JP2005202174A - 画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 定着ニップ部におけるスリップジャムの発生を検知し、スリップジャムした記録材を自動的に排紙する事により、ユーザーが行うジャム処理を行う回数を低減し、良好なユーザビリティを実現する事ができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】 加熱体と加熱体と摺動する薄膜フィルムとを有する定着部材と、膜フィルムを介して定着部材と所定加圧力で圧接し回転する加圧部材とを有し、定着部材と加圧部材が形成する定着ニップ部で未定着画像が形成された記録材を挟持搬送し、薄膜フィルムを介した加熱体からの熱により未定着画像を記録材上に永久画像として定着させる定着装置、を有する画像形成装置において、加圧部材の駆動トルクをそのモータであるDCモータの電流値をもとに検知し、その電流値があるしきい値より低くなった場合に、スリップジャムが発生したと判断し、加熱体の制御温度を一定温度だけ下げてスリップジャムした記録材を自動排紙する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、電子写真複写機、ファクシミリ、レーザープリンタ等の電子写真プロセスを用いた画像形成装置に関するものである。
従来、レーザビームプリンタ、等の画像形成装置においては、レーザ光等によって描かれた潜像を現像する現像装置と、現像されたトナー像を記録材に転写する転写手段と、転写されたトナー像を記録材上に定着する定着器とを備えたものが主流となっている。この中で、転写されたトナー像を記録材に定着する定着器においては、ヒータと温度センサによって所定の温度に保たれながら回転する定着ローラと、前記定着ローラに所定の押圧力で当接され、従動回転する加圧ローラとにより、熱および圧力をもって現像剤たるトナーを溶融させ、トナー像を記録材に定着する熱ローラ方式が広く用いられてきた。
また上述した熱ローラ方式に加え、近時はクイックスタートや省エネルギーの観点からフィルム加熱方式(例えば特許文献1参照)の装置が実用化されている。また電磁誘導加熱方式(例えば特許文献2参照)の装置も提案されている。
フィルム加熱方式の定着装置の基本的な構成は、フィルムガイド部材に固定支持させたヒータ(加熱部材、加熱体)と、前記ヒータ及び前記フィルムガイド部材に対して摺動する耐熱性・薄肉のフィルム(定着フィルム)とを有する定着部材と、前記フィルムを介してヒータと圧接して定着ニップを形成する加圧部材としての加圧ローラと、を有し、定着ニップ部で未定着画像が形成された記録材を挟持搬送し、フィルムを介したヒータからの熱で未定着画像を永久画像として加熱定着させるものである。
フィルム加熱方式の定着装置におけるフィルムの駆動方式としては、フィルム内周面に駆動ローラを設け、フィルムにテンションを加えながら駆動する方式や、フィルムをフィルムガイドにルーズに嵌合させ、加圧ローラを駆動することで、フィルムを加圧用回転体に対し従動回転させる方式が知られているが、近年では部品点数が少なくて済むことから、後者の加圧ローラ駆動方式が採用されることが多い。
そして、前記加圧ローラ駆動方式においては、定着フィルムとフィルムガイド部材との間に耐熱性の潤滑剤(グリス)を介在させることにより定着フィルムとフィルムガイド部材との間の摺動性を確保するのが通例である(例えば特許文献3参照)。
図9は、その代表例としての従来のレーザビームプリンタである。以下、図9のレーザビームプリンタの構成部品を説明する。プリンタ本体(画像形成装置本体)内には、レーザスキャナ10、感光ドラム11と、一次帯電器12と現像ローラ13を含む印字プロセスユニット15、転写ローラ16、定着器30、定着前センサ32、定着排紙センサ33、搬送ローラ対18、給紙カセット20と給紙ローラ(ピックアップローラを含む)21等が設置されている。
給紙カセット20内に積載収納されたシート状の記録材Pは、反時計方向に回転する給紙ローラ21により給送され、搬送ローラ対18のニップ部へ送られる。次いで、記録材Pは搬送ローラ対18によって感光ドラム11、転写ローラ16の間に送られる。感光ドラム11は時計方向に回転しており、一次帯電器12で均一に帯電されている。そして、その外周面には、レーザスキャナ10のレーザ光により静電潜像が順次形成され、続いてその静電潜像が現像ローラ13で現像され、トナー像が形成される。感光ドラム11と転写ローラ16との間に送られた記録材Pには、感光ドラム11上のトナー像が転写ローラ16より順次転写される。このようにしてトナー像が転写された記録材Pは定着器30へ送られ、ここで加熱、加圧されてトナー像が記録材Pに定着する。この後、記録材Pは定着排紙ローラ対70により排紙ローラ81へ送られ、次いで排紙ローラ81によりプリンタ本体上面の排紙トレイ80上に排紙される。
従来、定着装置における記録材の搬送異常を検知する定着ジャム検知手段は、給紙された記録材が記録材搬送路上に配置されたセンサに到達するタイミングにより判断している。すなわち記録材の長さや紙間の距離に応じて、給紙された記録材が記録材搬送路上に配置されたセンサに所定のタイミングまでに到達しなかった場合、または、所定のタイミングまでにセンサを通過しなかった場合に、ジャムが発生したと判断する。
図8にて、定着器周りの定着ジャム検知について具体的に説明する。定着器周りのセンサとしては定着前センサ32と定着排紙センサ33を用いている。図8の(a)は記録材Pの先端がスリップすることにより所定のタイミングまでに定着排紙センサ33に到達しなかた場合であり、図8の(b)は記録材Pが先端から定着フィルム50に巻きつき、所定のタイミングまでに定着排紙センサ33に到達しなかった場合であり、図8の(c)は記録材Pが先端から加圧ローラ60に巻きつき、所定のタイミングまでに定着排紙センサ33に到達しなかった場合であり、図8の(d)は記録材Pの後端がスリップすることにより所定のタイミングまでに定着排紙センサ33を通過しなかった場合である。一般に図8の(a)と(d)はスリップジャム、図8の(b)と(c)は巻き付きジャムと称される。
これらの定着ジャムが発生した場合、不図示の制御系はジャム検出信号により画像形成装置の動作を緊急停止し、画像形成装置操作部の表示部に、ジャムが発生した旨の表示を行う。ユーザーはこれに基づき画像形成装置内部からジャム紙を除去し、制御系をリセットして画像形成装置を画像形成が可能な状態に復帰させる。
特開平4−204980号公報 特開平7−114276号公報 特開平5−27619号公報
スリップジャムの発生がしやすい条件としては以下の項目が確認されている。
条件1:含水量の多い薄肉記録材プリント時
条件2:低硬度ゴム・表面チューブ系加圧ローラによる間欠プリント時
[条件1について]
高湿環境放置された記録材は含水量が高く、定着ニップで前記の高湿記録材が挟持された際、加圧ローラ及びフィルムの熱によって記録材内部から水蒸気が多量に発生しやすい。この時発生した多量の水蒸気が、記録材と加圧ローラの間、もしくは記録材とフィルムとの間に介在することによって各々の摺動抵抗は減少し、その結果、記録材の搬送力が著しく低下するためスリップが起こる。スリップの発生しやすい記録材を検証したところ、23℃70%RH環境等の高湿環境で放置された、含水率8.0%以上、坪量70g/m以下の平滑紙の場合に発生しやすいことが分った。
[条件2について]
低硬度ゴム・表面チューブ系加圧ローラを用いた定着装置においては、定着ニップの面圧が低く、且つ表面の摩擦抵抗(μ)が小さいために、加圧ローラからフィルムあるいは記録材への搬送伝達力が小さく、上記スリップが発生しやすい状態となる。さらに間欠プリントにおいては、各プリント行程での余熱等により加圧ローラが長時間加熱・蓄熱されるため、連続プリントに比べて加圧ローラ温度が高くなる傾向がある。加圧ローラ温度が高い場合、条件1で述べた記録材内部からの水蒸気発生量が多くなり、スリップはより一層発生しやすくなる。前述の高湿紙により検証したところ、ゴム硬度45°以下(Asker−C硬度計:500gf加重)、表面PFAチューブ系加圧ローラを用い、停止インターバルの短い間欠プリントをおこなうことにより、加圧ローラ表面温度が150℃を超える場合において、顕著なスリップジャム発生がみられた。
上述のように、スリップジャムは巻き付きジャムとは異なり、定着フィルムまたは加圧ローラの温度を下げて記録材からの水蒸気の発生を抑えることにより、駆動を停止しなくて良い場合がある。しかしながら、従来例ではこれらスリップジャムと巻き付きジャムが区別されず同じ定着ジャムとして扱われるため、ユーザーはどちらの場合も画像形成装置の外装部材を開いてジャム処理をしなければならなかった。また、ユーザーがスリップジャムした記録材を除去する際に、未定着トナー画像を担持している記録材を定着ニップより引き出すことになり、未定着トナーが定着フィルムまたは加圧ローラなどの定着部材や、ユーザーの手に付着してしまう可能性があった。
そこで本発明は定着ニップ部における記録材のスリップジャムと巻き付きジャムを判別し、スリップジャムの場合には本体駆動を停止せずに自動排紙することにより、ユーザーが行うジャム処理を行う回数を低減し、良好なユーザビリティを実現することを目的とした。
本出願によれば、上記目的は、加熱体と、前記加熱体と摺動する薄膜フィルムとを有する定着部材と、前記薄膜フィルムを介して前記定着部材と所定加圧力で圧接し回転する加圧部材とを有し、前記定着部材と前記加圧部材が形成する定着ニップ部で未定着画像が形成された記録材を挟持搬送し、前記薄膜フィルムを介した前記加熱体からの熱により未定着画像を記録材上に永久画像として定着させる定着装置、を有する画像形成装置において、前記記録材が前記定着ニップ部で搬送されずにスリップしている搬送異常を検知する搬送異常検知手段と、前記搬送異常検知手段により前記搬送異常を検知した場合、前記記録材を記録材排紙部に排出する自動処理手段を備えるという第一の発明によって達成される。
更に、本出願によれば、上記目的は、第一の発明において、前記搬送異常検知手段は、前記加圧部材の回転駆動トルクを監視する駆動トルク監視手段を有し、前記駆動トルク監視手段による回転駆動トルクが所定回転駆動トルク以下である場合に、前記搬送異常を検知するという第二の発明によっても達成される。
又、本出願によれば、上記目的は、第一の発明乃至第二の発明において、前記加圧部材は、電源から電力を受けて回転駆動力を発生させるDCモータによって回転駆動され、前記駆動トルク監視手段は、上記電源から該DCモータへの電流値に基づき前記加圧部材の回転駆動トルクを検知するという第三の発明によっても達成される。
更に、本出願によれば、上記目的は、第一の発明において、前記自動処理手段は、前記搬送異常検知手段により前記搬送異常を検知した場合、前記定着部材または前記加圧部材の温度降下制御を施すことによって前記記録材を記録材排紙部に排出するという第四の発明によっても達成される。
又、本出願によれば、上記目的は、第四の発明において、前記定着装置は、前記加熱体の温度を監視する温度監視手段と、前記温度監視手段により求められた温度に基づいて前記加熱体の温度を所定温度範囲に制御する発熱制御手段を有し、前記温度降下制御は、前記発熱制御手段により前記加熱体の発熱量を抑制する制御であるという第五の発明によっても達成される。
更に、本出願によれば、上記目的は、第一の発明乃至第五の発明において、前記自動処理手段による自動処理後において、前記定着装置に対して放熱制御を施すという第六の発明によっても達成される。
又、本出願によれば、上記目的は、第六の発明において、前記放熱制御は、前記加熱体への加熱を停止し、前記温度監視手段により前記加熱体の温度が所定温度以下に降下するまでの間、前記定着装置を空回転させるという第七の発明によっても達成される。
更に、本出願によれば、上記目的は、第一の発明乃至第五の発明において、前記自動処理手段による自動処理後において、前記画像形成装置による画像形成を再開した場合に、前記定着装置に対して過昇温防止制御を施すという第八の発明によっても達成される。
又、本出願によれば、上記目的は、第八の発明において、前記過昇温防止制御は前記発熱制御手段により前記加熱体の発熱量を抑制し、前記定着部材と前記加圧部材が前記記録材を挟持搬送する速度を遅くする制御を施すという第九の発明によっても達成される。
更に、本出願によれば、上記目的は、第八の発明において、前記過昇温防止制御は前記記録材の給紙タイミングを通常より早めるという第十の発明によっても達成される。
又、本出願によれば、上記目的は、第一の発明乃至第五の発明において、前記画像形成装置は前記搬送異常をユーザーに報知する搬送異常報知手段を有し、前記搬送異常を検知した場合に、前記搬送異常報知手段により報知するという第十一の発明によっても達成される。
以上説明したように、本発明によれば、加熱体と、前記加熱体と摺動する薄膜フィルムとを有する定着部材と、前記薄膜フィルムを介して前記定着部材と所定加圧力で圧接し回転する加圧部材とを有し、前記定着部材と前記加圧部材が形成する定着ニップ部で未定着画像が形成された記録材を挟持搬送し、前記薄膜フィルムを介した前記加熱体からの熱により未定着画像を記録材上に永久画像として定着させる定着装置、を有する画像形成装置において、前記定着ニップ部におけるスリップジャムを検知して、ジャム紙を自動排紙することにより、ユーザーが行うジャム処理を行う回数を低減し、良好なユーザビリティを実現することができる。
(実施例1)
図1に、本発明に基づく画像形成装置中に搭載されるフィルム加熱方式の定着装置の概略断面図を示す。本実施例の定着装置は加圧ローラ駆動式であり、加熱体52を保持させたフィルム支持体51を、円筒状の耐熱性フィルム50を介して加圧ローラ60に不図示の加圧手段により150Nの加圧力で圧接させ、加熱体52との間に定着ニップ部Nを形成している。
加圧ローラ60の回転による耐熱性フィルム50外周面との摩擦力により、フィルム50に回転力が作用してフィルム50が加熱体52を保持させたフィルム支持体51の外回りを矢印の方向に回転し、温度監視手段42、発熱制御手段41によって加熱体52に対して通電加熱されることにより加熱体52がプリント温調、例えば180℃に温調された状態において、定着ニップ部Nに、被加熱材である未定着トナー像Tを担持した記録材Pが投入されることで、加熱体52の熱が耐熱性フィルム50を介して記録材Pに付与され、未定着トナー像Tが記録材P面に熱定着される。定着ニップ部Nを通過した記録材Pは耐熱性フィルム50の面から曲率分離されて排紙される。
フィルム支持体51は、断熱性・高耐熱性・剛性を有する、例えばポリフェニレンサルファイド(PPS)・ポリアミドイミド(PAI)・ポリイミド(PI)・ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)・液晶ポリマー等の高耐熱性樹脂や、これ等の樹脂とセラミックス・金属・ガラス等との複合材料等である。
円筒状の耐熱性フィルム50は例えば厚み30μm〜100μm程度のポリイミドを基層とした薄膜筒で、基層の上に導電性プライマーを介してPFA、PTFE等のコートが施されており、トナーとの離型性を保っている。また、フィルム50内面とフィルム支持体51との間には不図示の摺動グリスが塗布されており、フィルム50の摺動性を保っている。
加圧ローラ60は芯金60a上に基層としてのシリコーンゴム層60bを設け、シリコーンゴム層60bの上に不図示のプライマー層を介して10〜100μm程度の厚みを有するPFA等の離型層60cを設けて構成され、トナーとの離型性を保っている。
52は加熱体であり、例えば、長さ380mm・幅10mm・厚さ1mmのアルミナ等の耐熱性・電気絶縁性・低熱容量のセラミック基材を用いたヒータ基板52aの片面側に、Ag/Pd等の抵抗発熱体(通電発熱体)層52b、抵抗発熱体層52bを被覆する表面保護層52c、給電電極パターン52d等を形成し、発熱制御手段41からの通電制御に基づいて加熱体52を通電加熱する(図2)。
定着が完了した記録材Pは、矢印の方向に搬送されるが、このときに、通紙領域中央部に設置した排紙センサレバー33aが記録材Pにより矢印の方向へ押され、駆動伝達軸により連動する非通紙域に設置したレバーが排紙センサ33の間を遮光することによって、排紙センサ33が切れるようになっている。記録材の長さや紙間の距離に応じてこの排紙センサのON/OFFタイミングを計測して、定着ジャムの発生を検知している。すなわち、所定のタイミングで排紙センサ33がONもしくはOFFにならない場合は、定着器内に記録材Pが残留しているとみなして、制御部45で直ちにローラの回転駆動を停止し、ジャムの発生をユーザーに報知する。
本実施例においては、加圧ローラ駆動ギア40を独立に回転駆動させる駆動源として、モータ電流の検知が容易なDCモータ43と、そのモータ電流を検知するモータ電流検知部44を有している。このモータ電流検知部44により、スリップジャムを検知する方法を説明する。
まず図3に示すように、モータトルクはモータ電流に対して単調増加な関係にあるので、モータのトルク検知はモータの電流検知によって行うことができる。24VのDCモータを用いたときの定着ローラの通常回転時のトルク値は0.1〜0.2N・mであり、そのときのモータ電流は200〜300mAである。スリップジャムの発生原因は、定着ニップNを通過する記録材Pから発生する水蒸気により、定着フィルム50と記録材Pの間、あるいは加圧ローラ60と記録材Pの間の摩擦力が低下して、記録材Pが定着フィルム50または加圧ローラ60の回転に追従できなくなるためである。図4に示すように、スリップジャム発生時の加圧ローラ60を回転駆動させるモータトルク、およびモータ電流は通常回転時より著しく減少する。本実施例ではモータトルク値が0.05N・m以下すなわちモータ電流が100mA以下の場合をスリップジャムが発生したと判断するようにした。
次にスリップジャムした記録材Pを自動排紙する方法について説明する。上述したように、スリップジャムは記録材Pから発生する水蒸気が原因であるため、その水蒸気量を減らせば加圧ローラ60と記録材Pの間の摩擦力が増加して、搬送を再開することができる。記録材Pから発生する水蒸気量は定着フィルム50または加圧ローラ60の温度に比例するため、それらの温度を下げれば発生する水蒸気量を減らすことができる。よって本実施例ではスリップジャムが検知された場合、制御部45を通じ発熱制御手段41で直ちに加熱体52の制御温度を20℃下げ、スリップジャムした記録材Pを自動排紙する。
一般に、加熱体52の制御温度は薄肉で平滑な記録材から厚肉で粗い記録材までを定着できるようにマージンをもって高めに設定されている。よって前述のようにスリップしやすい記録材Pは、薄肉で平滑な記録材の場合がほとんどであるため、制御温度を20℃下げた場合でも、未定着トナーは記録材Pにほとんど定着されるため、クリーニング等の処理を必要としない。
本実施例における記録材Pのスリップジャムの検知と、スリップジャムした記録材Pを自動処理する流れについて図5のフローチャートに基づき説明する。ユーザーから印刷ジョブが入力され、印刷がスタートし(101)、通常の定着制御(102)で印刷を行う場合に、記録材Pが定着ニップNを通過した時に図1のモータ電流検知部44において、DCモータ43のモータ電流値が100mA以下であるかを検知し(103)、100mA以下の場合にはスリップジャムが発生したと判断(104)し、制御部45を通じ発熱制御手段41で直ちに加熱体52の制御温度を20℃下げ、スリップジャムした記録材Pを自動排紙する(105)。またこの自動排紙時に、排紙センサ33で自動排紙が適切に行われたかを検知(106)し、正しく検知した場合には、自動排紙処理を終了(107)し、スリップジャムが発生したジョブから印刷を再開(108)し、102に戻り通常の定着制御で残りの印刷ジョブを実行する。
一方106で正しく検知されない場合には、スリップの継続のほかに他の故障や不良の可能性があるので、エマージェンシールーチンとして本体及び加圧ローラ60の駆動を停止するとともに、加熱体52への通電をOFFし、不図示の搬送異常報知手段によりユーザーへ報知し(111)、終了(113)となる。
また103でモータ電流値が100mA以上であると検知した場合には、排紙センサ33で排紙が所定のタイミングで行われているかを検知し(109)、正しく検知された場合は、正常に印刷が行われていると判断し、112で残りの印刷ジョブがあると確認した場合には102に戻り残りの印刷ジョブを実行し、ないと確認した場合には終了(113)となる。
一方109で正しく検知されない場合には、巻き付きが発生したと判断(110)し、エマージェンシールーチンとして本体及び加圧ローラ60の駆動を停止するとともに、加熱体52への通電をOFFし、不図示の搬送異常報知手段によりユーザーへ報知し(111)、終了(113)となる。
以上のように本実施例1の構成によれば、加圧ローラを駆動源であるDCモータの駆動電流を監視し、所定の値より低い場合に、スリップジャム発生を検知することができ、検知にともなったジャム紙の自動排紙処理を施すことが可能となった。
(実施例2)
実施例2に基づく画像形成装置について説明する。
スリップジャムは記録材Pから発生した多量の水蒸気が、記録材Pとフィルム50の間、もしくは記録材Pと加圧ローラ60との間に介在することが原因であり、その水蒸気量は定着フィルム50または加圧ローラ60の温度に比例する。そのため、実施例1のようにスリップジャムを検知して自動排紙処理を終了した後に、スリップジャムが発生したジョブから印刷を再開した場合、加圧ローラ60の温度がすぐに上昇しやすく、また本体80内に篭もった水蒸気が、不図示の送風ファンにより完全に排気されていない状態のため、スリップジャムが再発する可能性がある。そこで本実施例2においては、一回目のスリップジャムを検知し、自動排紙処理が終了した後に、加圧ローラ60に対して放熱制御を施すことにより、プリント再開時に加圧ローラ60の温度がすぐに上昇することを抑え、スリップジャムの再発を防止する。この本実施例2における特徴である加圧ローラ60に対する放熱制御は、加熱体52の通電をOFFにして加圧ローラ60を空回転させる制御であり、これにより加圧ローラ60の温度を効果的に降下させることができる。また加圧ローラ60の空回転は、空回転時、温度監視手段42でサーミスタ53位置の温度を検知し、温度が例えば100℃以下になるまでを続けるように制御することにより、確実に加圧ローラ60の温度を下げることが可能である。
本実施例2における定着装置の構成は、先に述べた実施例1の場合と同様であるため説明を省略し、放熱制御の詳細を図6のフローチャートで説明する。ユーザーから印刷ジョブが入力され、印刷がスタートし(201)、通常の定着制御(202)で印刷を行う場合に、記録材Pが定着ニップNを通過した時に図1のモータ電流検知部44において、DCモータ43のモータ電流値が100mA以下であるかを検知し(203)、100mA以下の場合にはスリップジャムが発生したと判断(204)し、制御部45を通じ発熱制御手段41で直ちに加熱体52の制御温度を20℃下げ、スリップジャムした記録材Pを自動排紙する(205)。またこの自動排紙時に、排紙センサ33で自動排紙が適切に行われたかを検知(206)し、正しく検知した場合には、自動排紙処理を終了(207)する。
207で自動排紙処理が終わり、すぐにプリントを再開すると、上述のように加圧ローラ60の温度がすぐに上昇しやすい状態のため、スリップジャムが再発する可能性がある。そのため、208において加熱体52の通電をOFFにして加圧ローラ60を空回転させて効率的に加圧ローラ60の温度を降下させ、不図示のオペレータ操作パネル等によりユーザーへその旨を報知する。この時、209において温度監視手段42でサーミスタ53位置の温度を検知し、温度が100℃以下になるまで空回転を続けるように制御し、209で100℃以下と検知した場合には、スリップジャムが発生したジョブから印刷を再開(210)し、202に戻り通常の定着制御で残りの印刷ジョブを実行する。
一方206で自動排紙が正しく検知されない場合には、スリップの継続のほかに他の故障や不良の可能性があるので、エマージェンシールーチンとして本体及び加圧ローラ60の駆動を停止するとともに、加熱体52への通電をOFFし、不図示の搬送異常報知手段によりユーザーへ報知し(213)、終了(215)となる。
また203でモータ電流値が100mA以上であると検知した場合には、排紙センサ33で排紙が所定のタイミングで行われているかを検知し(211)、正しく検知された場合は、正常に印刷が行われていると判断し、214で残りの印刷ジョブがあると確認した場合には202に戻り残りの印刷ジョブを実行し、ないと確認した場合には終了(215)となる。
一方211で排紙が正しく検知されない場合には、巻き付きが発生したと判断(212)し、エマージェンシールーチンとして本体及び加圧ローラ60の駆動を停止するとともに、加熱体52への通電をOFFし、不図示の搬送異常報知手段によりユーザーへ報知し(213)、終了(215)となる。
以上のように本実施例2の制御によれば、一回目のスリップジャム検知し、自動排紙処理を行った後に印刷を再開した場合でも、加圧ローラ60の温度がすぐに上昇することを抑えることができ、スリップジャムの再発を防ぐことが可能となった。
(実施例3)
実施例3に基づく画像形成装置について説明する。
スリップジャムは記録材Pから発生した多量の水蒸気が、記録材Pとフィルム50の間、もしくは記録材Pと加圧ローラ60との間に介在することが原因であり、その水蒸気量は定着フィルム50または加圧ローラ60の温度に比例する。そのため、実施例1乃至2のように、スリップジャムを検知して自動排紙処理を終了した後に、スリップジャムが発生したジョブからスリップジャムが発生した時と同じ制御で印刷を再開した場合、実施例2のように放熱制御を行った場合でも、いずれかは加圧ローラ60の温度が再び過昇温し、スリップジャムが再発する可能性がある。そこで本実施例3においては、一回目のスリップジャムを検知し、自動排紙処理が終了した後にスリップジャムが発生したジョブから印刷を再開する場合、その後のジョブを過昇温防止制御で行うことにより、加圧ローラ60の昇温を抑え、スリップジャムの再発を防止する。
この本実施例3における特徴である過昇温防止制御は、発熱制御手段41により加熱体52の制御温度をスリップジャムが発生した時の制御温度より下げるとともに、加熱体52から記録材Pへの熱流入量をスリップジャムが発生した時と同じにしつつ、単位時間当たりの水蒸気発生量を抑えるために、搬送スピードを下げて、記録材Pが定着ニップNを通過する時間を長くするように制御する。さらにこの過昇温防止制御では、加圧ローラ60の温度上昇が、記録材Pが定着ニップNに挟持されているときよりも、挟持されていないときの方が大きいので、記録材P間の間隔を狭めるように記録材給紙手段からの記録材Pの給紙タイミングを早めるように制御する。
本実施例3における定着装置の構成は、先に述べた実施例1の場合と同様であり説明を省略し、過昇温防止制御の詳細を図7のフローチャートで説明する。ユーザーから印刷ジョブが入力され、印刷がスタートし(301)、通常の定着制御(302)で印刷を行う場合に、記録材Pが定着ニップNを通過した時に図1のモータ電流検知部44において、DCモータ43のモータ電流値が100mA以下であるかを検知し(303)、100mA以下の場合にはスリップジャムが発生したと判断(304)し、制御部45を通じ発熱制御手段41で直ちに加熱体52の制御温度を20℃下げ、スリップジャムした記録材Pを自動排紙する(305)。またこの自動排紙時に、排紙センサ33で自動排紙が適切に行われたかを検知(306)し、正しく検知した場合には、自動排紙処理を終了(307)する。
307で自動排紙処理を終了し、スリップジャムが発生したジョブから印刷の再開(308)始めるが、上述のように、スリップジャムが発生した時と同じ制御で再開した場合、スリップジャムが再発する可能性があるため、加熱体52の制御温度を下げるとともに、記録材Pの搬送スピードを下げて、かつ記録材給紙手段からの記録材Pの給紙タイミングを早める制御である過昇温防止制御に移行(309)し、303に戻って残りの印刷ジョブを実行する。
一方306で正しく検知されない場合には、スリップの継続のほかに他の故障や不良の可能性があるので、エマージェンシールーチンとして本体及び加圧ローラ60の駆動を停止するとともに、加熱体52への通電をOFFし、不図示の搬送異常報知手段によりユーザーへ報知し(312)、終了(314)となる。
また303でモータ電流値が100mA以上であると検知した場合には、排紙センサ33で排紙が所定のタイミングで行われているかを検知し(310)、正しく検知された場合は、正常に印刷が行われていると判断し、313で残りの印刷ジョブがあると確認した場合には302に戻り通常の定着制御で残りの印刷ジョブを実行し、ないと確認した場合には終了(314)となる。
一方310で正しく検知されない場合には、巻き付きが発生したと判断(311)し、エマージェンシールーチンとして本体及び加圧ローラ60の駆動を停止するとともに、加熱体52への通電をOFFし、不図示の搬送異常報知手段によりユーザーへ報知し(312)、終了(314)となる。
以上のように本実施例3の制御によれば、一回目のスリップジャム検知し、自動排紙処理を行った後に印刷を再開した場合でも、プリント時の加圧ローラ60の過昇温を防止し、記録材Pからの水蒸気の発生量を抑制する過昇温防止制御へ移行することにより、スリップジャムの再発を防ぐことが可能となった。
本発明に基づくフィルム加熱方式の定着装置の概略断面図 本発明に基づく加熱体の一部切り欠き平面図 モータ電流とモータトルクの関係を示す図 スリップジャムが発生したときのモータ電流値の変化を示す図 本実施例1に基づく画像形成装置の制御フローチャート 本実施例2に基づく画像形成装置の制御フローチャート 本実施例3に基づく画像形成装置の制御フローチャート 従来のジャム検知手段についての説明図 従来の画像形成装置の概略断面図
符号の説明
32 定着前センサ
33 定着排紙センサ
40 加圧ローラ駆動ギア
43 DCモータ
44 モータ電流検知手段
45 制御部
50 定着フィルム
52 加熱体
60 加圧ローラ
P 記録材

Claims (11)

  1. 加熱体と、前記加熱体と摺動する薄膜フィルムとを有する定着部材と、前記薄膜フィルムを介して前記定着部材と所定加圧力で圧接し回転する加圧部材とを有し、前記定着部材と前記加圧部材が形成する定着ニップ部で未定着画像が形成された記録材を挟持搬送し、前記薄膜フィルムを介した前記加熱体からの熱により未定着画像を記録材上に永久画像として定着させる定着装置、を有する画像形成装置において、前記記録材が前記定着ニップ部で搬送されずにスリップしている搬送異常を検知する搬送異常検知手段と、前記搬送異常検知手段により前記搬送異常を検知した場合、前記記録材を記録材排紙部に排出する自動処理手段を備えることを特徴とする画像形成装置。
  2. 前記搬送異常検知手段は、前記加圧部材の回転駆動トルクを監視する駆動トルク監視手段を有し、前記駆動トルク監視手段による回転駆動トルクが所定回転駆動トルク以下である場合に、前記搬送異常を検知することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 前記加圧部材は、電源から電力を受けて回転駆動力を発生させるDCモータによって回転駆動され、前記駆動トルク監視手段は、上記電源から該DCモータへの電流値に基づき前記加圧部材の回転駆動トルクを検知することを特徴とする請求項1乃至2に記載の画像形成装置。
  4. 前記自動処理手段は、前記搬送異常検知手段により前記搬送異常を検知した場合、前記定着部材または前記加圧部材の温度降下制御を施すことによって前記記録材を記録材排紙部に排出することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  5. 前記定着装置は、前記加熱体の温度を監視する温度監視手段と、前記温度監視手段により求められた温度に基づいて前記加熱体の温度を所定温度範囲に制御する発熱制御手段を有し、前記温度降下制御は、前記発熱制御手段により前記加熱体の発熱量を抑制する制御であることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
  6. 前記自動処理手段による自動処理後において、前記定着装置に対して放熱制御を施すことを特徴とする請求項1乃至5に記載の画像形成装置。
  7. 前記放熱制御は、前記加熱体への加熱を停止し、前記温度監視手段により前記加熱体の温度が所定温度以下に降下するまでの間、前記定着装置を空回転させることを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
  8. 前記自動処理手段による自動処理後において、前記画像形成装置による画像形成を再開した場合に、前記定着装置に対して過昇温防止制御を施すことを特徴とする請求項1乃至5に記載の画像形成装置。
  9. 前記過昇温防止制御は前記発熱制御手段により前記加熱体の発熱量を抑制し、前記定着部材と前記加圧部材が前記記録材を挟持搬送する速度を遅くする制御を施すことを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。
  10. 前記過昇温防止制御は前記記録材の給紙タイミングを通常より早めることを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。
  11. 前記画像形成装置は前記搬送異常をユーザーに報知する搬送異常報知手段を有し、前記搬送異常を検知した場合に、前記搬送異常報知手段により報知することを特徴とする請求項1乃至5に記載の画像形成装置。
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