JP4628718B2 - 導電性被膜の形成方法 - Google Patents

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Description

本発明は、銀粒子の前駆体(以下、「銀粒子前駆体」と略す。)を含む導電性ペースト、導電性塗料、導電性接着剤などの導電性組成物を用いて、導電性被膜を形成する導電性被膜の形成方法に関するものである。
従来、ポリエステルフィルムなどの合成樹脂基板上に、銀粒子などの導電性粒子にアクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂などの熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂などの熱硬化性樹脂などからなるバインダ、有機溶剤、硬化剤、触媒などを添加し混合して得られる銀ペーストなどの導電性組成物を、スクリーン印刷などの印刷法によって、所定の回路パターンとなるように印刷し、これらを加熱して導体回路をなす導電性被膜を形成し、回路基板を製造する方法がある(例えば、非特許文献1参照。)。
このようにして形成された導電性被膜では、銀粒子同士の相互接触により導電性を確保しているので、銀粒子間の接触抵抗が大きいため、導体回路の抵抗値が高くなるという問題があった。
そこで、このような問題を解決するために、合成樹脂基板に適用可能で、かつ、高導電性の導体回路を形成可能な導電性ペーストが開発された。この導電性ペーストは、酸化銀粒子や三級脂肪酸銀塩などの銀粒子前駆体、溶剤、セルロース誘導体などから構成されている。この導電性ペーストを合成樹脂基板上に印刷して、回路パターンを形成した後、これらを150℃で加熱することにより、酸化銀粒子が還元され、三級脂肪酸銀塩が分解して銀粒子が生成すると同時に、この銀粒子が相互に融着するため、接触抵抗が極めて小さく、比抵抗が8×10−6Ωcmの高導電性の導体回路が得られる(例えば、特許文献1参照。)。
しかしながら、この導電性ペーストにより導体回路を形成する場合、導電性ペーストを加熱するためのオーブンなどの加熱手段の加熱方式によっては、得られる導体回路の導電性が変化するという問題があった。実験室などで用いられる小型の熱風循環型オーブンにより、この導電性ペーストを加熱すると、問題なく高導電性の導体回路を形成することができる。ところが、工場などで用いられる大型の熱風循環型オーブンにより、この導電性ペーストを加熱すると、比抵抗の大きな導体回路が形成される。この原因の1つとしては、大型の熱風循環型オーブンを用いると、導電性ペーストの温度が、酸化銀粒子が還元され、三級脂肪酸銀塩が分解して銀粒子が生成する温度である150℃に達するまでに30分程度かかるため、この間に導電性ペーストに含まれる溶剤が揮発して、生成した銀粒子が相互に融着し難いということが挙げられる。
特開2003−308730号公報
本発明は、前記事情に鑑みてなされたもので、銀粒子前駆体を含む導電性組成物により、高導電性の導電性被膜を形成する導電性被膜の形成方法を提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決するために、酸化銀粒子および/または三級脂肪酸銀塩からなる銀粒子前駆体と、溶剤とを含む導電性組成物を塗布する工程Aと、該工程Aの後、前記導電性組成物を加熱することにより導電性被膜を形成する工程Bとを備えた導電性被膜の形成方法であって、前記工程Bにおいて、前記導電性組成物の温度が150℃に達した際に、前記導電性組成物に含まれる溶剤の質量が前記銀粒子前駆体の質量の%以上であるように、前記導電性組成物を加熱する導電性被膜の形成方法を提供する。
記工程Bにおいて、遠赤外線により前記導電性組成物を加熱することが好ましい
前記工程Bにおいて、遠赤外線により前記導電性組成物を加熱した後、さらに熱風により前記導電性組成物を加熱することが好ましい。
本発明の導電性被膜の形成方法によれば、銀粒子前駆体を含む導電性組成物を加熱することにより導電性被膜を形成する工程において、導電性組成物の温度が148℃に達した際に、導電性組成物に含まれる溶剤の質量が銀粒子前駆体の質量の3%以上であるように、導電性組成物を加熱することにより、高導電性の導電性被膜を形成することができる。また、銀粒子前駆体から銀粒子を生成する反応の開始温度を150℃以下にすることができるので、耐熱性の低い合成樹脂基板上にも高導電性の導電性被膜を形成することができる。
本発明の導電性被膜の形成方法によれば、銀粒子前駆体を含む導電性組成物を加熱することにより導電性被膜を形成する工程において、導電性組成物に遠赤外線を照射して、導電性組成物を加熱することにより、銀粒子前駆体の温度を、導電性組成物に含まれる他の成分の温度よりも早く上昇させて、銀粒子前駆体から銀粒子を生成する反応を開始させることができる。したがって、銀粒子前駆体のみを所定の温度に加熱することができるので、耐熱性の低い合成樹脂基板上に導電性被膜を形成する際に、この合成樹脂基板が熱的に損傷することがなく、高導電性の導電性被膜を形成することができる。また、熱風による加熱のように、昇温プロファイルの調節などが不要になるから、製造効率が向上する。また、導電性組成物中に溶剤が存在していなくても、銀粒子前駆体から銀粒子を生成する反応を進行させることができるから、導電性組成物の保管方法などを簡略化できるので、製造コストを削減することができる。
さらに、遠赤外線により導電性組成物を加熱した後、さらに熱風により導電性組成物を加熱すれば、銀粒子前駆体から銀粒子を生成する反応が十分に進行して、未反応の銀粒子前駆体が導電性組成物中に残留することがないので、製造効率が向上する。
以下、本発明を実施した導電性被膜の形成方法について、実施形態に基づいて説明する。
(第一の実施形態)
本発明に係る導電性被膜の形成方法の第一の実施形態について説明する。
この実施形態では、まず、酸化銀粒子または三級脂肪酸銀塩のいずれか一方、あるいは、酸化銀粒子および三級脂肪酸銀塩の両方からなる銀粒子前駆体と、溶剤とを含む導電性組成物を合成樹脂基板などの対象物上に塗布する(工程A)。
この工程Aの後、導電性組成物の温度が148℃に達した際に、導電性組成物に含まれる溶剤の質量が銀粒子前駆体の質量の3%以上であるように、導電性組成物を加熱して、銀粒子前駆体から銀粒子を生成させることにより、対象物上に導電性被膜を形成する(工程B)。この工程Bでは、銀粒子前駆体から銀粒子が生成すると同時に、この銀粒子が相互に融着して導電性被膜が形成される。
導電性組成物を加熱する具体的な方法としては、例えば、導電性組成物が塗布された合成樹脂基板などの対象物を熱風循環型オーブン内に収容し、この熱風循環型オーブン内を循環する熱風により導電性組成物を加熱する方法が用いられる。
導電性組成物中に含まれる酸化銀粒子が還元され、三級脂肪酸銀塩が分解して銀粒子が生成する反応の開始温度は、溶剤の存在の有無により変化する。溶剤の存在下では、この反応の開始温度は148℃であるが、溶剤が存在しないと、反応の開始温度は150℃を大きく上回ってしまう。ポリエステルフィルムなどの耐熱性の低い合成樹脂基板上に導電性被膜からなる導体回路を形成することを考慮すると、反応の開始温度を150℃以下に抑えることが好ましい。
工程Bでは、導電性組成物の温度が148℃に達した際に、導電性組成物に含まれる溶剤の質量が銀粒子前駆体の質量の3%以上であるように、導電性組成物を加熱するが、導電性組成物に含まれる溶剤の質量が銀粒子前駆体の質量の10%以上とすることがより好ましい。このようにすれば、酸化銀粒子や三級脂肪酸銀塩から生成した銀粒子が分散し易くなり、結果として相互に融着し易くなるので、高導電性の導電性被膜を形成し易くなる。
また、工程Bにおいて、導電性組成物の温度が148℃に達した際に、導電性組成物に含まれる溶剤の質量が銀粒子前駆体の質量の3%未満では、酸化銀粒子の還元反応、三級脂肪酸銀塩の分解反応が進行し難くなり、反応開始温度が150℃を大きく上回ってしまうだけでなく、酸化銀粒子や三級脂肪酸銀塩から生成した銀粒子が分散し難くなり、結果として相互に融着し難くなるので、高導電性の導電性被膜を形成し難くなる。
この実施形態で用いられる導電性組成物は、酸化銀粒子または三級脂肪酸銀塩のいずれか一方、あるいは、酸化銀粒子および三級脂肪酸銀塩の両方からなる銀粒子前駆体と、溶剤とを主成分として含み、これにさらにセルロース誘導体、触媒などを必要に応じて含む、導電性ペースト、導電性塗料、導電性接着剤などである。
酸化銀粒子としては、具体的には、酸化銀(I)、酸化銀(II)、酢酸銀、炭酸銀などが挙げられる。これらは2種以上を混合して使用することもできる。
この酸化銀粒子の平均粒径は、特に限定されないが、0.5μm以下であることが望ましい。酸化銀粒子の平均粒径が0.5μm以下であれば、溶剤などへの分散性が向上する上に、還元反応の速度が速くなる。
三級脂肪酸銀塩は、総炭素数が5〜30、好ましくは総炭素数が10〜30の三級脂肪酸の銀塩である。三級脂肪酸銀塩の具体例としては、ピバリン酸銀、ネオヘプタン酸銀、ネオノナン酸銀、ネオデカン酸銀などが挙げられる。また、三級脂肪酸銀塩は、加熱により分解して約100nm以下の銀ナノ粒子を析出する。
この実施形態で用いられる導電性組成物に含まれる溶剤としては、酸化銀粒子および三級脂肪酸銀塩と反応を起こさず、酸化銀粒子および三級脂肪酸銀塩を良好に分散するものであれば特に限定されない。溶剤としては、例えば、水や、エタノール、エタノール、プロパノール、テトラヒドロフラン、イソホロン、テルピネオール、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、ブチルセロソルブアセテートなどの有機溶剤が挙げられる。
この実施形態で用いられる導電性組成物に酸化銀粒子が含まれる場合、導電性組成物にはセルロース誘導体が含まれていてもよい。
このセルロース誘導体は、導電性組成物の保存安定性を確保するために用いられ、酸化銀粒子を均一に分散する分散安定剤(分散媒)としての機能と、室温では酸化銀粒子を還元することなく、所定温度に加熱した際に還元作用を示す還元剤としての機能とを有するものである。
セルロース誘導体としては、例えば、セルロース(C10を変性したヒドロキシプロピルセルロース、セルロースを変性したエチルヒドロキシエチルセルロース、セルロースの水酸基の水素が部分的にエチル基によって置換された、一種のエーテルであるエチルセルロースなどが挙げられる。
この実施形態では、熱風循環型オーブンを用いて、熱風循環型オーブン内の温度を昇温する際の昇温プロファイルを調節することにより、導電性組成物に含まれる溶剤の質量が銀粒子前駆体の質量の3%以上である内に、酸化銀粒子や三級脂肪酸銀塩から銀粒子を生成する反応を開始させるから、酸化銀粒子や三級脂肪酸銀塩から生成した銀粒子が分散し易くなり、結果として相互に融着し易くなるので、高導電性の導電性被膜を形成することができる。また、酸化銀粒子や三級脂肪酸銀塩から銀粒子を生成する反応の開始温度を150℃以下にすることができるので、ポリエステルフィルムなどの耐熱性の低い合成樹脂基板上にも高導電性の導電性被膜を形成することができる。
(第二の実施形態)
本発明に係る導電性被膜の形成方法の第二の実施形態について説明する。
この実施形態では、まず、酸化銀粒子または三級脂肪酸銀塩のいずれか一方、あるいは、酸化銀粒子および三級脂肪酸銀塩の両方からなる銀粒子前駆体と、溶剤とを含む導電性組成物を合成樹脂基板などの対象物上に塗布する(工程A)。
この工程Aの後、遠赤外線により導電性組成物を加熱して、銀粒子前駆体から銀粒子を生成させることにより、対象物上に導電性被膜を形成する(工程B)。この工程Bでは、銀粒子前駆体から銀粒子が生成すると同時に、この銀粒子が相互に融着して導電性被膜が形成される。
この実施形態における導電性組成物の加熱方法は、遠赤外線を放射する遠赤外線ヒータが設けられた遠赤外線乾燥装置が、導電性組成物を急速に昇温可能な温度プロファイルを形成できることを利用したものである。さらに、酸化銀を含む系は、導電性組成物が酸化銀由来の黒色をなしているから、遠赤外線の吸収効率が非常に高く効果的である。
遠赤外線により導電性組成物を加熱する具体的な方法としては、例えば、導電性組成物が塗布された合成樹脂基板などの対象物を遠赤外線乾燥装置内に収容し、この遠赤外線乾燥装置内に設けられた遠赤外線ヒータから放射される遠赤外線を、導電性組成物に照射する方法が用いられる。この遠赤外線により導電性組成物を加熱する加熱方法では、遠赤外線が直接、酸化銀粒子または三級脂肪酸銀塩に作用するため、酸化銀粒子または三級脂肪酸銀塩の温度を、導電性組成物に含まれる他の成分の温度よりも早く上昇させることができる。
合成樹脂基板など上に塗布された導電性組成物に含まれる銀粒子前駆体のみに遠赤外線を照射することができる遠赤外線乾燥装置としては、例えば、ベルトコンベア型の遠赤外炉、バッチ型遠赤外炉などが挙げられる。
この実施形態では、上述の第一の実施形態と同様の導電性組成物を用いることができる。
この実施形態では、導電性組成物に遠赤外線を照射して、導電性組成物を加熱することにより、酸化銀粒子または三級脂肪酸銀塩の温度を、導電性組成物に含まれる他の成分の温度よりも早く上昇させて、酸化銀粒子または三級脂肪酸銀塩から銀粒子を生成する反応を開始させることができる。したがって、酸化銀粒子または三級脂肪酸銀塩の温度を、導電性組成物に含まれる他の成分の温度よりも早く、酸化銀粒子が還元され、三級脂肪酸銀塩が分解して銀粒子が生成する反応の開始温度である148℃にすることができる。よって、この実施形態の導電性被膜の形成方法によれば、導電性組成物に含まれる銀粒子前駆体のみを所定の温度に加熱することができるので、ポリエステルフィルムなどの耐熱性の低い合成樹脂基板上に導電性被膜を形成する際に、この合成樹脂基板が熱的に損傷することがなくなり、この合成樹脂基板上にも高導電性の導電性被膜を形成することができる。また、熱風循環型オーブンを用いる場合にように、昇温プロファイルの調節などが不要になるから、製造効率が向上する。また、導電性組成物中に溶剤が残留していなくても、酸化銀粒子または三級脂肪酸銀塩から銀粒子を生成する反応を進行させることができるから、導電性組成物の保管方法などを簡略化できるので、製造コストを削減することができる。
なお、この実施形態において、導電性組成物中に含まれる酸化銀粒子の還元反応、三級脂肪酸銀塩の分解反応が不十分である場合には、遠赤外線により導電性組成物を加熱した後、熱風循環型オーブンなどを用いて、熱風により導電性組成物を加熱する。
このようにすれば、導電性組成物中に含まれる酸化銀粒子の還元反応、三級脂肪酸銀塩の分解反応が十分に進行して銀粒子が生成し、未反応の酸化銀粒子や三級脂肪酸銀塩が導電性組成物中に残留することがないので、製造効率が向上する。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
平均粒径500nmの酸化銀粒子(銀粒子前駆体)と、ネオデカン酸銀(銀粒子前駆体)と、エチルセルロースと、溶剤のテルピネオールとを含む導電性組成物を用意した。各成分の配合量を表1に示す。なお、表1には、配合量を質量%で示した。
示差熱・熱重量同時測定(Thermogravimetry/Differential Thermal Analysis、TG/DTA)法により、この導電性組成物に含まれる銀粒子前駆体の反応開始温度(酸化銀粒子の還元反応が開始する温度、ネオデカン酸銀の分解反応が開始する温度)を測定した。TG/DTA法による反応開始温度の測定条件を、以下のようにした。昇温速度を、室温から110℃までは40℃/min、110℃から300℃までは10℃/minとした。酸化銀粒子の還元反応およびネオデカン酸銀の分解反応は、TG/DTA法により発熱ピークとして検出されることから、この発熱ピークの温度を反応開始温度とした。結果を表1に示す。
また、この発熱ピークまでの溶剤の揮発量を、TG/DTA法により得られる重量減少曲線から測定した。その結果、溶剤の揮発量は、導電性組成物に含まれる溶剤量の2%以下であることが分かった。これは、ほとんど誤差範囲と考えられるので、溶剤は銀粒子前駆体の反応開始までにほとんど揮発していないと考えられる。
次に、導電性組成物をポリエステルフィルム上に塗布し、これを150℃に昇温済みの熱循環型オーブン内に収容した。収容から3分後には導電性組成物の温度が150℃に達するようにして、導電性組成物が塗布されたポリエステルフィルムを150℃で60分間加熱して、ポリエステルフィルム上に導電性被膜を形成した。
次に、ポリエステルフィルム上に形成された導電性被膜の比抵抗を測定した。評価の基準を、導電性被膜の比抵抗が9μΩcm未満を○、9μΩcm以上、10μΩcm未満を△、10μΩcm以上を×とした。結果を表1に示す。
(実施例2〜5)
各成分の配合量を表1に示すようにした以外は実施例1と同様にして、導電性組成物に含まれる銀粒子前駆体の反応開始温度、銀粒子前駆体の反応開始までの溶剤の揮発量、導電性被膜の比抵抗を測定した。導電性組成物に含まれる銀粒子前駆体の反応開始温度の測定結果、および、導電性被膜の比抵抗の測定結果を表1に示す。
なお、溶剤の揮発量は、導電性組成物に含まれる溶剤量の2%以下であることが分かった。これは、ほとんど誤差範囲と考えられるので、溶剤は銀粒子前駆体の反応開始までにほとんど揮発していないと考えられる。
(比較例1)
平均粒径500nmの酸化銀粒子(銀粒子前駆体)と、ネオデカン酸銀(銀粒子前駆体)と、エチルセルロースとを含む導電性組成物を用意し、各成分の配合量を表1に示すようにした以外は実施例1と同様にして、導電性組成物に含まれる銀粒子前駆体の反応開始温度、導電性被膜の比抵抗を測定した。導電性組成物に含まれる銀粒子前駆体の反応開始温度の測定結果、および、導電性被膜の比抵抗の測定結果を表1に示す。
(比較例2)
各成分の配合量を表1に示すようにした以外は実施例1と同様にして、導電性組成物に含まれる銀粒子前駆体の反応開始温度、銀粒子前駆体の反応開始までの溶剤の揮発量、導電性被膜の比抵抗を測定した。導電性組成物に含まれる銀粒子前駆体の反応開始温度の測定結果、および、導電性被膜の比抵抗の測定結果を表1に示す。
なお、溶剤の揮発量は、導電性組成物に含まれる溶剤量の2%以下であることが分かった。これは、ほとんど誤差範囲と考えられるので、溶剤は銀粒子前駆体の反応開始までにほとんど揮発していないと考えられる。
Figure 0004628718
表1に示した実施例1〜5の結果から、溶剤量を増加させていくと、反応開始温度は徐々に低下し、溶剤量が10%以上では反応開始温度がほぼ一定になることが分かった。
一方、表1に示した比較例1、2の結果から、導電性組成物が溶剤を含まないか、あるいは、導電性組成物に含まれる溶剤量が極端に少ないと、反応開始温度が非常に高くなることが分かった。
以上の結果から、銀粒子前駆体の反応開始温度に達するまでに、導電性組成物に含まれる溶剤量は3%以上、さらには5%以上であることが好ましいことが分かった。
(実施例6)
実施例1と同様の導電性組成物をポリエステルフィルム上に塗布し、これを150℃に昇温済みの熱循環型オーブン内に収容した。収容から10分後には導電性組成物の温度が150℃に達するように、熱風循環型オーブン内の温度を昇温する際の昇温プロファイルを調節して、導電性組成物が塗布されたポリエステルフィルムを150℃で60分間加熱して、ポリエステルフィルム上に導電性被膜を形成した。この時の、昇温プロファイルを図1に示す。
次に、ポリエステルフィルム上に形成された導電性被膜の比抵抗を測定した。評価の基準を、導電性被膜の比抵抗が9μΩcm未満を○、9μΩcm以上、10μΩcm未満を△、10μΩcm以上を×とした。結果を表2に示す。
また、導電性組成物の温度が150℃に達した直後に、熱風循環型オーブンからポリエステルフィルムを取り出し、導電性組成物をポリエステルフィルムに塗布した直後の質量と、導電性組成物の温度が150℃に達した直後の質量とから、導電性組成物の温度が150℃に達した際の溶剤量を算出した。結果を表2に示す。
(実施例7)
実施例2と同様の導電性組成物をポリエステルフィルム上に塗布し、これを150℃に昇温済みの熱循環型オーブン内に収容した。収容から20分後には導電性組成物の温度が150℃に達するように、熱風循環型オーブン内の温度を昇温する際の昇温プロファイルを調節して、導電性組成物が塗布されたポリエステルフィルムを150℃で60分間加熱して、ポリエステルフィルム上に導電性被膜を形成した。この時の、昇温プロファイルを図1に示す。
実施例6と同様にして、導電性被膜の比抵抗、および、導電性組成物の温度が150℃に達した際の溶剤量を測定した。結果を表2に示す。
(比較例3)
比較例2と同様の導電性組成物をポリエステルフィルム上に塗布し、これを150℃に昇温済みの熱循環型オーブン内に収容した。収容から30分後には導電性組成物の温度が150℃に達するように、熱風循環型オーブン内の温度を昇温する際の昇温プロファイルを調節して、導電性組成物が塗布されたポリエステルフィルムを150℃で60分間加熱して、ポリエステルフィルム上に導電性被膜を形成した。この時の、昇温プロファイルを図1に示す。
実施例6と同様にして、導電性被膜の比抵抗、および、導電性組成物の温度が150℃に達した際の溶剤量を測定した。結果を表2に示す。
(比較例4)
比較例2と同様の導電性組成物をポリエステルフィルム上に塗布し、これを150℃に昇温済みの熱循環型オーブン内に収容した。収容から40分後には導電性組成物の温度が150℃に達するように、熱風循環型オーブン内の温度を昇温する際の昇温プロファイルを調節して、導電性組成物が塗布されたポリエステルフィルムを150℃で60分間加熱して、ポリエステルフィルム上に導電性被膜を形成した。この時の、昇温プロファイルを図1に示す。
実施例6と同様にして、導電性被膜の比抵抗、および、導電性組成物の温度が150℃に達した際の溶剤量を測定した。結果を表2に示す。
Figure 0004628718
表2の結果から、銀粒子前駆体の反応開始温度に達する前の導電性組成物に含まれる溶剤量を制御することにより、得られる導電性被膜の比抵抗が変化することが分かった。
(実施例8)
平均粒径500nmの酸化銀粒子(銀粒子前駆体)と、ネオデカン酸銀(銀粒子前駆体)と、エチルセルロースとを含む導電性組成物を用意した。なお、表3には、配合量を質量%で示した。
この導電性組成物をポリエステルフィルム上に塗布し、これを、ベルトコンベア型遠赤外炉内を通過させて、150℃で5分間加熱した後、150℃に昇温済みの熱循環型オーブン内に収容して、導電性組成物が塗布されたポリエステルフィルムを150℃で60分間加熱して、ポリエステルフィルム上に導電性被膜を形成した。
次に、ポリエステルフィルム上に形成された導電性被膜の比抵抗を測定した。評価の基準を、導電性被膜の比抵抗が9μΩcm未満を○、9μΩcm以上、10μΩcm未満を△、10μΩcm以上を×とした。結果を表3に示す。
(実施例9〜13)
平均粒径500nmの酸化銀粒子(銀粒子前駆体)と、ネオデカン酸銀(銀粒子前駆体)と、エチルセルロースと、溶剤のテルピネオールとを含む導電性組成物を用意して、各成分の配合量を表3に示すようにした以外は実施例8と同様にして、ポリエステルフィルム上に形成された導電性被膜の比抵抗を測定した。結果を表3に示す。
Figure 0004628718
表3の結果と、上記表1の結果とを比較すると、実施例8〜13で形成された導電性被膜は、導電性組成物に含まれる溶剤量にかかわらず、全て比抵抗が低いことが分かった。これは、導電性組成物に含まれる酸化銀粒子は黒色であるため、遠赤外線を吸収し易く、効率的に温度が上昇するので、酸化銀粒子の還元反応が一気に進行するに伴って、ネオデカン酸銀の分解反応が進行するからであると考えられる。
本発明の導電性被膜の形成方法は、ビアホール埋め、スルーホール埋めや、各種電極の形成にも適用可能である。
実施例6、7および比較例3、4における熱風循環型オーブン内の温度の昇温プロファイルを示すグラフである。

Claims (3)

  1. 酸化銀粒子および/または三級脂肪酸銀塩からなる銀粒子前駆体と、溶剤とを含む導電性組成物を塗布する工程Aと、該工程Aの後、前記導電性組成物を加熱することにより導電性被膜を形成する工程Bとを備えた導電性被膜の形成方法であって、
    前記工程Bにおいて、前記導電性組成物の温度が150℃に達した際に、前記導電性組成物に含まれる溶剤の質量が前記銀粒子前駆体の質量の%以上であるように、前記導電性組成物を加熱することを特徴とする導電性被膜の形成方法。
  2. 記工程Bにおいて、遠赤外線により前記導電性組成物を加熱することを特徴とする請求項1に記載の導電性被膜の形成方法。
  3. 前記工程Bにおいて、遠赤外線により前記導電性組成物を加熱した後、さらに熱風により前記導電性組成物を加熱することを特徴とする請求項に記載の導電性被膜の形成方法。
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