JP4029611B2 - ウェーハ支持具 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ウェーハに熱処理を施す際にウェーハを搭載するウェーハ支持具に関し、特に大口径ウェーハの熱処理中に発生するスリップを防止することができるウェーハ支持具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、シリコンウェーハ等の被処理基板を熱処理する際にそのシリコンウェーハを支持するウェーハ支持具として、3点ウェーハ支持具やリング状ウェーハ支持具等が知られている。
3点ウェーハ支持具は、図12(a)及び図12(b)に示すように、円板状の支持板1の上面側に上端が先細に形成されたピン状の突起2を3本同一高さに立設し、この突起2の上端縁にウェーハ3を載せてウェーハ3を水平に支持するものである。しかしこの3点支持具にウェーハ3を水平に支持して熱処理をした場合、支持突起2により支持した部分にウェーハ3自体の自重が付加されるため、熱処理時に起きるウェーハ3の反りや熱膨張の差によりウェーハ3と突起2との間に滑り摩擦を生じたり、ウェーハ3の自重の集中する部分に歪みを生じたりするため、その各支持突起2により支持された部分にスリップが生じ、歩留りが低下する問題点があった。
【0003】
リング状ウェーハ支持具は、図13(a)及び図13(b)に示すように、リング状の支持体4の上面に形成された水平部4aにウェーハ5を載せてウェーハを水平に支持するものである。しかし、リング状ウェーハ支持具にウェーハを水平に支持して熱処理をした場合、主としてウェーハ5の周縁領域下面を支持するようになっているため、ウェーハ5の中央領域が自重で下方に撓み易く、この撓みによる応力で特に高温熱処理時に支持されているウェーハ5の周縁領域下面にスリップが発生し易くなり、歩留りの低下を余儀なくされる問題があった。このような問題は、特にウェーハ5の口径(直径)が例えば12インチと大きくなるほど大きな問題になることが指摘されている。
そこで一般にリング状ウェーハ支持具には、熱処理によるウェーハの高温変形時の接触面近傍の応力を緩和する目的のため、図14(a)及び図14(b)に示すように、支持体6の上面には、ウェーハ7が接触する平坦面8aとこの平坦面8aに続いて支持体6の軸線6aに向かって下向きに穏やかに傾斜する傾斜面8bが形成されている。上面に平坦面8aと傾斜面8bが形成されたウェーハ支持具の上にウェーハ7を載せて熱処理を施すと、ウェーハ7はその自重により撓み、傾斜面8bが接触面になるようにして、ウェーハ支持具に支持される。なお、図14の符号9は平坦面8aと傾斜面8bとが交わる部分である。
【0004】
一方、図15に示すように、ウェーハ支持具は、CVD法によりSiCを堆積して形成される場合は、例えば、ウェーハ支持具と同一形状に形成されたカーボン基材上にCVD法にてSiCを堆積していき、このSiCが所定の厚さになったときに上記カーボン基材を焼失することにより、所定の形状に形成される。CVD法により形成されたウェーハ支持具のその表面にはCVD法処理時の粒成長等により発生した凹凸が存在する。そのため従来では、図16に示すように、ウェーハ支持具のウェーハとの接触面である平坦面は、平面加工(平面研磨や平面研削等)して平滑にされていた。平坦面を平面加工したウェーハ支持具の上にウェーハを載せると、図17に示すように、平坦面に存在する凹凸は平面加工して平滑にされているため、ウェーハ裏面のウェーハ支持具との接触面にはスリップは生じない。しかし熱処理を施すと、図18に示すように、ウェーハは加熱による熱応力やウェーハ自体の自重により撓んで、ウェーハ支持具との接触面が移り変わり、研削や研磨処理されていない鋭いエッジを有する内周縁部がその接触面となるため、この鋭いエッジによりウェーハ裏面の内周縁部に傷が付き、そこからスリップを生じてしまう問題があった。
【0005】
そこで本出願人らは熱処理時にウェーハ裏面に発生するスリップを抑制できる構造を有するウェーハ保持具を提案した(国際公開番号WO 01/18856 A1)。
この公報では、ウェーハ保持具の保持具本体が切欠きのない円板上に形成され、この保持具本体にこの保持具本体の軸線を中心に円周方向に延びかつ上方に突出するリング状の突起が形成され、ウェーハがリング状突起の上面に接触して保持具本体に載るように構成されている。リング状突起の上面には、CVD処理時の粒成長等により発生した凸部が存在するため、この凸部を平面加工することにより、凸部を除去して平滑にする。リング状突起の上面を平面加工することによりリング状突起上面の周縁が鋭いエッジとなるため、リング状突起の上面を平面加工した後に、このリング状突起上面の周縁を面取りすることにより、鋭いエッジを除去し、ウェーハに突起上面の周縁に起因したスリップを抑制していた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記公報に示されるウェーハ保持具では、図19に示すように、突起上面を平面加工して平坦面とした後に突起上面の周縁を面取りするため、平坦面と面取りされた周縁が連続した面とならず段差を生じてしまうおそれがあった。平坦面と周縁との間に段差が形成されると、熱処理時にウェーハ保持具とウェーハの間に滑りを生じる時に、この段差によりウェーハ裏面の接触部分にスリップが発生してしまう問題がある。
また、図20に示すように、面取りされた周縁の面状態が悪く、表面粗さが大きいと、平坦面と面取りされた周縁との表面粗さに大きな差が生じてしまい、熱処理時にウェーハ保持具とウェーハの間に滑りを生じる時に、ウェーハ裏面の保持具との接触面に、面取りされた周縁の表面粗さに起因したスリップが発生するおそれもあった。
【0007】
本発明の目的は、熱処理時の加熱によって生じるウェーハの撓みによる支持具本体との接触面の移動に起因するスリップの発生を抑制し得るウェーハ支持具を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、図2又は図3に示すように、円板状の支持具本体22と、支持具本体22の上面にその軸線22aを中心に円周方向に延びかつ上方に突出してリング状又は1又は2以上の円弧状に形成された突起23とを備え、突起23が熱処理前のウェーハ29が接触する平坦面24と、平坦面24から支持具本体22の軸線22aに向って下向きに傾斜して支持具本体22の非突出面26に続く第1傾斜面27とを有し、突起23を介して支持具本体22の上面にウェーハ29を載せて熱処理されるウェーハ支持具の改良である。
その特徴ある構成は、図1に示すように、平坦面24と第1傾斜面27とが交わる部分に平坦面24と第1傾斜面27とに連続する第1丸味28が形成され、平坦面24の平均表面粗さRa0と第1丸味28の平均表面粗さRa1がそれぞれ0.8〜3.0μmの範囲であり、かつRa 0 とRa 1 との差が0.8〜3.0μmの範囲であるところにある。
請求項1に係る発明では、平坦面24と第1傾斜面27とに連続する第1丸味28を形成したため、熱処理時の加熱によってウェーハ29が撓んで接触面が平坦面24から移り変わっても、この第1丸味28によりウェーハ29裏面の支持具との接触面にスリップを生じることがなく、更に、連続する平坦面24の平均表面粗さRa0と第1丸味28の平均表面粗さRa1をそれぞれ0.8〜3.0μmの範囲としたため、加熱時におけるウェーハ支持具13とウェーハ29の熱膨張係数の相違により、ウェーハ支持具13とウェーハ29の間に滑りが生じても、ウェーハ29裏面に滑りに起因するスリップを生じることはない。平坦面24の平均表面粗さRa0と第1丸味28の平均表面粗さRa1はそれぞれ0.8〜3.0μmである。下限値未満では、ウェーハ支持具の研磨研削加工が難しく、上限値を越えると、ウェーハ裏面のウェーハ支持具との接触面にスリップを生じる。
【0009】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明であって、図8又は図9に示すように、突起23が1又は2以上の円弧状に形成され、円弧状の突起23の両端がそれぞれ熱処理前のウェーハ29が接触する平坦面24と、平坦面24から支持具本体22の円周方向に向って下向きに傾斜して支持具本体22の非突出面26に続く第2傾斜面31とを有し、平坦面24と第2傾斜面31とが交わる部分に平坦面24と第2傾斜面31とに連続する第2丸味32が形成され、平坦面24の平均表面粗さRa0と第2丸味32の平均表面粗さRa2がそれぞれ0.8〜3.0μmの範囲であるウェーハ支持具である。
この請求項2に係る発明では、円弧状の突起23の両端に平坦面24と第2傾斜面31とに連続する第2丸味32を形成したため、熱処理時の加熱によってウェーハ29が撓んでも、この第2丸味32によりウェーハ29裏面のウェーハ支持具との接触面にスリップを生じることがなく、更に、連続する平坦面24の平均表面粗さRa0と第2丸味32の平均表面粗さRa2をそれぞれ0.8〜3.0μmの範囲としたため、加熱時におけるウェーハ支持具13とウェーハ29の熱膨張係数の相違により、ウェーハ支持具とウェーハの間に滑りが生じても、ウェーハ29裏面に滑りに起因するスリップを生じることはない。平坦面24の平均表面粗さRa0と第2丸味32の平均表面粗さRa2はそれぞれ0.8〜3.0μmである。下限値未満では、ウェーハ支持具の研磨研削加工が難しく、上限値を越えると、ウェーハ裏面のウェーハ支持具との接触面にスリップを生じる。
【0010】
請求項3に係る発明は、図2又は図3に示すように、円板状の支持具本体22と、支持具本体22の上面にその軸線22aを中心に円周方向に延びかつ上方に突出してリング状又は1又は2以上の円弧状に形成された突起23とを備え、突起23が熱処理前のウェーハ29が接触する平坦面24と、平坦面24から支持具本体22の軸線22aに向って平坦面24に対して下向きに傾斜する第3傾斜面33と、第3傾斜面33から更に支持具本体22の軸線22aに向って下向きに傾斜して支持具本体22の非突出面26に続く第4傾斜面34とを有し、突起23を介して支持具本体22の上面にウェーハ29を載せて熱処理されるウェーハ支持具の改良である。
その特徴ある構成は、図10に示すように、第3傾斜面33と第4傾斜面34とが交わる部分に第3傾斜面33と第4傾斜面34とに連続する第3丸味36が形成され、平坦面24の平均表面粗さRa0と第3傾斜面33の平均表面粗さRa3と第3丸味36の平均表面粗さRa4がそれぞれ0.8〜3.0μmの範囲であるところにある。
請求項3に係る発明では、第3傾斜面33と第4傾斜面34とに連続する第3丸味36を形成したため、熱処理時の加熱によってウェーハ29が撓んで接触面が移り変わっても、この第3丸味36によりウェーハ29裏面の支持具との接触面にスリップを生じることがなく、更に、連続する平坦面24の平均表面粗さRa0と第3傾斜面33の平均表面粗さRa3と第3丸味36の平均表面粗さRa4をそれぞれ0.8〜3.0μmの範囲としたため、加熱時におけるウェーハ支持具13とウェーハ29の熱膨張係数の相違により、ウェーハ支持具13とウェーハ29の間に滑りが生じても、ウェーハ29裏面に滑りに起因するスリップを生じることはない。平坦面24の平均表面粗さRa0と第3傾斜面33の平均表面粗さRa3と第3丸味36の平均表面粗さRa4はそれぞれ0.8〜3.0μmである。下限値未満では、ウェーハ支持具の研磨研削加工が難しく、上限値を越えると、ウェーハ裏面のウェーハ支持具との接触面にスリップを生じる。
【0011】
請求項4に係る発明は、請求項3に係る発明であって、図11に示すように、突起23が1又は2以上の円弧状に形成され、円弧状の突起23の両端がそれぞれ熱処理前のウェーハ29が接触する平坦面24と、平坦面24から支持具本体22の円周方向に向って平坦面24に対して下向きに傾斜する第5傾斜面37と、第5傾斜面37から支持具本体22の円周方向に向って下向きに傾斜して支持具本体22の非突出面26に続く第6傾斜面38とを有し、第5傾斜面37と第6傾斜面38とが交わる部分に第5傾斜面37と第6傾斜面38とに連続する第4丸味39が形成され、平坦面24の平均表面粗さRa0と第5傾斜面37の平均表面粗さRa5と第4丸味39の平均表面粗さRa6がそれぞれ0.8〜3.0μmの範囲であるウェーハ支持具である。
この請求項4に係る発明では、円弧状の突起23の両端に第5傾斜面37と第6傾斜面38とに連続する第4丸味39を形成したため、熱処理時の加熱によってウェーハ29が撓んでも、この第4丸味39によりウェーハ29裏面のウェーハ支持具との接触面にスリップを生じることがなく、更に、連続する平坦面24の平均表面粗さRa0と第5傾斜面37の平均表面粗さRa5と第4丸味39の平均表面粗さRa6をそれぞれ0.8〜3.0μmの範囲としたため、加熱時におけるウェーハ支持具13とウェーハ29の熱膨張係数の相違により、ウェーハ支持具とウェーハの間に滑りが生じても、ウェーハ29裏面に滑りに起因するスリップを生じることはない。平坦面24の平均表面粗さRa0と第5傾斜面37の平均表面粗さRa5と第4丸味39の平均表面粗さRa6はそれぞれ0.8〜3.0μmの範囲である。下限値未満では、ウェーハ支持具の研磨研削加工が難しく、上限値を越えると、ウェーハ裏面のウェーハ支持具との接触面にスリップを生じる。
【0012】
【発明の実施の形態】
第1の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1〜図4に本発明のウェーハ支持具13を備えた縦型の熱処理炉10を示す。この縦型の熱処理炉10は鉛直方向に延びるSiC製の反応管11と、この反応管11内に所定の間隔をあけて立設されかつSiCにより形成された棒状の複数の支持柱12と、複数の支持柱12に長手方向に所定の間隔をあけてそれぞれ形成されかつウェーハ支持具13の外周縁を遊挿可能な多数の支持具用凹溝14とを備える(図3)。反応管11の外周面は均熱管16を介して筒状のヒータ17により覆われる。支持柱12はベース18及び保温筒19を介してボートキャップ21に立設される。また複数の支持柱12はこの実施の形態では4本であり、同一半円上に等間隔に設けられる。この支持柱12は熱処理時の高熱により支持柱12自体の変形を防止するため、及びパーティクル等が発生して反応管11内を汚染するのを防止するために、SiCにより形成される。
【0013】
図2に示すように、ウェーハ支持具13は円板状に形成された支持具本体22と、この支持具本体22の上面にその軸線22aを中心に円周方向に延びかつ上方に突出したリング状又は1又は2以上の円弧状に形成された突起23からなり、支持具本体22と突起23はそれぞれSiCにより形成される。材質はSiCに限らず、シリコンや石英等を用いてウェーハ支持具を形成してもよい。突起23は熱処理前のウェーハが接触する平坦面24と、平坦面24から支持具本体22の軸線22aに向って下向きに傾斜して支持具本体22の非突出面26に続く第1傾斜面27とを有する。平坦面24と第1傾斜面27とが交わる部分に平坦面24と第1傾斜面27とに連続する第1丸味28が形成され、平坦面24の平均表面粗さRa0と第1丸味28の平均表面粗さRa1がそれぞれ0.8〜3.0μmの範囲である。
また、Ra0とRa1は、Ra0とRa1との差が0.8〜3.0μmの範囲となるように形成される。Ra0とRa1の差が下限値未満では、ウェーハ支持具の研磨研削加工が難しく、上限値を越えると、熱処理時にウェーハ支持具13とウェーハ29の間に滑りが生じたときウェーハ裏面のウェーハ支持具との接触面にスリップを生じる。ウェーハ支持具13を構成する支持具本体22は複数の支持柱12の同一水平面内に位置する支持具用凹溝14の下部水平面に載り、被処理基板であるシリコンウェーハ29の下面は突起23の平坦面24に載せられ、そのウェーハ29はウェーハ支持具13により水平に支持されるように構成される。なお、図3の符号29aはシリコンウェーハ29の結晶方位を示すためのオリエンテーションフラットであり、シリコンウェーハ29の外周縁の所定の位置に形成される。
【0014】
このように構成されたウェーハ支持具13にウェーハ29を載せた後、そのウェーハ支持具13をウェーハ29とともに熱処理炉10まで搬送し、ウェーハ支持具13を構成する支持具本体22の外周縁を支持柱12の同一水平面内の支持具用凹溝14に挿入してこれらの支持具用凹溝14の下部水平面に載せる。これでウェーハ支持具13に載せたウェーハ29の熱処理炉10への収容作業が完了する。その後熱処理炉10を稼働すると、熱処理炉10内の温度はヒータ17により1000℃以上に上昇する。ウェーハ29は加熱による熱応力や、その自重により撓む。撓んだウェーハ29とウェーハ支持具13との接触面は、平坦面24から移り変わるが、平坦面24と第1傾斜面27とが交わる部分に平坦面24と第1傾斜面27とに連続する第1丸味28を形成したため、この第1丸味28が接触面の移動を段階的に生じさせ、接触面の移動における応力を分散でき、ウェーハ29に接触面の移動に伴う急激な応力を付加させない。更に、熱処理時にウェーハ支持具13とウェーハ29の間に滑りが生じても、接触面となる平坦面24の平均表面粗さRa0と第1丸味28の平均表面粗さRa1をそれぞれ0.8〜3.0μmの範囲としたため、ウェーハ29裏面に滑りに起因するスリップは発生しない。
【0015】
本発明のウェーハ支持具は、平坦面24と第1傾斜面27とに連続する第1丸味28を形成したため、熱処理時の高熱によりウェーハ29が撓んでも、従来のウェーハ支持具のように、内周縁部が鋭いエッジではないため、ウェーハ29の撓みによる支持具本体22との接触面の移り変わりに伴うエッジに起因したスリップ等の傷を生じない。支持具上面に存在する凹凸を研削研磨加工して連続する平坦面24と第1丸味28の表面を平滑にし、平坦面24の平均表面粗さRa0と第1丸味28の平均表面粗さRa1をそれぞれ0.8〜3.0μmの範囲としたため、ウェーハ支持具13とウェーハ29の間に滑りが生じても、ウェーハ29裏面に滑りに起因する傷を生じることがない。ここで平均表面粗さ(average roughness;Ra)は表面高さziの絶対値を用い、次の式(1)により定義される。
【0016】
【数1】
平坦面24の平均表面粗さRa0と第1丸味28の平均表面粗さRa1は、原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscope;AFM)や走査型トンネル顕微鏡(Scanning Tunneling Microscope;STM)によりそれぞれ測定される。熱処理炉10内でのウェーハ29の熱処理が終了すると、ウェーハ支持具13をウェーハ29とともに熱処理炉10から取出し、そのウェーハ支持具13から図示しないロボットアームにより熱処理済みのウェーハ29を次の処理工程に移送する。
【0017】
次に、本発明の第2の実施の形態を図8及び図9に基づいて説明する。図8及び図9において、図1及び図3と同一符号は同一構成要素を示す。この実施の形態では、次の点が上述した実施の形態と相違する。即ち、突起23が1又は2以上の円弧状に形成され、この円弧状の突起23の両端がそれぞれ平坦面24と、平坦面24から支持具本体22の円周方向に向って下向きに傾斜して支持具本体の非突出面26に続く第2傾斜面31とを有する。平坦面24と第2傾斜面31とが交わる部分に平坦面24と第2傾斜面31とに連続する第2丸味32が形成される。平坦面24の平均表面粗さRa0と第2丸味32の平均表面粗さRa2がそれぞれ0.8〜3.0μmの範囲である。上記以外の構成は第1の実施の形態と同様である。
第1の実施の形態と比較して、第2の実施の形態では、円弧状の突起23の両端に平坦面24と第2傾斜面31とに連続する第2丸味32を形成したため、熱処理時の加熱によってウェーハ29が撓んでも、この第2丸味32によりウェーハ29裏面のウェーハ支持具との接触面にスリップを生じることがなく、更に、連続する平坦面24の平均表面粗さRa0と第2丸味32の平均表面粗さRa2をそれぞれ0.8〜3.0μmの範囲内としたため、加熱時におけるウェーハ支持具13とウェーハ29の熱膨張係数の相違により、滑りが生じても、ウェーハ29裏面に滑りに起因する傷を生じることがない。
【0018】
また、Ra0とRa2は、Ra0とRa2との差が0.8〜3.0μmの範囲となるように形成される。Ra0とRa2との差が下限値未満では、ウェーハ支持具の研磨研削加工が難しく、上限値を越えると、熱処理時にウェーハ支持具13とウェーハ29の間に滑りが生じたときウェーハ裏面のウェーハ支持具との接触面にスリップを生じる。
【0019】
次に、本発明の第3の実施の形態を図10に基づいて説明する。図10において、図1と同一符号は同一構成要素を示す。この実施の形態では、次の点が上述した実施の形態と相違する。即ち、突起23が平坦面24と、平坦面24から支持具本体22の軸線22aに向って平坦面24に対して下向きに傾斜する第3傾斜面33と、第3傾斜面33から更に支持具本体22の軸線22aに向って下向きに傾斜して支持具本体22の非突出面26に続く第4傾斜面34とを有する。第3傾斜面33と第4傾斜面34とが交わる部分に第3傾斜面33と第4傾斜面34とに連続する第3丸味36が形成される。平坦面24の平均表面粗さRa0と第3傾斜面33の平均表面粗さRa3と第3丸味36の平均表面粗さRa4がそれぞれ0.8〜3.0μmの範囲である。上記以外の構成は第1の実施の形態と同様である。
第1の実施の形態と比較して、第3の実施の形態では、第3傾斜面33と第4傾斜面34とに連続する第3丸味36を形成したため、熱処理時の加熱によってウェーハ29が撓んで接触面が移り変わっても、この第3丸味36によりウェーハ29裏面の支持具との接触面にスリップを生じることがなく、更に、連続する平坦面24の平均表面粗さRa0と第3傾斜面33の平均表面粗さRa3と第3丸味36の平均表面粗さRa4をそれぞれ0.8〜3.0μmの範囲としたため、加熱時におけるウェーハ支持具13とウェーハ29の熱膨張係数の相違により、ウェーハ支持具13とウェーハ29の間に滑りが生じても、ウェーハ29裏面に滑りに起因する傷を生じることはない。
【0020】
また、Ra0、Ra3及びRa4は、Ra0、Ra3及びRa4の三者の中で最大値と最小値の差が0.8〜3.0μmの範囲となるように形成される。Ra0、Ra3及びRa4の三者の中で最大値と最小値の差が下限値未満では、ウェーハ支持具の研磨研削加工が難しく、上限値を越えると、熱処理時にウェーハ支持具13とウェーハ29の間に滑りが生じたときウェーハ裏面のウェーハ支持具との接触面にスリップを生じる。
【0021】
次に、本発明の第4の実施の形態を図11に基づいて説明する。図11において、図8と同一符号は同一構成要素を示す。この実施の形態では、次の点が上述した実施の形態と相違する。即ち、突起23が1又は2以上の円弧状に形成され、円弧状の突起23の両端がそれぞれ平坦面24と、平坦面24から支持具本体22の円周方向に向って平坦面24に対して下向きに傾斜する第5傾斜面37と、第5傾斜面37から支持具本体22の円周方向に向って下向きに傾斜して支持具本体22の非突出面26に続く第6傾斜面38とを有する。第5傾斜面37と第6傾斜面38とが交わる部分に第5傾斜面37と第6傾斜面38とに連続する第4丸味39が形成され、平坦面24の平均表面粗さRa0と第5傾斜面37の平均表面粗さRa5と第4丸味39の平均表面粗さRa6がそれぞれ0.8〜3.0μmの範囲である。上記以外の構成は第2の実施の形態と同様である。
第2の実施の形態と比較して、第4の実施の形態では、円弧状の突起23の両端に第5傾斜面37と第6傾斜面38とに連続する第4丸味39を形成したため、熱処理時の加熱によってウェーハ29が撓んでも、この第4丸味39によりウェーハ29裏面のウェーハ支持具との接触面にスリップを生じることがなく、更に、連続する平坦面24の平均表面粗さRa0と第5傾斜面37の平均表面粗さRa5と第4丸味39の平均表面粗さRa6をそれぞれ0.8〜3.0μmの範囲としたため、加熱時におけるウェーハ支持具13とウェーハ29の熱膨張係数の相違により、ウェーハ支持具とウェーハの間に滑りが生じても、ウェーハ29裏面に滑りに起因するスリップを生じることはない。
【0022】
また、Ra0、Ra5及びRa6は、Ra0、Ra5及びRa6の三者の中で最大値と最小値の差が0.8〜3.0μmの範囲となるように形成される。Ra0、Ra5及びRa6の三者の中で最大値と最小値の差が下限値未満では、ウェーハ支持具の研磨研削加工が難しく、上限値を越えると、熱処理時にウェーハ支持具13とウェーハ29の間に滑りが生じたときウェーハ裏面のウェーハ支持具との接触面にスリップを生じる。
なお本実施の形態では、縦型の熱処理炉を示したが、ウェーハを一枚ずつ処理する枚葉式の熱処理炉でもよい。
【0023】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明のウェーハ支持具は、円板状の支持具本体と、支持具本体の上面にその軸線を中心に円周方向に延びかつ上方に突出してリング状又は1又は2以上の円弧状に形成された突起とを備え、突起が熱処理前のウェーハが接触する平坦面と、平坦面から支持具本体の軸線に向って下向きに傾斜して支持具本体の非突出面に続く第1傾斜面とを有し、平坦面と第1傾斜面とが交わる部分に平坦面と第1傾斜面とに連続する第1丸味を形成し、平坦面の平均表面粗さRa0と第1丸味の平均表面粗さRa1がそれぞれ0.8〜3.0μmの範囲である。平坦面と第1傾斜面とに連続する第1丸味を形成したため、熱処理時の加熱によってウェーハが撓んで接触面が平坦面から移り変わっても、この第1丸味によりウェーハ裏面の支持具との接触面にスリップを生じることがなく、更に、連続する平坦面の平均表面粗さRa0と第1丸味の平均表面粗さRa1をそれぞれ0.8〜3.0μmの範囲としたため、加熱時におけるウェーハ支持具とウェーハの熱膨張係数の相違により、ウェーハ支持具とウェーハの間に滑りが生じても、ウェーハ裏面に滑りに起因するスリップを生じることはない。従って、熱処理時の加熱によって生じるウェーハの撓みによる支持具本体との接触面の移動に起因するスリップの発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明第1実施形態のウェーハ支持具の部分拡大断面図。
【図2】図3のA−A線断面図。
【図3】図4のB−B線断面図。
【図4】そのウェーハ支持具を含む熱処理炉の断面構成図。
【図5】図1のウェーハ支持具の連続研磨面の表面状態を示す部分拡大断面図。
【図6】図5のウェーハ支持具の上にウェーハを載せた状態を示す図。
【図7】図6の加熱時におけるウェーハとウェーハ支持具との接触状態を示す図。
【図8】図9のC−C線断面図。
【図9】本発明第2実施形態の突起が1又は2以上の円弧状に形成されたウェーハ支持具の平面図。
【図10】本発明第3実施形態のウェーハ支持具の図1に対応する部分拡大断面図。
【図11】本発明第4実施形態のウェーハ支持具の図8に対応する部分拡大断面図。
【図12】 (a)複数の支持突起でウェーハを支持する従来のウェーハ支持具の平面図。
(b)その従来のウェーハ支持具を示す(a)のC−C線断面図。
【図13】 (a)上面の水平部でウェーハを支持する従来のウェーハ支持具の平面図。
(b)その従来のウェーハ支持具の縦断面図。
【図14】 (a)上面の水平部でウェーハを支持する従来の別のウェーハ支持具の平面図。
(b)その従来のウェーハ支持具の縦断面図。
【図15】CVD法により形成されたウェーハ支持具の表面状態を示す部分断面図。
【図16】上面が研磨された従来のウェーハ支持具の表面状態を示す部分断面図。
【図17】図16のウェーハ支持具の上にウェーハを載せた状態を示す断面図。
【図18】図17の加熱時におけるウェーハとウェーハ支持具との接触状態を示す断面図。
【図19】平坦面と面取りされた周縁が交わる部分に段差が形成されたウェーハ支持具の表面状態を示す断面図。
【図20】平坦面と面取りされた周縁の平均表面粗さの差が大きいウェーハ支持具の表面状態を示す別の断面図。
【符号の説明】
22 支持具本体
22a 軸線
23 突起
24 平坦面
26 非突出面
27 第1傾斜面
28 第1丸味
29 シリコンウェーハ
31 第2傾斜面
32 第2丸味
33 第3傾斜面
34 第4傾斜面
36 第3丸味
37 第5傾斜面
38 第6傾斜面
39 第4丸味
Claims (4)
- 円板状の支持具本体(22)と、前記支持具本体(22)の上面にその軸線(22a)を中心に円周方向に延びかつ上方に突出してリング状又は1又は2以上の円弧状に形成された突起(23)とを備え、
前記突起(23)が熱処理前のウェーハ(29)が接触する平坦面(24)と、前記平坦面(24)から前記支持具本体(22)の軸線(22a)に向って下向きに傾斜して前記支持具本体(22)の非突出面(26)に続く第1傾斜面(27)とを有し、
前記突起(23)を介して前記支持具本体(22)の上面に前記ウェーハ(29)を載せて熱処理されるウェーハ支持具において、
前記平坦面(24)と前記第1傾斜面(27)とが交わる部分に前記平坦面(24)と前記第1傾斜面(27)とに連続する第1丸味(28)が形成され、
前記平坦面(24)の平均表面粗さRa0と前記第1丸味(28)の平均表面粗さRa1がそれぞれ0.8〜3.0μmの範囲であり、かつRa 0 とRa 1 との差が0.8〜3.0μmの範囲であることを特徴とするウェーハ支持具。 - 突起(23)が1又は2以上の円弧状に形成され、前記円弧状の突起(23)の両端がそれぞれ熱処理前のウェーハ(29)が接触する平坦面(24)と、前記平坦面(24)から前記支持具本体(22)の円周方向に向って下向きに傾斜して前記支持具本体(22)の非突出面(26)に続く第2傾斜面(31)とを有し、
前記平坦面(24)と前記第2傾斜面(31)とが交わる部分に前記平坦面(24)と前記第2傾斜面(31)とに連続する第2丸味(32)が形成され、
前記平坦面(24)の平均表面粗さRa0と前記第2丸味(32)の平均表面粗さRa2がそれぞれ0.8〜3.0μmの範囲であり、かつRa 0 とRa 2 との差が0.8〜3.0μmの範囲である請求項1記載のウェーハ支持具。 - 円板状の支持具本体(22)と、前記支持具本体(22)の上面にその軸線(22a)を中心に円周方向に延びかつ上方に突出してリング状又は1又は2以上の円弧状に形成された突起(23)とを備え、
前記突起(23)が熱処理前のウェーハ(29)が接触する平坦面(24)と、前記平坦面(24)から前記支持具本体(22)の軸線(22a)に向って前記平坦面(24)に対して下向きに傾斜する第3傾斜面(33)と、前記第3傾斜面(33)から更に前記支持具本体(22)の軸線(22a)に向って下向きに傾斜して前記支持具本体(22)の非突出面(26)に続く第4傾斜面(34)とを有し、
前記突起(23)を介して前記支持具本体(22)の上面に前記ウェーハ(29)を載せて熱処理されるウェーハ支持具において、
前記第3傾斜面(33)と前記第4傾斜面(34)とが交わる部分に前記第3傾斜面(33))と前記第4傾斜面(34)とに連続する第3丸味(36)が形成され、
前記平坦面(24)の平均表面粗さRa0と前記第3傾斜面(33)の平均表面粗さRa3と前記第3丸味(36)の平均表面粗さRa4がそれぞれ0.8〜3.0μmの範囲であり、かつRa 0 、Ra 3 及びRa 4 の三者の中で最大値と最小値の差が0.8〜3.0μmの範囲であることを特徴とするウェーハ支持具。 - 突起(23)が1又は2以上の円弧状に形成され、前記円弧状の突起(23)の両端がそれぞれ熱処理前のウェーハ(29)が接触する平坦面(24)と、前記平坦面(24)から前記支持具本体(22)の円周方向に向って前記平坦面(24)に対して下向きに傾斜する第5傾斜面(37)と、前記第5傾斜面(37)から前記支持具本体(22)の円周方向に向って下向きに傾斜して前記支持具本体(22)の非突出面(26)に続く第6傾斜面(38)とを有し、
前記第5傾斜面(37)と前記第6傾斜面(38)とが交わる部分に前記第5傾斜面(37)と前記第6傾斜面(38)とに連続する第4丸味(39)が形成され、
前記平坦面(24)の平均表面粗さRa0と前記第5傾斜面(37)の平均表面粗さRa5と前記第4丸味(39)の平均表面粗さRa6がそれぞれ0.8〜3.0μmの範囲であり、かつRa 0 、Ra 5 及びRa 6 の三者の中で最大値と最小値の差が0.8〜3.0μmの範囲である請求項3記載のウェーハ支持具。
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