本発明の一実施形態について図1ないし図19に基づいて説明すると以下の通りである。尚、以下の説明では、本発明を電子写真方式の画像形成装置で用いられる定着装置に適用した例を示す。
〔画像形成装置〕
まず、本実施の形態に係る画像形成装置の構成例を図2および図3を参照して以下に説明する。
画像形成装置100は、画像読取装置200にて読み込まれた画像や、画像形成装置100に対して外部から接続された機器(図示せず:例えばパーソナルコンピュータなどの画像処理装置)からのデータを画像として記録出力するものである。
画像形成装置100では、感光体ドラム3を中心に、画像形成プロセスの各機能を担う各プロセスユニットが配置され、これらにより画像形成部が形成されている。感光体ドラム3の周囲には、帯電手段5、光走査手段11、現像手段2、転写手段6、クリーニング手段4および除電手段12等が順次配置されている。
帯電手段5は、感光体ドラム3の表面を均一に帯電させるものである。光走査手段11は、均一に帯電された感光体ドラム3上に光像を走査して静電潜像を書き込むものである。現像手段2は、光走査手段11により書き込まれた静電潜像を現像剤補給容器7から供給される現像剤により顕像化するものである。転写手段6は、感光体ドラム3上に顕像化された画像を記録用紙上に転写するものである。クリーニング手段4は、感光体ドラム3上に残留した現像剤を除去して感光体ドラム3上に新たな画像を記録することを可能にするものである。除電手段12は、感光体ドラム3表面の電荷を除去するものである。
画像形成装置100の下部には、画像形成装置100本体内に内装された供給トレイ10が配置されている。
供給トレイ10は、記録用紙を収容する記録用紙収容トレイである。供給トレイ10に収容された記録用紙は、ピックアップローラ16等により1枚ずつ分離され、レジストローラ14まで搬送され、レジストローラ14により感光体ドラム3に形成された画像とのタイミングが計られ、転写手段6と感光体ドラム3との間に順次供給される。そして感光体ドラム3上に記録再現された画像は記録用紙上に転写される。なお、供給トレイ10への記録用紙の補給は、画像形成装置100の正面側(操作側)に、供給トレイ10を引き出して行う。
画像形成装置100の下面には、図3に示すように周辺装置として準備されている多段の記録用紙供給トレイを有する記録用紙供給装置A、および大量の記録用紙を収容可能とした記録用紙供給装置B等から送られてくる記録用紙を受け入れ、画像形成部に向かって記録用紙を順次供給するための記録用紙受口が設けられている。
画像形成装置100内上部には、定着装置8が配置されている。定着装置8は、画像が転写された記録用紙を順次受け入れて、定着部材81および加圧部材82等により、記録用紙に熱と圧力を加え、該記録用紙上に転写された現像画像を定着するものである。これにより、記録用紙上に画像が記録される。
画像が記録された記録用紙は、搬送ローラ25によりさらに上方へ搬送され、切り替えゲート9を通過する。そして、記録用紙の排出トレイが画像形成装置100の外装に備えられた積載トレイ15に設定されている場合は、反転ローラ26により積載トレイ15に排出される。一方、両面画像形成や後処理が指定されている場合には、一旦反転ローラ26により積載トレイ15に向けて記録用紙を排出する。なお、この場合には、記録用紙を完全に排出せず、記録用紙を狭持させたまま反転ローラ26を逆転させる。そして、上記記録用紙を逆方向、つまり両面画像形成や後処理のために選択的に装着されている記録用紙再供給搬送装置201や後処理装置202の装着されている方向に反転搬送する。尚、このとき、切り替えゲート9は、図2の実線の状態から破線の状態に切り替えられる。
両面画像形成を行う場合は、反転搬送された記録用紙は、記録用紙再供給搬送装置201を通り、再び画像形成装置100に供給される。後処理が施される場合は、記録用紙再供給搬送装置201から別の切り替えゲートにて中継搬送装置203へ送られ、該中継搬送装置203を介して後処理装置202に搬送され、後処理が施されるようになっている。
光走査手段11の上下空間部には、画像形成プロセスを制御する回路基板及び外部機器からの画像データを受け入れるインターフェイス基板等を収容する制御部110、そして、これら各種の上記インターフェイス基板、ならびに各上記画像形成プロセスユニットに対して電力を供給する電源装置111等が配置されている。
画像読取装置200は、支持台204を介して画像形成装置100の上部に配置されており、原稿台上にセットされた原稿の画像を露光走査して光電変換素子であるCCD上に結像し、原稿画像を電気的信号に変換した上で画像データとして出力する。読み取られた画像データは、画像形成装置100の画像処理手段にて、画像補正やラスタライズ等の加工処理後に、光走査手段11にて感光体ドラム3への書き込みが行なわれる。
また、上記画像読取装置200は、原稿の片面だけでなく両面をほぼ同時に読み取ることができるようになっている。また、手動で原稿を原稿台に載置する以外に、自動原稿搬送装置205を用いて自動で原稿を原稿台に搬送することができる。
記録用紙再供給搬送装置201は、画像形成装置100の左側側面に取り付けられ、定着装置8から排出された記録用紙を画像記録装置100上部の排紙部の反転ローラ26を用いて反転搬送して、記録用紙の表裏を反転した上で、再度、画像記録装置100の画像形成部の感光体ドラム3と転写手段6との間(転写部)に向かって供給するための記録用紙搬送経路ユニットである。
中継搬送装置203は、記録用紙を後処理装置202に搬送するもので、画像形成装置100に対して記録用紙再供給搬送装置201を介して接続されており、かつ、後処理装置202に装着されている。
後処理装置202は、画像形成システムの左側に配置されており、第1の記録用紙排出部202Aと第2の記録用紙排出部202Bとから構成されている。
第1の記録用紙排出部202Aは、画像形成装置100から排出された画像の形成された記録用紙を、後処理装置202の側面上部に設けられた受け取り搬送部202Cによって受け取り、記録用紙がそのままの状態で排出される排出部である。第2の記録用紙排出部202Bは、ステープル,パンチ等選択的に装着される後処理手段により後処理が成された記録用紙が排出される排出部である。これらの第1および第2の記録用紙排出部202A・202Bは、使用者によって適宜選択される。
上記後処理装置202は、図示はしないが、所定枚数の記録用紙に対してステープル処理を施す機能、あるいはB4、A3などの記録用紙の紙折りする機能、あるいはファイリング用の穴をあける機能、あるいはソートや仕分けを行うために数ビン〜数10ビンの多数の記録用紙排出部を有する機能のうち幾つかを組み合わせて搭載している。
本発明に係る特徴点は、特に定着装置において存在するものであり、以下の実施の形態1〜4で定着装置の詳細な説明を行う。
〔実施の形態1〕
実施の形態1に関する画像形成装置の定着装置の構成例を図4を参照して説明する。この定着装置では、定着部材及び加圧部材はローラ形状であり、それぞれ導電性の芯金を有している。
定着部材である定着ローラ10は、その芯金11に、アルミウムや鉄、及びそれらの合金が多用されており、本実施の形態では、鉄系の冷間圧延炭素鋼鋼管を引き抜き等で所望の外径・肉厚に加工した後、研磨加工を行ない、外径40mm、肉厚1.3mmで製作する。芯金11の両端部は、外径を30mm、肉厚1.5mmに絞り加工を行って、定着ローラ10に加わる荷重を軸支部材であるボールベアリング(ころがり軸受の一種)で支える。前記定着ローラ10の芯金11は、防錆の目的で、材料表面をパーカライジング処理(リン酸塩被膜処理)を施し、錆の発生を抑制している。
この定着ローラ10における両端部の絞り加工を施していない中央のスリーブ部分には、一般的に加熱溶融したトナーとの接触でも離型性能を維持できるフッ素系樹脂が用いられる。前記フッ素樹脂としては、PFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)やPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、あるいはそれらの混合体が用いられ、導電性の芯金11上に、中間層12を介して表面絶縁層13としてコーティングされている。その他、耐熱性、離型性の観点から、例えば、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、エチレン/テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレン/クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等のフッ素樹脂、或いはフッ素ゴムラテックスを含む材料を各々単独で、あるいは2種類以上を組み合わせて使用することもでき、塗布・焼成によって形成したり、チューブ被覆等で形成することができる。
中間層12は、表面絶縁層13としてのフッ素樹脂とパーカライジング処理した炭素鋼鋼管表面との接着性を高めるもので、本実施の形態ではゴム系あるいはレジン系接着剤等の絶縁性プライマを用いている。なお、中間層12としては、前述の絶縁性プライマ以外に、導電性プライマを用いることができる。
また、定着ローラ10の内面は、内包した加熱手段であるハロゲンランプ14が定着ローラ10の内周面に放出する赤外光等の放射エネルギーを効率良く吸収して熱に変換するための耐熱吸熱層(図示せず)を形成している。耐熱吸熱層としては、例えば、変性シリコーン樹脂、無機耐熱黒顔料、炭化水素(溶剤)などを混合した耐熱塗料を塗布、乾燥したものを、膜厚20〜30μmに形成する。一般的に、オキツモ(商品名)、テツゾール(商品名)、セルモブラック(商品名)等の耐熱塗料が用いられている。本実施の形態では、オキツモを用いている。
定着ローラ10の表面近傍には、表面温度を検出する温度検出素子であるサーミスタ15と、異常昇温時にハロゲンランプ14への通電を遮断する過昇温防止手段であるサーモスタット16とが配置されている。また、定着ローラ10と加圧ローラ20の排紙側には記録用紙の剥離を補助する上剥離爪17と下剥離爪28とが軽く当接しており、これらはローラから記録用紙を機械的に剥ぎ取るようになっている。
なお、本実施の形態で用いるサーミスタ15は、ハウジングに固定支持された弾性部材であるステンレス板上にサーミスタチップを直接ボンディングして、熱応答性を早くしたものが用いられている。本実施の形態では、前記サーミスタチップをボンディングしているステンレス板の受熱面側に対して、絶縁被覆層とその上に耐熱離型層を順次被せ、その反対側の面には保護層を被せている。また、ステンレス板とハウジングとの間で、当接するローラ表面との絶縁距離を設けるために、絶縁被覆層、耐熱離型層、保護層で、ステンレス板のハウジングの境界付近までを覆うようにする。
こうすることで、サーミスタチップやステンレス板に対して、各々のローラからリーク電流が流れることがなく、高電圧による破損や劣化といった不具合が解消され、安定したバイアス電圧を印加できると共に、正確な温度情報を取得することができ、良好な温度制御を実施することができる。本実施の形態では、絶縁被覆層は接着剤を含んだ厚み50μmのポリイミド(登録商標:カプトン)とし、耐熱離型層は接着剤を含んだ厚み130μmのガラス繊維に耐熱離型樹脂を含浸させたものとしている。また、保護層は、接着剤を含んだ厚み80μmのテフロン(登録商標)としている。なお、これら材料は、上記のものに限定されず、諸性能において代替できるものであれば、他の材料でもよい。
加圧部材である加圧ローラ20は、鉄やステンレス等の導電性の芯金21上に、シリコ−ンゴム等の耐熱性を有する絶縁性弾性層22を形成し、その外周には中間層23、その更に外周には表面抵抗層24を形成する。表面抵抗層24は加圧ローラ20表面の離型性能を向上させるために形成するものであり、中間層23は、絶縁性弾性層22と表面抵抗層24との接着性を高めるために形成するものである。本実施の形態では、前記中間層23は、絶縁性弾性層22との接着であるので、絶縁性プライマを用いて、外径を35mmにしている。加圧ローラ20の表面抵抗層24は、表面抵抗率として1010Ωのものを用いており、105Ωでも使用できるレベルであるが、より好ましくは、107Ω〜1018Ωの表面抵抗率のものでも良い。また、体積抵抗率についても、107Ω・cm以上、より好ましくは、1010Ω・cm以上のものでも良い。
絶縁性弾性層22としては、前述のシリコーンゴム系であれば、高温加硫型シリコーンゴム(HTV)、付加反応硬化型シリコーンゴム(LTV)、縮合反応硬化型シリコーンゴム(RTV)、その他にフッ素ゴム、またはこれらの混合物等が挙げられる。具体的には、例えば、ジメチルシリコーンゴム、フロロシリコーンゴム、メチルフェニルシリコーンゴム、ビニルシリコーンゴム等のシリコーンゴム系、フッ化ビニリデンゴム、テトラフルオロエチレン−プロピレンゴム、テトラフルオロエチレン−パーフルオロメチルビニルエーテルゴム、ホスファゼン系フッ素ゴム、フルオロポリエーテル等のフッ素ゴム等を使用することができる。これらのゴムは、各々単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することもでき、注型・加硫、研磨等で成形する。
定着ローラ10は、鉄系の冷間圧延鋼をプレス成形したフレームに、ボールベアリングを両端の絞り部分のジャーナル部に嵌合して、荷重を支えている。
一方、加圧ローラ20は、ステンレス等の軸部に対してボールベアリングを嵌合し、このボールベアリングをフレームにカシメた支点軸から延びる荷重レバーに受けて、定着ローラ10の中心軸方向へ荷重バネ等によって荷重する。この荷重による圧接力は、本実施の形態では764N(両端合計)であるが、記録用紙の種類、定着ローラ10や加圧ローラ20の剛性、温調温度等の条件や性能によって任意に設定可能である。
定着ローラ10と加圧ローラ20とは、それぞれ所望の荷重で圧接されており、記録用紙を狭持搬送しながら、未定着画像を加熱溶融し記録用紙上に定着する。
なお、本実施の形態で用いた材料や寸法、形状等は、本実施の形態に限定されるものではなく、所望の性能を逸脱しない範囲で、変更可能であり、種々のものを用いることが出来る。
更に、本実施の形態の定着装置では、加圧ローラ20の周囲に、清掃部材である第1クリーニングローラ25及び第2クリーニングローラ26と、第2加熱部材である第2加熱ローラ27とが、当接している。
第1及び第2クリーニングローラ25,26は、アルミニウムや鉄、あるいはそれらの合金(ステンレス鋼も含む)材料で、中空ローラあるいは中実ローラを加工して、両端部にすべり軸受やころがり軸受を嵌合し、荷重バネ等により、加圧ローラ20に対して所定範囲のニップを保持しながら圧接している。本実施の形態では、炭素鋼やステンレス鋼製の外径15mmおよび8mmのクリーニングローラを用いている。これら第1及び第2クリーニングローラ25,26の表面は、加圧ローラ20表面に少量残留するトナーを清掃するために、所定の表面粗さを有している。
一方、第2加熱ローラ27は、アルミニウムや鉄、あるいはそれらの合金(ステンレス鋼も含む)材料を用いた中空ローラで、最外周面に設けた表面離型層によって離型性能を維持したまま、加圧ローラ20と圧接した際のニップでの熱伝導によって表面を加熱する。本実施の形態では、アルミニウム合金製の外径15mm、肉厚0.85mmのストレートパイプに、表面に中間層と表面離型層とを形成し、その内周面には、定着ローラ10と同様に耐熱吸熱層を設け、内部には、ハロゲンランプを内包している。中間層や表面絶縁層は、定着ローラ10と異なる構成を用いることも可能であるが、本実施の形態では同じ構成を用いている。また、第2加熱ローラ27についても、両端部にすべり軸受やころがり軸受を嵌合し、荷重バネ等により、加圧ローラ20に対して所定範囲のニップを保持しながら圧接している。
前述した定着ローラ10に嵌合したボールベアリング31は、図5に示すように、フレーム30との間にPPS樹脂(ポリフェニレンサルファイド)やPPO樹脂(ポリフェニレンオキシド)等の耐熱・絶縁材料よりなるベアリングホルダ32を介して電気絶縁性を持たせて荷重を支えている。このベアリングホルダ32によって、定着ローラ10は、画像形成装置のフレームや定着装置のフレームと電気的に絶縁されている。
定着ローラ10には、記録用紙の裏面に付着してくる逆極性トナーを記録用紙に留める向きに電位差を付与する目的で、定着バイアス手段18(図4参照)からバイアス電圧を印加する。この記録用紙の裏面に付着する逆極性トナーは、定着装置の上流に位置する転写手段において、感光体ドラム上に形成されたトナーによる静電顕像であるトナー画像を記録用紙に写し取る転写プロセスによって転写手段の表面に付着し、記録用紙表面に付着するものである。本実施の形態では、転写手段としては、ベルト状あるいはローラ状の接触方式で転写するものを用いている。この転写手段では、逆極性トナーや紙紛等を除去するような機構を有するが、完全には除去できないことが多く、この残留した逆極性トナーや紙紛は、転写手段の表面に蓄積されてくる。そして、電気的あるいは機械的付着力等の力のバランスによって、一部あるいは全部が記録用紙に付着して、下流側の定着装置に運ばれてくることがある。
通常であれば、これら逆極性トナーや紙紛等は、そのまま記録用紙に付着して排出されるはずである。しかしながら、定着装置において多数枚の記録用紙の定着を行うと、定着装置の条件、特に定着ローラ10や加圧ローラ20の摩擦帯電によって生じた静電気力の大きさや極性等によって、逆極性トナーや紙紛等が記録用紙から引き剥がされて加圧ローラ20に付着し、更には定着ローラ10にまで付着して、記録用紙の裏面や表面に画像不良や欠陥を発生させてしまう。
これに対し、本実施の形態では、定着ローラ10の導電性芯金11に、逆極性トナー(例えば、正極性)の帯電極性と逆極性(例えば、負極性)の定着バイアス電圧を印加している。こうすることで、加圧ローラ20との静電気的な力の釣り合いにより、逆極性トナーが加圧ローラ20の方へ引き剥がされないように、つまり記録用紙の裏面に留めるように定着バイアス電圧による電位差で静電気力が作用し、逆極性トナーは記録用紙上に留まったまま定着され、排紙される。なお、この逆極性トナーは、記録用紙1枚あたり少量であるので、定着された画像に対してはほとんど影響のないものである。
更に本実施の形態に係る定着装置について、図6を用いて説明する。
上記定着装置における定着部材(すなわち図4に示す定着ローラ10)は、主に定着ローラ10の中央領域を加熱する第1の加熱手段であるメインランプ14A(定格電力820W)としてのハロゲンランプHL1(図1参照)と、主に定着ローラ10の両端部を加熱する第2の加熱手段であるサブランプ14B(定格電力450W)としてのハロゲンランプHL2(図1参照)とを内包している。
また、加圧ローラ20表面に当接する加熱ローラ27は、加熱ローラの全幅を加熱する加熱手段である加熱ランプ(定格電力500W)27aを内包している。通常これらの加熱手段であるハロゲンランプは、波数制御や位相制御などの電力制御方法を用いて、所定電力が出力されるように制御される。
また、定着ローラ10の温度を検出する温度検出手段(すなわち図4に示すサーミスタ15)は、定着ローラ10の中央付近と非駆動側の通紙部端部とに配置されている。前者は定着ローラ10の中央領域の温度を検出し、メインランプ14Aの通電制御に用いられる第1温度検出手段であるメインサーミスタ15A(図1のサーミスタTH1に相当)であり、後者は定着ローラ10の非駆動側端部の温度を検出し、サブランプ14Bの通電制御に用いられる第2温度検出手段であるサブサーミスタ15B(図1のサーミスタTH2に相当)である。また、加熱ローラ27の中央付近にも、加熱ローラの温度を検出する別の温度検出手段である加熱サーミスタ(図示せず)が配設され、加熱ランプの通電制御に用いられる。
記録用紙上のトナー像を加熱定着する場合、1枚あるいは少数枚の連続画像形成動作では、定着装置を記録用紙が通紙することにより定着ローラ10の表面で発生する温度不均一は少なく、画質にはさほど影響はない。しかしながら、300枚、500枚、1000枚といった多数枚の連続画像形成動作においては、定着ローラ10の記録用紙通紙領域と前記ハロゲンランプ14(主にメインランプとサブランプ)による加熱領域とに差があると、この差の部分を含んだ局部領域の熱収支にアンバランスが生じて、ローラの表面温度が高くなる。このような局部領域の温度上昇は、過定着や高温オフセットを発生させたり、記録用紙の巻き付きを発生させたり、定着ローラ10や加圧ローラ20の熱的劣化を誘発してしまう。
例えば、図7に示すように、定着ローラ10の加熱領域に比べて、幅の狭い小サイズの記録用紙を連続定着する場合には、該記録用紙の通過する部分の多くでは、定着に適した温度に維持されるが、それより外側の特定領域(用紙が通紙しない領域)の温度が極端に高い過昇温状態となる。このため、定着ローラ10の表面離型層における過昇温になった部分が劣化したり、次に通紙される記録用紙の幅が幅広である場合には、この部分が高温すぎるために高温オフセットを生じたり、記録用紙の皺やカールがひどくなることがある。尚、上記図7において、2点鎖線は、通紙初期、例えば50枚程度における比較的温度分布が平坦な状態での定着ローラの軸方向温度分布を表している。次いで、1点鎖線は、更に通紙を継続して、例えば300枚通紙した後の定着ローラの軸方向温度分布を表している。最後に、実線は、通紙を継続して、約1000枚の通紙を行った後の定着ローラの軸方向温度分布を表している。
そこで、本実施の形態に係る定着装置では、定着に適した通常の印字に用いる定着温度よりも高い第1温度を予め設定しておき、サブサーミスタ15が第1温度を検出した時に、定着ローラ10や加圧ローラ20、そして加熱ローラ27の軸方向の温度不均一を解消するために、冷却モードを実行して、各ローラの温度分布を定着動作に支障の出ない程度にまで下げるようになっている。更には、上記冷却モード以降の画像形成動作を実行する時に、上記各ローラが再び過昇温とならないように、記録用紙の搬送速度を下げるようにしてもよい。こうすることで、連続画像形成動作においても、過昇温状態から回復して、通常の定着動作を行うことができる。
なお、冷却モードでは、ハロゲンランプ14の通電を停止するとともに、ローラの回転駆動を行いながらローラの熱を放熱させる回転冷却、あるいはローラの回転を停止させながらローラの熱を放熱させる静止冷却を用いることができる。冷却モードでは、回転冷却または静止冷却の何れか一方のみで冷却を行うことも可能であるが、図8に示すように、回転冷却と静止冷却とを組み合わせて行うほうが、より短時間で冷却を完了することができる。
ここで、冷却モードを実行した場合の定着ローラ表面温度の変化を図9(a),(b)に示す。先ず、図9(a)は、冷却モードを実行後の定着ローラ表面の最高温度の推移を示している。図9(a)より、回転冷却のみ、あるいは静止冷却のみを行う場合に比べ、回転冷却と静止冷却とを組み合わせて行うことで、定着温度の最高温度の冷却速度が速くなることが分かる。また、図9(b)は、冷却モードを実行後の定着ローラ表面分布の最大温度と最小温度との温度差の推移を示している。図9(b)より、回転冷却のみ、あるいは静止冷却のみを行う場合に比べ、回転冷却と静止冷却とを組み合わせて行うことで、冷却モードの実行途中から温度差が小さくなることが分かる。
冷却モードでは、例えば、静止冷却時間を10秒、回転冷却時間を15秒といった冷却モード時間を設定して、冷却モードを実行する。冷却モード時間の設定においては、予め一定値を設定しておくことも可能であるが、記録用紙のサイズ(記録用紙の幅や長さ及び方向など)、記録用紙の厚さ及び密度(秤量ともいう)、第1温度が検出された時点で、既に印字した記録用紙の枚数、それ以降に印字が残っている記録用紙の枚数、温度や湿度などの環境条件及び両面印字や特殊な記録用紙に印字する特殊な印字モードなどの画像形成モードの違いなど、様々な画像形成条件に基づいて、冷却モード時間、定着手段の回転冷却時間および静止冷却時間の配分、冷却モードを複数回実行する繰り返し回数等を設定することも可能である。
次に、本実施の形態に係る定着装置での定着制御について説明する。先ずは、定着制御を行うための定着制御手段の構成例について図1を参照して以下に詳細に説明する。
本実施の形態に係る定着制御手段は、温度検出手段によって検出された温度をもとに、定着手段における定着部材や加圧部材を所定の定着温度に制御するものである。
図1に示す定着制御手段である定着制御装置50は、上記サーミスタTH1およびTH2によって検出される定着ローラ10の表面温度に基づいて、ハロゲンランプHL1およびHL2の通電や定着ローラ10および加圧ローラ20の駆動を制御することで、定着手段の温度制御を行うものである。
上記定着制御装置50は、サーミスタTH1およびTH2によって検出される定着ローラ10の表面温度を示す比較信号が入力されるための入力ポート51、これらの表面温度に基づいて定着制御のための演算を行う演算部52、上記定着制御演算によって求められる制御信号を出力するための出力ポート53、および内部メモリ54等による構成されている。前記定着制御装置50は、例えば、メモリを内蔵したCPUであってもよい。
また、上記定着制御は、種々の画像形成条件に応じて、細かく制御動作を異ならせるようにすることも可能である。このとき、定着制御に用いられる種々の画像形成条件は、入力ポート51を介して上記定着制御装置50に入力される。
定着制御装置50における演算部52は、温度検出手段であるサーミスタTH1およびTH2から検出された温度を用いて定着ローラ10、加圧ローラ20或いは加熱ローラの温度変化率を求める温度変化率算出部と、設定された定着温度を目標温度として加熱手段の通電を制御する通電制御部とを有する。更には、上記定着制御装置50は、求めた温度変化率に基づいて、複数の定着加熱方法の中から、以降の最適な定着制御方法を選択して、画像形成動作を継続するか否かを判断する選択判断部や、サーミスタTH2が第1温度を検出した時に、その後の記録用紙の搬送速度を制御する搬送制御部を有する。
また、定着制御装置50は、これら定着動作の温度制御において、ハロゲンランプ14のON/OFF動作をスイッチング素子を用いて制御するが、このスイッチング素子が故障したり、暴走などによってOFFできなくなった場合には、定着ローラ10の温度が制御できないので、定着ローラ10の温度が異常な高温となる。通常では、このような状態を解消する為に、定着ローラ10の温度を検出して、異常な高温の状態を事前に検知して、通電をOFFとすることができるが、スイッチング素子故障や暴走した状態では、制御できないので、加熱手段に直列に挿入した過昇温防止部材が作動して通電を遮断するまで放置することになる。このような状態になれば、定着ローラ10や加圧ローラ20を始め、主要となる構成部品に大きなダメージを被ることになる。
異常加熱時と正常加熱時とでは、温度変化が大きく異なり、正常な加熱では、スイッチング素子が細かくON/OFFして、温度を一定に保つように動作して、温度変化は正あるいは負の変化となるが、異常加熱状態であれば、スイッチング素子の制御がきかずに、全通電状態にあるので、大きな正の温度変化率を示す。従って、この温度変化率の違いを用いることで、記録用紙の通紙によって局部的に高温になる過昇温を検出することが可能であると共に、後述する冷却モードによって定着ローラ10の温度を下げることが可能で、更にはその時の温度変化率を用いて異常加熱を素早く検知して、以降の定着制御方法を選択して、画像形成動作を判断することができる。
続いて、上記定着制御装置50の制御動作について、図10のフローチャートを参照して以下に説明する。
本実施の形態に係る定着制御装置50では、サブサーミスタTH2が前述した第1温度を検出した時(S1でYES)には、その時点で搬送途中である記録用紙が排出された後に、記録用紙の搬送を一旦停止し(S2)、定着手段の温度分布を下げるために所定の冷却条件の下で冷却モード(例えば、所定時間の回転冷却と静止冷却とを併用した冷却モード)を実行する(S3)。
この冷却モードは、定着ローラ10などの温度分布を下げるために実行されるものであることから、この時、通常ハロゲンランプ14は、通電制御部により非通電の状態とされる(冷却効果を最大限にするため)。しかしながら、ハロゲンランプ14の通電を切り替えるスイッチング素子の故障や暴走状態により、冷却モード中であるにも関わらずハロゲンランプ14の通電状態が継続することもありうる。
このため、上記冷却モード中、定着制御装置50の温度変化率算出部では、サブサーミスタTH2が検出した温度に基づいて温度変化率を算出し(S4)、この温度変化率が所定の温度変化率以上であるか否かを判断する(S5)。この温度変化率が所定の温度変化率未満であれば、スイッチング素子がOFFとなっておりハロゲンランプ14は非通電であると判断されるが、逆に所定の温度変化率以上であれば、スイッチング素子がOFFとなっておらず、ハロゲンランプ14の加熱が続いていると判断でき、スイッチング素子の故障や暴走状態が生じていることがわかる。
即ち、図11に示すように、冷却モードの実行中、ハロゲンランプ14がOFFされた正常な温度制御状態であれば、小さな正の温度変化率もしくは負の温度変化率となるのに対して、ハロゲンランプ14がOFFされずに異常な加熱状態が続けば、大きな正の温度変化率を示すこととなるため、温度制御の状態を判断することができる。
このように、第1温度を検出した後の冷却モード実行時に、上記温度変化率の値によって正常な温度制御状態であるか、異常な加熱状態であるかが判断されるが、異常であれば(S5でYES)、画像形成装置の加熱異常を報知する(S6)と共に、主電源やリレーをOFFして画像形成動作を中止して、直ちに画像形成装置を停止させる(S7)。
また、冷却モード時の加熱異常がなければ(S5でNO)、そのまま冷却モードの終了を待って(S8でYES)、画像形成動作を再開させる。このとき、記録用紙の搬送速度を下げて(S9:例えば、A5サイズ縦送りでは48枚/分から30枚/分、A4サイズ横送りでは、62枚/分から50枚/分に搬送速度を下げる)、画像形成動作を継続する(S10)。尚、冷却モードの終了は、図8に示すように、通紙する記録用紙のサイズや方向によっては、非通紙部となる領域の温度を検出するサブサーミスタTH2が定着可能範囲温度の下限まで下がったことの検出をもって終了させることが好適である。
図12は、搬送速度を変更する前後での、定着ローラ10における軸方向温度分布の比較である。定着ローラ10における軸方向温度分布は、記録用紙のサイズによっては局部的な昇温が生じるが、搬送速度を低くすることで、このような局部的な昇温が抑えられることが分かる。なお、搬送速度を低くする場合に、その下げ幅は、定着手段の構成や使用環境、制御方式、記録用紙のサイズや厚みによって左右されるので、できるだけスループットを高くするように設定されることが好ましい。但し、局部的な昇温を抑制するために、特定の条件の時、例えば高温高湿環境や、特定サイズや秤量の記録用紙などを通紙する時等に、搬送速度を大幅に下げることも可能である。
画像形成動作の継続中は画像形成回数がカウントされ(S11)、そのカウント数が設定回数に到達すると、画像形成動作の終了が検出され(S12でYES)、画像形成装置は待機モードへ移行する。
上記図10に示すフローチャートに基いたプログラムは、定着制御装置50の内部もしくは外部のメモリに記憶されており、また、その他制御に必要なパラメータもメモリ上に記憶されたり、定着制御手段の電気回路上の抵抗器やスイッチなどで設定されている。
上記定着装置による定着制御方法は、従来のように、第1温度を検出後に別に設けた上限温度を検出してから、異常加熱と判断する方法に比べて、より早く異常加熱を検知することができる。即ち、従来の方法では、第1温度よりもある程度高い温度に上限温度を設定しなければ、温度リップル等で誤検知を誘発してしまい、異常加熱を検知する精度が低くなる。一方で、あまり高い上限温度を設定すると、上限温度に到達するまでの時間が長くなってしまい、異常検知から装置の停止に至る時間も長くなり手遅れになる場合がある。
しかしながら、本実施の形態による定着制御方法では、温度リップルによる温度変化は、通常の温度制御による温度変化率の範囲内であるので誤検知することはなく検知精度高く保つことができ、異常加熱においては、正常な温度変化率から逸脱したことが検知された時点で異常と判断できるので、より素早い対応を取ることができ、手遅れになることがなく、装置を大きなダメージから保護することができる。
〔実施の形態2〕
本発明の実施の形態2について、図13を用いて説明する。尚、実施の形態2に係る定着装置の基本的な構成は、実施の形態1と共通するため、重複する個所は説明を省略する。
本実施の形態2に係る定着装置の定着部材及び加圧部材は、実施の形態1と同じくローラ形状であり、それぞれ導電性の芯金を有している。定着ローラ10は、例えば、外径40mmのストレート形状の導電性芯金に、中間層及び表面絶縁層を有している。中間層及び表面絶縁層についても実施の形態1と同じものを使用している。
加圧ローラ20は、外径が40mmである点以外は、実施の形態1と同じであり、加熱ローラ27は実施の形態1と同じものを用いる。また、ハロゲンランプによる加熱方式を用いて定着を行い、定着ローラ10には2本のハロゲンランプ(1本は非駆動側を通紙基準として所定の小サイズ通紙領域を加熱するメインランプ14A、他方は駆動側の残りの領域を加熱するサブランプ14B)を内包しており、加熱ローラ27には1本(全幅加熱)のハロゲンランプ27aを内包している。また、加圧ローラ20の表面には、加熱ローラ27以外に、クリーニングローラ(図示せず)が加熱ローラの上流側に当接している。プロセス速度は、例えば395mm/sであり、搬送速度は、70枚/分である。本実施の形態2においても、定着装置の上流の転写装置として、ベルト転写装置を用いている。
前述の定着装置の構成はほぼ実施の形態1と類似するが、本実施の形態2に係る定着制御手段は、実施の形態1の機能を包含しつつ、より冷却能力の高い、柔軟性のあるものとしている。
すなわち、上記実施の形態1に係る定着制御装置50は、冷却モード実行時に求めた温度変化率に基づいて、その後の処理制御(画像形成動作を中止するかもしくは継続するか)を決定している。これに対し、本実施の形態2に係る定着制御装置50は、冷却モード実行時に求めた温度変化率に対し、さらに各種画像形成条件や環境条件等を加味した補正を行い、補正後の温度変化率によってもその後の処理制御を異ならせ、より柔軟性のある処理制御を行うようになっている。
ここで、温度変化率の補正方法は、例えば、残りの印字枚数が少なく、例えば10枚や20枚程度であれば、そこで印字を一旦停止して、冷却モードを実行してしまうと、その印字処理の中断によってユーザが残り少ない枚数であるにも関わらず待たされてしまうことになる。従って、残り枚数の程度によって、元の温度変化率Aに対して、補正量Bを減じて、補正後の温度変化率を少し小さくして、印字処理を終了させてしまうようなことが考えられる。
そしてこのような場合、印字処理の終了後、余分に印字したために、元々想定された温度よりも高めの温度になっていると考えられるので、冷却モードの動作条件を変更する方法や、サイズや枚数、環境条件によって、元の温度変化率に補正量を加算したり減算したりする。特に、環境条件で、高温高湿状態では、通常でも高くなりがちであるので、先程とは逆に補正量を加算して、早めに冷却モードに移行して、印字継続かどうかを判断する方法などがある。基本的に、補正そのものは、加算や減算を行うことで、冷却モードへの移行タイミングを状況に合わせて変えるようにする。
例えば、冷却モード時において求めた温度変化率が所定の第1の温度変化率以上である場合、上記実施の形態1の制御では、異常加熱と判断されて画像形成動作が停止される。しかしながら、残りの印字枚数がわずかである場合には、残りがわずかであるにも関わらず画像形成動作が中止されてしまうことはユーザにとって不便となる。
このため、本実施の形態2では、冷却モード時において求めた温度変化率が所定の第1の温度変化率以上であっても、例えば、残りの印字枚数が少なく、かつ、補正後の温度変化率が所定の第1の温度変化率未満で残りを印字処理しても支障がないと判断できる場合には、続けて印字を行い、残りわずかの印字枚数であるにも関わらず画像形成動作が中止されてしまうことに対する不具合を解消する。異常加熱状態でも、各ローラが回転中であれば、少ない枚数の記録用紙であっても大きな影響はない。この場合、加熱異常であるかの検出は、印字動作が完了した時点での冷却モードを実行した場合などで再度行い、それでも異常であれば画像形成装置を停止する。
また、求めた温度変化率が所定の第1の温度変化率未満であり、画像形成動作を継続する場合においても、記録用紙のサイズ(記録用紙の幅や長さ及び方向など)、記録用紙の厚さ及び密度(秤量ともいう)、第1温度が検出された時点で既に印字されている記録用紙の枚数、それ以降に印字が残っている記録用紙の枚数、温度や湿度などの環境条件、及び画像形成モード(両面印字や特殊な記録用紙に印字する特殊な印字モードなど)の違いなどの画像形成条件に基づいて以下のような処理を行うことができる。
例えば、補正後の温度変化率に応じた記録用紙の搬送速度に変更して(例えば、A4サイズ横送りで、初めは70枚/分から50枚/分であるが、補正後の温度変化率によれば、35枚/分に変更する(標準では冷却モードを実行した後は、搬送速度を39枚/分に変更する))画像形成動作を継続したり、冷却モードでの冷却モード時間の設定、回転冷却時間および静止冷却時間の配分と繰り返し回数の設定(例えば、回転冷却時間を10秒、静止冷却時間を10秒、繰り返し回数を2回)を行うようにする。
こうすることで、画像形成条件に応じて、柔軟に画像形成動作を継続することができる。また、画像形成動作を継続する場合において、温度上昇による頻繁な冷却モードへの移行が生じる場合、メインランプやサブランプの通電時電力を変更したり、その電力配分を変更して、記録用紙の通紙による昇温を少なくすることができる。これにより、頻繁な冷却モードの実行と低速な画像形成動作の繰り返しを防ぐことができ、印字効率を悪化させることがない。
また、第1温度を検出した時に、その時までに印字した記録用紙の枚数が所定の枚数よりも少ない場合(例えば、A4サイズの記録用紙を横送りする場合では700枚、B5サイズの記録用紙を縦送りする場合では450枚)では、標準で設定した冷却モードの回転冷却時間と静止冷却時間との配分や冷却モード時間を、それぞれ15秒と10秒及び25秒という設定から、20秒と15秒及び35秒というように変更して冷却モードを実行することもできる。
また、第1温度を検出するまでは、定着ローラのハロゲンランプの電力配分としてメインランプ14A650W+サブランプ14B300W(合計で950W)のところを、メインランプ14A700W+サブランプ14B250W(合計で950W)にしたり、メインランプ14A650W+サブランプ14B200W(合計で850W)といったように、通電する電力量やその配分を変えることによっても、それ以降に実行する通紙における局部的な昇温を抑えることも可能になる。
また、以上は冷却モードや通紙時の動作条件を変更しているが、更には第1温度による温度検知において、第1温度よりも低い第2温度を設定し、次回は第2温度が検出されたときに冷却モードへ移行し、通電制御を行うようにしてもよい。
また、以降、記録用紙の搬送を一旦停止する閾値を検出する度に、変更する記録用紙の搬送速度を徐々に小さくしていっても良く、電力設定値や冷却モードの設定などの画像形成動作の動作条件を変化させてもよい。
また更には、一旦、搬送速度を小さくしてしまっていても、第1温度以下の第3温度を設けておき、画像形成動作中に、前記第3温度まで温度が低下してくる場合には、局部的な昇温の傾向が緩くなったことを示し、スループットを上げる上でも、元の搬送速度に戻して、画像形成動作を継続することも可能である。なお、搬送速度だけでなく、電力設定値や冷却モード条件など、局部的な昇温を抑制するために行った、画像形成条件の変更の一部もしくは全部を元に戻すことも可能である。
〔実施の形態3〕
本発明の実施の形態3について、図14を用いて説明する。尚、実施の形態3に係る定着装置の基本的な構成は、実施の形態1および2と共通するため、重複する個所は説明を省略する。
本実施の形態3に係る定着装置では、定着ローラ10の導電性芯金11に対し、定着バイアス手段18によって定着バイアス電圧を−1kV印加する。
また、加圧ローラ20の排紙側には、スクレパー(ステンレス鋼 導電)41(あるいはリン青銅、PI(ポリイミド)、PFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)、PC(ポリカーボネート)などの耐熱を有する樹脂表面に導電コートや表面改質で、導電性を付与したり、カーボンや金属等の導電性を有する粉末や繊維などの導電材を充填して樹脂に導電性を持たせた部材)を当接させて、該スクレパー41によって加圧ローラ20に定着バイアス電圧を印加する。厚みは、0.1〜0.5mmが用いられる。
この場合、スクレパー41は、清掃部材としての機能の他に、電位付与部材としての機能を有しており、加圧ローラ20周囲の構成を簡素化して、かつ逆極性トナーの加圧ローラへの移動を低減することができる。
つまり、スクレパー41は、加圧ローラ20表面からの機械的なトナーの掻き落としが主目的であるが、導電性あるいは半導電性を持たせて、接地や定着バイアス電圧を印加して、加圧ローラ20の表面に保持される電荷を制御して、逆極性トナーを記録用紙上に留めておくようにし、逆極性トナーの付着による汚れを防止し、汚れによる寿命を飛躍的に伸ばすことができる。
なお、本実施の形態3では、スクレパー41について説明したが、カーボン繊維、ステンレス繊維アモルファス繊維などの金属繊維や、アクリル繊維に銅結合した繊維、PVA繊維に銅を結合させ、特殊金属処理をした繊維、アクリルにカーボン短繊維混練繊維、ポリエステルに銀処理をした繊維などの有機導電性繊維などで構成した電位付与ブラシ42でも同様の効果が得られる。尚、図14では、スクレパー41と電位付与ブラシ42との両方を図示しているが、少なくともどちらか一方が設けられていればよい。
本実施の形態3では、温度制御にかかわる電力制御において、画像形成動作における前記定着ローラの検知温度に基づいて加熱手段であるハロゲンランプの全てに供給する電力の設定電力値を制御する第1の電力制御モードと、前記ハロゲンランプの少なくとも一つを設定電力値より大きい電力でバースト駆動する第2の電力制御モードとを切り替えて画像形成動作を行うようにしている。
このような場合では、第1温度に到達するまでの経過枚数などの画像形成条件によって、第2の電力制御モードでの所定のバースト駆動時間及び加熱手段の設定電力値を変更して、画像形成動作を継続することも可能である。
本実施の形態3での温度制御における第1の電力制御モードと第2の電力制御モードとの切り替え制御では、図15に示すように、第2の電力制御モード時に第1の電力制御モード時(通常時)の電力設定よりも大きな電力を所定の時間だけハロゲンランプに供給し、通紙時の平均供給電力を高めている。第1の電力制御モードと第2の電力制御モードとの切り替えは、所定周期(第2の制御周期)ごとに行っている。
図14に示す定着装置の構成では、定着制御手段の通電制御部が、定着装置に備えられる各ハロゲンランプに対して例えば図16に示すような電力制御を行う。図16は、第2の電力制御モード時の制御を示しているが、ここで、第1温度が検出されるまでは、第2の制御周期を例えば2000msとしているが、冷却モード後の搬送速度を変更した後の場合には、第2の制御周期を1700msとするような制御も可能である。また、同時に、実施の形態2に示したように、メインランプやサブランプなどの通紙時の電力設定値を700Wと250Wから650Wと200Wに変更してもよい。また或いは、第1の制御周期(第1の電力制御モード時の制御周期)についても変更しても良い。
尚、図16に示される3本のハロゲンランプを制御する時、通常は構造上3本をまったく同時には制御できないため、制御プログラムの1回(1回だけでなく複数回でも可)の制御ループで1本のランプを制御し、次の制御ループでは別のハロゲンランプの制御に移るというように順次制御対象となるハロゲンランプを変えながら動作している。そして、図16におけるΔTは、その時の制御をずらす時間を表しているものである。
〔実施の形態4〕
本実施の形態4に係る定着装置では、図17に示すように、定着ローラ60を加熱する加熱手段として誘導加熱方式を用いており、定着ローラ60を複数箇所に分割加熱できるように、定着ローラ60の周囲に、図18に示すような加熱手段である複数の加熱コイル61を配置している。定着ローラ60の芯金62は、ステンレス製で加熱効率が良い磁性ステンレス(SUS40)であり、その表面には、中間層であるプライマ層63と、その上に絶縁性離型層64とを形成している。加熱コイル61の材質は、例えば耐熱性を考慮してアルミニウム単線、銅線あるいは銅ベースの複合部材線であってもよく、リッツ線(エナメル線等を撚り線にしたもの)であってもよい。いずれにしても、コイル自身のジュール熱を少なくするために、加熱コイル61の全抵抗値を0.5Ω以下にすることが望ましい。
本実施の形態4では、加熱効率が良く、昇温特性の良好な誘導加熱方式を用いているので、温度検出には検出速度の速いサーモパイルやその他抵抗素子を用いた非接触方式を採用し、中央部の温度を検出する非接触の第1温度検出手段65Aと、定着ローラの非駆動側の端部近傍の温度を検出する非接触の第2の温度検出手段65Bとを有している。また、実施の形態1のように、加圧ローラ20の表面を加熱する加熱ローラ27を併用する場合では、加熱ローラ27の加熱手段としてはハロゲンランプを用い、温度検出手段としては、接触式の高速応答型のサーミスタ29を用いることができる。なお、ハロゲンランプによる加熱以外に、抵抗発熱方式等他の加熱方式を用いることも可能である。
誘導加熱方式を採用した定着装置においても、上述の各実施の形態1〜3に示したハロゲンランプの場合と同様に、第2の温度検出手段が第1温度を検出した時に、冷却モードを実行して、その時の温度変化率を算出する。そして、図19のように、その温度変化率が所定の温度変化率以上である場合には、加熱コイル61の励磁回路の暴走等が考えられるので、直ちに画像形成動作を中止し、異常を報知して、画像形成装置を停止させる。なお、本実施の形態の誘導加熱方式では、ハロゲンランプ方式に比べて、加熱手段である加熱コイルの応答が良いため、より素早く異常加熱を検出できる本発明の効果が高くなる。
冷却モードが終了すると、記録用紙の搬送速度を、例えば、81枚/分から50枚/分へ下げて、更に、加熱コイル61を励磁する時の周波数や、投入電流を変更して、加熱コイルから投入される電力や加熱コイルによる配熱及び電力配分を変更し、局部的な加熱を低減して、画像形成動作を継続することで、スループットの低下を最小限に留めることができる。
本発明の温度変化率による判断と定着制御方法の選択、冷却モードの条件設定、冷却モード後の搬送速度を下げた画像形成動作の継続といった定着制御方法は、プロセス速度が速く、搬送速度の速い高速な画像形成装置へ搭載することで、画像形成装置の用紙対応能力、環境対応能力を高めて、生産性を向上させることができる。
以上、各実施の形態1〜4について記述したが、本発明の実施は、これらに限定されるものではなく、材質、寸法、加熱方式、制御方式などを問わず適用できることは言うまでもない。
例えば、実施の形態1〜3では加熱手段としてハロゲンランプを用いた場合について説明し、実施の形態4ではジュール熱により定着ローラを加熱する誘導加熱方式を用いた場合について説明したが、これら以外の加熱方式に変更しても効果に差はなく、温度変化率の閾値や検出速度を変える必要がある場合もあるが、芯金の表面や内面に形成した抵抗発熱層による抵抗発熱方式等の加熱方式においてもその技術思想は適用でき、本実施の形態に記載されている定着装置の構成に限定されるものではない。
更には、実施の形態1〜3では、定着ローラには、ハロゲンランプを2本内包しており、それぞれが中央部と両端部を主として加熱するが、加熱する領域はこれに限定されず全幅と中央部の加熱領域に分けたものでもよく、かつハロゲンランプの数も2本に限定されず、3本以上あるいは1本でもよい。
また、定着ローラについても、上述してきた材料以外にも、ステンレス鋼、ニッケル及びその合金など耐熱性、機械的強度などで、条件を満足するものであれば使用することができる。そして、両端部についても、絞り加工を施してあってもよい。
上記各実施の形態は、電子写真方式の画像形成装置で用いられる定着装置を例示して説明を行ったが、上記定着装置と同様の構成は、湿式電子写真装置やインクジェットプリンタにおける乾燥装置、リライタブルメディア用消去装置、あるいは印刷装置等でも用いられることがあるため、本発明の適用は上記定着装置に限定されるものでもない。
以上のように、上記定着装置では、定着ローラにおける加熱幅と通紙される記録用紙の幅とに差があると、プロセス速度が速い時や搬送速度が大きい場合、あるいは鉄やステンレスなどの熱伝導率の低い材料を用いる場合では、記録用紙の非通紙部分で熱収支がアンバランスになり、蓄熱によって局部的に高温となる。
このような場合、本発明の定着制御方式を用いると、温度制御に用いる温度検出手段であるサーミスタを、異常加熱検出用に別途設けることなく、検出することができるようになる。
つまり、定着温度よりも高い第1温度を設定し、通常の搬送速度での画像形成動作を行うと、前述のように加熱幅と記録用紙幅との差によって生じる局部的な昇温は、通紙を経ることで第1温度にまで到達する。その時、通常であれば、搬送速度を切り替えたり、画像形成動作を停止したりすることで冷却を行うが、画像形成装置のスループットが低下してしまう。そこで、本実施の形態に係る上記定着装置では、第1温度到達後に、一旦、記録用紙の搬送を停止し、回転冷却と静止冷却を併用した冷却モードを実行する(それぞれを単独で実行してもよい)。
そして、この冷却モード中に、温度検出手段で検出した温度を基に、温度変化率を算出して、定着ローラの温度変化傾向を判定する。即ち、所定の大きな正の温度変化率以上であれば、スイッチング素子の故障や暴走といった事態が想定され、早急に画像形成動作を停止する必要があり、小さな正の温度変化率や負の温度変化率である場合には、定着制御手段が正常に動作しており、画像形成動作が正常であるので、そのまま冷却モードを実行して、冷却モードの終了を待って、搬送速度を小さくして画像形成動作を継続する。
こうすることで、第1温度に到達して、高温状態にある定着ローラを、必ず冷却モードを実行して、その冷却効果にて、温度を低くかつ最大と最小の温度差を小さくすることができ、更には異常な加熱状態であれば、再度画像形成動作に入る前の冷却中に検出することができ、前述のように温度変化率に基づいて、それ以降に実行する最適な定着制御方法を選択すると、画像形成装置の状態に応じた最適制御ができる。
このような定着装置は、新たな温度検出手段を設けることなく、安価に構成することができ、かつ、次の定着制御方法に移行する動作が早く、より正確な温度制御と搬送制御が行え、故障や暴走などのトラブルに対しても迅速な対応をとることができる。
また、上記定着装置では、前記求めた温度変化率が、所定の温度変化率以上である場合には画像形成動作を中止し、所定の温度変化率未満である場合には前記温度変化率に応じた記録用紙の搬送速度に変更して画像形成動作を継続することができる。
上記制御では、冷却モード中に算出した温度変化率を基にして、次に行う定着制御方法として、トラブルに対しては画像形成動作を停止し、トラブルが無い場合には冷却後に搬送速度を落として局部的な昇温を抑制しながら画像形成動作を継続することを選択する。これによって、より簡単な検出方法で、正常動作と異常動作を判断でき、定着ローラや加圧ローラの劣化や損傷を防ぎ、高温による画像形成動作への悪影響を除去できる。
また、上記定着装置では、求めた温度変化率が所定の温度変化率以上である場合には、画像形成条件に基づいて、前記求めた温度変化率に補正を加えて、画像形成動作を中止するかもしくは継続するかの判断を行うことができる。
上記制御では、求めた温度変化率が所定の温度変化率以上である場合には、一義的に画像形成動作を停止するのではなく、画像形成に関連する画像形成条件に基づいて、その条件が、画像形成動作の継続に問題ない範囲であれば、画像形成動作を続け、その画像形成動作が終了した時点で、改めて正常/異常の判断を行って、それでも異常であれば、画像形成装置を停止するようにする。こうすることで、残り僅かな画像形成動作であるのに、異常と検出して、画像形成動作が未完となってしまうことを防ぐことができる。
また、上記定着装置では、求めた温度変化率が所定の温度変化率未満である場合には、画像形成条件に基づいて、前記求めた温度変化率に補正を加えて、前記補正後の温度変化率に応じた記録用紙の搬送速度に変更して、画像形成動作を継続することができる。
第1温度に到達する時期は、記録用紙のサイズや厚さ、画像形成モードなど、画像形成条件によって異なるため、何らかの影響で通常想定されるよりも早く第1温度に到達するような場合には、継続する画像形成動作での局部的な昇温を更に小さく抑える必要がある。即ち、そのままでは、頻繁に冷却モードと低速は搬送速度での画像形成動作が続き、スループットが大幅に低下してしまうことになる。そこで、このような場合には、上記制御により、通常設定している搬送速度よりも更に低い搬送速度で画像形成動作を継続して、局部的な昇温を抑えるようにすることができる。
また、上記定着装置では、前記温度検出手段が、前記第1温度を検出した後に実行する冷却モードでは、画像形成条件に基づいて冷却モードの時間を設定すると共に、定着部材と前記加圧部材との回転冷却時間および静止冷却時間の配分、および繰り返し回数を設定することができる。
第1温度に到達する時期は、記録用紙のサイズや厚さ、画像形成モードなど、画像形成条件によって異なるため、何らかの影響で通常想定されるよりも早く第1温度に到達するような場合には、通常想定される冷却モードの条件では十分に冷却することができないことがあり、継続する画像形成動作での局部的な昇温を抑える上でも、冷却条件を変更して、冷却能力を高めておく必要がある。即ち、そのままでは、頻繁に冷却モードと低速搬送速度での画像形成動作が続き、スループットが大幅に低下してしまうことになる。そこで、このような場合には、上記制御により、通常設定している冷却モードよりも更に冷却能力を高に冷却モードを実施することで、スループットの低下を抑えるようにすることができる。
また、上記定着装置では、前記画像形成条件は、記録用紙のサイズ、記録用紙の厚さ及び密度、既に印字した記録用紙の枚数、印字残りの記録用紙の枚数、環境条件、及び画像形成モードの少なくとも一つ以上が用いられるものである。
画像形成条件としては、記録用紙に関するもの、画像形成動作の履歴に関するもの、環境及び画像形成モードなどが大きく影響し、これらを用いて、スループットが最大になるように、画像形成動作を実行し、かつ異常加熱などのトラブルにも対応できるようになる。
また、上記定着装置では、前記求めた温度変化率が所定の温度変化率未満であり、前記温度変化率に応じた記録用紙の搬送速度に変更して画像形成動作を継続することが選択された場合に、それ以前に実行していた画像形成動作における1つ以上の加熱手段の設定電力値と電力配分を変更して、画像形成動作を継続することができる。
つまり、継続する画像形成動作での局部的な昇温を抑制するためには、上述した搬送速度を低くする方法以外に、定着性能や加熱性能に影響のでない範囲で、加熱手段に供給する電力の余剰分をなくし、熱収支のバランスを保つ方法もある。更には、加熱手段に供給する電力の設定を変えたり、複数の加熱手段がある場合には、電力配分を変えたりすることでも局部的な昇温を抑制することが可能である。
また、上記定着装置では、前記求めた温度変化率が所定の温度変化率未満であり、前記温度変化率に応じた記録用紙の搬送速度に変更して画像形成動作を継続することが選択された場合に、それ以前に実行していた前記定着部材の検知温度に基づいて加熱手段の全てに供給する電力の設定電力値を制御する第1電力制御モードと、前記加熱手段の少なくとも一つを設定電力値より大きい電力でバースト駆動する第2電力制御モードとを切り替えて画像形成動作を行う時の、第2の電力制御モードでの所定のバースト駆動時間及び加熱手段の設定電力値を変更することができる。
加熱手段をバースト駆動する通電制御においては、バースト駆動時のバースト駆動時間や加熱手段の設定電力値を変えることでも、継続する画像形成動作での局部的な昇温を抑制することができる。
また、上記定着装置では、前記求めた温度変化率が所定の温度変化率未満であり、前記温度変化率に応じた記録用紙の搬送速度に変更して画像形成動作を継続することが選択された場合に、前記画像形成動作を継続した後に、前記第1温度を検出した時には、前回に第1温度に到達した時以降の経過枚数に基づいて、今回の冷却モードの時間、定着手段の回転冷却時間および静止冷却時間の配分、繰り返し回数を再設定することができる。
冷却モードを実行して後、画像形成動作を継続して行う場合、搬送速度を低くしても、すぐにまた第1温度に到達してしまう。このように再度第1温度を検出した場合には、再度冷却モードを実行して、同じ搬送速度で画像形成動作を継続することも可能であるが、このような場合には、更に搬送速度を落として、昇温特性をより鈍くすることで、頻繁に冷却モードを実行して低速な搬送速度での画像形成動作を続けることがなく、スループットを上げることができる。
また、上記定着装置では、前記求めた温度変化率が所定の温度変化率未満であり、前記温度変化率に応じた記録用紙の搬送速度に変更して画像形成動作を継続することが選択された場合に、前記画像形成動作を継続した後も、前記第1温度を検出した時には、前回に第1温度に到達した時以降の経過枚数に基づいて前記第1温度より低い第2温度を、次回の冷却モードへの移行温度とすることができる。
冷却モードを実行して後、画像形成動作を継続して行う場合、再度冷却モードへの移行する温度を、上記第1温度よりも低い第2温度とすることで、頻繁に冷却モードを実行して低速な搬送速度での画像形成動作を続けることがなく、スループットを上げることができる。
また、上記定着装置では、前記求めた温度変化率が所定の温度変化率未満であり、前記温度変化率に応じた記録用紙の搬送速度に変更して画像形成動作を継続することが選択された場合に、前記画像形成動作を継続した後も、前記第1温度を検出した時には、前回に第1温度に到達した時以降の経過枚数に基づいて、今回の画像形成動作の継続に際して、記録用紙の搬送速度を更に小さくすることができる。
冷却モードを実行して後、画像形成動作を継続して行う場合、記録用紙の搬送速度を更に小さくすることで、頻繁に冷却モードを実行して低速な搬送速度での画像形成動作を続けることがなく、スループットを上げることができる。
また、上記定着装置では、前記画像形成動作の継続に際して、前記第1温度を検出した時には、前回に第1温度に到達した時以降の経過枚数に基づいて、それ以前に実行していた画像形成動作における1つ以上の加熱手段の設定電力値と電力配分を変更して、画像形成動作を継続することができる。
また、上記定着装置では、前記画像形成動作の継続に際して、前記第1温度を検出した時には、前回に第1温度に到達した時以降の経過枚数に基づいて、それ以前に実行していた画像形成動作における前記定着部材の検知温度に基づいて加熱手段の全てに供給する電力の設定電力値を制御する第1電力制御モードと、前記加熱手段の少なくとも一つを設定電力値より大きい電力でバースト駆動する第2電力制御モードとを切り替えて画像形成動作を行う時の、第2の電力制御モードでの所定のバースト駆動時間及び加熱手段の設定電力値を変更して、画像形成動作を継続することができる。
また、上記定着装置では、前記画像形成動作の継続に際して、温度検出手段の検出した温度が、第1温度以下の第3温度まで低下する場合には、変更した搬送速度や、冷却モード条件、電力設定などの画像形成条件を、元に戻して画像形成動作を継続することができる。
上記制御では、局部的な昇温が解消される傾向が検出された時には、画像形成動作のスループットを撚り高くするために、各種画像形成条件を、基に戻して、画像形成動作を継続する。こうすることで、一旦、搬送速度を下げてしまっていても、残りの画像形成動作が多く残っているような場合には、搬送速度を上げたりして、スループットを高くすることができ、より柔軟な制御を行うことができ、かつトラブル時でも素早く対応することができる。