元素について、Siの原材料であるSiOもこのレベルを満足していれば高純度Si製造用原料として問題無い(但し、これは、Si製造工程途中での汚染の小さいことが前提であり、高純度容器や高純度炉材の使用等の汚染対策がなされている必要がある)。しかし、この様な高純度のSiOを安価に製造することは、容易ではない。従って、SiOの不純物許容濃度を高純度Si並の高純度に設定するのではなく、SiOからSiを製造する際の不純物精製に期待して、高純度Siの製造可能な限界までSiOの不純物濃度許容値を緩和することが、安価に高純度Siを製造するうえで、現実的である。以下、具体的に説明する。
SiO中の不純物の発生原因は、第1に、SiO生成原料のための原料であるSi、SiOやC中に元々含まれていた不純物質が生成SiO側に移動することである。原料中の低沸点不純物は、SiOガスを生成させる際にSiOとともにガス化して、SiOとともに凝縮することによって、SiO中に取り込まれる。また、高沸点不純物も、少量は気化−凝縮により製品SiO中に取り込まれるとともに、原料が微粉化してSiOガス流によりSiO凝縮面まで輸送され、そのまま、凝縮面に付着する形でSiO中に取り込まれる場合も多い。第2の不純物発生経路は、SiOガスの流路を構成する炉材からの汚染によるものである。SiO製造には一般に高温、低圧が求められるため、安価に適用できる炉材は限られる。これらの炉材は、完全に不純物を除去することは困難なので、操業中に炉材内の不純物が部分的に気化したり、炉材の一部が微粒として剥落したりする。これらの汚染物質が凝縮しているSiOに吸着されることにより、SiOの純度を低下させる。
次に、本発明における具体的な不純物成分の範囲設定根拠について説明する。前述の(3)式の反応を前提としてSiOを製造する場合、安価で豊富に得ることのできる原料、例えば、金属Siとけい砂を原料とすると、原料不純物濃度が高いため、全ての成分について前述の所要SiO純度を満足するためには、生産性や歩留の点で莫大な製造費用を必要とし、現実的ではない。この場合ネックとなる成分は、一般に、鉄(Fe)、アルミニウム(Al)、リン(P)である。これらの物質も金属Si等の原料から比べると非常に小さい濃度まで精製されているが、初期濃度が特に高い元素であるためにネックとなり易いのである。ところで、これら3元素については、SiOから製造されたSiを更に精製することで比較的容易に除去することが可能である。即ち、FeとAlに関しては、例えば、Chalmersによって示された凝固精製法(岡本平 鈴木章訳「金属の凝固」丸善,昭46,P.119)により、1/100〜1/10000程度に不純物を低減することができる。また、Pに関しては、例えば、米国特許第4304763号公報に示された真空脱P法を好適な条件で操業することにより0.1ppm以下まで低減することができる。
そこで、これらのSiから容易に精製除去可能な成分についてはSiO中の濃度を前記太陽電池基板用Si所要濃度よりも多少高くなることを許容することにより、SiOの製造費用を大幅に低下させることができる。この点が第1発明の第1のポイントである。
また、第1発明において,Fe、Al、P以外でネックになり易い元素は、B、As、Ga、Sb、Inである。これらの元素は、一旦、Siに溶解すると容易には除去することができないが、SiOを一旦経由すると比較的容易に精製除去できる。これは、これらの元素のSi融液中における活量は小さく、容易には蒸発しないため、SiOガス生成の際、SiO生成原料側に濃縮されて残留する割合が高いからである。従って、B、As、Ga、Sb、Inについては、SiO製品の段階で完全に所要濃度を満足させる。この点が第1発明の第2のポイントである。第1発明におけるB、As、Ga、Sb、Inの成分範囲は、以上の根拠により設定されたものである。
SiO製造法として前述の(4)式の反応を用いる場合も、安価に購入できる原料C中の不純物濃度は金属Siと同レベルであるので、SiO中の不純物範囲の考え方は同じである。
SiO製造法として前述の(5)式の反応を用いる場合は、(3)、(4)式の反応を用いる場合に比べて、SiO濃度の点で原理的に不利である。これは、特許文献5にも示されている様に、特に不純物に配慮せずに当該法でSiOを製造した場合、不純物濃度は、1000ppmに達することからもわかる。金属Si中に数千ppmで含まれ得る成分としては、量論的にFeとAlしか考えられない。前述の様に、Si中のFeやAlは、凝固精製法で除去できるとはいっても、最早、この濃度レベルの不純物になると、その凝固精製には莫大な費用を必要とする。なぜならば、一般に、Si中の金属成分の固溶限は元素ごとに10ppm程度であり、この値以下の不純物濃度である限り、Siの凝固精製による金属不純物除去は容易である。しかし、この値を超えると凝固途中に結晶内や結晶粒界に単体金属や金属間化合物が析出し易くなるため、凝固精製能が低下するとともに、凝固を低速化する等、凝固精製操業に特別の配慮が必要となり不経済である。そこで、凝固精製の効果のありうるFe、Al等の「その他金属」元素についてもSiO中の上限値が必要である。本発明者らの調査の結果、SiO中の金属不純物元素の代表的な分布とSi中での固溶限を調査、検討した結果、SiO中の「その他金属」成分については合計量が20ppm以下であれば、SiOから製造されたSiでの凝固精製能力に特段の悪影響を与えないことが判明した。これが、第1発明における「その他金属」成分範囲設定の根拠である。
最後にP成分範囲の根拠について述べる。Siの真空脱P法によるPの達成純度は、P濃度0.01ppmまでは、処理時間に比例する。真空脱Pが長時間である程製造費は増大するので、SiO製品段階でのP濃度の低いことが望ましいことはいうまでもない。ここで、本発明者らの詳細な調査、検討の結果、SiO生成原料(SiやC)中の初期P濃度が20ppm〜1000ppmの範囲において、(3)式や(4)式の反応で得られるSiO中のP濃度は、ほぼ、7〜20ppmの値に収まることが判明した。これは、SiO生成原料であるSi中から放出されたP蒸気濃度が比較的高い場合には、蒸気中でのPの形態はPが主体であり、凝縮したSiO固体表面にPガスが接触しても、Pガスの性質上、容易にはSiO中に取り込まれないためである。即ち、P濃度の高い領域ではSiO生成原料をSiO化することによる脱P効果が高いといえる。一方、SiO生成原料であるSi中のP濃度が10ppm以下の場合、安定するP蒸気の形態は単体Pガスである。単体Pガスは、固体SiOに容易に吸着されるため、SiO生成原料であるSi中から放出されたP蒸気は、大半が凝固SiOに再吸着されてしまう。従って、低濃度のPに対してはSiO生成原料をSiO化することによる脱P効果は小さい。但し、SiO生成原料中のP濃度が元々低い場合には、含有Pの全量が製品SiOに移動したとしても、SiO中のP濃度は、SiO生成原料中P濃度が元々高い場合よりは小さくなる。そこで、高いP濃度のSiO生成原料でもSiO化により容易に到達することのできる7ppmを第1発明におけるPの上限値とした。
次に、第2発明について説明する。製造法のイメージを図2を用いて説明する。装置の基本構成は、ほぼ、従来技術の図1と同様である。相違点は、本発明においては、従来技術の様に、反応容器1内で生成したSiOの全量を凝縮容器6内で凝固回収せず、常に、一部のSiO蒸気5を不純物蒸気10とともに系外に排出することである。こうしなければならない理由は、次の通りである。従来技術においては、Pの様な低沸点の不純物蒸気は単体で凝固すると考えられており、凝縮面温度を不純物の沸点より充分高く設定しておけば、不純物が凝縮することはないと考えられていた。しかし、本発明者らの調査、検討の結果、この様な現象は、反応容器内体積当りのSiO生成速度の低い小規模実験等の限定的な製造条件下で観察されるのみであり、反応容器内体積当りのSiO生成速度の高い工業生産規模のSiO生成条件では、一般的に、凝縮容器内の低沸点不純物蒸気、特にP蒸気は、1000℃以上の高温であっても容器内に大量に存在するSiO表面に容易に吸着固定される割合の高いことが判明した。
ここで、反応容器内体積当りのSiO生成速度が高くなると、PがSiOに吸着固定され易くなる理由を説明する。反応容器内体積当りのSiO生成速度が高い場合には、反応容器内及び凝縮容器内でのSiO圧力も一般に上昇する。この凝縮容器入口でのSiO分圧の高低によって凝縮器内でのSiO凝縮機構は変化する。まず、凝縮容器入口でのSiO分圧の低い場合、即ち、反応容器内体積当りのSiO生成速度の低い場合には、流入したSiOガス分子は、凝縮容器内壁に衝突して、凝縮容器内壁で直接固化する。一方、凝縮容器入口でのSiO分圧の高い場合、即ち、反応容器内体積当りのSiO生成速度の高い場合には、流入したSiOガスは、凝縮容器内の気相中で冷却されて温度が低下した際、気相中で均一核生成を生じて、微粒子(クラスタ)となった後、凝縮容器内壁に衝突し、既存のSiOと結合して凝縮容器内壁上に凝縮膜を成長させる。このSiOの凝縮機構の差がP蒸気のSiO固体面への吸着に大きな影響を与える。凝縮容器中でのPの分圧は極めて低いため、P蒸気が単独に気相中で核生成して成長することはほとんどありえない。従って、凝縮容器に流入したP蒸気は、SiOに吸着されるか、または気相中に留まることになる。この前提で凝縮容器内でのSiO固体表面での瞬時の平均P濃度は、次の式で表現できる。
[SiO中平均P濃度]=Q/QSiO (7)
:PのSiOへの吸着速度 QSiO:SiOの凝縮速度
さらに、Q、QSiOは、統計力学の一般的な教科書に記載されている分子運動論によれば、それぞれ次の性質がある。
∝ α・Ssio・p (8)
SiO ∝ αSiO・Ssio・pSiO (9)
α:PのSiOへの吸着速度係数 αSiO:SiOの凝縮速度係数
SiO:固体SiO表面積 p:分圧
αは、対象となる気相物質(P、SiO)分子が、SiO表面に衝突した際にSiO表面に凝縮または吸着される確率であり、本発明者らの実験、調査の結果、一般的に次の条件が成り立つことが判明した。
α ≪ αSiO (10)
従って、凝縮容器内においては、まず、SiOが凝縮し、次に、P蒸気が吸着される傾向となる。SiOの凝縮により、気相中のP濃度が上昇すると、式(8)、(9)より、Qが相対的にQSiOよりも大きくなっていくので、式(7)より、SiO表面でのP濃度は徐々に増大する。このまま長時間、P蒸気を凝縮容器中に放置しておけば、いずれは気相中の全てのP蒸気がSiO固体表面に吸着され、最終的に得られるSiO中のP濃度は、凝縮容器中に流入したSiOでのものと同一になる。ここで、「長時間」といっているのは、P蒸気分子のSiO固体表面への総衝突回数が充分に多いことを意味している。
この性質を利用して、SiOガス中のP成分を選択的に系外に排出することが可能である。まず、反応容器内体積当りのSiO生成速度が低い場合は、気相での微粒子生成は無く、SiO凝縮面は凝縮容器内壁のみであるので、SSiOは小さい。従って、単位時間当りのP蒸気分子のSiO固体表面への衝突数は少なく、SiOが全て凝縮してからP蒸気の未だ多くは、SiOに吸着されていない時間帯が少なくとも数百msec程度存在し、かつ、この時間帯での気相にはP蒸気しか存在しないので、気相を全て系外に放出することにより、SiOへのP蒸気の吸着量を低減することが、工業的に可能である。従来技術は、専らこの原理に従ってP除去を行っていた。
しかし、反応容器内体積当りのSiO生成速度が高い場合は、凝縮容器内に流入したSiOガスの大きな割合が微粒子となり、微粒子表面がP蒸気の凝縮面となりうるので、SSiOが極端に大きくなる。(8)式より、この状態では、αが少々小さくても、Qは充分大きな値をとり得るので、P蒸気は速やかに微粒子表面に吸着される。この一連のプロセスに要する時間は、極めて短く、かつ、気相中には大量の微粒子が浮遊しているので、従来法の様に、P濃度の高いガスのみ選択的に系外に放出することは、工業的に著しく困難である。従来技術をこの様な反応容器内体積当りのSiO生成速度が高い場合に適用した場合、気相中でPを充分に吸着したSiO微粒子は、やがて凝縮容器内壁上のSiO固体膜に結合するので、最終的に得られるSiO固体中のP濃度は、流入時とほとんど変わらず、P除去の精製効果は無い。
そこで、本発明においては、Pをガス状で系外に放出することではなく、Pを特に大量に吸着したSiO微粒子を選択的に系外に放出することで、P除去の精製効果を発揮させる方法を考案した。具体的な方法は、次の通りである。凝縮容器内の気相で発生したSiO微粒子が凝縮容器内壁上SiO固体膜に結合するまでの飛行時間は、微粒子毎に大きなばらつきを持ち、粒子によっては平均的な微粒子飛行時間より数桁大きいものも存在する。この様な長時間飛行微粒子は、P分子との衝突回数も多く、微粒子中のP濃度は、平均的な微粒子より数桁程度高くなる。一方、凝縮容器内壁上SiO固体膜と素早く結合したSiO微粒子では、この微粒子の上を直ちに他の微粒子が覆うため、P蒸気と接触する時間が短く、SiO中のP濃度は低くなる。従って、凝縮容器内気相中の長時間飛行微粒子を、徒に凝縮容器内に留めるのではなく、系外に放出し、これを凝縮容器内壁のSiO固体と混合させなければ凝縮容器内SiO固体のP濃度は、低い値を維持できる。個々の微粒子が「長時間」凝縮容器内に存在したかどうかを選別することは困難であるが、確率的には、凝縮容器内の下流側の気相に存在する微粒子ほどP濃度が高いので、凝縮容器に一定方向の流れ場を明確に形成し、その下流側からガスを残留微粒子ごと系外に放出することで平均的にP濃度のより高い微粒子群を除去することができる。その際、SiO微粒子の放出量を増大させれば、回収SiOの純度は向上傾向となるが、一方でこの操作は、歩留低下を招く。従って、費用対効果を考慮して、SiOの系外放出量を決定すべきである。
第2発明の操業条件範囲の根拠について説明する。まず、操業温度については、SiをSiO生成原料に用いる場合、Si融点直下の1400℃以上でなければSiOガス生成速度が極端に低下するのでこの値を下限値とした。また、1800℃超の操業においてはSiO粒が軟化して上下方向に扁平、圧縮化される。その結果、SiO生成原料粒間の空隙が減少し、SiO生成原料粒表面で生成したSiOガスの排気抵抗ネックが生じてかえってSiO生成速度が低下する現象がみられたので、1800℃を上限値とした。
次に、作業圧力上限値の3000Paは、(3)式による反応の操業温度範囲における代表的な飽和蒸気圧である。従って、この圧力超での反応は、他の何らかの非凝縮性ガスが生成または流入していることを意味するので、操業に好適ではないと判断して、この圧力を上限値とした。また、作業圧力の下限値については、本発明の原理上は、存在しない。しかし、工業的に0.1Pa未満の真空を実現するためには、油拡散ポンプ等の特殊な真空ポンプを必要とするため、巨額の設備費用及び作業費用が必要になる。一方、作業圧力を0.1Pa未満に設定しても、SiOの製造上、特段の利点はないので、経済的合理性を考慮して、作業圧力は、0.1Pa以上であることが望ましい。
さらに、第2発明における原料Siの不純物濃度下限値の根拠について述べる。1ppmより少ない不純物のSiは、半導体用Si屑の高級グレード材として市販されている。これらの原料については、凝固精製を実施して直ちに太陽電池用Siを製造する技術が既に実用化されており、あえてSiOを経由して高純度Siを製造する利点が存在しない。そこで、原料Siの純度の下限値を不純物1ppmとした。Siの不純物濃度上限値については本発明の原理的には存在しない。しかし、不純物濃度3%程度の金属シリコンが比較的安価かつ大量に市販され、また、不純物濃度20%程度のシリコン加工屑も廃棄物として常に一定量発生している。従って、3%〜20%よりも高い不純物濃度のシリコンを原料にすることは、経済性の点で合理的でなく、Siの不純物濃度は、この範囲以下であることが望ましい。
尚、図2において、SiOの原料として、金属Si粒及びSiO粒の混合物を用いたが、これは、粒状の原料を用いることにより、充分大きなSi−SiO接触面積を確保してSiO生成速度を高めるために採用した形式である。この様な観点からは、粒の粒径が小さいことが望ましい。一方、粒径が過小な場合には、発生するSiOガス圧によって粒子が飛散してSiO凝縮物中に混入し、SiOを汚染する恐れがある。従って、原料粒径は、10μm〜100mm程度の範囲であることが望ましい。また、反応速度を若干犠牲にしても製造時の作業性や原料費用を優先する観点から、粒以外の形状の原料を使用することも可能である。例えば、Si、SiOの一方、または、両方が、板状、棒状、塊状、その他の形状であっても問題ない。
次に、第3発明について説明する。本発明における反応原理は、前述の(4)式に対応する。製造法の概念図は、基本的に図2と同様であり、Si粒−SiO粒混合原料の部位が、C粒−SiO粒混合原料に変化する点のみが異なる。また、操業条件範囲の設定の考え方も、物性を(4)による式反応に対応したものに変更した以外は、第2発明と同様である。即ち、作業温度については、1300℃〜1800℃であることが望ましく、作業圧力については、0.1Pa〜5000Paであることが望ましい。尚、第3発明では、第2発明と異なり、反応容器内でSiOガスと同量のCOガスが生成する。COガスは常温以上では非凝縮性なので、凝縮容器内流れの特に末端部ではCOガスが主成分となる。従って、排気流量は、第2発明に比べて増大するとともに、SiO微粒子の系外への排出を担う周囲流体は、主としてCOガスになる。この場合でも、少なくとも系外に排出されたSiO微粒子分は凝縮容器から回収できないので、「SiOガスの一部(のみを)を凝縮させ」ことになる。
また、第2発明と同様の理由で、粒状以外の原料形状を用いても一向に問題ない。
次に第4発明について説明する。前述の様に、高濃度のPを含んだSiOガスを系外に排気することにより、回収固体SiO中のP濃度は低下する。図3は、生成SiOガスに対する系外排出SiOの割合と回収固体SiO中P濃度の関係を示している。この図より、系外排出SiO質量が生成SiOガス質量の1%までは、排出SiO量の増大に従って回収固体SiO中P濃度は急激に低下するが、それより多くSiOを排気しても効果の小さいことがわかる。従って、操業のばらつきを考えると少なくとも1%のSiOガスを凝縮容器内で凝縮させずに系外に排気することにより、回収SiO固体中のP濃度を低減することができる。
尚、系外に排出するSiO質量の上限は、本発明の原理的には存在しない。しかし、固体SiOを製造するという目的のためには、生成SiOガス質量の、例えば、90%超を系外に排出することは経済的合理性の観点から現実的でない。即ち、系外に排出するSiO質量は、生成したSiO質量の1〜90%の範囲であることが望ましい。
まず、第1発明の条件のSiOが太陽電池基板用Si製造原料の成分として好適である実施例と比較例を示す。
(実施例1)
市販の純度99.9999999%のシラン(SiH)ガス、市販高純度水素ガス、市販高純度酸素ガスおよび次の微量不純物成分蒸気を燃焼炉に吹き込み、炉内で燃焼させることにより、Pが7ppm、Bが0.3ppm、As、Sb、Ga、Inがそれぞれ0.1ppm、Feが15ppm、Alが4ppm、その他の金属成分が1ppmであるSiO微粉250kgを得た。SiO製造に使用した不純物成分は、高純度試薬として市販されている、P、As、Sb、B、Ga、Inおよび市販金属Si(純度97%)を適宜配合したものを用いた。
このSiO微粉を石英るつぼに入れ、大気圧アルゴン雰囲気下の1520℃で1時間加熱した結果、バルク状のSiが50kg得られた。このSiをさらに真空容器内で融解させ、0.1Paの圧力のもとに5時間の真空脱Pを行った。その後、このSi融液を石英ガラス製の鋳型に注湯し、大気圧アルゴン雰囲気下で鋳型底部から冷却して4時間の一方向凝固精製を実施した後Siインゴットを鋳型から離型し、不純物の少ない、インゴット下部90%(40kg)を太陽電池基板用Siに供した。このSiの不純物分析を行った結果は、表1に示すとおりであり、太陽電池基板用Siの成分基準値を満足した。
(比較例1)
実施例1と同様の方法でSiOを製造する際に、Fe蒸気のみ、第1発明範囲外の量を吹き込み、Pが7ppm、Bが0.3ppm、As、Sb、Ga、Inがそれぞれ0.1ppm、Feが2000ppm、Alが4ppm、その他の金属成分が1ppmであるSiO微粉250kgを得た。このSiOから、実施例1と同様の方法で40kgのSiを得た。このSiの不純物分析を行った結果は、表1に示すとおりであり、太陽電池基板用Siの成分基準値を満足しなかった。
(比較例2)
実施例1と同様の方法でSiOを製造する際に、B蒸気のみ、第1発明範囲外の量を吹き込み、Pが7ppm、Bが0.4ppm、As、Sb、Ga、Inがそれぞれ0.1ppm、Feが15ppm、Alが4ppm、その他の金属成分が1ppmであるSiO微粉250kgを得た。このSiOから、実施例1と同様の方法で40kgのSiを得た。このSiの不純物分析を行った結果は、表1に示すとおりであり、太陽電池基板用Siの成分基準値を満足しなかった。
(比較例3)
実施例1と同様の方法でSiOを製造する際に、Ga蒸気のみ、第1発明範囲外の量を吹き込み、Pが7ppm、Bが0.3ppm、As、Sb、Inがそれぞれ0.1ppm、Gaが0.5ppm、Feが15ppm、Alが4ppm、その他の金属成分が1ppmであるSiO微粉250kgを得た。このSiOから、実施例1と同様の方法で40kgのSiを得た。このSiの不純物分析を行った結果は、表1に示すとおりであり、太陽電池基板用Siの成分基準値を満足しなかった。
(比較例4)
実施例1と同様の方法でSiOを製造する際に、As蒸気のみ、第1発明範囲外の量を吹き込み、Pが7ppm、Bが0.3ppm、Ga、Sb、Inがそれぞれ0.1ppm、Asが0.8ppm、Feが15ppm、Alが4ppm、その他の金属成分が1ppmであるSiO微粉250kgを得た。このSiOから、実施例1と同様の方法で40kgのSiを得た。このSiの不純物分析を行った結果は、表1に示すとおりであり、太陽電池基板用Siの成分基準値を満足しなかった。
以上が、第1発明の実施例、並びに比較例である。
(実施例2)
次に、第2および第4発明の実施例を示す。
図2に示す直径1mの反応容器内に直径0.5mのるつぼを設置し、その中に50kgの純度99.7%(Fe濃度2000ppm、Al濃度1000ppm、P濃度40ppm、B濃度10ppm)の市販金属Siと150kgの純度99%(Fe濃度9000ppm、Al濃度2000ppm、P濃度2ppm、B濃度1ppm)の天然けい砂を混合したものを投入した。このとき、粒の平均径は、金属Siが0.5mm、けい砂が8mmであった。次に、反応装置系内をアルゴン(Ar)ガスで満たした後、るつぼ周囲に設置された抵抗ヒータにより前記SiO生成原料を加熱するとともに、真空ポンプを作動させて反応容器内を10Paの圧力とした。原料温度が1410℃を超えた時点でSiOガスの生成が急激に増大し、原料温度が1700℃になった時点の反応容器内圧力は最終的に1300Paに達した。反応容器で生成したSiOガスは、凝縮容器に流入する。凝縮容器は、直径0.7m長さ2mの円筒状のステンレス容器であり、操業中は外壁を水冷されている。凝縮器内でSiOガスは、凝縮器内壁で凝固し、固体SiO膜を形成した。この間も絶えず真空ポンプを作動させて生成ガスの一部を排気し続けた。このときの凝縮器内部圧力は平均100Paであった。1700℃での加熱操業を1.5時間継続した後、装置を冷却し、解体した凝縮容器内壁から固体SiOを剥ぎ取って回収した。るつぼ内に残留した金属Siは、0.2kgであり、得られた凝縮SiOは147kgであった。そのうち、7kgは、容器表面で容器材料との間で金属間化合物を生成したので、手で除去し、高純度Si原料として最終的に得られたSiOは、140kgであった。残りの生成SiO約8kgは、排気した。排気されたSiOの一部を排気ガスフィルタより回収して、成分分析を行った結果、P濃度は、80ppmであった。一方、凝縮器から回収されたSiO中のP濃度は、6ppmであるので、SiOガスの一部を排気することにより、凝縮容器内で回収されるSiOのP濃度を低減できることが確認できた。尚、SiO生成原料温度測定は、るつぼ内壁に取り付けられた熱電対により実施し、圧力測定は容器外部に引き出した保温管内圧力を非接触式圧力計によって計測した。得られた固体SiO中の不純物分析結果は、表1の通りである。
この原材料を大気圧アルゴン雰囲気下の1550℃で1時間加熱した結果、バルク状のSiが得られた。このSiをさらに真空容器内で融解させ、0.1Paの圧力のもとに5時間の真空脱Pを行った。その後、このSi融液を石英ガラス製の鋳型に注湯し、大気圧アルゴン雰囲気下で鋳型底部から冷却して4時間の一方向凝固精製を実施した後Siインゴットを鋳型から離型し、不純物の少ない、インゴット下部90%(40kg)を太陽電池基板用Siに供した。このSiの不純物分析を行った結果は、表1に示すとおりであり、太陽電池基板用Siの成分基準値を満足した。
(実施例3)
SiO生成原料として、半導体製造時に発生した純度99.9%(Fe濃度1000ppm、Al濃度0.1ppm、P濃度0.02ppm、B濃度5ppm)の屑Siを平均径0.5mmに粉砕したもの50kgと平均径5mmで純度99%(Fe濃度8000ppm、Al濃度2000ppm、P濃度0.5ppm、B濃度1ppm)の天然けい砂150kgを混合したものを用いた。その他のSiO製造操業条件は、実施例2と同様である。SiO中の不純物元素が「その他金属」成分以外は、SiOの基準範囲内であったので、当該SiOから製造されたSiの精錬として真空脱Pを省略し、凝固精製のみ実施した。このSiの不純物分析を行った結果は、表1に示すとおりであり、太陽電池基板用Siの成分基準値を満足した。
(実施例4)
SiO生成原料として、半導体製造時に発生した純度99.99%(Fe濃度90ppm、Al濃度0.1ppm、P濃度0.01ppm、B濃度0.5ppm)の品質不合格Siを平均径0.5mmに粉砕したもの50kgと平均径5mmで純度99%(Fe濃度8000ppm、Al濃度2000ppm、P濃度1ppm、B濃度1ppm)の天然けい砂150kgを混合したものを用いた。その他のSiO製造操業条件は、実施例2と同様である。SiO中の不純物元素は、全てSiOの基準範囲内であったので、当該SiOから製造されたSiの精錬を省略した。このSiの不純物分析を行った結果は、表1に示すとおりであり、太陽電池基板用Siの成分基準値を満足した。
(比較例5)
次に、第2発明の比較例を説明する。
実施例2と同様の方法でSiOを製造する際、発生したSiOガスを固体SiOとして全量回収するため、凝縮器を一旦、0.1Paまで減圧した後、真空ポンプを停止し、図2に示さない、真空ポンプ配管の弁を閉止して、SiO反応容器および凝縮器を周囲から密閉した状態でSiO製造原料を加熱し、SiOガスを生成させた。この状態でSiOガス生成を続けると、SiO原料中に含まれていた低沸点不純物が気化した蒸気のうち、凝縮器内でも凝縮しないものが凝縮器内に蓄積するため、反応容器および凝縮器内圧力が上昇する。圧力が2000Paに達した時点でSiOガスの生成速度が著しく低下したので操業を停止した。その後、凝縮器を開放して内壁からSiO固体約10kgを回収した。この作業を15回繰り返して、SiO固体140kgを得た。得られたSiO中のP濃度は20ppmであり、実施例2の約3倍強に悪化した。このため、真空脱Pにおいて、太陽電池用SiのP成分基準値まで脱Pするための処理時間が実施例2に比べて40%増大し生産性が低下したとともに、汚染による炉材寿命が1/6に低下したため、Si製造原単価は、実施例2に対して大幅な費用増となった。また、SiO製造時にもバッチ製造量が実施2に比べて小さいため、この点でも本比較例は、実施例2に比べて大幅な製造費増となった。従って、SiO製造時に、生成したSiOガスを全量凝縮、回収するよりも、SiOガスの一部を排気した方が安価に高純度Siを製造できるといえる。
(実施例5)
次に、第3および第4発明の実施例を説明する。
SiO生成原料を平均径0.05mmで純度99.5%(Fe濃度4000ppm、Al濃度700ppm、P濃度5ppm、B濃度2ppm)の市販の塗料添加用人造黒鉛50kg及び平均径5mmで純度99%(Fe濃度8000ppm、Al濃度2000ppm、P濃度2ppm、B濃度1ppm)の天然けい砂100kgの混合原料を使用した。その他のSiO製造操業条件及び後処理は、実施例2と同様である。このSiの不純物分析を行った結果は、表1に示すとおりであり、太陽電池基板用Siの成分基準値を満足した。
(比較例6)
次に第4発明の比較例を説明する。
凝縮容器の長さを10mとし、さらに、SiOガス生成中の真空ポンプの排気速度を実施例2の速度条件の1/10とし、それ以外の操業条件を全て実施例2と同様に設定してSiを製造した。この際、生成したSiOガスの99.7%がSiO固体として回収された。尚、実施例1と同様の基準で金属間化合物を含む部位を除去したSiOからSiを製造した。その結果、得られたSiO中のP濃度は16ppmであり、実施例2の約3倍に悪化した。このため、真空脱Pにおいて、太陽電池用SiのP成分基準値まで脱Pするための処理時間が実施例2に比べて30%増大し生産性が低下したとともに、脱P炉内で発生するP蒸気の量も3倍となり、汚染による炉材寿命が1/5に低下したため、Si製造原単価は、実施例2に対して2倍となり、大幅な費用増となった。本比較例は従来のSiO製造技術をベースにした製造法であるが、実施例1に代表される本発明を適用することにより、製造費を50%低減できることがわかった。
Figure 2005206441
図1は、従来技術の概念図である。 図2は、第2発明の概念図である。 図3は、第4発明の概念図である。
符号の説明
1 ・・・反応容器、
2 ・・・Si粒―SiO粒混合原料、
3 ・・・るつぼ、
4 ・・・加熱装置、
5 ・・・SiOガス、
6 ・・・凝縮容器、
7 ・・・固体SiO、
8 ・・・真空ポンプ、
9 ・・・圧力計、
10・・・不純物蒸気。

Claims (4)

  1. 質量割合で、リンを7ppm以下、ボロンを0.3ppm以下ヒ素、アンチモン、ガリウム、インジウムをそれぞれ0.1ppm以下、かつ、その他の金属不純物の合計を20ppm以下含有する一酸化珪素である高純度シリコン製造用原材料。
  2. 反応容器内で不純物を1ppm以上含むシリコンと二酸化珪素を主成分とする固体材料の混合物を、1400℃以上1800℃以下の温度範囲で3000Pa以下の圧力のもとに両物質間の接触面における反応により一酸化珪素ガスを生成させ、さらにこのガスを冷却して一部の一酸化珪素をバルク状に固化した後、回収するとともに、他の一酸化珪素を排気することを特徴とする高純度シリコン製造用原材料の製造方法。
  3. 反応容器内で、カーボンと二酸化珪素を主成分とする材料の混合物を、1300℃以上1800℃以下の温度範囲で5000Pa以下の圧力のもとに両物質間の接触面における反応により一酸化珪素ガス及び一酸化炭素ガスを生成させ、さらにこのガスを冷却して一酸化珪素の一部をバルク状に固化した後、回収するとともに、他の一酸化珪素を排気することを特徴とする高純度シリコン製造用原材料の製造方法。
  4. 前記排気する一酸化珪素が、生成する一酸化珪素に対して質量割合で少なくとも1%である請求項2または3に記載の高純度シリコン製造用原材料の製造方法。
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