JP2005200604A - 粒子状銀化合物及びその利用 - Google Patents

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Naoko Igarashi
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裕之 宮田
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Abstract

【課題】 金属銀に近い導電率を有する導電性被膜を形成でき、保存性に優れた粒子状銀化合物、該粒子状銀化合物を含む導電性被膜形成用組成物、導電性被膜の形成方法、該方法により形成された導電性被膜及び回路の提供。
【解決手段】 加熱時に銀化合物の還元と粒子間融着を生じる粒子状銀化合物であって、炭素原子1〜8の有機化合物が粒子表面に付着されてなることを特徴とする粒子状銀化合物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、金属銀に近い導電性を有する導電性被膜を形成でき、保存性に優れた粒子状銀化合物、該粒子状銀化合物を含む導電性被膜形成用組成物、導電性被膜の形成方法、該方法により形成された導電性被膜及び回路に関する。本発明の粒子状銀化合物は、各種電子機器、電子部品、電子回路などの製造に使用される導電性接着剤、導電性塗料などの導電性被膜形成用組成物の材料として好適である。
従来の導電ペーストとしては、フレーク状の銀粒子に熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂などのバインダー、溶剤、硬化剤、触媒などを添加し混合して得られる銀ペーストが代表的なものである。
この銀ペーストは、各種電子機器、電子部品、電子回路などに対して導電性接着剤、導電性塗料などとして広く使用されている。また、この銀ペーストをポリエチレンテレフタレートフィルムなどのプラスチックフィルム上にスクリーン印刷などにより印刷して電気回路を形成したフレキシブル回路板は、キーボード、各種スイッチなどのプリント回路板として用いられている。
この銀ペーストの使用方法は、基材に各種手段により塗布し、常温で乾燥するかあるいは120℃程度に加熱して、導電性被膜とすることで行われている。
そして、このようにして得られた導電性被膜の体積抵抗率は、成膜条件にもよるが、10−4〜10−5Ω・cmの範囲であり、金属銀の体積抵抗率1.6×10−6Ω・cmに比べ、10〜100倍の値となっており、金属銀の導電性には到底及ばない値となっている。
この導電性が低い理由は、銀ペーストから得られた導電性被膜内では、銀粒子の一部のみが物理的に接触しており、接触点が少ないこと、また接触点での接触抵抗があること、一部銀粒子の間にバインダーが残存しており、このバインダーが銀粒子の直接的な接触を阻害していることなどによる。
このような導電性の低さを改善するものとして、銀ペーストを基材に塗布し、800℃程度に加熱し、バインダーを焼却して除去するとともに銀粒子を溶融し、銀粒子が融着して一様に連続した金属銀の被膜とするものがある。このようにして得られた導電性被膜の体積抵抗率は金属銀のそれに近い導電性を持つものとなる。しかし、このものでは、導電性被膜を形成する基材が高温加熱に耐え得るガラス、セラミックス、表面を不導体化した金属、ほうろうなどの耐熱性材料に限られ、プラスチック基材には適用不可能であるという欠点がある。
また、前述のフレキシブル回路板にあっては、そこに形成される電気回路の線幅を可能な限り細くすることが要求されているが、従来の銀ペーストでは、銀粒子が粒径50〜100μm程度のフレーク状であるため、原理的にフレーク状銀粒子の粒径以下の線幅を印刷することは不可能である。
しかも、電気回路の線幅を細くするにもかかわらず、十分な導電性を持たせることが同時に要求されており、この要求に応えるには電気回路の厚みをかなり厚くする必要がある。しかし、電気回路の厚みを厚くすると成膜が困難になり、回路自体の可撓性も大きく低下する不都合が生じる。
銀ペーストにかかる前述した欠点を一挙に解決可能なものとして、酸化銀などの粒子状銀化合物とバインダーとを含む導電性組成物が提案されている。この粒子状銀化合物を含む導電性組成物は、単なる加熱あるいは還元剤の共存下での加熱により、容易に金属銀粒子に還元され、この還元反応時の反応熱で析出した金属銀粒子が溶融し、互いに融着して高導電性の金属銀の被膜を形成する。このため、得られる導電性被膜は金属銀に匹敵する導電性を発揮する(特願2002−108178)。
実際にこのような銀化合物を用いて回路形成を行う場合には、粒子状銀化合物にエチレングリコールなどの強い還元剤を加え、ペースト化し、これを基板上に塗布後、加熱し形成する。しかし、強い還元剤を加えペースト化したものは、加熱を行わなくても、組成物中で微粒子表面の還元が時間と共に進行し、保存性が悪い。表面が還元してしまった銀化合物微粒子を含む組成物を低温加熱しても粒子間の融着が発生せず、結果として、十分な導電性が得られない問題がある。
一方、還元反応を抑制するため、テルピネオール(TPO)などの弱い還元剤を加えた場合には、加熱しても粒子間の融着が不十分となり、結果として十分な導電性が得られないという問題がある。
本発明は前記事情に鑑みてなされ、弱い還元剤によっても金属銀に近い導電率を有する導電性被膜を形成でき、ペースト化後の保存性に優れた粒子状銀化合物、該粒子状銀化合物を含む導電性被膜形成用組成物、導電性被膜の形成方法、該方法により形成された導電性被膜及び回路の提供を目的とする。
前記目的を達成するため、本発明は、炭素原子1〜8の有機化合物が粒子表面に付着されてなることを特徴とする粒子状銀化合物を提供する。
本発明の粒子状銀化合物において、前記有機化合物が炭素原子1〜8のアルコールからなる群から選択される1種又は2種以上であることが好ましい。
また本発明の粒子状銀化合物において、前記粒子状銀化合物が酸化銀、炭酸銀、酢酸銀、アセチルアセトン銀錯体からなる群から選択される1種又は2種以上であることが好ましい。
また本発明の粒子状銀化合物において、平均粒径が500nm以下であることが好ましい。
また本発明は、前記粒子状銀化合物と、有機溶剤とを含むことを特徴とする導電性被膜形成用組成物を提供する。
本発明の導電性被膜形成用組成物は、セルロース誘導体をさらに含めることができる。
また本発明は、前記導電性被膜形成用組成物を塗布し、前記粒子状銀化合物の還元と粒子間融着を生じる温度で加熱して導電性被膜を得ることを特徴とする導電性被膜の形成方法を提供する。
さらに本発明は、前記導電性被膜の形成方法により形成された導電性被膜及び回路を提供する。
本発明の粒子状銀化合物は、炭素原子1〜8の有機化合物が粒子表面に付着されてなるものなので、弱い還元剤を使用しても十分導電性が得られる。また、このような弱い還元剤を使用することにより、還元反応を遅らせることができ、結果としてペースト後3ヶ月以上保管しても還元性が変化せず、加熱時に銀化合物の還元と粒子間融着を生じる保存性の優れたものとなる。
本発明の粒子状銀化合物は、粒子状銀化合物の表面に炭素原子1〜8の有機化合物が付着した構造になっている。この粒子状銀化合物は、還元剤の不存在下又は弱い還元剤の存在下において、低温での加熱時に銀化合物の還元と粒子間融着を生じ、高い導電性を有するようになる。
この粒子状銀化合物の粒子本体としては、酸化銀、炭酸銀、酢酸銀、アセチルアセトン銀錯体からなる群から選択される1種又は2種以上が挙げられ、特に酸化銀が好ましい。この酸化銀は、平均粒径が500nm以下、好ましくは50〜500nmの範囲の微粒子が好ましい。このような微粒子は、例えば後述する湿式法による酸化銀の製造方法により容易に製造可能である。本体である酸化銀の平均粒径を500nm以下とすることで、この粒子状銀化合物を含む導電性被膜形成用組成物を基材に塗布する際、極めて細い線幅のパターンを印刷することが可能となる。
この粒子状銀化合物の表面に付着させる炭素原子1〜8の有機化合物としては、炭素原子1〜8の鎖式炭化水素、環式炭化水素、芳香族化合物、複素環化合物、アルコール、ケトン、エーテル、エステル、アルデヒド、アミン、チオール、チオエーテル、アミノ酸などからなる群から選択される1種又は2種以上の有機化合物が挙げられ、弱い〜極めて弱い還元性を有する有機化合物が好ましい。本発明の好ましい実施形態において、炭素原子1〜8の有機化合物としては、炭素数1〜8のアルコール、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノールなどが挙げられ、その中でもエタノールが好ましい。
この粒子状銀化合物の表面に付着した有機化合物は、粒子状化合物の製造時における加熱乾燥処理や減圧乾燥処理に用いられる程度の温度や減圧条件下では、粒子表面から除去されず、粒子状銀化合物を乾燥状態で3ヶ月程度保管した後でも残存している。この粒子状銀化合物の表面に付着した有機化合物は、還元性の極めて低い還元剤でペースト化し、基板塗布後、低温140〜200℃程度の低温で加熱すると、粒子状銀化合物の還元剤として作用し、粒子状銀化合物を銀に還元することができる。
図1は、本発明による粒子状銀化合物の製造工程の一例を示す概略図であり、本例示では湿式法により粒子状銀化合物を製造している。
この湿式法により粒子状銀化合物を製造するには、水溶性の銀化合物、好ましくは硝酸銀の水溶液を容器に入れ、次いでアルカリ水溶液、例えばNaOH水溶液を加え、酸化銀(AgO)を沈殿させる(合成工程)。次に、沈殿した酸化銀と液とを分離し、酸化銀に洗浄溶媒を加えて撹拌し、遠心分離して水やエタノールなどの洗浄溶媒を除去し、これを1回以上、好ましくは複数回繰り返して酸化銀を洗浄する(洗浄工程)。この洗浄後、酸化銀を濃縮して湿粉とするか、あるいは遠心分離、低温乾燥して乾燥粉を製造する(濃縮工程)。このプロセスにおいて、硝酸銀溶液の濃度、NaOHの濃度、合成温度や時間などは、得られる酸化銀の平均粒径が50〜500nmの範囲になるように調整することが望ましい。
本発明による粒子状銀化合物を得るためには、洗浄工程と濃縮工程で酸化銀と接触させる洗浄溶媒として、炭素原子1〜8のアルコールを用い、洗浄、濃縮後に乾燥粉を得る方法が好ましい。この洗浄溶媒としてアルコールを用いることで、酸化銀を乾燥した後においても、粒子状酸化銀の表面にアルコールが付着し、本発明による粒子状銀化合物が得られる。
この粒子状銀化合物は、炭素原子1〜8の有機化合物が粒子表面に付着されてなるものなので、弱い還元剤を使用しても十分導電性が得られる。また、このような弱い還元剤を使用することにより、還元反応を遅らせることができ、結果としてペースト化後3ヶ月以上保管しても還元性が変化せず、加熱時に銀化合物の還元と粒子間融着を生じる保存性の優れたものとなる。
本発明はまた、前記粒子状銀化合物を含む粒子状銀化合物を含む導電性被膜形成用組成物、導電性被膜の形成方法、該方法により形成された導電性被膜及び回路を提供する。
本発明に係る導電性被膜形成用組成物は、前述した粒子状銀化合物と有機溶剤とを必須の成分としてなり、必要に応じてセルロース誘導体を添加することができる。この導電性被膜形成用組成物の全量に対し、粒子状銀化合物は10〜90質量%、好ましくは20〜75質量%、さらに好ましくは30〜60質量%程度配合することが好ましい。導電性被膜形成用組成物中の粒子状銀化合物の配合量が前記範囲未満であると、組成物中の粒子状銀化合物が不足し、導電性被膜の導電性が低下したり、導電性被膜が十分形成できなくなる可能性がある。導電性被膜形成用組成物中の粒子状銀化合物の配合量が前記範囲を超えると、基材上に塗布することが困難となる。
この導電性被膜形成用組成物に加える有機溶剤としては、メタノール、エタノール、プロパノールなどの一価低級アルコール、エチレングリコール、ブチレングリコール、グリセリンなどの多価アルコール、イソホロン、テルピネオール、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、ブチルセロソルブアセテートなどの各種の有機溶剤を用いることができる。特に、本発明にあっては、テルピネオール又はその同等物などの極めて還元性の低い溶剤を用いることが可能である。
この導電性被膜形成用組成物に必要に応じて加えるセルロース誘導体としては、有機溶剤に溶解又は分散し、該組成物に適度な粘性を与えて粒子状銀化合物を分散せしめ、二次凝集を遅延し得るものであればよく、特に限定されないが、例えば、有機溶剤としてエチレングリコールを用いる場合にはヒドロキシプロピルセルロースが好ましく、有機溶剤としてテルピネオールを用いる場合にはエチルセルロースが好ましい。このセルロース化合物を配合する場合、その配合量は導電性被膜形成用組成物の全量に対し、0.1〜5.0質量%、好ましくは0.5〜2.0質量%程度が好ましい。
この導電性被膜形成用組成物の粘度は特に制限されないが、スクリーン印刷法により基材上に印刷する場合に、30〜1000ポイズ程度とするのが好ましい。
なお、この導電性被膜形成用組成物には、粒子状銀化合物、有機溶剤及びセルロース誘導体以外に、形成される導電性被膜の特性を悪化させない範囲で、セルロース誘導体以外のバインダー、還元剤などの各種の添加物を配合することができるが、これらの添加物の配合量は必要最低限度に留めることが望ましい。
この導電性被膜形成用組成物は、適当な基材に塗布し、粒子状銀化合物の還元と粒子間融着を生じる温度で加熱することで導電性被膜を形成することができる。加熱温度は140〜200℃、加熱時間は10秒〜120分程度とされる。従って、この導電性被膜形成用組成物を用いれば、ポリエチレンテレフタレートフィルムなどのプラスチックフィルムやシートを基材とし、その表面に導電性被膜を形成することができる。この導電性被膜の形成方法により形成される導電性被膜の形状、寸法、厚さ等は限定されないが、適当な濃度の導電性被膜形成用組成物を用いて基板上にスクリーン印刷することで、極めて細い線幅の回路を形成することができる。
この導電性被膜の形成方法により形成された導電性被膜及び回路は、10−5Ω・cm以下の体積抵抗率を有することが好ましい。好ましい実施形態において、この導電性被膜及び回路は3〜8×10−6Ω・cm程度の体積抵抗率となり、金属銀の体積抵抗率に近い優れた導電性を有するものとなる。
以下、図1に示す製造工程に従い、硝酸銀水溶液を原料とし、これにNaOH水溶液を加えて酸化銀を沈殿させ、水又はエタノールを用いて洗浄、濃縮工程を行い、粒子状銀化合物の乾燥粉又は湿粉を作製した。以下の例1〜3のうち、例1は比較例、例2と3は本発明に係る実施例である。
[例1]
合成工程で作製した酸化銀を、水(洗浄工程溶媒)で洗浄し、水(濃縮工程溶媒)を含んだ酸化銀を遠心分離し、室温で乾燥して乾燥粉とした。
[例2]
合成工程で作製した酸化銀を、エタノール(洗浄工程溶媒)で洗浄し、エタノール(濃縮工程溶媒)を含んだ酸化銀を濃縮して湿粉とした。
[例3]
合成工程で作製した酸化銀を、エタノール(洗浄工程溶媒)で洗浄し、エタノール(濃縮工程溶媒)を含んだ酸化銀を遠心分離し、室温で乾燥して乾燥粉とした。
例1〜3の各粒子状銀化合物について、それぞれ製造直後のもの(表1中「初期」と記す。)と密封状態で室温中に3ヶ月保管した後のもの(表1中「3ヶ月後」と記す。)について、X線回折分析(XRD)及び熱分析を実施した。
XRDでは、それぞれの粒子状銀化合物をX線回折装置にかけ、酸化銀と銀のピークを調べ、次の基準で判定した。
◎は、XRDによる回折ピークで酸化銀のみしか確認出来ないもの(=全て酸化銀)とした。
○は、XRDによる回折ピークで強い酸化銀のピークとわずかな銀のピークが存在するもの(=わずかな銀が含まれる)とした。
△は、XRDによる回折ピークでわずかな酸化銀のピークと強い銀のピークが存在するもの(=わずかな酸化銀が含まれる)とした。
このX線回折分析において銀のピークが強く検出されると、酸化銀が還元されているために、粒子状銀化合物を含むペーストを用いて導電性被膜を形成する際に、良好な導電性被膜が得られにくいことになる。
熱分析は、熱重量/示差熱(TG/DTA)分析により行った。
それぞれの粒子状銀化合物について、約160℃発熱が認められたものを○、約160℃発熱がわずかに認められたものを△、約160℃発熱が認められないものを×とした。
また約400℃吸熱が認められたものを○、約400℃吸熱がわずかに認められたものを△、約400℃吸熱が認められないものを×とした。
ここで、約160℃発熱は、還元剤による酸化銀の還元反応を示し、約400℃吸熱は、還元剤によらずに酸化銀が自己還元(熱分解)することを示す。
導電性被膜や回路形成用のペーストにおいては、約160℃発熱が認められることが望ましい。このようなペーストは、実質的に150℃での焼成が期待できるため、PETをはじめ、様々な樹脂基板を利用することができる。
次に、例1〜3のそれぞれの粒子状銀化合物のペースト特性を調べた。例1〜3のそれぞれの粒子状銀化合物50質量%、TPO(テルピネオール)50質量%を配合して調製したペーストを用い、1cm×5cmのパターンを印刷し、150℃で60分間乾燥し、導電性被膜を作製した。この導電性被膜の体積抵抗率を測定し、体積抵抗率が1×10−5Ω・cmを超えるものを×、1×10−5〜5×10−6Ω・cmの範囲のものを△、5×10−6Ω・cm未満のものを○とし、ペースト化初期、及びペースト化3ヶ月後の特性を調査した。
これらの結果をまとめて表1に示す。
Figure 2005200604
表1の結果から次のことがわかる。
例1から、エタノールと接触していない酸化銀は、TG/DTAによる熱分析において約400℃吸熱で還元することが確認された。
例2,3より、エタノールと接触した酸化銀は、約160℃で発熱を伴う還元反応を生じることがわかる。これは乾燥粉でも変わらない。このことから、洗浄、濃縮で用いたエタノールまたは、それに由来する有機物が粒子表面に付着し、乾燥状態でもその付着状態を維持していると考えられる。
例2,3の比較から、エタノールが過剰に存在する場合は保管中に酸化銀の還元が徐々に進行する。しかし、乾燥状態では初期の状態が長期間維持される。
例2,3より、酸化銀表面にエタノールを付着させ、還元力が極めて低い溶剤であるテルピネオールで調製したペーストは、3ヶ月後も十分な導電性を示すことが確認できた。又、乾粉の方が、湿粉よりその効果が大きいことが確認できた。
次に、前記例3(実施例)の粒子状銀化合物と、例1(比較例)の粒子状銀化合物とを、日本電子社製、フィールドエミッション透過型電子顕微鏡JEM2100Fを用い、位相コントラスト像(GF−STEM)と、各粒子の各部のEDS元素分析を行った。例3の粒子状銀化合物についての分析結果を図2に示し、例1の粒子状銀化合物についての分析結果を図3に示す。
図2において、(a)は例3の粒子状銀化合物の位相コントラスト像、(b)は(a)中のbで示す表面部分のEDS元素分析結果を示すグラフである。例3の粒子状銀化合物の表面には薄い層があるのが確認され、その表層部分のEDS元素分析結果を(b)に示すが、この(b)では炭素を表す最も左側のピーク(CKaと標記されたピーク)が大きく、3.00keV付近の銀を示すピークは低くなっている。一方、その内部では逆に銀のピークが大きくなっている。このことから例3の粒子状銀化合物では、表面に有機化合物(この場合はエタノール)が付着していることが確認された。
図3において、(a)は例1の粒子状銀化合物の位相コントラスト像、(b)は(a)中のbで示す表面部分のEDS元素分析結果を示すグラフである。例1の粒子状銀化合物では、例3の粒子において見られたような表面の薄い層は確認されなかった。また各部のEDS元素分析の結果でも、炭素を表す大きなピークは確認されなかった。
本発明の粒子状銀化合物の製造工程の一例を示す概略図である。 例3(実施例)で作製した粒子状銀化合物の分析結果を示し、(a)は例3の粒子状銀化合物の位相コントラスト像、(b)は(a)中のbで示す表面部分のEDS元素分析結果を示すグラフである。 例1(比較例)の粒子状銀化合物の分析結果を示し、(a)は例1の粒子状銀化合物の位相コントラスト像、(b)は(a)中のbで示す表面部分のEDS元素分析結果を示すグラフである。

Claims (10)

  1. 炭素原子1〜8の有機化合物が粒子表面に付着されてなることを特徴とする粒子状銀化合物。
  2. 前記有機化合物が炭素原子1〜8のアルコールからなる群から選択される1種又は2種以上であることを特徴とする請求項1に記載の粒子状銀化合物。
  3. 前記粒子状銀化合物が酸化銀、炭酸銀、酢酸銀、アセチルアセトン銀錯体からなる群から選択される1種又は2種以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の粒子状銀化合物。
  4. 平均粒径が500nm以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の粒子状銀化合物。
  5. 請求項1〜4の粒子状銀化合物が乾燥していることを特徴とする化合物。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の粒子状銀化合物と、有機溶剤とを含むことを特徴とする導電性被膜形成用組成物。
  7. セルロース誘導体をさらに含むことを特徴とする請求項6に記載の導電性被膜形成用組成物。
  8. 請求項6又は7に記載の導電性被膜形成用組成物を塗布し、前記粒子状銀化合物の還元と粒子間融着とを生じる温度で加熱して導電性被膜を得ることを特徴とする導電性被膜の形成方法。
  9. 請求項8に記載の導電性被膜の形成方法により基材上に形成された導電性被膜。
  10. 請求項8に記載の導電性被膜の形成方法により基材上に形成された回路。
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