JP2005203648A - シリコンウエーハの熱処理用縦型ボート及び熱処理方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】シリコンウェーハWを熱処理する際に、該ウェーハの裏面の周辺部を支持する熱処理用縦型ボートであって、天板2と、底板3と、前記天板と底板との間に固定された支柱4とを有し、該支柱に支持部5が形成されており、該支持部にシリコン製の板状の支持体7が配置されており、該支持体が前記ウェーハの裏面の周辺部と接して該ウェーハを支持するものであることを特徴とするシリコンウェーハの熱処理用縦型ボート1。
【選択図】図1
Description
このような横型熱処理炉の場合、シリコンウェーハは、石英ガラス製やSiC製のウェーハボートに立てかける形で横方向に多数並べて配置され、ボートごと熱処理炉へ搬入、搬出されている。
縦型熱処理炉は、炉心管が鉛直方向に配置されており、そのため、ウェーハボートはシリコンウェーハを上下方向に複数枚載置することができる縦型の構造となっている。
図4(A)に示されているように、ボート10は天板16と底板17との間に4本の支柱(ロッド)14が固定されている。なお、ボート10の材質は、シリコンウエーハ用であれば、一般的に石英ガラス、炭化ケイ素(SiC)、シリコン等が用いられる。
近年のシリコンウェーハWの大口径化に伴い、支持箇所に応力が集中してスリップが発生し易くなっており、例えば300mmの直径を有するシリコンウエーハを1000℃以上で熱処理すると、シリコンウェーハが自重により凹状に変形し、支持部との接触面積が小さくなり、スリップが特に発生し易くなる。
このようなSiC製のサセプタ18を用いてシリコンウエーハWの熱処理を行えば、ウェーハWの応力集中や熱変形を緩和することができるが、サセプタ(SiC)とウエーハ(Si)との熱膨張差により摩擦が生じ、また、サセプタの硬度が高く、表面粗さも大きいため、スリップやキズが生じるおそれがある。さらに、SiC製であるため、Fe、Ni、Cu等の重金属汚染を引き起こすおそれがある。
例えば円筒状のコロを支持部上に配置し、コロを介してウェーハを支持する。コロはウェーハの膨張に追従して移動するので、ウェーハとコロとの間に摩擦が生じず、熱膨張によるウェーハの変形があってもスリップが発生し難いとされている。
また、ウェーハと円筒状のコロとでは線接触に、球状のコロとでは点接触になるので、接触部分に応力が集中してキズがつき易く、一旦キズがつくと、そこからスリップ転位が成長しやすいという問題点がある。
従って、このようなボートを用いてシリコンウエーハの熱処理を行えば、スリップが発生するのを極めて効果的に防ぐことができる。
また、このようなボートでは、支持体のみシリコン製とすれば良いので安価なものとなり、支持体が汚染された場合には容易に交換することができる。
このように複数の支柱を有するボートであれば製造が容易であるし、支持部ごとに支持体が配置されているので、高温熱処理の場合でも支持体は変形せずにウェーハを安定して支持することができる。また、支持部ごとに支持体を交換できるので、維持コストも低く抑えることができる。
少なくとも支柱がこれらの材質から構成されていれば、耐熱性に優れるので高温熱処理でも変形せず、また、シリコンウエーハに対する汚染も極力抑えることができる。
シリコンウェーハの外周端部は酸素が析出し難くキズがつき易い傾向があるが、上記のように支持体がウェーハの外周端部よりも内側を支持するように配置されているものとすれば、ウェーハ外周端部にキズが発生することを確実に防ぐことができる。
このように、支持体が、支持部に形成した嵌め込み部に配置されていれば、支持体がより安定してウェーハの出し入れが容易となるし、従来のボートと同様のピッチ幅のボートとすることができるので、一度に多数のウェーハを熱処理することができるものとなる。
このように嵌め込み部と支持体との間に間隙が設けられていれば、支持体が動けるのでウェーハの熱膨張に追従し易く、また支持体や支持部の破損を防止することができる。
支持体の上面の表面粗さが0.1μm以下であれば、摩擦が小さく、ウェーハの接触面にキズがつくのをより確実に防ぐことができる。
ウェーハと支持体がともにシリコンからつくられているので、特にウェーハの裏面が研磨されている場合に高温熱処理を行うと接触面が接着するおそれがある。そこで、支持体の上面に溝パターンを形成しておけば、ウェーハと支持体との接着を効果的に防ぐことができる。
支持体中の金属不純物濃度が上記のように低ければ、高温熱処理の際に支持体とウェーハとの接触により生ずる金属不純物の固相拡散を確実に抑えることができ、ウェーハを汚染することもない。特に、シリコン製の支持体は、上記のような高純度のものを容易に得ることができる利点がある。
支持体がゲッタリング処理されたものであれば、特に表層の金属不純物濃度が低くなり、ウェーハの汚染をより確実に防ぐことができる。
このように本発明に係る熱処理用縦型ボートを用い、支持体でシリコンウエーハを支持して熱処理を行えば、ウェーハを安定して支持することができ、また、スリップが発生するのを確実に防ぐことができる。
このようにシリコンウェーハの裏面の周辺部を、外周端部よりも内側でシリコン製の板状の支持体により支持して熱処理を行えば、ウェーハにキズやスリップが発生することをより確実に防ぐことができる。
図1は本発明に係る熱処理用縦型ボートの一例の概略を示している。このボート1は、天板2と底板3との間に4本の支柱4が固定されている。これらの天板2、底板3、及び支柱4の材質は特に限定されるものではないが、1200℃以上の高温熱処理にも耐えられるように耐熱性に優れたものが好ましい。特に支柱4は全てのウェーハWと近接することになるので、耐熱性に優れるほか、シリコンウェーハを汚染しないものとすることが好ましく、炭化ケイ素、窒化ケイ素、または酸化アルミニウム、特に炭化ケイ素が好ましい。
図2は支持部5を拡大して示している。図2に見られるように、ボート1の各支持部5には凹状の嵌め込み部(切り欠き部)8が形成され、嵌め込み部8内に上下の面が平坦な板状の支持体7が配置されている。本発明に係るボートではこのような嵌め込み部8を設けることは必須ではないが、嵌め込み部内に支持体7を配置すれば支持体7がより安定し、ウエーハを搬入あるいは搬出する際に、支持体7が落下することを防止することができる。
なお、支持体7が高すぎると、直上の支持部5との間が狭くなり、ウェーハWを移載し難くなるおそれがあるので、例えば支持体上面7aが、支持部上面5aよりも0.3〜2mm程度高くなるように設定すればよい。
嵌め込み部8と支持体7との間に間隙9a,9bが設けられていれば、支持部5と支持体7との熱膨張率が大きく異なっても、熱処理中、支持体7が嵌め込み部8内でウェーハWの半径方向(水平方向)に移動することができるので、ウェーハWの熱膨張に追従し易くなる。また、支持体7の膨張を確実に吸収することができ、支持体7や支持部5の破損を防ぐことができる。
支持体7と嵌め込み部8との間隙9a,9bは、支持部5(支柱4)の膨張率等を考慮して適宜設定すれば良いが、間隙9a,9bが大きいと支持体7が嵌め込み部8から外れるおそれがある。従って、嵌め込み部8を支持体7の外形寸法より大きくなるように形成し、間隙9a,9bが例えばそれぞれ0.1〜1mm程度となるようにすれば良い。
従って、例えば研磨等により支持体上面7aの表面粗さRaを0.1μm以下とすれば、支持体7の上面7aに急峻な凹凸がなく、ウェーハWと支持体7とが確実に面接触となるので、応力が分散され、ウェーハWの接触面におけるキズやスリップ転位の発生を効果的に防止することができる。この場合、支持体7がシリコン製であるので、その表面粗さは容易に高度に制御することができる。
また、支持体7の下面の表面粗さも上面7aと同様に小さくすれば、嵌め込み部8との接触抵抗が小さくなるため、支持体7は、ウェーハWの半径方向(水平方向)への移動が滑らかになり、熱処理時におけるウェーハWの熱膨張に追従しやすくなる。
例えば、図3(A)、(B)に示したような横溝19aや縦溝19bであれば形成し易く、ウェーハWとの接着を効果的に防止することができる。なお、溝はこれらのパターンに限定されず、網目状、円形状、ウェーハの外周形状に沿った円弧状等の溝パターンとしてもよい。
例えば、チョクラルスキー法により高純度のシリコン単結晶を製造し、この単結晶から支持体7の厚さ分の円板を切り出す。次いで、この円板にイントリンジック・ゲッタリング処理を施し、酸素析出物などのゲッタリングサイトに金属不純物をゲッタリングさせる。その後、ゲッタリグ処理した円板から支持体7を切り出し、エッチング、研磨等を行い、支持体7とする。このように作製した支持体7であれば、金属不純物濃度が極めて小さくなる。従って、高温熱処理下で支持体7がウェーハと接触しても金属不純物の固相拡散が非常に少なく、ウェーハの金属汚染の可能性が極めて小さくなる。
このように、支持体7がシリコン板であるので金属不純物の濃度は容易に低減させることができ、かつ、高度に制御することができる。
なお、使用する縦型炉は特に限定されるものではなく、例えば化学気相成長法(CVD)の処理を行うCVD炉も適用することができる。
(実施例1)
4本の支柱を持つSiC製のウェーハボートの各支持部に図2に示すような嵌め込み部を形成し、単結晶シリコン製の板状ウェーハ支持体を嵌め込むように配置した。そして、支持体の上に直径200mmのシリコンウェーハを載置し、ボート全体で100枚のウェーハを載置した。
その後、ウェーハボートを縦型熱処理炉内に搬入し、1250℃、2時間の熱処理を実施した。
熱処理終了後、100枚のシリコンウェーハのうちボートのほぼ中央に載置した20枚のウェーハを抜き取ってスリップの発生を調査した。その結果、スリップが発生しているウェーハはなかった。
4本の支柱を持つSiC製のウェーハボートのウェーハ支持部上に直径200mmのシリコンウェーハを直接載置した(ボート全体で100枚)。その後、実施例1と同様の条件でシリコンウェーハを熱処理し、熱処理終了後ボートのほぼ中央に載置した20枚のウェーハを抜き取ってスリップの発生を調査した。
その結果、支持部と接触していたウェーハの外周端部の2ヵ所以上で、長さ2cm以上のスリップが全てのウェーハで発生していた。
4本の支柱を持つSiC製のウェーハボートのウェーハ支持部に円筒状のSiC製のコロを配置した。なお、支持部はボートの中心に向けて下方に傾斜するように形成し、また、コロが転落しないように支持部の先端には突起部(ストッパー)を設けた。
そして、コロの上に直径200mmのシリコンウェーハを直接載置し(合計100枚)、実施例1と同様の条件で熱処理を行った。
熱処理終了後、ボートのほぼ中央に載置した20枚のウェーハを抜き取ってスリップの発生を調査した。
その結果、20枚中2枚のウェーハで、SiC製のコロと接触していた部分の1ヶ所以上において長さ2cm以上のスリップが発生していた。
また、支持部の形状等も特に限定されず、例えば図9に示したように支持部35に台形状の嵌め込み部38を設け、断面が台形となる板状の支持体37を配置するようにしても良い。このような形態であれば、支持体37は支持部35から落下し難い一方、外す際には、横方向から容易に取り外すことができる。
5,35…支持部、 5a…支持部上面、 6…溝、 7,37…支持体、
7a…支持体上面、 8,38…嵌め込み部、 9a,9b…間隙、
20…縦型熱処理炉、 W…シリコンウェーハ
Claims (12)
- シリコンウェーハを熱処理する際に、該ウェーハの裏面の周辺部を支持する熱処理用縦型ボートであって、天板と、底板と、前記天板と底板との間に固定された支柱とを有し、該支柱に支持部が形成されており、該支持部にシリコン製の板状の支持体が配置されており、該支持体が前記ウェーハの裏面の周辺部と接して該ウェーハを支持するものであることを特徴とするシリコンウェーハの熱処理用縦型ボート。
- 前記熱処理用縦型ボートが、少なくとも2本の支柱を有し、各支柱の支持部ごとに前記支持体が配置されているものであることを特徴とする請求項1に記載の熱処理用縦型ボート。
- 前記ボートの少なくとも支柱が、炭化ケイ素、窒化ケイ素、または酸化アルミニウムからなるものであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の熱処理用縦型ボート。
- 前記支持体が、熱処理されるべきウェーハの外周端部よりも内側の周辺部を支持するように前記支持部に配置されているものであることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の熱処理用縦型ボート。
- 前記ボートの支持部に凹状の嵌め込み部が形成されており、該嵌め込み部に前記支持体が配置されていて、該支持体の上面が前記支持部の上面より高くなっているものであることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の熱処理用縦型ボート。
- 前記支持部の嵌め込み部と、該嵌め込み部に配置された支持体との間に間隙が設けられていることを特徴とする請求項5に記載の熱処理用縦型ボート。
- 前記支持体の上面における表面粗さが、0.1μm以下であることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の熱処理用縦型ボート。
- 前記支持体の上面に溝パターンが形成されているものであることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の熱処理用縦型ボート。
- 前記支持体の金属不純物濃度が、1×1010atoms/cm3以下であることを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載の熱処理用縦型ボート。
- 前記支持体が、ゲッタリング処理されたものであることを特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載の熱処理用縦型ボート。
- シリコンウエーハを熱処理する方法であって、前記請求項1ないし請求項10のいずれか1項に記載された熱処理用縦型ボートを用い、シリコンウエーハの裏面の周辺部が前記ボートの支持部に配置された支持体と接するようにして該ウェーハを支持して熱処理を行うことを特徴とするシリコンウエーハの熱処理方法。
- シリコンウエーハを熱処理する方法であって、支柱に支持部が形成されており、該支持部にシリコン製の板状の支持体を配置した熱処理用縦型ボートを用い、前記ウェーハの裏面の周辺部を、外周端部よりも内側で前記支持体により支持して熱処理を行うことを特徴とするシリコンウエーハの熱処理方法。
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Effective date: 20101130 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 |