JP2005205051A - ベッド用シーツおよびカバー - Google Patents

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利英 富川
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Abstract

【課題】高温洗濯を繰り返してもストレッチバック性を保持し、実用において繰り返し使用してもベッド用のシーツまたはカバーが身体接触部分などにおいて皺が生じにくい、優れた効果を持つベッド用シーツおよびカバーを提供することにある。
【解決手段】ベッド用のシーツであって、ベッド上半身部に相当する該シーツ部分が横方向に伸縮性のある素材で、ベッド下半身部に相当する該シーツ部分が縦方向に伸縮性のある素材からなり、該伸縮性のある素材が、編物であり、且つ該編物を構成する糸が、加撚されたポリエステル及び/またはナイロン加工糸であることを特徴とするベッド用シーツおよびカバーによって達成される。
【選択図】なし

Description

本発明は、ベッド用シーツおよびカバーに関し、特にギャッジベッド(起き上がり自在の介護、病院用ベッド)のマットに装着するに相応しいベッド用シーツおよびカバーに関する。
従来、ギャッジベッド(起き上がり自在の介護、病院用ベッド)のマットに装着するシーツまたはカバーは、綿の織物シーツが大半で、ギャッジベッドの上半身部を上下させる度にシーツまたはカバーに皺が入る。そのため、横たわっている患者の皮膚にシーツまたはカバーの皺部分が圧迫をし、褥瘡を発生させる原因ともなる。この防止の為に、患者が横たわるベッドを上下させる度に、看護者はシーツまたはカバーの皺を伸ばしてケアすることが欠かせなく、看護者の負荷がたいへん大きなものとなっている。
そのため、シーツまたはカバーの皺を伸ばす為に、伸縮率の大きな素材が求められる。例えばポリトリメチレンテレフタレート(PTT)長繊維で織性又は編成された寝具用カバーが開示されている(特許文献1参照)。
PTTは伸長回復性、圧縮回復性があることが示されているが、洗濯による皺よれを防ぐ伸長や圧縮の回復力はあるが、高温洗濯(リネン洗濯)によるストレッチバック性(伸縮回復性)の低下をもたらす欠点がある。そのため、患者が横たわる前記ベッド上での繰り返し使用に耐えうるだけの強度に欠け、頻回使用に伴い、シーツまたはカバーに皺が生じやすいものとなる。
高温洗濯によるストレッチバック性(伸縮回復性)を維持するには、適度な伸長応力を持つ素材が必要である。しかし、その際、例えばゴム素材のように反発力が大き過ぎると耐洗濯性の悪さは勿論、寝心地の悪さ、装着性不良などが発生する。
したがって、適度な伸縮性があり、高温洗濯によるストレッチバック性(伸縮回復性)を保持し、繰り返し使用してもシーツやカバーに皺が生じにくい素材が望まれる。
特開2002−65435号公報
即ち、本発明の目的とするところは、高温洗濯を繰り返してもストレッチバック性を保持し、実用において繰り返し使用してもベッド用のシーツまたはカバーが身体接触部分などにおいて皺が生じにくい、優れた効果を持つベッド用シーツおよびカバーを提供することにある。
上記の目的は、ベッド用のシーツであって、ベッド上半身部に相当する該シーツ部分が横方向に伸縮性のある素材で、ベッド下半身部に相当する該シーツ部分が縦方向に伸縮性のある素材からなり、該伸縮性のある素材が、編物であり、且つ該編物を構成する糸が、加撚されたポリエステル及び/またはナイロン加工糸であることを特徴とするベッド用シーツおよびカバーによって達成される。
該編物が、丸編、横編または経編のものであることが好ましい。また、該編物がダブルニットの場合、該編物の組織がハニカムまたは鹿の子構造であるものが好ましい。更に該シーツまたはカバーの伸縮性が、80%以上の伸長回復率であることが好ましい。
本発明のベッド用シーツおよびカバーは、その上半身部と下半身部とに相当する部分でそれぞれ異方性の適度な伸縮性があり、シーツまたはカバーが身体接触部分などに生じる皺を打ち消す効果に優れている。また本発明のシーツまたはカバーが伸縮性のある素材からなり、該素材が、編物であり、且つ該編物を構成する糸が、加撚されたポリエステル、ナイロン加工糸であるため、加撚によって伸縮性がほとんどない生糸に適度な伸縮性が付与され、該加工糸を編物にすることによって、より伸縮性に優れた効果が得られる。そのため、介護する看護者の負担をおおいに軽減できる。また、伸縮による反発力が大き過ぎるといったこともなく、患者の寝心地の悪さを解消する。更には、高温洗濯(リネン洗濯など)を繰り返してもストレッチバック性の保持に優れているため、患者が横たわる前記ベッド上での繰り返し使用に充分耐えうる、優れた耐洗濯性を持つ。
本発明のベッド用シーツとは、ボックスタイプのシーツをいう。例えば、図1に示したようなシーツが挙げられ、シーツの側縁4に丈夫で伸縮性のあるひもが縫製されており、ベッドの表面全体と裏面の一部が覆われる。
また、本発明のベッド用カバーとは、封筒型、袋型などのものをいう。
本発明のベッド用シーツまたはカバーは、図1および図2に示したようにベッド上半身部に相当する該シーツまたはカバー部分が、横方向に伸縮性3Aのある素材で、ベッド下半身部に相当する該シーツまたはカバー部分が、縦方向に伸縮性3Bのある素材からなる。
尚、本発明でいう所の上半身部1とは、腰部から背部、頭部にかけての上部位をいい、下半身部2とは臀部から下肢部にかけての下部位をいう。
本発明のシーツおよびカバーは、ニット(編物)であり、例えばシングルニット、表組織と裏組織とからなるダブルニットなどが挙げられる。
本発明の用いられる伸縮性の素材としては、編物であり、且つ該編物を構成する糸が、加撚された加工糸である。
本発明の用いられる編物としては、丸編、横編および経編などの編物が挙げられる。
該編物がダブルニットである場合、該編物の組織としては、ハニカム組織、鹿の子組織などが挙げられる。尚、例えば、ハニカム組織の表構造としては、格子模様の浮き構造があり、裏構造としては、フラット構造がある。また、鹿の子組織の表構造としては、鹿の子模様の浮き構造があり、裏構造としては、フラット構造がある。
本発明に用いられる該編物の加撚された加工糸としては、ポリエステル及び/またはナイロンである。該ポリエステルは、耐洗濯性、耐熱性から特に良い。
また該加撚された加工糸としては、トータルデニールが、83dtex〜333dtexの糸が好ましい。
シングルニットの場合は、単糸デニールは、2.3dtex/f以上(fは、単糸フィラメントの略である。)が好ましく、トータルデニール/トータルフィラメントが、83dtex〜333dtex/24〜96fのレギュラー糸が好ましい。また、単糸デニールは、1.2dtex/f以下で、トータルデニール/トータルフィラメントは、83dtex〜333dtex/72f以上であるハイマルチタイプ、マイクロタイプの糸など
を保水性向上の点から使用しても良い。
ダブルニットの場合は、表組織に単糸デニールが2.3dtex/f以上で、トータルデニール/トータルフィラメントが、83dtex〜333dtex/24〜96fのレギュラー糸、裏組織に単糸デニールが1.2dtex/f以下で、トータルデニール/トータルフィラメントは、83dtex〜333dtex/72f以上であるハイマルチタイプ、マイクロタイプの糸などを使用することが好ましい。
そして、それら加撚された加工糸としての撚り数としては、1500〜4000T/M(撚り数/m)の加撚が好ましい。
また、前記単糸デニールが2.3dtex/f以上で、トータルデニール/トータルフィラメントが、83dtex〜333dtex/24〜96fのポリエステルは、高透水、速乾性の利点があるため、本発明に用いられる生地の表組織に使用すると肌側の濡れ感が少なくて特に良い。
また、該ハイマルチタイプ、マイクロタイプのポリエステルは、保水性、水分拡散性の利点を持つことから特に本発明に用いられるダブルニット生地の裏組織に使用すると特に良い。
本発明で用いられる側縁4に縫製されるところの丈夫なひもとしては、伸縮性のある素材であれば何でも良く、例えばゴムひもなどが挙げられる。
本発明のシーツまたはカバーの伸長回復率(定荷重法)としては、80%以上の伸長回復率(5cm布巾に500g荷重時)の生地がストレッチバック性に優れている点で好ましく、90%以上の伸長回復率(5cm布巾に500g荷重時)であることが生地として特に好ましい。
本発明のシーツおよびカバーの表面側には、失禁、汗などの消臭のため抗菌性繊維、消臭繊維などを複合させてもよい。
本発明の上半身部と下半身部でそれぞれ異方性の適度な伸縮性のあるシーツまたはカバーを得るための製造法としては、横方向に伸長する上半身部生地と縦方向に伸長する生地とを適宜寸法で縫製する方法、横編機の一種であるセーター編機で連続に、縦、横方向に伸びる組織を編んで製造する方法、また伸縮性を持った生機(未加工生地)に巾方向にストレッチ条件を変えて熱セットし、巾方向に伸縮性が変わる製品生地を製造する方法などが挙げられる。
以下、実施例、比較例により本発明を具体的に説明する。
尚、実施例、比較例を説明するに先立ち、「高温洗濯性試験」および「伸長回復率試験」の方法を示す。
(高温洗濯性試験)
JIS−L−1096のF−3法(高温ワッシャー法)およびI−2(高温タンブル乾燥法)に準じて行った。シーツを洗濯機で洗濯し、その後タンブラー乾燥を行った。このリネン洗濯(工業洗濯)と呼ばれる洗濯、乾燥を5,10,15回と繰返し、ストレッチバック性(伸縮回復性)を目視観察および伸長回復率試験に供与して調べた。
(伸長回復率試験)
JIS−L−1096 伸縮織物試験方法の伸長回復率試験(低荷重法)B−1法に準じて試験を行った。尚、5cm布巾に500g荷重を加えて行う。また、伸長回復率(%
)を算定した。
実施例1
図1に示したギャッジベッド用シーツ素材の仕様は、上半身部1、下半身部2とも同一丸編とした。表組織の加工糸としては、汗、失禁等の吸収の為に高吸水、速乾性の良い、加撚2400T/M、トータルデニールが167dtex/48fのポリエステル加工糸を使用し、裏組織の加工糸としては、保水性、水分拡散性に優れたハイマルチ、加撚2400、トータルデニールが167dtex/144fのポリエステル加工糸を使った。当該加工糸を用いて、ダブルニット機を使用し、丸編で、編組織をハニカム組織(表構造;格子模様の浮き構造、裏構造;フラット構造)とした。該丸編生地を、図2に示したように、巾850mm、縦長さ1,950mm、厚さ100mmのギャッジベッドに対するシーツとして、上半身部に横方向に伸長する該丸編生地を、下半身部に縦に伸長する該丸編生地を、上半身部縦550mm、下半身部縦1130mm、下半身部横830mmの寸法(図1)で縫製し、側縁部は、側縁部の該丸編生地でゴムバンドを包み、その側縁部を縫製して、ボックスタイプの本発明のシーツを得た。
比較例1
ポリエステル加工糸の代わりにPTT(ポリトリメチレンテレフタレート)加工糸を用いた以外は、実施例1と同様な条件でシーツを得た。
(高温洗濯性試験)
その結果を表1に示した。実施例1は、リネン洗濯を15回繰り返しても、ストレッチバッグ性は失われず、ベッド装着時、皺が全く入らないのに対し、比較例1は、10回目のリネン洗濯でストレッチバック性が失われ、ベッド装着時、皺が入ってしまった。
(伸長回復率試験)
また、伸長回復率試験の結果を表2に示した。実施例1は、リネン洗濯を15回繰返しても、伸長回復率は90%であったのに対し、比較例1は、10回目のリネン洗濯で、伸長回復率は50%、15回目のリネン洗濯で、伸長回復率は30%とストレッチバック性が著しく失われた。
Figure 2005205051
Figure 2005205051
ベッドに装着前の本発明シーツの斜視図である。 ギャッジベッドに装着後の本発明シーツの斜視図である。
符号の説明
1 シーツ上半身部
2 シーツ下半身部
3A シーツ上半身部の横方向伸縮
3B シーツ下半身部の縦方向伸縮
4 ゴムバンド
5 ベッド折れ部
6 皺生成部

Claims (5)

  1. ベッド用のシーツであって、ベッド上半身部に相当する該シーツ部分が横方向に伸縮性のある素材で、ベッド下半身部に相当する該シーツ部分が縦方向に伸縮性のある素材からなり、該伸縮性のある素材が、編物であり、且つ該編物を構成する糸が、加撚されたポリエステル及び/またはナイロン加工糸であることを特徴とするベッド用シーツ。
  2. 編物が、丸編、横編または経編のものである請求項1記載のベッド用シーツ。
  3. 編物がダブルニットであって、該編物の組織がハニカムまたは鹿の子組織である請求項2記載のベッド用シーツ。
  4. シーツの伸縮性が、リネン洗濯10回後の伸長回復率が80%以上である請求項1乃至3記載のベッド用シーツ。
  5. ベッド用のカバーであって、請求項1乃至4に記載の構成からなるベッド用カバー。














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