JP2005202349A - 光反射体およびそれを用いた面光源装置 - Google Patents

光反射体およびそれを用いた面光源装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 加工性と光学特性に優れた光反射体を提供すること。
【解決手段】 熱可塑性樹脂とフィラーを含有し、少なくとも1軸方向に延伸され、かつ面積延伸倍率が1.3〜80倍である基材層(A)と熱可塑性樹脂を含む層(B)よりなる積層フィルムを有し、全光線反射率が95%以上、表面強度が250g以上、かつ散乱係数Sが0.5以上であることを特徴とする光反射体。
【選択図】 なし

Description

本発明は、面光源装置に使用される光反射板、リフレクターおよび各種照明器具に用いられる光反射用の部材として有用であって、各種加工を行っても表面の損傷が起こりにくく、加工適性に優れている光反射体及び該光反射体を用いた面光源装置に関するものである。
内蔵式光源を配置したバックライト型の液晶ディスプレイが広く普及している。バックライト型の内蔵光源のうち、直下式バックライトの典型的な構成は図1に示すとおりであり、構造体兼光反射体の役割を果たすハウジング11、拡散板14、そして冷陰極ランプ15などの光源からなる。サイドライト式バックライトの典型的な構成は図2に示すとおりであり、透明なアクリル板13に網点印刷12を行った導光板、光反射体11、拡散板14、そして冷陰極ランプ15などの光源からなる。何れも光源からの光を光反射体で反射させて、拡散板で均一面状の光を形成する。近年照明光源も高出力化や光源ランプ数の増加などの改良が図られてきている。表示物の大型化に伴い輝度向上のため、光源は図1,図2に示すように複数個設置される場合もある。
従来から、本用途の光反射体には白色ポリエステルフィルムが使用されることが多かった(例えば特許文献1)。ところが、白色ポリエステルフィルムを用いた光反射体の場合、近年の光量の増加、またランプからの熱による雰囲気温度の高温化により、光反射体の色調の変化(黄変)が問題になることがあり、より変色の少ない素材が求められるようになっていた。
そこで近年、白色ポリオレフィンフィルムを用いた光反射体が提案されている(例えば特許文献2および3)。白色ポリオレフィンフィルムを用いた光反射体は、白色ポリエステルフィルムを用いた光反射体に比べて色調の変化が少ない(例えば特許文献4および5)が、その一方で、金属や他の板材に貼合し各種成形加工する場合に、貼合部分の破壊による浮き、脱落などが発生するという問題が生じていた。また、場合によっては表面を保護するための保護テープを使用しても、その粘着力により白色ポリオレフィンフィルムの表面が剥がれてしまう等の問題が発生することも明らかになった。
また表示物の大型化に伴い輝度向上の要望が高まり、従来の白色ポリエステルフィルムや白色ポリオレフィンフィルムでは十分ではなく、より高輝度な光反射体が求められている。
特開平4−239540号公報 特開平6−298957号公報 特開2002−31704号公報 特開平8−262208号公報 WO 03/014778号公報
本発明は、高輝度であり、かつ各種板材に貼合して成形を行っても、貼合した板材からの浮き、脱落、剥がれ等を発生しにくくて加工適性に優れた光反射体を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、光反射体としての反射特性に優れる熱可塑性樹脂とフィラーを含有した積層フィルムであって、表面強度が250g以上、散乱係数Sが0.5以上などの特定の特性を付与することにより、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は熱可塑性樹脂とフィラーを含有し、少なくとも1軸方向に延伸され、かつ面積延伸倍率が1.3〜80倍である基材層(A)と熱可塑性樹脂を含む層(B)よりなる積層フィルムを有し、全光線反射率が95%以上、表面強度が250g以上、かつ式(1)で表される散乱係数Sが0.5以上であることを特徴とする光反射体である。
100 × R1
散乱係数S = ――――――――――――――――― 式(1)
(100−R1) × TA × P
(上式において、R1は波長550nmでの反射率、TAは基材層(A)の肉厚[単位μm]、Pは式(2)で表される空孔率[単位%]である)
ρ0−ρ
空孔率P = ―――――――― × 100 式(2)
ρ0
(上式において、ρ0は積層フィルムの真密度であり、ρは積層フィルムの密度である)
本発明の積層フィルムは、輝度が1380cd/m2以上であることが好ましく、波長450nmでの反射率R2が98%以上、拡散反射率が93%以上であることが好ましく、熱可塑性樹脂を含む層(B)の肉厚が2μm以上であることが好ましく、基材層(A)のフィラー濃度が5〜75重量%であり、該フィラーが平均粒径0.05〜1.5μmの無機フィラー及び/又は平均分散粒径0.05〜1.5μmの有機フィラーであることが好ましく、特にフィラーが表面処理された無機フィラーであることがより好ましい。また、積層フィルムの空孔率は15〜60%であることが好ましく、熱可塑性樹脂を含む層(B)が少なくとも1軸方向に延伸されていることが好ましく、該熱可塑性樹脂はポリオレフィン系樹脂が好ましい。更に本発明は上記光反射体を用いた面光源装置も含む。
本発明の光反射体は、輝度が高く加工性に優れている。本発明の光反射体を各種板材に貼合して成形を行っても、貼合した板材からの浮き、脱落、剥がれ等を発生しにくい。また、本発明の光反射体を用いて製造した面光源装置は、高輝度であり極めて有用である。
発明の実施の形態
以下において、本発明の光反射体の構成および効果を詳細に説明する。なお、本発明において「〜」はその前後に記載される数値をそれぞれ最小値および最大値として含む範囲を意味する。
[基材層(A)]
熱可塑性樹脂
本発明の基材層(A)に用いられる熱可塑性樹脂の種類は特に制限されない。基材フィルムに使用する熱可塑性樹脂(A)としては、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン等のエチレン系樹脂、プロピレン系樹脂、ポリメチル−1−ペンテン、エチレン−環状オレフィン共重合体等のポリオレフィン系樹脂、ナイロン−6、ナイロン−6,6、ナイロン−6,10、ナイロン−6,12等のポリアミド系樹脂、ポリエチレンテレフタレートやその共重合体、ポリエチレンナフタレート、脂肪族ポリエステル等の熱可塑性ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート、アタクティックポリスチレン、シンジオタクティックポリスチレン、ポリフェニレンスルフィド等の熱可塑性樹脂が挙げられる。これらは2種以上混合して用いることもできる。
これらの中でも、耐薬品性や生産コスト等の観点より、ポリオレフィン系樹脂を用いることが好ましく、プロピレン系樹脂を用いることがより好ましい。
プロピレン系樹脂としては、プロピレン単独重合体や、主成分であるプロピレンと、エチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン,4−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィンとの共重合体を用いることができる。立体規則性は特に制限されず、アイソタクティックないしはシンジオタクティック及び種々の程度の立体規則性を示すものを用いることができる。また、共重合体は2元系でも3元系でも4元系でもよく、またランダム共重合体でもブロック共重合体であってもよい。
このような熱可塑性樹脂は、基材層(A)に25〜95重量%で使用することが好ましく、30〜90重量%で使用することがより好ましい。基材層(A)における熱可塑性樹脂の含有量が25重量%以上であれば、後述する積層フィルムの延伸成形時に表面にキズが生じにくい傾向があり、90重量%以下であれば、充分な空孔数が得られやすい傾向がある。
フィラー
本発明の基材層(A)に熱可塑性樹脂とともに用いられるフィラーとしては、各種無機フィラーまたは有機フィラーを使用することができる。
無機フィラーとしては、重質炭酸カルシウム、沈降性炭酸カルシウム、焼成クレー、タルク、酸化チタン、硫酸バリウム、硫酸アルミニウム、シリカ、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、珪藻土等を例示することができる。また、上記無機フィラーの種々の表面処理剤による表面処理品も例示できる。中でも重質炭酸カルシウム、沈降性炭酸カルシウム及びそれらの表面処理品、クレー、珪藻土を使用すれば安価で延伸時の空孔形成性がよいために好ましい。さらに好ましいのは、重質炭酸カルシウム、沈降性炭酸カルシウムの種々の表面処理剤による表面処理品である。表面処理剤としては、例えば樹脂酸、脂肪酸、有機酸、硫酸エステル型陰イオン界面活性剤、スルホン酸型陰イオン界面活性剤、石油樹脂酸、これらのナトリウム、カリウム、アンモニウム等の塩、または、これらの脂肪酸エステル、樹脂酸エステル、ワックス、パラフィン等が好ましく、非イオン系界面活性剤、ジエン系ポリマー、チタネート系カップリング剤、シラン系カップリング剤、燐酸系カップリング剤等も好ましい。硫酸エステル型陰イオン界面活性剤としては、例えば長鎖アルコール硫酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル、硫酸化油等あるいはそれらのナトリウム、カリウム等の塩が挙げられ、スルホン酸型陰イオン界面活性剤としては、例えばアルキルベンゼンスルホン酸、アルキルナフタレンスルホン酸、パラフィンスルホン酸、α−オレフィンスルホン酸、アルキルスルホコハク酸等あるいはそれらのナトリウム、カリウム等の塩が挙げられる。また、脂肪酸としては、例えばカプロン酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ヘベン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エレオステアリン酸等が挙げられ、有機酸としては、例えばマレイン酸、ソルビン酸等が挙げられ、ジエン系ポリマーとしては、例えばポリブタジエン、イソプレンなどが挙げられ、非イオン系界面活性剤としてはポリエチレングリコールエステル型界面活性剤等が挙げられる。これらの表面処理剤は1種類または2種類以上組み合わせて使用することができる。これらの表面処理剤を用いた無機フィラーの表面処理方法としては、例えば、特開平5−43815号公報、特開平5−139728号公報、特開平7−300568号公報、特開平10−176079号公報、特開平11−256144号公報、特開平11−349846号公報、特開2001−158863号公報、特開2002−220547号公報、特開2002−363443号公報などに記載の方法が使用できる。
有機フィラーとしては、熱可塑性樹脂の融点またはガラス転移点よりも高い融点またはガラス転移点(例えば、120〜300℃)を有するものが使用される。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエチレンナフタレート、ポリスチレン、メラミン樹脂、環状オレフィン単独重合体、環状オレフィンとエチレンとの共重合体、ポリエチレンサルファイト、ポリイミド、ポリエチルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイト等を例示することができる。中でも、使用するポリオレフィン系樹脂よりも融点またはガラス転移温度が高くて非相溶性の有機フィラーを使用するのが空孔形成の点で好ましい。
基材層(A)には、無機フィラーまたは有機フィラーの中から1種を選択してこれを単独で使用してもよいし、2種以上を選択して組み合わせて使用してもよい。2種以上を組み合わせて使用する場合には、有機フィラーと無機フィラーを混合して使用してもよい。
無機フィラーの平均粒径及び有機フィラーの平均分散粒径は、例えば、マイクロトラック法、走査型電子顕微鏡による一次粒径の観察(本発明では粒子100個の平均値を平均粒径とした)、比表面積からの換算(本発明では(株)島津製作所製の粉体比表面積測定装置SS−100を使用し比表面積を測定した)などにより求めることができる。
後述する積層フィルムの延伸成形により発生させる空孔サイズの調整のため、上記無機フィラーの平均粒径、または有機フィラーの平均分散粒径は好ましくはそれぞれが0.05〜1.5μmの範囲、より好ましくはそれぞれが0.1〜1μmの範囲のものを使用する。平均粒径または平均分散粒径が1.5μm以下のフィラーを用いれば、空孔がより均一になる傾向がある。また、平均粒径または平均分散粒径が0.05μm以上のフィラーを用いれば、所定の空孔がより得られやすくなる傾向がある。
後述する積層フィルムの延伸成形により発生させる空孔量の調整のため、延伸フィルム中への上記フィラーの配合量は好ましくは5〜75重量%、より好ましくは10〜70重量%の範囲にする。フィラーの配合量が5重量%以上であれば、充分な空孔数が得られやすくなる傾向がある。また、フィラーの配合量が75重量%以下であれば、表面にキズがより生じにくくなる傾向がある。
その他の成分
基材層(A)を構成する主要な樹脂がプロピレン系樹脂の場合、延伸性を改良するために、ポリエチレン、エチレン酢酸ビニル等のプロピレン系樹脂より低融点の樹脂を3〜25重量%配合してもよい。
本発明で用いる基材層(A)は、単層構造であっても、多層構造であってもよい。基材層(A)の肉厚は、30〜500μmが好ましく、40〜400μmがより好ましく、50〜300μmがさらに好ましい。
[熱可塑性樹脂を含む層(B)]
熱可塑性樹脂を含む層(B)は、基材層(A)の片面に形成しても両面に形成してもよい。
層(B)の形成方法としては、上記基材層(A)の延伸成形前に多層TダイやIダイを使用して層(B)の溶融原料を共押出し、得られた積層体を延伸成形して設ける方法、上記基材層(A)が2軸延伸の場合、1軸方向の延伸が終了したのち、層(B)の溶融原料を押し出し貼合し、この積層体を1軸延伸成形して設ける方法、上記基材層(A)を延伸成形して得た後に層(B)の原料樹脂を直接または易接着層を介して押し出し貼合して設ける方法等が挙げられる。
上記層(B)には、基材層(A)に使用されるものと同様の熱可塑性樹脂が使用できる。また、上記フィラーを含有しても良く、フィラーの配合量は5重量%未満の範囲で使用できる。
層(B)がフィラーを含有しない場合、プロピレン系樹脂40〜60重量%、高密度ポリエチレン60〜40重量%を含有するものが、積層フィルムの光沢度が70〜86%に制御され、明度に優れた光反射体を得ることができるため好ましい。
層(B)の肉厚は、2μm以上が好ましく、2〜80μmがより好ましく、2.5〜60μmがさらに好ましい。2μm以上にすることによって、250g以上の表面強度が得られやすくなるとともに、所望の加工特性も得られやすくなる。
[積層フィルム]
添加剤
本発明の積層フィルムには、必要により、蛍光増白剤、安定剤、光安定剤、分散剤、滑剤等を配合してもよい。安定剤としては、立体障害フェノール系やリン系、アミン系等の安定剤を0.001〜1重量%、光安定剤としては、立体障害アミンやベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系などの光安定剤を0.001〜1重量%、無機フィラーの分散剤としては、シランカップリング剤、オレイン酸やステアリン酸等の高級脂肪酸、金属石鹸、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸ないしはそれらの塩等を0.01〜4重量%配合してもよい。
成形
積層フィルムの成形方法としては、一般的な1軸延伸や2軸延伸方法が使用できる。具体例としてはスクリュー型押出機に接続された単層または多層のTダイやIダイを使用して溶融樹脂をシート状に押し出した後、ロール群の周速差を利用した縦延伸で1軸延伸する方法、さらにこの後にテンターオーブンを使用した横延伸を組み合わせた2軸延伸方法や、テンターオーブンとリニアモーターの組み合わせによる同時2軸延伸などが挙げられる。
延伸温度は使用する熱可塑性樹脂の融点より2〜60℃低い温度、ガラス転移点より2〜60℃高い温度であり、樹脂がプロピレン単独重合体(融点155〜167℃)のときは95〜165℃、ポリエチレンテレフタレート(ガラス転移点:約70℃)のときは100〜130℃が好ましい。また、延伸速度は20〜350m/分が好ましい。
得られた積層フィルムは、必要により熱処理(アニーリング処理)を行い、結晶化の促進や、積層フィルムの熱収縮率低減などを図ることもできる。
積層フィルム中に発生させる空孔の大きさを調整するために、基材層(A)の面積延伸倍率は1.3〜80倍の範囲とし、好ましくは7〜70倍の範囲、より好ましくは22倍〜65倍、最も好ましくは25〜60倍とする。面積延伸倍率が1.3〜80倍の範囲内であれば、微細な空孔が得られやすく、反射率の低下も抑えやすい。
本発明の積層フィルム中に発生させる空孔の単位体積あたりの量を調整するために、空孔率は好ましくは15〜60%、より好ましくは20〜55%の範囲とする。本明細書において「空孔率」とは、上記式(2)にしたがって計算される値を意味する。式(2)のρ0は真密度を表し、ρは密度(JIS−P8118)を表す。延伸前の材料が多量の空気を含有するものでない限り、真密度は延伸前の密度にほぼ等しい。
本発明で用いる積層フィルムの密度は、一般に0.5〜1.2g/cm3の範囲であり、空孔が多いほど密度は小さくなり空孔率は大きくなる。空孔率が大きい方が表面の反射特性も向上させることができる。
[光反射体]
本発明の光反射体は、上記の積層フィルムを有する点に特徴がある。本発明の光反射体は、上記の積層フィルムのみからなっていてもよいし、上記の積層フィルムにさらに適当な材料が付加されたものであってもよい。
例えば、本発明の光反射体は、基材層(A)と熱可塑性樹脂を含む層(B)からなる積層体に、さらに別の層が積層された構造を有していてもよい。具体的には、基材層(A)の両面に熱可塑性樹脂を含む層(B)を積層した構造を有していてもよいし、基材層(A)と熱可塑性樹脂を含む層(B)からなる積層体の一面または両面に保護層(C)を積層した構造を有していてもよい。すなわち、(A)/(B)、(B)/(A)/(B)、(C)/(A)/(B)、(A)/(B)/(C)、(C)/(A)/(B)/(C)、(B)/(A)/(B)/(C)、(C)/(B)/(A)/(B)/(C)などの構造を有する光反射体を例示することができる。
本発明の光反射体の全光線反射率Rは、JIS−Z8722条件d記載の方法に従って波長400〜700nmの範囲で測定した各波長の反射率の平均値を意味する。本発明の光反射体の全光線反射率Rは95%以上、好ましくは96%以上、更に好ましくは97%〜100%である。また波長550nmでの反射率R1は好ましくは97%以上、より好ましくは98.5以上であり、波長450nmでの反射率R2は好ましくは98%以上、より好ましくは98.5%以上であるものが、本発明の光反射体として特に望ましい。
また、本発明の光反射体は、上記式(1)で定義される散乱係数Sが0.5以上、好ましくは0.6以上、より好ましくは0.8以上である。散乱係数Sは、空孔の単位体積あたりの光の散乱の度合いを意味し、R1に比例し、基材層(A)の肉厚TAおよび空孔率Pに反比例する。本発明によって、より微細で均一な大きさで、扁平な形の空孔を数多く基材層(A)に形成することにより、基材層(A)を必要以上に厚くすることなく、光反射体として所望の輝度を得ることが可能となった。
また拡散反射率Rdは、JIS−Z8722条件d記載の方法に従い、光トラップを用い、正反射成分をカットし、波長400〜700nmの反射率測定を行った。その平均値を拡散反射率Rdとした。93%以上であることが好ましく、95〜100%であることがより好ましい。拡散反射率が93%以上であれば、本発明の光反射体を用いて面光源装置などの面光源装置を作成したときに輝度ムラがより発生しにくくなるため好ましい。
光反射体の輝度は後述する記載する方法により測定することができる。本発明の光反射体の輝度は好ましくは1380cd/m2以上、より好ましくは1400cd/m2以上、さらに好ましくは1420cd/m2〜3000cd/m2、特に好ましくは1440cd/m2〜2000cd/m2である。
本発明の光反射体の表面強度は250g以上であり、好ましくは270〜1000gである。本明細書でいう表面強度は、後述する測定法に示すとおり、光反射体の測定面に幅18mmの粘着テープを貼り、300mm/minの速度で剥離した際の剥離荷重を意味する。表面強度が250g以上であれば、本発明の光反射体を板材に貼合し各種成形加工した場合に浮きや剥離等の問題が発生するのを回避することができる。
以下に実施例、比較例及び試験例を記載して、本発明をさらに具体的に説明する。以下に示す材料、使用量、割合、操作等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適時変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に制限されるものではない。なお、本実施例に使用した材料を表1に示す。
Figure 2005202349
(実施例1)
表1に記載の材料を表2に記載の配合で混合した組成物(A)を、押出機を用いて250℃に溶融混練した。その後、シート状に押し出し、冷却ロールで約60℃まで冷却することによってシートを得た。このシートを145℃に再加熱した後、多数のロール群の周速差を利用して縦方向に延伸した。
表1に記載の材料を表2に記載の配合で混合した組成物(B)を2つの押出機で溶融混練し、上で得られた延伸シートの両面に(B)が外側になるようにダイ内で押し出しして積層し、(B)/(A)/(B)の積層物を得た。ついでこの積層物を160℃に再加熱してテンターで横方向に延伸した。
その後、160℃でアニーリング処理した後、60℃まで冷却し、耳部をスリットして三層構造の積層フィルムを得た。縦、横の延伸倍率および各層の肉厚は表2に記載の通りである。この積層フィルムを光反射体とした。
(実施例2)
表1に記載の材料を表2に記載の配合で混合した組成物(A)、(B)とを用い、実施例1と同様にして光反射体を得た。
(実施例3)
表1に記載の材料を表2に記載の配合で混合した組成物(A)、(B)とを用い、実施例1と同様にして光反射体を得た。
(比較例1)
特開2002−31704号公報の実施例5で得られた積層物を光反射体とした。
(比較例2)
特開2002−31704号公報の実施例6で得られた積層物を光反射体とした。
(比較例3)
WO 03/014778号公報の実施例3で得られた3層フィルムを光反射体とした。
(試験方法)
実施例1〜3および比較例1〜3の光反射体を用いて、以下の試験を行った。
全光線反射率R:
JIS−Z8722条件d記載の方法に従って波長400〜700nmの範囲で測定した各波長の反射率の平均値を全光線反射率Rとした。
反射率R1、R2:
JIS−Z8722条件d記載の方法に従って測定した波長550nmの反射率をR1、450nmの反射率をR2とした。
拡散反射率Rd:
JIS−Z8722条件d記載の方法に従い、光トラップを用い、正反射成分をカットし、波長400〜700nmの反射率測定を行った。その平均値を拡散反射率Rdとした。
輝度:
図2に例示する14インチサイズの面光源装置の11の位置に各光反射体をセットし、冷陰極ランプ15にハリソン社(製)インバーターユニットを接続して、冷陰極ランプに12V,6mAの管電流を流し点灯、照射して、3時間後に以下の評価を行った。
輝度は(株)トプコン社製輝度計(商品名:BM−7)を用い、面光源装置の法線方向に対して、輝度計測部と面光源装置の距離を50cmとし、計9点の輝度を測定してその平均値を求めた。
表面強度:
表面強度は以下の手順で測定した。幅18mmの粘着テープ(ニチバン製、商品名:セロテープ(登録商標))を光反射体の測定面に空気が入らないように100mm以上の長さを貼り付け、最後の10mm以上は貼り付けずに残した。その試料を20mm幅に切り取った。引張試験機((株)オリエンテック製、商品名:RTM−250)で荷重5kg用のロードセルを用い、チャック間隔を1cmにし、貼り付けずに残した粘着テープの部分と粘着テープを貼り付けなかった光反射体の部分をそれぞれ上下のチャックに挟んだ。300mm/minのスピードで引っ張り、チャートの安定している部分の荷重を読みとった。3回測定し、その平均値を算出することによって表面強度を求めた。
加工性:
実施例および比較例で得られた光反射体を、ステンレス板(SUS#5052、厚さ0.6mm)に接着剤(東洋モートン社製、商品名:TM590)と硬化剤(東洋モートン社製、商品名:CAT56)を用いてドライラミネーションし、試料とした。本試料の光反射体側に保護フィルム(積水化学工業(株)製、商品番号:#6312B)を貼り合わせ、光反射体側が山および谷になるようにプレス機で互いに逆向きに90°の角度で2カ所を曲げ加工し、保護フィルムを剥がして以下の評価を行った。
○ ステンレス板からの浮きや剥がれ、反射体表面の剥がれがない。
× ステンレス板からの浮きや剥がれ、反射体表面の剥がれが見られる。
これらの各測定結果を表2に示す。
Figure 2005202349
本発明の光反射体は、輝度が高く加工性に優れている。本発明の光反射体を各種板材に貼合して成形を行っても、貼合した板材からの浮き、脱落、剥がれ等を発生しにくい。また、本発明の光反射体を用いて製造した面光源装置は、高輝度であり極めて有用である。したがって本発明は、光反射体や面光源装置などの工業的な製造に利用することが可能であり、産業上有用な発明である。
直下式バックライトの構成を示す断面図である。 サイドライト式バックライトの構成を示す断面図である。
符号の説明
11 光反射体(ハウジング)
12 反射用白色網点印刷
13 アクリル板(導光板)
14 拡散板
15 冷陰極ランプ

Claims (10)

  1. 熱可塑性樹脂とフィラーを含有し、少なくとも1軸方向に延伸され、かつ面積延伸倍率が1.3〜80倍である基材層(A)と熱可塑性樹脂を含む層(B)よりなる積層フィルムを有し、全光線反射率が95%以上、表面強度が250g以上、かつ式(1)で表される散乱係数Sが0.5以上であることを特徴とする光反射体。
    100 × R1
    散乱係数S = ――――――――――――――――― 式(1)
    (100−R1) × TA × P
    (上式において、R1は波長550nmでの反射率、TAは基材層(A)の肉厚[単位μm]、Pは式(2)で表される空孔率[単位%]である)
    ρ0−ρ
    空孔率P = ―――――――― × 100 式(2)
    ρ0
    (上式において、ρ0は積層フィルムの真密度であり、ρは積層フィルムの密度である)
  2. 輝度が1380cd/m2以上であることを特徴とする請求項1に記載の光反射体。
  3. 波長450nmでの反射率R2が98%以上、拡散反射率Rdが93%以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の光反射体。
  4. 熱可塑性樹脂を含む層(B)の肉厚が2μm以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の光反射体。
  5. 基材層(A)のフィラー濃度が5〜75重量%であり、該フィラーが平均粒径0.05〜1.5μmの無機フィラー及び/又は平均分散粒径0.05〜1.5μmの有機フィラーであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の光反射体。
  6. フィラーが表面処理された無機フィラーであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の光反射体。
  7. 積層フィルムの空孔率Pが15〜60%であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の光反射体。
  8. 熱可塑性樹脂を含む層(B)が少なくとも1軸方向に延伸されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の光反射体。
  9. 熱可塑性樹脂がポリオレフィン系樹脂であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の光反射体。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載の光反射体を用いた面光源装置。


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