JP2003308731A - 導電性組成物、導電性被膜およびその形成方法 - Google Patents

導電性組成物、導電性被膜およびその形成方法

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JP2003308731A
JP2003308731A JP2002113712A JP2002113712A JP2003308731A JP 2003308731 A JP2003308731 A JP 2003308731A JP 2002113712 A JP2002113712 A JP 2002113712A JP 2002113712 A JP2002113712 A JP 2002113712A JP 2003308731 A JP2003308731 A JP 2003308731A
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conductive
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particulate
silver compound
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JP2002113712A
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Yukihiko Kurosawa
幸彦 黒沢
Akinobu Ono
朗伸 小野
Toshiyuki Honda
俊之 本多
Koji Okamoto
航司 岡本
Masafumi Ito
雅史 伊藤
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Fujikura Kasei Co Ltd
Fujikura Ltd
Original Assignee
Fujikura Kasei Co Ltd
Fujikura Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 低温で製膜し、金属銀と同等の低体積抵抗
率、高導電性の導電性被膜を有し、かつフレキシブル回
路基板などの電気回路を形成した際に、その電気回路の
線幅を十分に細くでき、厚みを厚くする必要がなく、常
温での安定性に優れる導電性組成物、導電性被膜および
その形成方法を提供する。 【解決手段】 粒子状銀化合物を含む主剤と、還元剤を
含む副剤とからなり、対象物に塗布または印刷する直前
に、両者を混合するようにした導電性組成物。粒子状銀
化合物が、酸化銀、炭酸銀、酢酸銀、アセチルアセトン
銀錯体から選ばれる1種類以上。粒子状銀化合物の平均
粒径が0.01〜10μm。還元剤の添加量が、粒子状
銀化合物1モルに対して0.01〜20モル。この導電
性組成物に分散剤を添加する。導電性組成物を対象物に
塗布し、加熱することにより、銀微粒子が互いに融着し
ている導電性被膜。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、導電性ペースト、
導電性塗料、導電性接着剤などとして用いられる導電性
組成物、これを用いて形成された導電性被膜およびその
形成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の導電性ペーストとしては、フレー
ク状の銀微粒子にアクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂などの
熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂などの
熱硬化性樹脂などからなるバインダ、有機溶剤、硬化
剤、触媒などを添加し、混合して得られる銀ペーストが
代表的なものである。
【0003】この銀ペーストは、各種電子機器、電子部
品、電子回路などに対して導電性接着剤、導電性塗料な
どとして広く使用されている。また、この銀ペーストを
ポリエチレンテレフタレートフィルムなどのプラスチッ
クフィルム上にスクリーン印刷などにより印刷して、電
気回路を形成したフレキシブル回路基板もキーボード、
各種スイッチなどのプリント回路基板として用いられて
いる。
【0004】この銀ペーストの使用方法は、対象物に各
種塗布手段により塗布し、常温で乾燥するか、あるいは
150℃程度に加熱して、導電性被膜とすることで行な
われている。そして、このようにして得られた導電性被
膜の体積抵抗率は、製膜条件にもよるが、10-4〜10
-5Ω・cmの範囲であり、金属銀の体積抵抗率1.6×
10 -6Ω・cmに比べて、10〜100倍の値となって
おり、金属銀の導電性にはとうてい及ばない値となって
いる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このような従来の銀ペ
ーストからなる導電性被膜の導電性が低い理由として
は、この導電性被膜内では、銀微粒子同士が、その一部
のみで物理的に接触しており、しかも銀微粒子同士の接
触点が少なく、また、銀微粒子同士の接触点において接
触抵抗が生じことなどが挙げられる。さらに、銀微粒子
同士の間にバインダが存在し、このバインダが銀微粒子
同士の直接的な接触を阻害していることなども挙げられ
る。
【0006】このような銀ペーストの導電性の低さを改
善する方法として、銀ペーストを対象物に塗布した後、
800℃程度に加熱してバインダを焼却、除去するとと
もに、銀微粒子を溶融して、銀微粒子が融着して一様に
連続した金属銀の被膜を形成する方法がある。このよう
にして得られた金属銀の被膜からなる導電性被膜の体積
抵抗率は、10-6Ω・cm程度になり、金属銀のそれに
近い導電性を有するものとなる。しかし、このような金
属銀の被膜からなる導電性被膜では、対象物が高温加熱
に耐え得るガラス、セラミックス、琺瑯などの耐熱性材
料に限られるという欠点がある。
【0007】また、上述のフレキシブル回路基板にあっ
ては、そこに形成される電気回路の線幅を可能な限り細
くすることが要求されている。しかしながら、従来の銀
ペーストでは、銀微粒子が粒径1〜100μmのフレー
ク状となっており、原理的に電気回路の線幅を、銀微粒
子の粒径以下に印刷することは不可能である。
【0008】しかも、この電気回路には、その線幅を細
くした上で、十分な導電性を示すことが要求されてお
り、この要求に応えるためには、電気回路の厚みをかな
り厚くしなければならない。しかし、電気回路の厚みを
厚く製膜するのは困難である上に、厚みが厚くなると、
電気回路自体の可撓性が大きく低下する。
【0009】これらの課題を解決する方法として、特願
2001−398425号において、粒子状銀化合物を
含む導電性組成物について提案されている。ここで提案
されている導電性組成物は、微小な粒子状銀化合物を加
熱により還元して、金属銀からなる導電性被膜を形成す
るものである。この導電性被膜の導電性は従来の導電性
ペーストと比較して非常に高い。また、この導電性組成
物は、還元剤を添加することで導電性被膜が形成される
温度を低くすることができる。しかしながら、この導電
性組成物に含まれる微小な粒子状銀化合物は還元剤によ
って還元されやすく、導電性組成物を対象物に塗布また
は印刷する前に還元反応が起こり、導電性組成物の性質
が時間の経過に伴って変化してしまうことがあった。ま
た、性質の変化した導電性組成物から形成された導電性
被膜は、その導電性が低くなるおそれがあった。
【0010】本発明は、前記事情に鑑みてなされたもの
で、高温で製膜しなくとも、金属銀と同等の低体積抵抗
率、高導電性の導電性被膜が得られ、かつフレキシブル
回路基板などの電気回路を形成した場合に、その電気回
路の線幅を十分に細くでき、また、その厚みを厚くする
必要がなく、さらに常温での安定性に優れる導電性組成
物、導電性被膜およびその形成方法を提供することを課
題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】前記課題は、粒子状銀化
合物を含む主剤と、還元剤を含む副剤とからなり、対象
物に塗布または印刷する直前に、両者を混合するように
した導電性組成物によって解決できる。前記粒子状銀化
合物が、酸化銀、炭酸銀、酢酸銀、アセチルアセトン銀
錯体から選ばれる1種類以上であることが好ましい。前
記粒子状銀化合物の平均粒径が0.01〜10μmであ
ることが好ましい。前記還元剤の添加量が、前記粒子状
銀化合物1モルに対して0.01〜20モルであること
が好ましい。上記導電性組成物に分散剤が添加されたこ
とが好ましい。前記課題は、上記導電性組成物を塗布
し、加熱する導電性被膜の形成方法によって解決でき
る。前記課題は、上記形成方法で得られ、銀微粒子が互
いに融着している導電性皮膜によって解決できる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳しく説明する。
本発明の導電性組成物は、粒子状銀化合物を含む主剤
と、還元剤を含む副剤とからなり、対象物に塗布または
印刷する直前に、両者を混合するようにしたものであ
る。ここで、粒子状銀化合物を含む主剤とは、粒子状銀
化合物単体、あるいは粒子状銀化合物を溶媒などに分散
または溶解したもの示す。また、還元剤を含む副剤と
は、還元剤単体、あるいは還元剤を溶媒などに分散また
は溶解したものを示す。
【0013】本発明で用いられる粒子状銀化合物とは、
還元剤の共存下において、加熱によって容易に金属銀微
粒子に還元される性質を有する固体粒子状の化合物であ
る。しかも、この還元反応時の反応熱によって、生成し
た金属銀微粒子が溶融し、互いに融着して高導電性の金
属銀の導電性被膜を形成する。このため、得られる導電
性被膜は金属銀と同等の高導電性を示すものとなる。こ
のような粒子状銀化合物の具体的なものとしては、酸化
第1銀、酸化第2銀、炭酸銀、酢酸銀、アセチルアセト
ン銀錯体などが挙げられる。本発明の導電性組成物にあ
っては、これらの粒子状銀化合物を単体、または2種類
以上混合して用いることができる。なお、これらの粒子
状銀化合物は、工業的に生産されたもの以外に、後述す
る水溶液からの反応によって得られたものを用いること
ができる。
【0014】これらの粒子状銀化合物の平均粒径は0.
01〜10μmであり、還元反応における加熱温度、用
いる還元剤の還元力などに応じて適宜選択される。特
に、平均粒径が0.5μm以下の粒子状銀化合物を用い
ると還元反応の速度が速くなるので好ましい。このよう
な平均粒径が0.5μm以下の粒子状銀化合物は、銀化
合物と他の化合物との反応によって生成したものも用い
ることができる。例えば、硝酸銀水溶液に、これを攪拌
しながら水酸化ナトリウムなどのアルカリ水溶液を滴下
し、両者を反応させて得た酸化銀を用いることができ
る。この場合、溶液中に、あらかじめ分散剤を添加して
おき、生成した粒子状銀化合物の凝集を防止することが
望ましい。
【0015】ここで、粒子状銀化合物の平均粒径が0.
01μm未満では、乾燥した状態において、凝集作用が
強くなることがあり、溶媒などへの分散が困難となる場
合がある。一方、粒子状銀化合物の平均粒径が10μm
を超えると、低温において粒子状銀化合物の還元反応が
起こり難くなり、結果として、金属銀からなる導電性被
膜を形成し難くなる。
【0016】このような粒子状銀化合物を分散または溶
解し、液状の導電性組成物の主剤を得るために溶媒など
の分散媒が用いられる。溶媒としては、水、メタノー
ル、エタノール、プロパノール、セカンダリーブチルア
ルコール(SBA)などのアルコール類、イソホロン、
テルピネオール、トリエチレングリコールモノブチルエ
ーテル、ブチルセロソルブアセテートなどの有機溶剤が
用いられる。また、アクリル樹脂、ビニル樹脂、ポリエ
ステル樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ
樹脂などのような各種バインダ樹脂や、これらのモノマ
ーに分散させてもよい。溶媒の種類や、使用量は、粒子
状銀化合物の種類や、導電性組成物の製膜条件に応じて
適宜調整される。例えば、導電性組成物を対象物に塗布
または印刷する際に、スクリーン印刷する場合、刷版メ
ッシュの粗さや印刷のパターンの精細度などに応じて、
最適な製膜ができるように、溶媒の種類や、使用量が適
宜調整される。
【0017】本発明で用いられる還元剤は、本発明の導
電性組成物中の粒子状銀化合物を還元するもので、還元
反応後の副生成物が気体や揮発性の高い液体となり、生
成した導電性被膜内に残留しないものが好ましい。この
ような還元剤の具体的な例としては、エチレングリコー
ル、ホルマリン、ヒドラジン、アスコルビン酸、各種ア
ルコールなどが挙げられる。これらの還元剤は、液体で
あれば溶媒としても用いることができ、このような例と
しては、エチレングリコールなどが挙げられる。
【0018】このような還元剤の使用量は、粒子状銀化
合物1モルに対して0.01〜20モル程度とすること
が望ましい。還元反応の効率や、加熱によって揮発する
ことを考慮すると、還元剤を粒子状銀化合物と等モルよ
り多めに添加することが望ましいが、最大20モルを超
えて添加しても効果が飽和し、不経済である。一方、還
元剤の使用量が、粒子状銀化合物1モルに対して0.0
1モル未満では、還元反応が十分に進行せず、結果とし
て、金属銀からなる導電性被膜の形成が不十分となる。
【0019】また、このような還元剤を分散または溶解
し、液状の導電性組成物の副剤を得るために、上記の粒
子状銀化合物を分散または溶解するために用いられる溶
媒と同様の溶媒が用いられる。溶媒の種類や、使用量
も、粒子状銀化合物の場合と同様に、還元剤の種類や、
導電性組成物の製膜条件に応じて適宜調整される。
【0020】上記の還元剤の中には、還元力が高いもの
がある。そこで、本発明の導電性組成物のように、導電
性組成物を対象物に塗布または印刷する直前に、粒子状
銀化合物を含む主剤と還元剤を含む副剤を混合すれば、
導電性組成物の保管中や、塗布または印刷の間に、導電
性組成物内で還元反応が起こるのを大幅に抑えることが
できる。これにより、導電性組成物の貯蔵安定性を改善
することができ、また、安定した導電性を有する導電性
被膜を形成することができる。
【0021】さらに、本発明の導電性組成物には、分散
剤が添加されていることが好ましい。分散剤が添加され
ていれば、粒子状銀化合物が、互いに凝集し難くなり、
導電性組成物を構成する溶媒などに対する分散性が向上
する。特に、分散剤が添加されていれば、平均粒径1μ
m以下の粒子状銀化合物が溶媒などに良好に分散し、粒
子状銀化合物の二次凝集を防止することができる。
【0022】本発明で用いられる分散剤としては、ヒド
ロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポ
リビニルアルコールなどの他に、市販の分散剤として、
例えば、ディスパービック160、ディスパービック1
61、ディスパービック162、ディスパービック16
3、ディスパービック166、ディスパービック17
0、ディスパービック180、ディスパービック18
2、ディスパービック184、ディスパービック190
(以上、ビックケミー社製)、フローレンTG−720
W、フローレンTG−730W、フローレンG−70
0、フローレンDOPA−17、フローレンDOPA−
22、フローレンDOPA−158(以上、共栄社化学
社製)、チラバゾールW−01、チラバゾールW−02
(以上、太陽化学社製)、ソルスパース20000、ソ
ルスパース24000、ソルスパース26000、ソル
スパース27000、ソルスパース28000(以上、
アビシア社製)、アジスパーPB711、アジスパーP
B811、アジスパーPA111、アジスパーPW91
1(以上、味の素社製)などの高分子系分散剤を用いる
ことができる。このような分散剤の使用量は、粒子状銀
化合物100重量部に対して有効成分で0〜300重量
部とし、好ましくは1〜100重量部とする。
【0023】また、本発明の導電性組成物は、種々の方
法で対象物に塗布または印刷することができ、そのとき
の適切な粘度は製膜条件により異なる。例えば、スクリ
ーン印刷の場合には、30〜300ポイズ程度の粘度が
好ましい。このときの粘度は、溶媒の種類、溶媒の粒子
状銀化合物に対する添加量を変えることで調整すること
ができる。
【0024】そして、この導電性組成物を用いて導電性
被膜を形成するには、この導電性組成物を対象物に適宜
の手段で塗布した後、単に加熱するだけでよい。還元剤
の存在により、加熱温度は140〜160℃、加熱時間
は10秒〜120分程度で、導電性被膜を形成すること
ができる。なお、本発明の導電性組成物を用いて、導電
性被膜を形成する際には、いずれの場合においても、対
象物の表面を清浄にしておかなければならない。
【0025】このように、本発明の導電性組成物は、粒
子状銀化合物を含む主剤と、還元剤を含む副剤とからな
り、対象物に塗布または印刷する直前に、両者を混合す
るようにしたものであるから、長期間の貯蔵において
も、導電性組成物の外観、流動性および体積抵抗率はほ
とんど変化しない。また、この導電性組成物は、対象物
に塗布または印刷し、これを単に加熱するだけで、より
低い温度で還元反応が進み、導電性被膜を形成すること
ができる。しかも、この還元反応時の反応熱によって、
導電性組成物の金属銀微粒子が溶融し、互いに融着して
高導電性の金属銀の導電性被膜を形成し、この導電性被
膜は金属銀と同等の高導電性を示すものとなる。したが
って、本発明の導電性組成物によれば、導電性被膜の厚
みを厚くすることがない上に、導電性被膜からなる電気
回路の線幅を十分に細く形成することができるから、十
分な可撓性を有するフレキシブル回路基板を形成するこ
とができる。
【0026】次に、本発明の導電性被膜について説明す
る。本発明の導電性被膜は、上述のように、本発明の導
電性組成物を対象物に塗布し、加熱することによって、
粒子状銀化合物が還元され、還元された金属銀微粒子が
互いに融着して、一様に連続した金属銀の薄膜に形成さ
れたものである。したがって、電気回路の形成が容易で
ある上に、電気回路を形成する導電性被膜の厚みを薄く
形成することができるから、電気回路の可撓性が高くな
る。
【0027】本発明の導電性被膜の体積抵抗率は、3〜
8×10-6Ω・cmの範囲の値を示し、金属銀の体積抵
抗率と同オーダーである。このように、本発明の導電性
被膜は、体積抵抗率が極めて低いので、導電性被膜の厚
みを極めて薄くしても高い導電性を得ることができる。
例えば、体積抵抗率5×10-5Ω・cmの銀ペーストを
使用して、厚さ50μmの電気回路を要求される場合、
本発明の導電性被膜を用いれば、体積抵抗率3×10-6
Ω・cm、厚さ3μmの電気回路を形成することができ
る。
【0028】さらに、本発明の導電性被膜は、対象物に
塗布され、加熱されて形成されるが、この導電性被膜の
対象物側の面は、金属銀の光沢に富む鏡面を呈するもの
となる。特に、対象物の表面が平滑な面(鏡面)であれ
ば、対象物から剥離した導電性被膜の対象物側の面は、
反射率の高い鏡として、家庭用、工業用などの用途に使
用でき、例えばレーザー装置の共振器の反射鏡などに使
用することができる。
【0029】そして、本発明の導電性被膜の形成におけ
る加熱温度は、140〜160℃程度で十分である。し
たがって、本発明の導電性被膜は、耐熱性の低いプラス
チックフィルムなどの対象物にも適用でき、高導電性を
有する導電性被膜を形成することができるとともに、対
象物が熱劣化することもない。
【0030】以下、具体的な実施例を示し、本発明の効
果を明かにする。 (実施例)イオン交換水50mlに硝酸銀0.17gを
溶解し、さらに、これに分散剤としてヒドロキシプロピ
ルセルロース0.05〜0.5gを溶解した水溶液に、
攪拌しながら1M水酸化ナトリウム水溶液を0.9〜5
ml滴下し、攪拌を10〜30分続けて、酸化銀微粒子
の懸濁液を調製した。次いで、この酸化銀微粒子の懸濁
液を濾過して、回収した酸化銀微粒子をメタノールで2
〜5回洗浄し、余分なイオン類を除去した。次いで、こ
の酸化銀微粒子に、分散媒としてセカンダリーブチルア
ルコール(SBA)を0.02〜1.0g加えて混合
し、ペースト状の導電性組成物の主剤を製造した。次い
で、厚さ0.1mmのポリエチレンテレフタレートフィ
ルム(以下、「PETフィルム」と略す。)を用意し
た。導電性組成物の主剤1.0gに、還元剤としてエチ
レングリコール0.06〜1.0gを、上記PETフィ
ルムに塗布する直前に添加し、このPETフィルムの表
面に、スクリーン印刷により、厚さ5〜10μmの電気
回路パターンを形成した後、これをオーブン中で、温度
150℃で、30分〜3時間加熱して、導電性被膜を形
成した。得られた導電性被膜の体積抵抗率は、3〜6×
10-6Ω・cmであった。さらに、この導電性被膜の表
面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、酸化銀を還元
して生成した銀微粒子同士が融着接合していることが確
認された。また、実施例の導電性組成物を調製後、貯蔵
安定性を確認するために、時間経過による導電性組成物
の外観と、この導電性組成物を導電性被膜に形成した際
の体積抵抗率の変化を表1に示す。
【0031】(比較例1)導電性組成物の主剤1.0g
に、還元剤としてエチレングリコール0.06〜1.0
gを、あらかじめ添加しておき、PETフィルムの表面
にスクリーン印刷により、電気回路パターンを形成した
以外は、実施例1と同様にして、導電性被膜を形成し
た。また、比較例1の導電性組成物を調製後、貯蔵安定
性を確認するために、時間経過による導電性組成物の外
観と、この導電性組成物を導電性被膜に形成した際の体
積抵抗率の変化を表1に示す。
【0032】
【表1】
【0033】表1の結果から、実施例のように、主剤と
還元剤を別々に貯蔵し、PETフィルムに塗布する直前
に、主剤と還元剤を混合すれば、長期間の貯蔵において
も、導電性組成物の外観および体積抵抗率ともにほとん
ど変化しないことが確認された。一方、比較例1のよう
に、あらかじめ、主剤と還元剤を混合したものは、混合
直後は実施例と同等の導電性を示したものの、時間の経
過に伴って、流動性が無くなり、また、その体積抵抗率
も明かに上昇することが確認された。
【0034】(比較例2)市販の銀ペースト(商品名;
FA−353、藤倉化成社製)を用意し、これを厚さ
0.1mmのPETフィルムの表面に、スクリーン印刷
により、厚さ5〜10μmの電気回路パターンを形成し
た後、これをオーブン中で、温度150℃で、30分加
熱して、導電性被膜を形成した。得られた導電性被膜の
体積抵抗率は、4×10-5Ω・cmであった。さらに、
この導電性被膜の表面を走査型電子顕微鏡で観察したと
ころ、銀フレーク同士が単に接触している状態であるこ
とが確認された。
【0035】(比較例3)市販の別の銀ペースト(アサ
ヒ化学研究所社製)を用意し、比較例2と同様にして導
電性被膜を形成したところ、その体積抵抗率は、3×1
-5Ω・cmであった。さらに、この導電性被膜の表面
を走査型電子顕微鏡で観察したところ、銀フレーク同士
が単に接触している状態であることが確認された。
【0036】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の導電性組
成物は、粒子状銀化合物を含む主剤と、還元剤を含む副
剤とからなり、対象物に塗布または印刷する直前に、両
者を混合するようにしたものであるから、長期間の貯蔵
においても、導電性組成物の外観、流動性および体積抵
抗率はほとんど劣化しない。また、この導電性組成物
は、対象物に塗布または印刷し、これを単に加熱するだ
けで、より低い温度で還元反応が進み、導電性被膜を形
成することができる。また、本発明の導電性組成物によ
れば、極めて導電性の高い導電性被膜を得ることができ
る。また、この導電性被膜の形成は、比較的低い温度で
の加熱でなされるので、基材として耐熱性の低いプラス
チックなどを用いることができる。さらに、この導電性
組成物で電気回路を形成すれば、電気回路の線幅を十分
に細くすることができる上に、その厚みを厚くする必要
がない。したがって、十分な可撓性を有するフレキシブ
ル回路基板を形成することができる。
【0037】本発明の導電性被膜は、上記導電性組成物
を対象物に塗布し、加熱することにより、銀微粒子が互
いに融着しているものであるから、体積抵抗率は、3〜
8×10-6Ω・cmの範囲の値を示し、金属銀の体積抵
抗率と同オーダーとなる。また、体積抵抗率が極めて低
いので、導電性被膜の厚みを極めて薄くしても高い導電
性を得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小野 朗伸 東京都江東区木場一丁目5番1号 株式会 社フジクラ内 (72)発明者 本多 俊之 埼玉県北葛飾郡鷲宮桜田5丁目13番地1号 藤倉化成株式会社開発研究所内 (72)発明者 岡本 航司 埼玉県北葛飾郡鷲宮桜田5丁目13番地1号 藤倉化成株式会社開発研究所内 (72)発明者 伊藤 雅史 埼玉県北葛飾郡鷲宮桜田5丁目13番地1号 藤倉化成株式会社開発研究所内 Fターム(参考) 4D075 BB21Z CA22 DB31 DB48 DC21 EA05 EB01 EB14 EB22 EB32 EB33 EB35 EB38 EC30 5G301 DA22 DD01 DD02

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 粒子状銀化合物を含む主剤と、還元剤を
    含む副剤とからなり、対象物に塗布または印刷する直前
    に、両者を混合するようにしたことを特徴とする導電性
    組成物。
  2. 【請求項2】 前記粒子状銀化合物が、酸化銀、炭酸
    銀、酢酸銀、アセチルアセトン銀錯体から選ばれる1種
    類以上であることを特徴とする請求項1記載の導電性組
    成物。
  3. 【請求項3】 前記粒子状銀化合物の平均粒径が0.0
    1〜10μmであることを特徴とする請求項1または2
    記載の導電性組成物。
  4. 【請求項4】 前記還元剤の添加量が、前記粒子状銀化
    合物1モルに対して0.01〜20モルであることを特
    徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の導電性組
    成物。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし4のいずれかに記載の導
    電性組成物に分散剤が添加されたことを特徴とする導電
    性組成物。
  6. 【請求項6】 請求項1ないし5のいずれかの導電性組
    成物を塗布し、加熱することを特徴とする導電性被膜の
    形成方法。
  7. 【請求項7】 請求項6記載の形成方法で得られ、銀微
    粒子が互いに融着していることを特徴とする導電性被
    膜。
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